本ブログについて

現在は「理想的な自転車利用環境の実現に必要な情報発信」を行っています。
国内外の事例紹介、政策や研究の検証、設計手法や提言は、主要記事まとめをご覧ください。
※記事内容に疑義や誤りがある場合は、コメントでご指摘願います。

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自転車活用推進法がわかる!新・自転車“道交法"ブック(公式amazon)

 前回(1)に続き、「新・自転車”道交法”ブック」の検証を行います。



5. 車道左側走行原理主義が阻害する自転車活用推進

 本書で疋田は、本書表紙の掲載からも分かるように、警視庁が車道に塗る「自転車ナビマーク」へ絶賛の姿勢を崩さない。

自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P008(疋田)

 さて、そういう中、インフラ系も少しづつ進化し始めている。
 最近の動きの中で最も目立つのが「自転車ナビマーク」だろう。(中略)
 大きな機能が二つ。一つは自転車に「左側通行」を守らせることだ。(中略)
 もう一つが、ドライバーに対しての注意喚起である。(中略)
 「本来、自転車は車道なのです。そこを認識しなさい。今こそ"Share the Road"なのです」というのを教え諭す意味がある。
P6079237 - コピー
「自転車ナビマーク」
東京都青山通り:管理人撮影

 これは自転車ナビマーク、矢羽状の自転車ナビライン、金沢での自転車走行指導帯と地域で名称や形は異なれど、車道左端を塗っただけの存在であることに変わりはない。
 その中で疋田は類似事例金沢を引き合いにするものの、
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P041(疋田)

 また金沢でも数々のナビマークが、青山墓地と同じ結果(クルマのスピードが落ち、自転車が左側通行を守るようになった)を促し、結果として自転車事故が激減した(中略)のは有名な話だ。
 クルマのスピードが落ちたようなデータは公開されていない。それに金沢での事故減も、道路延長のわずか1%に過ぎないナビマークが事故減少を生み出したわけでもない。

【参考記事】
「地球の友・金沢」三国成子の主張と検証(4)自転車政策の目的は「事故減少」なのか

 そもそもこの車道ペイントは、国土交通省と警察庁が明言している通り、自転車を車道に出すために使っていいものではない。
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第7回安全で快適な自転車利用環境創出の促進に関する検討委員会  平成28年2月25日
資料1 パブリックコメントの概要(htmlhtmlpdf)
【パブコメ】
 車道通行があたかも安全であるかのように一般自転車利用者を誤誘導するような整備を推進すべきではない。

【国土交通省】
 暫定形態や路面表示は全ての自転車利用者を車道通行させたり誘導するためのものではありません。
 自動車ドライバーに自転車の通行位置を示し、現に車道通行をしている自転車利用者に対する安全性を可能なかぎり向上させるという考えのもとで設置するものです。
 あくまで疋田や小林のような、既に車道を走っている自転車に対し、おまじない的な安全対策をしたという代物に過ぎない。
 本来その路線に必要な安全性が確保されていない”暫定形態”であり、危険なものを安全かのように誤認させる悪質な存在。

【参考記事】
「自転車の車道走行促進提言」の検証(6)パブコメ結果の整理
安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン改定版の検証(1)危険な「暫定形態」への自転車誘導


 にも関わらず、疋田や小林ら自活研、その主張を利用する警視庁や全国の自治体は、ただ自転車を原理主義的に車道に誘導させる道具に使うという愚行に及んでいる。

【参考記事】
警視庁の自転車ナビマーク:自転車の車道走行誘導政策

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P040(疋田)

 やはり日本人は遵法精神が豊かだから、公的に示されると、(自動車は)それは守る。
 ナビマークが車道に示されても「だからどうした、チャリは歩道だろうがよ、パパーッ」なんてアナーキーなヤカラは滅多にいないのだ。
 小林さんが常々おっしゃる「何はともあれ路上に描け!」というのはじつに正しい。
 車道に塗っただけのペイントの有効性を、自分の見解で主張しているものの、
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第4回 協議資料 P20(htmlpdf)

 類似事例の京都で、ペイントがあろうがそれを避けるような第一車線の自動車の通行変化は生じておらず、
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第4回 協議資料 P22(htmlpdf)

 頑なに安全性や快適性を主張する有識者と異なり、市民の半数以上が安全性に不安を抱え、
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第4回 協議資料 P14(htmlpdf)

 結果として自転車の車道走行割合はほとんど上昇の様子が見られない。

 この京都でペイントの有効性を主張した有識者は、他でもない疋田と小林。委員会委員や実走試験に介入し、最終的には京都市役所に「市民は車道走行に慣れることが重要」とまで言わさせた。

【参考記事】
京都市自転車走行環境整備ガイドライン部会の検証(1)市民意見を切り捨てる実証実験結果
自転車ツーキニスト疋田智のデマ:京都市自転車政策審議会の検証
京都市自転車走行環境整備ガイドラインの欺瞞:「歩行者の安全が第一」の嘘


 繰り返すように車道ペイントは、自転車を車道に出すために用いていいものではない、現に車道を走る人間のためのおまじない以上の存在ではない。

 にも関わらず疋田は
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P041(疋田)

 「マシ」になったことを寿(ことほ)げ

 青山墓地のナビマークを見ると、皮肉屋の自転車乗りは、必ず「こんな狭いところに押し込めて、やはり行政は自転車のことを考えていない」なんて言い出す。
 でも、私に言わせれば、「ま、そんなにコトを急ぐなって」なのだ。
 現に、毎日ここを通る本人(つまり私)にとっては、ペイント前とペイント後では大違いとなった。格段に走りやすくなった。
 というより、以前よりも「はるかにマシ」になった。この「マシになった」部分が重要なのだと思う。そこを寿ぐべしである。
 以前よりもはるかにマシだと感じるのは、命よりも自転車が大事、多少の生命のリスクなど気にも留めない疋田ら車道走行サイクリストの認識でしかない。

 一般自転車利用者にとっては、車道をペイントしたところでマシになったものではない。それを無視しなぜ「寿げ」、黙ってありがたく称賛しろなどと口にできるのだろうか。

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P005(疋田)

 自転車は歩道じゃない、というのはすべての前提にある。
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P006(疋田)

 歩道の自転車は、百害あって一利なしなのだ。
 その疋田・小林の主張の最先鋒が、自転車の歩道走行の全否定。
 しかしその一方で、歩道走行害悪論を覆す事例が、疋田・小林が絶賛してきた金沢で既に創出されている。
 自転車の歩道通行、「自転車歩行者道」の的確な整備により、歩行者・自転車・自動車の通行分離が図られ、道路交通法に基づく安全で快適な自転車利用環境が創出。この実情にも疋田・小林は触れることはない。


 更に疋田は、宇都宮の整備事例を引き合いに、「安全で快適な自転車走行空間」を生み出した手法の拡散を批判・抑圧するような主張を続ける。
 この本書での宇都宮は疋田メルマガからの完全な流用であり、以下記事でその全容を検証済み。
【参考記事】
疋田智「宇都宮の「自転車道」に考える」の検証:”まずは車道左側走行”が破壊する自転車利用

 以下、要点を抽出していくと、
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P046(疋田)

