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地球の友・金沢
内閣府第10次中央交通安全対策会議専門委員
三国成子(写真)

. 「自転車先進都市」と度々称される、金沢市内における自転車走行空間整備事業。
 検証シリーズ最終回である今回は、金沢版ガイドラインに対する連合体、及び金沢事業の主導者「三国成子」の発言と姿勢を取り上げます。

【記事シリーズ:金沢市内の自転車走行空間整備】
(1)自転車走行指導帯とバス専用レーン
(2)東金沢駅前の自転車レーン
(3)50m道路の自転車歩行者道
(4)自転車政策の目的は「事故減少」なのか
(5)主導者「三国成子」と「自転車の車道走行原理主義」



5-1. 金沢版自転車ガイドラインへのパブリックコメント

 自転車環境整備の事実上の全国基準、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」=自転車ガイドラインについて、全国の地方団体はそれを踏まえたローカル版を作成しており、金沢連合体も金沢版のガイドラインを策定している。

 その内容について、(3)で取り上げたように全国版では原理主義的に除外した「自転車歩行者道」の規定を、金沢版では50m道路の成功を受けて参考資料として残し、全国版の欠陥を補う役割は果たしている。

 しかし、この策定経緯、策定前に連合体が実施したパブリックコメントは、非常に杜撰なものに留まった。
 まずは結果の概要。
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ガイドライン(素案)に対する意見募集(パブリックコメント)結果と対応について(htmlpdf)
P1

 金沢の全市民・観光客に大きな影響を与えるパブリックコメント募集でありながら、回答者の9割が男性、30代・40代で過半数、回答者全員が自動車免許保有、買い物主体がたった1/4に対し通勤主体が1/2など、およそ市内の普遍的な意見を募ったとは程遠く偏りきった回答者属性に。
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ガイドライン(素案)に対する意見募集(パブリックコメント)結果と対応について(htmlpdf)
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 回答者の現在の通行についても、車道左側通行が半数を超えているという偏り。そもそも回答に「普段あまり意識していない」「道路の状況による」も含めるべきではないのだろうか。
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ガイドライン(素案)に対する意見募集(パブリックコメント)結果と対応について(htmlpdf)
P4

 (1)で取り上げたように、国道159号アンケートで整備後が安全と感じたのは自転車のわずか1/3。にもかかわらず本アンケートでは9割が自転車走行指導帯に高評価を与え、さらには実際に指導帯を通行した経験がある利用者ですらわずか半数。

 本アンケートは、金沢政策を全面支持する後述の「自転車クラスタ」、本アンケートにおける主な回答者属性が構成員の多くを占める集団に、ガイドラインを追認させるアリバイ作りでしかないという批判に反論の余地は無い。

 そして自由意見に対しても、金沢連合体は結論ありきの回答に終始する。
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ガイドライン(素案)に対する意見募集(パブリックコメント)結果と対応について(htmlpdf)
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 路上駐停車禁止にしなければ無意味との意見に対し、「自動車ユーザーに対し積極的に自転車空間整備についてPRし、路上駐停車がないような周知を含め、検討していきます」という内容の見えない回答。

 自動車停車を禁止する気がないからこその法定外表示=自転車走行指導帯に依存した金沢の自転車環境整備であり、法定自転車レーンについても構造的に自動車の駐停車を排除する気がないための手段。
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ガイドライン(素案)に対する意見募集(パブリックコメント)結果と対応について(htmlpdf)
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 自分で自転車に乗らない協議会のメンバーが、自動車の交通量やスピードにお構いなく車道走行を誘導させているとの意見に対し、実走実験をして政策の妥当性は検証済みだとの反論。

 この実走実験について公表情報が見つからないため詳細は不明。しかし現状、金沢市はそのような危険な路線で路面ペイントを行うに至っていない。
 そして50m道路については、その車道走行の問題や利用者特性から、自転車を車道に出すのは得策ではないと判断したのに対し、この回答では一切触れず。
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ガイドライン(素案)に対する意見募集(パブリックコメント)結果と対応について(htmlpdf)
P21

