芦生短信2

通年に亘る京都「芦生」の山行記録。出会った花・キノコ・果実と積雪量。2002年から2005年の記録は「自然館のホームページから「里山便り」へ進んでください」で。2006年から2009年の記録は 「芦生短信」へ。2012年4月からは「芦生研究林」の許可を受け、「ABCプロジェクト」との共同研究目的で入林しています。芦生原生林の現状をリアルタイムで知っていただくためにこのブログに記録を掲載していますが、ルートの大半は入林が規制されている地域であるため、許可がない限り入林できないことをおことわりしておきます。

12月17日 三国峠・中山神社裏尾根

三国峠から百里ケ岳方面三国峠から百里ケ岳方面





三国峠から比良方面三国峠から比良方面





三国峠の西側三国峠の西側





吹雪の中山神社裏尾根最高点吹雪の中山神社裏尾根最高点





吹雪の中山神社裏尾根最高点吹雪の中山神社裏尾根最高点





ズミの果実 塩気のない梅干のような味ズミの果実 塩気のない梅干のような味





エゾユズリハ 寒冷をしのぐために細胞内の糖度を上げて萎れたエゾユズリハ 凍結防止の為に、細胞内の水分を本体のほうに移動させて糖度を上げた結果、葉が萎れたような状態になっている



越冬地へ移動していると思われるシカの群れ(足跡)越冬地へ移動していると思われるシカの群れ(足跡)





天候:雪が降ったり止んだりのち雪(時々強く降る)
積雪量:三国峠25cm、地蔵棘25cm(内今日の新雪5cm)
田歌の水位13時:37cm
古屋の積雪13時:12cm
生杉最終除雪地~ナベクボ峠~三国峠~中山神社裏尾根最高点~地蔵峠~生杉最終除雪地



生杉最終除雪地=2時間30分=三国峠=1時間55分=中山神社裏尾根最高点=3時間05分=生杉最終除雪地
『今日の出会いと目撃』人間0人
『シカの越冬状況』
若走路谷には2~3頭の足跡あり、滝場を越えたところから谷を離れP677m方面に登っていた。

ナベクボ峠から少し三国峠方面に進むと5頭程度の足跡が現れ、若狭側に下っていた。この足跡は三国峠方面から下っており、更に標高700m付近から三国峠の東側を巻くように続いていた。これを追いかけると。生杉ブナ原生林の上部尾根まで達し、その先はこの尾根下のほうへ続いていた。その間600mほど、おそらく生杉方面から若狭側へ越冬のために移動している群れではないだろうか。

生杉ブナ原生林の上部尾根を三国岳方面に向かうと、1頭の足跡が現れこれは江丹国境稜線に続いていた。同じ個体の足跡かどうか分からないが、江丹国境稜線から下って来る1頭の足跡もあった。

三国峠付近には、いくつもの足跡が交錯していたが、山頂から西へ向かうと一旦足跡は消える。しかしすぐに現れ、複数の方向から集まってきた足跡がやがてP767mの北尾根に収斂していた。この尾根の730m付近の小ピーク上には2頭の寝床があった。

P767m付近には足跡は見られないが、少し西へ向かうと6頭程度の足跡が現れ、方向としてはP767mの北尾根方面に向かって若丹国境稜線の北側へ下っていた。この足跡の来る方を追いかけていくと、中山神社裏尾根の最高点から裏尾根を下り、最後は中山神社の50mほど東側の枕谷に下り着いた。

なお、最後の急斜面を下り始める手前の尾根上に2頭の寝床があった。さらに足跡は枕谷を渡って対岸の急斜面に続いていたが、あまりに急斜面で且つ薄い雪が張り付いており、極めて危険なため途中まで登って断念した。この群れの移動確認距離1600mにも達し、おそらく越冬地へ移動する群れではないかと思われる。

枕谷の中にはその他にも2~3頭の足跡があった。地蔵峠付近には足跡はなく、峠を生杉側に下り始めると道路を横断する足跡が時々現れる。生杉谷に下ると数頭の足跡が見られ、この辺りで越冬する群れではないかと思われる。

通常は、越冬地へ移動し始めるのは、稜線上の積雪が50cm程度になってからであるが、今年は半分の25cm程度で移動を始めている。近いうちに大雪が来ると考えているのであろうか、もしも実際に大雪がくれば、彼らには予知能力があると言えるだろう。

12月9日 三国岳周辺

P941m西尾根分岐付近から北東側P941m西尾根分岐付近から北東側





P941m北側P941m北側





P941m東側P941m東側





三国岳の東側三国岳の東側





クシノハゴケクシノハゴケ





ウロコゴケの仲間 と思うが?ウロコゴケの仲間 と思うが?





上の写真の拡大上の写真の拡大





オオカサゴケオオカサゴケ





マルバハネゴケマルバハネゴケ





ホウオウゴケホウオウゴケ





シカの寝床跡 雪を足で避けて寝ているシカの寝床跡 雪を足で避けて寝ている





シカが餌を探すために足で雪を避けた跡シカが餌を探すために足で雪を避けた跡






天候:曇りのち晴れ
積雪量:岩谷峠5cm、三国縦10cm
田歌の水位13時:38cm
古屋の積雪13時:0cm
古屋~P941m西尾根分岐~三国岳~古屋

昨夜から少し雪が降ったらしく、どの程度積もっているか楽しみにして出掛けた。比叡山や比良山は最上部が白くなっている、この調子だと芦生ではかなり積雪があるかもしれない。

ところが、路上には雪がない、途中峠にも全く見当たらず、針畑川を遡って桑原付近になってようやく少しだけ雪が出てきた。11月20日過ぎにスタッドレスタイヤに履き替えたがいまだに出番がない、結局今日も出番がないまま古屋に到着した。

保谷林道を歩く、今日もゆとりの予定であり、コケ観察をしながら歩く。林道終点辺りまでくると少し雪が出てくる、そして谷を離れて尾根に取り付く頃から、ユズリハなどの葉に積もった雪がベタベタ解け始めてきた。

このまま突き進んでいくとやがてズクズクに濡れてしまう、そこで面倒だが体に触れそうな樹の雪を落としながら歩くことにする、これはなかなか手間のかかる作業であった。また、5~10cm程度の積雪は、急斜面では一番歩き辛い積雪量だ、足がスリップして地面を蹴ることが出来ないから。

