芦生短信2

通年に亘る京都「芦生」の山行記録。出会った花・キノコ・果実と積雪量。2002年から2005年の記録は「自然館のホームページから「里山便り」へ進んでください」で。2006年から2009年の記録は 「芦生短信」へ。2012年4月からは「芦生研究林」の許可を受け、「ABCプロジェクト」との共同研究目的で入林しています。芦生原生林の現状をリアルタイムで知っていただくためにこのブログに記録を掲載していますが、ルートの大半は入林が規制されている地域であるため、許可がない限り入林できないことをおことわりしておきます。

2月26日 P941m・由良川源流一ノツボ

P941mの北側P941mの北側





P941mの北側P941mの北側





P941mの北側P941mの北側





P941mの北側P941mの北側





P941m付近P941m付近





P941m付近P941m付近





P941m付近P941m付近





マガリ谷出合マガリ谷出合





マガリ谷出合の上流マガリ谷出合の上流





一ノツボ一ノツボ





ツボ谷ツボ谷





ツボ谷出合ツボ谷出合





一ノツボの上流一ノツボの上流





二ノツボ二ノツボ





二ノツボの上流二ノツボの上流





P941m西尾根分岐付近から北東側P941m西尾根分岐付近から北東側





芽鱗が外れかかったサワグルミの冬芽芽鱗が外れかかったサワグルミの冬芽





雪の沈降圧によってスギの枝が引っ張られている雪の沈降圧によってスギの枝が引っ張られている





イノシシの寝床 スギの樹洞イノシシの寝床 スギの樹洞





イノシシの食痕と思われるソヨゴイノシシの食痕と思われるソヨゴ





壊れかけたスズメバチの巣壊れかけたスズメバチの巣





シカの死体① 少し小さいので1歳くらいかシカの死体① 少し小さいので1歳くらいか





シカの死体② 性別不明の大人シカの死体② 性別不明の大人





シカの死体③ 大人のメスシカの死体③ 大人のメス






天候:晴れのち曇り
古屋~P941m~マガリ谷出合~二ノツボ~P941m西尾根分岐~古屋
積雪量:P941m付近175cm、マガリ谷出合の対岸153cm、ほぼすべてがザラメ雪
古屋の積雪9時:128cm
田歌の水位13時:64cm

保谷林道ではもう除雪作業が進められていた(登りの途中で除雪車の音が聞こえたが、もう倉ケ谷出合近くまで除雪されているようだ)、保谷に架かる橋を渡ると、昨日と思われるスノーシューの跡が残されており、それは保谷南尾根まで続いていた。

今回はワカンをザックに付け最初からスノーシューを履く、尾根にもスノーシューの跡が続き、観察すると5~10名のパーティーが往復したようである。雪面はガリガリに凍りスノーシューの跡のほうが歩きにくいほどである、長靴にスノーシューはなじみが悪く時々外れる、そこで急斜面を登り終えたところにスノーシューをデポし、その後はワカンで歩いた。

こんなに固く締まっていると、軽くて脚に負担の少ないワカンのほうが快適だ。トレースは三国岳のほうまで続いているらしく、P941m西尾根分岐まで一気に登ることができた、それでも体力的にゆとりがあるので、P941mのピークに立ち寄りそのまま西尾根を西に向かって歩き続ける。

西尾根の主稜線から枝尾根に入ってどんどん下っていく、雪のないときはエゾユズリハが繁茂して歩きづらいところだが、分厚い雪に覆われて今は広い雪原となって、歩くのがとても心地よい。幾度も通ったところであり、積雪期にも毎年のように通っているので全く不安はないが、積雪期に初めて通った時は、「どこまで下り続けるのだろう、戻ってくることができるのだろうか」と、とても不安になったものだ。

由良川が眼下に俯瞰されるようになると、緩やかな下りも終わり一気に急な尾根を下り始める、この辺りまで来ると雪が緩み始め、雪面下の空洞に足を突っ込むようになって、引きずり出すのに苦労することしばしば。最後は重い雪に足を取られながらも急な斜面を下って由良川に下り着く。

