芦生短信2

通年に亘る京都「芦生」の山行記録。出会った花・キノコ・果実と積雪量。2002年から2005年の記録は「自然館のホームページから「里山便り」へ進んでください」で。2006年から2009年の記録は 「芦生短信」へ。2012年4月からは「芦生研究林」の許可を受け、「ABCプロジェクト」との共同研究目的で入林しています。芦生原生林の現状をリアルタイムで知っていただくためにこのブログに記録を掲載していますが、ルートの大半は入林が規制されている地域であるため、許可がない限り入林できないことをおことわりしておきます。

5月8日由良川源流中山~シカメコ往復 地蔵峠車中泊  5月9日由良川源流一ノツボ~中山

通称トチノキ谷通称トチノキ谷





トコ迫トコ迫





ツボ谷ツボ谷





一ノツボ一ノツボ





二ノツボ二ノツボ





三ノツボ三ノツボ





四ノツボ四ノツボ





シカメコシカメコ





マルバアオダモマルバアオダモ





クリンソウの群生クリンソウの群生 本来芦生に自生していなかった植物だが




フデリンドウフデリンドウ





リュウキンカリュウキンカ





サルメンエビネサルメンエビネ 昨年の葉は全くなかった(シカに食べられて)




キンポウゲキンポウゲ





シコクフウロシコクフウロ





オオバキスミレオオバキスミレ これ一輪しか咲いていなかった





クジャクシダの新葉クジャクシダの新葉





タヌキランの自生地タヌキランの自生地 大株3、小株17合計20株しか残っていない




タヌキランタヌキラン





リュウキンカに残されたシカの食痕リュウキンカに残されたシカの食痕





ミヤマシグレとタヌキの溜糞(後方)ミヤマシグレとタヌキの溜糞(後方)





トビゲラの幼虫トビゲラの幼虫 陸に上がっているのは羽化するためだろうか




トビゲラ(?)の集団交尾トビゲラ(?)の集団交尾 あちこちで見られた





2日間で出逢った花:<咲き始め>ウワミズザクラ・クリンソウ・フデリンドウ・サルメンエビネ
<盛り>マルバアオダモ・ウリハダカエデ・ミヤマガマズミ・カラスシキミ・ツボスミレ・ホソバテンナンショウまたはコウライテンナンショウ
<咲き終わり>オオモミジ・オオイワカガミ・オオバタネツケバナ・シコクフウロ・ノミノフスマ・サワハコベ・オオバキスミレ・タチツボスミレ・タニギキョウ・リュウキンカ


(5月8日)
天候:晴のち曇り
田歌の水位13時:42cm 
地藏峠~中山~岩谷出合~シカメコ~岩谷出合~中山~地蔵峠(車中泊)

今回は、リュウキンカとオオバキスミレの個体数調査をする。前回は2017年に「Y」氏に手伝っていただき2日間で終了したが、今回は一人だけなので6日間はかかると思われた。

二人で調査すると、左岸と右岸に分かれてそれぞれが専門にその岸側を探せばいいが、一人だとそれができない、左岸と右岸を行ったり来たり或いは引き返して反対岸を調べる必要があり、おそらく二人でする場合の2倍半くらいの時間と手間がかかると思われる。

今回は6日間の調査の二日目と三日目であり、また同時にシカの死体数調査も行う予定だ。

地藏峠まで車で入れるようになって本当にありがたい、今回のように一日の行程が長くしかも車中泊するとなるとなおさらだ。峠に車を停めて出発、枕谷に下り中山まで、ここで川歩き用スタイルに替える、先日の雨で増水した水量はなかなか減らず、今日になってもまだいつもの2倍近い、水温もまだ上がっていないので完全装備だ。

最初の頃は左右両岸と小台地に登ってのシカの死体数調査をするのでなかなかはかどらず心配になってきたが、途中から左岸専門に変更したため急に効率がよくなった。ただ普通では避けて通るような岸も歩かなければならず、その点苦労は少なくはない。

また、両種とも花期を過ぎているため、特にオオバキスミレは完全に過ぎているため、花を探して存在を確認することができず、小さく他の植物と紛らわしい葉だけで探さなければならないのは容易ではない。今回の調査では大幅に個体数が減っていたが、この原因のいくらかは見落とし(或いは発見できなかっ)たことにもあるかもしれない。

小ボケを少し過ぎたところで昼食を摂る、「お握らず」2個と鶏のから揚げ、まだ先は長くゆっくりするゆとりはない、さっさと食べ終えて出発する。岩谷出合からさらに下り、シカメコの上までやって来てようやく引き返す、今日の予定はここまで、帰りは右岸専門だ。

スケン谷辺りは往路に両岸共調査したため、この部分は旧歩道を歩き、また中山の少し下流にある大曲の部分も峠越えをすることができたため、帰りはずいぶん早く歩けた。中山で川から上って長靴に履き替える、そして往路と同じルートで地蔵峠に帰った。

到着してすぐに車中泊の準備、1000ccのコンパクトカーは車内が狭いために一旦荷物を外に出さなければならない。外は風が強く寒いために夕食は車中で作った、焼きそば、保冷剤代わりに冷凍して持ってきた缶ビールがちょうどいい飲み頃になっており、最近はアルコール類から遠ざかっていたがせっかくだからいただくことにした。

そのためか、あるいは朝が早かったためか、まだ明るいうちに眠くなってしまい、早々に寝袋に入った。

地藏峠=5時間40分=シカメコ=3時間40分=地蔵峠
『今日の出会いと目撃』牝シカ2頭(中山の少し下流)、シカの警戒音2回(通称トチノキ谷付近・長治谷湿原の上)、人間1人(林道内杉線終点で、テンナンショウの研究をされている学生さん)


(5月9日)
天候:晴のち曇り一時雨のち晴れ
田歌の水位13時:41cm 
地藏峠~中山~八宙山の東~トコ迫出合~一ノツボ~シカメコ~岩谷出合~中山~地蔵峠

5時20分に起床し朝食の用意、野菜炒めとパンとスープ。食事を済ませて車中を片付けて出発する。

中山からは傘峠方面への歩道を登って行く、傾斜が強く昨日の疲れもあって辛い。八宙山の手前から枝尾根に入り急な尾根を下ってトコ迫出合に下り着いた、ここで川歩き用スタイルに替える、そして由良川を下っていくのであるが、まずは左岸から調査を始めた。

この辺りは由良川で最も奥深く且つ険しい場所であるため、特に慎重に足を運ばなければならない。ところが急に空が暗くなり、雲行きが怪しくなってきてやがて雨が降ってくる、それも本格的なものだ。こんな天気予報ではなかったはずだが、由良川の一番深いところまで来てしまったので、帰ると言っても簡単ではない。