岩谷峠直下の急斜面ではいつも苦労するのであるが、今日は新しい長靴のため靴底のフリクションがよく効いて滑らず助かった。だが登りは良いが下りにはスリップしそうな感じがする、今から不安になっていても仕方がない、その時はその時だ。

P941m西尾根分岐に上がり、その周辺を巡り歩いてシカの足跡を探し回った。それ以外にもすることがあってしばらく滞在し、途中で空腹を感じて昼食にした、いつものようにラーメンライスと卵焼き、ほとんど陽は差さないが風がなくてそれほど寒くはない。

昼食後三国岳に立ち寄り引き返す、P941m西尾根分岐から急斜面を下り始めると、予想どおりスリップしやすくなっている、特に雪で隠れた根や枝に足を載せると危ない。急斜面の雪の上ではスリップして転倒すると滑落する可能性がある、衣服も滑りやすい化繊だからなおさらだ。

このような場所ではゆっくり歩かず、かえって小走りに下るほうがかえって安全な場合もある。今日はそんな状態であり、岩谷峠を過ぎてロクロベット谷に下り着くまで、平坦地を除きずっと走り続けていた。お陰で一気に下り着くことが出来たが、その間全く油断できずずっと緊張の連続であった。

あまりに早く下ってきたため、その後は林道に出るまでコケ観察をすることにした。流れのそばでコケを探していると、葉に付いた露が黄金色に光った神々しい姿のコケが見られ、その美しさに感動する(写真ではこの美しさをうまく残すことが出来ないのが残念だ)。

この辺りで測量されている2名の方がおられ、尋ねると「所有者の分かっている間に境界標を入れておくのだ」とのこと。新聞などでも報道されているように、最近は所有者の分からなくなった土地が増えているとのこと、特に山林などの資産価値の少ない土地は相続したくないようである。

資産価値とは交換価値のことだと思うが、水源涵養や空気浄化などの森林の持っている価値(生態系サービスともいわれる)は非常に高く、私たちはその恩恵を日々受けて暮らしているのであるが、誰もありがたさに気付かないのは悲しいことだ。

あまりゆっくりしていたので薄暗くなってきた、その後はコケ観察もほどほどにして古屋に向かって林道を歩いた。

古屋=2時間20分=P941m西尾根分岐=2時間25分=三国岳=2時間40分=古屋
『今日の出会いと目撃』人間0人
『シカの越冬状況』
岩谷峠への上りの途中に3カ所のシカの寝床跡があるが、足跡は岩谷峠には上がっていない。岩谷峠を過ぎると2頭と思われる足跡が標高850m付近まで続いていた。P941mから三国岳に至る台地上の山頂部には全く足跡が見られなかった。

山頂部の積雪は10cmほどでシカの行動を阻害するような深さではないが、近いうちにまとまった雪が降ってくることを予知して、少し下ったところへ移動しているのかもしれない。

12月2日 「知ろう守ろう芦生の森」ネット下ろし・ABCプロジェクトネット束ね(車中泊)        12月3日ABCプロジェクトネット束ね

夕方の地蔵峠からの下りで夕方の地蔵峠からの下りで





冬枯れの上谷上部冬枯れの上谷上部





下してあるネット下してあるネット





下してあるネット下してあるネット





タムシバの花芽タムシバの花芽





ウバユリの果実 風が吹くと翼の付いた種子が飛び出すウバユリの果実 風が吹くと翼の付いた種子が飛び出す




テンの糞 サルナシの果実が入っているテンの糞 サルナシの果実が入っている





ヤマトフデゴケヤマトフデゴケ





ギブシゴケの仲間ギボウシゴケの仲間





ツチノウエノコゴケ?ツチノウエノコゴケ?





トヤマシノブゴケとキシメジ科のキノコトヤマシノブゴケとキシメジ科のキノコ





クサゴケクサゴケ





ハイゴケとキシメジ科のキノコハイゴケとキシメジ科のキノコ





ヒメハイゴケヒメハイゴケ





チャボヒラゴケチャボヒラゴケ





霜の付いたヒメタチゴケ霜の付いたヒメタチゴケ





ツキヌキゴケの仲間ツキヌキゴケの仲間





ハネゴケの仲間ハネゴケの仲間





(12月2日)
天候:晴れのち曇りのち晴れ
田歌の水位13時:42cm
「知ろう守ろう芦生の森」の調査地である枕谷に設置してある鹿柵下ろしに参加した。今回は一般参加者が私以外に2名であったため、手が足らないかもしれないと思って参加する。本来であれば須後の研究林事務所前に集合し、用意された車で地藏峠まで移動するのであるが、柵下しの後と次の日に作業予定があるため、私だけ生杉側から入林することにした。

地藏峠に10時55分頃到着との連絡を頂き、ゆっくりとコケを観ながら歩いていたため、地藏峠には10時50分頃の到着となってしまい、予定より早く着かれた皆様方は先に調査地へ向かわれていた。慌てて追いかけたが、現場に到着すると既に作業を開始されておられ、私もすぐに作業に加わる。

柵下しが終わるとブナの稚樹の生死を確認する。ブナは実生の耐陰性が高いため、確認済みの全個体の生存が再確認できた。調査地はイワヒメワラビを除去した区画(除去区)と除去しない区画(未除去区)に分かれており、除去区ではクマイチゴ・ミズメ・タニウツギなどのパイオニア的木本が背丈程度まで成長しているが、未除去区には木本はほとんど見られない。

ところがブナに限ると、除去区のブナは鷹さ10cm程度、大きくても20cmまで高さであり、発見するのも困難な状態であるのに対し、未除去区の方は大きいものでは50cmを超え、しかも個体数も多い。この違いは光環境の相違によるものと考えられ、除去区の方は成長の速いパイオニア的木本に遮られて、ブナの生育が悪くなってしまったのだろう。

本調査の目的は、シカの生息数が減少した場合に、植生の回復にはイワヒメワラビの除去と未除去のいずれがよいかを検証することにあり、確かに柵設置直後(シカの生息数が減少した直後)は、除去する方が明らかに優れていると思われていたが、長期の観察を経てくると必ずしもそうとも言い切れなくなってきた。結果を出すにはもう少し長い期間が必要なようだ(調査地が2ケ所でデータ数が少ないことも、結果を誤らせる危険性を孕んでいる。)

昼食を挟んで午後1時過ぎには作業は終了する、須後に戻られる皆さんと別れて一人「ABCプロジェクト」の調査地へ向かう。11月下旬に強い寒波がやってきた際、根雪になってしまえば柵が下せなくなるからと、メンバーの方が寒波襲来の直前に柵(ネット)下しだけをされ、ネット束ねが未了になっていた。

