芦生短信2

通年に亘る京都「芦生」の山行記録。出会った花・キノコ・果実と積雪量。2002年から2005年の記録は「自然館のホームページから「里山便り」へ進んでください」で。2006年から2009年の記録は 「芦生短信」へ。2012年4月からは「芦生研究林」の許可を受け、「ABCプロジェクト」との共同研究目的で入林しています。芦生原生林の現状をリアルタイムで知っていただくためにこのブログに記録を掲載していますが、ルートの大半は入林が規制されている地域であるため、許可がない限り入林できないことをおことわりしておきます。

9月17日 P941m・由良川源流

P941m付近 ガスの中P941m付近 ガスの中





由良川へ下る途中 対岸はツボ谷由良川へ下る途中 対岸はツボ谷





二ノツボのすぐ上二ノツボのすぐ上





トコ迫出合のすぐ下流トコ迫出合のすぐ下流





三ノツボの下流三ノツボの下流





三ノツボ三ノツボ





四ノツボ 少し濁っている四ノツボ 少し濁っている





シカメコを見下ろす シカメコを見下ろす 





リンドウリンドウ





ツリフネソウツリフネソウ





ミゾソバミゾソバ





イヌトウバナイヌトウバナ





アキノキリンソウアキノキリンソウ





アキギリアキギリ





アゼトウガラシアゼトウガラシ





ホウキタケの仲間ホウキタケの仲間





シロアンズタケシロアンズタケ





カバイロツルタケカバイロツルタケ





アカハテングタケアカハテングタケ





サマツタケサマツタケ





ホテイシダホテイシダ 7~8年前に倒木から移動したもので、ずいぶん増えた




ブナの倒木 根が浅い(浅根性)ことがよくわかるブナの倒木 根が浅い(浅根性)ことがよくわかる





面白い樹形のイタヤカエデ面白い樹形のイタヤカエデ





ミズナラのドングルの食べかす、クマのものだろうミズナラのドングルの食べかす、クマのものだろう





タヌキの糞 サルナシの果実を食べたようであるタヌキの糞 サルナシの果実を食べたようである クマやテンのものであればフルーティーなのだが、タヌキのものはやっぱり臭い



天候:曇りのち雨のち雨が降ったり止んだり
田歌の水位13時:55cm 
出逢った花(昨日以外):<咲き始め>ミゾソバ
<盛り>リンドウ・イヌトウバナ・アキギリ・イヌコウジュ・アゼトウガラシ・アキノキリンソウ
<咲き終わり>ツリフネソウ
出逢った果実(昨日以外):サルナシ・キブシ・エゴノキ・オオウラジロノキ
古屋~岩谷峠~P941m西尾根分岐~二ノツボ~岩谷出合~岩谷峠~古屋

花折峠を越えると雨が降り出してきた、天気予報では曇りのはずなのだが…、一時的だと願っていたが、雨は止むどころか本格的にさえなってくる。もう絶望だと思いながら古屋に到着、出発の準備をしてカッパを着るため車外に出ると、どうだろうほとんど止んでいるではないか、神は見捨てなかったかと気力を取り戻し出発、もちろんカッパは着ずに。

保谷林道から歩道に入る、雨露に濡れないよう歩道にせり出す木の葉などを避けながら登っていく。そんな調子で歩いたためズボンもほとんど濡れずに岩谷峠に到着、ここで一休みしているとこれまで止んでいた雨が再び降り出してきた。「ここまでカッパを着ずに登って来られただけでも幸いだ」と思いつつカッパの上下を着けた。

その後は雨が降り続く、この先由良川まで下るのだが、それを考えると少しブルーになってしまう。P941m西尾根分岐から西尾根に入り、さらにエゾユズリハの繁茂する枝尾根を一ノツボ方面に向かって下って行く、このエゾユズリハの薮はますます濃くなってくるようで、ルートが更に分からなくなってきた。

雨の中でGPSを出すのも面倒になり、記憶だけで下って行ったが、ところどころで頭の片隅に張り付く映像と一致する光景が現れ、ルートの正しいことを確認する。最後はかなり急になり、誤るとロープなしでは下れなくなる、そこで一ノツボよりも上流側の比較的傾斜の緩そうなところを選んで下ると、二ノツボのすぐ上流側に下り着いた。

ここで沢足袋に履き替える、そして「お握らず」1個とソーセージで1回目の昼食を摂る。由良川の水量は普段の3倍余りあり、これ以上増えるとちょっと危険な状態だ、今日もところどころ渡渉に不安を感じた場所があった。

今日は水量が多く腰程度の渡渉を覚悟したが、7月末の西日本豪雨の際に大量の土砂が流れ込み、股下の渡渉で済んだのはとてもありがたい。今日の目的はチョウジギクの状態を調べることにあったが、記録している自生地を訪れると、消失しているかあるいは見つかってもわずかに残るだけ、しかもそれとは分からないほど小さな個体だけであった。

このような状態に至った最も大きな原因は、豪雨による増水であり、2013年の豪雨で大きな被害を受けたものが、更に今年7月末の西日本豪雨で回復する間もなく追い打ちをかけるように被害を受けた。このような豪雨が今後も続くようになれば、近い将来絶滅に至ることが予想される。

これは地球温暖化が原因と考えられるが、豪雨や強い台風は人間社会にも大きな被害をもたらしているけれども、自然界でも人間の気付かない場所で甚大な被害が発生していることを伝えておきたい。

三ノツボを越え四ノツボを過ぎ、シカメコだけは調査地がないので歩道に上って大きく高巻いた。岩谷出合で2回目の昼食、「お握らず」1個とソーセージ、予定ではここから小ボケ近くまで往復するつもりであったが、雨が降ったり止んだりで薄暗く、水量も多くて時間的にも気分的にも余裕がなかったため、少し上流まで行って引き返すことにした。

