倉敷市議会議員 あしだ泰宏ブログ - あしたを創るあしだです!

倉敷市議会議員 芦田泰宏のブログです。

視察

【会派視察報告②-後編】山口県下関市立中央図書館 ー「民営化の失敗」か「マネジメントの失敗」か

前稿【前編】では、山口県下関市立中央図書館が指定管理者制度から再び直営に戻すという、全国的にも珍しい経緯をたどった経過をご紹介しました。
[前編はこちら👉http://blog.livedoor.jp/ash_ashida1185/archives/31284875.html

前編でも述べた通り、同館は「導入して、戻した」という貴重な経験をお持ちです。ただ、視察の目的は「事例を知ること」ではなく、倉敷市の今後の図書館運営に活かすことです。本稿【後編】では、視察を踏まえての私自身の所感と、倉敷市への示唆を率直にご報告いたします。

本稿もAIによる整理をベースに、現地で伺った内容と視察後の自分の考察を加えて再構成しています。

5.所感

1)「民営化の失敗」なのか、「発注側マネジメントの失敗」なのか

まず率直に申し上げると、下関市立中央図書館のケースは、「図書館運営は直営と指定管理者のどちらが適切か?」という本質論よりも、「知見や実績のない事業者へ委託を決定してしまったマネジメントの失敗事例」として理解すべきだと感じました。

前編でご紹介した通り、同館の指定管理者制度は、「民間の図書館運営ノウハウに期待して積極的に導入した」というより、DREAM SHIP全体の「施設管理」に付随して決定された印象が強いものでした。図書館運営の実績を評価軸として指定管理者を選んだというより、建物全体の管理者に図書館運営も「ついでに」任せたという構図に見えます。

つまり問題は、「民間に任せたこと」そのものではなく、 ①どのような図書館にしたいのかの定義が曖昧なまま、 ②要求水準書や業務仕様の作り込みが不足したまま(一層の確認が必要かもしれませんが)、 ③図書館運営の知見や実績を持たない事業者に委託した、 という発注側のプロセスの脆弱さにあったのではないか、というのが私の見立てです。

翌日訪問した伊万里市民図書館では、館長が「直営こそが正しい」という信念を熱く主張されていたのが印象的でしたが、下関市立中央図書館では、直営/指定管理の本質論には触れられず、試行錯誤の過程を淡々と説明されるのみでした。この対比自体が、示唆的だったように思います。

(「DREAM SHIP」は
中央公民館・婦人会館・文化会館を統合・複合化して整備されたもの。
おなじ建物に図書館とは異なる施設がの混在。)

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2)図書館機能は変化している ― KPIの再設計が必要

館長のご説明の中で、印象に残った言葉があります。

「近年は、(図書館は)レファレンスや、地域学習の拠点としての機能を求められるなど、変化があり…」

これは非常に重要な指摘です。裏を返せば、指定管理者制度導入当時は、図書館の価値を「貸本」や「書籍閲覧場所の提供」といった、比較的限定した機能として捉えていた可能性があるということです。

そうなると、指定管理者に対して設定されるKPI(評価指標)も、貸出冊数や開館時間といった「数値化しやすいもの」が中心となります。しかし、レファレンス機能や地域学習拠点としての価値は、こうした単純な数値では測れません。

同館の指定管理者制度時代の迷走は、単なる「民営化の失敗」ではなく、「図書館に求められる機能そのものが変化している時代の、試行錯誤の過程」であった、という側面も見逃してはならないと感じました。

また伊万里市民図書館のレポートでも指摘した通り、AIの普及で知の探究の方法論は大きく変わりつつあります。これから作る図書館は、そこから目をそらして機能を議論するわけにはいかないでしょう。忘れてはならない点として指摘させていただきます。


3)札幌市図書・情報館のケース ― 「直営」より「目的の明確化」が本質

運営形態の議論を考える上で、私が過去に視察した札幌市図書・情報館の事例も参考になります。
https://www.sapporo-community-plaza.jp/library.html

同館は、「WORK・LIFE・ART」に特化した課題解決型図書館として、ビジネス分野にも通じた司書による情報提供とレファレンスに力を入れています。貸出は行わず、その場での課題解決に特化するという、大胆なコンセプトを打ち出しています。日本十進分類法も採用せず、独自の書棚構成で利用者の関心に強く訴える工夫もあります。

