芦生短信2

通年に亘る京都「芦生」の山行記録。出会った花・キノコ・果実と積雪量。2002年から2005年の記録は「自然館のホームページから「里山便り」へ進んでください」で。2006年から2009年の記録は 「芦生短信」へ。2012年4月からは「芦生研究林」の許可を受け、「ABCプロジェクト」との共同研究目的で入林しています。芦生原生林の現状をリアルタイムで知っていただくためにこのブログに記録を掲載していますが、ルートの大半は入林が規制されている地域であるため、許可がない限り入林できないことをおことわりしておきます。

7月23日 灰野谷・赤崎西谷 中尾根 赤崎東谷・刑部谷 中尾根

P911m付近から傘峠方面P911m付近から傘峠方面





リョウブリョウブ





キツネノボタンキツネノボタン





コバノフユイチゴの果実コバノフユイチゴの果実





チャボスズゴケにやっと出会えた、左上はヒメハイゴケだろうチャボスズゴケにやっと出会えた、左上はヒメハイゴケだろう




ヒラタクワガタのメス?ヒラタクワガタのメス?





タマゴタケタマゴタケ





マスタケマスタケ





コナアカミゴケ(樹状地衣)コナアカミゴケ(樹状地衣)





灰野谷・赤崎西谷中尾根のユズリハは健在だ灰野谷・赤崎西谷中尾根のユズリハは健在だ





30cmほど離れていても血の匂いがするのか向かってくるヤマヒル 30cmほど離れた長靴にでも向かってくる、反対側に足を置くとヤマヒルもUターン、これを数回繰り返して遊んだが、熱を感じているのかもしれない 植物はミヤマチドメ


天候:曇り一時雨
田歌の水位13時:34cm
須後~P840m~P911m~コヨモギ作業所跡~須後
出逢った花:<咲き始め>リョウブ
<盛り>ノリウツギ
<咲き終わり>コナスビ・ミツバ・キツネノボタン

今日はタヌキのタメ糞場巡りをする。

トロッコ道を歩く、昨夜雨が降ったらしく歩道や下草が濡れている、全くのヤマヒル日和、こんな状態で草叢を歩けば多数のヤマヒルに付かれること間違いなし。できる限り立ち止まらず、止まる場合でも下草の皆無な場所をと心掛け、コケの観察をしながら歩道を歩いた。

また、立ち止まった後は慎重にヒルチェック、その結果1匹のヤマヒルガ長靴を登り始めていた。短い靴であればすぐに靴の中に入ってしまうだろう、その点長靴だと靴の中に入るまでに距離があるため、発見できる確率が高まり被害に遭う可能性も少なくなる。

トロッコ道では、今までコケを主体にしては見ていなかったため気付かなかったが、今日のようにコケ観察を主にして歩くと、その多様性の高さに頭がクラクラする(分からないコケが多すぎるのが原因で)。ヤマヒルの心配がない時に、図鑑を抱えてゆっくりと歩きたいものである。

灰野からは、灰野谷と赤崎西谷の中尾根を登る、傾斜がきつく且つ平坦になるまでが長い、だからこれを登り終えれば、今日の作業の半分は消化したような気分になれる。平坦になってからも短い登りが出てくるがそれはわずか、タメ糞場調査をしながら歩けばやがて佐々里峠からの歩道に出合う。

今日は昨日と違って風があり、稜線に上がれば涼しい。P840mの少し手前、風の吹き抜ける稜線上で昼食にする、昨日と同じタクアンとチリメン山椒でお茶漬け、ミカンゼリーも食べてゆっくり過ごす。暑苦しい夜が続き寝不足気味、じっとしていると気だるさが這い上がってきて動き出すのが億劫になる。

気分を入れ替えて出発、城丹国境稜線に入って東へ進む、予定のルートを回るには十分な時間ではあるが、時々薄暗くなって今にも雨が降り出しそうだ。雷雨になれば調査を中止して戻る以外にはなさそうだが、東へ行けばいくほど下山ルートに迷ってしまうだろう。

P911mにたどり着いた途端に雨が降ってきた、とうとう来たかと思いカッパのズボンを履く、いずれこれから先はダニ除けズボンを履かなければならないので同じようなものだ。赤崎東谷と刑部谷の中尾根を下り始めたが、雨はその時だけ、以降全く降ることはなかった。

今日だけで16カ所のタメ糞場を回って無事コヨモギ作業所跡に到着、下る途中に暑さは極まりそのまま由良川へ直行、素っ裸になって流れに入る。昨夜の雨の影響で水はまだ濁っており、水温も少し低くあまりゆっくりと浸かる気にはなれなかった。

それでもさっぱりして出発、再びコケ観察をしながら歩いた、歩道は乾いてもうヤマヒルは大丈夫だろうと安心していたが、1匹のヤマヒルが長靴を這い上がってくるのに気が付いた。それをハサミで切って退治、結局今日はヒル被害には遭わずに済んだ。

『今日の出会いと目撃』シカの警戒音1回(コヨモギ谷出合付近)、ヤマカガシ1匹、ヒバカリ1匹、人間5人(城丹国境稜線)、今日も午後からヒグラシがよく鳴いた、マダニは付着しなかった
須後=4時間50分=P840m=2時間05分=P911m=1時間45分=コヨモギ作業所跡=1時間55分=須後

7月22日 カベヨシ北東谷・城丹国境稜線

カベヨシ北東谷カベヨシ北東谷





カベヨシ北東谷カベヨシ北東谷





登山道にスギランが落ちていた登山道にスギランが落ちていた 近くの樹木に載せた





登山道にホテイシダが落ちていた登山道にホテイシダが落ちていた 近くの樹木に載せた





タヌキのタメ糞場 使用頻度が高く糞が多いタヌキのタメ糞場 使用頻度が高く糞が多い





タメ糞場にジンバイソウがたくさんタメ糞場にジンバイソウがたくさん 





タメ糞場にミヤマシグレが数本タメ糞場にミヤマシグレが数本





別のタメ糞場 様々な糞虫(甲虫)が集まってきていた別のタメ糞場 様々な糞虫(甲虫)が集まってきていた





ユズリハが丸裸にユズリハが丸裸に





ユズリハが丸裸にユズリハが丸裸に





その下には糞がいっぱいその下には糞がいっぱい





種名までは分からないがスズメガの幼虫がたくさん居た種名までは分からないがスズメガの幼虫がたくさん居た





スズメガの幼虫スズメガの幼虫





メスながらタマムシを久しぶりに見たメスながらタマムシを久しぶりに見た





ルリタテハルリタテハ





天候:曇り
田歌の水位13時:29cm
生杉若走路谷駐車場~カベヨシ北東谷~江丹国境稜線~地蔵峠~三国峠東側~生杉若走路谷駐車場
出逢った花:<咲き始め>リョウブ

何年ぶりかでカベヨシ北東谷に入る、この谷を歩く必要は全くないのであるが、尾根歩きは暑くてたまらない、そこで谷を歩いて稜線に上がることにした。

梅雨空け間もないというのに、水量が少なくこの付近では今年は空梅雨だったことを裏付けている、ただ局所的に豪雨があり、大きな被害が出たことも確かである。水量が少ないために岩がヌルヌルしている(バイオフィルムが付着している)為に、時々ブラシで岩の滑りを落としながら登った。