倒木の下で雨宿りをしながらカッパを出そうかと考えていると、少し明るくなって雨もほとんど止んでしまった。これで大丈夫だ、再び調査を始め一ノツボまで下ってきた、滝を下ってから引き返す、今度は右岸側だ。トコ迫まで戻り、これからは左右両岸を調べなければならず、今までのようなペースでは進まなくなった。その上最も厭な三ノツボとその上の渕の通過がある。時間がどんどん過ぎていく、今日中に終わるのだろうかと心配にすらなってきた。

無事三ノツボを通過し、四ノツボの手前で昼食にする、パンとソーセージと行動食、この先のことが心配でゆっくり休んでいる心のゆとりがない、すぐに調査を開始すべく歩き始める。その後は思ったよりも順調に進み、シカメコの巻き道入口に到着する。

ここからはシカメコを往復するため、まずは左岸から歩き始め、シカメコまで行って復路は右岸を歩いた。巻き道まで戻れば今日の予定は終了だ、時間も予定より30分も早い、ゆとりで歩けそうだ。とは言ってもまだまだ川歩きは続く、トチノキ谷を過ぎてしばらく、ようやく川歩きから解放される。長靴に履き替え不明瞭になった歩道を歩く、なんと歩きやすいことだろう。中山から中山神社前を通る、二日間の無事を感謝して地蔵峠へ上がった。

地藏峠=2時間35分=トコ迫出合=1時間25分=一ノツボ=4時間20分=岩谷出合=2時間10分=地蔵峠
『今日の出会いと目撃』人間0人

5月4日 刑部谷

刑部谷第一支流の滝刑部谷第一支流の滝





刑部谷第一支流の滝刑部谷第一支流の滝





刑部谷ゴルジュ 左岸を巻く刑部谷ゴルジュ 左岸を巻く





刑部谷ゴルジュの上刑部谷ゴルジュの上





刑部谷7m滝 左岸を巻く刑部谷7m滝 左岸を巻く





刑部谷7m滝を巻き道から見下ろす刑部谷7m滝を巻き道から見下ろす





刑部谷5m滝 左岸を大きく巻く刑部谷5m滝 左岸を大きく巻く





刑部滝遠望刑部滝遠望





刑部滝40m 右岸を巻く刑部滝40m 右岸を巻く





ムラサキケマンムラサキケマン





葉の溢液(イツエキ)現象葉の溢液(イツエキ)現象





ヤマツツジヤマツツジ





マルバアオダモマルバアオダモ





オオモミジオオモミジ





ミヤマガマズミミヤマガマズミ





スノキスノキ





シャクシャク





コナラの若葉 プラチナ色に光るコナラの若葉 毛が密生しているためプラチナ色に光る





コナラの森はプラチナ色コナラの森はプラチナ色






天候:晴
田歌の水位13時:54cm 
須後~刑部谷出合~刑部滝の上~刑部谷・赤崎東谷中尾根~小ヨモギ~須後

増水していた由良川の水量も少し下がり、支流では尚更水量が減っているのではないかと考えられた。そこで今日は先日行けなかった刑部谷に入ることにしてトロッコ道を歩く、昨日の由良川上流では夕方にはだいぶ水が澄んできていたが、下流ではまだ少し濁っており水量もかなり多い。

トロッコ道沿いで見られる花は少ない、また今日は少し早めに帰らなければならいないためできるだけ道草をせずに歩いた。刑部谷出合で沢歩きスタイルに替え刑部谷を遡って行くが、下流部は谷が広く流れが分かれているため谷の中をジグザグに、或いは上ったり下ったりしながら調査していると全く捗らない。

左岸から入る第一支流の出合から第一支流を標高差100mほど入って引き返し、再び本谷を遡る、第2支流を過ぎると谷も狭まって滝が連続してくる。水量が多く調査用紙などが濡れると困るため、可能な限り滝は巻いて越えていくが、つかまるものがないため高巻きも険しいところが多い。

やがてこの谷最大の刑部滝が現れる、大きく3つに分かれているが全体で40mほど、これは芦生随一の高さではないかと思う。上二つは巻かなければならないため、どうせ巻くのであればと最初から全部を巻くことにしたが、高度感がありまた掴まるものがないためかなり険しい高巻きであった。

巻き終わってようやく険しい場所から解放される、そこで昼食を摂ることにした。今日も「お握らず」3個とソーセージ、ミルクココアは粉末を口に入れてお茶を飲み口中で攪拌して飲んだ、この方法は一人だと全く問題がないが人前ではちょっとやりにくいだろうなあ。

調査対象種はここで終わるため調査も終了、その後現れる二俣を右に入り水が消える手前で長靴に履き替えた。そして右側の急斜面を登って行くが、シカ道もほとんどなくつかまるものも少ないためにかなり辛い、途中で1回休まなければ尾根には上がれなかった。

上り着いた尾根を少し左に行けば、P911mから小ヨモギに至る長い尾根に乗る。その後はこの尾根をどんどん下って行けば、途中に障害もほとんどなくやがて小ヨモギに到着する。ほぼ予定通りの時間だ、その後はあまり急ぐこともなく時々写真も撮りながらトロッコ道を歩いた。

須後=1時間30分=刑部谷出合=3時間15分=刑部滝の上=1時間25分=刑部谷・赤崎東谷中尾根=50分=小ヨモギ=1時間05分=須後
『今日の出会いと目撃』牝シカ1頭(刑部谷第一支流出合付近)、人間4人(灰野親子連れ4名)

5月3日 傘峠稜線

ケヤキ坂付近 新緑と雹が積もった地表ケヤキ坂付近 新緑と雹が積もった地表





オオカメノキオオカメノキ





カラスシキミカラスシキミ





カナクギノキカナクギノキ





コウライテンナンショウコウライテンナンショウ





サワグルミの雄花 左の手前が雌花サワグルミの雄花 左の手前が雌花 雄花は熟しているが雌花は未だ、熟す時期をずらして自家受粉するのを避けている。



ミズメの葉 短枝に2枚ずつ葉が付き可愛いミズメの葉 短枝に2枚ずつ葉が付き可愛い





ブナの果実と花粉を落とした雄花ブナの果実と花粉を落とした雄花





ゼンマイの栄養葉と胞子葉ゼンマイの栄養葉と胞子葉





雹のためにトチノキの葉がいっぱい落ちていた雹のためにトチノキの葉がいっぱい落ちていた





雹のためにトチノキの葉が虫食いのようだ雹のためにトチノキの葉が虫食いのようだ





雹のためにバイケイソウの葉が裂けてボロボロ雹のためにバイケイソウの葉が裂けてボロボロ





雹のためにミズナラの葉がボロボロ雹のためにミズナラの葉がボロボロ





雹が3cmほど積もってテツカエデもボロボロになっている雹が3cmほど積もってテツカエデもボロボロになっている






天候:晴
田歌の水位13時:65cm 
地藏峠~ケヤキ坂~傘峠~中山~地蔵峠
2日間で出逢った花:<咲き始め>ユキグニミツバツツジ・スノキ・カラスシキミ・ミヤマガマズミ・コウライテンナンショウ
<盛り>マルバアオダモ・ヤマツツジ・ウリハダカエデ・ムラサキケマン・シャク・ツボスミレ・アシウテンナンショウ
<咲き終わり>カナクギノキ・コバノミツバツツジ・ウスギヨウラク・ホンシャクナゲ・オオカメノキ・オオモミジ・オオイワカガミ・オオバタネツケバナ・ノミノフシマ