同館は直営ですが、重要なのは「運営主体の名称(直営か指定管理か)」ではなく、「図書館の目的を明確にし、それを実現できる人材・組織・評価制度を用意している」という点です。

公営図書館といえども、機能の設定は自由であり、その練り込みに時間をかけることこそが本質だと、改めて感じさせられます。

4)経費の推移からは、結論は導き出せない

「指定管理者制度により経費が減るはずが、逆に高くついた」という見方も一部にはあります。しかし、公開されている決算情報は限定的で、厳密に検証するには不十分です。

「民営化→再直営化」と変化した経費推移を見るだけでは、「本質的に民営化が向かない」との判断をするには材料が足りない、というのが正直な結論です。数値の背後にあるサービス品質や機能設定の変化まで含めて評価しなければ、真の判断はできません。

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(司書さんの待つレファレンスコーナー)

6.倉敷市への示唆 ― 「発注する側」の力量を高める

以上を踏まえ、倉敷市の新中央図書館整備に向けた示唆を整理いたします。

「直営か指定管理者か」の二項対立に陥らないこと。本質は運営形態ではなく、図書館の目的定義と、それを実現する体制設計にある。

・仮に指定管理者制度を採用するのであれば、要求水準書・業務仕様書の作り込み、そして業者選定における評価の力量が決定的に重要となる。下関市のケースは、この準備不足が失敗の一因となった可能性が高い。

KPIの設計において、貸出冊数や開館時間といった数値化しやすい指標だけでなく、レファレンス機能、地域学習拠点機能、市民の課題解決への貢献など、図書館の本質的価値を反映できる指標を組み込む必要がある。

・地域資料の継承や司書の育成といった、「長い時間軸」を必要とする機能については、5年程度で契約が区切られる指定管理者制度は本質的に苦手な領域である。直営とのハイブリッド運用や、契約設計上の工夫が必要となる。

7.まとめ ― 「戻せた」勇気に学ぶ

前編・後編を通じての結論として、改めて申し上げたいのは、下関市のケースは「一度導入した制度を、勇気を持って見直し、戻した」貴重な事例であるということです。

多くの自治体では、一度決めた制度をなかなか見直せません。しかし下関市は、現場で起きている問題を直視し、原初の構想に立ち返るという判断をされました。この点は率直に評価されるべきだと思います。

同時に、この事例が示すのは、「制度そのものの善悪」よりも「発注する側の力量」がいかに重要かということです。倉敷市が新中央図書館の整備を進めるにあたっては、運営形態の議論に先立って、「どのような図書館を目指すのか」の徹底した練り込みが必要であると、強く感じました。

今回下関市で伺った知見を、伊万里市民図書館の事例と併せて、倉敷市議会の場でもしっかり活かしてまいります。

最後になりましたが、ご多忙の中、丁寧にご対応くださった下関市立中央図書館の皆様に、心より御礼申し上げます。

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【会派視察報告②-前編】山口県下関市立中央図書館―指定管理者制から直営方式に戻した図書館

前回、佐賀県伊万里市民図書館の視察報告(前編・後編)をお届けしました。今回はその前日(令和8年5月8日)に訪問した、もう一つの視察先である山口県下関市立中央図書館についてご報告いたします。


伊万里市が「直営+市民参画」で成功を収めている図書館だとすれば、下関市立中央図書館は、一度は指定管理者制度を導入したものの、様々な問題を経て再び直営に「戻した」、全国的にも珍しい経緯を持つ図書館です。


本稿もAIによる整理をベースに、現地で伺った内容と視察後の自分の考察を加えて再構成しています。前編では視察の概要と、指定管理者制度導入から再直営化までの経緯を、事実関係中心にご報告いたします。


【視察概要】
・日時:令和8年5月8日(金)13時~14時30分
・視察先:山口県下関市立中央図書館(生涯学習プラザ「DREAM SHIP」内)
・応対者:﨑野美也子 館長、大石敦磨 副館長、水戸麻規子 館長補佐