【「自転車道」にちょっと待った!】

 ただし、私ヒキタとしては、この通りの先にある宇都宮市の自転車政策に若干の危惧をもっているのも確かだ。
 なぜか。まずは、いったんこの手の自転車道を作ってしまうと、自転車というものは「自転車道以外の空間を走ってはならない」ということになることだ。これだ道交法63条の3に定められている。
 的確な自転車道をきちんと作れば何の問題も無い話だが、後述のように、その実現を今まで10年近く妨害し続けてきたのは外ならぬ疋田・小林ら自活研。
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P041(疋田)

 しかし、すべての自転車走行空間(自転車道あるいは自転車レーンなど)が、この形を目指すとなると、それはそれで大いに疑問で、いくつかのデカすぎるハードルが待ち受けている。
 まず第一に、この形は時間とお金がかかりすぎる。
 こうして構造分離した自転車道を通そうとすると、どうしても一大プロジェクトとなってしまい、「たかだか400m程度に2年も3年もかかりました」というような話になってしまいがちなのだ。首都圏でいえば東京の環状2号線、通称「新虎通り」がそうだったように。
 同じお金と時間があれば、自転車レーンがいったい何km、いや何十km敷けたことか。
 細部のデタラメとして、新虎通りは道路自体が新規整備であり、あたかも自転車道だけに何年もかかったかのような偽装と印象操作。

【参考記事】
環状二号線の自転車走行環境(1)虎の門地区「新虎通り」自転車道

 一方で確かに、国道16号相模原自転車道では2.6kmの整備に計画含め10年ほどかかったのは事実だが、

 これは必要性の乏しい側道の封鎖と、老朽化した縁石ブロックの交換を兼ねて行ったもの。無駄な柵なども立てておらず、一般的な道路の老朽改修程度の費用で行えている。

 それより増して、この相模原自転車道では自転車の9割以上が一日を通して自転車道を通行し、歩行者のほぼ完全な安全確保が実現された。
 早くて安上がりの名目で「自転車レーン」を何十km塗ったところで、どれだけの効果があるのだろうか。

 なお相模原市民は、相模原駅前に塗られた自転車レーンのあまりの役立たずさも身をもって知っている。

【参考】
国道16号「相模原自転車道」の整備形態(1)双方向通行自転車道の真価
自転車通行環境整備モデル地区:「自転車レーン」の整備事例

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P041(疋田)

 さらには、こうした構造の自転車走行空間のまずい点は、いったんつくったが最後、おいそれと元に戻せなくなってしまうことだ。
 疋田ら自活研が自転車道妨害工作を続けるのは、おいそれと戻せない「亀戸自転車道」という国土交通省の大失敗のトラウマがあるため。

 この欠陥形態の登場以降、自転車道の設計手法を検討することすら放棄し、ただ車道をペイントさせるという思考停止の主張に集約されるに至った。

 しかしおいそれと元に戻せないのは、自転車レーンでも同じこと。

 名古屋市内の国道19号桜通、前期区間では安全で快適な自転車道が整備されたにも関わらず、後期区間では国土交通省ガイドラインを鵜呑みにする形で自転車レーンに改悪。その結果
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同上

 自転車にまともに使用されず、歩道上での自転車と歩行者の交錯という問題が何の解消もされず残存し続けることになった。
 この自転車レーン整備は、あろうことか道路の老朽改修、縁石を交換するタイミングで行われたもの。つまり次の縁石交換のタイミング、20~30年後まで(改修に余計な費用を投じない限り)残存することとなった。
 思考停止の自転車レーンが、どれだけの安全・費用・時間の損失を生むか思い至らないのだろうか。

【参考記事】
名古屋国道事務所:国道19号伏見通り・桜通りの「自転車道」と「自転車レーン」
国道19号名古屋の自転車走行空間現地調査(1)伏見通・桜通の自転車道
国道19号名古屋の自転車走行空間現地調査(2)桜通の自転車レーン

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P048(疋田)

【3つ目が最もタマラナイ、とヒキタは思う】
 日本の自転車状況の何がダメって、一番なのは逆走が多いという現実だろう。これは読者の誰もが首肯してくれることと思うが、自転車乗りが左右デタラメに走るのがスタンダードである現状。これが自転車にとって最も危険なのである。
 こんな国は日本以外にはない。先進国であれ、発展途上国であれ自転車がある程度普及している以上、その走行方向は「クルマと同じ向き」ということで常識化されるものなのだ。
 対面通行(双方向通行)の自転車道自体を疋田が排除しようとする最大の理由。
 日本の自転車状況でもっともダメなのが自転車の右側通行(逆走)であり、それを助長する整備は排除すべきと主張しているものの、

 逆走自体は前回(1)のとおり欧米各国でも生じており、それら国・都市は単に根絶すべき通行とは考えず、通行需要と理解して対面通行自転車道の整備につなげるケースが多々ある。

 そもそも、一般自転車利用者にとっての最大の問題は「車道左側走行自体が危険で不安」で(各地のアンケート結果等から示されて)いることであり、逆走を最上位に据えるのは車道走行に抵抗のない疋田らサイクリスト集団に過ぎない。

 疋田ら通勤・娯楽目的でのスポーツ自転車愛好家にとっては、長距離を車道左側通行で移動できさえすればよく、自身にとって最も排除すべきが右側通行ということ。
 だから自らの快適通行のため、対面通行自転車道を徹底的に批判する発言を繰り返す。

【参考記事】
金沢市内の自転車走行空間整備(1)自転車走行指導帯とバス専用レーン
京都市自転車走行環境整備ガイドライン部会の検証(1)市民意見を切り捨てる実証実験結果
京都市自転車走行環境整備ガイドラインの欺瞞:「歩行者の安全が第一」の嘘

 幹線道路において、危険な路面ペイントに終始するのではなく、適正な交通秩序を作り出す自転車道を整備すべき、そのような主張に対し反論を行うものの、
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P007(疋田)

 もちろんオランダやデンマークのように自転車道が縦横無尽にあれば、そりゃそれに越したことはないが、それが普及するまでに何十年かかるのか。
 とりあえずわれわれの目の前にある「非歩道」は車道なのである。
 車道ペイントの本来の意味、現に車道走行している自転車の安全を(おまじない程度でも)高める、この目的自体を否定するものではない。
 疋田・小林ら自活研の主張の重篤な欠陥の一つは、これとは別個に、並行して進めるべき自転車道の整備を、優先度が低い、それどころか排除すべきかのような言論に終始している点。

 オランダやデンマークのような自転車道網を整備するのに、何十年もかかることなど誰でも分かる。だからこそ早急に、時間を無駄にすることなく、環境創出への議論や検討を行うべきではないのか。
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図2-2: 世界各都市における自転車交通分担率(トリップベース、単位%)
世界各都市における「自転車の交通分担率」の比較より

 車道片側しか走れない都市での自転車活用推進は、オランダやデンマークはおろか、日本にすら到底届かない。
 疋田や小林は、日本の自転車活用推進をそこまでして破壊したいのだろうか。
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P041(疋田)

 一足飛びにできないことを言っても始まらない。ことさらに「これが理想だ」「こうでなくてはならない」とばかり言いつのると、ハードルが高くなるばかりで、結局できるものもできなくなってしまう。
 行政だって「じゃあできないから、やーめた」と放り出してしまう。
 考えてみれば、それがこの20年近くの自転車インフラ整備・働きかけの歴史だったともいえる。
 一歩一歩、今よりもマシな未来に前進すること。その第一歩、しかもかなり有効な第一歩こそが、この自転車ナビマークなのである。
 車道にマーキングすることが、なぜ幹線道路に自転車専用空間を創出する第一歩になるのだろうか。