4月29日にちょっとした大雨があり、その後5月3日から4日にかけても局地的な大雨があって由良川の水位が上昇、予定していた由良川沿いの調査ができなくなり、急遽予定を変更し、川の中を歩かないケヤキ坂~傘峠ルートを歩くことにした。

生杉から地蔵峠までの間にあった倒木が処理されており、峠まで車で入ることができた。研究林に入ると道路脇に少し雪が残っており、昨夜雪が降ったのかと思っていたが、進むに従い痛んだ樹の葉がたくさん落ちており、また樹に着いた葉も虫食いに遭ったように穴が開いている。

積もった雪も増えてきて、よく見ると大粒の雪がタピオカ状になっている、すぐにこれは雹(ヒョウ)であると分かったが、こんな酷いことになっている現場を見たのは初めてだ。中山に下り下谷沿いの林道を進むに従って、積もった雹が増えそれに伴い痛んだ葉も増えてくる。

今年は季節の進みが早く植物の開葉も早まったために、それが災いして被害を大きくしたようだ。地上には様々な樹種の葉が落ちている、見上げると虫食いのようになった葉や、だらりと垂れて落ちそうになった葉など、ほとんどすべての樹種の葉が被害に遭っているようだ。

草本でも大型の葉を広げたバイケイソウは、まるでバイケイソウハバチに食べられたかのように細かく葉が裂けている。樹木の開葉形式には、冬芽が開くだけで終わる1回限りの一斉開葉型と、新しく開いた葉で光合成した栄養分を利用しながら次々と開葉する順次開葉型の2種類があるが、雹によるダメージは一斉開葉型の方が大きいのではないかと思われる。

しかし、一斉開葉型であっても大きく葉が損なわれると、翌年利用する栄養を使って新しく葉を開くことがあり(葉が無くなるほど強く虫に食べられた場合などにも見られる)、痛み方の程度によって植物の反応は違ってくるかもしれない、そんな結果を見るのも楽しみだ(植物にとっては死活問題だと思うが)。

ケヤキ坂からブナノキ峠への歩道に入っていくと、3cmほど雹が積もってまるで冬景色、新緑と新雪のような取り合わせは滅多に見られないだろう。こんなに積もっていると下り坂では靴がスリップするのではないかと心配したが、傘峠に向かって歩いて行くと次第に積もった雹の量が減っていく、どうもケヤキ坂付近が雹の雲の中心だったようだ。

傘峠に向かいながらブナの結実木を数えた、60本中結実41本、非結実19本で、結実率は約7割であったが、傘峠山頂付近では10本中10本が結実していたことから、この辺りの結実率は7割~8割くらいではないかと考えられる。先日若丹国境稜線で調べたのとほぼ同じであり、芦生全体で同じ傾向があることが分かった。

傘峠の手前で昼食にする、今日は「お握らず」を3個だけ、このルートでしかも気温も低かったため、いつものようにラーメンにすればよかったと悔やまれた。傘峠から中山に下り下谷を渡らなければならない、水量が多く渡渉点が見つからずウロウロしたが、何とか長靴のまま渡る場所があって助かった。

下谷も上谷もまだ少し濁っている、朝方よりは少し透明になってきたようだが。この調子であれば上谷を渡るのも困難と思われ、朝と同じく林道経由で地蔵峠に上がった。

地藏峠=2時間=ケヤキ坂=3時間05分=傘峠=1時間15分=中山=50分=地蔵峠
『今日の出会いと目撃』牝シカ3頭(七瀬中尾根分岐付近2頭、ヒノキの保存木付近1頭)、人間2人(ケヤキ坂)

4月23日~25日 カヅラ谷・由良川本流・赤崎東谷 植生調査

カヅラ谷出合カヅラ谷出合





カヅラ谷カヅラ谷





植橋谷下流植橋谷下流





ゲロク谷下流ゲロク谷下流





カヅラ谷出合上流の由良川カヅラ谷出合上流の由良川





七瀬近く七瀬近く





赤崎東谷赤崎東谷





赤崎東谷赤崎東谷





赤崎東谷赤崎東谷





赤崎東谷の滝場 ここから引き返す赤崎東谷の滝場 ここから引き返す





赤崎東谷 大きなカツラが多い赤崎東谷 大きなカツラが多い





ウスギヨウラクウスギヨウラク





ホンシャクナゲホンシャクナゲ





ホンシャクナゲホンシャクナゲ





ウリハダカエデウリハダカエデ





ウスゲクロモジウスゲクロモジ





サルトリイバラサルトリイバラ





サワハコベサワハコベ





ワチガイソウワチガイソウ





ノミノフスマノミノフスマ





ミズタビラコミズタビラコ





ワサビワサビ





ニリンソウニリンソウ





サンインシロカネソウサンインシロカネソウ





ナツトウダイナツトウダイ





キジムシロキジムシロ





モミジチャルメルソウモミジチャルメルソウ





ムラサキケマンムラサキケマン





オオタチツボスミレオオタチツボスミレ





ツボスミレツボスミレ





キランソウキランソウ





タニギキョウタニギキョウ 個体が小さいのでシカが食べないのだろうずいぶん増えてきた




アシウテンナンショウアシウテンナンショウ





ムロウテンナンショウムロウテンナンショウ





オクノカンスゲオクノカンスゲ





オサシダの若葉オサシダの若葉





オシダの若葉オシダの若葉





アワブキの若葉アワブキの若葉





ブナの若葉ブナの若葉





イヌブナの若葉イヌブナの若葉





コチャルメルソウの果実コチャルメルソウの果実 器の中に種子が入っているように見えるが、雨粒が当たるとその反動で種子が飛び出すようになっており、そうして種子を散布する。