1.なぜ下関市立中央図書館を視察先に選んだのか

倉敷市においても、新中央図書館の整備に伴い、「指定管理者制度を導入すべきか、直営とすべきか」の検討が今後本格化していくことが予想されます。

下関市立中央図書館は、一度は指定管理者制度を導入したにもかかわらず、運営上の様々な問題が表面化し、再び直営に戻したという、全国的にも大変珍しい経緯をたどっています。しかも、結果的に運営予算も削減できたとのこと。

この「導入して、戻した」という貴重な実体験をお持ちの現場から学ぶことで、本市の議論に厚みを持たせたいというのが視察先選定の理由です。

2.「DREAM SHIP」― 図書館は複合文化施設の一部

まず押さえておきたいのが、下関市立中央図書館は単独の図書館建物ではないという点です。

同館は、市立生涯学習プラザ「DREAM SHIP(ドリームシップ)」という複合文化施設の4階~6階に入居しています。DREAM SHIPは、かつて別々に存在した中央公民館・婦人会館・文化会館を統合・複合化して整備されたもので、市民ホール(大805席・小204席)、多目的ホール(360席)、各種会議室、料理教室、音楽室、茶室などを備える総合文化拠点です。

・建物全体の延べ床面積:18,408㎡ ・図書館部分の延べ床面積:約4,000㎡ ・蔵書数:約45万冊

この「図書館は複合施設の一部」という構造が、後述する指定管理者制度導入の判断にも大きな影響を与えることになります。

下関市中央図書館1
下関市立中央図書館(こども図書のコーナー)にて


3.整備の経緯 ― PFIからDBO、そして指定管理者制度へ

同館の整備は、平成の大合併に伴う合併特例債の活用を前提に構想されました。時系列で整理すると次の通りです。

・平成16年度:
基本計画策定 ・平成17年度:整備手法をPFI方式からDBO方式(Design-Build-Operate=公設民営方式)に変更 ・平成19年度:指定管理者選定(合人社計画研究所グループと協定締結)。この時点では、図書館運営は「直営維持」の方針

・平成21年度:
DREAM SHIP竣工。開館直前になって、中央図書館も同一の指定管理者に委託することを決定

・平成27年度:
運営上の問題が表面化。図書館部分のみ再度直営化へ変更

ここで注目すべきは、当初は「図書館は直営を維持する」方針だったにもかかわらず、開館直前になって指定管理者制度への変更が決まったという点です。

その理由としては、①設計・建設・維持管理を一括化し、DREAM SHIP全体を一体運営するほうが効率的、②民間ノウハウを活用する、といった説明がなされたそうです。

しかしながら、下関市内の他の小規模図書館5館は直営を維持していることを考えると、中央図書館の指定管理者化は、「民間の図書館運営ノウハウに期待して積極的に導入した」というより、「DREAM SHIPの施設管理に付随して決定された」という印象を、私は受けました。

4.指定管理者制度の下で起こった問題

さて、開館直前に指定管理者制度が導入されたわけですが、その後、様々な問題が表面化することになります。

①司書の大量離職 :開館日数の拡大や営業時間の延長は、司書の労働強化につながりました。処遇への不満から司書が大量退職。代わりに採用した人員も定着せず、業務遂行そのものが危ぶまれる状況に陥ります。

②地域資料継承機能の劣化: 郷土資料や地域資料に精通した職員が不足し、地域資料の継承にも悪影響が及びました。図書館の重要な社会的機能の一つである「地域の知の記憶装置」としての役割が損なわれてしまったわけです。

③一括再委託の問題: 指定管理業務が、特別目的会社(SPC)の代表企業へ一括で再委託されていた点も問題視され、市のガイドラインとの整合性が課題となりました。

④コスト管理思想の違い(私見): これは私の推察ですが、貸出冊数に連動する変動型の委託料が採用されていたため、固定費で管理できる直営方式とは根本的にコスト管理思想が異なっていたのではないかと思います。利用が増えれば費用も増える構造で、コストにキャップがかけられないわけです。

これらの問題を受け、最初の契約期間である5年を経過した後、原初の構想通り図書館のみを直営に戻すことになりました。DREAM SHIP建物本体の運営については、(公財)下関市文化振興財団という準外郭団体を非公募で指定するという、いわば旧来型の体制へと一気に舵を切り直したことになります。