 現に現在の国土交通省・地方自治体は揃いもそろって、統計捏造や印象操作を繰り返してまで「車道ペイントしただけで自転車は安全になった」とウソをつき、あたかも「だから自転車道は要らない」、本来必要な完成形態の創出を阻害し続けているのが現状。

【参考記事】
千石一丁目の現地調査:「自転車ナビライン」効果検証の実態(ver.あしプラ)
千石一丁目「自転車ナビライン」整備後における発生事故件数の検証
国道246号バス専用通行帯の自転車ナビライン報道資料:国土交通省東京国道事務所の隠蔽体質と道路交通法違反行為助長
京都市自転車走行環境整備ガイドライン部会の検証(4)自転車政策推進室の「車道走行安全論」
大阪市自転車通行環境整備計画の欺瞞:「歩行者の安全が第一」の嘘
自転車活用推進研究会:小林成基「自活研が目指すモノ」の検証(2)
「自転車レーンは最も安全効果が高い」の検証:モデル地区整備結果の実態

 そしてこれらの行政の欺瞞を扇動しているのは、他でもない疋田・小林ら国土交通省に重用される自転車愛好家・自称専門家集団。
 現在の日本においては、自転車ナビマーク等の車道ペイント自体が、安全で快適な自転車環境創出の最大の阻害要因となっている。

 そもそも疋田・小林ら自活研、これらの同志である屋井鉄雄・山中英生・古倉宗治ら自転車研究者は、今までまともに理想的な自転車走路の設計手法を検討したことも行政に提示したこともない。
 この集団は車道ペイントありき、その効果をいかに高く見せかけるかだけに心血を注ぎ、結果的にこれまで何ら有意義な具体的設計手法を導けないでいる。

【参考】
・安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン改定版の検証
 (3)自転車道の一方通行至上主義と双方向通行の否定
 (4)ピクトグラムへの固執と設計手法確立の放棄
・平面交差の計画と設計 自転車通行を考慮した交差点設計の手引」の検証
 (5-1)双方向通行自転車道への見解
 (5-2)双方向通行の自転車道の設計案

 疋田が排除を主張する、日本に乱造された欠陥自転車道、それを生み出したのは疋田ら専門家・研究者集団の設計検討の放棄が原因であると考えないのだろうか。



6. 自転車の車道走行原理主義集団「自活研」

 本書検証の最後。疋田・小林の「本意」や「信念」を引き出していくと、

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P106(疋田)

 ひと呼んで、“自転車ツーキニスト”疋田智であります。自転車通勤人生は、早いものでもう足かけ20年にもなりました。
 荒川区東日暮里から、あるいは江東区東砂から、はたまた港区芝浦から、赤坂のオフィスまで往復し続けた20年。通勤という意味で走ってきたのは、おおむね都心の大通りと路地と坂と平地と湾岸と台地と・・・、と、おや、都会型道路のほぼ全てだ。
 また一方、月に一度、必ず自転車ツーリングに出かけていく。あるときは海岸沿いを夕陽を浴びながら走り、あるときは峠道を標高差1000m以上に至るまで上る。全国47都道府県、もはや走っていない都道府県はどこにもなく、山岳も、海峡も、雨も、風も、雪も、おや、これまたほぼすべてのシチュエーションを走った。
 赤坂までの自転車通勤がライフワークとなった疋田は、その「熟練サイクリスト」としての自身の経験や立場が主張の最大の根幹となっており、
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P007(疋田)

 私など、前後に子どもを乗せたまま、電動アシスト乗せ自転車で、つねに車道を走っているが、車種がママチャリであれ、基本はロードバイクやクロスバイクと同じだ。
 本来必要な安全が確保されていない自転車ペイント上でもお構いなく、自分の子供を道連れにしてでも持論の正当化に血眼を注ぎ、

自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P005(疋田)

 交通弱者とは何か。(中略、高齢者やベビーカー等の歩行者を挙げ)要するに「みずからは他者を傷つけないが、他者からは傷つけられる存在」、それを交通弱者という。(中略)
 もちろん自転車というものは交通弱者には入り得ない。
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P092(小林)

 子どもを持つお母さんたちから、子どもを乗せて車道を走るなんて怖くてできない、という切実な声が、私たちのところにもたくさん寄せられた。歩道を走る権利を認めて欲しい、と言うのである。政治家や警察の幹部は、こうした声には弱い。つい八方を丸く収めるつもりで、ママチャリならかまわないのではないか、スポーツ自転車で走る人は車道へ、といった本筋を外れた発言をして、それがマスメディアで拡散され勘違いの輪を広げている。
 子どもを乗せたお母さんの自転車と、子どもの手を引いて歩くお母さんのどちらが「弱者」かと聞かれて、自転車と答えるバカはいない。
 ママチャリであろうと交通弱者にはならない、権利を主張する権利などないとでも言わんばかりの姿勢だが、
第96回国会衆議院 交通安全対策特別委員会 4号 昭和57年04月22日(htmlpdf)
久本禮一政府委員(警察庁交通局長)

 確かに自転車に歩道を通行させているという実態はあるわけでございますが、これは車道を自転車が自動車と一緒に走るということでは、自転車が交通弱者でございまして、そういった意味で事故に遭いやすい自転車を保護するという意味から、妥協的な措置として歩道上を通行さしているという点がございます。しかし、歩道上の自転車の通行は一転して歩行者に対してはかなり脅威になるという面がございます。
 警察庁も分かっているように、当たり前の話だが、弱者というのは交通モード間の相対的な位置づけに過ぎない。
 自動車に対して交通弱者のために、自転車が守られる環境、わざわざ歩行者を脅かす強者とならずに済む環境創出を強く主張すべき立場でありながら、ただ車道に色を塗らせるだけの活動に終始。


 疋田・小林ら自活研、スポーツ自転車愛好家集団にとって自転車は、環境問題や健康問題を解決し、一つの高度な交通手段と位置付ける「崇高な存在」であり、
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P004(疋田)

 そう(※自転車が歩道を走らない)でなければ、自転車の果実は得られないからなのだ。(中略)
 自転車は「それまでクルマが果たしていた役割」の一部(または全部)を代替する(中略)、そのことがエコなのである。
 ということは、自転車が歩道を「歩行者の代用」として走っているのでは、エコという意味はなくなってしまう。「自転車はクルマの代わりの役割をはたして、はじめてエコ」。ここの部分、行政などはよく認識していただきたいものだ。
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P005(疋田)

 また健康についてはどうか。ここの部分も、自転車が歩道を通っているようではキビシイ。
 これも構図は同じで「歩くよりも楽だから自転車」という距離しか走らないのでは、歩くより、かえって腹まわりはメタボ化してしまう。この部分に関しても、これまでクルマの座席に座っていたのを自転車に置き換えるから、腹の脂肪が燃えるのだ。
 環境についても健康についても、高度な成果なしには「自転車の果実」を享受できないらしい。
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http://www.hillsidestudiobnb.com/

 日本における高齢化社会の進展、ヒザが悪く長い距離は歩けない、バス路線も近くにない、その環境に置かれた高齢者にとって、自力で外に出て買い物に出られる交通手段の有用性は何よりの「自転車の果実」ではないのだろうか。