シカの入れない場所にフキがいっぱいシカの入れない場所にフキがいっぱい こんなにあるのを見たのは久しぶりだ




赤崎東谷にはチシマネコノメソウがいっぱい赤崎東谷にはチシマネコノメソウがいっぱい 個体が小さくてシカが食べないために増えてきたのだろう




シカに食べられたサワダツシカに食べられたサワダツ





私の知るヤマシャクヤクの唯一の自生地が私の知るヤマシャクヤクの唯一の自生地が土砂崩れで消失してしまった。




早々にヤマビルが活動開始早々にヤマビルが活動開始





3日間で出逢った花:<咲き始め>ユキグニミツバツツジ・チドリノキ・ヒナウチワカエデ・ウリハダカエデ・ツボスミレ・タニギキョウ・キランソウ・ニシキゴロモ・ミズタビラコ・ムラサキケマン・ナツトウダイ・アシウテンナンショウ・ムロウテンナンショウ
<盛り>ウスギヨウラク・ホンシャクナゲ・オオカメノキ・ハシリドコロ・ネコノメソウ・オオタチツボスミレ・オオバタネツケバナ・ワチガイソウ・ノミノフシマ・サワハコベ・ニリンソウ・サンインシロカネソウ・リュウキンカ・サルトリイバラ
<咲き終わり>コバノミツバツツジ・ナガバモミジイチゴ・キジムシロ・オオイワカガミ・ワサビ・ミヤマキケマン・ネコノメソウ・ヤマネコノメソウ・タチネノコメソウ・チャルメルソウ・モミジチャルメルソウ・トキワイカリソウ・シハイスミレ・タチツボスミレ・エンレイソウ

(4月23日)
天候:晴のち曇り
田歌の水位13時:34cm 
須後~カヅラ谷出合~桑ノ木谷出合の上流~植橋谷出合(植橋谷を少し遡る)~カヅラ谷出合~須後

1日休みを摂って3連休にし、進み過ぎた季節を追いかけるように調査に入った。今年は1週間から2週間ほど花の咲くのが早いようで、今日から調査を始めても遅すぎるのではないかと危惧されたが、先週は雨と寒さのために芦生入りを断念し、今週天候に恵まれそうなので遅れを取り戻すべく3日連続で調査することにした。

宿泊をどうしようかと迷ったのであるが、最近体調が悪く体力も落ちているので、テント泊をする自信がなく、また車中泊も面倒であるため結局山の家さんに連泊さていただくことにした。そうなると用意する食料はわずかで済み、車に積む道具類もほとんどいらない、準備に時間がかからず本当にありがたい。

研究林事務所駐車場に車を停め出発する、トロッコ道沿いで見られる花は少ない、いつもであれば1年で最も花の種類が多いのであるが、今年は既に終わっていてゴールデンウイーク明けのような雰囲気だ。今日の予定ルートは少し長く、花が少ないことは道草をせずに済むという利点もあり、かえってありがたいかもしれない。

カヅラ谷出合で沢歩き用スタイルに替える、まだ水温は低そうなので装備は厳重だ、お陰で足首から下は水に濡れるがそれより上はほとんど濡れずに済む。久しぶりの沢足袋であることが原因なのか、或いは体力がなくなっていることが原因なのかよく分からないが、とにかくよく滑って転倒し或いは尻餅をついた。

これだけで済むのであれば何の問題もないが、滑った時にあちこちを岩にぶつけてしまったために痛くて仕方がない、上半身であれば歩くことには問題がないが、脚や尻をしたたかぶつけたために、登りも下りも起伏がある場所で脚の上げ下げをするのが辛い。

それでもとにかく予定の場所まで行って引き返し、植橋谷に空身で立ち寄った、しかしゲロク谷は時間が足らなくなる恐れがあったため立ち寄らずにカヅ
ラ谷出合まで戻った。昼食は途中でラーメンとトンカツそしてパン、熱いミルクココアも作って飲んだ。

カヅラ谷出合で沢歩きスタイルから長靴に履き替えトロッコ道を引き返すが、最近の寝不足のために半ば眠っているのではないかと思うほど頭がボーッとしていた。ただし途中に危険な場所があり、そこだけはさすがにしっかりとしていた。

山の家さんに入り早速夕食を頂く、自家製の梅酒を頂きながらの夕食、疲れた体に梅酒が本当においしかった、ほぼ1ケ月ぶりのアルコールであり、食後風呂に入いるとあまりの眠さのために早々に布団に入ってしまった。

須後=1時間50分=カヅラ谷出合=4時間=桑ノ木谷出合の上流=3時間15分=(植橋谷を少し遡る)カヅラ谷出合=1時間35分=須後
『今日の出会いと目撃』カジカガエルの声を今年初めて聞く、人間0人



(4月24日)
天候:曇りのち晴
田歌の水位13時:33cm 
須後~カヅラ谷出合~ゲロク谷出合を少し遡る~七瀬の少し手前~カヅラ谷出合~須後

打ち身のために痛くて寝返りが打てない、そのため一旦腰を浮かせてから向きを変えなければならず、その度に目を覚ますことになったが、それでも久しぶりの長い眠りで体調も少し良くなったような気がした。

朝食を頂いてから痛む脚や尻と相談する、平坦地であれば何とか歩けそうだ、そこで予定どおりに歩くことを前提に沢足袋類もザックに入れて出発する。調子が悪ければ途中で引き返せばいいと考えると気分的に余裕が生まれ、ゆっくりと花などを観察しながらトロッコ道を歩くことにした。

フタゴ谷を過ぎてから先は歩道が崩れて通れないため、この部分を避けて通らなければならず、この通過が心配であったが、慎重に足を動かしたお陰で無事越えることができた。そして更に歩き続けるとカヅラ谷出合に到着する、この頃から曇っていた空にも青いものが広がり始め、気温も上がって暑いくらいになってくる。

ここまで来られたことからこの先のことを考えた、まだ時間は早くゆとりがある、打ち身の痛みも酷くなることはない、そこで昨日時間切れで寄れなかったゲロク谷の下部を往復することにし、沢足袋に履き替えてカヅラ谷に入って行く。

これより川の中を歩くことになり足場も不安定になる、ここでもう一度転倒して昨日の打ち身と同じところを岩にぶつけでもしたら、しばらく動けなくなるのではないかと危惧され、今まで以上に慎重に一歩一歩確かめながら岩に足を置いて流れを遡った。

そのお陰で時間はかかったものの無事往復することができた、そしてそのまま由良川本流を遡って行く。予定ではシカの死体調査を兼ねるつもりであったが、このような体ではゆっくりとしか歩けずしかも段差のある場所の上り下りには打ち身が痛んだ、そこで流れ沿いの植生調査だけにすることにした。

季節の進みが早すぎるために、例年であれば今頃が盛りの花が既に終わりに近づいている、自生地はチェックしてあるが小さな植物であると花がないと探すのが難しい。そのためチェック箇所に来るたびに目を皿のようにして探さなければならず思ったよりも時間がかかった。

昼食は日陰になるような場所に入り、ラーメンとソーセージそしてブロック状のシリアル、ミルクココアも作って飲んだ。七瀬の少し下流でチェック箇所がなくなるため、七瀬まで行かずにそこから引き返すことにして長靴に履き替え、トロッコ道を歩く。

