本ブログについて

現在は「理想的な自転車利用環境の実現に必要な情報発信」を行っています。
国内外の事例紹介、政策や研究の検証、設計手法や提言は、主要記事まとめをご覧ください。
※記事内容に疑義や誤りがある場合は、コメントでご指摘願います。

. 平成28年12月9日に成立した「自転車活用推進法」を検証する本記事シリーズ。
 第5回となる今回は最終回、本法成立を主導した自転車集団の思惑について説明します。


4. スポーツ自転車愛好家集団「NPO自活研」

 これまで本法に規定された方針・施策を取り上げてきましたが、紹介していない残りを挙げていくと、

自転車活用推進法(htmlpdf)
第八条
 自転車の活用の推進に関して、重点的に検討され、及び実施されるべき施策は、次に掲げるとおりとする。

十三 自転車を活用した国際交流の促進
 「国際交流」、この条文が念頭に置いているのは
23
※国際会議招致を目指す「自転車の車道走行原理主義集団」
中央上:NPO自活研「小林成基」
中央下:地球の友・金沢「三国成子」
右2番目:徳島大学教授「山中英生」
右3番目:NPO自活研「内海潤」
NPO自活研・自転車デマゴーグ「瀬戸圭祐」の検証:Velo-cityより為すべきことより

 ある民間集団が熱心に招致に動いている国際会議。本法の成立により。これらイベント招致に国の講演が得やすくなる。

 もう一つは
自転車活用推進法(htmlpdf)
第十五条
 国土交通大臣は、自転車の活用の推進に関し特に顕著な功績があると認められる者に対し、表彰を行うことができる。
ATY_1613_20151107_47945[1]
第6代目「自転車名人」に渡辺 航さんが就任
CYCLESPORTS.jp 2015.11.07(html)

 これも同じ民間団体が、2年に一度行っているイベント。”スポーツ自転車愛好家”に限定し、”自転車名人”の称号を与えているものの、これも本法により国からの後援を得られる可能性が高まる。

 この法律は、法律成立に強く関与した、条文作成を実質的に担った集団への利益誘導のため成立されたもの。
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TBSプロデューサー・NPO自活研理事
自転車ツーキニスト疋田智(公式HP写真)
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NPO法人自転車活用推進研究会理事長
小林成基(twitter写真)

 「NPO法人自転車活用推進研究会」を名乗る、”スポーツ自転車愛好家集団”。その名を冠した法律の成立という悲願成就に至った集団。
161216_5
http://cyclist.sanspo.com/304382
自転車活用推進議員連盟
090420_1
http://tanigaki-s.net/private/
連盟会長:谷垣禎一(※療養中)

 自活研の小林成基はもと政党職員であり、議員への接触に精通。元参議院議員で連盟旧リーダーの小泉昭男は事実上構成員の一人、上記国会議員たちもこの自活研と関連が深い。

 この自転車ツーキニスト疋田智や小林成基らNPO自活研は、これまであらゆる捏造・デマの限りを尽くし、「スポーツ自転車活用推進」のための活動を先鋭的に行ってきた。

【参考】
【NPO法人自転車活用推進研究会:小林成基】
自転車活用推進研究会:小林成基「自活研が目指すモノ」の検証(1)
自転車活用推進研究会:小林成基「自活研が目指すモノ」の検証(2)
自転車活用推進研究会「+1 LANE PROJECT」提言書の検証
「駅前放置自転車の現況と対策」:データの使用と操作
『新都知事とつくろう、TOKYO自転車シティ』の正体:自転車の車道走行原理主義集団「NPO自活研」

【NPO法人自転車活用推進研究会:自転車ツーキニスト疋田智】
自転車ツーキニスト疋田智「自転車の安全鉄則」の検証
自転車ツーキニスト疋田智「道交法は戦前の名残?」の検証
自転車ツーキニスト疋田智のデマ:京都市自転車政策審議会の検証
TBS疋田智のデタラメ自転車記事(H28.12.27:専用レーンは駐車場?)
疋田智「宇都宮の「自転車道」に考える」の検証:”まずは車道左側走行”が破壊する自転車利用

