June 30, 2023

【本と映画】私をくいとめて


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今までの綿谷作品とは一味違うように感じた本作。相変わらず自分の世界に閉じこもり気味な主人公ではあるものの、お一人様を満喫しながら、周りのみんながなんだか憎めず、毎週楽しみにしている30分ドラマを観ている感覚に陥った。
2020年の作品だし、何か心境の変化でもあったのかな。表紙センスは相変わらず素敵💓

大瀧詠一さんの曲と水の音の親和性

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本を読んでからアマプラ鑑賞。
映画版では能年玲奈改め、のんちゃんが主演(本名が芸名で商標登録されてたから、事務所と揉めたら使えないなんてかわいそう!昔の加勢大周を思い出す。

親友役では橋本愛さんが出ていて、あまちゃんコンビ!のぞみさん役の臼田麻美さんもいい味出してる。
飛行機のシーンはシュールだけど、音楽が飛行機の怖さを助けてくれるのはわかる。

ただ、やはり綿谷さんの作品はモノローグが多いのでもっとコメディ要素が多めの方が面白い気がした!


私をくいとめて 映画はこちら

June 29, 2023

【本と映画】「ファーストラブ」島本理生/堤幸彦監督

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島本理生さんの静かで沸るような情熱が好きで、以前、ナラタージュを読んでからいくつか読ませてもらっている。

今回は、密かに持っているダークな部分を見せられた感じ。
これは綿矢りささんにも通じる何かなんだよね。
本も文体もプライベートの切り売りな所があるから、読者はそこから作者の考え方や経験や色んなものを嗅ぎ取る。

映画の方では、芳根京子さん、木村佳乃さんの親子の名演技が観れます。そして、クレイジーではない窪塚も。

北川景子さんのイメージはこの話にはそぐわなかったんだけど、子役の子が北川さんそっくりでびっくりしました。

先日、見た怪物のように、怪物だーれだ!に余りにも引っ張られると本質を見失ってしまうように、動機は何?ばかりを考える作品ではなかった。監督はTRICKの堤幸彦さん。完全、シリアス系も録られるんですね!




ネタバレ-----------------------------------------------


一見、もっと大きな事件、例えば父親と関係を持たされている、レイプなどの強烈な性的虐待などを疑ってしまった私はドラマや映画に慣れすぎてしまったみたいで恥ずかしく思った。

この本は、単純な犯人探しや動機探しではなく、

周りから見たら、どんな些細に思えることも、少女を傷つけるには充分で、それは未経験者や強者には想像すること自体が難しく、人それぞれ心の強さは違うし、知らず知らずのうちに負っている傷がある可能性を描いた物語だ。


加害者にしてみたら、大したことないと思いがちなこと、被害者は一生忘れられなかったり、呪縛から逃れられないことがある。


子どもが何かを選択する時、それは自らの選択ではなく、嫌なことから逃げるために仕方なく洗濯している時がある。そして、子どもが何かを抱えている時、それは同時にその親が何かを抱えていることも示唆している。


迦葉と由紀は同志ではあるが、パートナーには向かない、お互いを傷つけあってしまうから、そこは静かな海のように包み込む我聞の存在が2人を救っているんだと思う。
映画の切り取りではわからなかったことを本で深く読めたと思う。






ファーストラブ 映画はこちら " target="_blank" title="">

June 24, 2023

【映画】「怪物」是枝裕和×坂元裕二×坂本龍一


「怪物」是枝裕和監督
    坂元裕二脚本
    坂本龍一音楽 
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レビューを書くのに1週間も経ってしまった。それぐらい心の片隅に刻まれた映画だった。

多角的に物事を捉えると、正義と悪はいとも簡単に入れ替わる。一方向からだけ観ていると、お互い相手が怪物に見える。

坂元裕二さんの脚本は本当にいつも素晴らしい。一つ一つのセリフや細かい設定にハッとさせられることがよくある。いくつものレイヤーになっていて、いろんなヒントや伏線が散りばめられている。わかる人には解るし、響かない人には響かない。そして、クリーニング屋がよく出てくる気がする。是枝監督もだけど問題提起や色んなテーマが盛り込まれていて、メッセージ性の強いものが多い。坂本龍一さんの音楽が相まって今回、相乗効果がトリプル!aquaすごくよかった😭