マガリ谷の対岸まで移動し日当りのいい場所で少し早いが昼食にする、今日もラーメン、卵焼き、お握らず。もう2月も終わり、日の光は眩しくそして暖かく、正に春の光だ、しかし陽が陰ると少し寒さを感じ、芦生ではまだまだ冬の最中である事を教えられる。

食事を済ませて由良川を下る、水量はいつもの2倍以上あって流れを下るのも簡単ではない。しかも流れのすぐ傍まで高い雪の壁が迫り、壁に沿って歩くこともできず時々壁を乗り越えて下って行った。

大きく流れが方向を変える場所まで来て2体、帰路流れの中で1体のシカの死体を発見する。死に至った経緯を考えていると、この厳しい冬の芦生で越冬するたくましいシカも、これほどあっけなく死んでしまうのだ、正に死と背中合わせで冬を乗り越えているのだという事が、厳然たる事実として横たわっていることに気付く。

引き返して今度は由良川を遡る、が、すぐに流れ沿いには進めなくなり雪の上を歩く。ツボ谷手前から両岸が迫って雪の急斜面をトラバースするように歩き、一ノツボは大きく高巻いて乗り越えた。そのまま二ノツボまで行ってから、ワカンを着けて左岸の急斜面を登っていく、下ってきたトレースに出会うまでは疲れの表れてきた脚には負担であった。

その後は下りのトレースにワカンを置いていく、長年の経験から同じルートを往復するときは、登りのことを考えて下りは小幅で歩くことにしているが、今回もこのおかげであまり苦労することなく上ることができた。P941m西尾根に上がり、トレースどおりに引き返す、P941mのピークには寄らず北側を巻いて分岐へ。

その後は朝のルートを一気に下る、途中スノーシューを回収してその場で一休み、ミルクティーを作り行動食も一緒に摂る。ここまで来ればほとんど帰り着いたようなもの、ドロドロになった林道を、ワカンを手に持って歩いた。


古屋=2時間05分=P941m=1時間20分=マガリ谷出合=1時間20分=二ノツボ=2時間40分=P941m西尾根分岐=1時間35分=古屋

『今日の出会いと目撃』シカの死体3体(いずれもマガリ谷出合の下流)イノシシ1頭、人間0

『シカの越冬状況』
保谷南尾根の取り付きから由良川までシカの痕跡は皆無。マガリ谷出合から由良川の流れを下る、大きく曲がるところで左岸に渡ると雪の上に血痕があり、テンが動物を食べたようである。周囲を探すと2体のシカの死体があった。マガリ谷出合方面へ戻る途中、流れの真ん中の岩にシカの死体が引っかかっているのを発見する。

ほぼ同じ場所に3体もの死体があるのは普通ではない、同一の要因で死亡したものと推測される。2月10日のドカ雪では、古屋の積雪計は1日で90cmも積雪深が増えていることから、この辺りもそれに匹敵するような大雪が降ったと考えられる。

この辺りでは川沿いにスギの樹がほとんどなく、寝床になるような場所は少し尾根を上がらなければならない。ところが大雪で動くことができず、水が流れて雪の消えている場所に閉じ込められたのではないだろうか。そのような場所で体を横たえるとどうしても濡れて冷えてしまう、そこで立っていたのであろうがいつまでもそんなことができるわけがなく、疲れて身を横たえると濡れて冷え切ってしまったのだろう。

