いまちょうどNHKFMのサウンド・ミュージアム「佐野元春」を聴き終えたのだけれど、佐野元春さんのデビューから25周年を貫くあたたかな思想がよく伝わってきた、とても贅沢(ぜいたく)な番組だった。僕が「思想」なんて決めつけても、それは、寡黙(かもく)な佐野さんが時折垣間(かいま)見せる表情とか短いコメント、そして、なんといってもそのあとセルフセレクトされた音楽が語りかけてくる、何ものか……、としか言いようがないのだけれど。
 約2時間45分、思い切り楽しませてもらいました。

 例えば、佐野さんは、ティーンネイジャー(10代)について、こんなことを語っていた(録音していないので細かな部分では違うかもしれませんが)。
「ティーンネイジャー、……その時期というのは、本当に不思議な季節で、正なるものと邪悪なものを一瞬のうちに見抜いてしまう、そんな特別な力を持っている季節なんだよ」
 かかった音楽は、「ガラスのジェネレーション」。

 例えば、希望という言葉については、こんな風に表現していた。
「欲望という言葉は、このキャピタリズム(資本主義)の社会では、とても個人的な、あれもほしいこれもほしいともがかなければすぐに落ちてしまうような、そんな響きがあるけれど、希望という言葉は少し違って、共同というのかな、みんなで追い求めていくというような、そんなニュアンスがあるよね」
 かかった音楽は、ズバリ「希望」。

 番組の最後に流れた「太陽」という曲の、歌詞を注意深く聴きながらぼんやりしていると、まぶたの後ろから自然とあたたかいものが溢(あふ)れ出してきた。すでに誰かが指摘していることかもしれないけれど、佐野さんって、もしかしたら、日本のジョン・レノンじゃないかな? 聴きながら、ふとそんなことを思った。
 
 だって、「I LOVE YOU」の発音なんて、そっくりじゃない?