急斜面では、下したネットが雪に引き摺られてポールが倒れる可能性があるため、地面に広がったネットを小さく束ねる必要があり、今回はその作業をした。一人だと追い立てられることもなく気楽だ、曇ってはいるが気温はそれほど低くはなく、素手でも作業ができるのはありがたい、麻ひもを通して縛るので手袋をするととてもやりにくいのだ。

一つの谷全部に柵が設置されているが、谷から急角度で上がり稜線に達すると平坦になるというような地形をしているため、片方の急傾斜地分だけを終えて今日の作業は終了することにする。今の時期は午後5時前には戻り着かないと暗くなるため、あまりゆっくりとしていられない。

地蔵峠を越えると、少し赤くなった陽に照らされ、頂付近だけに陽が当たって赤く光る遠くの峰が望まれ、青さの消えた空には既に円い月が昇っていた。

夕食は、豚肉とキャベツの炒め物を食べながらビールを飲み(クーラーに入れなくてもよく冷えている)、その後残りの炒め物に白飯を入れてチャーハン、それだけで満腹になった。



(12月3日)
天候:晴れ
田歌の水位13時:41cm
気温は0℃未満に下がったと思われるが、テントと異なり車中はかなり暖かい。しかしカセットコンロに火を点けようとしたが点かない、気温が下がってガスが気化しないようである。仕方がないのでボンベをしばらく抱いて温めそれから点火した。

昼食用の湯を沸かし、その後ラーメンを作る、またイワシのから揚げをフライパンで温め、これも昼食用にする。1000ccのコンパクトカーで寝るためには、荷物をあちこち移動する必要があるが、逆に元に戻すときも結構手間がかかる。

支度を済ませて出発、今日も昨日の続きをするため「ABCプロジェクト」の調査地へ向かう。今日は、昨日とは反対の急斜面から作業を始める、朝方は冷え込んでゴム手袋をして作業をしたが、すぐに暖かくなって素手に変える、やはり素手のほうがはるかに作業効率もいい。

急斜面を上り終えたところで昼食にする、ポカポカと小春日和の暖かい日だ、日溜りに座ってラーメンを作る、そして朝方温めて冷えないようポケットの中に入れてきたイワシの
から揚げと一緒に食べた。今日は帰りに散髪しようと思っていたので生杉を午後4時には出たい、となると逆算すると午後2時半過ぎには作業を終えなければならないことになる。

食事を済ますともう午後1時、そろそろ急がなければならない。しかしその後は傾斜地が少なくなり、束ねなければならない場所はそれほど出てはこなかった。予定どおりに終了、帰路は柵内の様子を見るため谷を下る、ここでも倒木があり通過に苦労することになる。

急いだために少し時間的に余裕ができ、その後は時々コケを観ながら歩いた。今日のような穏やかな日に、ゆっくりとコケ観察をする時間を持ちたいものだ。

生杉には午後4時過ぎに到着、お陰で予定どおり散髪を済ますこともできた。

11月26日 エビネ類シカ除けネット外し

右上:ヒメアオキ・左下;ヒメモチ右上:ヒメアオキ・左下;ヒメモチ どちらもシカの嗜好性が高い植物だが、不嗜好性植物のエゾユズリハ(中間の植物)と混在しているために見逃されたのだろうか?



コライテンナンショウの果実コライテンナンショウの果実(かなり食べられている) おそらくヤマドリが食べたのだろう、齧るとあまり舌や唇が痛まなかったのは、シュウ酸カルシウムの結晶が少ないためか。またヤマドリはそれが分かって食べたのだろうか?

ハナビラニカワタケハナビラニカワタケ





テングノメシガイとトヤマシノブゴケテングノメシガイとトヤマシノブゴケ





ケゼニゴケケゼニゴケ





左:ヒノキゴケ・右:ヒロハヒノキゴケ左:ヒノキゴケ・右:ヒロハヒノキゴケ 両種が混在しているのを見つけるのはなかなか難しい




左:ヒノキゴケ・右:ヒロハヒノキゴケ左:ヒノキゴケ・右:ヒロハヒノキゴケ





設置していたネット柵設置していたネット柵





ネットを外した後ネットを外した後 シカに採食されないようにネットを被せておかなければならない




サルメンエビネに対するシカの食痕サルメンエビネに対するシカの食痕 今年あまり食痕を見ないのは、昨冬にシカの大量死があったためか。




雪上にはシカの足跡がいっぱい雪上にはシカの足跡がいっぱい 根雪になるまでは山を下るつもりはないようだ




タヌキのタメ糞場タヌキのタメ糞場 ここもケケンポナシの種子が多い





天候:晴れのち曇り夕方小雨
田歌の水位13時:51cm
出逢った果実:ナナカマド・ウラジロノキ・サルナシ・ツルアリドオシ・コウライテンナンショウ
出発:7時26分 到着:16時22分

芦生には、ナツエビネとサルメンエビネが自生しているが、常緑であることが災いし、晩秋から早春にかけての無積雪時にシカの採食を受けるようになった。本来シカの嗜好性はあまり高くはなく、以前は食痕を見る事がなかったが、最近はシカの餌資源が劣化した関係で、今まで見向きもしなかったこれらの植物にまで採食が及ぶようになった。

そのため、エビネ類については個体数の減少や小型化あるいは自生地の消滅といった現象が表れるようになり、このまま放置すると更なる自生地の消滅が起きかねない状況になっている。

そこで、シカの採食がエビネ類に及ぼす負の影響と冬季のシカの死体数との関係性を調べるとともに、簡易な方法による保護方法の確立を目的に、春に小さなネット柵を設置した。小さくても昨日のネット下げと同様、積雪による破損を防ぐため根雪前にはネットを外す必要である。

今日はそのエビネ類に設置しているシカ除けネット柵を外す作業をする。20カ所程度設置しているが小さなものであるためそれほど時間はかからないだろうと考え、調査地に向かう道中コケの観察をしながら歩いた。

調査地に到着し作業開始、やってみると意外と時間がかかり、空腹のため4カ所を残して一旦作業を中止して昼食にする。いつものようにラーメンを作ろうとしたが、ない、湯を入れたポットがない、忘れてきてしまったようだ。