こんな大雪は滅多に降らない、予測を越えたドカ雪で死んでしまったのだろう、今まで考えたこともなかった死亡要因である。その場で死んだシカたちの冥福を祈る。

2月18日~20日 冬季シカ・カモシカ生息調査に参加

18日の長治谷小屋 除雪しないと入れない18日の長治谷小屋 除雪しないと入れない





19日の長治谷小屋19日の長治谷小屋





ウツロ谷ウツロ谷





キエ谷キエ谷





上谷本谷上谷本谷





上谷本谷上谷本谷





モンドリ谷出合モンドリ谷出合





モンドリ谷モンドリ谷





若丹国境稜線に向かって登る若丹国境稜線に向かって登る





若丹国境稜線若丹国境稜線





上谷・野田畑谷中尾根上谷・野田畑谷中尾根





上谷・野田畑谷中尾根上谷・野田畑谷中尾根





上谷・野田畑谷中尾根から若狭側上谷・野田畑谷中尾根から若狭側





野田畑谷出合野田畑谷出合





長治谷湿原長治谷湿原





中山橋から下流側中山橋から下流側





中山橋から上流側中山橋から上流側





18日の長治谷小屋前積雪計 158cm18日の長治谷小屋前積雪計 158cm





19日の長治谷小屋前積雪計 180cm19日の長治谷小屋前積雪計 180cm





ヤドリギの大きな株が落下していた
ヤドリギの大きな株が落下していた 雪が積もってその重みで落下したと思われるが、半寄生という生き方も厳しいようだ。


上谷沿いに雪のない地表があった シカの寝床上谷沿いに雪のない地表があった シカの寝床になっていたのか3頭のシカがいて糞がたくさんあった





(18日)
天候:晴れのち曇り夕方から雪
古屋の積雪13時:141cm
田歌の水位13時:58cm
積雪量:地蔵峠175cm
生杉~地蔵峠~長治谷小屋(中山橋方面まで調査:長治谷小屋泊)
生杉=2時間20分=地蔵峠=1時間05分=長治谷小屋


(19日)
天候:雪のち曇りのち晴れ
古屋の積雪13時:150cm
田歌の水位13時:56cm
積雪量:キエ谷200cm、モンドリ谷210cm、野田畑185cm
上谷・野田畑谷周辺調査:長治谷小屋泊


(20日)
天候:曇りのち雨
古屋の積雪13時:135cm
田歌の水位13時:55cm
(中山橋方面まで調査)長治谷小屋~生杉
長治谷小屋=3時間05分=生杉

一昨年から参加させていただいている「冬季シカ・カモシカ生息調査」に今年も参加させていただく、過去2回は二日間だけであったが、今年は全日程である三日間とも参加することができた。

先週の(ドカ雪後の)林道歩きに懲りてスノーシューを早速購入、生まれて初めて使用した、平坦地だけで使用し急斜面はワカンをと考え、ワカンも持ってきた、スノーシューを実際使ってみると平坦地では確かに威力がありそうだ。

今年の参加者は私を含めて4名、うち学生さんは2名である。午前10時半頃に生杉を出発予定であったが、私だけがスノーシューで他の3名はスキーで行かれるとのこと、遅れてはいけないと考え先に到着して9時少し前に一人出発した。

前日の雨で雪質はザクザクしたザラメ状態になっていたが、すっかり締まってスノーシューを履くと10cm程度しか沈まない。今夜は長治谷小屋泊であるため荷物も少なく、寝袋が加わっているものの重量はいつも歩いているときとあまり変わらないようだ。

途中、スキーでは通過が厄介そうな箇所があると、足場を切ってルート工作をしたが、その作業も含めスノーシューのおかげで出発から地蔵峠まで休む必要はなかった。地蔵峠から先も枕谷と上谷の渡渉箇所などのルート工作をしながら歩き、お昼前に長治谷小屋に到着した。

小屋の入口は、10日ほど前に研究林のスタッフの方が来られて除雪されたらしいが、その後のドカ雪で再び埋まってしまって掘らなければ中へ入れない状態になっていた。そこで1時間ほどかけて除雪作業を行う、北海道のスキー場では散々除雪したのであったが、最近はほとんどする事がないため手に負担をかけないようゆっくりとスコップを動かした。

階段を作って入れるようにしたがカギは持っておらず中へは入れない、そこで昼食を摂ってから学生さんたちを迎えに行くことにした。地蔵峠でようやく合流、スキーを初めて履く学生さんの荷物を引き受け、一緒に小屋まで歩いた。

小屋の中に荷物を入れて簡単に宿泊の準備、その後明るい間に中山橋付近まで調査に出掛ける。小屋に戻る途中から細かい雪が降り始め、小屋に戻り着く頃には本降りの雪に変わってきた、天気予報どおりだ、あまり降り過ぎなければいいが。