【NPO自活研】
NPO自活研・自転車デマゴーグ「瀬戸圭祐」の検証:Velo-cityより為すべきこと

 そのデマやねつ造には、スポーツ自転車ではないママチャリなどの一般自転車利用者の人命にかかわる悪質なものも多数含まれながら、小林ら自活研はその責任から逃げ続け、
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https://twitter.com/ShigekiKoba/status/741152745990803456
『新都知事とつくろう、TOKYO自転車シティ』の正体:自転車の車道走行原理主義集団「NPO自活研」
より

 いち市民団体を装う一方で、今回の法律成立という悲願成就にまで達した。

 ここまで検証してきた通り、
(1)一般自転車利用者の経済貢献を理解しない、自転車政策の目的と理念を見誤り、
(2)自転車レーン至上主義・自転車の車道走行原理主義の持論に法律を巻き込み、
(3)自動車のための駐車場整備という愚策を条文に入れてでも自転車レーン整備に固執し、
(4)法律の正当性を確保しない安易で拙速な法律制定に先走った。

 日本を除く世界各国が、一部のスポーツ自転車利用者しか恩恵を得ない自転車環境からの脱却を目指し、すべての自転車利用者の自転車活用推進を目指し突き進んでいる一方で、

 日本のガラパゴス自転車政策だけがただ、一部のスポーツ自転車利用者の主張を受け売りに、自動車の利便性を最上位に置いた姿勢を崩さす、抜本的な自転車活用推進の環境整備から逃げ続ける。


 人命にかかわるデマを平然と流す捏造集団であり、自らスポーツ自転車の活用推進を第一に掲げることしか頭にない集団、これが法律成立にまで至ったという末期的状況。
 公共の福祉の増進、トータルで見た都市力・国力の増強という観点から逸脱し、主張や施策の正当性を吟味することもなく国力を既存し続けるという、自転車政策に限らない現代日本社会の宿痾の典型例と言えるもの。

 これが今回検証の、自転車活用推進法の正体でした。


【参考】
ブログ主要記事まとめ
(※国内外の自転車走行空間の整備事例、事故分析、自転車政策の検証などを行っています。)

. 平成28年12月9日に成立した「自転車活用推進法」を検証する本記事シリーズ。
 第3回となる今回は、本法を法律の体裁の観点から見た疑義について検証します。


4-1. 用語の定義をしない欠陥法律

自転車活用推進法(htmlpdf)

第八条
 自転車の活用の推進に関して、重点的に検討され、及び実施されるべき施策は、次に掲げるとおりとする。
一 良好な自転車交通網を形成するため必要な自転車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の十四第二項に規定する自転車専用道路をいう。)、自転車専用車両通行帯等の整備


二 路外駐車場(駐車場法(昭和三十二年法律第百六号)第二条第二号に規定する路外駐車場をいう。)の整備及び時間制限駐車区間(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第四十九条第一項に規定する時間制限駐車区間をいう。)の指定の見直し
 (2)で取り上げた”自転車レーン”、(3)で取り上げた駐車場の箇所ですが、ここでは法律としての疑義の観点から。

 自転車専用道路については「道路法」からの引用と明記があり、路外駐車場は「駐車場法」から、時間制限駐車区間は「道路交通法」からの引用であると明記がある。

 しかし、なぜ「自転車専用車両通行帯」だけ明記がない?引用元が不明、用語の定義も不明、法律としてありえない。

 加えて実は、「自転車専用車両通行帯」という用語も法的には存在しない。
327_4_2109_6_2
【規制標識】普通自転車専用通行帯(327の4の2)
【規制標示】専用通行帯(109の6)(※自転車用にレイアウト修正)

 自転車レーンに関する正式な名称は、標識令における「普通自転車専用通行帯」。
 「自転車専用車両通行帯」という謎の存在は用語も存在せず、この自転車活用推進法で何を実施するのかも分からない状態。

 この用語は実は、後述のいわゆる”駐輪場法”からそのまま横引きされてきたものであり、そちらでも定義・引用元について未記載。
 今回の自活法では、附則で関連法の条文改定も同時に行っているのだから、そちらと合わせて適正化すべきだった。