昨日はポットを持ってきたがラーメンを忘れ、今日はラーメンを持ってきたがポットを忘れと二日続けての忘れ物。家に帰ればきっとテーブルの上に湯の入ったポットが載っているのだろう、そんな光景がはっきりと目に浮かぶ。

暖かい飲み物さえ作ることができないという点では、今日のほうが昨日よりもショックが大きい。幸いお握りだけは持ってきているので、それと行動食の菓子類を食べて空腹を癒す。

一応食事を済ませ、残った作業を終えて下山する、下山途中に少し時間があったのでコケを観ながら歩いたが、雲が厚くなって夕方のように薄暗くなり、雨が降り出す前には帰り着こうとその後は急いで歩いた。車に到着する前から少しだけ雨が降り始めたが、幸い最後まで雨具が必要な量の雨にはならなかった。

11月25日 モンドリ谷シカ柵ネット下げ

モンドリ谷の中モンドリ谷の中





モンドリ谷の中モンドリ谷の中





雪が少し残っていた雪が少し残っていた





シカ柵ネットを下した後シカ柵ネットを下した後





天候:晴れ時々曇り
田歌の水位13時:53cm

芦生のような多雪地においては、防鹿用のネット柵をそのまま設置しておくと、雪の沈降圧や斜面を雪が滑る力(積雪グライド)によって柵が破損する。そこで多雪地においては、根雪になる前にネットを下す必要がある、今日は今年モンドリ谷に新たに設置されたシカ柵ネットを下す作業をした。

モンドリ越まで車で入り2名ずつ左右に分かれて下していく、今回は最初の柵下ろしであるため、下す前に柵の状況を調べる作業が加わった。杭に留められたネットを外すのであるが、170~180cmほどの高さにあってしっかりと留まっているため、背の低い私にはとても重労働であった。

下した後も、ネットが雪に引きずられて落ちないよう束ねる作業がある。周囲が2km近くあるため、昼食時に休憩しただけで日没直前まで作業して何とかネット下ろしだけは終了する。

ネットを下したのであるから、来春再びネットを上げる作業がある、この時は柵内に入っているシカを追い出す作業もあるため、こちらのほうがはるかに作業量は多くなる。多雪地においてシカ柵を維持するのは、実に大きな労力が必要になるのだ。


現在鳥獣害対策として侵入防止柵を設置する場合には、国などから補助金が出るため、植林地などではネット柵が設置されることが多い。しかし補助金は設置費だけでその後のメンテナンス費用については全く出ないようである。

シカ柵の維持は上述のように非常に大きな労力を必要とするため、ほとんどが設置されたまま放置されていると思われる。多雪地においては、積雪量の多い年にはシカ柵に大きなダメージを与えることが多く、柵が倒れると全く柵を設置した意味がなくなってしまう。

このように、多雪地の山林については、獣害対策として侵入防止柵設置費用を補助することが、全く税金の無駄であるだけでなく、大量のゴミを山中に投棄したのと同じ結果にさえなってしまう。会計検査院も、圃場に設置された侵入防止柵の維持管理等が不適切であったために、効果が出ていないこと例を示して指摘している。
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/29/pdf/291027_zenbun_02.pdf

11月17日 由良川源流・マガリ谷

由良川 アヒノ谷出合の下流由良川 アヒノ谷出合の下流





アヒノ谷アヒノ谷





由良川 大谷出合の下流由良川 大谷出合の下流





大谷出合下流のがけ崩れの跡大谷出合下流のがけ崩れの跡





由良川 大谷出合の上流由良川 大谷出合の上流





大ツボ大ツボ





由良川 ホソ谷出合の上流由良川 ホソ谷出合の上流





一ノツボ一ノツボ





ツボ谷ツボ谷





マガリ谷マガリ谷





三ノ谷源頭三ノ谷源頭





四ノ谷源頭四ノ谷源頭 下層植生で褐色に見えるのはイワヒメワラビ、少し明るい黄緑色のものはコバノイシカグマ。以前はイワヒメワラビばかりであったが、次第にコバノイシカグマが増えてきた。


ムラサキシキブの果実ムラサキシキブの果実





タヌキのタメ糞場タヌキのタメ糞場 この季節になると糞食の昆虫がいなくなり分解が進まず盛り上がるようになる。この糞場のある周辺はサルナシが多いのだろう、サルナシの果皮がたくさん含まれたいた。またケケンポナシの種子も、今年はこの果実を全く見ていないが、あるところにはあるようだ。

シロマダラシロマダラ





シロマダラシロマダラ





天候:晴れ
田歌の水位13時:42cm
出逢った果実:ナナカマド・ウラジロノキ・アズキナシ・サルナシ・エゾユズリハ・ヒサカキ・ツルリンドウ・コウライテンナンショウ
須後~七瀬~大谷出合~一ノツボ~マガリ谷遡行~七瀬中尾根分岐~須後

須後からトロッコ道を歩く、今日もシカの餌資源調査。しかし場所が七瀬・一ノツボ間という事で今までで一番行程が長く、ゆっくり歩いているわけにはいかず、今日はコケ観察を封印して黙々と歩いた。

七瀬で沢足袋に履き替える予定にしていたが、手を水に入れると千切れるほど痛い、芦生までの途中で見た氷点下1℃を表示した温度計の数字が脳裏をかすめ、「水には入りたくないなあ」としみじみ思う。幸い水量は普段程度にまで減っており、岩のヌルヌルもほとんどない。

そこで長靴のまま本流を遡ることにし、カッパのズボンとスパッツ2枚を重ね、更にテープを巻いて万全の対策をして流れの中に入った。今までもこのようにして歩いてきたが、今回はさらに徹底したため膝程度の深さであれば全く問題なく歩けた。

早朝は霧がかかっていたが、時の経過とともにきれいに取れ青空が広がっている。しかし、この季節になると太陽の高度が低くなるためだろう谷底にはなかなか日が届かない、否や谷の方向によれば終日日が差さない場所もある、

朝方の冷え込みもあってなかなか気温が上がらず、大谷出合近くなってようやく暖かくなってきた。黄葉はほぼ終わり、ところどころ黄色い葉が残っているのはチドリノキだろうか、したがって餌資源調査も冬芽が分からないと樹種が特定できない。

大谷出合に到着して時間を見るとほぼ予定どおり、道中餌資源になるものが少なかったおかげでスムーズにやってくることができた。昼食はゆっくり食べている暇もないだろうと考え、コンビニでお握りやパンを買ってきた、それを歩きながら食べる 。