 最後がパブコメ自体への批判。

 複数組織の横断的な政策でありながら、金沢河川国道事務所以外での周知がまともに行われず、限られたHPやたった1日の新聞記事を見なければ存在すら市民に伝わらないパブコメ実施の杜撰さに対する批判。

 これに対し金沢連合体は、ご指摘を踏まえ改善を図って参る=今回のガイドライン改定はまともなパブコメ無しでも結果ありきで実施する、PDCAやら効果的な運用やらフォローアップやらと、パブコメへの批判にまともに回答する気もみせない。、

 実際には金沢”連合体”ではなく、国土交通省出先の金沢河川国道事務所が、ただパブコメを実施したという担保のためだけに行ったもの。
 内容的自体は「お国に盾突く」というかなり評価できるものであっただけに、この杜撰さは憤慨を禁じ得ない。



5-2 三国成子による金沢の自転車走行指導帯設置

 金沢市内の整備方針を定める「金沢連合体」は、国土交通省金沢河川国道事務所、石川県庁、金沢市役所の他に、地元の有識者も参画している。

 その一人が、今回取り上げる「三国成子」。

 金沢での整備は、当人の発言や資料を見る限りでは、この三国が実施の旗振り役となり、現在に至るまで主導的立場にいると考えられる。

 (1)の年表の通り、国道159号事業の公式な契機は平成17年4月の「道の点検簿」への当該箇所掲載。
 一方で金沢市内は自転車環境の不十分さが従前より指摘されており、平成14年5月に金沢市民である三国成子が、「金沢自転車マップ」を市内高校に配布
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特集 パーキング業界の明日47 発行人・森井博が聞く
徹底した調査と利用者目線を重視「金沢モデル」が自転車の未来をひらく
北陸大学 未来創造学部 国際マネジメント学科長 教授(哲学/倫理/環境)三国千秋
NGO団体「地球の友・金沢」自転車・歩行者安全マップ責任者 三国成子
自転車・バイク・自動車駐車場 パーキングプレス 2014年3月号(htmlpdf)

 三国成子は元々、金沢美術工芸大学卒の絵画の先生(※後述動画21:47頃より)であり、配偶者である環境系の研究者三国千秋教授と環境政策視察のため欧州に出向いた際、自転車について考えるようになったとのこと。(※以下、三国成子=「三国」、三国千秋教授=「三国教授」と呼称)
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再掲示:(1)より(国道159号の自転車走行指導帯)

 三国成子が行っていた安全マップが国土交通省の目に留まり、国道159号の検討会に三国教授とともに参加。その結果がバスレーンへの自転車走行指導帯という「成功事例」につながり、金沢市内で自転車の車道走行を中心とした事業が活発化していく。

 しかし本シリーズで検証した通り、「成功事例」の実情は高校生多数・バスレーンという”特殊条件”で自転車を自動車中心の交通秩序に恭順させる以上のものではなく、細街路でのピクトグラム、東金沢駅前の自転車レーンなども、その効果が「成功」と呼べるものか疑問を抱える。

 少なくともこれらは”安全”で”快適”な自転車利用環境と呼べるレベルではなく、自転車交通分担率も全国平均を大きく下回り、金沢は自転車先進都市などと呼ばれる次元にないことが見えてきた。

 にも関わらず三国は、後述の「自転車クラスタ」による大称賛を受け、この集団と歩みを同じくし多方面での発言と主張を強めていくことになる。


 金沢連合体において、国道159号検討会が発展する形で発足している「金沢自転車ネットワーク協議会」、この中で三国は持論を明確にした主張を行っている。

第13回 金沢自転車ネットワーク協議会
議事概要 平成28年2月23日(htmlpdf)