水量が多いと、小さな滝がたくさんあって沢登りを楽しむことができるが、水量が少ないと少しも面白くない、水がほぼ涸れると滝場も終わり、そこで沢足袋から長靴に履き替え、シャツも濡らして登りに備える。しかし稜線はすぐそこに見えている、急な斜面を少し登れば江丹国境稜線だ。

これより国境稜線及びそこから派生した尾根上にあるタヌキのタメ糞場巡りをする、高島トレイルという名の踏み跡の延長のようなものが付けられてから、踏み跡上のタメ糞場はあまり利用されず、また植物も踏みつぶされてなくなってしまっている。

踏み跡以外に在るタメ糞場の中には使用頻度の高いものもあり、植物が、それもシカの嗜好性の高い植物がふさふさと繁っており、その姿を見ると実に気持ちがいい、森全体がこのような茂みになればいいのだが。

地藏峠を過ぎて峠の北側に登り返したところで昼食を摂る、たくあんとちりめん山椒でお茶漬け。休んでいるとカやブユ、アブがやってきてあまり落ち着いていられない、やはり休憩を摂るのは川沿いに限る。

食事を摂ってしばらく歩くと、突然枯れ木のような姿のユズリハの薮が目の前に展開する、全く葉が残っていないものばかりで、そこにスズメガの幼虫が張り付いている。葉が無くなったためにどこかへ移動したのか、個体数はそれほど多くはないが、樹下には黒い糞塊が無数に落ちている。

足元には地上を這うスズメガの幼虫や、死んでしまったのか動かなくなった幼虫も見られた。稜線の両側にびっしり薮状に自生するユズリハ(おそらくエゾユズリハだろう)が、ことごとく丸裸にされており、距離にして100mほどだろう、ユズリハの薮が途切れるまで続いていた。

芦生へ頻繁に来るようになって15年ほど、ユズリハの薮が濃くなってから数年が経過するが、今までこのような光景に出合ったことがない。しかも他の場所では今年になってからも見ていないので、おそらく局所的に且つ爆発的にスズメガの幼虫が発生したのであろう。

これからタメ糞場調査で、芦生全域の尾根を歩くことになるため、他所でも発生していないかを確認したい。またこれほど破壊的に採食された後のユズリハはどのようになるのか、更に来年は再び大発生するのだろうか、追跡して調査をする必要があるだろう。

その先はそもそもユズリハが薮状になった場所がなくなるため、被害を見ることがなくなった。今日は早く家に戻らなければならないため早めに下山する、三国峠には寄らず長池からクチクボ峠を経て出発地へ戻ったが、今日はあまりコケ観察ができなかった。

生杉若走路谷駐車場=2時間=江丹国境稜線=1時間50分=地蔵峠=2時間30分=生杉若走路谷駐車場
『今日の出会いと目撃』人間0人、午後からヒグラシがよく鳴いた、マダニは付着しなかった
   
    

7月16日 ササ保全調査の続き

シナノキシナノキ





コケオトギリコケオトギリ





ヒナチドリヒナチドリ





バイケイソウバイケイソウ





ブナの果実 今年は豊作のような気がするブナの果実 今年は豊作のような気がする





オオカメノキの果実  まだ赤いものばかりだオオカメノキの果実  まだ赤いものばかりだ





アワムシの巣 アリが溺れている コケはアラハシラガゴケアワムシの巣 アリが溺れている コケはアラハシラガゴケ




ベニヒガサベニヒガサ





粘菌粘菌





粘菌の拡大粘菌の拡大





天候:曇りのち曇り時々小雨(雷鳴がよく聞こえた)
田歌の水位13時:32cm
出逢った花(昨日以外):
<盛り>ネムノキ・ヒナチドリ・コケオトギリ・バイケイソウ
<咲き終わり>シナノキ

ササ調査地を回ってネットの点検と、器具の取り換えをした。ミニ柵が3カ所潰されていたのは、クマが好奇心から踏みつぶしたものだろうか、特別面白くないと分かったらもうやらないだろう(こちらとしては止めてもらわないと困る、保護しているはずがかえって傷ついてしまっていた)。

今日も蒸し暑く、更にアブとブユが纏わりついてゆっくりしていることもできない。そんなわけでコケの観察は朝方の涼しい間だけで、暑くなってくると邪魔者が多くできなくなる。

昼食はキュウリの糠漬けと塩昆布でお茶漬け、午後から雷鳴がしきりに聞こえるようになり、慌てて下山した。最後に水浴びをしようとしたが、シカの骨が在って断念する。

『今日の出会いと目撃』人間0人、ホトトギスがよく鳴いていた、という事は、「ウグイスが戻ってきた」という事であり、それは「薮が復活してきた」という事だろうか(薮は薮でもエゾユズリハやアセビ、スギが多いが)。マダニは付着しなかった。

7月15日 中ノツボ谷岩場

中ノツボ谷 中ノツボ谷





中ノツボ谷 大滝中ノツボ谷 大滝





中ノツボ谷 岩場中ノツボ谷 岩場





中ノツボ谷 岩場中ノツボ谷 岩場





クマノミズキクマノミズキ





ムラサキシキブムラサキシキブ





ノリウツギノリウツギ





ヤマアジサイヤマアジサイ





クサアジサイクサアジサイ アジサイ科の木本は対生なのに本種は互生




オカトラノオオカトラノ





ミツバ 花は小さいミツバ 花は小さい





オオチドメオオチドメ





ハエドクソウハエドクソウ





アカショウマアカショウマ





イヌトウバナイヌトウバナ





コオニユリ 立派な株に出会ったコオニユリ 立派な株に出会った





ヤマジノホトトギスヤマジノホトトギス





ナツハゼの果実 中ノツボではこんな高所にも自生しているナツハゼの果実 中ノツボではこんな高所にも自生している




オオシラガゴケオオシラガゴケ





変形菌の一種変形菌の一種





チョウクロヒカゲ?





タカハヤ?が足をつつくタカハヤ?が足をつつく 皮膚の塩分を舐めているのだろうか




タヌキのタメ糞場 ササが多いタヌキのタメ糞場 ササが多い





天候:晴れ時々曇り
田歌の水位13時:33cm
須後~中ノツボ谷出合~中ノツボ谷の岩場~中ノツボ谷二俣~落合橋~須後
出逢った花:
<咲き始め>クサアジサイ・アカショウマ・ヤマジノホトトギス
<盛り>7月咲ヤマツツジ・ヤマアジサイ・ノリウツギ・ムラサキシキブ・オカトラノオ・ミツバ・ハエドクソウ・イヌトウバナ・オオバギボウシ・コオニユリ
<咲き終わり>クマノミズキ・サワオトギリ・コナスビ・ミゾホウズキ・オオチドメ・ミズタビラコ

先週開花時期が早くて調査ができなかったコオニユリを求めてリベンジ、3連休中最も天候のよさそうな今日を選ぶ。時間的に余裕があると考え、コケの観察をしながら歩くと、中ノツボ谷出合まで1時間ほど余計にかかってしまった。

それからはできるだけコケは見ないようにして歩く、中ノツボ谷最初の2個の滝は大きく高巻いて上流側へ下り、次に現れる10mほどの滝の手前から岩場調査に入る、岩場はおおむね3段になっているため、各岩場の下部を左右に移動して調査を行った。

1週間経過してコオニユリも満開状態、近づくことが困難な場所でも花があるためその存在が分かる、個体数までは正確に調べられないが、概数はつかむことができた。

谷を離れる前にシャツを水で濡らしたが、今日も天気が良く日陰の少ない場所ばかりを歩きていたため、すっかり乾いて暑さも一気に感じるようになった。ぐったりしてきたので休んで昼食にすることにした、たくあんと塩昆布でお茶漬け、これだとすんなり喉を通る。