 これまで運動に関心が無かった人物が、自転車に乗るようになり食欲が増す、多少体重が増えたところで体力や筋力向上という成果も「自転車の果実」ではないのだろうか。

 数kmの距離ですがマイカーに頼っていた人物が、13km/h程度のママチャリで買い物に行くようになる、これも環境と健康から見た「自転車の果実」ではないのだろうか。

 都心部でも自家用車と駐車場を保有できていた高給取りのTBS疋田にとって、かつて乗り回していたマイカーを完全代替できなければ自転車に意味を感じないという認識は分からなくもないが、
 何故それを一般自転車に、自転車政策に強要しようとするのだろうか。
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P013(小林)

 安全快適な自転車利用環境のためには現在の道路を改善しなくてはならないが、すぐには予算もないし、国民の理解も得られにくい。でも、遠からずクルマは減るし、自動停止装置の付いたクルマも増える。まずはクルマと自転車が車道を一緒に走ることに、みんなが早く慣れてくれないと道路交通の正常化はできない。
 このような原理主義を唱える集団が自転車有識者として幅を利かせる状況で、どうやって自転車環境整備への国民の理解を得るというのだろうか。

 自転車で車道を走っても差し支えない、全ての幹線道路が4000台/日以下で30km/h以下の自動車交通量になるまで一体何十年かかるのだろうか。

 既存の自動車交通も車線もそのまま、ただペイントしただけの空間に自転車を誘導させる、これの何がどう道路交通の正常化なのだろうか。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P013(小林)

 また、年に2400万人ものインバウンド(外国人観光客)が押し寄せる時代である。多くが日本と違って右側通行の国からの客だ。早く道路にクルマや自転車の進行方向を矢印で示すことが、まさに焦眉の急なのである。
 もはやロンドン市民もニューヨーク市民も、自転車の果実を享受し始めた外国人観光客は、車道端をペイントしただけの空間を自転車スペースなどとは認識しない。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P007(疋田)

 とりあえずママチャリユーザーたちに最初に言っておきたいことがある。「コツをつかみさえすれば、車道は思ったほど危険じゃない」ということだ。(中略)
 一つには道を選ぶことだ。特に幹線道路に関しては、明らかに走りやすい道路と、その逆がはっきりしている。
 道を選ばなければ危険で走れない、そのようなコツを掴むまでの”慣れ”が必要な都市環境に、外国人観光客を放り込むのだろうか。

 現在の車道自転車マーキングは、車道を走る自転車の安全を速やかに高めるという目的のため、危険な道路から順にペイントを進めている。
 本来危険な路線を、あたかも安全な推奨ルートかのように誤認させる、そのような欠陥空間で観光客を「おもてなし」するのだろうか。


 本書検証の最後の引用箇所、P116~P118の疋田のコラム。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
【COLUMN-07- 味噌も糞も一緒にするな】(疋田)

P118
「パーキングメーターを廃止し、車道の左端は自転車の走行スペースとして確保すべきだ」
「でも、自転車はルール守らないじゃん」
P116
どんなに有効で安全に資する提案でもこの言葉一発でオジャンになってしまう。

P118
 それに、よくよく見てみますと、ロードバイクよりもママチャリのほうに圧倒的に法令違反は多いんですぞ。そういうものも含め、味噌も糞も一緒にしちゃいかんと私疋田は思うのです。
 ルールを順守する、おとなしく正しく車道左端を走る「味噌」である自分たちが、ルールを守らず歩道を爆走するママチャリら「糞」と一緒にされるせいで、正論を出してもすべてルールを守って言えと一喝される。
 糞のせいで、味噌が迷惑を被っているのだと。

 安全で快適な走行空間を求める一般自転車の声に対し、「車道左側走行を守るのが先だ」と言葉一発でオジャンにさせようとしているのは一体誰だろうか。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
【COLUMN-07- 味噌も糞も一緒にするな】(疋田)

P18
 「Aの問題」と「Bの問題」をゴッチャにして混ぜっ返して、ひとり「みんなわかっちゃいないな」みたいな顔をしてる。本人は、両親は気取りで悦に入っているかもしれないんだけど、構造的に大間違いなのである。
 走行空間を整備する問題を、現行の危険な道路空間でルール順守を要求する問題と優先順位をつけさせ、議論を抑え込もうとしているのは誰なのだろうか。

 自転車が歩道を爆走するのも、ロードバイクが自動車と輻輳するのも、本来道路にあるべき自転車走行空間の欠如が引き起こしているもの。
 歩行者には歩道があり、自動車には自動車がある、しかし自転車には、自動車から弱者にさせられる車道端しか用意されない。

 道路上での権利を認められない自転車が、その反発のため歩行者と自動車の権利を侵害せざるを得ない状況に追い込まれる、このような不幸な環境の改善を目指すことをハナから放棄し、ルール順守に論点を矮小化しているのは誰なのだろうか。
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TBSプロデューサー・NPO法人自転車活用推進研究会(公式HP写真)
自転車ツーキニスト疋田智
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NPO法人自転車活用推進研究会理事長(twitter写真)
小林成基

 車道左端をおとなしく走れさえすればいいスポーツ自転車愛好家集団が、スポーツ自転車活用推進のための欠陥法律「自転車活用推進法」を作り出し、自分達スポーツ自転車活用推進のためだけに活動を繰り返す。

 サイクリストしか走れない環境でも十分、国民をみなサイクリストにすればいい、残念ながらこの疋田にも小林にも自活研にも、サイクリストの自転車活用推進以外の何も見えていない。

 自転車活用推進を名乗る集団により、日本の自転車活用推進が阻害され続ける。残念ながらこれが本書に見る、日本の自転車政策の現状です。

 本検証シリーズは以上です。


【参考】
ブログ主要記事まとめ
(※国内外の自転車走行空間の整備事例、事故分析、自転車政策の検証などを行っています。)

51AZ0nyxujL
自転車活用推進法がわかる!新・自転車“道交法"ブック(公式amazon)

 本記事ではこの平成29年5月30日発行の書籍、
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TBSプロデューサー・NPO法人自転車活用推進研究会(公式HP写真)
自転車ツーキニスト疋田智
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NPO法人自転車活用推進研究会理事長(twitter写真)
小林成基

 「自転車活用推進研究会」を名乗るスポーツ自転車愛好家集団、自転車ツーキニスト疋田智と小林成基による共著「新・自転車”道交法”BOOK」の検証を行います。



1. 自転車の車道走行の危険性

 初めに、この書籍は初版第二版に続く事実上の第三版であり、内容のメインは「歩道と車道しかない日本の道路空間を自転車で走る方法」を解説した走行の手引書。

 この本題部の内容には異論はなく、本記事でも取り上げませんが、検証の対象となるのはこの疋田・小林の自転車通行空間・自転車政策に対する根本的な認識。

 両氏、所属団体「自活研」、その主張を全面的に踏襲し重用する国土交通省・全国の自治体が繰り返してきた杜撰な主張と政策についてはこれまで本ブログで検証してきた通りであり、本書でも疋田・小林について根幹の「信念」が揺いだ様子はない。

 一方で、本ブログ等による批判を受け、その主張は微妙に表現や視点を変えてきており、自活研の信念を生き永らえさせるための新たな論点すり替えや詭弁に走るようになっている。