岩谷出合に戻り岩谷を遡る、そして旧道を登って帰るのであるが、痕跡があるのは最初だけ、その後はシカの踏み跡などを辿って岩谷峠に上がった。あとは下るだけ、峠でちょっと一休みして登山道を下る、登りは雨が続いたが下りは時々止むことがあり、キノコの写真もいくつか写した。

古屋に下り着き、濡れた服を着替えて帰宅の準備が完了、車を動かすとどうもおかしい、下りてみるとパンクしているのである。まだ明るいうちでしかも雨も霧雨程度でよかった、スペアータイヤと取り換えて無事出発する(帰りの車中で気付いたのだが、今日もヤマビルに何ケ所か血を吸われていた)。

古屋=2時間30分=P941m西尾根分岐=1時間55分=二ノツボ=2時間05分=岩谷出合=3時間=古屋

『今日の出会いと目撃』牝シカ2頭(岩谷峠付近・二ノツボの左岸上の方)、ヒバカリ1匹、人間2人(ロクロベット谷で・三国岳に登って来られた方)

9月16日 城丹国境稜線・ニボケ

ニボケ出合の少し上流から下流側ニボケ出合の少し上流から下流側





ニボケ出合の少し上流ニボケ出合の少し上流





ニボケニボケ





ニボケニボケ





ニボケ上流から北側ニボケ上流から北側





ニボケ フジシダが地表を覆うニボケ フジシダが地表を覆う





ニボケ最後の滝場ニボケ最後の滝場





城丹国境稜線から滝谷方面城丹国境稜線から滝谷方面 南東面の斜面は、台風による風を直接受けたのか、樹木の葉がむしり取られて残り少なくなっている。(そのため山肌の緑が色褪せているのが分かる。手前の木の葉もまばらになっている。)

府大演習林南縁尾根分岐から比良山系府大演習林南縁尾根分岐から比良山系





アキノギンリョウソウアキノギンリョウソウ





タニタデタニタデ





アキチョウジアキチョウジ





シラネセンキュウシラネセンキュウ





アオハダ果実アオハダ果実





ツリバナ果実ツリバナ果実





チシオタケチシオタケ"





タマゴタケ 今年はこのキノコの発生が多いようだタマゴタケ 今年はこのキノコの発生が多いようだ 昨日三田方面の山の中で採取して炒めて食べた、少し癖があるが慣れると気にならなくなる。味は良い、西洋料理向き。


オキナクサハツオキナクサハツ





クヌギタケクヌギタケ





コンイロイッポンシメジコンイロイッポンシメジ





ミネシメジミネシメジ





タイミンガサ シカに採食されていたタイミンガサ シカに採食されていた 芦生ではわずかに残っているに過ぎない希少種




タイミンガサ 食痕タイミンガサ 食痕





久多方面の山林は台風の被害が甚大だ久多方面の山林は台風の被害が甚大だ 車は勿論のこと歩いて通り抜けることも困難。




川から被害場所を見る川から被害場所を見る





天候:曇り一時小雨
田歌の水位13時:61cm 
出逢った花:<咲き始め>アキチョウジ
<盛り>アキノギンリョウソウ・シラネセンキュウ
<咲き終わり>イタドリ・タニタデ・オトコエシ・ヤマジノホトトギス
出逢った果実:ヤマボウシ・アオハダ・ツリバナ・ミズナラ・クリ

久多(ミゴ谷出合)~岩屋谷~城丹国境稜線~P936m~ニボケ出合付近~府大演習林南縁尾根分岐~久多(ミゴ谷出合)

久多の林道は、ミゴ谷のところで倒木が2本あり通れなくなっていた、そこで手前の広くなった路肩に駐車して出発する。既に1台駐車している車があり、こんな早くから来られているのはキノコ採りの人かと思いながら歩き始める、しかし、最初のカーブを曲がったところで光景が一変する。

絶句するほど膨大な量の倒木が折り重なるように道路を塞いでいるのであった、そしてこれを乗り越えることができるのかと不安になる。しばらく倒木を乗り越えて進んでいると前方から人がやってこられた、山の様子を確認するために来られたとのこと、先程駐車されていた車の主のようだ。

いろいろ話をするうちに、どうもここで以前にもお会いしたようだ、その時も山の様子を話したように記憶している。お話では、こんなひどい被害は初めてだとのこと、昔はトラックに1台か2台木を伐り出せば結構なお金になったが、今は業者に支払うとほとんど手元に残らない、だから誰も山の手入れをしないのだと。

先があるので失礼して再び倒木と格闘を始めるが、とうとう通過困難な倒木に出会い、このまま前進することを断念し川の中を歩くことにした。しかし倒木の中を下るのも容易ではない、倒れた木から木に乗り移り、時には飛び降りたり、時には枝と枝の隙間を通り抜けたりと。

ようやく倒木のバリケードを通り抜け川に出る、水量は多いが流れ出た砂利に埋まって水深は浅く、長靴でも歩くことができた、こんなに楽に歩けるのであれば最初から川を歩いた方がよかった。岩屋谷出合で林道に復帰し、続いて岩屋谷の林道を歩く、ここにも倒木は数カ所あったが、通過困難な場所はなくほどなく管理棟に到着する。

これからは歩道を歩くことになるが、元々かなり荒れているうえ倒木があると通過が一層困難となるため、最初から岩屋谷の中を歩くことにした。水量は多いが長靴でも問題なく歩くことができた、滝場の始まる手前から登山道に戻り(と言っても不明瞭だが)、続く急斜面の急な歩道を登り続ける。

今日は倒木の通過でそれなりにエネルギーを費やしたこともあり、城丹国境稜線までは一気に登りきることができず、途中で立ったまましばらく休憩を入れなければならなかった。ようやく城丹国境稜線に登り着く、三国岳方面には寄らず天狗峠方面に向かって稜線を進む、今日は幸い雨が降っておらず、昨夜降った雨の露もこの頃にはほとんど乾いていた。