次回予告 ― 後編は「所感編」です

後編では、以下のポイントについて、私自身の所感と倉敷市への示唆を率直にご報告いたします。

・下関のケースは「民営化そのものの失敗」なのか、「発注側のマネジメントの失敗」なのか ・図書館に求められる機能はそもそも変化しているのではないか
・過去に視察した札幌市図書・情報館の事例との比較
・倉敷市の新中央図書館整備への示唆


(後編に続きます)


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【会派視察報告-後編】佐賀県伊万里市民図書館 ― 直営か指定管理者か、そして倉敷市の図書館づくりへ

前稿【前編】では、佐賀県伊万里市民図書館の運営の特色を、市民参画・直営・司書育成・レファレンスの4つの切り口でご紹介しました。
[前編はこちら👉
http://blog.livedoor.jp/ash_ashida1185/archives/31259884.html

前編でも述べた通り、同館の運営ぶりには目を見張るものがありました。ただ、視察の目的は「感心して帰ってくること」ではなく、倉敷市の今後の図書館運営に活かすことです。本稿【後編】では、視察を踏まえての私自身の所感と、倉敷市への示唆を率直にご報告いたします。
本稿もAIによる整理をベースに、現地で伺った内容と視察後の自分の考察を加えて再構成しています。
 

5.所感
1) 「直営だから成功した」のか、「投資したから成功した」のか

まず率直に申し上げて、伊万里市民図書館の運営ぶりは素晴らしいものでした。市民参画は形式ではなく実態を伴っており、司書のプロ意識も高く、地域に深く根を張った図書館の姿がそこにありました。
その上で、冷静に押さえておきたいのが、同館が平成7年の開館時に、当時としては高額ともいえる約23億円を投じて整備されており、また現在でも年間1億円を大きく上回る運営予算で経営されているという事実です。初期投資額は伊万里市の規模から見ても大きな投資であり、「市として図書館運営に本気で力を入れる」という明確な意思表示であったといえます。つまり同館の成功は、「直営を選んだから」というよりも、自治体としてどこまで本気で図書館に投資し、どこまで市民参画を制度として支え続けたか、という判断の総体の結果である、と受け止めるのが適切と考えます。

伊万里市では開館に先立ち、図書館設置条例にて

「伊万里市は、すべての市民の知的自由を確保し、文化的かつ民主的な地方自治の発展を促すため、自由で公平な資料と情報を提供する生涯学習の拠点として伊万里市民図書館を設置する。」

と定めました。

漫然と公営貸本業施設として整備するのではなく、事前に図書館設置条例にて、図書館の機能、あり方を確りと練り込んだ自治体は非常に少ないはず。この点も他の自治体の見本であると同時に、同市の図書館事業に対する思い入れの強さの証左とも言えます。

運営形態の議論の前に、「どれだけ本気で図書館に向き合うか」という覚悟の議論がある ―― これが視察の最大の収穫でした。
 

2) 「民間には無理」と決めつけてよいか同館が強調する、
・質の高いレファレンス機能
・利用者の知的好奇心を刺激するサービス
・市民活動を呼び込む場としての図書館
などの長所は、本質的に民間企業には対応不可能な領域とまでは、私は言い切れないと感じました。

確かに前出の図書館設置条例の条文は、「すべての市民の知的自由を確保し」、「民主的な地方自治の発展を促す」、「自由で公平な資料と情報を提供する」など、一見すると民間の営利主義とは親和性が低いと読む人もいるかもしれません。

しかしながら、顧客満足度が死活問題となる民間企業に対し、募集時の仕様書でこれらの役割を明確に規定すれば、民間でも対応できる余地は十分にあり得るのではないかと思います。

むしろ懸念すべきは、「民間=商業主義であり、公営図書館には馴染まない」というシンプルな拒絶反応が先行することで、優秀な企業関係者が距離を置き、かえって自治体側の機会損失を招くことです。

書棚の整理や本の貸し出し/返却の作業は単純作業であり、司書が担うべき理由となる高度な知見は要求されないと思われます。また館内清掃などは、伊万里市民図書館でも、外部業者に委託しているそうです。「何がなんでも全面一括直営化」という話ではなく、直営部分を残しつつ、同時にコストの最適化も図る、そのバランス点をどうする、かという議論ではないかと思います。

