2005年04月13日
浅草・花櫚(かりん)みつめつづけたい味
花櫚
最寄り駅:浅草
料理:会席料理
採点:★★★★☆
一人当たりの支払額(税込み):5,000円〜10,000円
用途:夕食
例えば音楽で、ある音楽家と同じ年代でよかったな、時代を共有できてよかったな、と思うことはありませんか。逆に、どうしてこの人と同じ世代じゃなかったんだろう、残念だなと感じたことはありませんか?
私は、おいしいものを食べるときでも同じじゃないかなと思います。できれば、同じ年、同じ世代のシェフや料理人と長くお付き合いしたいと思っています。自分の変化と同様に、おいしいものを作り出す稀有な才能を持つ人の変化を楽しみたいのです。
このお店のご主人は、私にとってそういう人です。
端正できちんとしています。ごまかさず、丁寧に。手間と時間を惜しまない。そんな姿勢が伝わってくるお料理です。 基本的にはコースの設定のみ。目にも鮮やかな旬の前菜にまず感激。 お造りは、毎日、築地で選び抜いたもの。お椀の出汁の味わい深さ。煮物や焼き物、揚げ物には創意工夫が生きています。お酒は新潟。淡麗辛口が料理を生かすからだそうです。
和食のコース。有名店でも出来合いのような、温かみのないお料理に出会ってがっかりすることがあります。だからこそ、小さいけれど一生懸命が伝わってくる、このお店が大好きです。
最寄り駅:浅草
料理:会席料理
採点:★★★★☆
一人当たりの支払額(税込み):5,000円〜10,000円
用途:夕食
例えば音楽で、ある音楽家と同じ年代でよかったな、時代を共有できてよかったな、と思うことはありませんか。逆に、どうしてこの人と同じ世代じゃなかったんだろう、残念だなと感じたことはありませんか?
私は、おいしいものを食べるときでも同じじゃないかなと思います。できれば、同じ年、同じ世代のシェフや料理人と長くお付き合いしたいと思っています。自分の変化と同様に、おいしいものを作り出す稀有な才能を持つ人の変化を楽しみたいのです。
このお店のご主人は、私にとってそういう人です。
端正できちんとしています。ごまかさず、丁寧に。手間と時間を惜しまない。そんな姿勢が伝わってくるお料理です。 基本的にはコースの設定のみ。目にも鮮やかな旬の前菜にまず感激。 お造りは、毎日、築地で選び抜いたもの。お椀の出汁の味わい深さ。煮物や焼き物、揚げ物には創意工夫が生きています。お酒は新潟。淡麗辛口が料理を生かすからだそうです。
和食のコース。有名店でも出来合いのような、温かみのないお料理に出会ってがっかりすることがあります。だからこそ、小さいけれど一生懸命が伝わってくる、このお店が大好きです。
2005年03月25日
みっともない!慶応の応援
高校野球の楽しみは、へたっぴだけど、子供が野球を一生懸命やるのを見ること。それから、へたっぴのブラスバンドの応援を見ること。これが青春だからね。テレビをつけっぱなしにして、ビールを飲みながら一日中ぼ〜っとできる。春と夏の楽しみだ。
ところが、何よ、慶応の応援。大学生なんですって。神宮の応援をそのまま持ち込みましたって、NHKの紹介。なんだか、ブラスバンドも上手だし、チアリーダーも色っぽいと思ったら、お兄さんとお姉さんが駆けつけたんだそうな。嫌な感じ。こういうのが、慶応カラーなのか。みっともない。
「塾」を挙げての甲子園なんだろう。スタンドでもベンチでも「塾生注目!」とかやってるのかもね。だけど、毎日新聞が広告が欲しくって選んだだけじゃない?香川の代表と一緒。地方の学校が盛り上がって、舞い上がってしまうのはかまわない。地方版に、商店街のおじさんが「昭和28年卒業」とか広告を出すのもいいでしょう。それが、毎日新聞の狙いとするところだから。
だけど、慶応には、こういう流れに乗ってほしくなかった。日本で最高のブランド校らしく、淡々としているんだと思っていた。「ええ、僕らは頭もいいですが、野球もできるんですよ」みたいな感じの野球で。応援も上手なブラスバンドと慶応女子高から、育ちのよいチアリーダーがさらっと登場するんだと思っていた。「ええ、チアリーディングの大会にも出ているものですから、こういう応援もできますのよ」みたいな。
ところが、このお祭り騒ぎ。大学生のブラスバンドは節操もなく全開で、チアリーダーもスカートを翻してくるくる回っている。「ねえ、雨でファンデーション、よれちゃっているわよ」「でも甲子園のトイレって臭くない?神宮以下よね」ってこんな会話が聞こえてきそうだ。