夕食はカレーライスとコールスロー、そして小屋に備蓄されていたビールをいただく。発電機のエンジンがかからずランタンの灯りの下、石油ストーブで暖められた屋内で、学生さんたちの現状や将来のことなどの話を聞いたり、私自身の経歴を話したりして夜の更けるまで起きていた。


二日目は朝食後上谷方面に出かける、昨夜からの降雪で25~30cmの新雪が積もっていた、この程度の雪であればラッセルと言えるほどの苦労はせずに歩くことができるだろう。

途中の支流で採水し積雪深を調べる、積雪が多いために上流に行くほど流れが雪で塞がっている場所が多くなり、渡渉をせずとも流れを渡ることができた。そのために予定よりも早くしかも体力をそれほど消耗せずに目的地に到着する、まだ昼前、このまま引き返すのはもったいない、そこで若丹国境を回って戻ることになった。

この頃には雪も止んで気温も上がってきたようだ、雪質は少し重くなりべたついてくる、その上スノーシューを着けたまま流れの中を歩いたために雪がこびり付きやすくなっていた。そんな状態で若丹国境へ続く枝尾根を急登することになり、スノーシューを着けた脚に強い負担がかかって一気に体力を失った。

急登が終わった後、学生さんに先頭をお願いしたため、その後は楽に歩くことができて助かった、人数が多いとこのようなときに大いに救われる。小屋に戻り着いても夕食にはまだ早過ぎる、そこで学生さん達はスキーの練習をされたり小型の雪洞を掘ったりされていたが、私は冬芽観察をして1時間余り時間を過ごした。

夕食はポテトサラダと鍋物、今夜も昨夜と同様いろいろの話題を繋ぎながら夜が更けていった。


三日目は、朝食前に中山橋方面へ調査に出かける、暖かい朝であるが風が強い、入林前の天気予報では午後から雨とのことであったが、天気予報どおりになりそうな雰囲気である。調査から戻って朝食、そして後片付けをして三日間お世話になった長治谷小屋を後にする。

地蔵峠を下り始めたころより雨が降り始め、やがて本降りの雨に変わってきた。スキーを初めて履いたという学生さんも、下り始めてしばらくは転んでばかりおられたが、だんだんと転ばれなくなってスキーに慣れてこられたことが見て分かるようになってきた。

雨は小止みなく降り続け、途中で休む気にもならず一度小休止しただけで最後まで歩き続けた。若走路谷をショートカットして渡った私が最初に到着、すぐに間を置かずに皆さん無事到着された。

三日間お世話になりありがとうございました。長治谷小屋に泊まることができること自体、よほどの縁がなければ無理だと思っていたが、それが3年連続でかなえられている事、そしてその不可能と考えていたことに今年もお誘いいただいたことに感謝しつつ芦生を離れた。



『シカの越冬状況』
18日:中山橋方面にシカの足跡多数、複数のシカが生息している模様だ。足跡は30cmほど沈んでいるだけで、シカの行動を阻害する積雪状態ではない。
 フジに強い食痕が見られた。

20日:中山橋付近で牝頭、仔1頭が休んでいた、私を見つけて由良川を下って行ったが、途中からはゆっくりと流れの中を歩いて下って行った。前日からの新雪が30cmほどあったため、地上には上がらず川の中を歩いているようだ。