一ノツボまで歩いて少し引き返し、マガリ谷を遡る。この谷は中ほどにちょっとした滝場があるものの、その上下は滝がなく長靴でもなんとか登れる谷であり、いつもこの付近から須後へ戻る際のルートにしている。

最後の急斜面を登ったところでカッパのズボンとスパッツを外して身軽になり、傘峠の稜線を西へ歩いて下山する。幽仙橋を過ぎるとチドリノキが目立つようになり、この落葉が発する粉っぽい臭いが周辺に広がり、否が応でもこの樹の存在が分かる。

さらに下って来ると、舗装道路上に小さく細長いものがゆっくりと動いているのに気が付いた。白地に黒い横縞がはっきりしているシロマダラの幼蛇だ、死体を一度見たことはあったが、生きているのを見たのは初めてであり、感動ものだ。

夜行性であるため出会うことがなかったのだろう、道路上で緩慢な動きをしていたため、車に轢かれてはかわいそうだと、写真を撮ってから茂みの中に放した。こんな楽しい事件もあって少し時間が経過し、須後到着時はかなり暗くなってしまっていた、「秋の日は釣瓶落とし」。

須後=2時間10分=七瀬=2時間25分=大谷出合=1時間05分=一ノツボ=1時間50分=七瀬中尾根分岐=2時間30分=須後
『今日の出会いと目撃』シロマダラの赤ちゃん1匹、人間0人

11月11日 ササ保全調査(今年4回目)       12日 七瀬まで(灰野・七瀬間川沿いの餌資源調査)

由良川 赤崎下流由良川 赤崎下流





フタゴ谷フタゴ谷





由良川 フタゴ谷上流由良川 フタゴ谷上流





ミヤマフユイチゴ果実ミヤマフユイチゴ果実 芦生では本種は須後付近の急斜面に限定されている。積雪によって果実が隠されてしまうため、種子が散布されにくくなることが理由と思われる。


見上げればコケだらけ 手前はコウヤノマンネングサ見上げればコケだらけ 手前はコウヤノマンネングサ





(11日)
天候:曇りのち雨
田歌の水位13時:46cm

今年4回目の「ササ保全調査」に参加する、私を含め8名、歩き始めは雨が降っていなかったが途中から降り始め、時折氷雨交じりの冷たい雨の中の作業となった。手は完全に冷え切ってかじかみ、昼食のラーメンを食べる際にはお箸が持てない状態であった。しかし無事予定の作業が終了し、今年最後の調査を終えた、来年は積雪期の2月からの予定である。

ササに対するシカの影響は大きく、ネットで保護したササと非保護地のササと比較すると、1年半で葉の量に歴然とした差が生じていた。速やかに対策を講ずれば、わずかに残るチシマザサを保全することができるかもしれない、時間との戦いだが。



(12日)
天候:曇り時々日が差す・一時小雨
田歌の水位13時:45cm
出逢った果実:アオハダ・ウラジロノキ・クサギ・サルナシ・ミヤマフユイチゴ・コウライテンナンショウ
須後~灰野(これより由良川遡行)~カズラ谷~七瀬(これよりトロッコ道)~須後

青空の広がる暖かい日になることを期待して出発する。芦生で植物の調査をされている学生さんを乗せて須後へ、午後4時20分頃待ち合わせの約束をしてトロッコ道を歩き始めた。今日は灰野から七瀬までの由良川沿いで餌資源調査の予定だ、出発してわずか歩けば灰野、体の温まる時間もない。

ここから川原に下り、先週同様厳重な冷水対策をして由良川を溯って行く。水量はかなり減ってはいるがまだ普段よりは多目、ここは先週よりも下流であるため水温もあまり低くないのか、足を流れに入れても痛いほどの冷たさは感じない。

周囲の黄葉はピークを過ぎ、葉を落として冬枯れ状態の木が目立つ、トチノキやサワグルミ・オオニグルミなどの高木は、真っ先に葉を落としてその林床は明るい。しかし中低木のカエデ類やコナラなどはまだまだ葉を残し、赤くなっているものこそわずかだが、日当たりのよい場所のものはオレンジ色に染まっている。

由良川もこの辺りはまだまだ川幅が広く、左右に渡渉を繰り返せばまっすぐ歩くよりも歩行距離が1.5倍くらいは増えるだろう、なかなか先へ進まない。陽が差せば暖かく気分的余裕も出てくるのだが、青空は全く見ることはなく陽が差してもほんの一瞬だけ、このような状態であればできるだけ流れの中は歩きたくないと思う。

可能な限り岸を歩くようにし、渡渉しなければならない場合は転石を跳んで渡る、場合によると転石間は1.5m以上もあって、バランス感覚が鍛られることは勿論のこと、跳躍力を高めるためのいい運動にさえなる。20代の頃毎週沢登りばかりをして岩跳びをしていたため、あるとき立ち幅跳びをすることになったが、自分でもびっくりするほどの距離を跳べたことがあった。

カズラ谷出合で昼食、いつものようにラーメンライスと卵焼き、そしてミルクティーを作る。待っていると、晴になる天気予報が小雨さえ降ってくる始末、芦生はいつも特別なのだ。上半身は着込んでいるため暖かいが、踵から下が冷え切り全身では少し寒ささえを感じる、そこで早々に食事を済ませて調査を再開する。

途中で2ケ所、流れの上に飛び出した低木に流木が引っかかって重そうにしている場面があった。あまりに辛そうなので見過ごすに忍びなく救出することにする。手では動かすことができずノコギリで切ってようやく救出、こんなこともしていたために時間がかかり、七瀬との中間付近からは歩道を歩くようなスピードで川を溯った。

ようやく七瀬、夏であれば楽しい川歩きだが11月の半ば過ぎともなると楽しいことなどほとんどない、前進さえしておればいずれは目的地に到着するのだということを支えに歩き続けてきたが、やっとこれで冷たい水から解放される。

濡れた沢足袋や靴下などを脱ぎ乾いた靴下を履く、この何とも柔らかで暖かい感触生き返ったようだ。ミルクティーを作って一休みしてから出発する、待ち合わせの時間があるためあまりゆっくりはできない、コケ観察をする時間もほとんどがないかもしれない。

トロッコ道を引き返す、次回あるいは積雪期のために倒木や土砂崩れを処理しながら歩く、ノコギリで木を切ったり岩をずらしたりしていたため結構時間を使い、最後は走るように歩いた。しかしそれでも約束時間に5分ほど遅れてしまった、そろそろ薄暗くなる時間この頃になってようやく青い空が覗いてきた。