一方で、前編でご紹介した通り、司書育成という「時間軸」に関しては、雇用に期限が設けられない直営方式に一定のアドバンテージがあることも事実です。ここは5年間など委託期間を区切られる指定管理者制度が本質的に苦手とする領域であり、直営の強みとして正当に評価されるべき点だと考えます。

3) ネット時代における司書機能をどう再定義するか
もう一点、正直に触れておかねばならないのは、インターネットやAIの普及です。広範な情報検索、書籍情報の検索、書評や関連書の探索――かつて司書が独占的に担ってきた機能の一定部分は、既にネット検索や館内の書籍検索端末で代替可能になっています。(個人の性向として)自分専用の本を購入して、書き込みをして使いたい私は、ある時期からアマゾンによる書籍検索や類似本紹介機能を利用し、図書館は利用しなくなりました。似た経歴をお持ちの方はいるはずです。

(また、余談ですが、筆者自身、ある市立図書館で探したい本の相談した際、司書により館内の検索端末に案内された経験があります…。)

だからこそ、これからの司書には「検索の代行」ではなく、「書籍による知的探究の伴走者」としての役割が求められます。伊万里市民図書館は、まさにその方向で司書機能を再定義し、レファレンスと市民参画にリソースを集中することで、ネット時代でも代替されない価値を生み出しているように見えました。もちろん購入する新刊書選定や、地域資料の保存の価値判断も司書に継続的に求められる価値発揮場面でしょう。

「司書は直営での雇用か、指定管理者が雇用するのか」の検討ではなく、「これからの司書に何を担ってもらうのか」を先に定義することが、運営形態の議論よりも先に必要ではないか、と強く感じました。

また、それほど価値のある司書の機能であれば、直営により、「司書の雇用を守る」、「処遇の悪化を防ぐ」といった議論ではなく、司書を特別職化し、処遇を向上させることも選択肢になるはずです。

4) 倉敷市の現状「利用率26%」という数字
そして、忘れてはならないのが、倉敷市自身の現状です。
本市の新中央図書館整備に先立ち、令和4年2月に実施された市民アンケートでは、「過去1年に図書館を利用したことがある」と答えた方は全体の26%に留まりました。しかも、そのうち約53%は「年に数回程度」の利用です。

「複合施設における図書館の在り方についてのアンケート」 の集計結果について  (リンク資料の4ページご参照)👇https://www.city.kurashiki.okayama.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/018/993/libraryquestionnaire.pdf

つまり、現在の図書館は市民の一部にしか届いていないのが実態です。この現状を踏まえずに「直営か指定管理者か」という運営形態論だけを議論しても、市民の暮らしにとっての実益は乏しいのではないか、というのが正直な思いです。
 

6. 倉敷市の図書館づくりへ ― 複合施設化という方向性同時に、この「利用率26%」という現状をそのまま是とすることも問題です。
本市が現在検討している、図書館を複合施設化して、本との接点や入口を増やすアプローチは、その意味で的を射たものだと考えます。

庁舎等再編整備事業(市民交流ゾーン)の基本設計 概要版(2ページ目の「基本理念」ご参照)👇
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/023/368/kihonsekkei_gaiyou.pdf

図書館を「本を借りに行く場所」から、「立ち寄ると自然に本と出会える場所」「多世代が交流する場所」へと再定義する。伊万里市民図書館の市民参画のノウハウは、倉敷市の方向性と通底するものがあると感じました。
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7.まとめ ― 覚悟の話に行き着く前編・後編を通じての結論として、改めて申し上げたいのは、「直営か指定管理者かという議論は、つまるところ、自治体がどこまで本気で図書館に向き合うかという覚悟の話に行き着く」ということです。
  • 伊万里市が直営+市民参画で成功しているのは、直営という形式のおかげではなく、多額の初期投資と、市民・司書・議会が長年積み上げてきた蓄積の結果である。
  • その本質は、指定管理者制度の下でも、仕様書と評価の設計次第で相当程度実現し得る。行政コストの適正化はいつであっても必要である。
  • ただし、10年・20年で司書を育てるという点においては、直営に優位性がある。
  • そして何よりも、利用率26%という倉敷市の現状を出発点に、複合施設化を含めた「入口を増やす」戦略を丁寧に組み立てていくことが必要である。

