2009年05月26日

Vinitaly(ヴィニタリー) 2009レポート 

イタリアソムリエ協会(AIS)認定ソムリエ、川合里奈さんによる、
年に一回のイタリアワインの祭典、イタリアはベローナの「ヴィニタリー」のレポートです。809f5f74.jpg







〜北イタリア・ベローナ市で毎年開催されるワイン国際見本市〜

<データ>                                 
 
Vinitalyヴィニタリー運営公式HPより http://www.vinitaly.it

会場;VERONAFIERE ヴェローナフィエーレ (住所Viale del Lavoro n.8 -37135 Verona

開催期間;200942日(木) - 6日(月) 9:30-18:30 計5日間、今年は43回目。(来年は201048日〜12日に開催予定)

会場総面積 89.630 mq

入場料:40ユーロ/1日(インターネットからの申込みは35ユーロ)、5日間有効チケット:80ユーロ(インターネットからの申込みは70ユーロ)

出展者数;約4,220

来場者数;約157,500 (海外より約43,600人)、ジャーナリスト約2,100人、約30カ国から約4,300人の業界関係者


Vinitaly3まずは突撃!広大な敷地内に、各州が独自コンセプトのもと12個のパビリオン

Vinitaly
はワイン見本市の中でも世界最大規模です。野外オペラで有名な北イタリアの都市、ヴェローナ市で毎年5日間開催されます。会場はヴェローナ駅から無料送迎バスで10分程の距離にあります。毎朝、バス乗車争奪戦を交わし、会場入り口での大混雑をくぐりぬけると漸く、色とりどりな外壁のパビリオンが出迎えてくれます。エミリアロマーニャ州のパビリオンの外壁は白を基調に可憐な草花が描かれ、室内は豪華な生花のフラワーアレンジメントで、空間デザインの質の高さを感じます。カンパーニャ州のパビリオンでは、天井から大きな木がいくつも生え、大地がひっくり返ったようなインパクトのある空間。プーリア州やシチリア州のパビリオンは、赤と黒を基調にしたスタイリッシュなデザインで、南イタリアに連想しがちな「太陽と自然豊かな大地」という、ほのぼのとしたものではなく、「斬新なモード・イタリア」という印象を与えていました。

さすがデザインの国イタリアらしい空間コーディネートやディスプレイ方法は、どれも質が高く、日本の商業見本市より見応えがあるので、インテリアや装飾に興味がある方やそれらの仕事をされている方にも、きっと楽しんでいただけることでしょう。


Vinitaly2
ワインバーのような空間で商談&試飲

各種団体や協会、いくつかの生産者を取りまとめたコンソーシアムによる出展ブースには、快適に試飲を行うために、ワインバーさながらの空間があります。州ごとに召集されたAIS(イタリアソムリエ協会)ソムリエが正装でサービスをしてくれる出展ブースもあります。


来場者ウォッチング


平日は輸入企業関係者、バイヤー、ソムリエ達など業界関係者が、精力的にブースを巡って商談していましたが、想像以上に日本人は少なく、むしろ中国人、韓国人が多かったです。これは日本へのワイン輸出量の成長率が鈍る反面、中国や韓国へ向けて輸出量が近年著しく増えているからでしょう。今やイタリア人にとっては、日本よりも中国、韓国市場への拡大が印象強いようで、私もよく中国人に間違えられました。

土・日曜日は、一般愛飲家の数が業界関係者数を上回り、カジュアルな服装で闊歩するグループを多く見かけました。業界関係者以外も入場チケットを購入すれば自由に利用できるこの見本市は、日頃から試してみたかった高価なワインや、限定生産の希少ワインにも巡り合える絶好の機会ですので、大変得だと思います。しかも開館から閉館までの約9時間、誰にも邪魔されずにワインが飲み放題ですから、ワイン愛飲家にとっては1年に1度、夢のようなお祭りでしょう!


Vinitalyが世界を巡ります!