子役2人の熱演が素晴らしい。2人とも違うタイプの子どもだけど、リアルにいそうだった。
是枝作品に出る子役の子は、いつも演技が素朴で上手。監督が発掘上手なのか、演技指導が優れているのか…(以前、万引き家族で見た男の子、演技がすごい!って思ったけど、約束のネバーランドで見たらそうでもなかったんだよね。。)

ネタバレ✂︎----------------------------

お母さんはおかあさんなりに、先生は先生なりに、子どもたちは子どもたちなりにそれぞれ最善を尽くそうとしているのかもしれないけれど、それを相手に伝える方法を時に間違えたり、1人を思う故に他を蔑ろにする事で誤解が生まれたりしていた。

野呂佳代が出てきたり、生まれ変わりの話などからはじめのうち、
ブラッシュアップライフの続きでもしてるのかと思ったー

怪物、だーれだ!のゲーム。本質をついてた。

星川依里くん、聡明だし、可愛すぎるし色気あるな〜
感性が強すぎて、男子クラスメイトとうまくやっていけないんだな〜日本の伝統芸、出る杭は打たれる。

お母さんやクラスメイトがテレビの女装する芸人をネタにするシーン
人のちょっとしたブラックジョークに傷つく人がいる

ちょっとした嘘で拡がっていく誤解
保利先生がガールズバーに行ってたとかもきっと誤解なんだよね。

いじめ問題について学校が暖簾に腕押し状態だから、何度も学校に押しかけるお母さんはモンスターペアレントを想起させるも、学校の対応もまた酷いもの。
田中裕子扮する校長先生、角田さん扮する教頭の対応…😓
真実を言えない湊のついた嘘が大人を振り回す。先生もはっきりと断らないし、流されてるから、どんどん自体が悪い方向へ。

お母さんも保利先生も男らしくとか、男の子を知らず知らずに押し付けてくる。
多感な時期に友達への感情や体の反応がよくわからなくなる少年たち。

保利先生の趣味である誤字脱字を指摘する小さな正義感。自分の生活に満足できてないのがよくわかる。不倫している芸能人を責める人とやってることは同じ。

保利先生が飴を舐めた理由だけ理解しかねる。確かに、前日に彼女に飴舐めると落ち着くよっていわれて、ねじ込まれてたけど、今じゃないのは一目瞭然。お母さん目線からの誤解を生むためだとしたらやり過ぎ感。

ホルンとトロンボーンのシーンはさながら怪物の鳴き声の様でよかった。校長先生、嘘吐いちゃった。の秘密の共有。

橋の上でチャッカマンを依里くんとも秘密の共有



"銀河鉄道の夜のオマージュ"
がラストシーンに盛り込まれていて、よかった。
でもカムパネルラはジョバンニを連れてってくれたケース

哀しい結末なのか、ハッピーエンドなのかは人それぞれ捉え方によって違う。


June 22, 2023

【映画】「ミッドサマー」ディレクターズカット版


6/21/2023 
夏至の日でリバイバル上映がされる(なんと粋な計らい!)との事で、「Midsommer」DC版を映画館で鑑賞。

通常盤はアマプラ鑑賞だったので、家と映画館とで、音のパンがどちらに振られてるかや聞こえ方、細かな音響の対比などを感じつつ、映画館で観れる喜びに浸りながら、通常盤とどこがどう違うかを感じていた。


ヒグチユウコさんのポスターも最高!もうほんとに公開予定のA24のポスターは全部ヒグチさんに描いて欲しいよー。ヒグチさん大絶賛のオオカミの家も早く見たいよ!8月まで待てない!



激しくネタバレするので、内容を知りたくない方はご覧になってから読んでくださいね!
因みにミッドサマー、通常版のレビューはこちらから読めます。





大きなシーンの追加は3つぐらいだと思うけど、細かなカットや音楽の入り方、一つのシーンの尺などが違ってそれを探しながら楽しめた。

DC版の方が話の筋立てやキャラクター性をしっかり感じることが出来て、クリスチャンとダニーとのすれ違いが通常盤よりもわかりやすくなっている気がした。2人が大きくすれ違う重要な言い合いのシーンがあったことで、2人が周りの力だけで急に引き離された感から、ちゃんと順を追っていて、通常盤で話がJumpしてるように感じたのか解消された。