それにしても、過保護だなあ、って気がする。有名大学の付属が出てきても、応援にまるまる大学生が出てきたことってあったっけ?今、甲子園に出ている選手は、そのまま神宮でプレーをし、その後は、すばらしい先輩がいる有名企業にご就職なさるのでしょう。そういう大事な人材を大切に「塾」を挙げて応援しているわけ?かっこ悪い。まさか、お弁当とかも慶応OBのフォーシーズが提供しているんじゃないでしょうね。ロブションのケータリングとか…
関西、がんばれ。だみ声の応援がかわいく聞こえる。あなたたちにはここで1勝をしても、何の将来の保障もないけど、だけど、頑張って。もう、この甲子園で一生困りませんから、みたいな老けた顔をした慶応を蹴散らして欲しい。
って、願いは届かなかった。慶応のサウスポーのへなちょこスライダーピッチャーを相手に、あんなに振り回したらだめだって。ぱちんぱちんと打たないといけないのに、力ばっかり。ぶんぶん振り回したら当たらない。だけど、仕方ない。それが高校野球だから、だけど、きょうぐらい、見ず知らずの子供たちに肩入れしたのも久しぶりだ。
ところが、何よ、慶応の応援。大学生なんですって。神宮の応援をそのまま持ち込みましたって、NHKの紹介。なんだか、ブラスバンドも上手だし、チアリーダーも色っぽいと思ったら、お兄さんとお姉さんが駆けつけたんだそうな。嫌な感じ。こういうのが、慶応カラーなのか。みっともない。
「塾」を挙げての甲子園なんだろう。スタンドでもベンチでも「塾生注目!」とかやってるのかもね。だけど、毎日新聞が広告が欲しくって選んだだけじゃない?香川の代表と一緒。地方の学校が盛り上がって、舞い上がってしまうのはかまわない。地方版に、商店街のおじさんが「昭和28年卒業」とか広告を出すのもいいでしょう。それが、毎日新聞の狙いとするところだから。
だけど、慶応には、こういう流れに乗ってほしくなかった。日本で最高のブランド校らしく、淡々としているんだと思っていた。「ええ、僕らは頭もいいですが、野球もできるんですよ」みたいな感じの野球で。応援も上手なブラスバンドと慶応女子高から、育ちのよいチアリーダーがさらっと登場するんだと思っていた。「ええ、チアリーディングの大会にも出ているものですから、こういう応援もできますのよ」みたいな。
ところが、このお祭り騒ぎ。大学生のブラスバンドは節操もなく全開で、チアリーダーもスカートを翻してくるくる回っている。「ねえ、雨でファンデーション、よれちゃっているわよ」「でも甲子園のトイレって臭くない?神宮以下よね」ってこんな会話が聞こえてきそうだ。
それにしても、過保護だなあ、って気がする。有名大学の付属が出てきても、応援にまるまる大学生が出てきたことってあったっけ?今、甲子園に出ている選手は、そのまま神宮でプレーをし、その後は、すばらしい先輩がいる有名企業にご就職なさるのでしょう。そういう大事な人材を大切に「塾」を挙げて応援しているわけ?かっこ悪い。まさか、お弁当とかも慶応OBのフォーシーズが提供しているんじゃないでしょうね。ロブションのケータリングとか…
関西、がんばれ。だみ声の応援がかわいく聞こえる。あなたたちにはここで1勝をしても、何の将来の保障もないけど、だけど、頑張って。もう、この甲子園で一生困りませんから、みたいな老けた顔をした慶応を蹴散らして欲しい。
って、願いは届かなかった。慶応のサウスポーのへなちょこスライダーピッチャーを相手に、あんなに振り回したらだめだって。ぱちんぱちんと打たないといけないのに、力ばっかり。ぶんぶん振り回したら当たらない。だけど、仕方ない。それが高校野球だから、だけど、きょうぐらい、見ず知らずの子供たちに肩入れしたのも久しぶりだ。
2005年03月22日
YAKITORI et BAR 萬鳥:熱々に込められた真剣味
YAKITORI et BAR 萬鳥
最寄り駅:田原町
料理:鳥料理 / フランス料理 / ワインバー / 創作料理
採点:★★★★☆
一人当たりの支払額(税込み):5,000円〜10,000円
用途:夕食
料理には心が映るといいますが、焼き物はそれが顕著に現れると思います。特に強い火を操る、炭火の焼き物は難しい。何度も何度も裏表を繰り返して、しっかりと火を通すのがどれだけ大変なことか、と感じます。
こちらは、焼き加減がすばらしい。どの食材も、芯まで熱々です。鶏も野菜も気を付けていただかないと、やけどをします。そのぐらい、気を配り、丁寧に丁寧に焼いてくださいます。カウンターの中、炭火の前には女性が一人。多分、開店以来、ずっと同じ人でしょう。お客と言葉を交わすこともなく、集中して炭火と食材に相対しています。真摯な姿がとてもいいなあ、と思うのです。