近年イタリア国内外で、イタリアワインの消費と輸出量が落ち込み、「イタリアワイン経済の危機」という表現がどの媒体でも目につきましたが、新たな市場開拓として、中国、韓国、インド、シンガポール、タイなどのアジア圏や、メキシコ、ブラジル、ペルー、スカンジナビア半島の北欧各国、ロシアなどが考えられ、これらの国でのワイン消費量増加に期待が集まっています。今年2009年は、中国、インド、ロシアでもVinitalyが開催されます。その他、日本、アメリカ、キューバ、ブラジルなどにもVinitalyの一部が巡回します。

ワイン消費動向とトレンド

イタリアワインの品質は全体的に向上していますが、若者達のワイン離れも消費減少の理由のひとつです。Webを利用してワイナリーの最新情報を若者向けに積極的に発信し、ブランド力を確立させるためにプロモーション活動に力を注ぐ生産者も増えてきました。それから、万人が日常で気軽に飲むことができるような、軽やかな味わいのワインが増えています。これは「ワイン=渋くて重い。」というイメージを持つ消費者にとって、ワインに再注目するきっかけにもなっています。

また、手で開けるスクリューキャップの使用や、ハーフサイズよりもさらに小さいミニボトルに詰められたワインの発売など、手軽さを考慮した製品開発も盛んです。これにより、ワイン以外のアルコール飲料を消費していた若者達が、ワイン愛飲家となり、彼らの柔軟な発想によってイタリア料理以外にも、世界各国の料理とワインを合わせる楽しみ方がブームになっているようです。私も会期中に、「寿司にあうワイン」「韓国料理にあう赤ワイン」などの特集記事を数々目にしました!

 

☆量より質が大事!…イタリア国内のワイン売上数は減少していますが(前年比-2.4%)、量より質を求める傾向が目立ってきています。統計では、イタリア人が日常用として購入するワインは主に5ユーロ以下でしたが、大型スーパーマーケットで5ユーロ以下の低価格ワインを数本買うよりも、エノテカなどワイン専門店で情報収集をしながら、5ユーロ以上のワインを1本買う。という傾向がみられるそうです。

 

☆スクリューキャップについて… 
スクリューキャップは、オーストラリアやカナダで肯定的に受け入れられることが多いため、これらの国に輸出する生産者は積極的に使用しているようです。コルクの劣化を回避する利点がありますが、上記以外の国では「スクリューキャップ=安価なワイン」というイメージが持たれがちなので、使用するかどうかを生産者たちは慎重に検討しているとのこと。コルクが与えるイメージ、つまりワインの重厚感を押し出すか、それとも衛生面を利点としたスクリューキャップを採用するかの決断は、ブランドイメージと生産コストの兼ね合いが複雑に絡み合っているのでしょう。


 

☆早期熟成タイプ、土着品種&外来品種のブレンド… 
近年のトレンドは、軽い味わいが特徴の早期熟成タイプのワイン。その土地で古くから生息する土着品種で醸造するワインも注目されています。また、フランスやドイツなどの外来品種とイタリア土着品種の両者の特性を引き出すためにブレンドされたワインの研究も盛んです。

偶然にも私が訪れたブースでは、ボルドー大学・醸造学部の教授で、ソーテルヌ2級として有名なCh.Doisy DaeneのオーナーでもあるDenis Dubourdieu(ドゥニ・ドュブルデュー)氏が、イタリアで栽培されたフランス外来品種(カベルネ・ソーヴィニヨン種、メルロー種、ムールヴェドル種、シラー種)をブレンドしてセパージュ(ブレンド比率)を決定している場面に遭遇しました。氏は“白ワイン醸造の魔術師”として世界的な名声を博し、日本では山梨県の「甲州白ワインプロジェクト」にコンサルタントとして近年携わっています。昨今イタリアの土着品種ワインが見直されていますが、イタリアの大地で栽培した外来品種で醸造するワインのさらなる魅力も引き出そうとする生産者の情熱を垣間見ました。

このようなことが影響しているのか、通常、イタリアワイン法で制定されているDOCGDOCでは、使用するブドウ品種のセパージュ(ブレンド比率)が制限されていますが、メルロー種など外来品種の使用量許容範囲が広げられたワインも出現してきています。「土着品種の味わいを感じるイタリアワインの良さが、ワインのグローバル化によって特徴の差が無く、類似してくるのではないか。」と懸念する声もあり、土着品種と外来品種の共存については賛否両論のようです。

 