そこで、タメ糞場調査と共に共同研究者からの依頼調査もしながら歩くことにした。区切りのいいところで一休みしていると、足元に丸々太ったヤマビルが蠢いていた、もしかしてと思って靴の中を見たが血が滲んでいる様子はない。おそらくシカなどの動物に付いていたものが落ちたのかと考えられ、つまんでハサミで切断すると、新しい血がたくさん出てきた。

国境稜線上の台風による被害はそれほど大きなものはなく、もっぱら谷のほうが酷いようである。これは、広い谷に入った風が狭まった地形のところを通過する際収斂し、一気に風速が増すためではないか、つまりビル風のような現象が起きているのではないかと思われた。

更に調査をしながら稜線を進み、P936mからは大谷二ボケ出合付近を目指して下って行く。芦生では一般的に、枝尾根の上部は緩やかであるが、下るほどに傾斜が強まり最後は一気に谷に落ちるという、地形上の特徴がある。この尾根もそのものズバリであり、最後は急斜面を避けて二ボケ最初の滝の上に降りた。

ここで昼食、「お握らず」とハンバーグ、そして沢足袋に履き替える。先ほどのヤマビルのことが気になってシャツを脱いでみた、と、どうだ、血がついている、どうも腰の後ろ辺りに付いていたらしい。ということは、あの丸々太ったヤマビルはどうも私の血を吸っていたようである。

それであれば持ち帰って観察すればよかったと悔やまれた。今春1時間半ほど私の手から血を吸い続けたヤマビルを持ち帰ったところ、ビニールに入れたままにしておいたのが悪かったのか、3日目に死んでしまった。この結果だけでは私に抗体ができたとは言えないため、新たなヤマビル観察をしなければと思い続けていたからとても残念だ。

そんなこともあって少しゆっくり休んでから二ボケを溯って行く、水量が多く水勢も強いために、沢登りをするだけであれば快適だろう。滝が連続する最後の滝場を越えてすぐの二俣で長靴に履き替える、そして二俣の中尾根を登って行く。

城丹国境稜線に登り着き、府大演習林南縁尾根を下る、この尾根の右側は南面を向いているために、台風の強い風で落葉樹の葉がむしり取られ、樹には痛んだ葉がわずかずつ残っているに過ぎない。そのため尾根の左側(北斜面)に比べて右側は、晩秋の頃のように明るく気持ちまで明るくなってくる、しかし今年の紅葉はきれいにはならないだろうと考えると、ちょっと寂しい。

最後は管理棟横に下ったが、このルートは倒木がほとんどなかった。朝方通過困難だった林道は最初から避け、岩屋谷出合からミゴ谷出合までずっと川の中を歩き続けた。

久多(ミゴ谷出合)=2時間=城丹国境稜線=3時間35分=ニボケ出合付=3時間10分=近府大演習林南縁尾根分岐=1時間20分=久多(ミゴ谷出合)
『今日の出会いと目撃』牝シカ2頭(城丹国境稜線付近)シカの警戒音(城丹国境稜線付近)・人間0人

9月9日 上谷 シカ柵の点検

イタドリイタドリ





イヌコウジュイヌコウジュ





ミヤマママコナミヤマママコナ





トリカブト(サンヨウブシ)トリカブト(サンヨウブシ)





トチノキの果実 今年は豊作のようだトチノキの果実 今年は豊作のようだ





ミヤマガマズミの果実ミヤマガマズミの果実





サルナシの果実サルナシの果実





トガリベニヤマタケの菌輪 長治谷小屋前トガリベニヤマタケの菌輪 長治谷小屋前で





トガリベニヤマタケトガリベニヤマタケ





クチベニタケクチベニタケ





ツキヨタケツキヨタケ





ナメアシタケナメアシタケ





チチタケチチタケ





今年はキノコが大豊作のようだ アカカバイロタケ今年はキノコが大豊作のようだ アカカバイロタケ





ヒナノヒガサとヤマトフデゴケヒナノヒガサとヤマトフデゴケ





枯れたミズナラの大木がネット上に倒れていた枯れたミズナラの大木がネット上に倒れていた





ネットに絡まって死んだシカの白骨ネットに絡まって死んだシカの白骨





一昨年設置された柵内では早くもコミネカエデが萌芽を一昨年設置された柵内では早くもコミネカエデが萌芽を





一昨年設置された柵で枯れた木がネット上に倒れていた一昨年設置された柵で枯れた木がネット上に倒れていた




「知ろう守ろう芦生の森」のシカ柵「知ろう守ろう芦生の森」のシカ柵





台風で倒されたスギ 梅の木から少し入ったところ台風で倒されたスギ 梅の木から少し入ったところ





天候:雨が降ったり止んだりのち雨
田歌の水位13時:78cm 
出逢った花(昨日以外):<咲き始め>イヌコウジュ
<盛り>ホツツジ・イタドリ・ミヤマママコナ・サンヨウブシ
<咲き終わり>ヒヨドリバナ
生杉(旧道下り口)~地蔵峠~ネット点検~地蔵峠~生杉(旧道下り口)

今日も雨降り、しかし最初から覚悟していると、雨が少し止んでくれるだけでとてもありがたく感じるものだ。昨日の林道偵察で、土砂崩れのためにあまり奥まで入れないことが分かっていたため、当たり前のように土砂崩れの手前で車を停めた。

既に2台の車が停車している、うち1台は出発の用意をされているところであった。このような天候のときにやってくる人間は、キノコ採り以外にはいない、私のこともキノコ採りと間違えられたのであろう、先に行かれては困ると思われたのか、慌てて出発され猛スピードで歩いて行かれた。

