2007年01月20日

多様化するオンラインゲームの収益構造

勉強机には、ガチャガチャ(くじ引き)で出てきた“消しゴムの人形”が、ところ狭しと飾られている。もともと収集癖のある筆者は、すべての種類を揃うまで気が済まず、限られたお小遣いを使い、ガチャガチャまわし続けた。ようやくすべてが揃い並べてみると、重複した人形たちが申し訳なさそうにして背後に並べられる。苦くも懐かしい筆者の少年期の経験である。それが今、オンラインゲーム内でも行われている。

東京ゲームショウ2006では、各種のパネル・ディスカッションが行われ、その中で注目すべき内容が、主要オンラインゲームの運営会社が参加したセッション「ビジネスモデルの多様化が進むオンライン市場 〜次世代の主流となる収益構造を探る〜」だった。内容は、時勢とともに変化しつつある収益構造に、今後どのように対応していくかという内容で、有料にも関わらず開催1か月前には定員となり、大変人気のあるセッションであった。

かつては、1990年代後半よりサービスが開始されてきたオンラインゲームであるが、国産・欧米型のオンラインゲームはパッケージ販売+月額定額課金、韓国系のオンラインゲームは無料ダウンロード+月額定額課金と、主に二つの収益構造でしかなかった。しかし、2004年あたりから、多くのタイトルが供給され、加熱する市場に対してユーザー獲得が非常に困難になっていった。その時に、基本プレイ無料+アイテム課金と新たなる収益構造が生み出され、近年リリースされるタイトルの殆どがこの収益構造をとっている。今まで月額定額課金であったタイトルも事業プランが見直され、基本プレイ無料+アイテム課金変更していくタイトルが増えてきている。

いくら基本プレイ無料だからといっても、企業が運営する以上は、収益をあげていかなければならないのは当然である。1アイテムあたりの単価は、数十円から数千円のものまであるが、一回に使う平均単価は、数百円とそれほど大きいものではない。積もり積もったその金額は、時として月額定額課金よりも上回ることがあり、月額定額課金から基本プレイ無料+アイテム課金に変更した。ある運営担当者の話によると、定額時よりも平均客単価が上がり総売上も上がったという。

パッケージ購入、もしくは課金をしなければプレイできない従来型の月額定額課金と違い、自分にあったゲームかどうかを十分に見極めをすることができ、かつ自分の納得した分だけのお金をつぎ込むことができる。ゲームに対する関与度が低い女性や、可処分所得が少ない若年層のユーザーの間口を大きく広げた画期的な収益構造であると筆者は考えられる。しかし必ずしもよい要因ばかりではない。ユーザーの中からは「アイテムに多く費やすユーザーとそうでないユーザーとでは不公平が生じる」「現実社会の貧富をゲームに持ち込みたくない」といった声も決して少なくない。

また、冒頭でも述べたように、近年、客単価向上を計るためにガチャガチャなどのギャンブル性の強いアイテムが増えつつある。自分のお財布から目に見えてお金が減っていく現実社会のガチャガチャと違い、オンラインゲームのガチャガチャは、課金を行う際、ゲーム特定のポイントの交換され、金銭感覚を麻痺させられることもしばしばある。カジュアル化とともに裾野を大きく広げつつあるオンラインゲームではあるが、若年層やオンラインゲームの経験浅いユーザーに対して、更なる配慮が必要であろう。

収益構造が多様化すればするほど、当然、ユーザーのプレイスタイルも多様化してくる。オンラインゲームが過剰供給されている昨今において、ユーザーのプレイスタイルや嗜好を把握していくことは、今後のオンラインゲーム運営活動に必要不可欠な要素になってくるのではないだろうか。



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