ようやく予定ルートを巡り終え、ダニ除けズボンを履いて急斜面を登る、ズボンを1枚重ねるのであるからさらに暑くなって汗だく、中ノツボ谷の二俣に下って水浴びをする。先週よりも水は温み少しゆっくりと浸かることができた。

爽やかになったところで一山乗り越え、内杉谷と櫃倉谷の中尾根を下った、途中2カ所でタヌキのタメ糞調査をする。落合橋まで下って早速流れに入って水浴び、ここまで下って来ると水温が上がってゆっくりと浸かっていられた。

帰る途中地元の方と出合い、シカやクマの話、中ノツボの話などいろいろ話しているとすっかり時間が経ってしまった。須後に到着したときには少し薄暗くさえなっていた、先ほどの方に採れたばかりのキュウリを頂いた、シカの食害と闘って作っておられる貴重なものだ。

須後=2時間20分=中ノツボ谷出合(中ノツボ谷の岩場)=5時間25分=中ノツボ谷二俣=3時間50分=須後
『今日の出会いと目撃』シカの警戒音(内杉谷)、マムシ1匹、人間0人、マダニは若ダニ1匹ザックに付着した

7月8日 中ノツボ岩場

中ノツボ谷 岩場中ノツボ谷 岩場より見下ろす





中ノツボ谷 二俣付近中ノツボ谷 二俣付近





7月咲 ヤマツツジ7月咲 ヤマツツジ





コオニユリ 開花していたのはこれ1個体だけコオニユリ 開花していたのはこれ1個体だけ





ウスノキ果実ウスノキ果実





ツエタケツエタケ





ピーク上のヌタ場にもモリアオガエルノ卵塊がピーク上のヌタ場にもモリアオガエルノ卵塊が こんな所では水が涸れてカエルにまで成れないだろう





天候:晴れのち曇り
田歌の水位13時:41cm
林道中ノツボ線終点~中ノツボ谷の岩場~林道中ノツボ線終点
出逢った花:
<咲き始め>コオニユリ
<盛り>7月咲ヤマツツジ・サワオトギリ・オオバギボウシ
<咲き終わり>コナスビ

今回は、鳥類を研究しておられる学生さんと中ノツボの岩場を回った。学生さんと一緒に行動すると、林道の通行許可をもらっていただけるのでありがたい、林道中ノツボ線の終点まで車で入る。

早速ダニ避けズボンを履いて出発する。今日は私一人ではないため万一のことを考え9mm40mのザイル(クライミングロープ)を持ってきた、そのためできるだけ荷物を減らしようやくいつもよりも少し重い程度になった。

岩場に向かう途中からエゾユズリハの薮が濃くなり、歩き辛くなってくる、下りに多いということは帰りが辛そうだ。この辺りに生息シカは冬期には若狭側に移動して越冬し、雪解け後に再び戻ってくるのだと考えられる。昨冬はドカ雪のためにシカが多数死んだが、この辺りのシカには移動していたためあまり影響は受けなかったのだろう、食痕などの痕跡がよく見られた。

もうかなり前になってしまったが、岩場の上でザックを発見し、それが前年遭難死された方のものだった、ということがあったが、今回もそのザックの発見場所から岩場に下る。今日は気温が高く、ここに着くまでだけで既に大汗をかいたが、日陰のない南側に面した岩場の上は、じっとしているだけでも暑い、その岩場を歩き回ると汗だくになる。

時々ロープを出しながら、岩場を下ったり横断したりして4時間ほど歩き回った。今回も目的は、学生さんはある鳥の営巣を観察することであり、私はコオニユリの個体数を調べることであったが、鳥の営巣は発見できず、またコオニユリも1輪開花していただけで自生している個体数を十分カウントすることができなかった。

途中日陰になっているわずかな平坦地で昼食、私はキュウリの糠漬けとたくあんでお茶漬けを掻き込む、暑い時でもいくらでも喉が通る。

あまり成果が得られないまま帰路に着く、帰りは予期したとおり薮が多くてとても暑い、急斜面の登りと薮を通り抜けてぐったり、中ノツボ谷の二俣付近に下りここで水浴びをした。先日の雨の影響か水温は低く数秒ほどしか水に浸かれなかったが、それでも爽やかになって車に戻り着いた。

林道中ノツボ線終点~中ノツボ谷の岩場往復:6時間00分
『今日の出会いと目撃』シカの警戒音(中ノツボ谷二俣付近)、ヤマカカシ1匹、人間0人、マダニは若ダニ1匹・巨大な親ダニ1匹が付着した



7月2日 由良川 岩谷出合から

由良川 小ボケ出合下流由良川 小ボケ出合下流





由良川 スケン谷出合上流由良川 スケン谷出合上流





由良川 スケン谷出合上流由良川 スケン谷出合上流 コケはハイゴケの仲間





イワガラミイワガラミ まだ装飾花だけのようだ





ミヤマイボタミヤマイボタ 久しぶりに花に出会った





クリクリ 周辺では強い匂いがする





オオバギボウシオオバギボウシ





バイケイソウバイケイソウ





ヒヨドリバナヒヨドリバナ





ウラベニガサウラベニガサ





ヒノキオチバタケヒノキオチバタケ たくさん発生していた





ホウノキの果実から発生していた菌
ホウノキの果実から発生していた菌




ハイゴケとヒナノヒガサハイゴケとヒナノヒガサ





シノブゴケ(トヤマシノブゴケ?)とシロキクラゲシノブゴケ(トヤマシノブゴケ?)とシロキクラゲ





ヤマトフデゴケ 茎頂部が分離して無性生殖するヤマトフデゴケ 茎頂部が分離して無性生殖する





左ナミガタタチゴケ  右ホソバオキナゴケ左ナミガタタチゴケ  右コスギゴケ





上の写真の拡大 ナミガタタチゴケは透明感がある上の写真の拡大 ナミガタタチゴケはガラス細工のような透明感がある




シシゴケ 中央の淡い緑はホソバオキナゴケシシゴケ 中央の淡い緑はホソバオキナゴケ





オオバチョウチンゴケオオバチョウチンゴケ





コツボゴケorツボゴケツボゴケ(おそらく)





上の写真の拡大上の写真の拡大





スギゴケ?とザトウムシオオスギゴケ(おそらく)とザトウムシ





モリアオガエルの卵塊 今年2回目の産卵のようだモリアオガエルの卵塊 今年産卵したものは雨不足でほとんど死んでしまったのだろう そのため今年2回目の産卵をしたようだ



林道の水溜りにまで産卵している林道の水溜りにまで産卵している すぐに干上がってしまうだろう




タヌキのタメ糞場 リョウブが大きく育っていたタヌキのタメ糞場 リョウブが大きく育っていた





イノシシの寝床跡イノシシの寝床跡 近くにもう一カ所あった





コケの観察をしていると巨大なヤマヒルがいたコケの観察をしていると巨大なヤマヒルがいた コケはエゾスナゴケ





天候:曇りのち雨(雷を伴う)のち曇り
田歌の水位13時:40cm
生杉ゲート~中山~八宙山東側~由良川(岩谷出合)~中山~生杉ゲート
出逢った花:
<咲き始め>イワガラミ・ヒヨドリバナ・バイケイソウ・オオバギボウシ
<盛り>クリ・ミヤマイボタ
<咲き終わり>ソヨゴ・エゴノキ・オオバアサガラ・ミズタビラコ・コナスビ・デワノタツナミソウ