研究林は許可なく入林することはできず、ましてやキノコなどの生物や岩石など一切採取することは禁じられている。

ちょうど雨が止み空も明るくなってきた、お陰でカッパを着ずに出発することができた。いつものゲートまでは約30分、この往復分だけ歩く距離が増えることになるが、これだけでも生杉から無許可で入る人は半分以下になることだろう、この辺りにゲートを作る必要があるのではないか。

地蔵峠から枕谷に下る途中、地滑りがあり、歩道が消えていた。そこでイワヒメワラビの薮をかき分けて通過した際、ヤマヒルが3匹ズボンや長靴に付いてきた、この辺りもやがてはヤマヒルだらけになるのだろうか。

枕谷を渡ってから中山神社までの間も、川が流路を変えて気ままに流れているため、歩道の位置が全く分からなくなってしまっている、とにかく適当に歩く以外なさそうだ。上谷は予想通り増水しており、渡渉点を探して右往左往させられる、昨日だったら濁流で深さも分からなかっただろう。

なんとか渡って最初のシカ柵調査地に向かう。一つの谷をぐるりと柵で囲むような大規模なシカの防護柵は他ではほとんど見られない。設置後10年以上経って植生も大きく回復してきたが、シカが柵内に入ると広大すぎるために追い出すことは不可能に近い。そこで台風などの後にはできるだけ早く点検し、万一シカが侵入できるようになっておればすぐに補修しなければならない。

柵の周囲を巡回して、侵入可能性のある個所をチェックし簡易な補修もする、雨が降っていると面倒だ、用紙が濡れないように傘を開いて記録しなければならない。最初がかなりの急傾斜で、この登りもとても辛かった。1周回り終え次の調査地へ向かう、途中で昼食にする、今日も「お握らず」と、から揚げと魚のフライ、昨日と全く同じであれば食事を摂る楽しみもとても薄い。

食事中に強い雨が降ってきたので慌てて食べ終えて出発する、次の調査地に到着しすぐに調査を開始することにした。ここも最初の登りが急でゆっくりでないと歩けない、この調査地は新しく、まだまだ植生が回復しているとまでは言えないが、柵内を見るとシカの採食被害を受けていない萌芽などが勢い良く伸びているのが見える。

この柵のほうが面積も広くさらにアップダウンもあって時間がかかる、また柵が新しいために古い資材が残っておらず、応急処置もできずにチェックだけすることになった。一通り回り終えて今日の予定は終了するがまだ少し時間的ゆとりがある、そこで帰りに「知ろう守ろう芦生の森」の調査地にも立ち寄り、シカ柵の状況を調べることにした。

こちらの調査地は小さなものであるため全く被害はなかったが、歩道がイワヒメワラビに覆われていたため、ここを往復する間に2匹ヤマヒルが付いてきた。本当に困ったことである。

雨の降り続ける中、地蔵峠を越えて林道を下る、林道の谷側斜面にはキノコが大量発生しており、「雨が降っていなければゆっくりと観察しながら歩けるのだが」と残念に思われた。最後は生杉の川に下り、旧道を通って出発地に戻った。

生杉(旧道下り口)=55分=地蔵峠=7時間30分=地蔵峠=1時間=生杉(旧道下り口)
『今日の出会いと目撃』シカの警戒音(枕谷)・人間0人

9月8日 三国岳周辺

P941m付近から百里ケ岳方面P941m付近から百里ケ岳方面





コシアブラの花コシアブラの花





ヤマジノホトトギスヤマジノホトトギス





ツノマタタケツノマタタケ





オオホウライタケオオホウライタケ





タマゴタケタマゴタケ





ベニナギナタタケベニナギナタタケ





ヘビキノコモドキヘビキノコモドキ





ツエタケツエタケ





シロイボガサタケシロイボガサタケ





ムラサキアブラシメジモドキムラサキアブラシメジモドキ





ホオベニシロアシイグチホオベニシロアシイグチ





ウスキモミウラモドキウスキモミウラモドキ





ワサビカレバタケワサビカレバタケ





登山道の倒木 処理前登山道の倒木 処理前





登山道の倒木 処理後登山道の倒木 処理後





ソフトバンクの移動式携帯電話の基地局ソフトバンクの移動式携帯電話の基地局 針畑地区は台風の影響で現在も停電しており、携帯電話も通じないため日中だけ移動式の基地局から電波を飛ばしているとのこと。ドコモとauはそのようなことをしないため通じないとのこと。

生杉の林道は土砂崩れで進めない帰りに時間があったので立ち寄ったが、生杉の林道は若走路谷から少し行ったところで土砂崩れがありそれより先には進めない。



天候:雨時々止む
田歌の水位13時:107cm 
出逢った花:<咲き始め>
<盛り>コシアブラ
<咲き終わり>オトコエシ・ヤマジノホトトギス
古屋~岩谷峠~三国岳~三国岳及びP941m周辺~P941m西尾根分岐~古屋

最近続けさまに大きな自然災害が発生し、「災害大国日本」を強く再確認させられることになった。皆様のところでは、被害はなかったでしょうか。

台風21号の強い風は、芦生の森に大きな被害がでているのではないかと危惧させるに十分な威力があった。その上雨が降っていると一層憂鬱にさせる、しかしどのような被害が出ているかとの心配が、芦生に向かうことを全く厭わせない力があるのだろう、晴れた日と違わぬ気持ちで家を出た。

昨夜までは、生杉から入ってネットの点検をする予定にしていたが、早朝に降った短時間豪雨で由良川の水位が2時間に100cmほども上昇しており、この状態では上谷を渡ることもできないのではと考えられたため、急遽予定を変更して三国岳に上がることにした(こちらは翌日に予定していたものである)。