歩きながら見上げると、樹々の若葉を通して淡い緑色の光が降り注いでくる、天気は良くしかも暖かく鮮やかな新緑に包まれながら佇んでいると、このままじっと居続けたいという強い思いが湧いてくる。しかし時間は過ぎていく、この体調ではいつもよりも時間がかかるだろう、いつの間にか余裕のない時刻になっていた。

カヅラ谷出合を過ぎてさらに歩き続ける、しかし昨日より早くは歩けない、焦る思いを抱きながらそれでも一生懸命足を繰り出し続けた。

須後=2時間10分=カヅラ谷出合(ゲロク谷出合を少し遡る)=1時間50分=カヅラ谷出合=2時間10分=七瀬の少し手前=1時間20分=カヅラ谷出合=2時間40分=須後
『今日の出会いと目撃』牡シカ(4尖)の死体1(カヅラ谷出合の少し上流)、シカの警戒音1回(小ヨモギ大ヨモギ間のトロッコ道の上方)


(4月25日)
天候:曇りのち晴のち曇り
田歌の水位13時:32cm 
須後~赤崎~赤崎東谷の滝場~赤崎~須後

二日目の夜もあいかわらず寝返りができない、それでも体調は昨日よりはいいようだ。やはり、山を歩くことが私にとって元気の源なのだろう。朝食を頂き出発する、予定では刑部谷を遡り赤崎東谷を下ることにしていたが、この身体では険しい谷に入るのはとうてい無理だ、そこで赤崎東谷だけを往復しようと考えた。

早朝少し時雨れたようだがもう雨は降っていない、しかし気温は低く三日間で最も寒く感じ、手袋が欲しいほどだ。今日もトロッコ道を歩く、脚などの痛みは少し和らいだようだがまだまだしっかりとは歩けない。三日目になるともう見るものはなくアプローチを消化するためただただ歩くだけだ。

赤崎東谷に入り、流れの中を歩くことが増えてきたところで沢足袋に履き替える。この谷は芦生では珍しくフサザクラがたくさんあり、また大きなカツラも多い。谷は広いが土砂崩れや大雨時の流路変動などが度々起こったために、このような植生になっているのだろう。

巨岩の累々とする場所と緩やかで広い谷底が交互に現れこれを繰り返す、一度大規模な伐採が行われて原生的景観が損なわれているのは残念だが、それでもなおなかなか魅力的な谷である。

源流に入ると滝が連続する、この滝場の始まり辺りが調査対象種の自生限界となり、調査もここで終了する。少し引き返した所で昼食を摂ることにした、パンとソーセージ、湯がないのでココアの粉末を口に入れ水を飲んで口中でミルクココアを作った(あまりおいしくはない)。近くに湧き水がありこれは美味しい。ゆっくり休んでから谷を下っていく、帰りは足元だけ注意して歩けばいいため気が楽だ。

初めてこの谷に入ってから30年ほど経つが、その当時はつまらない谷だと思っていたけれども、魅力的で味わいのある雰囲気が感じられるようになったのは、時間が流れたからだろうか、森にも私にも。赤崎に戻り長靴に履き替え沢足袋などを洗っていると、背後から人の声がして驚いた。3人の方がおられここから引き返されるとのこと、私と方向が同じであったので、事務所構内まで植物などのガイドをして帰った。

須後=4時間25分=赤崎東谷の滝場=2時間05分=赤崎=1時間45分=須後
『今日の出会いと目撃』牝シカ3頭(赤崎の少し下流側1頭、赤崎東谷の下流2頭)、人間3人(赤崎)

4月11日 枕谷・上谷・野田畑谷

枕谷へ下る枕谷へ下る





枕谷を下る枕谷を下る





上谷 トリカブトとバイケイソウ上谷 トリカブトとバイケイソウ





上谷 バイケイソウ上谷 バイケイソウ





若丹国境稜線若丹国境稜線





若丹国境稜線若丹国境稜線





若丹国境稜線の若狭側若丹国境稜線の若狭側





若丹国境稜線からシンコボ若丹国境稜線からシンコボ





タムシバと百里ケ岳タムシバと百里ケ岳





ブナの新緑と百里ケ岳ブナの新緑と百里ケ岳





若丹国境稜線 野田畑谷とほとんど同じ高さだ若丹国境稜線 野田畑谷とほとんど同じ高さだ





オオカメノキオオカメノキ





タムシバタムシバ





ハウチワカエデハウチワカエデ





ブナの雄花ブナの雄花





ナガバモミジイチゴナガバモミジイチゴ





明るい緑はブナ 赤はアカシデ明るい緑はブナ 赤はアカシデ





アカシデアカシデ





アカシデの雄花 赤く見えるのは雄花の色のようだアカシデの雄花 赤く見えるのは雄花の色のようだ





オオイワカガミオオイワカガミ





ネコノメソウネコノメソウ





ハシリドコロハシリドコロ





シハイスミレシハイスミ





タチツボスミレタチツボスミレ





ニシキゴロモニシキゴロモ





ピンク色を帯びたミヤマカタバミピンク色を帯びたミヤマカタバミ





オオバタネツケバナオオバタネツケバナ





サカゲイノデの開葉サカゲイノデの開葉 後方にトキワイカリソウ





マダニマダニ  早速ズボンに付いていた





天候:晴時々曇り
田歌の水位12時:30cm 
生杉ゲート~ブナ原生林~枕谷~上谷~杉尾峠~若丹国境稜線~野田畑谷・上谷中尾根分岐~野田畑谷~地蔵峠~生杉ゲート
出逢った花:<咲き始め>ウスギヨウラク・ブナ・ナガバモミジイチゴ・ハウチワカエデ・オオカメノキ・オオイワカガミ・トキワイカリソウ・シハイスミレ・タチツボスミレ・ニシキゴロモ・ネコノメソウ・オオバタネツケバナ
<盛り>ヒサカキ・アカシデ・クマシデ・ヤマエンゴサク(ヒメエンゴサクまたはキンキエンゴサク)・ヤマネコノメソウ・ミヤマカタバミ・ハシリドコロ・チャルメルソウ・エンレイソウ
<咲き終わり>キンキマメザクラキブシ・タムシバ・イワナシ・イワウチワ・スミレサイシン

今年は季節の進みが異常に早く、何もかもが1週間~2週間ほど早くやってきているような気がする。まだ4月の10日過ぎだと言うのに、オオイワカガミやウスギヨウラクまで早々に咲き始め、ブナの新緑も眩しいほど美しい。

そんな明るいブナ原生林の中を登って行く、急な登りで時々立ち止まってはブナの透き通るような樹冠を見上げ呼吸を整える。尾根まで上がれば、その後は傾斜も緩くなってやがて左側に枕谷の支流源頭が見えてくる、そこでその支流に入って下って行く、ここまで上がってくると開葉しているブナは少ない。

