倉敷市福祉制度の大きな弱点
大問4.日常生活自立支援事業について
大問4.日常生活自立支援事業について
Q9. 倉敷市社会福祉協議会の実施する日常生活自立支援事業が他の自治体と比較し、大幅に見劣りする。市社協に対する側面支援として市にできることは無いか?
(35分07秒~43分10秒)
A9. (答弁者) 保健福祉局長 (43分16秒~43分10秒)
日援事業につながる成年後見制度の利用促進のため、市民後見人養成事業を経て受任された市民後見人は、希望者には日常生活自立支援事業の支援員としても活動してもらっている。この育成事業が自立支援事業の拡充につながると期待される。
👇議会中継録画はここからどうぞ👇
https://kurashiki.media-streaming.jp/recording/meeting/detail/1067
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解説と所感
日常生活自立支援事業の実態
日常生活自立支援事業、(以後日援事業と略します)という事業があります。
認知症高齢者、知的障碍者、精神障碍者のうち、判断能力があるけど、不十分な方が、自立した生活が送れるよう、重要な作業のお手伝いを行うものです。銀行でのお金の出し入れや、印鑑・通帳や各種証書類など重要書類の預かり、各種福祉サービスの申し込み手続きなどを、利用者本人との契約に基づき、支援員が利用者を訪問して援助してくれます。費用も割安な人気のサービスです。
知的障害の度合いが高く、あるいは、認知症が進行し、判断能力がない、または無くなった方には、成年後見制度がありますが、日援事業はその前段階の制度と言えます。国と県が予算を折半し、岡山県社会福祉協議会を通じて市町村社会福祉協議会に業務が委託されています。
これが倉敷市では決定的に不足している、なんとかならないか、とのある市民の方からの訴えを聞いて、岡山県保健福祉部 保健福祉課と面談し、現状を調査しました。
その結果を纏めたのが、下のグラフです。令和3年3月末時点での県内自治体別契約者数から、人口1万人当たりの契約者数を計算し、県内の市だけについて比較したものです。
令和3年3月末時点で、(グラフには書いていませんが)倉敷市全体で73人の契約者がおられます。1万人当たりにすると約1.5人ですが、これは岡山県内で最も少ないということがわかりました。町村部を入れて比較しても結論は変わらず、グラフにすると最下位であることが強調される結果になってしまいます。
岡山市は3.4人で倉敷市の2倍以上あります。また県内全市の加重平均からも大幅に少ない結果となっております。
現場では強い不満の声が
データをいじるだけではダメだろうと、市内の高齢者支援センター3カ所と、障碍者支援センター2カ所を訪問し、センター長もしくはそれに準じる立場の方から現場の声を聞きました。 それぞれの施設は、高齢者、あるいは、障がい者の方々と、日常的に接し、相談に応じながら、各人に合った福祉、医療・介護のサービスが利用できるよう、連絡、調整等しているところです。 この日援制度を紹介する役回りを持つところと言えます。
結果はもう非常に不満の強いもので、口を揃えて「なんとかして欲しい」、「改善をずっと依頼しているが一向に良くなっていない」 とのことでした。 順番待ちで、契約に至るまでに1年半から2年かかるといいます。「時間がかかりすぎるため積極的に紹介できない。制度はもはや無いものと思って諦めている。」などのコメントが聞かれました。「無いものと思えなんて、もはや事業をやっているとは言えない。」との厳しい声もありました。
この待ち時間について、全国ではどのくらいの時間を要しているのか? これも調べました。
全国社会福祉協議会作成の資料がありました。下のグラフをご覧ください。(👇(一社)全国社会福祉協議会作成「日常生活自立支援事業の概要と支援の現状」
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000769824.pdf より抜粋)

(👆👇上記資料18ページから抜粋)

これは、令和2年7月で契約に至った全国880件のケースについて、どのくらい前から話をしてきたか、言い換初回相談から契約までにどれだけ時間がかかったかをまとめたものです。
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000769824.pdf より抜粋)

(👆👇上記資料18ページから抜粋)

これは、令和2年7月で契約に至った全国880件のケースについて、どのくらい前から話をしてきたか、言い換初回相談から契約までにどれだけ時間がかかったかをまとめたものです。
84%が6ヶ月以内に、94%が1年未満で契約できたことが分かりました。
1年半から2年かかるという倉敷市の日援事業は、どう見てもスタンダードな状態ではないようです。
市所管の事業ではなくても、できることはないのか
残念ながら、この制度は、都道府県が県の社会福祉協議会に委託し、それをさらに各市町村単位の社協が受託するもので、倉敷市はこの運用に関与していません。市議会議員の私が何を言っても詮無いことなのですが、ここで取り上げた理由は2点あります。
1点目は、これに続くあるいは隣接する成年後見制度については、選任申立て業務は倉敷市福祉援護課が行なう市の事業ということです。
日常生活自立支援事業と同じ要領で、成年後見制度の利用者を調べたのが左のグラフです。データは、岡山県保健福祉部健康長寿課から得ましたが、元のデータは岡山家庭裁判所が管理しています。
2点目は、伊東市長が、日援の後段階の成年後見制度について、政府の「成年後見制度利用促進専門家会議」の委員をしておられるということです。 全国の首長の中では、認知症高齢者や障害者の権利擁護について、確かな目線を持っておられる理解者だと思っているからです。
執行部の答弁は、後見制度発展の目的でやっている「市民後見人養成講座」を通じて家庭裁判所から認証を受けた市民後見人のうち、希望者には日援事業の支援員として活動できるよう取り計らっており、この講座が、間接的に日援事業を担う支援員の裾野拡大につながる、というものでした。
(👇倉敷市市民後見人養成講座 倉敷市ホームページから)
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/2336.htm
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/2336.htm
日援事業は、成年後見人利用に移行する前のニーズを満たすためのもので、後見人制度の振興を図る政策は、直接の助けにはならないのですが、市が関与しない事業である以上、「側面支援」を聞くとこれが限界とも思われます。 そもそも本テーマは答弁を求めない「要望」として議会に出そうと考えておりましたが、無理にでも「質問」にしないと執行部の受け止めが軽くなる、との先輩議員のアドバイスがあり、この設問にした経緯があります。議会を通じて市民やメディアの目に触れる機会が増えれば、課題解決への追い風になると考えております。
日援事業が使えないなら、成年後見制度を利用すればいいのでは、との考えもあるのですが、①一度後見人をつければ、自分で自分のことを決めることができない、②死ぬまで後見が続くこと、③後見人への費用の負担感が強いこと、こうした制度の利用を希望する人は、すでに家族や親戚との縁が事実上切れていて、経済的に困窮しているケースが多い、などから後見制度移行へのハードルがあります。
日援事業自体の拡充が強く求められます。
以上
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