■金沢自転車通行空間整備ガイドライン(案)の見直しについて

〇地球の友・金沢 三国成子委員
 自転車歩行者道の整備事例を参考資料に残すということですが、一番の問題は、歩道上に自転車マークを設置すると、自転車が歩道を通行しているのか車道を通行しているのかわからなくなってしまうということで、とにかく歩道上には自転車マークは書かないということが本省の委員会で強く打ち出されていますので、ご留意いただければと思います。

〇北陸大学孔子学院長 三国千秋委員
 駅西50m道路のように、歩道上でも自転車の通行位置を示した方が安全という考え方もありますが、そのあたりも含めてどうなのでしょうか。

〇地球の友・金沢 三国成子委員
東京でも歩道上を視覚的に分離しているところはありますが、それがうまくいっていないということもあり、とにかく歩道上に自転車マークは設置すべきではないということでしたので、文字表示であれば良いのかもしれません。

〇金沢大学教授 髙山会長
 非常に難しい問題ですが、自歩道では歩道上も自転車の通行が許容されているので、悩ましい部分かと思います。

〇北陸大学孔子学院長 三国千秋委員
 駅西50m道路では歩行者と自転車が分離されており良いと思います。一方で、岡山駅前の広い歩道では何も整備されておらず、自転車が歩行者の間を縫って走っていました。全国版では歩道上には何も整備しない方向となっているようですが、自転車の通行する場所を示した方が安全かと思います

〇金沢大学教授 髙山会長
 歩道上での自転車の通行を認めるかどうかが問題かと思います。歩道の広い駅西50m道路を整備した経緯としては、当時、歩行者よりも自転車のほうが多かったことから、自転車の安全性も考慮して通行する場所を明示したということです。今後、歩行者が増えて自転車が通行するとまずいということになれば、また検討すれば良いと思います。
 国のガイドラインでは全国一律に考えないといけない部分があるので仕方ないと思いますし、東京での議論が中心になってしまうこともあるかと思いますが、金沢版のガイドラインということで、事務局からの提案のとおり、参考として自歩道の活用を残しておいても良いのではないかと考えます
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①石川県道金沢田鶴浜線(htmlpdf)
シリーズ(3)で検証

 金沢版自転車ガイドライン改訂における主張。

 金沢で成功した50m道路の自転車歩行者道、これは自転車の通行台数等を考慮した整備で、現在自転車と歩行者との分離に成功していると三国教授・高山教授が示しており、また社会実験実施により実現したにもかかわらず、
 三国はそれら経緯は知りながら一切無視し、ただ「本省の委員会」が排除した自転車歩行者道を金沢でも絶対に認めるなと持論に終始。

 三国はこれ以前のガイドライン改定の場においても

第5回 金沢自転車ネットワーク協議会
議事概要 平成25年2月18日(htmlpdf)

■金沢自転車通行空間整備ガイドライン(案)の見直しについて

〇地球の友・金沢 三国委員
 金沢版ガイドラインでは、「自転車交通量が多い場合においても、自転車歩行者道の幅員が広く、視覚的分離により自転車と歩行者の安全性が確保可能であると判断できる場合に、当面の整備形態として『自転車歩行者道の活用』を検討する」としています。しかし、国としては、「自転車歩行者道」は「歩道」と位置付けており、「自転車歩行者道の活用」という意味は、どうしてもやむを得ない場合という意味なので、自転車歩行者道を自転車ネットワークとして位置付けることに関しては疑問があります
 金沢駅西50m道路における通行空間の分離は、歩道上を安全にするという意味で認められると思いますが、代替路等を活用して車道上の自転車通行空間を自転車ネットワークに入れていく必要があると思います。「自転車歩行者道」は「歩道」であるということをしっかりと位置付けていただきたいと思います。自転車歩行者道において、路面表示を設置できない場合に看板を設置するという考え方についても、否定はしませんが、あくまで歩道上を安全にするための施策であり、自転車が通行する空間として認めるわけではないと、私は考えています