ということで、焼き物が出てくるタイミングは不安定。お店が混んでくると、すご〜く遅くなることもあります。 それを覚悟して、リエットでもなめながら待ちましょう。 ワインリストは充実していませんが、「シラーと合わせたいので」とお願いしたところ、 シラー90%というボトルを探してくださいました。おいしかったです。
壁にはロブションのサインと写真が貼ってあります。 近くの有名フランス料理店が経営する焼き鳥店。 銘柄鶏や輸入の食材をワインと合わせる流行のスタイルです。ただ、安っぽいラブホテルが並ぶ通りにあります。周囲の雰囲気はよくないので、デートにはお勧めできないかなあ…
最寄り駅:田原町
料理:鳥料理 / フランス料理 / ワインバー / 創作料理
採点:★★★★☆
一人当たりの支払額(税込み):5,000円〜10,000円
用途:夕食
料理には心が映るといいますが、焼き物はそれが顕著に現れると思います。特に強い火を操る、炭火の焼き物は難しい。何度も何度も裏表を繰り返して、しっかりと火を通すのがどれだけ大変なことか、と感じます。
こちらは、焼き加減がすばらしい。どの食材も、芯まで熱々です。鶏も野菜も気を付けていただかないと、やけどをします。そのぐらい、気を配り、丁寧に丁寧に焼いてくださいます。カウンターの中、炭火の前には女性が一人。多分、開店以来、ずっと同じ人でしょう。お客と言葉を交わすこともなく、集中して炭火と食材に相対しています。真摯な姿がとてもいいなあ、と思うのです。
ということで、焼き物が出てくるタイミングは不安定。お店が混んでくると、すご〜く遅くなることもあります。 それを覚悟して、リエットでもなめながら待ちましょう。 ワインリストは充実していませんが、「シラーと合わせたいので」とお願いしたところ、 シラー90%というボトルを探してくださいました。おいしかったです。
壁にはロブションのサインと写真が貼ってあります。 近くの有名フランス料理店が経営する焼き鳥店。 銘柄鶏や輸入の食材をワインと合わせる流行のスタイルです。ただ、安っぽいラブホテルが並ぶ通りにあります。周囲の雰囲気はよくないので、デートにはお勧めできないかなあ…
日本人による日本人のためのパン
ペリカン
最寄り駅:田原町
料理:パン
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:その他
食パンを厚切りにしてトーストする、というのは、もちもちごはんが大好きな日本人が発明したものだ、と聞いた事があります。確かにイギリスの朝ごはんに出てくるパンは形は食パンだけれど、薄くてカリカリですもんね。ペリカンのパンを食べると、確かにこの説は本当なんじゃないかと思わせます。
一番小さいサイズ、260円を買ってもずっしり重みを感じます。皮はぱりぱり、真っ白な内側はきめ細やかでかおり豊か。バタートーストを食べるときの気持ちは、確かに炊きたてのコシヒカリをほお張る幸せに近いかもしれません。
昔風ロールパンを温めてソーセージを挟んでケチャップという懐かしい食べ方も好き。
お土産にしてもよろこばれます。
最寄り駅:田原町
料理:パン
採点:★★★★★
一人当たりの支払額(税込み):1,000円以下
用途:その他
食パンを厚切りにしてトーストする、というのは、もちもちごはんが大好きな日本人が発明したものだ、と聞いた事があります。確かにイギリスの朝ごはんに出てくるパンは形は食パンだけれど、薄くてカリカリですもんね。ペリカンのパンを食べると、確かにこの説は本当なんじゃないかと思わせます。
一番小さいサイズ、260円を買ってもずっしり重みを感じます。皮はぱりぱり、真っ白な内側はきめ細やかでかおり豊か。バタートーストを食べるときの気持ちは、確かに炊きたてのコシヒカリをほお張る幸せに近いかもしれません。
昔風ロールパンを温めてソーセージを挟んでケチャップという懐かしい食べ方も好き。
お土産にしてもよろこばれます。
2005年03月19日
トリノではメダルゼロ
こういう予想は早いほうがいいので、来年のトリノ五輪で女子フィギュアはメダルゼロ、と言ってしまおう。まだ世界選手権のショートプログラムが終わった段階だけれど、そんな気がする。
オリンピックの本番で世界選手権のタイトルを取った荒川静香と、3位が2度の村主章枝は「終わった選手」として片付けられて、今やアイドルの安藤美姫も評価はされないまま、終わるんじゃないかと思う。
昨シーズン、荒川静香が世界チャンピオンになったのをはじめ、主なタイトルは日本選手が独占した。関係者はトリノのメーンポールに日の丸を3本揚げるんだと意気込んだ。でも、うまくはいかないんじゃないかな?
