20176月8日

 

同志社大学大学院メディア学専攻教授(地位確認係争中)

      浅野健一
     
     電子メール asanokenichi@nifty.com

 

◎警察担当記者の労働時間調査へ協力のお願い

 

私は22年間、共同通信(千葉支局・社会部記者、ジャカルタ支局長など歴任)に勤めた後、1994年から同志社大学の大学院と学部でジャーナリズム論を教えている浅野健一と申します。20143月末の「定年延長」をめぐり、大阪高裁において学校法人同志社と教授職の地位の確認を求めて裁判中です。専門は人権と犯罪報道、報道倫理です。経歴などは末尾をご覧ください。

 

私は日本マス・コミュニケーション学会(旧称・日本新聞学会)の会員ですが、618日に新潟大学で開催される日本マス・コミュニケーション学会2017年度総会および春季研究発表会で、「警察取材記者の過重労働と市民の知る権利」をテーマにした「ワークショップ12」で問題提起を行います。司会は、山際永三さん(日本映画監督協会著作権副委員長、人権と報道・連絡会事務局長)です。

 

ワークショップは618日(日)午後2時から5時、新潟大学五十嵐キャンパス・総合教育研究棟B457教室で行われます。ワークショップの概要は末尾をご覧ください。

 

http://www.jmscom.org/event/annual_meeting/17spring/17spring_program.pdf

 

大変急なお願いですが、このワークショップのために、報道機関で警察取材を担当する記者(過去に警察取材をした方を含む)のみなさんに、アンケートにご協力いただきたいと考え、このような書面をお送りしております。

 

みなさんの方から、お知り合いの記者の方々に、転送していただくと助かります。

 

 以下の質問に回答ください。

 

1.          担当している警察組織と所属する記者クラブ名を教えてください。(過去に警察担当をした方は、担当した時のことを回答ください。以下同)

 

2.          警察取材を行った期間を年月で教えてください。

 

3.          朝何時ごろから、夜何時ごろまで勤務していますか。

 

4.          1日8時間労働(週5日勤務)として、超過勤務時間(残業)は月に約何時間になりますか。

 

5.          残業代は適切に支払われていますか。

 

6.          月に休日は何日ありますか。

 

7.          警察・検察など捜査機関の公務員の自宅への夜回りは定期的にしていますか。している場合は、何時から何時ごろまで行っていますか。

 

8.          警察担当記者の労働時間について自由にお書きください。

 

 

質問は以上です。

 

お忙しいところ大変恐縮ではございますが、質問に対する回答は、添付の回答用紙ファイルに記入の上、617日(土)までに、電子メールアドレスまたはFAXでお送りください。本メールに返信する形で、回答欄に記入していただいても結構です。

 

回答いただいたものに関しては、調査研究の資料としてのみ引用させていただきます。どうぞよろしくお願い致します。

 

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【回等用紙】

 

回答者

社名と氏名などをお書きください。学会での調査結果を発表する際は、お名前は匿名とし、社名も新聞、通信社、放送局に分け、「A新聞」などとアルファベット表記します。

 

A 氏名

 

B 社名

 

C 入社年月

 

D 入社以降の所属、担当などの主な履歴

 

 

回答

1.       担当している警察組織と所属する記者クラブ名を教えてください。(過去に警察担当をした方は、担当した時のことを回答ください。以下同)

 

 

2.       警察取材に従事している期間(何年何月から何年何月まで)を教えてください。

 

 

3.       朝何時ごろから、夜何時ごろまで勤務していますか。

 

 

4.       1日8時間労働(週5日勤務)として、超過勤務時間(残業)は月に約何時間になりますか。

 

 

5.       残業代は適切に支払われていますか。

 

 

6.       月に休日は何日ありますか。

 

 

7.       警察・検察など捜査機関の公務員の自宅への夜回りは定期的にしていますか。している場合は、何時から何時ごろまで行っていますか。

 

8.       警察担当記者の労働時間について、思うところを自由にお書きください。

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以下は、「ワークショップ12」の提案要旨です。

 

【 東京の三田労働基準監督署は20169月、電通が女性新入社員を過重労働させたと認め、労災認定した。女性は154月電通に入社、12月に自死していた。厚生労働省東京労働局は1611月、電通の本社と3支社に強制捜査を行い、石井直社長は1228日、同社と当時の上司が労働基準法違反容疑で書類送検されたことを受け、引責辞任すると表明した。

 

電通よりも過重労働職場がある。新聞・通信社と放送局の記者が勤務している全国各地の警察記者クラブだ。ある警視庁担当記者は「七社会など警視庁に三つある記者クラブのほとんどの記者の残業は月250時間を超えている」と述べ、地方の県警担当者たちも200時間以上の過勤があると言っている。

 