道中、安曇川や針畑川は濁流、各所でスギがなぎ倒されている光景を目にし、今回の台風の被害の大きさをまざまざと見せつけられる。小川では、1時間の雨量が基準値を超えたために通行止めとなっていたが、幸い私の車が滋賀ナンバーだったことから地元民と間違えられたのだろう、制止されることもなく通してもらえた。

その先では電線が垂れ下がっていたり電柱が折れていたりと、電気というインフラに大きな被害が発生していた(9日夕方現在も復旧工事がされておらず、針畑地区の停電はまだしばらく続くようである)。

古屋に到着し、上下のカッパを着て出発する、雨は降っても弱く、時々止んでくれさえするのでありがたい。保谷林道は終点付近に水道施設があり、その維持と管理上必要なために、林道でありながら優先して倒木処理などがされたようだ、お陰で全く問題なく通行ができるようになっている。

登山道に入ってからも所々に倒木があり、通行を阻害している箇所では、ノコギリで枝などを切って処理した。岩谷峠に上がって江丹国境稜線を歩き始めるが、倒木といえるほど大きな樹は倒れていない、これは台風の風が主として南風であったため、北側を向いた場所では風当たりが弱かったのだろうか。

しかし、P941m西尾根分岐から三国岳まで歩いても、予想したほど倒木は多くはなく、昨秋の台風による被害のほうがはるかに大きかったと思われる。山頂から引返し、周辺を歩いて被害の状況を調べた、結局ブナ6本、スギ4本、ミズナラ2本、テツカエデとコハウチワカエデが各1本で、その他それらの巻き添えで倒れたり折れたりした細い樹があった程度である。

昼食は「お握らず」と、から揚げと魚のフライを各少しずつ、下山は余裕があるのでキノコを見ながら歩いた。最近雨が多いためかキノコが近年になく大発生していて(と言っても、食べられるものはほとんどないが)とても楽しい。

下山後、明日行く予定の生杉から先の林道の状況を調べるため立ち寄る、かなり下のほうで土砂崩れがあって通行不能になっていた。

古屋=2時間55分=三国岳=2時間40分=P941m西尾根分岐=2時間55分=古屋
『今日の出会いと目撃』シカの警戒音(P941m西尾根分岐付近)・人間0人

9月2日 由良川源流・七瀬谷

一ノツボ一ノツボ





二ノツボ二ノツボ





アヒノ谷下流アヒノ谷下流





七瀬谷七瀬谷





七瀬谷スベリ谷七瀬谷





増水した川によって植物が大きく削られてしまった増水した川によって植物が大きく削られてしまった





流木流木





流木流木





土砂と一緒に滑り落ちたスギ土砂と一緒に滑り落ちたスギ





シロヨメナシロヨメナ





ミズヒキミズヒキ





モミジガサモミジガサ





チョウジギクチョウジギク





ヤシャビシャク果実ヤシャビシャク果実





ヤマボウシ果実ヤマボウシ果実





天候:曇り時々晴れ一時小雨
田歌の水位13時:53cm 
出逢った花:<咲き始め>モミジガサ
<盛り>ホツツジ・チョウジギク・シロヨメナ
<咲き終わり>ツリフネソウ・ヒカゲミツバ・ナツエビネ
ケヤキ坂付近~七瀬中尾根分岐~マガリ谷出合(二ノツボ往復)~大谷出合~七瀬~七瀬谷遡行~ケヤキ坂付近


今年度から、京都大学と京都府立植物園が協定を結び、その一つの事業として芦生研究林内の希少植物の保全を、現地だけではなく植物園でも行うこと(域外保全)になった。そこで、先日来そのための調査等を続けているのであるが、私一人だけが希少種の情報を持っているというのは極めてリスクが高いため、この事業の関係者にも共有していただこうと考え、今回2名の方に同行していただくことになった。

前々日の短時間豪雨の影響で、由良川田歌の水位が一時98cmまで上昇したため実施が危ぶまれたが、その後は強い雨もなくどんどん水位が下がって前日中には50cm台にまでになっていた。そこで実施を決定、当日は研究林事務所に午前7時30分集合することにした。

研究林の車に乗せていただきケヤキ坂付近まで入り、それより徒歩で傘峠方面への稜線を歩く、曇り空だが雨の心配は今のところなさそうである。途中から稜線を離れ、由良川に向かって下って行く、稜線から由良川へ下るルートは幾つかあるが、今日のルートが目的地に近くその上傾斜もあまり強くないため一番よく使うものだ。

マガリ谷出合付近の由良川に下り着き、そこで長靴から沢足袋に履き替える。由良川の水量はいつもの2~3倍はありそう、予想以上に多くその上少し濁っているが、今日のルートをたどる限りは困難なことはない。一旦由良川を溯って二ノツボまで行く、8月下旬の台風による豪雨で土砂が流入したのだろう、一ノツボも半分ほど埋まって浅い渡渉で越えられた。

しかし水位がかなり高いところまで上昇したのだろう、両岸の植物が剥ぎとられ、2013年9月の増水による被害に匹敵する状況を目の当たりにすることになる。今回の目的であるチョウジギクの一つの自生地は、自生地全体が流されてほぼ消失していた。また同様にタヌキランも芦生唯一の自生地が大きく剥ぎ取られていた。

2013年の被害現場を見た時にも強いショックを受けて呆然としたが、今回もそれに近いショックを受けて愕然としてしまった。同行していただいた方には被害の現状を説明させていただき、保全の必要性を直接知っていただくことになった。このような豪雨が頻繁に起こるということは、ほとんど人災に近いのではないかと思える、それ故に人間が何とかしなければならない問題だとも。

自生地の現状を確認して引返し、さらに由良川を下って行く。途中で域外保全用の種子を採取し、またサンプリングのために別の対象種を捜したが、シカの採食被害で激減したのだろう、残された個体数の少なさに再びショックを受けてしまった。