須後=3時間45分=カズラ谷=1時間20分=七瀬=3時間05分=須後
『今日の出会いと目撃』人間0人

11月5日 ホウ谷・由良川源流

ホウ谷源頭ホウ谷源頭





ホウ谷源頭ホウ谷源頭





ホウ谷源頭ホウ谷源頭





ホウ谷源頭ホウ谷源頭





ホウ谷源頭ホウ谷源頭





ホウ谷中流のカツラホウ谷中流のカツラ





ホウ谷出合ホウ谷出合





ホウ谷出合ホウ谷出合





シカメコシカメコ





シカメコ上流 流木の橋シカメコ上流 流木の橋





岩谷・スケン谷間岩谷・スケン谷間





岩谷・スケン谷間岩谷・スケン谷間





スケン谷スケン谷





スケン谷スケン谷





スケン谷上流スケン谷上流





トチノキ谷 トチノキの根元から流れる水が復活したトチノキ谷 トチノキの根元から流れる水が復活した





ブナの根返り倒木ブナの根返り倒木





ブナの幹折れと道連れになったブナの根返り倒木ブナの幹折れと道連れになったブナの根返り倒木





カラクサシダとネズミノオゴケカラクサシダとネズミノオゴケ





ミズナラのドングリ 乾燥すると死んでしまうのでまず根を出すミズナラのドングリ 乾燥すると死んでしまうのでまず根を出す




増水によりサワフタギに引っかかったゴミ増水によりサワフタギに引っかかったゴミ





ゴミ除去後ゴミ除去後 2013年の豪雨後もゴミを除去したが、全く同一の木であった




天候:曇りのち晴れのち快晴
田歌の水位13時:62cm
出逢った果実(昨日以外):ミヤマガマズミ・ツルウメモドキ
生杉ゲート手前~地蔵峠~中山~八宙山の東~ホウ谷出合(シカメコ往復)~岩谷出合~スケン谷~中山~地蔵峠~生杉ゲート手前

今日も昨日に引き続きシカの餌資源調査をする。いい天気になるとの予報を信じて出掛けたが、生杉に到着しても曇り空、雨こそ降っていないが晴れてくる気配はない。生杉ゲート手前で発生した土砂崩れ現場の少し手前に駐車し出発する、土砂崩れ箇所は人間が通れるように倒木が整理されていた。

地蔵峠を越えたところで少し思案、上谷が増水していると渡渉が困難になりそうだ、そこで林道経由で中山に下ることにした。中山で下谷を渡り八宙山方面に向かって尾根を登って行く、風はなく寒くはないが、そうかと言って暑くもなく歩くだけならちょうどいい気温だ。

既に何度も書いているが、今年はミズナラが豊作で、母樹の根元には根を出し始めたドングリがたくさん落ちている。そのドングリを見続けていると、このまま見捨ててしまうことに強い罪悪感を覚え、今まで幾度もチャレンジして失敗に終わったが、もう一度ドングリ植えをやらざるを得ないような気持ちにさせられてしまった。

そこでドングリを100個ほど拾い、今回は主に朽ちた倒木上に植えてみた、1本でもいいから育ってくれればと願いながら。

八宙山近くまで上がってくると標高は850mを超える、この辺りでは既に黄葉のピークは過ぎ冬枯れ状態の木々もたくさん見られて明るい。山頂へは寄らず東側のホウ谷を下って行く、この谷は小さな滝が少しはあるものの長靴でも困難なく下れるほど緩やかだ。

谷を下りながらコケ観察をする、樹幹下部や倒木あるいは岩上に付着したコケはマット状に広がり、しっとりと濡れてふかふかと柔らかい、目と手でコケを愛でる。ゆっくり下ったためか、次第に青空が覗くようになり、黄橙色に色付いた木々に陽が当ると、その部分が黄金のように輝いてまぶしい。

由良川に出合い沢足袋に履き替える、水量は普段の3倍程度あろうか、しかしシカメコまで往復するには困難な水量ではない。11月に入ると水温が急激に下がり、正直川の中は歩きたくないのであるが、長靴では歩けないためやむを得ない。そこで少しでも水に濡れないようにするため、長靴用スパッツを2枚も重ねて履いた。

それでも流れに足を踏み入れた途端、冷たさを通り越して締め付けるような痛みが足に加わり引き攣りそうになる。できるだけ水の中に入らないようにしてシカメコまで下る、途中の両岸が狭まったところでは、先日の増水のために岩の上に流木が載っていた、この高さまで水位が上がったのだ。

シカメコは増水のために渕へ豪快に水を落とし、廊下状の谷底に滝の音が轟くように響いていた。少し時間をつぶしてから引返し、岩谷出合で小休止する、ここには膨大な数のドングリが落ちており、このまま立ち去り難くここでもドングリ植えを試みる。

少し長い休憩になってしまったが、再び餌資源を探しながら由良川を溯って行く。河岸のコケや草本は所々で流れに削られていたが、2013年の豪雨時に比べればほとんど被害はないと言っても過言ではない、この程度の被害で済んで本当によかった。

スケン谷では本流を離れ、大径木のトチノキに囲まれて昼食を摂ることにする、ラーメンラースとミルクティー、まぶしいほどの青空が広がり日溜りで休んでいるとポカポカと温まって眠くさえなる。

ここでもコケを見て歩いた、1m程の高さまでの樹幹に数種類のコケがひしめき合って群生している。ミヤマリュウビゴケ・オオトラノオゴケ・トヤマシノブゴケ・ニスビキカヤゴケ・ネズミノオゴケ・シッポゴケの仲間など、これら見て歩く、至福の時だ。

ここでもゆっくりし過ぎてしまった、由良川に戻ると光は谷底にはもう届かなくなっていた、少し時間が気になりだす。気温が少し上がってきたこともあるが、冷たい水に慣れてしまったのだろう、流れに足を入れても痛みはもう感じなくなっている。

トチノキ谷を過ぎればもう穏やかだ、水量も普段の2倍程度となり、岩を跳んで渡ることも深い流れに入ることもなくなってきた。スギの人工林が増えてくるとほどなく中山に到着する、ようやく冷たい水から解放されるのだ。結局ブナの根返り倒木が2ケ所で見られた以外、重要な餌になるほど大きなものは見られなかった。

長靴に履き替え長治谷小屋前経由で地蔵峠に向かう、途中上谷の渡渉点では岩を並べ、濡れずに渡れるようにした。地蔵峠を下る頃には雲一つない真っ青な空が広がり、充実した一日であったことを一層強く感じさせてくれた。