今年元日の日本新聞労働組合連合の機関紙「新聞労連」は一面のリードに「電通社員自殺事件は対岸の火事ではありません」「『夜討ち朝駆け』など不規則かつ長時間勤務になりがちな政治、経済、社会部といった、かつて花形とされた職場への異動を嫌う傾向が強まっています。そもそも、長時間労働のイメージが強い新聞業界を目指す学生が急激に減っている」と書いている。

 

報道現場においては、いまだに、守秘義務があり、口の堅い警察官・検察官への「夜討ち朝駆け」取材で情報を掴み取ることで、記者は鍛えられるのだという、何の根拠もない神話(電通の「鬼十訓」と同根)が消えていない。

 

厚労省は報道機関の異常な長時間勤務を黙認してきた。しかし、電通事件の労災認定が明るみに出てから1カ月後、初めて新聞社の過勤に切り込んだ。中央労働基準監督署が16126日、朝日新聞東京本社が財務部門の20代の男性社員に規定を超える長時間労働をさせたとして、是正勧告を行ったのだ。一方、「裁量労働制を導入する編集部門の管理職は、部下の記者が申告した34月の出退勤時間の記録を、本人に確認せず短く書き換えた」(1210日の東京新聞)という事実も明るみに出た。「週刊ポスト」17116日号によると、朝日新聞労組が実施した組合員アンケートでの回答には、「電通以上のブラック企業だ」「電通問題を胸を張って追及できなくなった」という声があった。

 

警察担当記者などの過重労働が問題になる日も近いと思われる。

 

提案者が通信社記者だった1984年に『犯罪報道の犯罪』を出版したのは、警察の逮捕を実名掲載の根拠とする実名=犯人視報道が、被疑者・被害者の人権を侵害するだけでなく、当局から情報を取ることに集中する取材が記者たちを疲弊させていると思ったからだ。あれから34年になるが、「1年生記者に人権はないと言われて返す言葉が見つからなかった」「睡眠時間はせいぜい4時間程度で本を読む時間もない。このままでは考える力もなくなりそうだ」などという記者からのクライシス・コールが今も絶えない。  元ゼミ生は数年前、1年半でNHK記者をやめた。広報担当の警官から「下着を贈りたいのでスリーサイズを教えてくれ」と言われ、上司に相談したら「適当にサイズを書いて、届いたら捨てればいいのだ」と“指導”された。警察取材に悩み、心身症になって悩んだ末の決断だった。全国紙の記者になった元学生の何人かが精神疾患に罹った。

 

現場にいる記者たちは、自分の労働条件・人権が侵害されていることに麻痺しているため、取材相手など他人の人権を考える余裕をなくしているのではないか。

 

提案者は18年前に労基署に事件記者を救うよう通報したことがある。1999年7月に和歌山市で起きた「毒物カレー事件」で、事件の発生から「民家の住人」が被疑者として「別件」逮捕され殺人罪で起訴されるまでの5カ月間の取材合戦が展開された。提案者は民家前に張り付いていた取材記者に対し、労働実態の聞き取り・書面調査を実施。同年94日、和歌山労働基準監督署長に対して、次のような告発文書(調査報告書を添付)を送った。

 

〈多くの記者が超長時間労働を強制されており、午前7時すぎに起きて、翌日の午前2時すぎまで仕事をするというのは、極めて異常であり、メディア労働者の健康を破壊している。また多くの記者が7月25日から1日も休日をとっていない。抜き打ちの立ち入り検査を行うべきではないでか〉

 

この通報に対し、「取材・報道の自由への侵害だ」と一部メディア幹部は反発したが、現場の記者たちの中には、「労基署にもっと強く要請してほしい」という声もあった。

 

しかし、厚生労働省と同労基署は「記者の多くは裁量労働制で勤務している。本人たちは納得して仕事をしており、労働組合も特に問題にしていない」という姿勢で全く動かなかった。

 

新聞労連の「新聞人の良心宣言」(1997年)の「1、権力・圧力からの独立」で「自らの良心に反する取材・報道の指示を受けた場合、拒否する権利がある」と規定している。  

 

記者たちが、市民の知る権利に奉仕する人間らしい国際標準の仕事をするために、記者の労働時間をどう自主規制すべきかを考えたい。 】

 

201768日現在のプロフィール  浅野健一(あさの・けんいち)      

1948年、香川県高松市生まれ。6667年AFS国際奨学生として米ミズーリ州スプリングフィールド市立高校へ留学、卒業。72年、慶應義塾大学経済学部卒業、社団法人共同通信社入社。編集局社会部、千葉支局、ラジオ・テレビ局企画部、編集局外信部を経て、89年から92年までジャカルタ支局長。帰国後、外信部デスク。7778年、共同通信労組関東支部委員長。943月末、共同通信退社。 944月から同志社大学社会学部メディア学科教授、同大学大学院社会学研究科メディア学専攻博士課程教授(京都地裁民事6部で地位確認係争中)。20024月から20036月まで、英ウエストミンスター大学客員研究員。9612月から9712月まで、同志社大学教職員組合委員長。 993月から10月まで、厚生省公衆衛生審議会疾病部会臓器移植専門委員会委員。 共同通信社社友会準会員。人権と報道・連絡会(連絡先:〒1688691 東京杉並南郵便局私書箱23号)世話人。