ようやく梅雨らしくなり、湿度の高いじめじめとした不快な日が続くようになった。水不足が心配されたが雨も降りだし、森に生きるすべての生物にとっては待望の雨となった事だろう。もちろん人間にとっても同じ事で、特に農業をされている方々にとっては恵みの雨となったに違いない。

しかし、山を歩くとなると少し事情が違う、やはり晴れているほうがありがたいが。

生杉ゲートから林道を歩く、今日のルートは短めに採ってあるので、今回もコケの図鑑を携えての山歩き、早速ページを開きながら歩いた。日頃から毎日のように「平凡社の『日本の野生植物 コケ』」という本の写真を眺め、また解説文を読んでイメージトレーニングしているのであるが、何といっても対象が小さいために実際に目にしても、画像に一致するコケがなかなか現れない、「科」レベルに達する事さえ困難を極める。

日本だけで1700種類、芦生だけでも500種類はあるだろうと言われている、ましてやルーペだけで識別できる種はそれほど多くないとなると、ほとんど分からずとも当然のことだ。コケガールならぬコケ老人(発音が「ボケ老人」に似ているが)になり始めたばかりの素人にはその程度が限界だろう。

そのようなことをして歩いていたので、中山までは普段の2倍以上も時間がかかってしまった。下谷を渡り傘峠方面へと登っていく、ここでもコケを見ながら歩く、これまで急坂では実生観察だけであったがこれにコケが加わると、長い登りもいつの間にか過ぎてしまい、登りであることさえ意識から消えてしまう。

歩道が平坦になってきたところから、今日の予定であるタヌキのタメ糞場調査を始める。年に一度は糞場を巡って使用の有無や頻度、糞の内容物、シカの採食の有無などを調べることにしており、昨年から始めた。これを継続して行うことにより、タヌキの生息数とその変動、季節的行動パターンなどの生態が分かってくるかもしれないと考えている。

エゾハルゼミの鳴き声がうるさいほどに聞かれ、そんな蝉時雨の降り注ぐ中を登っていく、八宙山の手前から歩道と別れ、岩谷出合付近に続く尾根に入る。これからは薮が現れる、そこでダニ除けズボンを履く、これからの季節はズボンを重ねると暑くて辛い、それでもダニに付かれることを考えると耐える以外にない。

7カ所の糞場を巡って岩谷出合到着、ゆっくりしていたためにもう昼近くになっている、道理で空腹感を覚えてきたはずである。そこで昼食を摂る、たくあんと塩昆布でお茶漬け、そして沢足袋に履き替えた。

食事を済ませて由良川を遡る、水量は少し増えたようだがそれでもいつもより少なめ、歩くにはちょうどいい量である。しばらく歩いていると、だんだんと辺りが暗くなり雷さえ聞こえてくるようになった、やがてポツポツと雨が降り始める、本格的な雨になるだろうと考えられたため、すぐにカッパの上下を着けた。

岩谷から上流では、たとえ増水して川が歩けなくなったとしても、江丹国境稜線に逃げるのに困難なところはない、エスケープルートには事欠かないのだ、だから急ぐ必要は全くない。時々川沿いのコケ観察さえしながらのんびりと遡る、ゆとりがあるからなのか雨も強く降ることもなく、かえって時々止んでしまうこともあった。

中山に到着し長靴に履き替え林道を歩く、中山橋で美山自然文化村のバスが停車していた。下谷を下ってこられるツアー客を待っておられるのだろう、運転手さんがおられたのでしばらく芦生のお話をする。雨が強く降りそして弱まり、やがては小雨に変わってしまった、その間ずっとお話をしていたわけだからずいぶん長い時間だったのだろう、ツアーの一行が見えてきたので失礼する。

長治谷小屋付近まで来ると雨が止んでしまった、空も明るくなり雨はもう上がったようである。そこで暑苦しいカッパを脱ぎ、爽やかな気分で帰路に就いた、地蔵峠からも時々コケを眺める、ゆっくりできた一日であった。


生杉ゲート=2時間15分=中山=2時間15分=由良川(岩谷出合)=3時間30分=長治谷小屋前=50分=生杉ゲート

『今日の出会いと目撃』シカの警戒音(長治谷小屋裏)、人間10人ほど(河鹿荘のツアー)、マダニは付着しなかったが、帰宅して靴下を見ると血がべったり、ヤマヒルにやられたようだ(その時点では加害者は見当たらなかった)

6月24日 ササ保全調査の続き

フウリンウメモドキ 雄花 雌雄異株なので雄株フウリンウメモドキ 雄花 雌雄異株なので雄株 芦生には本種がわずかしかない




ソヨゴ 雄花 雌雄異株なので雄株ソヨゴ 雄花 雌雄異株なので雄株





ソヨゴ 雌花ソヨゴ 雌花





ツルアリドオシツルアリドオシ





変形菌のツノホコリ 美しい変形菌のツノホコリ 美しい





ブナの葉の虫こぶブナの葉の虫こぶ イクラのようだ





ブナの葉の虫こぶ ブナハマルタマフシブナの葉の虫こぶ ブナハマルタマフシ





小さなカエル アズマヒキガエル小さなカエル アズマヒキガエル 本種は水溜りに産卵するため、卵から孵化しカエルに変態するまでわずか2か月、だからカエルも非常に小さい



トチノキの樹皮に新しいクマの爪痕がたくさんあったトチノキの樹皮に新しいクマの爪痕がたくさんあった。木の上に平坦な場所があるため、寝床にしているのかもしれない




天候:曇り時々日が差す
田歌の水位13時:25cm

先日に続き未了の調査の続きをする。時間的に余裕があり、先週と同じくコケの図鑑をもって歩いた。日常的にコケの写真を見て解説文を読んでいると、現場に行った際役に立つ、ほんの少しだけだが識別できる種があった。

山中ではエゾハルゼミの声が盛んに聞かれた。

『今日の出会いと目撃』シカ1頭(性別不明:麓)、アオダイショウ1匹、今年初めてコルリの声を聞く(複数の個体が鳴いていた)、マダニは付着しなかった。

6月17日中ノツボ岩場と谷・内杉谷(車中泊)   6月18日カズラ谷植橋谷・七瀬スベリ谷

中ノツボ谷 大滝上の函下流側から中ノツボ谷 大滝上の函下流側から





中ノツボ谷 大滝上の函上流側から中ノツボ谷 大滝上の函上流側から





中ノツボ谷 二条の滝 水量少なく一条中ノツボ谷 二条の滝 水量少なく一条





中ノツボ谷 深い釜の滝中ノツボ谷 深い釜の滝





中ノツボ谷 涸れた谷の滝を登る中ノツボ谷 涸れた谷の滝を登る





七瀬 スベリ谷七瀬 スベリ谷





七瀬 スベリ谷七瀬 スベリ谷





七瀬 スベリ谷七瀬 スベリ谷





七瀬 スベリ谷七瀬 スベリ谷





七瀬 スベリ谷七瀬 スベリ谷





ウツギウツギ





エゴノキエゴノキ





ネジキネジキ





シモツケシモツケ





シモツケ・ノアザミ・ゼンテイカ・ハネミイヌエンジュシモツケ・ノアザミ・ゼンテイカ・ハネミイヌエンジュ 中ノツボは面白い場所で、ノアザミやハネミイヌエンジュといった暖地のものが岩場に自生している。まるで垂直分布が逆転しているかのようだ。