●事務局(国土交通省金沢河川国道事務所 調査第二課 荒川専門官)
 金沢版ガイドラインの3章にも記載しておりますが、自転車は「軽車両」であり、車道上の自転車通行空間の確保が大前提と考えています。しかし、以前から計画されている路線等もあります。車道上の自転車通行空間にこだわるあまり、自転車ネットワークが途切れることは、自転車利用者にとっても良くないと思いますので、歩道上の自転車通行空間については、当面の措置としてガイドラインで規定したいと思っています。

(中略)

〇地球の友・金沢 三国委員
 自転車を車道に降ろす場合には、何かしら整備が必要だという点は基本だと思います。熊本では、83km の自転車ネットワーク計画があります。他の都市でも自転車ネットワーク計画を作っているところはありますが、自転車歩行者道を含めて考えているところがほとんどなので、学会等でも評価されていません。自転車歩行者道を自転車ネットワークに含めることについて否定はしませんが、認められるものではないと思います。また、自転車歩行者道の活用について否定しませんが、国、県、市が協力して、代替路等を車道上の自転車通行空間として整備していく計画を立てるべきだと思います。自転車歩行者道を整備したから自転車ネットワークができたと言ってほしくありません
 車道走行にこだわるあまりの整備に警鐘を鳴らす意見に対し、三国は「学会でも評価されていない」として頑なに自転車歩行者道の排除を主張する。

 なお50m道路については、自転車の車道走行を排除しているものではない。

 ここは非常に広い路肩があり、大部分の自転車は自歩道上を安全で快適に通行すればいい一方で、快速性を至上とする後述の「自転車クラスタ」らが車道も走れるように配慮されている。
 「自転車道」の法的指定を行わなかったのも、おそらくこの車道走行自転車に配慮した結果。

 普通の自転車利用にも、スポーツ自転車らにも配慮し、多くの自転車利用者に対し”安全”で”快適”な自転車利用環境になっているという現状は、三国にとって何の意味もなくただ排除を要求するだけの存在らしい。


 当初は自身のヨーロッパ訪問で受けた感銘をもとに活動を始めた三国が、いつしか一部の「自転車クラスタ」と一体化し、持論の大部分をその集団の主張に依存することになった。

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NPO法人自転車活用推進研究会理事長(twitter写真)
小林成基
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TBSプロデューサー(公式HP写真)
NPO法人自転車活用推進研究会
自転車ツーキニスト疋田智
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NPO法人自転車活用推進研究会 事務局長(twitter写真)
内海潤

 自転車愛好者団体「NPO法人自転車活用推進研究会」と、

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東京工業大学大学院教授(HP)
屋井鉄雄
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徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部 教授(HP写真)
山中英生
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三井住友トラスト基礎研究所研究理事(公式HP写真)
NPO法人自転車活用推進研究会
古倉宗治

 自転車研究者ら、日本における最大の自転車ロビイストである「自転車の車道走行原理主義集団」。
 上記三国の「本省の検討会」や「学会」は、みなこの集団でガチガチに固められたもの。

 これらNPO自活研と自転車研究者らはもう10年以上、自転車の車道走行は安全で快適で世界標準であるというデマを流し続け、事故データの偽装や恣意的解釈にも臆することなく手を染めてきた

 自活研は自らスポーツ自転車が最も快速で通行できる空間(=構造分離のない車道左側端)の死守のため、自転車研究者は20年以上前に始めた自転車研究の正当性の証明のため、全国のあらゆる機会で持論を拡散させてきた。

【参考:疋田・小林ら自転車愛好家、屋井・山中・古倉ら研究者の捏造や統計偽装を検証】
ブログ主要記事まとめ


 三国の夫である三国千秋教授や高山教授は、おそらくこれら原理主義者の存在を知ったうえで、一定の距離を置くべき集団と認識し、50m道路の自転車歩行者道にも一定の評価を与えている。
 しかし連携相手の選別の重要性は、残念ながら三国成子には伝わらない。

 三国は金沢での活動が自活研小林成基の目に留まり、全国版自転車ガイドラインの検討委員に担ぎ出され、その後のガイドライン改定時も引き続き委員を務め、日本の自転車政策に大きな影響を与える地位を手に入れた。