生杉ゲート手前=1時間=中山=2時間20分=ホウ谷出合(シカメコ往復)=1時間=岩谷出合=1時間=スケン谷=2時間15分=中山=1時間30分=生杉ゲート手前
『今日の出会いと目撃』人間0人

11月4日 トロッコ道を七瀬まで

トロッコ道からトロッコ道から





トロッコ道からトロッコ道から





トロッコ道からトロッコ道から





トロッコ道からトロッコ道から





カズラ谷出合カズラ谷出合





カズラ谷出合・七瀬間カズラ谷出合・七瀬間





カズラ谷出合・七瀬間カズラ谷出合・七瀬間





七瀬七瀬





土砂崩れ 由良川鉄橋・井栗さん邸間土砂崩れ 由良川鉄橋・井栗さん邸間





土砂崩れ 井栗さん邸・灰野間 一般の人は通過困難土砂崩れ 井栗さん邸・灰野間 一般の人は通過困難





土砂崩れ 小ヨモギ・大ヨモギ間 土砂崩れ 小ヨモギ・大ヨモギ間





土砂崩れ カズラ谷出合・野田谷間 通過はかなり困難土砂崩れ カズラ谷出合・野田谷間 通過はかなり困難





オトコヨウゾメの果実オトコヨウゾメの果実





アキチョウジの草紅葉アキチョウジの草紅葉





シロヌメリツムタケシロヌメリツムタケ





チャナメツムタケチャナメツムタケ





ムキタケムキタケ





ニガクリタケ幼菌とウロコゴケ科のコケニガクリタケ幼菌とウロコゴケ科のコケ





ニガクリタケとヒノキゴケニガクリタケとヒノキゴケ





オオミズゴケ?の紅葉が始まったオオミズゴケ?の紅葉が始まった





ホソバミズゼニゴケの無性芽 すぐに落ちるホソバミズゼニゴケの無性芽 すぐに落ちる





オオスギゴケとタカノツメの落葉オオスギゴケとタカノツメの落葉





雪虫 冬が近づいてきた雪虫 冬が近づいてきた





カメムシの体液を吸うザトウムシ コケはアオギヌゴケ科?カメムシの体液を吸うザトウムシ コケはアオギヌゴケ科?




天候:雨のち曇りのち雨
田歌の水位13時:58cm(20時には79cmになっていた)
出逢った果実:ナナカマド・ウラジロノキ・アズキナシ・アオハダ・コバノガマズミ・オトコヨウゾメ・サルナシ・コウライテンナンショウ
須後~カズラ谷出合~七瀬:往復

毎年11月に冬期におけるシカの餌資源調査を由良川沿いで行っているが、今年もその季節になった。今回は第1回目、しかし冷たい雨が降り由良川の水量も多く流れの中を歩くには危険で且つ辛い、そこで先日の台風による被害状況の確認を兼ね、長靴でも歩けるトロッコ道上の調査することした。

芦生へ通じる道路が長期間通行止めになっていたが、ようやく「茅葺の里」のある下流方面から入れるようになった。しかし佐々里峠からの道路は今も通行止めが続いており、高雄・周山経由で入ると距離が長く時間も少し余計にかかる、これから紅葉の季節、渋滞する高雄を避けるためにも早く開通して欲しいものだ。

今日は冬型の気圧配置で気温も低い、芦生辺りの黄葉(紅葉ではなく)はかなり進みちょうど見頃になっただろうか、この1週間で風景が変わってしまったかのようだ。須後付近は小雨、「このまま止んでくれたらいいのだが」と願いながら出発する。

雨の中で記録をするためには傘が必要になる、風もなく平坦なトロッコ道を歩くだけなら邪魔にはならないだろうと、大きなこうもり傘を差して歩き始めた。幸い灰野辺りから雨が止み少し陽も差し込むようになってきた、こんな状態であれば七瀬谷に入れたかもしれないと少し悔やまれる。

トロッコ道上では、強風と豪雨の為に倒木や土砂崩れが頻発しているだろうと予想していたが、意外に被害は少なく結果的に七瀬までの間に5カ所程度しか出会わなかった。従ってシカの餌資源になるような倒木なども少なく、記録を取る機会もあまり出てこないことになる。

赤崎谷周辺では多種類のコケが見つかり、それを観察しているとあっという間に時間が過ぎてしまった。日本蘚苔類学会が、芦生のトロッコ道沿いを「日本の貴重なコケの森」に選定しているだけのことはある、天気の良い日に一日中ゆっくりとコケ三昧で過ごしたいものだ。

カズラ谷を過ぎてしばらく行くと再び雨が降り出し、七瀬に到着する頃には強い降りに変わっていた。その中で昼食を摂る、いつものようにラーメンライスと卵焼きではあるが、小さな傘の下で濡れないように食事をしていると、何もかもが思うようにならず悲しくなる。

ミルクティーも作る気にもならず、食事を済ませて早々に出発する、帰路はただ歩くだけ、小ヨモギ辺りからようやく小雨に変わってきた。由良川は少し濁り流れも速くなってきたようだ、その流れに翻弄されるかのようにたくさんの落葉が流されていく、正に日本海側の山で見る晩秋の光景だ。

赤崎辺りからは小雨の中でコケ観察ができるようになってきた、しかしたっぷりと水を溜めたコケは、普段の姿とは異なっており、ただでさえ初心者の私には識別が一層困難になっていた。今年中に何とか100種くらいは識別できるようになりたいと願っているのだが、こんな調子だとちょっと難しそうだ。

ゆっくり歩き過ぎたために、須後到着は夕方近くにもなっていた、3回続けての雨の芦生、そろそろ晴れた日も訪れてくれてもいいのだが。

須後=3時間05分=カズラ谷出合=1時間40分=七瀬(昼食20分)=45分=カズラ谷出合=2時間10分=須後
『今日の出会いと目撃』シカの警戒音2回(灰野下流の対岸・野田谷上流対岸)、人間0人(ただし井栗邸付近で1名出会ったが)

