◎人権と報道・連絡会の活動再開を目指す―『犯罪報道の犯罪』40年シンポで議論
 たんぽぽ舎のメールマガジン(2024年10月12日配信)<【TMM:No5097】地震と原発事故情報−5つの情報をお知らせします 転載・転送歓迎>に、私の連載「メディア改革」第162回が掲載されました。
 見出しは4本。
・人権と報道・連絡会の活動再開を目指す
・『犯罪報道の犯罪』40年シンポに60人参加
・劣化する報道現場の改革で活発な議論
・『生涯一記者 権力監視のジャーナリズム提言』刊行

たんぽぽ舎のHPにも載っています。
https://yamada-t.hatenablog.com/entry/2024/10/12/200104

この記事で触れた新刊書の広告が東京新聞(10月7日)に続いて、10月11日の朝日新聞一面下に掲載されました。
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 以下、本文の全文です。
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 9月23日午後、東京・文京区民センターで開いた<『犯罪報道の犯罪』(学陽書房、1984年9月)出版40年記念シンポジウム>は60人の参加で開催された。二次会も25人が参加して、大いに盛り上がり、「一日、面白かった」という感想が多く寄せられた。

 シンポを後援してくれたたんぽぽ舎、開会挨拶、閉会時の問題提起をしてくれた柳田真共同代表に心より感謝したい。「安倍型政治が12年続く中、ジャーナリズムが崩壊状態にある今、犯罪報道の改革、キシャクラブ制度廃止を目指す歴史的な日にしたい」と思っていた私はメディア改革に希望の光を見た。

シンポは9年ぶりの単行本『生涯一記者 権力監視のジャーナリズム提言』の刊行(2024年9月20日、社会評論社)の記念も兼ねて開催された。私の約40分のAI音声による基調講演、岡口基一伊藤塾専任講師(元仙台高裁判事)と山下幸夫弁護士(東京弁護士会)の記念講演がそれぞれ1時間あった。

 岡口氏は講演で、「年一回どこの裁判所でも記者クラブとの間で懇親会を持っている。記者クラブの記者たちは、ジャーナリズム教育を受けてない。司法の本質的役割を分かっていない、会社が教育していない、そもそもジャーナリズム能力がない。メディア企業は大企業だから高給だが、単に、判決の事実を報道するだけ。それならAIが記者をできるだろう」と語った。

 その後、リレー・スピーチがあった。サプライズで村西とおる監督が最初に登壇し、私の「週刊文春」報道被害(2005年)を中心に話した。村西氏は、大阪ビル放火事件で焼かれたクリニックの医療問題の取材で知り合い、村西氏が編集した『ありがとう、松ちゃん』(KKベストセラーズ)に私が寄稿している。

 その後、柳田氏、宮腰直子弁護士、藤井正希群馬大学准教授、竹内浩史・津地裁裁判官、ジャーナリストの寺澤有、三宅勝久両氏、寄川条路・元明治学院大学教授、吉川洋・元千葉県議、大阪正明さん支援会の河村剛氏、活動家の田中正道氏らがスピーチした。最後に中川五郎氏の友情ライブ公演が約1時間あった。

 中川氏は安倍派・山本太一群馬県知事による今年初めの朝鮮人犠牲者追悼碑の撤去と、能登半島地震についての政府と県の無責任な対応を取りあげた新曲「ほうちこっか」を歌ってくれた。

 シンポで配布したレジュメ、メッセージ集(17人)などはブログ「浅野健一のメディア批評」に掲載している。
http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi/archives/36859606.html
http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi/archives/36836626.html
http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi/archives/36859585.html

 ちきゅう座のサイトの「評論紹介意見」欄にも掲載されている。
http://chikyuza.net/archives/137331

 シンポの動画はUPLAN(三輪佑児代表)にアップされた。ちきゅう座の村尾望・運営委員が録画してくれた。
[ 20240923【前半】浅野健一『犯罪報道の犯罪』出版40年シンポジウム「人権と報道の今」 
https://www.youtube.com/watch?v=SMA3E_ojqeA 

 シンポでは、人報連の活動休止状態についても議論された。山下弁護士は講演で、「高知大学生が<犯罪報道の現在地―実務の視点から実名犯罪報道の今後を考える>と題した卒論で『犯罪報道の犯罪』について触れている。若い世代にも問題意識を持つ人がいるとわかる」と指摘。

 「人権と報道・連絡会が40年声を挙げてきたが、事務局スタッフの高齢化もあり、残念ながら活動が現在少し止まっている。やはりもう一度この運動を若い人たちに引き継いで、再開したい」

 柳田氏は「人報連は長く、スペースたんぽぽで定例会を開いていたが、ここ数年開かれていない。スタッフが高齢化し活動が止まっているのは残念だ。せっかく今日のような良い会合が開催され、多くの参加者が関心を持っていると思うので、人報連が再建し、活動を再開されることを願う」と述べた。

 前述した『生涯一記者』(3日から全国の書店で販売中)の広告が東京新聞、朝日新聞などに掲載された。
https://www.shahyo.com/?p=13810#more-13810

 9年ぶりの単行本だ。人民を敵に回す犯罪報道の実名報道主義(警察・検察のキシャクラブ限定の“広報”の垂れ流し)とキシャクラブ制度の廃止で、日本の衰退、劣化する企業メディアの民主化を提言している。近くの図書館に、この本を所蔵するよう求めてください。
 ネットでも販売中だ。
生涯一記者 権力監視のジャーナリズム提言 [ 浅野健一 ]
生涯一記者 権力監視のジャーナリズム提言 [ 浅野健一 ]

 再審・袴田事件で10月9日袴田巌さんの無罪が確定した。一部の新聞は静岡地裁の再審無罪以降、捜査段階の袴田さんに対する人権侵害報道について謝罪表明記事を載せた。しかし、その日の新聞には、38年前と同じように、警察がキシャクラブで広報を垂れ流す実名犯人視報道の記事が載っている。

一方、「紙の爆弾」11月号に書いたが、沖縄の15歳の少女が米空軍兵長に強かんされながら、兵長は公判開始後に保釈され、いま自由の身にあることに怒らないメディア。メディアの大改革が必要だ。人報連は来年7月、発足40年を迎える。人報連の活動の本格的な再開に向け動き出したい。
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