サルナシ(雄花)サルナシ(雄花)





コアジサイの群生と6月咲ヤマツツジコアジサイの群生と6月咲ヤマツツジ





コアジサイの花を裏から見るとコアジサイの花を裏から見ると





ササユリササユリ





ドクダミドクダミ ヤマボウシのように、白いものは苞で中心の細かいものが一つ一つの花




カキノハグサカキノハグサ





オククルマムグラオククルマムグラ





ショウキランショウキラン





ユキノシタユキノシタ





デワノタツナミソウデワノタツナミソウ





イヌトウバナイヌトウバナ





岩の上に着生するメノマンネングサ岩の上に着生するメノマンネングサ





カスミザクラの果実 果柄に毛があるカスミザクラの果実 果柄に毛がある、ヤマザクラには無い。




ナガバモミジイチゴの果実ナガバモミジイチゴの果実 最もおいしい木苺の一つ





ゼニゴケとアカケダニゼニゴケとアカケダニ 庭の厄介者の苔だが、芦生ではほとんど見ない。林道上に在った。




エゴノキに付く虫コブエゴノキに付く虫こぶ
里ではエゴノネコアシを見ることがあるが、芦生ではこのような虫こぶしか見ない。



中ノツボ谷にあるわずかなリュウキンカに食痕が中ノツボ谷にあるわずかなリュウキンカに食痕が 個体消失の危機だ




シカの採食でサルメンエビネの今年の葉が既にほとんどないシカの採食でサルメンエビネの今年の葉が既にほとんどない 以前は100株以上があったが今回は数本だけ、しかもこのように食べられている。ショックが大きい。



今まで食べないものと思っていたフタリシズカに食痕が今まで食べないものと思っていたフタリシズカに食痕が





シカの入れない場所にウワバミソウの群生がシカの入れない場所にはウワバミソウの群生が





コミネカエデの実生と菌コミネカエデの実生と菌 実生は菌に侵されやすくすぐに消えてしまう。でも美しい菌だ。




ハウチワカエデの実生と菌ハウチワカエデの実生と菌





ヒナウチワカエデは実生段階から鋸歯が深く分かれているヒナウチワカエデは実生段階から重鋸歯が深く分かれている




子マムシ子マムシ 木の枝を箸のようにして持ち上げた





親マムシ親マムシ





水中のシカの死体とナガレヒキガエルのオタマジャクシ水中のシカの死体とナガレヒキガエルのオタマジャクシ この状態だとカエルに変態するまで餌には不自由しないだろう



オオルリの雛オオルリの雛 コンデジでもこれだけ鮮明に写せたのは1.5mほどまで近づけたから




二日間で出逢った花:<咲き始め>ネジキ・ヤマボウシ・シモツケ・カキノハグサ・イヌトウバナ・ドクダミ・ショウキラン
<盛り>ウツギ・ツルアジサイ・タンナサワフタギ・オオバアサガラ・コアジサイ・サルナシ・ウワバミソウ・ギンリョウソウ・ミズタビラコ・ムラサキサギゴケ・トキワハゼ・コナスビ・デワノタツナミソウ・ミヤマヨメナ・ノアザミ・ナルコユリ・シライトソウ・ササユリ
<咲き終わり>エゴノキ・タニウツギ・キランソウ・ハナニガナ・ジシバリ・ユキノシタ・メノマンネングサ・カタバミ・オククルマムグラ・ヒメヘビイチゴ・ゼンテイカ

(17日)
天候:曇りのち晴れ
田歌の水位13時:25cm
須後~横山峠~中ノツボ谷大滝落口~林道中ノツボ線~内杉谷~須後(芦生ロードパークで車中泊)

今年第2回目の中ノツボ調査に入る、木本のバラ科シモツケが対象である。一般には園芸品が広く植栽され何の珍しさもないが、芦生においては未記録種であり、且つ分布地と個体数が限られる希少種である。そのため、他の自生地と隔離されており、遺伝的多様性が劣化している可能性が高い。

内杉から櫃倉へと林道を繋いで歩く、白っぽい花の多いこの季節、6月咲ヤマツツジの赤い花が際立つ、他に赤い花が見られない中で咲くことの優位性は何だろう。

一時減少したコアジサイが増えている、減少の要因はシカの採食であったと考えられるが、増加の要因は単純ではなさそうだ。そもそもシカの嗜好性はあまり高くないようだが、そこにニッチの重なる他の植物がシカの採食を受けて減少したことと、本種の採食に対する耐性や繁殖力などが複雑に絡まって増加したのではないだろうか。装飾花のない淡紫色の小さな花の集合が清楚だ。

横山峠を越えて櫃倉谷に入り、ダニ除けのズボンを履いて中ノツボ谷右岸尾根を急登する。足元の実生を見ながら登り続け、アセビやエゾユズリハの薮を掻き分けていつものルートから岩場の上に出る。数年前に遭難者のザックを発見したところだ、亡くなった方の冥福を祈ってから岩場を下り始める。

途中から岩場を横断し、目的種を調査して最後は中ノツボ谷に下り着いた。しかし、そのまま谷を遡るのではなく再び斜面を登りトラバース気味に大滝の落口まで移動した、ここで先日失った単眼鏡を偶然発見し感激、最近雨が降っていないために全くの無傷であった。

大滝落口の少し上で昼食を摂る、お握らずと漬物の簡単なものだ。食事を済ませてから沢足袋に履き替え、中ノツボ谷を遡っていく。深い釜のある滝を高巻き、そのまま水の涸れた枝谷を登る、最後は谷通しでは進めなくなったため、大きく高巻いて上流側の平坦地へ、ここで再び長靴に履き替えた。

ところが、この先がテツカエデの幼樹が密生する濃密な薮となり行く手を阻む。最近芦生では、テツカエデ、エゾユズリハ、アセビ、スギなどシカの不嗜好性植物の薮が急拡大し、途方に暮れるような場面がしばしば出てくるが、今回もひどい薮であり、これと格闘する気力が生まれるまでしばし時間がかかった。

薮を通過するとその先は解放された空間が広がる、ここでマダニの点検、しかし全く見られない。経験則から言うと、背丈またはそれ以上の濃い薮にはどうもマダニがいないようである。

マダニにとっては中型動物が最も好ましい動物でありと考えられるところから、待ち構え場所である葉の位置が、膝くらいの高さの木が最適であり、背丈以上の薮では、かえって最適な高さに葉がないため、マダニが生息していないのではないかと思われる。

下層植生の少ない平坦地を少し歩けば林道中ノツボ線の支線だ、風の吹き抜ける木陰で一休み、楽しみにしていたミカンゼリーを食べながらくつろいでいると、40mほど先を移動する黒い物体が目に入った。

「クマ」だ、幸い気が付いていない様子であり、写真を撮ろうとそっと近づいたのであるが、白っぽいシャツを着ていたのがまずかったのか、すぐに気づかれて逃げられてしまった。最後にクマを見てから5年ほどは経つだろう、先ほどの単眼鏡との邂逅と言いクマとの出逢いと言い、今日はとても良い一日だ。

林道中ノツボ線を辿り、林道杉尾権蔵線に合流する手前から内杉谷に向かって急な斜面を下る。谷まで下り着き長靴のまま内杉谷を下降し、幽仙橋の下を潜って砂防ダムの堰堤付近から林道に上がった。