大谷出合で昼食、私はいつものようにお茶漬け、今日は特別に鳥のから揚げも。食事を済ませ再び由良川を下り始める、七瀬までにもう二カ所で種子採種とサンプリングを行い七瀬到着。途中で空が暗くなり少しだけ雨が降ったが、すぐに止み七瀬到着時には空も明るくなっていた。

ここで帰路を相談、トロッコ道を帰るか七瀬谷を溯るかを。時間的に余裕があり体力的にも皆さん大丈夫そうなので七瀬谷を溯ることになった。これまでずっと私が先頭を歩いていたため、いつも追い立てられるような圧力を感じて少しペースが速くなっていたようであり、これは七瀬谷に入っても引き継がれた。

滝場も無事に越え、流れが消える直前で長靴に履き替える、林道までと林道から傘峠の稜線までの急登でさすがに今までの疲れが出てきたのだろう、この区間を喘ぎ喘ぎ登ることになってしまった。登り切ってしまえばあとは楽である、作業道を通って出発地までは15分もかからなかっただろう。


ケヤキ坂付近=1時間40分=マガリ谷出合(二ノツボ往復)=4時間=七瀬=2時間25分=ケヤキ坂付近
『今日の出会いと目撃』牝シカ2頭(傘峠稜線)・シマヘビ1匹・ヤマカガシ大人1匹子供1匹・人間0人

8月25日エビネ類に対するシカの採食の影響調査第4回   ABCプロジェクト公開成果報告会のお知らせ 

ホツツジホツツジ





アカイボガサタケアカイボガサタケ





ツルタケツルタケ





ハイイロチョッキリに切り落とされたミズナラのドングリハイイロチョッキリに切り落とされたミズナラのドングリ





天候:曇り時々雨のち晴れ
田歌の水位13時:73cm 
出逢った花:<咲き始め>ホツツジ
<盛り>クズ
<咲き終わり>ヒヨドリバナ・ナツエビネ

先週終わらなかった、「ナツエビネのネット外しと葉の測定作業の続き」と、台風の影響が調査地に及んでいないかを点検するために、先週と同じ場所に入った。

午前中、雨が降ったり止んだりしたためカッパを着て歩く必要があり、蒸し暑さが一層増して歩くのも辛い。現地に着くものの、雨が止まなければ作業もできそうにないため、まずは点検から始めた。

調査地の範囲が結構広いために全部を点検するとかなりの時間がかかる、この作業が終わる頃にはすっかり雨も止んで晴れ間も覗いてきた。そこでまずは昼食を摂る、いつものようにお茶漬けそしてハンバーグ、食事が終わる頃には葉も乾き測定に全く支障がなくなっていた。

4カ所の調査地を測り終わり、引き返すことにする。台風による被害は思ったよりもはるかに小さく、一日歩いて倒木は3本あっただけ、昨秋の台風による被害は甚大であっただけに、この程度の被害で済んで本当に良かった。

『今日の出会いと目撃』ヒバカリ赤ちゃん1匹・人間0人



ABCプロジェクト公開成果報告会
ABCプロジェクト公開成果報告会








シカの食害が顕著な芦生研究林内において、一つの集水域全体に大規模防鹿柵を設置してシカを排除した実験が始まってから10年余り、その間の成果を公開報告会として開催されることになりました。

いよいよ明日になってしまいましたが。

興味のある方は是非ご覧ください。(私も少しだけ顔を出しています。)



8月18日 エビネ類に対するシカの採食の影響調査   ABCプロジェクト公開成果報告会のお知らせ

ハシカグサハシカグサ





ハシカグサ拡大ハシカグサ拡大





ツルニンジンツルニンジン





クロモジ果実クロモジ果実





ツルアジサイ シカに採食されると左側のように小型化するツルアジサイ シカに採食されると左側のように小型化する




ナツエビネのネットを外すナツエビネのネットを外す





オオミヤマトンビマイ?オオミヤマトンビマイ?





ヒロハアンズタケ?ヒロハアンズタケ?






天候:晴れ時々曇り
田歌の水位13時:21cm 
出逢った花:<咲き始め>ツルニンジン
<盛り>クズ。オトコエシ
<咲き終わり>リョウブ

今年既に2回行ったエビネ類のネット外しと葉の測定作業を、今回はナツエビネで行った。

最初の調査地は小さな個体ばかりで、調査区と対象区とを合わせて、葉長が3cm程度のものから15cm程度のものまで50個体ほどがあったため、これら全ての葉の長さと幅を測るだけで3時間ほど費やしてしまった。

そのため予定していた作業を終えることができずに、もう1日作業をする必要が生じてしまった。残念ではあるがやむを得ない。

今日は気温があまり上がらず、作業も心地よい条件ですることができた。早朝の道路沿いの気温計は14℃を示し、出発時は寒いくらい、久しぶりに快適に歩くことができたのは嬉しい。反面、夏の終わりが近づいていることを知らされ、少し寂しさを感じないではなかったが。

『今日の出会いと目撃』シカの警戒音2回・人間0人



ABCプロジェクト公開成果報告会のお知らせ
シカの食害が顕著な芦生研究林内において、一つの集水域全体に大規模防鹿柵を設置してシカを排除した実験が始まってから10年余り、その間の成果を公開報告会として開催されることになりました。

興味のある方は是非ご覧ください。(私も少しだけ顔を出しています。)

ABCプロジェクト公開成果報告会ABCプロジェクト公開成果報告会





ABCプロジェクト公開成果報告会 開催のお知らせ

ABCプロジェクト公開成果報告会










シカの食害が顕著な芦生研究林内において、一つの集水域全体に大規模防鹿柵を設置してシカを排除した実験が始まってから10年余り、その間の成果を公開報告会として開催されることになりました。

興味のある方は是非ご覧ください。(私も少しだけ顔を出しています。)