本来なら、世界チャンピオンの風格で、フィギュアの世界をリードしないといけなかった荒川は、靴が壊れたりとかトラブルが続いて調子が上がらない。
クールといえば、ほめ言葉だけれど、とにかく表情がない演技だから、ジャンプにちょっと失敗すると、ほかの要素も減点が大きい。ショートプログラムのインプレッション(印象)だけで、スルツカヤだとか、クワンに0・5近く差をつけられている。要するに、世界チャンピオンになっても「顔」では点がつかないってことだ。
このところメディアの露出が激しい安藤美姫も、ちょっと強化の方向を間違ったって感じ。去年の世界選手権で、ほかの人には出来ないジャンプで上位に食い込んだ。今年は、表現力を身に着けます、ってことで頑張ったけれど、どうしたって見劣りがする。スパイラルはエッジを持って、よっこらしょっていう感じだし、スピンも止まってしまいそうなほどスピードがない。(つづく)
オリンピックの本番で世界選手権のタイトルを取った荒川静香と、3位が2度の村主章枝は「終わった選手」として片付けられて、今やアイドルの安藤美姫も評価はされないまま、終わるんじゃないかと思う。
昨シーズン、荒川静香が世界チャンピオンになったのをはじめ、主なタイトルは日本選手が独占した。関係者はトリノのメーンポールに日の丸を3本揚げるんだと意気込んだ。でも、うまくはいかないんじゃないかな?
本来なら、世界チャンピオンの風格で、フィギュアの世界をリードしないといけなかった荒川は、靴が壊れたりとかトラブルが続いて調子が上がらない。
クールといえば、ほめ言葉だけれど、とにかく表情がない演技だから、ジャンプにちょっと失敗すると、ほかの要素も減点が大きい。ショートプログラムのインプレッション(印象)だけで、スルツカヤだとか、クワンに0・5近く差をつけられている。要するに、世界チャンピオンになっても「顔」では点がつかないってことだ。
このところメディアの露出が激しい安藤美姫も、ちょっと強化の方向を間違ったって感じ。去年の世界選手権で、ほかの人には出来ないジャンプで上位に食い込んだ。今年は、表現力を身に着けます、ってことで頑張ったけれど、どうしたって見劣りがする。スパイラルはエッジを持って、よっこらしょっていう感じだし、スピンも止まってしまいそうなほどスピードがない。(つづく)
2005年02月14日
吉野家復活を笑う
テレビのどこを回しても、吉野家の牛丼復活のニュースばかりだった。大阪では早く食べたいと焦った人が、車ごと店に突っ込んだという。しかも、その様子をNHKまでわざわざヘリコプターを飛ばして中継する騒ぎ。いったい、何だろう。そんなに牛丼って食べたいもの?そんなに私たちって牛丼を愛していたっけ?
有楽町駅前の店で、一番乗りをしたのは女子大生だそうだ。「懐かしい。復活を心待ちにしていました」というコメントが載っていた。週に2回は吉野家に通っていたという。
花も盛りの若い女性が、牛丼にここまで心を寄せるのって、おばさん的にはものすごく違和感がある。あなたの食生活って、いったいどうしちゃったの?