 本記事ではその自活研の最近の変化を踏まえつつ、本書における疋田・小林の主張について網羅的に検証していきます。


 まずは、自転車の車道走行の危険性から。

 疋田・小林はこれまで、自転車は車道より歩道の方が危険、車道に出るだけで自転車は安全になるという主張を繰り返してきた。

 しかしその根拠に上げるデータ類がことごとく、捏造・情報隠蔽・統計操作・印象操作・憶測によるものでしかなく、疋田・小林の破綻した倫理観を徹底批判してきた通り。

【参考】
自転車ツーキニスト疋田智「道交法は戦前の名残?」の検証
自転車活用推進研究会:小林成基「自活研が目指すモノ」の検証(2)
自活研古倉宗治「自転車の歩道走行は車道走行の6.7倍危険」の検証
ブログ主要記事まとめ

 一方で本ブログによる批判は疋田・小林も認知している所であり、本書で多少その主張の様相が変わってきた。

自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P006(疋田)

 車道が自転車用にできていない。これはニッポンの少なくない車道において事実である。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P006(疋田)

 (管理人注:東京に比べ)ところが地方に行くと、これが変わる。(中略)ホントに自転車は歩道の方が「ちょっと安全」になってしまった。
 東京は後述の車道ペイントでこんなに走りやすくなったとの主張は変わらずだが、道路状況によって、必ずしも車道走行が安全ではないような記載が見られる。
 これまで、道路状況に関わらず、自転車は歩道より車道の方が安全とした主張は何だったのだろうか。

 そして車道走行が、それ単体では危険なものだという認識も多々見られる。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P097・098(小林)

【車道を走るならハンドサインをマスターしよう】
 (前略)でも、車道を走ろうと決めたら、行く手を阻む路上駐車をパスするために右手のハンドサインは必須だ。後続のクルマのドライバーにこれからの挙動を知らせるとともに、お願い!無事に行かせてね、と意思表示する必要があるからだ。さらには、追随する他の自転車に、これからまっすぐ行く以外のことをするから身構えてね、と知らせる意味もある。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P042(疋田)

【あとはドライバーの意識だ】
 だが、昨今、その横断帯が続々撤去され、まっすぐに進める交差点が増えたのは、警察庁の英断といえよう。ただ、それがドライバーに浸透しているかは別問題で、私は右手をまっすぐ真上に上げて「通るぞー」というハンドサインを出すことが多い。大きな交差点であればあるほどね。
 ハンドサインという手間が命を守るために必須であり、
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P081(疋田)

 大まかに言って、この2つが基本だ。これらのサインを(できれば)相手のドライバーの目を見ながら(つまり後方を向きながら)行う。それが理想なんだが、ま、多少の技量は必要なわけで、私ヒキタの大オススメは、バックミラーをつけることだ。あらかじめミラーで右後方を確かめておくことができれば、クルマに対する恐怖心が大幅に減るはず。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P007(疋田)

 左側通行を守り、信号を遵守し、つねに後ろを確認しつつ(だからしてバックミラーは必須)走る。
 バックミラーを必須装備だとする。

 歩道や自転車道など構造分離空間であれば不要である、それら手間や装備が必須と明言するほどに車道通行が危険であり、後述する「自転車活用推進」の阻害要因となる面倒な対策が必要だとせざるを得なくなっている。

 次が、日本の自転車行政の元締めである国土交通省が実施し、疋田ら自活研が大絶賛してきた「札の辻自転車ナビライン」について。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P060(疋田)

(東京都港区「札の辻交差点」に引かれた矢羽ペイント「自転車ナビライン」について)

 肝心の自転車レーンを違法駐車車両が潰している、などのタマラナサは依然あるものの、ようやく行政も「札の辻を渡る車両の中には、自転車も含まれている」ということを理解してきたといえよう。
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(参考)東京国道事務所:札の辻交差点自転車ナビライン
http://www.ktr.mlit.go.jp/toukoku/anzen/cycle/index.htm

 自転車ナビラインというペイントの日本初事例であり、国土交通省・警視庁が鳴り物入りで行った事業でありながら、未だに駐停車車両に潰される状況だという。
 自転車の通行位置をデカデカとペイントすれば、自動車は駐停車をしづらくなる、その疋田の主張はどこに行ったのか。

 しかもこれは平成25年3月8日の供用開始からもう4年以上経っており、全国的に有名な鳴り物入りの事業、そして大交差点という場所でありながら、警視庁の取り締まりも効いていない状況。
 札の辻ですらこの有様、自転車レーン・自転車ナビライン等の自転車の車道走行の限界として、もう結論は出たのではないだろうか。

【参考記事】
千石一丁目の現地調査:「自転車ナビライン」効果検証の実態(ver.あしプラ)

自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P060(疋田)

 矢羽根マークも、左折ドライバーの注意を促す結果になればいいがと、私ヒキタは切に願っている。
 願っている・・・?
 車道にペイントするだけで、自動車は自転車の動きに注意を払ってくれる、明確な根拠と自信をもって実施を主張したのではなかったのか?

自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P033(疋田)

 とはいえ、危険な場合にも車道を走れと言っているわけではない。危なかったら躊躇なく歩道や路側帯に逃げろ。法を守って死んだらシャレにもならない。
 自転車は歩道より車道が絶対的に安全、その主張は疋田本人が完全に否定するところとなってしまった。



2. ウソをつく日本の自転車利用状況・事故統計・歩道通行

 日本の自転車状況に関する、都合のいい情報取捨やデタラメについて。

 これまで散々繰り返してきた、「車両である自転車は車道走行が原則」の正当性の主張は変わらず。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P003(疋田)

 第一「これからは自転車は車道になった」なんて認識からしてまったくの誤りで、自転車は明治に欧州から輸入されてからというもの、ずうっと車道を走るものなのである。これは道交法の18条に定められていて、一度たりともそのポリシー自体は、変わったことがない。
 自転車は車道を走る、この原則自体は確かに規定以来不変のものだが、制定当時の道路環境は現在とまったく異なっている。
20150620_02_03
・大正期の日本橋(出展元)
道路交通法の欠陥:「車両である自転車は車道走行が原則」(2)原則の設定経緯と妥当性より

 大正9年、規定成立時の道路環境に自動車などおらず、車道を走るのは自転車・牛馬車・路面電車だけ。
 車道走行の規定はもともと自転車と自動車の混在を想定したものではなく、その通行の妥当性を示すものではない。

 この問題について、疋田は自身のブログで反論めいた主張を行っているものの、本著でその事実には一切触れられていない。
【参考】
自転車ツーキニスト疋田智「道交法は戦前の名残?」の検証

 次は極めて悪質な、自転車事故統計に関する完全なウソ。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P090(小林)

 ひと昔前なら自転車の事故だからといって多めに見てくれる傾向があったが、いまでは事故件数が減らないこともあって世間の目は厳しい。
 自転車の事故件数が減らないと主張しているが、
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 自転車事故の死者数・負傷者数とも最近は減少の一途で、
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 自転車対歩行者事故もH21頃から減少に向かっている。
(※ずっと自転車が歩道を走っていた日本におけるH12からの不可解な激増は、歩行者側の歩きケータイにも原因あり)

 いずれについても、平成23年10月25日警察庁の通称「自転車の車道走行促進通達」以前から自転車関連事故は減少を続けており、一方で疋田・小林や国土交通省ら日本の自転車行政は、歩道走行のせいで事故が減っていないという主張をデータ無視で繰り返している。