8月12日 P941m・由良川本流

由良川 大ツボの上流由良川 大ツボの上流





ツボ谷の大滝 水量が少ないツボ谷の大滝 水量が少ない





由良川 一ノツボ  水量が少ない由良川 一ノツボ  水量が少ない





由良川 トコ迫付近由良川 トコ迫付近





由良川 三ノツボ由良川 三ノツボ





由良川 三ノツボの上流由良川 三ノツボの上流





由良川 四ノツボ由良川 四ノツボ





由良川 四ノツボの上流由良川 四ノツボの上流





シカメコ 水量が少ないシカメコ 水量が少ない





岩谷右岸支流岩谷右岸支流





クサギクサギ





ヌスビトハギヌスビトハギ





クズクズ





オトコエシオトコエシ





ツルリンドウツルリンドウ





ソバナソバナ





ヒカゲミツバヒカゲミツバ





ミヤマタニソバミヤマタニソバ





クサアジサイクサアジサイ





ナツエビネナツエビネ





倒木上のオオバギボウシ 花期が1ケ月ほどズレているため、違う種類かも知れない倒木上のオオバギボウシ 花期が1ケ月ほどズレているため、違う種類かも知れない




倒木上のオオバギボウシ倒木上のオオバギボウシ





コバンノキの果実コバンノキの果実





トチバニンジンの果実トチバニンジンの果実





ツチアケビの果実 まだ小さいツチアケビの果実 まだ小さい





オオウラジロノキの葉がたくさん落ちていたオオウラジロノキの葉がたくさん落ちていた 最近雨が少なく水分が十分葉のほうまで上がらなくなった結果、身を護るため自ら葉を落としたのだろう、イタヤカエデもこのようなことをする。


変形菌 ツノホコリ変形菌 ツノホコリ





倒木上のオシダ倒木上のオシダ"





マムシ 気が小さいのか踏んづけても逃げてばかりマムシ 気が小さいのか踏んづけても逃げてばかり





イタドリの葉に肌が触れた時に刺されてしまったイラガの幼虫 名前は不明だが、イタドリの葉に肌が触れた時に刺されてしまった。




天候:曇りのち晴れ早朝は小雨
田歌の水位13時:22cm 
出逢った花(昨日以外):<咲き始め>クサギ・クズ・ツルリンドウ・クサアジサイ
<盛り>ヌスビトハギ・オトコエシ・ソバナ・ヒカゲミツバ・ミヤマタニソバ・ナツエビネ・倒木上のオオバギボウシ
<咲き終わり>イワタバコ・ミズタビラコ・サワオトギリ
古屋~岩谷峠~P941m~由良川大ツボ~由良川遡行~岩谷出合~岩谷右岸支流遡行~岩谷峠~古屋

古屋に到着して出発しようとすると細かい雨が降ってきた、昨日と同じような天気だ、しかしすぐに止み雨具を出すまではなかった。保谷林道を歩き、ロクロベット谷から尾根への取り付き付近でTシャツを沢水で濡らす、このようにすると気化熱でしばらくは涼しい。

これより岩谷峠までは登りオンリー、芦生では最も歩いているルートの一つだと思うが、何度歩いてもこの登りは長くて辛く嫌になる、最近のように暑い日には一層その思いが募る。しかし岩谷峠に登り着くと、芦生側から心地よい風が通りぬけ、その思いは一転して爽快な気分へと変わった。

しばらく立ち止まっていると元気が回復、そのまま休まずに上り続けることにする。P941m西尾根分岐からP941m経由で西尾根に入り、タメ糞場調査と共同研究者からの依頼調査をした。P892mを越えたところから由良川に向かって下って行く、このルートは傾斜が強いが距離が短いため、それほど時間がかからずに本流まで下ることができる、ただ不明瞭な尾根であるためGPSに頼りきれないのが難である。

下り着いたところは大ツボの少し上流、沢足袋に履き替え、いずれシカメコの通過で濡れてしまうのなら同じことだろうと衣服のまま水の中に飛び込む。服を着ていると水の冷たさが緩和され、いつまででも浸かっていられそうだ。以前は泳ぎながらよく本流を下ったものであるが、そのことが思い出されてこのまま下って行きたい誘惑にかられた。

お茶漬けで昼食を簡単に済ませ、希少植物保全のための事前調査をしながら本流を溯って行く。水量は少なく歩き易いが滑りやすくもあるので要注意。また既に全身濡れているので今更濡れることは全く厭わない、どんどん水の中へ入って行けるため、渕の通過など普段よりずいぶん簡単であった。

一ノツボ、二ノツボ、三ノツボと越えて行く、四ノツボ辺りから上空を黒い雲が覆うようになり雷鳴さえ聞こえてきた。雷雨になることを覚悟して早目に歩き始める、シカメコさえ越えてしまえば一安心、その後は多少強い雨が降っても大丈夫だ。

岩谷出合からは岩谷に入り、すぐに出合う右岸からの支流を溯る。出合からずっと倒木が谷を埋めており、清らかな流れであったかつての姿は思い描くことすらできなくなっている。これほど荒れてしまった谷は、他ではあまり見かけない、なぜここまで酷くなってしまったのだろう。

最後の滝を越えたところで長靴に履き替えていると、とうとう雨が降ってきた、雷鳴の大きさも頻度も高くなり、とうとうやってきたかと覚悟を決めた。急いで上下のカッパを着て早々に歩き始める、ここから江丹国境稜線まではそれほど遠くはなく、傾斜も緩くあまり労せずに登り着く。

この頃には雨も止み雷鳴も遠ざかってしまった、そこでカッパの上着だけを脱いで国境稜線を歩き、岩谷峠から下り始めると再び雨と雷鳴が強くなってくる。今度は本格的だろう、しかしここまで来れば全く問題はない。