私が学生だった20年前、牛丼は男の食べ物だった。一方、バブルの恩恵を受けて、ちやほやされていた女の子は、牛丼屋なんて、見向きもしなかった。一人でカウンターに座り牛丼をかき込むなんて「しんじられな〜い」という感覚だった。
ただ、男の子たちがチェーン店の味を比べて「俺は吉野家だ」「いや、松屋だ」と激論をしているのを見て、どんなものか、ということには興味があった。私も「牛丼って食べてみたいんですう」とか言って、サークルの先輩に連れて行ってもらったのが吉野家の初体験。「べつにい〜。普通にすき焼き食べたほうがいいじゃん」と思ったものだ。なつかしい。
だけど、当時、あんまりお金がなかった男の子たちにとって牛丼はごちそうだった。で、女の子にとっては、あってもなくてもかまわないもの。今の空気とはぜんぜん違う。この騒ぎは「国民食」扱いだ。一体、いつからこんなに格上げされたのだろう。
休日出勤の会社では、みんなから300円ずつを集めた遠征隊が牛丼を買いこんできた。「牛丼なんて、家でつくればいいじゃない」と言ったら「いやあ、280円っていう値段がよかったんだよ」としみじみとつぶやくおじさんがいた。一人暮らしのお兄さんは「280円じゃ、家で牛丼つくれないでしょ」。まあ、そうだけど…。
吉野家が「並盛り」牛丼の値段を400円から280円にさげたのは5年前のことだという。その何年か前、マクドナルドが100円を切るハンバーガーを出した。これをきっかけに外食産業には低価格競争が起きた。しばらくは、値段を下げないと言っていた吉野家も、結局は価格を守れなかった。
280円で、どんぶりめし。それもアメリカ産だけど、ぺらぺらの三枚肉だけど、牛肉が載っている。おなかも満足。不景気でお小遣いが減っていたお父さんたちが、まず吉野家に走った。しかも大盛りや特盛りは我慢して。100円玉3つでお昼をすませたのだ。確かに、コンビニで弁当を買うより安かった。おにぎりを3つ買うより満足感もあった。
もうひとつ、つゆだくブームというのもあった。甘いおつゆでご飯をべちゃべちゃにする若者がテレビで随分とりあげられた。しかも、なぜか、これがあたかも「おしゃれ」みたいに。そして女の子も牛丼屋に増えた。制服の女子高生が吉野家にたむろしていても、不思議ではなくなった。
「つゆだくでね」と言えば、牛丼が流行の食べ物になった。有楽町で列の最初に並んだ女子大生も、きっと、この、つゆだく世代なんだろう。
結局、280円という値段が、食堂だった吉野家をファストフードの代表格に押し上げたということか。400円だったら食べに行かなくてもいい。だけど、280円だったら安いよねヨシギューっていう感覚。
熱烈なファンがいるのは承知している。心を揺さぶられる味なのかもしれない。「甘い」はヒトが本能的においしいと思う味だ。それから脂のうまみもそう。脂肪は最近、ヒトが感知する味覚として認められているほど。去年はイシバシ・レシピで石橋君が自ら吉野家の味を研究して風の牛丼を作っていたっけ。
けど、だけど、牛丼は今だって500円を出せば食べられるところはいっぱいある。国産のとろけるようなバラ肉を味わえるところだってある。間違いなく、そっちのほうがおいしいだろうに…。
吉野家に殺到して、礼賛している人たちの気持ちが、どうしてもわからない。わざわざテークアウトして家で子どもに食べさせるおかあさんって、どうかしていない?自分で作ろうよ。おいしい牛肉でさ。
メディアもメディアだ。吉野家で牛丼が売られなくなって、本当に困っているのは業績が落ち込んだ吉野家だけじゃないの?こんなに宣伝してあげる必要なんて、どこにもない。喜んでいるのは吉野家とそれに日本に牛肉を売りたいアメリカ。
吉野家は「販売停止から1年たって、お客様にサービス」とうたった。「もうけは抜き」いう触れ込みだった。けど、実際は、ずいぶん前から保存してあった150トンの牛肉の在庫処理だ。でも人はオレンジ色の看板に吸い込まれていった。100円玉を3つ握りしめて。
新聞によると、お店の中では、みんな牛丼を食べることに集中していて「静かで不思議な雰囲気」だったそうな。想像したら、笑ってしまった。これって、すでに宗教、ヨシギュー教。おいしくてよかったね。
有楽町駅前の店で、一番乗りをしたのは女子大生だそうだ。「懐かしい。復活を心待ちにしていました」というコメントが載っていた。週に2回は吉野家に通っていたという。
花も盛りの若い女性が、牛丼にここまで心を寄せるのって、おばさん的にはものすごく違和感がある。あなたの食生活って、いったいどうしちゃったの?