【データ引用元と参考】
日本の自転車関連事故:件数・死傷者数・対歩行者事故の推移(H28更新版)
自転車対歩行者事故の発生原因:「携帯電話とiモード」
近年の自転車施策・検討会と「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」

自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P006(疋田)

 日本の自転車事故率が非常に高いのは有名な話だが、その温床として、こうした(歩道主体の)プアなインフラがあるのは間違いない。
 もう一つ疋田・小林らが多用するデタラメ。世界的に見て日本の”自転車事故率”が高いような主張を行っているものの、このデータの実態は
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図1-2-2: 世界各国の人口100万人あたり交通事故死者数とその内訳

 国民あたりの自転車の死者数のこと。確かに日本は世界的に見て上位だが、その世界”ワースト”はダントツでオランダ。自転車利用が多いオランダや日本が、そもそも自転車が使われない後進国アメリカ・イギリス・フランスより高くなるのはある程度避けられない。

 しかし疋田が口にする「自転車事故率」、これが真に示される走行距離当たり死亡者数では、オランダは世界で最も安全であり、日本は後進国アメリカやイギリスより安全性が高いとされている。

【参考記事】
世界各国の「自転車死亡事故リスク」と「自転車走行距離」の比較
世界各都市における「自転車の交通分担率」の比較

 自転車が車道しか走れないかつてのアメリカ・イギリスの方が、歩道主体のプアな環境の日本より危険だった。これについても疋田・小林は一切無視。

 次に、自転車の歩道通行についての、道路交通法の規定に関するデタラメ。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P051(疋田)

 (※自転車歩行者道について)実際には、歩道の全体が自転車歩行者道(自歩道)なので、基本的には徐行(時速7・5km程度)だし、歩行者優先であり、「ここが自転車」とペイントされた中を歩行者が歩いていても、なんら問題ない。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P027(疋田・小林)

 自転車にとって、歩道は「場合によっては通ってもいいことがある」というスペースなのだ。あくまで「通ってもいい」に過ぎないのであり、歩道上に自転車マークがあろうが、その自転車マークに「こちらでーす」と矢印があろうが、地面に自転車用のペイントがあろうが、そこは「ここ“も”通行可」というだけで、自転車は基本、車道なのである。
 自転車歩行者道は、いかなる場合にも、路面に何が描かれていようが自転車は絶対徐行、歩行者がそこを歩いても問題ないように主張しているものの、
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http://www.city.himeji.lg.jp/s80/2212827/_9367.html
道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 別表第6(html)
規制標示「普通自転車の歩道通行部分(114の3)」

 歩道にこのような自転車マークがあり白線で区分されていれば、(歩行者がいない場合)自転車の徐行義務は解除され、更には歩行者にも不侵入努力義務が課される。

【参考】
自転車の交通ルール(5)歩道の通行方法

自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P092(小林)

 じつは、歩道でも例外的に徐行ではなく、だいたい時速15kmくらいで合法的に走ることのできるところもある。その場合も、そこに歩行者がいたらやっぱり「徐行」することとになっている。
 その例外の存在にも本書で一か所だけ(隠蔽ではないというアリバイのためか)一応言及しているものの、15km/hという規定はどこにもなく、例えば20~25km/hでも歩行者・自動車に対する安全が確保されるなら問題はない。

 道路交通法に基づく自転車の乗り方を指南する本で、道路交通法の規定を自分に都合よく隠蔽・解釈するという悪質さ。



3. 自転車活用推進法という杜撰法律

自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P009(疋田)

 そこに、最も大きな動きとして加わったのが、先ほどからちょびちょびと触れている「自転車活用推進法」の成立だ。
 本書の副題にもなっている平成29年5月1日施行「自転車活用推進法」、これは自活研小林らが中心となり成立させた法律ですが、
 実態はその名称とは裏腹に、一般自転車利用を軽視したスポーツ自転車偏重、法律としての根幹・細部の不備など、疋田・小林らの真意がそのまま法律と化したような代物。

【参考:自転車活用推進法の検証】
(1)自転車の真価を理解しない基本理念
(2)自転車レーン至上主義
(3)"自動車駐車場”の整備推進
(4)法律としての疑義
(5)法の正体とスポーツ自転車愛好家集団の利益誘導

 この法律の杜撰さは上記で検証済みだが、以下本書での言及を2か所取り上げると、
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P012(小林)

【車道の左に走行空間を整備】
 8条1は「良好な自転車交通網を形成するため必要な自転車専用道路、自転車専用車両通行帯等の整備」を検討し、施策として実施する方針が示されている。(中略(※管理人注:専用道路は所謂サイクリングロード的なもの))
 では、自転車専用通行帯等の「等」は何か。2016年7月に改訂版が公表された「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」にある車道上の「法定外表示」を含むことになる。なぜなら、このガイドラインは、自転車ネットワーク計画を前提とした指針だからだ。では、なぜ専用道と通行帯だけ書いて、他を「等」でかたづけているかというと、ガイドラインではこの2つの形態を最終形と位置付けていて、それ以外を暫定形態としているからだ。
 これは法律の主導者小林自身が、法律・法律用語の内容を理解していない箇所。

 自活法が重点施策とする「自転車専用道路」と「自転車専用車両通行帯」等の整備、多様な形態がある中で(「等」付きとはいえ)なぜこの2種を明記したのかという疑問に対し、この2種が「自転車ガイドライン」における完成形態だからだと主張しているものの、

 「自転車専用道路」は車道併設ではないいわゆるサイクリングロードで、自転車ガイドラインが位置付ける完成形態の「自転車道」(=歩道と車道の間にある空間)とは法律上まったくの別物。

 つまり自活法の規定は、自転車ガイドラインの完成形態を明記していないことになる。小林の法律用語に関する無知のため、条文の欠陥を生んだのだろうか?

【参考】
安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインの検証(2)「完成形態」の欺瞞と危険性

 更にはそもそも、自転車ガイドラインが完成形態として挙げる「自転車専用通行帯(=自転車レーン)」も、後述の国外では危険で不快な形態としてもはや整備推奨されなくなった旧時代の産物。
 疋田・小林が主張する「車両である自転車は車道左側通行が鉄則」という持論のため、日本の自転車通行空間整備が世界的時代遅れに停滞させられた状況にある。

【参考】
自転車活用推進法の検証(2)自転車レーン至上主義

自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P013(小林)