【参考】
ブログ主要記事まとめ
(自転車ガイドラインおよび検討会の杜撰な内容・議論を隈なく検証)

 以下は三国と小林成基による、NPO自活研の回答での発言。


2014年度第7回自転車活用研究会は「金沢の奇跡!」
「加賀百万石・金沢市発祥のバス・自転車レーン登場の秘密」
NPO法人自転車活用推進研究会 平成26年11月6日(html)

【00:05:34頃】
(環境政策の視察で欧州に行った際)そこで行ったときに一番気づいたのは、なんで自転車が通るところ、道がきちんと整備されているんだろうかと。聞いてみたんです。そうしたら彼らが言うのは、環境にいい自転車を乗るには、ちゃんと自転車の通るところが安全に整っていなかったら、いくらお題目で環境に良いって言ったって使わないだろうと。
 ヨーロッパの自転車利用を目の当たりにし、通行環境の充実が利用を生み出していると説明を受けたとのこと。
 活動当初は三国も、当シリーズ(4)で説明したようなトータルでの事業判断の必要性を理解していたらしい。
2014年度第7回自転車活用研究会は「金沢の奇跡!」
「加賀百万石・金沢市発祥のバス・自転車レーン登場の秘密」
NPO法人自転車活用推進研究会 平成26年11月6日(html)

【00:16:15頃】
 で、金沢のバスレーンの状態を見ると、これは朝、バスが走ってるのに向かってくる高校生もいますし、出たり入ったりしてる高校生もいますし、高校生だけじゃなくて大人の方も。で、そういうふうな状態でした。

【00:16:30】
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右:「車道」「緩衝帯(バス停留所)」「自転車走路」「歩道」と分離された国外事例
※日本でいう自転車歩行者道の視覚分離

 ところが、まああちらでは、バスが通るところとか、車が通るところ、自転車、人という風に、まず分けてあるということが私にとっては一番驚きでした。
 で朝、子供たちは何気なく自転車が通ると自転車怖いといってよけてるんですね。(中略)

【00:17:10】
 歩道が、自転車がやっぱりこう、弱者をいじめてるということを、気づいたというかこれもなんとかしなきゃいけないなと思いました。
 歩道で歩行者を脅かされる状況を改善したい、そう決意した三国がヨーロッパで見たものは、自動車・バス・自転車・歩行者がきちんと走路分離された空間、そして歩道的な空間を歩行者用と自転車用で色分けした形態も含まれる道路だったと。

 三国にとってヨーロッパで最初に見た光景は、現在の主張と活動に一体どう活かされているのだろうか。

 次は国道159号のバスレーンにおける、バスの運転手の意識について。
2014年度第7回自転車活用研究会は「金沢の奇跡!」
「加賀百万石・金沢市発祥のバス・自転車レーン登場の秘密」
NPO法人自転車活用推進研究会 平成26年11月6日(html)

【01:1400頃】
(整備後暫く後に調査に来た大学生が)バスの運転手さんに意見を聞いたら、あれ(走行指導帯)を取ってもらっちゃ困ると。あれが無かった時のことを思ったら、今、少々こう間合いを取って待ってみたり、抜かす方法を考えたり、そういうストレスはあっても、みんな出たり入ったり逆走が来るようなあんな時代に戻るのは困るから、あったほうがいいとなったので、(後略)
 かつてより間違いなく良い、そう主張はするものの、やはり自転車とバスの走路重複はバス運転手にとっても相応の負担をかけるものらしい。

 更にバスレーンでの通行について、傍聴者から根本的な質問が投げかけられる。
2014年度第7回自転車活用研究会は「金沢の奇跡!」
「加賀百万石・金沢市発祥のバス・自転車レーン登場の秘密」
NPO法人自転車活用推進研究会 平成26年11月6日(html)