須後に向かう途中で「H」さんと出合ったが、今日は車中泊、風呂替わりに水浴びをしたいと考えていたため、お別れして内杉谷に入った、水温はまだまだ低く、ほんの数秒程度しか浸かれなかったがとてもすっきりした。

須後に戻り芦生ロードパークに移動する、夕食は牛丼、冷凍してきたビールがちょうど飲み頃となっており、食事を摂りながらビールを飲めばすぐに眠くなってしまった。

須後=1時間25分=横山峠=2時間50分=中ノツボ谷大滝落口=2時間10分=林道中ノツボ線=2時間50分=須後
『今日の出会いと目撃』ツキノワグマ1頭(林道中ノツボ線)、マムシ2匹、人間0人、マダニは10匹程度付着した



(18日)
天候:曇り時々日が差す
田歌の水位13時:25cm
須後~カズラ谷出合~植橋谷出合~七瀬~林道八宙中山線~須後

現地で泊まると朝がゆっくりできるうえ、歩き始めるのも早くなるのでとても楽だ。カップラーメンの朝食、車中を片付けて(1000ccのコンパクトカーなので、車中が狭く片付けないと運転することもできない)須後へ移動し出発する。

トロッコ道を歩く、梅雨に入った途端に晴天続き、歩道も乾燥してヤマビルの心配がほとんどない、そこでコケの観察をしながら歩くことにする。新しく買った「特徴がよくわかるコケ図鑑:藤井久子著」と以前から持っている「フィールド図鑑コケ:井上浩著」の小型の本2冊を携え、ルーペで覗いて観察した。

ルーペの向こうに見える世界は全くの別世界、鮮やかで微細な造形物は見たこともないものばかり、例えばチョウチンゴケ科のコケの葉は細胞が1層であるため、透かして覗けば一つ一つの細胞まではっきり見える。

しかしコケの分類は難しく、属まで分かれば十分、私には科すら分からないものがいっぱいある。「特徴がよくわかる…」を見てもよく分からない、やはりコケの観察会に参加して教えてもらわなければダメなようだ。

今日の予定ルートは少し長め、最初からゆっくりしていると後で焦らなければならなくなる、途中で図鑑はザックに入れ、少し急いで歩いた。カズラ谷出合でダニ除けのズボンを履いてカズラ谷に入る、長靴のまま植橋谷出合まで歩き、沢足袋に履き替えて植橋谷を遡る。

新しい倒木が数か所で谷を埋めており、小滝の続く優雅な流れがすっかり台無しになっていた。滝場最後の滝を越えたところで、右岸から注ぐ小さな枝谷に入っていく、ほどなく水が涸れ、そこで長靴に履き替えてその上部に続く急斜面を這い上がる。

ところが稜線までが遠い、登れど登れど上り着かない、見上げるたびに「まだある」とため息をつく。ようやく稜線に到着、しかしほっとする間もなく、今度はスギとアセビそして時々エゾユズリハの混在した濃い薮が行く手を阻む。

ただ、下りに現れた薮なので助かる、しばらく薮漕ぎを続けていると、スッと薮が消えて開放された空間が現れてきた。その後はずっと薮らしいものは出現せずやがて七瀬への下降点へ、旧歩道はほとんど消えているため急斜面をまっすぐ下っていく、と言ってもそれほどのことはない。

七瀬に到着し、ダニ除けズボンを脱ぎ沢足袋に履き替える、そして七瀬谷に入っていく。水量が少なく歩き易い、ヤケ谷出合までは長く感じたがその後はどんどん進んでいく、今日はスベリ谷の右俣へ入る予定だったが、迷った挙句本谷である左俣を遡ることにした。

大きな滝の続く滝場を過ぎればその後は難所がない、どんどん遡って水量がわずかとなり、ドラム缶が現れればもうすぐ林道だ、そこで再び長靴に履き替えしばらく登れば林道、これを横断してさらに登れば傘峠の稜線だ。

その後は林道などを通って須後へ下る、到着目前で時間的に余裕があることが分かり、長くはないがコケの観察をする時間が生まれた。

須後=1時間50分=カズラ谷出合=45分=植橋谷出合=2時間20分=七瀬=2時間55分=林道八宙中山線=2時間05分=須後
『今日の出会いと目撃』シカの死体1(植橋谷で 性別等不明)、アカショウビン(飛んでいくのを見る)、オオルリの雛2羽、人間0人、マダニは1匹だけ付着した


6月11日 三国岳・大谷ニボケ

三国岳分岐から琵琶湖・伊吹山三国岳分岐から琵琶湖・伊吹山





由良川 大ツボ由良川 大ツボ





大谷の下流大谷の下流





大谷の中流 シノブゴケやケチョウチンゴケなど大谷の中流 シノブゴケ・チョウチンゴケ・シッポゴケなど





大谷の中流大谷の中流





大谷 二ボケ出合の下流大谷 二ボケ出合の下流





二ボケ出合の滝二ボケ出合の滝





ニボケニボケ





二ボケ最後の滝場二ボケ最後の滝場





二ボケ最後の滝場二ボケ最後の滝場





城丹国境稜線からの南望城丹国境稜線からの南望





ギンリョウソウギンリョウソウ





ナルコユリナルコユリ





ヤグルマソウヤグルマソウ これだけまとまった個体があるのは、芦生では他にない




シライトソウシライトソウ





ヤマボウシヤマボウシ





コツボゴケコツボゴケorツボゴケ





ワサビの果実ワサビの果実 開花後花茎が走出枝のように伸びて先端に果実を付ける。親と似た環境に種子を散布するためと、種子が水に流れやすい環境であるため、これらに適応した散布方法だと思われる。


クマの糞クマの糞 若葉を食べたようだ 新しい





天候:曇り
田歌の水位13時:27cm
久多(岩屋谷林道ゲート)~三国岳~由良川(大谷出合上流)~ニボケ遡行~府立大学演習林南縁尾根分岐~久多(岩屋谷林道ゲート)

出逢った花:
<咲き始め>ヤマボウシ・タンナサワフタギ・オオバアサガラ・コアジサイ・ミヤマヨメナ・ウワバミソウ・ギンリョウソウ・ナルコユリ・シライトソウ
<盛り>ツルアジサイ・ハナニガナ・ジシバリ・ミズタビラコ・ムラサキサギゴケ・トキワハゼ・コナスビ・カタバミ・デワノタツナミソウ・ヤマグルマ
<咲き終わり>タニウツギ・キランソウ・コウライテンナンショウ

久しぶりに久多から三国岳に登る、このルートは一本調子の急な登りが続くのであまり好きにはなれない。しかし久多から三国岳に登るルートとしては最短であるためやむを得ないか。

昨夜のことだろうか、少し雨が降ったらしく歩道沿いの低木が濡れている、それを払いのけながら歩いていると手の指の間に違和感を覚え、見ればヤマビルが付いていた。少し吸血し始めたのだろう、ヤマビルを取った痕から血が滲んでなかなか止まらない、今年最初の被害だ。

急な登りは下を見て実生を同定しながら歩くのが一番いい、知らない間に結構上まで登っているからだ。今日も下を見ながら歩いた、アカシデの実生が一番多く、次いでウワミズザクラだろうか、カエデ類も多いが種まで同定できるのは特徴的なものだけだ、それ以外ではナカカマドやタカノツメ、コシアブラなどが時々現れる。