 更に加えて、本法では「自転車専用車両通行帯」を「整備」となっているものの、現在の日本の法律で「自転車専用車両通行帯」は「整備」する存在とはなっておらず(道路構造令等に記載なし)、単に道路交通法・標識令に基づき交通規制を「指定」するだけの存在。(これは駐輪場法ではきちんと記載)
 本法に関連する自転車団体は、「道路構造令」等への自転車専用通行帯の反映という法令整備を求めてきたにも関わらず、いざ自分たちの法律を作る段になればそれら法令用語の整合性を無視。

 本法は行政指針でもガイドラインでもない、れっきとした「法律」であり、法治国家日本の最大規範となるもの。その杜撰さは本法の法律としての正当性を毀損することになる。


4-2. なぜ「駐輪場」に一切言及しない??

 この法律が実施する施策を列記した第8条において、

第8条第3号:「シェアサイクル」
第8条第5号:「安全な自転車供給」
第8条第6号:「人材育成」「資質(教育)」
第8条第7号:「ITによる自転車管理」
第8条第8号:「(自転車利用者に対する)安全教育」
第8条第9号:「健康増進」
第8条第11号:「公共交通連携」
第8条第12号:「災害時活用」
第8条第14号:「国内外観光増進」
第8条第15号:その他
(上記欠番は他記事で説明)

 などの事項が記され、(詳細に見れば多々の疑義はあれど)上記は法律規定としても大きな問題はない。

 しかしこの第8条、そして法律全体において、もっとも理解に苦しむ問題がある。自転車の法律として奇怪な問題。

なぜ駐輪場について一切言及しない?



 自転車レーンからシェアサイクルから観光まで、更には第9・10・11条で「自転車活用推進計画」という総合的なの自転車計画策定を謡っていながら、不気味なまでに駐輪場(自転車駐車場)について一言も記載なし。

 実は、駐輪場については前述の”駐輪場法”、正式名称「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律(html)」という法律が既に存在しており、そちらとの記載重複の回避のためと考えられるが、

 ならなぜ法律を一本化しなかったのか。例えば駐輪場法には以下の条文があるものの、

第1条(目的)自転車等の利用者の利便の増進に資する
第4条「良好な自転車交通網」
第5条「自転車等の駐車対策の総合的推進」
第7条「自転車等駐車対策」の「総合計画」
第10条「都市計画等における配慮(※公共交通含む)」
第11条「交通安全活動の推進」
第12条「自転車等の利用者の責務」
第13条・第14条「自転車の安全性の確保」

 今回の自転車活用推進法と内容が被りまくり
 駐輪場では駐輪対策計画を定めることになっているものの、自活法ではそれを包括する自転車活用推進計画を定めることになっており、駐輪場法が単独で存在している意味がなく非効率。

 更に細部を見れば、本法の雑則で定めている第14条「自転車月間」「自転車の日」は、既に駐輪場法の施行を記念して民間で使用されているものであり、そのイベントには国土交通省も後援済み。
※ウィキペディア「自転車月間
※財団法人の説明→http://www.toj.co.jp/?tid=100205http://www.toj.co.jp/?tid=100849
 ある法に起因する記念日が、他法で指定されるという難解な作り。なぜ統一しなかったのか。


 実は過去、次回最終検証で触れる団体は、駐輪場法を発展させる形での「自転車活用推進法」の成立を検討していたものの、
http://cyclists.jp/about/suggestion.html
 結局今回の自活法は、駐輪場法の改定一切なし、駐輪場法への言及も一切なし、完全に別個独立した日本の法律を併存させるという状況に至らせてしまった。

道路交通法と道路構造令の用語不一致に苦しめられてきた自転車行政が、
今度は基本的理念や政策の点でも二つの法律の整合性への配慮を強いられるという、同じ過ちの繰り返し。