18日~20日まで、それ以外にはシカの痕跡(新しいもの)を見ることはなかった。

2月12日 櫃倉谷

ゲートからすぐの林道もこんな状態ゲートからすぐの林道もこんな状態





落合橋の上流落合橋の上流





櫃倉1号橋の手前櫃倉1号橋の手前





櫃倉1号橋の手前で進めなくなり林道に上がる櫃倉1号橋の手前で進めなくなり林道に上がる





櫃倉1号橋 これで積雪深が165cm櫃倉1号橋 これで積雪深が165cm





櫃倉3号橋 これで積雪深が165cm櫃倉3号橋 これで積雪深が165cm





櫃倉4号橋の手前櫃倉4号橋の手前





櫃倉4号橋の手前 流れを見下ろす
櫃倉4号橋の手前 流れを見下ろす




櫃倉4号橋の上流櫃倉4号橋の上流





帰路 落合橋から下流方向帰路 落合橋から下流方向





追い詰められた1尖の牡シカ追い詰められた1尖の牡シカ





雪の中を逃げる1尖の牡シカ雪の中を逃げる1尖の牡シカ





もう1頭の1尖の牡シカは、雪の壁を乗り越えて逃げたもう1頭の1尖の牡シカは、雪の壁を乗り越えて逃げた





シカの食痕 キブシシカの食痕 キブシ





シカの食痕 ウツギシカの食痕 ウツギ





シカの食痕 オオバアサガラシカの食痕 オオバアサガラ





天候:雪が降ったり止んだり午後から雪
積雪量:竜王橋と落合橋の中間付近145cm、櫃倉4号橋付近155cm、櫃倉林道終点160cm
古屋の積雪13時:193cm(2005年から記録をまとめてあるが、190cmを超えたのは2006年と2012年の2回しかない)
田歌の水位13時:47cm

須後~落合橋~林道櫃倉線終点 往復

先日の豪雪で芦生方面の積雪量が、一気に1m近く増えているようだった、この状態ではとても山の上には登れないだろうと考え、流れの中を歩くことができる櫃倉谷へ行くことにした。

周山を過ぎて深見峠への登りに差し掛かる頃から急に積雪量が増えてくる、峠を越えて由良川に下った安掛付近で一旦減るものの、由良川を溯るに従い再び増加していく。田歌を過ぎると険しい地形となり、雪崩れて帰りに道路が塞がってやしないかと心配になる。

無事須後に到着、駐車場に車を停めて出発する、内杉林道には昨日と思われるはっきりとしたワカンのトレースが残っており、これは幸先がいい楽に歩けそうだ。しかしトレースの深さは50cm以上もあって深い溝になっている、こんなに深いトレースは滅多に見ることはない、今回の雪が如何に凄いかを物語っている。

少なくとも数人が往復したのであろう、トレースはしっかりと固められ、その上に新雪が5cm程度覆っているものの、無積雪期とほぼ同じ速度で歩くことができた。ところがこの快適なトレースも龍王橋で終わっていた、ここで引返したのだろうその先は全くの新雪、1歩足を踏み入れるとワカンを着けていても膝上まで沈む。

このような状態では落合橋まで行くのさえ苦しいと考えられたので、内杉谷に下って川の中を歩くことにした。ところがしばらく行ってから気が付いた、この先に砂防ダムがあることを。この深い雪の中でダムを越えるのは容易ではない、そこで再び林道に戻るのであるが、腹までのラッセルに苦しみ今日の雪の深さを実感させられた。

林道に何とか戻り新雪に足を踏み入れていく、単調な作業だが長い時間は続けられない。落合橋にようやくの思いで到着し櫃倉林道に入っていく、少し上流にちょっとした渕があって長靴では越えられない、そこでその渕を越えて最初に現れる緩斜面を流れに下った。

いつもであれば、このままずっと中ノツボ谷まで歩けるのであるが、今日は様子が少し違う、雪の壁が流れぎりぎりまで迫っていて、小さな渕も簡単には巻けなくなっていた。そのいくつかを雪を崩して乗り越えたが、とうとう不可能と思われる場所にぶつかって断念、急斜面を苦労して攀じ登って再び林道へ上った。

1号橋を渡ったところで少し早いが昼食にすることにした、スギ木立の下では枝に積もった雪の塊がいつ落ちてくるかわからないため、上部に何もない場所に座ってラーメンを作って食べようとすると、雪が激しく降ってきて落ち着いていられなくなってしまった。

そこでスギ木立の下に移動して立ったまま食べる、お握らずと卵焼きの定番メニューだが、立食するとなぜかいつもよりおいしく感じられる。食事を済ませて再び林道を歩く、2号橋を過ぎ3号橋までは近くてはかどっているように思うのだが、その後4号橋までは遠い。

4号橋を過ぎてしばらく歩くと、体力的にも時間的にもそろそろ引き返す頃ではないかと考えなければならなくなってきた。だが流れを見ると緩やかで水深も浅そうだ、そこで再び川に下って流れの中を遡ることにした。