私が学生だった20年前、牛丼は男の食べ物だった。一方、バブルの恩恵を受けて、ちやほやされていた女の子は、牛丼屋なんて、見向きもしなかった。一人でカウンターに座り牛丼をかき込むなんて「しんじられな〜い」という感覚だった。
ただ、男の子たちがチェーン店の味を比べて「俺は吉野家だ」「いや、松屋だ」と激論をしているのを見て、どんなものか、ということには興味があった。私も「牛丼って食べてみたいんですう」とか言って、サークルの先輩に連れて行ってもらったのが吉野家の初体験。「べつにい〜。普通にすき焼き食べたほうがいいじゃん」と思ったものだ。なつかしい。
だけど、当時、あんまりお金がなかった男の子たちにとって牛丼はごちそうだった。で、女の子にとっては、あってもなくてもかまわないもの。今の空気とはぜんぜん違う。この騒ぎは「国民食」扱いだ。一体、いつからこんなに格上げされたのだろう。
休日出勤の会社では、みんなから300円ずつを集めた遠征隊が牛丼を買いこんできた。「牛丼なんて、家でつくればいいじゃない」と言ったら「いやあ、280円っていう値段がよかったんだよ」としみじみとつぶやくおじさんがいた。一人暮らしのお兄さんは「280円じゃ、家で牛丼つくれないでしょ」。まあ、そうだけど…。
吉野家が「並盛り」牛丼の値段を400円から280円にさげたのは5年前のことだという。その何年か前、マクドナルドが100円を切るハンバーガーを出した。これをきっかけに外食産業には低価格競争が起きた。しばらくは、値段を下げないと言っていた吉野家も、結局は価格を守れなかった。
280円で、どんぶりめし。それもアメリカ産だけど、ぺらぺらの三枚肉だけど、牛肉が載っている。おなかも満足。不景気でお小遣いが減っていたお父さんたちが、まず吉野家に走った。しかも大盛りや特盛りは我慢して。100円玉3つでお昼をすませたのだ。確かに、コンビニで弁当を買うより安かった。おにぎりを3つ買うより満足感もあった。
もうひとつ、つゆだくブームというのもあった。甘いおつゆでご飯をべちゃべちゃにする若者がテレビで随分とりあげられた。しかも、なぜか、これがあたかも「おしゃれ」みたいに。そして女の子も牛丼屋に増えた。制服の女子高生が吉野家にたむろしていても、不思議ではなくなった。
「つゆだくでね」と言えば、牛丼が流行の食べ物になった。有楽町で列の最初に並んだ女子大生も、きっと、この、つゆだく世代なんだろう。
結局、280円という値段が、食堂だった吉野家をファストフードの代表格に押し上げたということか。400円だったら食べに行かなくてもいい。だけど、280円だったら安いよねヨシギューっていう感覚。
熱烈なファンがいるのは承知している。心を揺さぶられる味なのかもしれない。「甘い」はヒトが本能的においしいと思う味だ。それから脂のうまみもそう。脂肪は最近、ヒトが感知する味覚として認められているほど。去年はイシバシ・レシピで石橋君が自ら吉野家の味を研究して風の牛丼を作っていたっけ。
けど、だけど、牛丼は今だって500円を出せば食べられるところはいっぱいある。国産のとろけるようなバラ肉を味わえるところだってある。間違いなく、そっちのほうがおいしいだろうに…。
吉野家に殺到して、礼賛している人たちの気持ちが、どうしてもわからない。わざわざテークアウトして家で子どもに食べさせるおかあさんって、どうかしていない?自分で作ろうよ。おいしい牛肉でさ。
メディアもメディアだ。吉野家で牛丼が売られなくなって、本当に困っているのは業績が落ち込んだ吉野家だけじゃないの?こんなに宣伝してあげる必要なんて、どこにもない。喜んでいるのは吉野家とそれに日本に牛肉を売りたいアメリカ。
吉野家は「販売停止から1年たって、お客様にサービス」とうたった。「もうけは抜き」いう触れ込みだった。けど、実際は、ずいぶん前から保存してあった150トンの牛肉の在庫処理だ。でも人はオレンジ色の看板に吸い込まれていった。100円玉を3つ握りしめて。
新聞によると、お店の中では、みんな牛丼を食べることに集中していて「静かで不思議な雰囲気」だったそうな。想像したら、笑ってしまった。これって、すでに宗教、ヨシギュー教。おいしくてよかったね。
2005年02月12日
幸福の上湯スープ
龍圓 (田原町/中華料理一般)