4-3. いちスポーツを法律が支援明言する異常性

 最後は端的に。第8条には以下の項目もあるものの、

自転車活用推進法(htmlpdf)
第二章 自転車の活用の推進に関する基本方針

第八条
 自転車の活用の推進に関して、重点的に検討され、及び実施されるべき施策は、次に掲げるとおりとする。

四 自転車競技のための施設の整備
十 学校教育等における自転車の活用による青少年の体力の向上
 自転車活用推進のため重点的に検討し実施されるべき施策が、なぜ自転車競技のための施設整備

 基本的理念で健康増進があるものの、それはわざわざ法律で自転車という一手段を明記するものではなく、学校教育に法律で盛り込むことを明記するものでもない。自転車のために外される他の体育種目は何になる?それは自転車より青少年体力向上において劣る存在なのか?

 自転車イベントの開催で自転車活用推進を目指すという主張かもしれないが、ツール・ド・フランスのフランス、ジロ・デ・イタリアのイタリア、両国とも一般自転車利用環境の環境整備が立ち遅れた自転車後進国。イベント開催が活用推進を直接生み出せるものでもない。

 それに、自転車競技のための施設とはそもそも何なのか。ロードレースは交通規制で公道で行われるものであり、ならばケイリン場の整備を推進するとでもいうのだろうか。ケイリンやBMXを見せることが国民の自転車活用推進に向けた重点施策なのか。
 或いは郊外のサイクリングロードは、自転車競技のために整備推進されるものでもない。

 いちスポーツに過ぎない運動としての自転車を、法律に明言するのは法治国家日本の法律として異常。

 このような意味不明な条文に至るのも、結局は(1)での目的や基本的理念をはき違えているため。
 自転車活用推進とは、自転車自体に興味がなくとも、長距離を歩く体力のない子供や高齢者であっても、誰もが安全で快適に自転車を使える環境さえ整備すれば勝手に推進されるもの。

 そこに青少年体力向上やら自転車競技やら環境負荷低減を持ち込むのは、安全で快適な環境整備から目を背けたバーターとして自転車配慮を見せかけるため。
 自転車活用推進を実現する抜本的環境整備から逃げ、些末なソフト対策で不十分な推進を図ろうとする。


 これも結局は、本法成立を主導した集団、スポーツ自転車愛好家集団の利益誘導の手段という本法の真の存在目的に起因するもの。
 次回最後の検証です。


【参考】
ブログ主要記事まとめ
(※国内外の自転車走行空間の整備事例、事故分析、自転車政策の検証などを行っています。)

20150608_04_01
国道19号の自転車走行空間整備(※③-2も事業完了)

 名古屋市における国道19号自転車走行空間の現地調査。今回は桜通の後期整備区間「自転車レーン」の検証を行います。


2-1. 桜通(後期区間)の自転車レーン

 伏見通との交差点から桜通を東に進み、自転車道の整備箇所が終わりに近づくと、
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 自転車道の中に青赤の自転車ナビラインが登場。そこから
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 左側の青矢羽が車道に、右側の赤矢羽が歩道に、なんと位置が逆転。そこから青ナビラインは
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 車道左端を渡っていき、
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 二段階右折用のスペースが設けられた交差点を抜けると、
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 その先は、桜通後期区間となる自転車レーンが整備。


2-2. 自転車に使われない欠陥形態

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 車両である自転車は車道走行が原則、法律を表面的になぞった主張により行政・警察が全国的に整備推進している路面ペイント。

 しかし本区間においては、いや本区間においても、全国の先行事例とまったく同じ失敗が繰り返される。
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(※駐輪場の出入口が完全に歩道側だけという設計思想の矛盾)
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 自転車が自転車レーンを使わない。大半が歩道走行。
 自転車レーンを走行する自転車はわずか2割程度。前回(1)で利用率3割の伏見通自転車道を欠陥としたが、使われないという観点ではこの自転車レーンの方がそれを超える欠陥形態。
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 道路交通法に基づき業務を行う路上駐車監視員さえ、自転車レーンを使う気なし。
 この自転車レーンは整備からもう2年弱経過し、市民への浸透が未達という言い訳も通用しない。