【駐車場整備で自転車レーンを守る】
 自転車利用者にとって涙無くしては読めない悲願とも言うべき項がこの8条2「路外駐車場の整備及び時間制限駐車区間の指定の見直し」である。
 例によって法律分はわかりにくいが、言っていることは2つだけ。
 第1に駐車場を整備せよ。
 自転車の法律だから駐輪場と勘違いしてはいけない。ここで言う駐車場はクルマ用である(駐車情報2条2項に規定する路外駐車場をいう)。
 第2に、道路上に白線で枠を描いて時間数百円で駐車させる、いわゆる「パーキングチケット」の見直しである。
 自転車法なのにクルマの駐車に関して方針を設けたのはなぜか?
 前のページで解説した8条1を思い出していただきたい。
 自転車ネットワークのために車道の左に、自転車走行空間を整備することが国や自治体の責務になったが、各地で自転車道や自転車レーンなどの整備が進んだとしても、そこに路上駐車されてしまったら自転車が走れない。
 だから路外、つまり道路以外の場所にコインパーキングなどをちゃんと用意して「停めるところがないからやむを得ず路駐したんだ」といった言い訳ができない環境を整備しよう。そのうえで、地域の公安委員会が指定している必要悪としてのパーキングチケットも「見直し」、つまり指定をやめて車道左をルールどおりに走る自転車の安全快適を保障しようということだ。すぐには実現しないが、方向と手順は明確に示された。
 問題は路上で荷下ろしをするトラックや客の乗降のために止まるタクシーなどだ。
 タクシーは短時間だから、停止と発進の際に自転車通行を意識してくれれば大丈夫だろう。
 中心市街地に立地する商店などの荷下ろしや荷さばきのためのスペース確保は課題だ。
 欧州のように幅広い歩道があれば、その一部を利用できるように縁石で区切る工夫もできるが、なにしろ道路スペースが不足している。自転車通行の多い時間帯には規制することを検討してもらいたい。また、近くのコインパーキングなどに荷下ろし用スペースを設けて、短時間無料、あるいは特別割引を適用するなどの工夫が一部地域で始まっている。さまざまな知恵と、店舗・流通業者・地域行政の協力が必要になる。私としては新法施行後の大手コンビニ会社の対応に注目している。
 もう一か所、長文ながら自活法の最大の欠陥の一つ。自転車活用推進を謳いながら、都市内に自動車のための駐車場をガンガン整備し、自動車の活用推進を引き起こすという欠陥規定。

 そもそも疋田・小林らが整備を主張する、自転車レーンという帯状ペイント、自転車ナビマーク・ナビラインというマーキングとも路上駐停車を防ぐことは不可能。
 そのために路上駐停車を排除する、”自動車”活用推進に至ったとしても自動車駐車場を作らせ対応する、この倒錯した主張に至っているものですが、

 そもそも本来、自転車走行空間と路上駐停車スペースは競合するものではない。
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 自転車活用推進を掲げた法律でありながら、都市内における”自動車”の駐車場を整備し、自動車の利便性を高めた都市づくりを促すというデタラメぶりは既に検証した通り。

【参考記事】
自転車活用推進法の検証(3)"自動車駐車場”の整備推進



4. ウソをつく世界の自転車利用状況

 疋田・小林ら自活研が、日本の自転車環境の批判のために度々使ってきた国外状況への言及。
 しかしその主張は、ことごとく国外事例の不都合箇所の隠蔽・都合のいい抜粋や曲解であり、それは本書の記載でも変わっていない。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P004(疋田)

 これからはその車道というものをシェアしましょうというのが、今後のポリシーなのだ。
 欧米諸国ではすでに多くの都市がそうなっていて、車道に自転車レーンが敷かれ、あるいは自転車道が整い、中心街にクルマが入れない都市も多い。
 車線を削って自転車道を整備、これはどこの国も都市も「シェア」等とは呼んでいない。自動車との混在を「シェア」の名目で強いられてきた環境から、自転車専用の分離空間を創出する、これが近年の潮流であり、
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SBL_01_042_02
アメリカの構造分離自転車走路ガイドライン:「Separated Bike Lane Planning and Design Guide」より

 国外各都市は、危険な「自転車レーン」と安全で快適な「自転車道」を、同じ車道空間で同一視などしていない。危険形態から安全安心な走行空間への転換、自転車と自動車がシェアしなくとも済む空間を目指している。

自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P061(疋田)

 海外では交差点手前で自転車レーンとクロスする
 あたかも海外で一般的かのようなこの形態も、
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 交差点手前で自転車レーンと左折(米蘭は右折)レーンとクロスさせる、これは自転車中流国ドイツ、後進国イギリス等しか採用していない危険な方式であり、オランダに倣ったアメリカやイギリスはこの形態の整備を止めている。

 次は自転車とバスの空間重複強要。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P082(疋田)

【停車中のバスの脇を通過できるか?】
 ひとこと断っておきたいのは、われわれ自転車乗りは、バスと共存すべきである、ということだ。(中略)
 というのがテーゼなんだけど、注意しなければならないのは、バスと自転車は路上の走行エリアが似ていて、平均スピードが似通っていることだ。いずれも車道の左側を走り、平均スピード(バスの場合、停留所分をならすと)が同じようなレベルとなる。
 結局、抜きつ抜かれつの関係となり、お互いがお互いにイライラすることになりがちだ。
 バスと自転車は平均スピードが似通っている、だから空間を共有しやすいとデタラメを言っていたのは誰であろうか。

【参考】
国道246号バス専用レーンへの「自転車ナビライン」設置:検証記事シリーズ
国道246号バス自転車共用レーンの発端:「TOKYO自転車革命」シンポジウムの検証
国道246号「自転車ナビライン」:バスレーン時間帯の現地状況調査
・金沢市内の自転車走行空間整備
  (1)自転車走行指導帯とバス専用レーン
  (5)主導者「三国成子」と「自転車の車道走行原理主義」

 本書ではその欠陥を認めたのか、自転車とバスの抜き合いで生じる相克について言及せざるを得なくなっている。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P087(疋田)

 じつは、このバス専用レーンという存在、交通政策全般をも巻き込み、フランスなどでは大きな成果を上げているという。バスレーンが広く、停留所スペース(道路の切り欠き部分)が用意されているところが前提だが、大まかなところ、次のような図式だ。
 これは自転車後進都市パリ、自動車の車線を削減し自転車とバスの専用空間に充てることをしない都市で採用される妥協策に過ぎず、
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P063(疋田)

 どうしようもなければ停まって、バスが動くのを待つべし、だ。しかしながら、バスの後ろについて停車し、乗降客の乗り降りを待っているのも、これまたツラい話で、なぜならばバスは必ず後方から黒いディーゼル排気ガスを出し続けているから。
 私が思うのは、バス通りには、やはりバスなりの太い車線を用意し、バス停に関しても歩道に切り欠きを作ってほしいということだ。
 つまりバスと自転車がお互いストレスなく抜きつ抜かれつできるようなスペースを用意して欲しいということなんだけど(中略)、インフラに文句を言っても、なかなか一足飛びには難しい。

 歩道に切り欠きを設けたところで、自転車とバスはお互いに抜き合いのストレスを溜め、自転車はバスに走行阻害され、あげく排気ガスを信号待機の間ずっと浴びせられる。
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 自転車とバスの混在強要、この形態から世界各都市は脱却し、歩道・自転車走路・緩衝帯・バス車線という完全分離に切り替えている。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P083(疋田)

 福岡では、一部このような「アイランド型」のバス停がお目見えしている。自転車レーンをバスの左側に通し、自転車にとっての安全性を高める試みだ。
 この形態は疋田も言及を余儀なくされており、「われわれ自転車乗りは、バスと共存すべきである」といいながら、完全分離形態を書内で示すという矛盾が発生。

 続いて自転車の「逆走」について、
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P032(疋田・小林)

 その結果「ほとんどの自転車が右も左もデタラメに走る」という、ユニークすぎる状況が現出した。もちろん日本だけの蛮習だ。
 と主張しているものの、

 国外でも車道逆走や歩道走行はいくらでも発生している。
 確かに日本ほどの割合ではないが、それはアメリカ・イギリスの自転車交通分担率がわずか1~2%、車道片側通行さえ出来ればいい「サイクリスト」しか自転車利用が許されない環境だったため。