今日の予定はシカの死体数調査、2005年から始めたシカの死体数の記録も今年で16年目、由良川沿いで精査もしているが、芦生内を漫然と100km程度歩き、出会った死体数も記録している、今年は雪が少なかったために4月半ばから始めることにした。

枕谷を下って平坦な流れに変わると、流れの中を歩くことも多くなる、木々が葉を開く前の森の中は地上まで日差しが届き、明るくしかも暖かい。そんな谷の中ではミヤマカタバミやヒメ(キンキ)エンゴサクの花が盛りだ、しかし花の数はそれほど多くはない、シカの直接あるいは間接的な影響だろう。

中山神社の前を通り過ぎ上谷に入っていく、広くて平坦な谷の中では、バイケイソウやトリカブトの若葉が広がって、その辺りだけが雪国の春のように華やいでいる。最近雨らしい雨が降っていないために水量は少なく、また地表も乾いているので歩き易い。

杉尾峠に上がると、若狭湾とそこに浮かぶ毛島や冠島が、少し霞みながらもはっきりと見て取れる。これより若丹国境稜線を東へ向かう、見下ろす若狭側は既に新緑が広がり、芦生側とは季節の進みが違うような気がする、実際若狭側に少し下ると、芦生では見られないサカキがあり、明らかに内陸側より温暖であることを示している。

アップダウンを繰り返す稜線を進んでいると、少し雲が多くなって陽も陰りがちになってきた。そこで風当たりが少なくできるだけ日の当たるような場所を探して昼食を摂ることにした。ラーメンと鶏のから揚げそしてお握らず、今日は自家製の刻み高菜にごま油を少しかけたものを具にしたが、これはなかなかおいしい。

ラーメンが伸びるまでココアを作って待つ、最近目覚めが早くて困る、毎日5時台だ。そこで近所の低山に早朝登山をしてから朝食を摂ることにしているが、反動で日中眠くなってすぐに居眠りをしてしまう、その癖が今日も現れ食後目を閉ざすとすぐに眠ってしまった。

座ったままなので長くは眠ることはできない、立ち上がって出発する。野田畑谷・上谷中尾根を少し東に入ってから野田畑谷に下る、途中に平坦な場所があり展望もいいので一休み、ちょうど間近にブナの雄花が見ることができた。

若丹国境稜線でブナの開花状況を調べたところ、30本中25本が開花していた、その後野田畑谷の中や地蔵峠からの下りでも観察したが、いずれも同程度の開花率であり、芦生全域で開花が同調していると思われる。前回ブナが豊作だったのは7~8年前だったと思う、今年は久しぶりに豊作になりそうだ。

野田畑谷の中を下り続け、枕谷から地蔵峠に上がってそれからの下りは植物たちの自然観察、アカシデは芽吹きの頃に赤くなるためアカシデの名があることは知っていたが、どの部分が赤くなるのか見たことがなかった。そこで今日はその場所を突き止めようとアカシデの下を通る度に見上げていたが、いずれも高くてはっきりしない。

しかしちょうど目の前の高さで見ることができる樹があり、雄花が赤いのだと知った。それが分かったことで、今日一日がどれだけ充実した一日に変わったことだろう。帰路「H」氏宅にお邪魔し、お茶とお菓子を頂いた、いつもご厄介になってすみません。

『今日の出会いと目撃』牝シカ5頭(枕谷で2頭、野田畑谷の下流で3頭)、イノシシ1頭(野田畑谷の上流)、クロツグミとオオルリの声を今年初めて聞く(かなり早いような気がするが?)、人間0人

4月3日 ササ保全地の柵拡張作業

拡張前の柵拡張前の柵





拡張後の柵拡張後の柵





ブナの花が開き始めたブナの花が開き始めた 左が花を付けたブナ、右が花を付けないブナ 今年は花を付けるブナが多く豊作年になるかもしれない。



オオカメノキの冬芽が開き始めたオオカメノキの冬芽が開き始めた






天候:曇りのち晴
田歌の水位13時:32cm 

現在設置しているササ保全柵については、シカの採食に対する防除効果が数値的にも明らかになったため、今後は保全を主にした柵として維持していくことになった。そこで1.5m四方である現在の柵を拡張することによって、柵内で健全な姿で生育しているササから地下茎が伸び、生育範囲が広がることを期待して、現状以上のササを保全しようということになった。

拡張の規模については当初10m四方の柵を考えたが、資材の運搬や柵の維持などを考慮するとかなり困難であり、現在の2倍の辺長に拡大(面積では4倍)するのが現実的だと考えられた。

そこで今回、大勢の方々のご協力を得てササ柵の拡張作業をすることになった。資材を分担して持ち上げる、そして現地では柵の支柱を豪雪にも耐えられるように上下に分かれたセパレーツ式に取替え、ネットも周囲と上部に張って拡張させた。

今回は試験的に2ヶ所の柵を拡張し、どのような効果が現れるか、またどのような障害や問題点が発生するかを見ることにし、その結果を見て来年はもう1カ所の柵も拡張したいと考えている。現在の1.5m四方柵では、あまり広範囲な回復が見られないが、4倍の広さでササが回復してくると視覚的にも「回復した」と思えるようになるのではないか。

完成した柵を前に、そんな状態にまで回復した姿を思い描きながら本日の作業を終えた。現地からの復路は、植物たちの様々な戦略や形態などを観察しながらゆっくりと歩いた。

ご参加下さった皆様本当にありがとうございました、これからも柵の維持など継続的な作業が続きますので、どうぞご協力をお願いします。

3月27日 七瀬谷

七瀬谷下流七瀬谷下流





	 七瀬谷下流七瀬谷下流





	 七瀬谷下流七瀬谷下流





スベリ谷左俣(七瀬谷の本流)の滝場スベリ谷左俣(七瀬谷の本流)の滝場





スベリ谷左俣(七瀬谷の本流)の上流 トリカブトの芽吹きスベリ谷左俣(七瀬谷の本流)の上流 トリカブトの芽吹き




キンキマメザクラキンキマメザクラ





ツノハシバミ雌花ツノハシバミ雌花





イワナシイワナシ





タムシバタムシバ





キブシキブシ





ヒサカキ雄花ヒサカキ雄花





スミレサイシンスミレサイシン





タチネコノメソウタチネコノメソウ





エンレイソウエンレイソウ





ヤマルリソウヤマルリソウ





イワウチワイワウチワ





ミヤマカタバミミヤマカタバミ





ショウジョウバカマショウジョウバカマ





チャルメルソウチャルメルソウ





トキワイカリソウトキワイカリソウ





タチツボスミレタチツボスミレ





ヒメ(またはキンキ)エンゴサクヒメ(またはキンキ)エンゴサク





ホクリクネコノメホクリクネコノメ





ヒメアオキの果実ヒメアオキの果実





シキミが侵入してきていたシキミが侵入してきていた





天候:晴のち曇り
田歌の水位11時:37cm 
古屋の積雪11時:0cm
須後~カヅラ谷出合~七瀬~七瀬谷遡行~傘峠稜線~須後

京阪神の桜の名所では、ソメイヨシノが満開になっているらしい、京都の蹴上を6時過ぎに通過すると、早くも花見の人たちが出歩いていた。佐々里峠の冬季通行止めは3月の中旬に解除されているため、久しぶりに花背・佐々里経由で芦生に向かった、例年であれば佐々里峠付近はまだ残雪が豊富なのであるが、今年は一片の雪すら残っていない。