今回伊万里市で伺った知見を、倉敷市の議会の場でもしっかり活かしてまいります。

最後になりましたが、休日にもかかわらず長時間にわたり丁寧にご対応くださった伊万里市民図書館並びに、図書館フレンズいまりの皆さまに、心より御礼申し上げます。

下関市立中央図書館の視察報告は、別記事にてご報告いたします。

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【会派視察報告-前編】佐賀県伊万里市民図書館 ― 「市直営+市民参画型」の現場を訪ねて

令和8年5月8日~9日の2日間、会派で山口県下関市と佐賀県伊万里市の2つの図書館を視察してきました。
下関市立中央図書館の報告は別記事にまとめますので、本稿と次稿の2回に分けて、2日目に伺った 伊万里市民図書館 の視察内容をご報告します。
https://www.library.city.imari.saga.jp/
倉敷市では現在、新中央図書館の整備に向けた議論が進んでいます。運営形態を「市直営」とするか「指定管理者制度」とするかは、全国の自治体でも常に論点となるテーマです。伊万里市民図書館は、民営化や指定管理者制度に最初から距離を置き、直営+市民参画型の運営で成功を収めていると全国的に評価されている図書館。今回はその「成功の中身」を、自分の目で確かめに行ってまいりました。

本稿は、視察で配布された資料をAIにより編集し、現地で伺った内容と、視察後の私自身の所感を加えて再構成しています。前編(本稿)では、まず現地で見聞きした「事実」の部分をご紹介し、私自身の所感と倉敷市への示唆は、後編にまとめます。

【視察概要】
・日時:令和8年5月9日(土)9時30分~11時30分
・視察先:佐賀県伊万里市 伊万里市民図書館
 
――――――――――――――――――1.なぜ伊万里市民図書館を視察先に選んだのか全国的に、公共図書館の運営を民間事業者に委ねる「指定管理者制度」の導入は着実に広がっています。効率化・利便性向上といったメリットが語られる一方、司書の専門性や長期的な蔵書構築の観点から慎重論も根強くあります。
そんな中、伊万里市民図書館は、
・民営化や指定管理者制度から最初から距離を置き、「市直営」を貫いていること
・単なる直営ではなく、「市民参画型」の運営で運営そのものに市民が入り込んでいること
・その結果、地域に根差した図書館として、視察が絶えない存在となっていること
という点で、他の図書館とは一線を画す存在です。
「なぜ直営で成功しているのか」「市民参画とは具体的に何をどこまでやっているのか」
倉敷市の今後の図書館運営を考える上で、外せない事例だと判断し、視察先に選定しました。
尚今回は、倉敷市議会の4会派合同での視察です。 

2.市民参画の仕組み ―「図書館フレンズいまり」の存在
同館の運営を語るうえで欠かせないのが、「図書館フレンズいまり」 の存在です。
図書館フレンズいまりは、伊万里市民図書館を応援・支援する市民ボランティア組織で、単なる「お手伝い団体」にとどまらず、図書館の企画・事業運営そのものに深く関わるのが特徴です。

・読み聞かせや講座などのイベント企画・運営
・書架整理や蔵書メンテナンスへの参加
・地域の歴史・文化資料の掘り起こしと共有
・図書館と市民をつなぐ「橋渡し役」としての活動

今回の視察には、そのフレンズいまりの役員の方々、そして伊万里市議会議員の盛泰子先生(同館の生みの親のお一人として全国的に知られる方)が同席してくださり、行政・議会・市民ボランティアの三者から生の声を伺うことができました。

印象的だったのは、皆さまが口を揃えて仰った、

「図書館は行政のものではなく、市民のもの」
という一言です。単なるスローガンではなく、実際の企画会議や意思決定の現場に市民が入り、館長・司書と対等に議論している実態が伝わってきました。
3.直営で運営される「意味」 ― 司書育成という時間軸同館の運営で強調されていたもう一つのポイントが、司書の育成です。
指定管理者制度の場合、事業者との契約は数年単位で更新されるのが通例で、雇用にも自ずと期限が生じます。一方、直営方式であれば、雇用に期限が設けられず、長い時間軸で司書を育てることができる
・地域の歴史や産業に精通した司書
・利用者一人ひとりの関心を覚えている司書
・「あの本ならあの棚の三段目」と即答できる司書
こうした「顔の見える専門性」は、一朝一夕では育ちません。長期雇用を前提とした直営だからこそ蓄積できる無形資産である、というのが同館の主張と感じ、一理あると感じました。