相変わらずのカルトの怖さを感じる描写もありそうでリアルに怖い。
ペレが言葉巧みに2人をすれ違わそうとするのとかコニーやサイモンの事で村人全員で話を合わせた嘘をついたり、そもそもペレはこうなることがわかってて、彼らを誘ってたんでしょ?最初から仕組まれて連れて行かれたんだね。怖いよ!イングマールに至っては生贄に立候補して最後、炎に包まれるし、村人は命をすぐに差し出せる、それは輪廻転生の教えを信じきっているから。
実世界にも色んな宗教やカルトがあるけど、同性婚や離婚を夫婦別姓を禁じたり、教祖にお金を献金したり、命を捧げたり、
狂ってる人たちもたくさんいる。でも、長い時をかけてマインドコントロールされていく。それを短時間で見せてもらった感じ。

追加されてた夜の湖のシーンはだいぶ印象的だった。子どもが生贄に自ら立候補する。私が個人的に大浦天主堂で殉教の事などを学んで教養を深めた後だったので、色々重なって、前回とは更に異なる感情に。
宗教のために死ねるという人達の気持ちを少し理解できるようになってしまったのか!?
ダニーのひと声で、みんながそれに従って、その子が生贄から逃れた、その流れに違和感。この時から彼女は徐々にメイクイーンへの階段を上っていなんだな〜
ダンスで勝てたのも彼女をその世界へ引き込むための八百長だろうし。

相変わらずのマークの俗世っぷりは初めから際立ってて、むしろ癒し。彼は迎え入れられる白人のはずなのに、素行や性格から、交配すら望まれない笑

崖から落ちるグロいシーンも、最後の燃える家に連れて行かれる死体たちがどうしてもリアルに見えず、人形に見えてしまって私はそこまで恐怖を感じなくて、寧ろ、村の人たちが白夜の中で種々の儀式のために奮闘したり、声をあげたり、醸し出す異様な雰囲気の方に恐怖を覚える。

今回は絵が示唆する惚れ薬だけではなく、はじめのダニーの部屋に飾ってあった熊と冠をかぶった少女の絵とクライマックスの繋がりにも気づけた。

クライマックスで、ダニーがトービヨンではなく、クリスチャンを選んで、本当のラストシーンでダニーが燃え盛る炎を見ながら微笑むシーンはもう鳥肌モノ。

彼女は救われたんだよね??クリスチャンを罰してすっきりして、新しい家族を手に入れて…そう思いたいけど。
クイーンになったばかりの時は花冠だけなのに、最後はすごい花に囲まれてもう身動き取れなくなってて、それがホルガに絡め取られたことを表現しているように思えた。

エンディングの前半で流れる曲のクレジット、The Sun Ain't Gonna Shine Anymore(太陽はもう輝かない)だったことに気づいてしまって、曲のチョイスセンスに脱帽! 
ミッドサマー ディレクターズカット版 ミッドサマー 通常盤

June 04, 2023

【映画】Legend & Butterfly


今の大河、どうする?家康を書いている古沢良太さんの脚本でるろ剣の大友さん監督の作品。古沢さんの作品でコンフィデンスマンJPのようなコメディとは違って、真面目系を見るのは初めてかも。

信長と濃姫(帰蝶)の事を中心に描いた戦国ラブストーリー

戦いものを見るのが不得意な私にとって戦争や合戦のシーンよりも彼らの2人の心の機微を中心に描かれたものだったので見やすかった。

濃姫の資料は少なめだと聞いたのでだいぶフィクション制は強いと思うけど、いい解釈だったと思う。

綾瀬はるかに対して!キムタクが小さいか見えたんだけれど、キムタクってそんなに大柄な人じゃないんだね。今まで感じたことはなかったけど。

綾瀬はるかの毅然とした強気な態度の演技、すごくよかった。

キムタクはキムタクなんだけど、信長にはfitしてた😆

南蛮からの物や服をファッショナブルに着こなす2人も素敵だった。

ネタバレ✂︎---------------------------

燃えた本能寺の中から骨が見つかっていないと言う信長の話をクライマックスで上手に盛り込んでてよかった。あのまま終わりでも夢があってよかった気がした!

光秀の謀反の理由もこれが本当なら腑に落ちたけど、秀吉に唆された説も好き😁

男勝りで、馬も弓も上手、信長にも簡単には靡かない濃姫、かっこよし!
魔王と呼ばれて、極悪非道のこともたくさんやらかした信長だけど、この解釈だったら人間として嫌いになれない。

斎藤工なわざわざあんな格好させて家康にしたのは無駄遣いな気がした。
声は変えられないし、すぐにわかった。
同時期に上映するなら松潤にすればよかったんじゃ?笑 Legend and butterflyの映画はこちらから

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