休日のお昼に、ここで自家製チャーシューをつまみにビールを飲みます。そして、ねぎラーメン。スープを底まで飲み干して「きょうは休みだなあ」と和むのでした。鶏のうまみがたっぷりのスープと小麦粉の香りのする柔らかい細い麺。誠実な味、というのはこういうことだと感じます。
メニューは多くありません。餃子にシュウマイ、酢豚に八宝菜、きくらげ炒め…。品目を絞り込んでいるから、ひとつひとつに揺るぎがないのだと思います。季節の素材にも、敏感です。冬は牡蠣。自家製オイスターソースはそれだけで一品でした。おいしかったなあ。ちょっこしなめたソースに、ぎゅ〜〜〜っと海のミルクのうまみが詰まっていました。
香港の有名店に気張って出かけて、ふかひれスープを飲んだときに、あれ?この味は覚えていると、感じました。それが、このお店の上湯スープです。普段着で伺う店で、なんて贅沢をしていたんだろうと、感慨を覚えました。
休日のお昼に、ここで自家製チャーシューをつまみにビールを飲みます。そして、ねぎラーメン。スープを底まで飲み干して「きょうは休みだなあ」と和むのでした。鶏のうまみがたっぷりのスープと小麦粉の香りのする柔らかい細い麺。誠実な味、というのはこういうことだと感じます。
メニューは多くありません。餃子にシュウマイ、酢豚に八宝菜、きくらげ炒め…。品目を絞り込んでいるから、ひとつひとつに揺るぎがないのだと思います。季節の素材にも、敏感です。冬は牡蠣。自家製オイスターソースはそれだけで一品でした。おいしかったなあ。ちょっこしなめたソースに、ぎゅ〜〜〜っと海のミルクのうまみが詰まっていました。
香港の有名店に気張って出かけて、ふかひれスープを飲んだときに、あれ?この味は覚えていると、感じました。それが、このお店の上湯スープです。普段着で伺う店で、なんて贅沢をしていたんだろうと、感慨を覚えました。
2004年10月22日
2004年08月21日
バレーボールの失敗
バレーボール。心配していた通りになった。
去年、日本は強豪を次々と破った。オリンピック予選は1番で通過して、メダルだと騒がれた。メグカナというアイドルも出た。どこかのアンケートでも今大会で、一番の注目競技はバレーボールなんだという。
ところが、この結果である。1次リーグで2勝がいいところだと思う。
なぜか。オリンピックは最高の舞台だ。しかし、もうひとつ、お祭りの顔を持っている。こっちの顔が選手にとっては曲者なのだ。
オリンピックといえば、華やかな開会式。しかしバレーの選手が入場行進をしているのを見て、おいおい、大丈夫かい?と思った。試合は翌日の昼に始まるのだ。それなのに、深夜までかかる開会式に出ている場合なのか、と。
セレモニーやアトラクションは観客や視聴者が楽しむもので、数時間後に試合を控える選手にはいい影響を与えない。開会式で「感動しましたあ」なんていっている場合じゃない。体は疲れてしまうし、心は競技とは違うもので満たされてしまう。さあ、頑張ろうと思っても、切り替えるのは難しい。
余計なお世話かもしれない。必死にオリンピック出場を決めたのは選手たちだ。一生に一度の開会式かもしれない。ほかの人に味わえない感情を、やっかむことなどないじゃないか、と思われるかもしれない。
でも、選手たちは一生懸命練習を積んで、たくさんのことを我慢して、やっとの思いでオリンピックにたどり着いた。開会式で、ぽやっとしてしまって、そのまま出番が終わってしまったら、それほど惨めなことはない。
私だったら嫌だ。「オリンピックはすごかったよ。でも、あっという間に負けちゃった」。そんなの、嫌だ。しかし、オリンピック選手のうち、こういうコメントを残して舞台を去っていく選手はとても、多い。メグカナは、その罠につかまってしまったように見える。
もうひとつは、戦略の甘さだろう。バレーボールは少し前まで、サーブ権がなければ点が入らなかった。しかし、今は、違ってコートにボールが落ちれば点が入る。ラリーポイントという9人制バレーのころの制度になっている。
去年の日本は、多彩な攻撃でほかのチームを翻弄した。バックアタックや移動攻撃…。3D攻撃と表現されたこともあった。その攻撃の元になるのはレシーブだ。しっかりしたレシーブが攻めのバリエーションを作り出す。
だが、日本が快進撃を進めていたとき、不安がよぎった。どうしてこんなに簡単に攻撃の形が決まるのか。なぜ、相手チームが淡々と失点していくのか…。