記憶では通過に困難な場所はなかったと考えられたが、予想通りその後は通過に躊躇するような場所はなく、順調に林道終点までやってくることができた。ここまで来れば引き返しても悔いはない、少し休んだだけで引き返す、雪の降り方が時々強まると、なんだか嬉しくなるのはまだ青春時代の憧れが冷え切っていないからだろう。

帰路は気分的にゆとりがある、四囲の雪景色を愛でシカの食痕の観察もする。川に下ったところまで戻り、その後はただただ往路のトレースをたどる。だがトレースといってもワカンの穴が続いているだけであり、その穴に再び足を入れるのであるが、降り続く雪が溜まっていてそれがワカンの上に載って足が重い。

わずかの距離であればいいのだがそれが延々と続く、しかも川に下っていた部分は一からラッセルをしなければならず、落合橋を過ぎた辺りで脚が引きつりそうになった。ストレッチして出発、もう少しもう少しと自分に言い聞かせながらやっと龍王橋に到着、それからは高速道路のように軽快に歩き抜けることができた。


須後=4時間50分=林道櫃倉線終点=2時間40分=須後
『今日の出会いと目撃』牝2頭、牡1尖2頭、2尖1頭、3尖1頭、4尖2頭人間1人(竜王橋で写真家のH氏)

『シカの越冬状況』
林道を歩き始めて最初のカーブミラーのある場所で、牝シカ1頭がワカンらしい昨日のトレースを歩いて下ってきたところにばったり出会う。彼女は龍王橋までトレースを歩き、そこでトレースがなくなったので川に下っていた(踏み跡のないところでは、シカの脚は70cmほど沈んでおり、雪上を歩くのはかなり困難な様子、しかし人間のトレースは歩きやすいようで、走って逃げていた)。

彼女を追って歩いていくと、眼下の内杉谷を走って下る3尖らしい牡シカを見る。

彼女の足跡を追って川に下って遡ると前方に1尖の牡と牝がいた。私の姿を認めて小さな支流へ入っていったので彼らを追って私も支流に入る。支流はすぐに行き止まりになっており、1尖の牡2頭と牝1頭がいた、退路を断たれたシカは入口のほうへ向かってくる可能性が高いため、少し高いところへ登って彼らに逃げ道を与えると、1頭の牡と牝が横を走り抜けていった。しかしもう1頭の牡は、雪の壁を乗り越えて首まで雪に埋まりながら、雪の中をもがいて本流まで移動していった。

櫃倉1号橋を過ぎたところで、2尖と思われる牡シカと1歳くらいの牝シカが上流へ走って行った。

4号橋を過ぎたところで、4尖の立派な牡2頭に出会う、彼らは上流に向かって逃げて行った。

櫃倉2号橋と4号橋の下にシカの寝床があった。食痕はオオバアサガラ、キブシ、ウツギ、フジに見られた。

2月4日 P941m・三国岳周辺

江丹国境稜線の雪庇江丹国境稜線の雪庇





P941m西尾根分岐付近から北東側P941m西尾根分岐付近から北東側





P941m西尾根分岐付近P941m西尾根分岐付近





P941mの北側P941mの北側





P941mの北側P941mの北側





P941m付近P941m付近





樹の影樹の影





三ボケ源頭二俣三ボケ源頭二俣





三国岳の北側三国岳の北側





三国岳の北側三国岳の北側





P941m西尾根分岐付近から伊吹山・琵琶湖などP941m西尾根分岐付近から伊吹山・琵琶湖など





樹幹に着生するミヤマカタバミ 雪に埋まらなくても常緑樹幹に着生するミヤマカタバミ 雪に埋まらなくても常緑を維持するため、何らかのメカニズムを有しているのであろう。




天候:晴れ時々曇り
積雪量:P941m付近130cm(山上部では表面から50cmほどが新雪で、その下がザラメになっている。深いところは不明。)
古屋の積雪9時:96cm(最近欠測が多いのは、中継局との間の電波状況が悪いからだそうである)
田歌の水位13時:50cm

昨年大学院を卒業して社会人となっている「I」君と三国岳周辺でシカに関係した調査をすることになった。福井からやってくる「I」君と湖西線のマキノ駅で待ち合わせ、古屋まで「I」君の車に乗せていただく。