 自転車に見放された欠陥インフラ、その結果として
P2028216
 従来通りの歩行者と自転車の混在が発生。

 前回(1)の桜通自転車道が走路分離をほぼ100%達成、歩行者にとっても優れたインフラとなっている一方、
 今回(2)の桜通自転車レーンは、自転車の快適も歩行者の安全も担保しない、欠陥整備となり果てている。
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 本区間の歩道走行で特に多いのが右側通行(→車道走行推進派は”逆走"と呼称)だが、ここは片側4車線+中央分離帯の超広幅員、そして横断歩道も数百00mに1か所程度しかなく、右側通行を志向する短距離移動の自転車への配慮が欠如。
 一般自転車の安全性も利便性も軽視し、このような失敗に至るなど最初から分かっていること。


2-2. 路上駐停車と自転車レーンが誘発する「ドアクラッシュ」

 ただし本路線の光景は、従来の自転車レーンとは大きく異なる点があった。
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 自転車レーンを潰す路上駐停車。その時間長短に関わらず自転車の走行を阻害し、自転車レーンの致命的な欠陥要因であるものの、

 本路線での路上駐停車の大部分は、これと異なる。
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 自動車が、自転車レーンを避けて駐停車している。本路線のそれの大半がこの停め方をしていた。
 整備直後のストリートビューでは全てレーン上駐停車だったものの、整備から2年程度の経過により、このような配置へと変化したらしい。
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 結果、一見すると自転車走行空間が確保され、安全な環境が実現しているかのように見える。
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日本での既往事例:品川駅港南口地区
※出典:駐車需要を考慮した都道480号線の自転車専用レーン
kosuke miyata氏 togetter 20160306 より

 この配置は、東京都の品川駅付近にある自転車レーンでも存在。駐車枠を明示し位置を誘導しているものの、

 しかしこの自転車レーンは安全な存在とはならない。それどころかこの駐停車の配置によりかえって、自転車が走ってはならない、自転車を走らせてはならない危険な空間が生み出されてしまう。
20150414_00_04_02
NEW YORK POST 20140427: City cyclists injured or killed when ‘doored’ by careless drivers

 それはこの「Door Zone」の存在が原因。「Dooring」としてWikipedia記事ができ、「Doored」「Door Crash」など多様な呼称をされ、国外では危険な空間として認知されている。

 ドアクラッシュを避けるため、ドアゾーンを明確に回避させるペイント形態すら存在。
 この空間を走行すると、例えば自転車は10km/h以下で走りなどしない限り、ドア開閉による事故リスクを自転車自身は避けようがない。一見安全に見えて高い事故リスクが潜む存在になる。

 本区間は自転車レーンの幅1.5mで、ドアゾーンは0.8m程度。レーンの左端を走ればギリギリ回避はできるものの、
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 このような駐停車をされると万事休す。自転車はドア衝突に怯えながら、博打の左側通過を強いられることに。

 一方でこのドアクラッシュの事故リスクを抜本的に除去するため、世界各都市で導入が進んでいるのが「緩衝帯」。
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(非段差分離・ペイントタイプ)ゼブラペイント
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(段差分離・かさ上げタイプ)写真左側の段差
アメリカの構造分離自転車走路ガイドライン:「Separated Bike Lane Planning and Design Guide」より

 これは路面上へのペイントでもよく、縁石かさ上げでもいい。幅1.0m以上、最低でも0.8m以上のバッファー空間=「緩衝帯」を設けることで、ドア激突のリスクを封じることができる。

 この緩衝帯は自転車の安全向上だけでなく、自動車への乗降のスペース確保、荷卸しスペース確保、交差点での自転車と自動車の離隔確保など、多様な機能を発揮。本来の自転車走行空間に必須の要素と言っても過言ではない。


 残念ながらこの緩衝帯は、未だ日本での明確な整備事例が一つも存在せず、(1)の桜通自転車道でも旧態依然のガードパイプ設置であり導入への兆しが見えない。

 自転車の走行性を確保しつつ、駐停車へも一定の配慮を行うため、今後導入が望まれる形態です。



2-3. 最大の愚行:道路改修による自転車レーン整備と幅員浪費

 検証最後、この桜通後期区間の自転車レーン整備における、最大の問題について。
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(再掲示)