理由はひとつ。相手のサーブが甘い。というか、やさしいところに打っている。
ラリーポイントになって、バレーボールはテニスにいっそう近くなったと思う。テニスはサーブが勝負だ。一発で決められるときもあるし、コースを狙ってラリーの主導権を狙うときもある。
バレーボールも、同じだ。サーブをどう狙うかでひとつひとつのプレーが決まってくる。去年の一連の大会で、外国チームはサーブで攻めてこなかった。日本は自在に攻めたが、結局、丸裸にされてしまった。
日本は、オリンピックの出場権を懸命に取りに行ったわけで、戦術を隠す隠さないのレベルではなかったかもしれない。だが、その後、チームをどう締めるかは指導者の仕事だった。手の内をさらけ出してしまった上に、大舞台の空気に気持ちも緩んだ。
バレーボールだけではない。サッカーの男女も、ソフトボールも開幕前は思いもかけなかったほど苦しんだ。似たようなものではないか、と思う。
去年、日本は強豪を次々と破った。オリンピック予選は1番で通過して、メダルだと騒がれた。メグカナというアイドルも出た。どこかのアンケートでも今大会で、一番の注目競技はバレーボールなんだという。
ところが、この結果である。1次リーグで2勝がいいところだと思う。
なぜか。オリンピックは最高の舞台だ。しかし、もうひとつ、お祭りの顔を持っている。こっちの顔が選手にとっては曲者なのだ。
オリンピックといえば、華やかな開会式。しかしバレーの選手が入場行進をしているのを見て、おいおい、大丈夫かい?と思った。試合は翌日の昼に始まるのだ。それなのに、深夜までかかる開会式に出ている場合なのか、と。
セレモニーやアトラクションは観客や視聴者が楽しむもので、数時間後に試合を控える選手にはいい影響を与えない。開会式で「感動しましたあ」なんていっている場合じゃない。体は疲れてしまうし、心は競技とは違うもので満たされてしまう。さあ、頑張ろうと思っても、切り替えるのは難しい。
余計なお世話かもしれない。必死にオリンピック出場を決めたのは選手たちだ。一生に一度の開会式かもしれない。ほかの人に味わえない感情を、やっかむことなどないじゃないか、と思われるかもしれない。
でも、選手たちは一生懸命練習を積んで、たくさんのことを我慢して、やっとの思いでオリンピックにたどり着いた。開会式で、ぽやっとしてしまって、そのまま出番が終わってしまったら、それほど惨めなことはない。
私だったら嫌だ。「オリンピックはすごかったよ。でも、あっという間に負けちゃった」。そんなの、嫌だ。しかし、オリンピック選手のうち、こういうコメントを残して舞台を去っていく選手はとても、多い。メグカナは、その罠につかまってしまったように見える。
もうひとつは、戦略の甘さだろう。バレーボールは少し前まで、サーブ権がなければ点が入らなかった。しかし、今は、違ってコートにボールが落ちれば点が入る。ラリーポイントという9人制バレーのころの制度になっている。
去年の日本は、多彩な攻撃でほかのチームを翻弄した。バックアタックや移動攻撃…。3D攻撃と表現されたこともあった。その攻撃の元になるのはレシーブだ。しっかりしたレシーブが攻めのバリエーションを作り出す。
だが、日本が快進撃を進めていたとき、不安がよぎった。どうしてこんなに簡単に攻撃の形が決まるのか。なぜ、相手チームが淡々と失点していくのか…。
理由はひとつ。相手のサーブが甘い。というか、やさしいところに打っている。
ラリーポイントになって、バレーボールはテニスにいっそう近くなったと思う。テニスはサーブが勝負だ。一発で決められるときもあるし、コースを狙ってラリーの主導権を狙うときもある。
バレーボールも、同じだ。サーブをどう狙うかでひとつひとつのプレーが決まってくる。去年の一連の大会で、外国チームはサーブで攻めてこなかった。日本は自在に攻めたが、結局、丸裸にされてしまった。
日本は、オリンピックの出場権を懸命に取りに行ったわけで、戦術を隠す隠さないのレベルではなかったかもしれない。だが、その後、チームをどう締めるかは指導者の仕事だった。手の内をさらけ出してしまった上に、大舞台の空気に気持ちも緩んだ。
バレーボールだけではない。サッカーの男女も、ソフトボールも開幕前は思いもかけなかったほど苦しんだ。似たようなものではないか、と思う。