研究林事務所駐車場に車を停め出発する、気温は低いが手袋を嵌めるまでのことはない。トロッコ道を歩く、草木の花が咲き始めそれを探しながら。発見する花の多くは今年初めて出会う花たちだ、その写真を撮りながら歩くと、歩みがどうしても遅くなってしまう、ただ今日のルートは短めなのでこのような速度でも大丈夫だろう。

今年で3年連続の少雪、特に去年と今年は異状に少ない。そのためトロッコ道沿いで見る常緑のスゲ類は、無残に根元まで食べられ心が痛む。今年はまだシカの死体を見ていない、例年であれば雪に保護されて冬を越すスゲ類だが、雪が少ないために越冬するシカの目に触れて餌になってしまったのだろう。

そのような悲しみはともかくとして、再び春は訪れ、こうして森を歩きながら小さな花たちに再会できる幸せを感謝しなければならない。

七瀬で由良川を渡り一休みする、ココアを作って行動食を少し口に入れる、そしてこれからのことを考えて長靴用スパッツを着け、七瀬谷の中に入っていく。谷の中は今までとは異なり花に出合うことがあまりない、それは谷の中は日当たりが悪く季節の進みが緩慢なのだろうか、お陰で立ち止まることも少なくどんどん奥へと入っていくことができた。

七瀬谷の中にはシカの糞が多く、実際6頭ものシカを見たのであるが、このシカたちがこの辺りで越冬し、わずかに残る植物を食べてしまったかと考えると恐ろしくなってしまう。スベリ谷に入り、左俣(七瀬谷の本流と思われる)の滝場を越えた陽だまりで昼食を摂ることにした、ラーメンと卵焼き入りの「お握らず」。

ポカポカと暖かく、食事を済ませてからもなかなか動き出せない、そのうちにウトウトとしてしまって一層動けなくなってしまう。いつまでもこうしていたいという誘惑を振り切って敢然と(ちょっとオーバーだが)立ち上がり再びスベリ谷を遡って行く。

上流に入ると小滝が少しあるだけで、緩やかで明るい早春の谷が続く、時々トリカブトの若葉が地上に展開し、雪国の春らしい光景を作っている。流れが絶え、林道に横切って急斜面をよじ登ると傘峠に続く稜線だ、ここまで来れば登りは終わり、後は下るだけだ、そう考えるとホッとする。

ケヤキ坂付近から林道を通って下っていく、幽仙橋付近からは今年初めて見る花が加わり、写真を撮っていると急にブレーキがかかったように歩みが緩やかになってしまった。それでもほぼ予定の時刻に到着する、これから本格的に始める予定の希少植物の再調査、対照種が現れるのはもう少し先のようだ。

須後=2時間50分=七瀬=3時間20分=傘峠稜線=2時間20分=須後
『今日の出会いと目撃』牝シカ2頭(ヤケ谷出合下流)、性別不明シカ4頭(ヤケ谷出合上流)シカの警戒音1回(灰野付近)、人間0人

3月20日 ササ保全地での柵上げ

ヤマネコノメソウヤマネコノメソウ





タマゴケの蒴 拡大するとこのようなものなのだタマゴケの蒴 拡大するとこのようなものなのだ





ササの柵を上げる前ササの柵を上げる前





ササの柵を上げた後ササの柵を上げた後





天候:晴のち曇り
田歌の水位13時:38cm 
古屋の積雪13時:0cm

先週に引き続き、積雪による倒壊を防ぐ目的で下ろしていたシカ柵を上げる作業を行った、今日はササ保全のため柵である。来週数人で上げる予定にしているが、天気予報を見ると雨になっており、もしもこれが当たると柵上げが随分先になってしまう。

通常の年であればまだ残雪があって、柵上げができないのであるが、この3年は雪が少なく、特に昨年と今年は極端に雪が少なく、3月初旬には柵上げができる状態になっていた。従ってできるだけ早く柵を上げ、ササの立ち上がるのを邪魔しないようにしなければならない。

そこで、急遽私一人で柵上げをすることにした。朝のうちは天候もよくポカポカと暖かかったのであるが、次第に雲が広がりさらに南風も強くなって作業をしていても寒くなってくる。傾いた支柱をまっすぐに立てるのが大変で、倒木の枝で添え木を作って打ち込み、支柱に縛って固定する。

また、ネットの上にはスギの小枝がたくさん落ちており、これを一つ一つ取り除いていくのであるが、針状の葉が引っかかって思うように取れない。さらに上部にネットを被せるのであるが、シカの口が入らないようにサイドネットと接続するのもなかなかの作業だ。

結局昼食をはさんで4時間を費やして、6か所の柵上げを終えた。風が強く気温も高いためだろう、落葉が舞い上がってそれが吹き溜まり、晩秋のように落葉の吹き溜まりがあちこちにできていた。作業を終えそんな中を歩いて下っていると、今が春であることを忘れてしまいそうになる。

それでも木々の冬芽も膨らみ、ダンコウバイやオオカメノキはもうすぐ咲きだしそうになっていた。

3月14日 エビネ類保護のネット上げ

バイカオウレンバイカオウレン





ネットを被せていないサルメンエビネネットを被せていないサルメンエビネ シカに食べられて酷いことになっている




ネットを被せていたサルメンエビネネットを被せていたサルメンエビネ シカの採食から逃れて葉がいっぱい残っている




支柱を立ててネットを被せる支柱を立ててネットを被せる





網目からつまみ食いしようとした跡網目からつまみ食いしようとした跡 この冬はネットの下にもう一枚網目の細かいネットを敷いていたため、葉をつまみ出そうとしたが網目の細かいネットをつまみ出すだけで終わったようだ。昨年学習したシカと同じ個体の仕業だろう。






天候:晴
田歌の水位13時:56cm 
古屋の積雪13時:0cm

昨年末に下したエビネ類保全柵を上げるために入林した。雪の重みでトンネル支柱が折れてしまう可能性があるため、毎年恒例になった積雪前のネット下げから一冬が過ぎ、雪も消えてしまったので今日実行することにした。今年も昨年に続き積雪が少なく、もうネット上げができるようになっている。