大杉が見えてくると間もなく城丹国境稜線だ、更にしばらく登り続けると三国岳山頂に到着する。山頂を越えて経ケ岳分岐を過ぎて江丹国境稜線に入ると、東側(滋賀県側)の展望が開け、琵琶湖とそこに浮かぶ竹生島、そしてその後方には伊吹山地が連なっているのがはっきり見えた。曇っているが視界は最高だ。

P941m西尾根分岐から西尾根に入り、P941mを経て由良川向かって枝尾根を下る。少し下り始めると薮が出てきたため、ダニ除け用にカッパのズボンを履いた、春早いうちはエゾユズリハだけ気を付けておればよかったのだが、この季節になると樹種は関係なくなるようだ。

尾根を下りながら時々立ち止まってダニが付いていないかを点検する、付いていれば払って再び歩く。膝上程度の薮にダニが一番多く、かえって背の高い薮にはいないようである、それが分かってくると、付着している可能性があるような薮を通過したときだけ点検すれば済むようになる。

最後はかなり急な斜面となり流れが近づいてやがて由良川に下り着く、ここで長靴から沢足袋に履き替え、併せて1回目の昼食も摂る。今回はお茶漬け、2つに分けてあるので食事も2回に分けて摂ることができる、しかし、塩昆布だけでは寂しい限りだ。

食事を済ませて由良川を下り、大谷出合から大谷に入る、水量は少ないが岩がヌルヌルして滑りやすい。久しぶりの大谷、親しくなったカツラにも挨拶してニボケ出合まで上がってくる、これより二ボケを遡るが、倒木がずいぶん増えたように感じる。

実際倒木を避けながら遡らなければならず結構手間がかかる、第一景観がもう一つすっきりしない、倒木の無かったころのニボケは小滝が連なってとても美しかったが…。最後に5段のヌルヌルした連瀑を越えれば二俣、ここで長靴に履き替える。

そして2回目の昼食を摂る、これも同じく塩昆布でのお茶漬け、食事を済ませて再びダニ除けのズボンを履いて尾根を登る、あまり濃い薮がないためか、ここでは少しだけしかダニは付かなかった。城丹国境に上がり付近をしばらく彷徨っていると、登山者2名が通りかかられる。

三国岳から天狗岳を往復とのこと、ダニの話をすると一人の方のズボンにダニが1匹付いていた。しばらくお話をして先行される二人を見送り、後からゆっくり東に向かって歩く、府立大学演習林南縁尾根分岐からは岩屋谷林道ゲート付近を目指して下っていく。

途中この尾根でも時々ダニチェック、急斜面を一気に下れば岩屋谷林道である。ダニ除けズボンを脱いで最終チェックする、結局今日一日で50匹以上は付いたようだった。しかし、春先に多かった幼ダニはそれほど多くはなく、肉眼でも見える大きさの若ダニのほうが多かったような気がする。


久多(岩屋谷林道ゲート)=1時間30分=三国岳=2時間20分=由良川(大谷出合上流)=1時間30分=ニボケ出合=2時間10分=府立大学演習林南縁尾根分岐=1時間=久多(岩屋谷林道ゲート)
『今日の出会いと目撃』牝シカ2頭(岩屋谷林道・府立大学演習林南縁尾根:目撃場所が近接しているため同一個体である可能性あり)、人間2人(城丹国境稜線)

6月3日 中ノツボ岩場(車中泊) 6月4日 坂谷・権蔵谷

中ノツボ谷 下流中ノツボ谷 下流





中ノツボ谷 下流中ノツボ谷 下流





中ノツボ谷 階段状滝中ノツボ谷 階段状滝





中ノツボ谷 大滝中ノツボ谷 大滝





中ノツボ谷 岩場 ツルアジサイとゼンテイカが咲いている中ノツボ谷 岩場 ツルアジサイとゼンテイカが咲いている




中ノツボ谷 岩場中ノツボ谷 岩場





若丹国境稜線 エゾユズリハが繁茂して通過困難若丹国境稜線 エゾユズリハが繁茂して通過困難 1年で薮が濃くなった




権蔵谷の支流 コアジサイが繁茂権蔵谷の支流 コアジサイが繁茂 シカの嗜好性があまり高くはなく繁殖力も大きいために増えてきたのだろう




コツクバネウツギコツクバネウツギ





ツクバネノキ(雌花)ツクバネノキ(雌花)





ハクウンボクハクウンボク





オオバアサガラオオバアサガラ





アカモノアカモノ





6月咲 ヤマツツジ6月咲 ヤマツツジ





ホオノキホオノキ





サワフタギサワフタギ





タンナサワフタギ 花期はサワフタギより遅れるようだタンナサワフタギ 花期はサワフタギより遅れるようだ





コアジサイコアジサイ





ガマズミ 花期はミヤマガマズミなどより遅れるようだガマズミ 花期はミヤマガマズミなどより遅れるようだ





マルミノヤマゴボウマルミノヤマゴボウ





デワノタツナミソウデワノタツナミソウ





メノマンネングサメノマンネングサ





オトギリソウオトギリソウ





ウワバミソウウワバミソウ





ミズタビラコミズタビラコ





フタリシズカフタリシズカ





トキワハゼトキワハゼ





カタバミカタバミ 庭の厄介者だが山で見るとかわいい





ハナニガナハナニガナ





ジシバリジシバリ





ミヤマヨメナミヤマヨメナ





セッコクセッコク 香水のようないい香りがする





トケンラトケンラン シナモンのような香りがする





イワナシ果実 まだ酸っぱいイワナシ果実 まだ酸っぱい





ヤマソテツの胞子葉ヤマソテツの胞子葉





イワヒバ 小型のものばかりなのは、大きくなれないためかイワヒバ 小型のものばかりなのは、大きくなれないためか




ヒモカズラ マット状に岩を覆っているヒモカズラ マット状に岩を覆っている





ハナゴケの仲間(地衣類)ハナゴケの仲間(地衣類)





ウリハダカエデの実生がいっぱいウリハダカエデの実生がいっぱい 成木まで達するものはどれだけあるだろう




トリカブトの群生トリカブトの群生 うどんこ病でほとんど花が咲かないのだろう




クダホコリ(変形菌)クダホコリ(変形菌)





ニホンカワトンボニホンカワトンボ





若丹国境稜線 この辺りもクマハギが多い若丹国境稜線 この辺りもクマハギが多い





ケヤキの根元でケヤキの根元で とにかく太い根だ





中ノツボの岩場中ノツボの岩場 昨年12月に撮影したものだが、これで全体の半分強か、この岩場を一日巡っていた。写真を持って出かけたが、現在地がどこかわからないことが多かった。


二日間で出逢った花:
<咲き始め>タンナサワフタギ・オオバアサガラ・コアジサイ・ガマズミ・ミヤマヨメナ・オニタビラコ・ノアザミ・デワノタツナミソウ・メノマンネングサ・キクムグラ・イヌガラシ・オトギリソウ・マルミノヤマゴボウ・ウワバミソウ・ヒメヘビイチゴ・ゼンテイカ
<盛り>ホオノキ・ヤブデマリ・ヤマツツジ(6月咲)・コツクバネウツギ・ツクバネノキ・ツルアジサイ・ハナニガナ・ジシバリ・ミズタビラコ・ムラサキサギゴケ・トキワハゼ・コナスビ・カタバミ・セッコク・トケンラン
<咲き終わり>タカノツメ・トチノキ・フジ・サワフタギ・アカモノ・ハクウンボク・タニウツギ・サンインクワガタ・オオバタネツケバナ・キンポウゲ・ミゾホウズキ・キランソウ・コウライテンナンショウ