単著 『犯罪報道の犯罪』(学陽書房、講談社文庫、新風舎文庫)、『犯罪報道は変えられる』(日本評論社、『新・犯罪報道の犯罪』と改題して講談社文庫に)、『犯罪報道と警察』(三一新書)、『過激派報道の犯罪』(三一新書)、『客観報道・隠されるニュースソース』(筑摩書房、『マスコミ報道の犯罪』と改題し講談社文庫に)、『出国命令 インドネシア取材1200日』(日本評論社、『日本大使館の犯罪』と改題し講談社文庫)、『日本は世界の敵になる ODAの犯罪』(三一書房)、『メディア・ファシズムの時代』(明石書店)、『「犯罪報道」の再犯 さらば共同通信社』(第三書館)、『オウム「破防法」とマスメディア』(第三書館)、『犯罪報道とメディアの良心 匿名報道と揺れる実名報道』(第三書館)、『天皇の記者たち 大新聞のアジア侵略』(スリーエーネットワーク)、『メディア・リンチ』(潮出版)『脳死移植報道の迷走』(創出版)、『メディア規制に対抗できるぞ!報道評議会』(現代人文社)、『「報道加害」の現場を歩く』(社会評論社)、『新版 犯罪報道の犯罪』(新風舎文庫)『戦争報道の犯罪 大本営発表化するメディア』(社会評論社)、『メディア「凶乱」(フレンジー)──報道加害と冤罪の構造を撃つ』(社会評論社)『裁判員と「犯罪報道の犯罪」』(昭和堂)『記者クラブ解体新書』(現代人文社)、『安倍政権・言論弾圧の犯罪』(社会評論社)。  

編著 『スパイ防止法がやってきた』(社会評論社)、『天皇とマスコミ報道』(三一新書)、『カンボジア派兵』(労働大学)、『激論・新聞に未来はあるのか ジャーナリストを志望する学生に送る』(現代人文社ブックレット)、『ナヌムの家を訪ねて 日本軍慰安婦から学んだ戦争責任』(浅野健一ゼミ編、現代人文社)、『イラク日本人拘束事件と「自己責任論」報道』(浅野健一ゼミ編、現代人文社)。

共編著 『無責任なマスメディア』(山口正紀氏との共編、現代人文社)。

共著に『ここにも差別が』(解放出版社)、『死刑囚からあなたへ』(インパクト出版会)、『アジアの人びとを知る本1・環境破壊とたたかう人びと』(大月書店)、『メディア学の現在』(世界思想社)、『検証・オウム報道』(現代人文社)、『匿名報道』(山口正紀氏との共著、学陽書房)、『激論 世紀末ニッポン』(鈴木邦男氏との共著、三一新書)、『松本サリン事件報道の罪と罰』(河野義行氏との共著、第三文明社、講談社文庫)、『大学とアジア太平洋戦争』(白井厚氏編、日本経済評論社)、『オウム破防法事件の記録』(オウム破防法弁護団編著、社会思想社)、『英雄から爆弾犯にされて』(三一書房)、『新聞記者をやめたくなったときの本』〈北村肇編、現代人文社)、『プライバシーと出版・報道の自由』〈青弓社編集部編、青弓社)、「週刊金曜日」別冊ブックレット『金曜芸能 報道される側の論理』(金曜日)、『検証・「拉致帰国者」マスコミ報道』(人権と報道・連絡会編、社会評論社)、『抗う勇気 ノーム・チョムスキー+浅野健一 対談』(現代人文社)、『対論・日本のマスメディアと私たち』(野田正彰氏との共著、晃洋書房)、『「ごめん」で済むなら警察はいらない』(柳原浩氏との共著、桂書房)、『冤罪はいつまで続くのか』(矢澤昇治氏との共著、花伝社)、『憲法から見た実名犯罪報道』(飯島滋明編、現代人文社)、『20人の識者からみた「小沢事件の真実」(日本文芸社)、『いいがかり 原発「吉田調書」記事取り消し事件と朝日新聞の迷走』(編集代表・鎌田慧ら、七つ森書館)、『冤罪とジャーナリズムの危機 浅野健一ゼミin西宮』(鹿砦社)などがある。

オ・ヨンホ著『オーマイニュースの挑戦』(太田出版)、斉間満著『匿名報道の記録 あるローカル新聞社の試み』(創風社出版)に解説を書いている。監修ビデオに『ドキュメント 人権と報道の旅』(製作・オーパス、発行・現代人文社)がある。資格;1968年、運輸相より通訳案内業(英語)免許取得 

ネット情報 ◇浅野ゼミHP http://www1.doshisha.ac.jp/~yowada/kasano/index.html 

◇人権と報道・連絡会 http://www.jca.apc.org/~jimporen/         ()