駐車スペースには珍しく2名の登山者がおられ、私たちの到着と同時に出発された。準備を済ませて私たちも出発、先行者のワカンの跡を追っていく、気温があまり下がっておらず雪が締まっていないためにズボズボワカンが沈んで歩きづらいが、だが先行者のトレースがあるので助かる。

先行者も林道を離れて保谷南尾根に向かわれている、冬山ルートを知っておられるとは、幾度か来られているのだろう。尾根の取り付きで追いついた、一度お会いしたことがあるそうで、このブログをよく見ていただいているとのこと、私のほうは微かな記憶があるような無いような…。

取り付きからしばらく登ると、はや雪が締まって歩きやすくなる、主稜線まで先行者のお二人にラッセルしていただき、こんな楽に歩かせていただいてもいいのかと思うほど。その後先頭を交代して歩くが、深くて10cm程度しか沈まないのでそれほど苦労することはなかった。

先行者は、三国岳には行かずカベヨシ方面へ行かれるとのこと、そこで江丹国境稜線に上がったところでお別れし、私たちはP941m方面に向かった。西尾根分岐直下に発達する雪庇も例年に比べまだまだ小さく、積雪量がそれほど多くなっていないことを物語っている。

分岐に上り着き、「I」君の希望でまずは昼食、「冬季は温かいものが一番」と言い合いながら、彼はラーメン、私はそばを作って食べる。今日も先週同様穏やかで暖かい日だ、ゆっくり休んでから作業開始、調査地を回って歩く。

これまでもシカの足跡は見られなかったが、このあたりでも全く見ることはなく、山上部に居たすべてのシカが1月14日~15日の1回目の大雪の際に山を下ったものと思われる。

日陰の雪はまださらさらしているが、日当りのいい場所の雪は早くも解けでベタベタして重くなってきた。またスギの枝に積もった雪が解けて雨のように降り注ぎ、その下では雪がザクザクのシャーベット状に変わっている。

それでも先週ほどのことはなく、ワカンが鉄下駄のように重くなることはなかった。調査地を巡り終えて午後2時頃下山開始、帰路は往路を忠実に歩くため楽に歩くことができたが、さすがに下るに従い雪が重くなって足が捕られ、その重い雪に抗いながら足を進めるころになった。

最後の小ピークで小休止、ミルクティーと行動食でエネルギー補給、しかしそれから先一層雪が重くなり、予想以上に時間がかかってしまった。

古屋=2時間30分=P941m西尾根分岐(P941m・三国岳周辺で調査:3時間10分)=2時間05分=古屋

『今日の出会いと目撃』人間2人

『シカの越冬状況』
古屋から保谷林道上にはところどころシカの足跡があったが、保谷南尾根に取り付くと、それ以降足跡は全く見られなかった。保谷林道上では積雪110cmに対しシカの足跡は約50cm沈んでいた。

1月29日 天狗岳分岐・P927m 城丹国境

府大演習林南縁尾根分岐から天狗岳方面府大演習林南縁尾根分岐から天狗岳方面 クマ棚のできたクリがある




二ボケ左俣源頭二ボケ左俣源頭





一ボケ・二ボケ中尾根の頭からP936m方面一ボケ・二ボケ中尾根の頭からP936m方面





城丹国境稜線から小野村割岳方面城丹国境稜線から小野村割岳方面 西側斜面にはナラ枯れが多い




P927m北東尾根から三国岳方面P927m北東尾根から三国岳方面 辿ってきた城丹国境稜線が見える




P927m北東尾根から比良山系P927m北東尾根から比良山系 単眼鏡を覗くと武奈ケ岳山頂の人や蓬莱山でスキーをしている人も見えた




P927m北東尾根 雪庇ができ始めているP927m北東尾根 雪庇ができ始めている これくらいできると雪洞が作れそうだ




P927m北東尾根から三国岳~経ケ岳P927m北東尾根から三国岳~経ケ岳 手前の尾根が府大演習林南縁尾根




久多川の流れ久多川の流れ





モミの球果と翼の付いた種子モミの球果と翼の付いた種子 きれいに取り出すと松の実のような味、きれいに取り出せないとヤニの味が強い




枝に付いていた、ヤドリギの種子の入った鳥の糞枝に付いていた、ヤドリギの種子の入った鳥の糞





コシアブラの長い短枝 こんなに長いとフトミミズのようだコシアブラの長い短枝 こんなに長いとフトミミズのようだ




ウラジロノキの果実 木に付いたままのものはまずいウラジロノキの果実 木に付いたままのものはまずい、地上に落下したもののなかに発酵しておいしいものがあるのは、土壌中の菌の中に発酵菌が存在しているためだろう。