(バスの停車時、自転車は後方で待たせるという道路交通法に無いルールを金沢方針としたことに対し)

【01:14:50頃】
あえて、あのー、待ちなさいという風にマニュアル作りました。

それは、止まる。(小林:すぐ動くんだから。)すぐ動くんだから。だって何分も待たないでしょ。だって逆走してるわけじゃないんだから同じ方向に向かってるんだから、だからバスは待ちましょうと。(小林:排気ガスも臭いけど。)何台もいるわけじゃなくて、1台2台だったら、みんな同じ方向に向かってるんだから、下手に出て、バスは距離が長いから、

っていうのはデンマークの、あのーテスト見た時に、やっぱり大型車を抜くのは距離が長いから危険が伴うってことで、テストの中でもそういう大型車を抜くのは待ちましょうみたいなことが書いてあるんですよ。だからやっぱりそれに従って、法律で決まっていることではないかもしれないけど、抜いてもいいのかもしれないけど、長いということが危険をリスクを高めるから、あえてそういうマニュアルにして、待たせるようにしました。
 自転車をバスの後方で待たせるという、道路交通法にない「ウソ交通ルール」だと三国は認識しているようだが、自転車の待機強要を「すぐ動くんだから。だって何分も待たないでしょ」と軽々しく言い放つ。この浅い認識への疑義は続けざまに傍聴者から投げられる。

 その前に、確かにデンマークでは大型車を自転車が追い抜くのは危険、だから待ちましょうとされているのかもしれない。
 しかしそのデンマークでは、自転車はバスの後方で待機させられるようなことはない。なぜなら
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Nørrebrogade in Copenhagen: Proof of concept that low-car streets work(html)
BikePortland.org 2013.06.12
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STRAPHANGER: The Copenhagen Syndrome(html)
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 デンマークの首都、世界最大の自転車都市のひとつコペンハーゲンでは、自転車とバスの走路を重複させるような妥協形態を採用してはいない。きちんと「バス走路」「緩衝帯(停留所)」「自転車走路」「歩道」と空間を分離している。
 未だにバスと自転車の空間共用を強要しているのは、フランス・パリなどの自転車後進都市。イギリス・ロンドンはかつての共用方針を撤回し、オランダやデンマークに倣った空間分離に全面的に方針転換した。

【参考】
ロンドンで進む「自転車レーン」の撤去と「新型自転車道」の整備
ロンドン市サイクルスーパーハイウェイ東西線:「自転車レーン」の撤去と市民のための「自転車道」
アメリカの構造分離自転車走路ガイドライン:「Separated Bike Lane Planning and Design Guide」
国外の「バス自転車共用レーン」整備状況の実態(暫定版)
国道246号バス自転車共用レーンの発端:「TOKYO自転車革命」シンポジウムの検証

 両者の混在は危険で不便だからこそ、自転車利用に配慮したインフラ整備で問題を解消している。自転車環境後進都市の金沢とはまったくの別物。

 そして上記の小林の発言にもあるように、
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子乗せ自転車がバスの後方で排気ガスを浴びせられる様子
国土交通省東京国道事務所:国道254号春日通り(小日向拡幅)の自転車レーンより

 自転車がバスの後方で待つということは、排気ガスを浴びせられ続けるということ。三国は本当に自分でこの通行方法を行っているのだろうか。

 先ほどの傍聴者からの追い打ちに戻ると、
2014年度第7回自転車活用研究会は「金沢の奇跡!」
「加賀百万石・金沢市発祥のバス・自転車レーン登場の秘密」
NPO法人自転車活用推進研究会 平成26年11月6日(html)

【01:16:00頃】
(傍聴者質問:バス後方での自転車待機を強要させる金沢方針とは裏腹に、バスの右側を自転車がガンガン抜いている実態について。
 都内ではある停留場にバス全系統が集中、バスが5台6台と連なり何分も待つ状況が発生し、待たせるようなやり方が実現可能なのかという疑義。)