昨年はネットの網目からつまみ食いされたため、これを防ぐべくもう1枚網目の細かいネットを張った効果があり、1ヶ所は少し食べられたが他の7ヶ所は無事であった。無事であった場所でも網目の細かいネットがつまみ出されて持ち上がったところもあり、アタックしたことは間違いがないようだ。

この持ち上がった情景を見て、知恵比べに今回は勝ったのだと嬉しくなった。このようなことをしたシカは、昨年つまみ食いができたことを学習したシカで、ネットのあるところにはエビネもあるのだと2重に学習したようだ、だが残念だっただろう、今回は私の勝ちのようだ。

ただ来年はもう少し完璧な対策をしなければ、また知恵比べに負けてしまうかもしれないと思った。

3月7日 櫃倉谷・中山谷山

櫃倉谷 ナメ谷出合櫃倉谷 ナメ谷出合





権蔵谷の唯一の滝 今日は長靴で登った権蔵谷の唯一の滝 今日は長靴で登った





若丹国境にある池 夏には涸れる若丹国境にある池 夏には涸れる





若丹国境稜線からブナノ木峠方面若丹国境稜線からブナノ木峠方面





若丹国境稜線から北側若丹国境稜線から北側





中山谷山山頂付近中山谷山山頂付近





中山谷山山頂付近から若狭側中山谷山山頂付近から若狭側





中山谷山山頂付近から北側中山谷山山頂付近から北側





奥ノ谷山分岐からの下りで奥ノ谷山分岐からの下りで





奥ノ谷山分岐からの下りで奥ノ谷山分岐からの下りで





奥ノ谷山分岐からの下りから櫃倉谷奥ノ谷山分岐からの下りから櫃倉谷





マルバマンサク もう満開だマルバマンサク もう満開だ





タマゴケの蒴タマゴケの蒴





水滴が光るヒノキゴケ水滴が光るヒノキゴケ





コアカミゴケ(地衣類)コアカミゴケ(地衣類)





ツチグリツチグリ





ナツツバキの冬芽 芽鱗が落ちてしまっているナツツバキの冬芽 芽鱗が落ちてしまっている





ネジキの冬芽 陽当たりがいいので当年枝も赤いネジキの冬芽 陽当たりがいいので一年枝も赤い





枝分かれが激しいブナ枝分かれが激しいブナ





スギが黄色くなってまるで花が咲いたように見えたスギが黄色くなってまるで花が咲いたように見えた 枯れてしまうのだろうか




タヌキの溜糞場ではササが残っているタヌキの溜糞場ではササが残っている





シカの食痕 ヒサカキ齧ってみたがシカの食痕 ヒサカキ 齧ってみたが苦くも辛くもなく舌も痛くならなかった




シカの食痕 ミヤマカンスゲシカの食痕 ミヤマカンスゲ 鎌で刈り取ったみたいだ






天候:小雪のち曇り
田歌の水位13時:46cm 
古屋の積雪13時:0cm
須後~中ノツボ谷出合~ナメ谷出合~権蔵坂~中山谷山~奥ノ谷山分岐~龍王橋~須後

芦生に到着すると、まるで待っていたかのように小雪が降り始めた、最近の暖かさで冬が終わったかのような気がしていた私に対する、「まだ春にはなっていないよ」との強いメッセージなのかもしれない。

しかし積もるほど濡れるほどのことはなく本当に小雪、あまり気にすることはなく出発する。林道で見つけられる春はまだまだ少なく、タマゴケが小さくて丸い蒴を付けているくらいだろうか、イワナシの蕾もまだ堅い。

林道終点からは横山峠を越えず、まっすぐ櫃倉谷の流れ沿いに遡る、水量が少し多く念のため長靴用のスパッツを着けた。中ノツボ谷出合を過ぎてどんどん奥へ入っていくが、櫃倉谷の中は未だ冬のまま、ただ例年であれば見られる残雪が全く見られないのでどちらかというと初冬の風景に近いだろうか。

谷の中の歩道はどんどん荒廃し、歩道のありかが分からなくなっている、更に櫃倉ゴルジュの巻き道から権蔵谷の出合までが、倒木や崖崩れで歩道が寸断され一般の人には通れなくなっている。ナメ谷出合まで遡って一休み、行動食を少し口にする、ここまで来てようやく小さな残雪を一つ見つけた。

引き返して権蔵谷に入り遡る、この谷は昨年よりも倒木が増えたような気がする、大雪があったわけではないがどうしたのだろう。いずれにしても倒れた跡地には後継樹になるべき稚樹や幼樹はなく、良くてシダが繁茂するばかりだ。

権蔵坂に上がると若狭側から冷たい風が吹きつけてくる、一休みしたいところだがそのような場所もなく、また登りの途中で休むと後が辛い、そこで休まず若丹国境稜線を西の方へ向かう。坂谷源頭付近の小ピークで風の当たらない場所を見つけ昼食を摂ることにした、ちょうど薄日も射してようやくわずかだが暖かくなってきた。

そばとパンと手羽先の照焼きそしてミカン、麺が伸びるまで温かいココアを作って待つ。食事を終えてしばらく休んでいると眠気が訪れてくるが、気温が低いために寝込んでしまうまでには至らない。

若丹国境稜線から中山谷山方面への稜線に入り、中山谷山を経て奥ノ谷山への長い稜線を歩く。落葉は少し濡れているがやはり風景は初冬そのもの、日が当たり落葉が渇いてカサカサ鳴るようになれば、初春とは思えなくなるだろう。

この稜線は年に何度も歩くが、芦生の中でもお気に入りのルートの一つ、ナツツバキが多くて芦生では最も個体数が多いだろう。ただ疲れてくると最後の奥ノ谷山分岐までの登りが辛い、今日もこれを越えればあとは下りばかりだと言い聞かせながら登った。

分岐からは龍王橋を目指して下って行く、この尾根も最後の急傾斜地さえなかったら本当に素晴らしいルートなのだが残念だ。龍王橋に下り着いて内杉谷の川原に下る、スパッツを外しズボンの裾とスパッツを洗って一休み、ココアを飲みミカンを食べた。

出発地にたどり着いたのはちょうど午後5時、意外と時間がかかってしまった。今日の春との出会いは、満開になったマルバマンサクの花とタマゴケぐらいだろうか。


須後=1時間45分=中ノツボ谷出合=1時間=ナメ谷出合=1時間10分=権蔵坂=2時間25分=中山谷山=1時間30分=奥ノ谷山分岐=1時間30分=須後
『今日の出会いと目撃』シカの警戒音1回(奥ノ谷山分岐から少し下ったところ)、人間0人
『シカの越冬状況』櫃倉谷の中には糞があまり見られなかったが、若丹国境稜線上には古いものから新しいものまでたくさん糞が見られた。これから考えられることは、櫃倉谷の中ではあまり越冬しておらず、若丹国境稜線上で越冬しているシカが多かったものと思われる。

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