10月28日 P941m周辺

P941m付近P941m付近





P941m付近P941m付近





P941m付近P941m付近





P941m西尾根分岐付近からP941m西尾根分岐付近から





崩れた歩道を直すため石を積み上げて階段を作った崩れた歩道を直すため石を積み上げて階段を作った





ブナの根返り倒木ブナの根返り倒木





ブナの根返り倒木ブナの根返り倒木





ブナの根返り倒木ブナの根返り倒木





ブナの根返り倒木ブナの根返り倒木





ブナの幹折れブナの幹折れ





倒れたブナに着生していたヤドリギの果実倒れたブナに着生していたヤドリギの果実





倒れたブナに着生していたチャボスズゴケ倒れたブナに着生していたチャボスズゴケ





クリタケクリタケ





ブナシメジ(大理石模様)ブナシメジ(大理石模様)





マメホコリ(変形菌)マメホコリ(変形菌)





日当りのいい大きなギャップを占めるのはイワヒメワラビ日当りのいい大きなギャップを占めているのはイワヒメワラビのように見えるが…




その下にはコバノイシカグマが控えているその下にはコバノイシカグマが控え、優先種の交代を窺っている。森林での遷移に似たような現象と思われる。



流れ沿いの岩上のコケ(シッポゴケ科?)流れ沿いの岩上のコケ(シッポゴケ科?)





ミヤマカンスゲに強い食痕ミヤマカンスゲに強い食痕 谷から稜線に移動してきたのだろう。




巨大なアズマヒキガエル 動かないのか往路にも出会った巨大なアズマヒキガエル 動かないのか往路にも出会った




生杉の林道はブナ原生林の直前で崖崩れのため通行できない生杉の林道はブナ原生林の直前で崖崩れのため通行できなくなっていた(人は何とか通過できそうだが)。これで、芦生へは車では全く入れない状態であることが確認できた。



天候:雨のち曇り時々雨のち雨
田歌の水位13時:82cm
出逢った花:<咲き始め>
<盛り>
<咲き終わり>リンドウ・アキノキリンソウ
出逢った果実:ナナカマド・ウラジロノキ・アオハダ・サワフタギ・サルナシ・カマツカ・コウライテンナンショウ
古屋~岩谷峠~P941西尾根分岐~(P941周辺)~P941西尾根分岐~岩谷峠~古屋

先週襲来した台風21号の影響で、美山の田歌・佐々里峠間が通行止めになっている。そのため芦生は陸の孤島状態、車で入れない状況が続いている、研究林の職員さんをはじめ芦生で生活されている方には大変な災難であろう。

その時、田歌にある国土交通省の水位情報では、由良川の最高水位が369cmまで達していた。2013年の豪雨の際には400cmを越えたため、その時ほどの被害はないとは思われるがやはり心配である、そこで森の状態を見るため針畑側から入ることにした。

晴れておれば由良川まで下りたかったが、朝から雨でしかも午後からは少し強くなるような予報では仕方がない、P941m周辺を回ってくるだけにしよう。家を出るときから雨が降っている、これだけはっきりしているとかえって開き直ってしまい、雨の中を歩くことが苦痛でなくなってくるものだ。

古屋から林道を歩く、途中小さな土砂崩れなどが見られるが、車でも水道施設前辺りまでは入れそうである。林道終点から歩道を歩いていくと、流れに削られて歩道が消えているところがあった、今日は余裕の行程、そこで岩を積んで階段を作った。

歩道が流れを離れ尾根に登っていくようになると、ところどころでシカのきつい「おしっこ」の臭いがするようになる。繁殖期になると発情した牡シカが、自分の尿と土を混ぜて体に塗り付けるとのことで、そのためこの季節になるとおしっこ臭い臭いが森の中に漂うのだろう。

尾根を登りながら落枝を片付ける、岩谷峠辺りから雨が止みようやくカッパの上着を脱ぐことができた。稜線に上がってくると落枝や倒木が酷くなり、歩道を塞いで通れなくなっている個所もたびたび現れてくる。

少なくなった下層の植物が新たに踏みつけられないようにと、それらの落枝や倒木を片付けながら登っていく、ノコギリが欲しいと思う場面も随所に出てきた。P941m西尾根分岐の手前辺りから霧雨交じりのガスが懸るようになり、再びカッパの上着を着ける。

西尾根分岐からはその周辺を歩き回って台風による被害を見て歩いた。北風が強かったのか倒木はほぼ北側に集中しており、樹木は南側に倒れているものが多かった。スギも被害を受けているがブナに被害が集中している、倒れた大径木のブナは10本ほどが数えられた。

これらはそもそも浅根性の樹木である上に、ネットのような効果があったササが消失したことにより一層倒れやすくなったものと思われる。また、ブナにはヤドリギが多数付着しているため、ブナの枝先と共にシカの餌として大量に供給されたことになってしまった。

実際ヤドリギに食痕が見られたことからも、その可能性は裏付けられる。今冬の積雪が遅れると山頂部に留まるシカが一層多くなり、三国岳山頂周辺では下層植生へのダメージが広がるものと予想される、そのためにもできる限り根雪の早く訪れることを願う。

さらに倒木による下層植生への被害も少なからず見られ、私の調査対象種である希少植物にも影響が及んでいた。これほどの被害は、2004年の台風23号以来ではないだろうか、特にブナに対する被害は深刻なブナ枯れにさらに追い打ちをかけることになる。

昼食は定番のラーメンライスと卵焼き、雨の合間にさっと摂った。今秋は紅葉がよくない、黄葉は緑色の色素であるクロロフィルが分解されるため、元々あった黄色の色素であるカロチノイドが出現して起こるので、あまり年較差はないが、紅葉のメカニズムは全く異なる。

葉柄に離層が形成される過程で、光合成により生成されたグルコースが行き場を失い、これで赤色の色素であるアントシアンが合成されるからで、葉内のグルコースの量によってアントシアンの量も変動するため、紅葉の年較差が大きくなる。

一般に天候があまりよくない年や、秋になっても冷え込まない年は、葉内のグルコースの量が少なくなってアントシアンが合成されないために、鮮やかな紅葉にはならないとされている。今年は両方の要因が重なっているのだろう。(ちなみに葉が黄緑~緑色に見えるのは、光合成には主に赤色と青色の光線のみを利用しているため、緑色や黄色の光線が反射されて目に入るからとのこと。)

山頂部を歩き回って状況がある程度つかめたため、山を下ることにする。下りながらも残っていた落枝の除去作業をしていたため、随分と時間がかかった。下山途中から再び雨が降り出し本降り状態になったが、あとは下るだけと思うと急ぐことはなかった。

古屋=2時間50分=P941西尾根分岐=(P941周辺:3時間)=P941西尾根分岐=2時間=古屋
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