 
4.市民の知的好奇心を引き出す「レファレンス」同館では、単に「本を貸す」のではなく、「利用者の問い」に司書が併走するレファレンス機能を非常に大切にされています。・調べものの入り口を一緒に整理する
・関連書籍・関連資料を横断的に提示する
・場合によっては市民活動や地域団体につなぐ
このプロセスを通じて、利用者の知的好奇心そのものを刺激し、次の学びや活動へと誘う 
これが「伊万里流」の図書館サービスの根幹でした。

利用者の側も、単なる「本の貸出先」としてではなく、「相談できる場所」「一緒に考えてくれる場所」として図書館を使いこなしている印象を強く受けました。

 
次回予告 ― 後編は「所感編」ですここまで、伊万里市民図書館の運営の特色を、市民参画・直営・司書育成・レファレンスという4つの切り口でご紹介しました。
確かに、同館の運営には目を見張るものがあります。ただ一方で、これをそのまま倉敷市に当てはめてよいのか、「直営だから成功したのか」「民間には本当に無理なのか」――視察を終えて、私の中にはいくつかの問いが残りました。

次稿【後編】では、

・平成7年に投じられた23億円という初期投資の意味
・「民間=商業主義」と切り捨ててよいのか
・ネット時代における司書機能の再定義
・令和4年市民アンケートで利用率26%という倉敷市の現状をどう捉えるか

といった論点について、私自身の所感を率直にご報告いたします。

(後編に続きます)

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保健福祉委員会派遣調査レポート3(令和6年1月)

1月に行った委員会派遣視察のレポート第3弾です。

久留米市:自殺対策事業

この視察先は私が委員長に提案しました。
私は倉敷市の自殺対策ネットワーク会議のメンバー。一般社団法人)いのち支える自殺対策推進センターとコンタクトを取るなど、対策の先進自治体を調べる中で、相談事業が進んでいる久留米市に興味を持ったもの。全国の自殺者数は令和2年から微増に転じている中、同市は減少中(令和2年70人→令和4年50人)。 対策の要旨を下記の通り。

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(久留米市役所で説明を受ける保健福祉委員会メンバー)

要旨
啓発事業
一般的な政策の他、市提供による自殺予防のラジオ番組を実施。①毎週1回60秒(語りかけ)、②年間5つの月で、5分間の番組(専門家のインタビュー等)を毎週4回放送 の2種類の番組を確保。

相談対応
「こころの相談カフェ」
臨床心理士のカウンセラーによる相談会。月に一度、曜日時間指定(要予約)。 於市民活動センターや中央図書館。相談事業従事者と市担当との意見交換のミーティングも実施。令和4年度相談実績は195件。年間予算300万円。
その他精神科医による予約制の相談等など4種の相談事業あり。

関係機関や地域との連携
「かかりつけ医、精神科医連携研修」
年1回実施。 地域の内科医(かかりつけ医となっていること想定)に対し、首が回らない、食欲減退、生理不順など、心因性疾患に対する認識を新たにしてもらうとともに、精神科医と面識を持つ機会を設け、かかりつけ医から精神科医への紹介がスムーズに行われる基盤を築く。精神科医に対する紹介件数が累計1,000件を超える。

その他
自死遺族支援
自死遺族の会「わかちあいの会」を実施。年間6回 ピアカウンセリングを実施。

市民の個別相談リーフレット「大切な方を自死で亡くされた方へ」の配布し、職場上司、学校関係者、最後にあった人などに向け個別相談を実施。

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所感及び今後の取り組み
  • 現時点で倉敷の方が人口10万人当たりの自殺者は少ないのだが、精力的な取り組みは参考とすべき。
  • 「こころの相談カフェ」での、臨床心理士の活用に注目。相談が195件/年に達するのは特筆に値する。定期的に市担当とのミーティングを行い業務や実態の把握を行うのも重要なプロセスと思われる。
  • 「かかりつけ医、精神科医連携研修」もユニークな取り組み。累計紹介件数が1,000件を超えるのは、一定の効果を生んでいるものと推量する。
  • 上記2政策とも、本市でも検討に値するものと考える。
  • 自死遺族支援策も展開しているが、犯罪被害者支援も実施する自治体とのことにて納得。
関連資料は、👆のレポートも含め、倉敷市議会ホームページで完全公開されています。