 昨日見に行ったら現地、まあ写真でも見たんだけど、まるでヨーロッパのバスレーンの自転車みたいな感じで、みんなバーって行ってるじゃないですか、あれでいいと思うんですよ。
 あえて自転車が左ってあれ付けたのは、要するにいきなり、まあ日本で、第一号目で、そのバスレーンオッケーみたいにして、ただでさえどこでも並走してたものが、並走状態がこれでいいんじゃないかみたいになっちゃうから、やっぱりその、なんていうのかな、法律のアヤをクリアするために、あえて左側は走行指導帯という名前を作り出して、あの左側を守るというアレでしたので、それでまあね、本当は右側があってもいいんだけど、また混乱するし、あっちもこっちもああなったりこうなったりすると、そのへんがね、あの今のところは金沢は始めたけど、まあ海外ではそのどこでも走っていいので、

(小林:日本でも法律上はいいんですよ。法律上はその、2車線以上あるところであれば、第一車線を走ることであって、1本しか無い車線であれば左に寄ること、ということなんでそれはいいんだけども、でも無茶だよね。で今度246の場合には3.2m3.2の車道が二つあって、バスレーンのところは2.7m。本当は3にしたりして広げなきゃいけないけど。ヨーロッパはもう4.3mのフル規格をバスレーンに使って、バスが寄った場合には脇をどんどん抜いていく。そこができない状態であれば、待つことを原則にして、やっちゃいたいやつはやっちゃってもいいという状況が正しいだろうと。)
 自転車は少しぐらい待てと言い放った三国に対し、傍聴者が東京の実態を突きつける。このバス停車の観点からも、国道159号の事例は大都市中心部ほどのバス密度はない”特殊条件”下の事業に過ぎないことが見えてくる。

 そして混乱を避けるため、建前として自転車後方待機にしたとするものの、自転車の通行実態とはまったく異なるという混乱した状況に。三国の方針は自転車利用を考慮したものではないと露呈。

 加えて小林成基も、2車線以上=第一車線どこでも通行可とする、道路交通法を表面的にかじっただけの人物にありがちな「車両通行帯」のウソを堂々と発言する有様。この程度の人物が日本最大の自転車ロビイストである現実に頭が痛くなってくる。

【参考記事:自転車の交通ルール】
(1-1)用語の定義:「車両通行帯」について
(2)自転車の通行位置:「キープレフト」と「車両通行帯」
(4)バス専用レーンにおける通行方法


 本検証シリーズの最後。

 三国成子は、一体何を目指しているのだろうか。
 三国が目指すのは、自転車にも歩行者にも”安全”で”快適”な通行環境の実現ではないのだろうか。

 これまで示してきた通り、現行の自動車中心交通秩序を堅持したまま、自転車をできるだけ歩道から出すという国道159号事業の”特殊条件”下での効果を否定しているわけではない。
 しかしあれは、既存秩序への自転車の恭順強要以上の意味を持つものではなく、先進事例や奇跡などとして後追いを目指すようなものではない。

 にも関わらず三国は、小林らNPO自活研、自転車の車道走行原理主義者の意の向くまま、その主張を鵜呑みにし、金沢最大の成功事例である50m道路の自転車歩行者道ですらその存在を頑迷に認めようとしない。

 三国成子は、、もう少し自分の足で歩き、自分の脚で自転車に乗り、自分の頭で考えた方がいい。
 金沢をどのような街にしたいのか、どのような通行空間を実現させたいのか、そのために真に主張するべきは何なのか。

 今回の検証シリーズを終わります。

【記事シリーズ:金沢市内の自転車走行空間整備】
(1)自転車走行指導帯とバス専用レーン
(2)東金沢駅前の自転車レーン
(3)50m道路の自転車歩行者道
(4)自転車政策の目的は「事故減少」なのか
(5)主導者「三国成子」と「自転車の車道走行原理主義」

【参考】
ブログ主要記事まとめ
(※国内外の自転車走行空間の整備事例、事故分析、自転車政策の検証などを行っています。)