 この整備は、自転車の行動特性も通行台数も安全性も一切無視し、幅1.5mの自転車レーンで済ませるという思考停止がもたらしたもの。

 では何故、幅3.0mの自転車道ではなく、1.5mの自転車レーンで妥協したのか。

 自動車の車線削減を忌避したから?それは違う。3+1車線ある車道は削減の余地があるものの、本整備における最大の問題は車線削減ではない。
 車線を削減などせずとも、この区間で自転車道など本来、余裕で整備できていた。
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 自転車道整備を放棄した最大の元凶は、この道路空間のえげつない浪費と無駄遣い。
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 歩行者と自転車のために割くべき貴重な道路空間、その中で無様に氾濫した植樹に植樹帯。これが都市景観の一体何に寄与しているんだ?
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 絶句物の無残な植樹によって分断された通行空間、その車道側は一応のスペースになっているものの、
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 1.0mもない狭小空間を自転車がみじめに通行。普通自転車通行可の歩道において自転車は車道寄りを走る必要があり、道路交通法に基づく走行がこのような状況に。
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 前期区間における充実した島式バス停処理は何だったのか。バスベイに思考停止の自転車レーンを塗っただけ。
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 自転車道を整備しなかった釈明として考えられそうなのが、このような歩道橋や地下鉄出入口があるということ。
 しかし双方向通行(対面通行)自転車道なら、幅3.0mの走路を上下車線1.0~1.5mに分離し、この支障物を両側から避けて連続させればいいだけの話。
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 そしてこの欠陥の元凶は設計者だけでなく、自転車レーン指定した愛知県警も加担。自転車と歩行者の完全分離を実現できる自転車道の実現を放棄し、自分は本来自転車道があるべきスペースにのうのうと合法的路上駐車スペースを作らせるという傲慢ぶり。

 十分すぎる幅員がありながら、思考停止に無駄遣いを重ね、自転車のみならず歩行者の安全・快適を実現する走行空間の整備を放棄したということ。

 そして悲劇はこれだけにとどまらない。本区間はよりにもよって、
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 歩道上のタイルも縁石も、すべて新品に再整備。
 道路改修で自転車レーンを作ってしまうという最低最悪の愚行をやらかした。

 一度道路改修を下手に行ってしまうと、欠陥形態が取り返しのつかないことになる致命的問題。これは構造分離自転車道ばかりが批判されるものの、その悪質さは自転車レーンであっても何ら変わらない。

 自転車の安全が確保されない、歩行者と自転車の分離も実現しない、自転車交通量増加時の対応も出来ない、この欠陥形態が次の道路改修までの30年、名古屋の都市空間を縛り続けることになってしまった。

【参考】
疋田智「宇都宮の「自転車道」に考える」の検証:”まずは車道左側走行”が破壊する自転車利用
P2028246
 こんな看板を立てようと、使われないものは使われない。前期区間のように看板など無くても使われるものは使われる。


 以上が、桜通後期区間における、目を覆いたくなる悪夢のような思考停止自転車レーンの惨状。

 前回に前期区間の自転車道を奇跡的、何かの間違いと書いたのは、この後期区間の愚策を前提とするが故。前期区間の自転車道はたまたまマグレで誕生しただけ。

 国土交通省名古屋国道事務所の、本事業の設計担当者、それに決済印を押した管理職は、一体自転車と歩行者の何を考えて設計したんだ?どこまで何も考えなかったんだ?何をどう思考停止すれば、ここまでの悪質極まりない道路改修にたどり着くことができるんだ?


 この整備後、名古屋国道事務所では次期整備のプレスなどはない。しかし自転車レーン至上主義に染まり切った現在の国土交通省の自転車政策では、次も思考停止自転車レーンを繰り返すことは必至。

 現在の日本の自転車政策の破綻を象徴するような、絶望的な走行空間整備。そしてこの失敗は全国で繰り返されていきます。


【参考】
ブログ主要記事まとめ
(※国内外の自転車走行空間の整備事例、事故分析、自転車政策の検証などを行っています。)

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