派遣調査の概要
https://gikai-kurashiki-kouhou.backshelf.jp/bookview/?filseq=4871

報告書
https://gikai-kurashiki-kouhou.backshelf.jp/bookview/?filseq=4954



久留米市関連資料
https://gikai-kurashiki-kouhou.backshelf.jp/bookview/?filseq=4874


03_3_保健福祉_久留米市_様式_委員派遣調査結果シート_ページ_1
03_3_保健福祉_久留米市_様式_委員派遣調査結果シート_ページ_2
以上

#委員会派遣調査 #自殺対策 #久留米市 #保健福祉委員会 #倉敷市議会議員 #新風くらしき #あしだ泰宏

保健福祉委員会派遣調査レポート1(令和6年1月)

議会質問の準備を進めていますが、質疑内容の報告までまだ時間があるので、溜まっていた活動報告をします。

委員会派派遣調査
1月22日~24日に保健福祉委員会の派遣調査のため、鹿児島市、熊本市、久留米市を訪問しました。
それぞれの概要を3回に分けてご報告します。今日は鹿児島市です。


鹿児島市:国保特定健診受診率向上とZoomによる保健指導
鹿児島市では、国民健康保険の特定健診の受診率向上策と、Zoom利用による特定保健指導の事業を視察。 
特定健診とは通称「メタボ健診」と呼ばれ、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群予防)の発見と予防のため行われ、結果により生活習慣改善のための保険指導が行われます。
両市の近年の国保特定健診の受診率は、倉敷市の26~27%に対し、鹿児島市は34~37%と約10%高くなっております(それでも全国平均並みではありますが)。

004

それぞれ要旨は以下の通りです。

受診率向上策
  • 受診料が無料(倉敷市は500円。ワンコイン健康診断として費用を抑える努力をしているが...)。
  • 個別健診の他に、集団検診を設け、市内5カ所の保健センターや小学校で巡回実施。毎月全市域で15~22回の受診機会を設けている。受信者の39%は集団検診を利用。
  • 集団会場も医療機関で受ける個別健診も、一部の例外を除き予約不要。夜間健診も実施する医療機関あり。
  • 「とく得クーポン」なる市内の商業施設・飲食店の割引など特典と交換できるクーポン券を提供。
Zoomによる保健指導
  • ITコンサルタント出身の市長の肝いりの事業。
  • 開始以来15か月間の利用者は8人、健診対象者の0.08%で必ずしも利用者は多くないが、かかっている予算が年間13万円程度であり、費用対効果を心配する必要性は低い。
  • 受診方法の選択肢を増やす利便性向上の一定の効果はあり。

所感と今後の取り組み
  • 受診率向上策については、予約不要であることと、大規模な集団検診の実施に注目。ただし相応の予算も必要なので、費用対効果は検証の必要があり。
  • Zoomによる特定健診保健指導は、Zoom利用に抵抗がない人なら本当に便利な制度。一層の利便性の向上には、夜間や休日の相談機会を設けることが必要だが、担当者に時間外手当が必要になる。このため、希望者にはAIによる時間外相談を選択肢に加えることも、将来的には検討できるかもしれない。
私のレポートは👇です。
03_1_保健福祉_鹿児島市_様式_委員派遣調査結果シート_ページ_1
03_1_保健福祉_鹿児島市_様式_委員派遣調査結果シート_ページ_2


関連資料は、👆のレポートも含め、倉敷市議会ホームページで完全公開されています。

派遣調査の概要
https://gikai-kurashiki-kouhou.backshelf.jp/bookview/?filseq=4954


関連資料
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以上

#委員会派遣調査 #国保特定健診 #特定健診保健指導 #保健福祉委員会 #倉敷市議会議員 #新風くらしき #あしだ泰宏


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