大きくなっても閃光の伴わない雷鳴は恐ろしくはない、「花火大会の打ち上げ花火の音のようだ」と思えるほどゆとりをもって聞いていられる。結局林道に下り着く前には雨も止み青空さえ覗く状態、水道施設付近まで下ってカッパの上下を脱いだ。

その後は林道を歩くだけなのだが、雨上がりということもありアブがとても多い、古屋までの区間で5匹は叩き落しただろうか(ただ、その数と同じくらい食われてしまったが)。

古屋=2時間30分=P941m=2時間35分=由良川大ツボ=3時間10分=岩谷出合=2時間45分=古屋
『今日の出会いと目撃』シカの警戒音(二ノツボ)・マムシ1匹・ヤマカガシ子供1匹・ヒバカリ赤ちゃん1匹・人間0人

8月11日 野田畑谷・三国峠

野田畑谷はオオバアサガラだらけ野田畑谷はオオバアサガラだらけ





三国峠の西側は下層植生が乏しい三国峠の西側は下層植生が乏しい





ミヤマママコナミヤマママコナ





今年はオオウラジロノキが豊作のようだ今年はオオウラジロノキが豊作のようだ





ウワミズザクラにあったクマ棚ウワミズザクラにあったクマ棚 まだ果実がたくさん残っているので、またクマがやって来るだろう




ウワミズザクラの樹皮にあったクマの爪痕ウワミズザクラの樹皮にあったクマの爪痕





今年もトリカブトうどんこ病が広がってきた今年もトリカブトうどんこ病が広がってきた





フクロツルタケフクロツルタケ





ニンギョウタケモドキ科?の大型キノコニンギョウタケモドキ科?の大型キノコ





シロタマゴテングタケシロタマゴテングタケ





変形菌 エダナシツノホコリ変形菌 エダナシツノホコリ





キノコに生えるカビキノコに生えるカビ





クロホウジャクに食べられ新しい葉を出したユズリハクロホウジャクに食べられ新しい葉を出したユズリハ





3匹のミヤマクワガタのオス3匹のミヤマクワガタのオス





このミヤマクワガタのオスは立派だ
このミヤマクワガタのオスは立派だ




天候:曇りのち晴れ早朝は小雨
田歌の水位13時:23cm 
出逢った花:<咲き始め>ミヤママコナ
<盛り>
<咲き終わり>リョウブ
生杉ゲート~地蔵峠~野田畑峠~若丹国境尾根~野田畑峠~三国峠~地蔵峠~生杉ゲート

昨日から今朝にかけて少しまとまった雨が降ったようである、草木が濡れ地面もしっとりとしている。今夏は気温が高く梅雨明け以降まともな雨が降っていない、この雨は森の生物にとって待ちかねた恵みであろう。

生杉ゲートから林道を歩き、地蔵峠を越えて上谷から野田畑谷へ入っていく、この谷はオオバアサガラの陽樹が増々繁茂して歩き辛くなり、シカの獣道か川の中以外は薮を掻き分けて歩かなければならない。そのためいつの間にか川の中へ導かれてしまうのであるが、長靴を履いていても水量の少ないのは歩き易くありがたい。

野田畑峠に立ち寄りさらに上流へと遡っていく、この先は流れが大地を深く浸食し、しかも蛇行しているため、川の中を歩くことの優位性はなくなってくる。北側に並行する若丹国境稜線が、流れとほぼ同じ高さになるところまで下ってきた辺りから国境稜線に上り、少しシンコボ方面に向かう。

これからの予定は、タヌキのタメ糞場調査と共同研究者からの依頼調査である。シンコボ寄りのタメ糞場まで行って引き返し、野田畑峠までいくつかのタメ糞場を調べながら国境稜線を歩く。

峠から中山神社裏尾根分岐までが今日のルートで最も辛い場所、急なアップダウンを繰り返すのである。中山神社裏尾根分岐まで空腹を我慢して一気に歩き、風の吹き抜ける木陰でようやく昼食にありついた。いつものようにお茶漬け掻き込む、気温も少し低いのだろうか肌を撫でる風がとても爽やかだ。

余りの心地よさに動き出す気力さえ失せ、しばらくじっとしたまま降り注ぐ蝉たちの合唱を聞いていた。エゾゼミ・アカエゾゼミ(この2種の聞き分けは難しい)・ニイニイゼミ・ミンミンゼミ、最もたくさん聞こえるのはアカエゾゼミだろうか。

レモネードを作って飲むと少し気力も回復、重い腰を上げて出発する。その後は調査以外ほとんど休むことなく歩き続け、三国峠も少し立ち寄っただけ、ここより江丹国境稜線に入り、地藏峠へとアップダウンの多いルートを歩き続けた。

昨年クロホウジャクによる大きな被害を受けていたエゾユズリハの群生地を通ると、今年は被害が明らかに少ない。「譲り葉」が名の由来で毎年入れ替わるようなイメージがあるが、実際には葉の寿命は2年ほどあるらしく、昨年大きな被害を受けた個体には1年分の葉が付いているだけだ。

このことも被害を小さくしている理由かもしれないが、強い採食圧を受けたために防衛物質を多くした可能性も否定できない。来年も観察してみて、やはり被害が小さければ、防衛物質の量変化が理由である可能性が高まるだろう。

地藏峠に下り着き、林道を少し下った眺望の良い場所で最後の休憩、ここでもレモネードを作る。今日のルートは比較的短く大きな登りもないので、ずいぶん楽であった。


生杉ゲート=1時間45分=野田畑峠=2時間40分=野田畑峠=2時間40分=三国峠=2時間05分=生杉ゲート
『今日の出会いと目撃』メスシカ4頭(野田畑谷下流3頭・上流1頭)、シカの警戒音(野田畑谷下流)・人間0人
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