 そしてアメリカ・ニューヨークではこれら問題の解消のため、車道の横断距離減少(=車線削減)により反対側に渡りやすくする、或いは「逆走」を通行需要と解釈し対面通行自転車道を整備しするなど、自転車活用推進を念頭に置いた改修に手を付けている。

 次が今回(1)の最後。
自転車活用推進法がわかる!新・自転車”道交法”BOOK(公式amazon)
P092(小林)

 1日も早く車道に自転車が走れる安全で快適なスペースと交通環境をつくらなければならない。子どもたちが、大人になったら車道を走るんだ、と憧れるくらいさっそうと走れる自転車レーンを作りたいものだ。
 なぜ大人にならなければ走れない、子供では危険で走れない自転車レーン、こんなものを作りたいなどという考えが出るのだろうか。

 黄色いウェアにヘルメット、スポーツバイクにまたがり自動車と車道上で戦う「かっこいいサイクリスト」しか自転車利用が認められない環境、ロンドンが当初目指したこの自転車政策は失敗し、方針転換に追い込まれた。

 日本のママチャリに手の生えたダッチバイクに普段着で乗り、大人も子供もノーヘルメット、自転車保険義務なども当然なく、「サイクリスト」でなく全ての市民が安全で快適に通行できる都市、ニューヨークもロンドンもこのオランダ・アムステルダムを目指す自転車政策の大転換に至った。


 自活研疋田・小林は、「自転車活用推進法」という法律を自ら作り出したにも関わらず、自転車の活用推進を阻害する主張に未だ終始し、自分に都合のいい環境を最優先で実現させようとする姿勢は今まで何も変わらない。

 本書の検証、後半となる次回(2)に続きます。

【参考】
ブログ主要記事まとめ
(※国内外の自転車走行空間の整備事例、事故分析、自転車政策の検証などを行っています。)

他記事の検証根拠用として、今回は短記事です。

タイトル通り、ドイツは本当に自転車先進国なのか?ドイツ都市は本当に自転車先進都市なのか?

日本においては、それが通説であるかのように言われることが多々あり、
【例】
http://cyclists.jp/legist/symposium-2013.html
http://bigissue-online.jp/2013/03/13/hikita-san-2/
https://www.remmon-auto-systems.com/single-post/2016/10/07

 ドイツでは自転車レーンが完備されており、自転車の車道走行が浸透・徹底されている自転車先進国であり、歩道走行が当たり前の野蛮な日本とは違う、このような主張が度々されますが、

 本ブログの過去記事で見た感じでも、それら一部の日本人の言説と様子が大分違う。

【参考】
ドイツ・ベルリン市の自転車走行空間(その1)「多様な整備形態」
ドイツ・ベルリン市の自転車走行空間(その2)「市中心部」と「Wall Trail」

 ただしドイツは、Google StreetViewが2008年で止まっている。これはドイツ人の(←GSVの撮影国を見る限り世界先進国でトップクラスに)プライバシー意識の高さによるものとのことで、他国のような観察が不可能。

 そこで個人ブログで情報収集をしてみると、(ベルリンの様子)
door_free_bike_lane
Cyclepaths in Berlin
Off The Beaten Path July 12, 2013(html)
danziger-strasse1
Berlin does not have a cycle network
The Alternative Department for Transport 30th of September 2014(html)

 このような車道に引いただけの自転車レーンも少なくないものの、一方で
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Cyclepaths in Berlin
Off The Beaten Path July 12, 2013(html)
P1070103-Medium
Biking in Berlin
Snapshots from Berlin September 3, 2013(html)
IMG_2315
Biking Berlin
Bicycle Colorado Sep 4, 2015(html)
no title
Berlin approves 13 new bike superhighways
curbed.com Mar 7, 2017(html)

 このように日本と同様、自転車専門家が「歩道を色分けしただけ」と批判しそうな形態が多数。日本と同じようないわゆる自転車横断帯も存在。
 更に言えば、自転車走路が不必要なブロック舗装で、自転車の通行に配慮していない点も日本に近しい。

 幹線道路の割合で言えば、構造分離(自転車道or歩道上走路)と非構造分離(自転車レーン)は感覚的に半々といったところ。
 半々とはいえ、路線を選べば、ベルリン市内でおおむね目的地までは非車道で走れると思われる。このあたりは(歩行者と混在する欠陥形態ながら)日本と同レベル。

 一方で車道に自転車専用幅員(自転車レーン)を設けず、ただのペイントでロードシェアを強いる形態は少ないように感じる。これは最近の日本で激増する杜撰な「自転車ナビマーク・ナビライン」よりはまだマシ。
 ただし自転車レーン処理している路線は、歩道が狭く、道路が自動車優先で歩行者・自転車に十分な空間を割かない妥協策でもある。

 一方で、自転車利用状況はどうか。これを利用度・危険度のデータから見てみると
20150523_01_02
図2-2-1(P38/48): 国民1人1日あたり走行距離(km)
20150523_01_03
図2-2-2(P44/48): 走行1億km当たり自転車死者数(左軸)
出典:Pucher, J., Buehler, R. 2008. “Making Cycling Irresistible: Lessons from the Netherlands, Denmark, and Germany,” Transport Reviews, Vol. 28, No. 4, 2008, pp. 495-528.(pdf)

 国民1人あたり自転車走行距離(※自転車利用者あたり、ではなく国民あたり)は、先進国オランダ・デンマークには及ばないものの、後進国アメリカ・フランス・イギリスよりは遥かに長い。

 一方の走行距離当たり死者数・負傷者数を見ても、オランダ・デンマークにはおよばないものの、これも同じく後進国アメリカ・フランス・イギリスよりは安全。

 なお日本は両者とも先進国オランダ・デンマークと後進国アメリカ・フランス・イギリスの間と言われており、この点でも日本とドイツは近しい。

 もう一つの利用度のデータでも、
20150130_05
図2-2: 世界各都市における自転車交通分担率(トリップベース、単位%)
※管理人作成、年次は上記出典元を確認
【参考記事】
世界各国の「自転車死亡事故リスク」と「自転車走行距離」の比較
世界各都市における「自転車の交通分担率」の比較

 ベルリンやミュンヘンは東京都同程度。ニューヨーク・ロンドン・パリ等の自転車後進都市の比にはならないが、一方で先進都市アムステルダムやコペンハーゲンとは差をつけられている。


 走行空間の優劣が、その国・都市の自転車利用度と安全性を決定するため当然ではあるものの、日本とドイツは走行空間・利用度・安全性どれをとってもドイツとほぼ同じ。
 日本とドイツは同程度の「自転車中堅国」であり、つまり日本にとってドイツは、オランダ・デンマークと比べ日本が特段目標とする国・都市ではないことが分かります。

 自転車レーン等の車道を走行する市民も少なくないように思えるが、それは日本や他国と同じ、車道を走れる・走りたがる人間は走っているだけのこと。
 そうではない、日本・ドイツにありアメリカ・イギリス・フランスにはない、自転車交通分担率10%程度に相当する「一般自転車利用者」は歩道上の走行空間を選択することで存在できているということ。

 冒頭の繰り返しですが、日本には「自転車先進国ドイツに倣い自転車レーン整備・自転車の車道片側通行徹底を」とする主張に溢れており、この言説を見かけた場合警戒度を高めることが重要です。

【参考】
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(※国内外の自転車走行空間の整備事例、事故分析、自転車政策の検証などを行っています。)

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