☆南イタリアワイン、急成長!… 
ひと
昔前は、「南イタリアのワイン=野暮ったく安価なワイン」というイメージが持たれがちでしたが、今や品質向上が著しく、イタリア国内外での売れ行きが急激に伸びています。昨年より販売量が増えた土着品種は、プーリア州のネグロアマーロ種、プリミディーヴォ種、カンパーニャ州のファランギーナ種、フィアーノ種、アリアニコ種、サルディニア州のヴェルメンティーノ種など。またシチリア州では、ネーロダーボラ種などの土着品種とシラー種などの外来品種でのブレンドがちょっとしたブームだとか。シラー種はカベルネ・ソーヴィニヨン種よりもシチリアの風土によく
合い、ブレンドすることで土着品種の個性を引き出すことが出来るそうです。

北イタリアのワインが保有するような、キリッと引き締まったシャープな酸が程良く継続する白ワインや、タンニンと果実味のバランスが素晴らしい赤ワインに、私も数多く出会いました。イタリア南北の醸造技術の差がなくなり、これらが画一的な味でまとまるのではなく、各州のテロワールを感じさせながら、更なる品質向上の路線を突き進んで欲しいものです。

☆スプマンテ脚光浴びる… 
イタリア国内のワイン販売数量が減少するなか、プロセッコやランブルスコなど発泡性ワインの売上高が堅実に伸びています。前菜からメイン料理、ドルチェにまで合わせ易い、万能なワインとしての手軽さが理由のひとつでもあるようです。ボトルのラベルデザインが洗練されて素敵なものが多く、「野暮ったい感じの外装では消費者が手に取らない。」という見解を多くの生産者が語っていました。



ワイン以外も見どころが! 

オリーブオイル、岩塩、パスタなど農産物加工品や、グラス、ワインオープナーなどのワイン関連グッツ、書籍もこれら専用パビリオンで沢山紹介されています。特にオリーブオイルは年々輸出が好調で、料理人や輸入業者の視察も多いです。また有名シェフや評論家を招いたセミナーやトークショーも多数実施され、テレビ・ラジオの中継時には大勢の観客が集まり、Vinitalyが巨大な情報発信基地として機能していました。また、ワイン生産者や醸造家向けに、醸造関連機器の展示パビリオンも存在します。醸造機器や熟成用大樽などが並ぶ様子は、まるで宇宙基地のようです。発酵用ステンレスタンクは、縦置きタイプだけでなく、地面と水平に設置する横向きタイプも紹介され、技術革新の勢いを感じました。また、ボトル詰めしたワインをさらに熟成させるための貯蔵保管大型ラックには驚く工夫が。指一本で、ボトルの保管向きを水平と垂直の双方自由自在に軽々と変えられる仕組みで、ラックがまるごと大回転するのです。ワイン醸造機器の進化に拍手! 

 



これぞ、人間味あふれるイタリアのワイン国際見本市

この巨大スケールと5日間の長丁場を制覇するポイントは、常に自分の肝臓との対話かもしれません!入場前に、どの州から攻めるか…。対策を立てれば、満足度が上がることでしょう。特に土・日曜日は、全国からワイン愛飲家が殺到し、“祭り”ムードですので、平日の商談モードとは異なる気合が必要です!出展側も、誰にも気前良くワインを注いでくれます。試飲するペースを落すために「少量だけ下さい。(ほろ酔い&千鳥足、他の出展ブースも見たいので)」などと言っても「そんなこと言わずに!Vinitalyで飲まないでどうする?!」と、こちらの防御を簡単にかわし、豪快にワインを注いでくれます。試飲アイテムごとに、各自グラスを用意してくれる点にも、ホスピタリティーの深さを感じます。生産者にとってVinitalyは、日頃大切に育てている我が子のようなワインを、世界中の人々に味わってもらえる檜舞台のようなものかもしれません。こちらが賞賛すると心から喜び、質問をすると丁寧に答えてくれます。世の不況が騒がれていますが、「業界を元気にしよう!」という意思で皆が頑張っていると感じました。イタリアワインの長い歴史と何にも代えがたい個性、そしてイタリア人の優れたホスピタリティーを魅力として、更なる醸造技術の向上と計画的な広告宣伝・販売促進活動を実行すれば、今後益々、この国のワインは世界中で愛され続けるのではないでしょうか。Vinitalyは、多角的に物事を見聞きする好機会ですので、是非皆さまも来年は訪れてみてはいかがでしょうか。勿論、ウコン錠剤を忘れずに!

 

 



ascig at 16:39コメント(0)トラックバック(0)イベント  

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