(3日)
天候:曇り
田歌の水位13時:28cm
須後~中ノツボ谷出合~岩場調査~中ノツボ谷出合~須後(芦生ロードパーク車中泊)

昨年、希少植物の分布を再調査したが、未了の部分が2ケ所あった、一つは由良川沿いの広範囲に分布する種、もう一つが中ノツボに分布する種である、今回はこの中ノツボに分布する種を調査することにした。

調査地は岩場のために全域をくまなく巡ることは極めて困難であり、花を頼りに探すことになる、しかし花期は種によって異なっているため、少なくとも3回は調査しなければならない、今回はその第1回目となる。

須後から内杉谷・櫃倉谷と林道を繋いで中ノツボ谷出合へ、道中花の写真を撮りながら歩くものの、今日の作業量を考えるとゆっくりとはできず、できるだけ急いで歩くことになった。今朝は気温が下がって寒いくらい、防寒のためにカッパの上着を着る。

今日の調査地は沢足袋が不要な場所であるため、中ノツボ谷へ入るのも長靴のまま歩けるルートを選んだ。出合から30分程歩けば調査地の入口に達する、昨年の12月に対岸から写した写真を頼りに調査地を巡り歩くが、傾斜が極めて強いために限られた場所しか歩くことができず、現在地すらはっきり確認できないことがしばしば出てくる。

しかもGPSが全く役に立たない、元々衛星からの電波を受けにくい地形である上に、傾斜が急であるためわずかな誤差でも垂直距離では大きな誤差となってしまう。

調査地は全域が急峻で、岩場でないところでもスリップすると谷まで滑落するような場所ばかりであり、一時たりとも気を抜くことができない。そんな場所を上下左右と移動し、時にはロープも使い終日捜し回った。その結果は、場所が場所だけに個体数に大きな変動は見られず、シカの糞も食痕もあまり目立つこともなく、現時点では一応安泰であると考えられた。

予定時間内に何とか調査を終え中ノツボ谷出合に戻る、横山峠を越え林道を歩いて須後に向かう、少し心配したが明るいうちに帰り着くことができた。須後から車で5分ほど下った「芦生ロードパーク」で車中泊、冷凍して保冷箱に入れてきた缶ビールがちょうど飲みごろ、これを頂きながらハヤシライスの夕食を摂る。

須後=1時間30分=中ノツボ谷出合(岩場調査)=7時間50分=中ノツボ谷出合=1時間25分=須後
『今日の出会いと目撃』牝シカの死体(白骨化):林道櫃倉線上、人間0人



(4日)
天候:曇りのち晴れ
田歌の水位13時:27cm
須後~坂谷出合~権蔵坂~林道櫃倉線終点~須後

5時半に起床、現地で泊まると朝がゆっくりできる、ラーメンの朝食を摂って須後へ移動する。今日も内杉・櫃倉の林道を往復しなければならないと思うと少し気が重い、気温は昨日ほど下がらなかったようであまり寒さは感じない。

今日の予定はシカの死体を発見すること、2005年から毎年芦生全域で発見したシカの死体数を記録しており、先日由良川で行った死体数調査とは別に、芦生全域をランダムに歩いた際に出会ったシカの死体数を数えている。

10年以上にわたる長期のモニタリングにより、冬期の積雪とシカの越冬についての関係性を調べている。そのため先日のように特別探し回るというようなことはせず、普通に歩くだけでよいので気が楽だ。

今日は櫃倉3号橋から櫃倉谷の流れに下り、川の中を歩くことにする、水量が少ないために歩き易く、長靴のままでも渡渉に苦労する場所は全くなかった。林道終点を過ぎてからも川沿いに歩き、中ノツボ谷出合からは歩道を歩く、櫃倉谷は入林規制後は入る人も少なく、歩道の位置が不明瞭になっている。

坂谷出合で沢足袋に履き替える、長靴でも歩けると思われるが、沢足袋を履いて水の中を歩いたほうが早いうえに喉が渇かない、いつも思うが皮膚からも水分を吸収することができるのではないかと。

坂谷の水量も少なく深みに入ることは滅多にない、初夏に入り緑が濃くなったのだろう谷を覆う樹木の下は薄暗い。坂谷の中流以下が皆伐されてから久しく、次第に樹木も太く高くなってきたが、それでもまだ二次林であると容易に認識できる程度、原生を取り戻すまでにはまだ永い年月が必要だろう。

上流部の原生林に入ると、否応なしに森の深さの違いを知らされる、やはり大径木の生い立つ本来の森は、畏敬すら覚えるほど神々しい。しかし、ナラ枯れやブナの倒木のために大きなギャップが至る所に生じ、それに追い打ちをかけるようにシカの採食による下層植生の衰退が、林床を生命感の乏しい世界へと変えてしまっている。

最後まで谷を詰めず途中から小尾根を登ることにする、長靴に履き替えさらにダニ除けのために古いカッパのズボンを履いて。五波峠から中山谷山に至る稜線に上がると、以前より踏み跡がしっかりとついている、最近通る人が増えたためだろう。

稜線を若丹国境まで歩き、五波峠へのルートと別れて国境稜線を東へ向かう、こちらは踏み跡も途絶えがち、時々立ち止まって位置確認が必要になる。さらに東へ進んで権蔵坂近くまで来ると、エゾユズリハの濃密な薮が立ちはだかり、踏み跡すら完全に消えてしまった。

ここで立ち往生、ルートを探して右往左往するが見つからず、薮の薄そうなところを繋いで何とか越えることができた。エゾユズリハはシカの不嗜好性植物の一つであり、あまり食痕も見当たらず芦生では急速に分布地を拡大している。

エゾユズリハは常緑であるため樹下は暗くてほとんど植物が育たないだろう、以前のチシマザサのように他種の更新を妨げることになりかねない。ただ現時点では、裸地であることよりも緑で覆われることのほうがはるかに好ましい。

薮を突破してしばらく歩くと権蔵坂、稜線の風は冷たく少し権蔵谷に下った陽の当たる場所で昼食を摂ることにする、パンと行動食だけのささやかな食事だ。まだ12時前、これから戻るにはかなりゆとりがある、そこで食事を済ませてからもゆっくりと過ごした。

休息を終え歩き始めて間もなく、70才くらいの男性1名に出会う、ここは許可がないと入れなくなっている事などを伝えたうえでしばらく男性の話を聞いていると、「10年ほど前にもこの辺りで上流側から下って来る人に出会った」という話をされた。

私にも同じような記憶があり、更に話を伺っていると、その人物は間違いなく私であることが確認できた。男性にとってはその時以来の権蔵谷だそうだが、巡り合わせというのは実に不思議なものである。その後もしばらく芦生のことや生物のことについて話を続けたのち、お別れして谷を下った。

櫃倉谷に出合ってさらに下り続け、坂谷近くまでやってきて気が付いた、予定では権蔵谷出合から杉尾峠下まで往復するはずであった事を。しかしここまで下ってきてはもう戻る気力はない、そのまま下り続けることにした。

横山峠を越えて林道に出合う、まだまだゆとりがあるのでその後もゆっくりと歩いた、こんなにくつろいで歩いたのは久しぶりだ、こんな山旅も時にはいいものだ。

須後=1時間50分=坂谷出合=3時間15分=権蔵坂=2時間40分=林道櫃倉線終点=2時間=須後
『今日の出会いと目撃』ひな鳥を連れたヤマドリ一家、人間1人(権蔵谷で)

記事検索
livedoor プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