シカの食痕 サワシバシカの食痕 サワシバ





シカの食痕 イタヤカエデシカの食痕 イタヤカエデ





岩屋谷出合の橋の下 シカのねぐらになっている岩屋谷出合の橋の下 シカのねぐらになっている 糞の形状と大きさから3頭ほどのシカだと思われる。手前の樹皮剥ぎがされているのはオオバアサガラ



天候:晴れのち曇りのち雨
積雪量:久多林道95cm、府大演習林南縁尾根分岐130cm、天狗岳分岐130cm、P927m150cm、山上部では表面が少しザラメになっているがそれ以外はすべて新雪
古屋の積雪16時:102cm
田歌の水位13時:39cm
久多最終除雪地(水道施設前)~府大演習林南縁尾根分岐~天狗岳分岐~P927m~久多最終除雪地(水道施設前)

久多の林道の除雪は水道施設までで終わっている、それから先は歩かなければならない。100mほど戻った駐車スペースに車を停め身支度、その間に先ほどまで薄暗かった谷の中もようやく明るくなってきた。

先日の大雪で積もった雪もずいぶん落ち着いてきたのか、ワカンを着けると10cm程度しか沈まなくなっている。しかし柔らかい場所や枝からの落雪で固く凍っている場所、クラストして最中の皮のようになった場所と、表面の雪質が均質ではないため安定した歩行ができず意外に疲れた。

岩屋谷出合から少し岩屋谷に入って左側のスギの人工林を急登する、無積雪期でもかなりのエネルギーを使う場所であるから、積雪期は言わずもがなである。途中で1枚着衣を脱ぐため一休みした以外、写真を撮るため立ち止まるまたは呼吸を整えるため立ち止まるだけで一気に城丹国境稜線まで上がった。

稜線からは伊吹山がかすかに見えるものの、朝方あれだけ晴れ渡っていた空には薄雲が広がり、遠くのものは霞んで見えている。夕方から雨の天気予報、どうも当たりそうだあまりゆっくりとはしていられない。

その後は立ち止まる程度で天狗岳分岐までほとんど休みなく歩き続けた、雪質は比較的安定しており出発したころから比べるとずっと歩きやすくなっている。ところが、天狗岳分岐付近まで来ると、気温が上がってきたからだろう雪が緩み始め、ワカンの下にくっつくようになってきた。

こうなると脚が重く急ブレーキがかかったように歩けなくなってくる。天狗岳分岐でピークを往復するか否か思案したが、今日の目的は稜線付近でのシカの生息調査であり、ここまで全く痕跡が見られなかったことから、天狗岳に立ち寄っても意味がないだろうと判断、それよりも先を急いだほうがよさそうだ。

そこで立ったまま小休止して出発、P927mまでの最低コルを越えた最初のピーク付近で、風の当たらない場所を探して昼食を摂る。今日も定番のラーメンと卵焼きとお握らず、ラーメンが伸びるまでミルクティーを作ってすする、明らかに雲は多くなったがまだまだ雨が降りそうな気配はなく、穏やかな天候で暖かい。

食事を済ませて出発、しかし更に気温が上がってきたためだろう、増々ワカンに雪が付きやすくなってきた。20cmほどの厚みに付くともう鉄下駄を履いているようなもの、トレーニングにはいいかもしれないが今は本番中、脚にかかる負担がとても辛い。

ようやくP927m、天狗岳分岐からここまでの間は単調な稜線で、同じような風景が続き飽きる、そのうえ雪が重くて歩きづらくとても長く感じた。P927mからは北東に伸びる尾根を下る、と言っても中頃まではアップダウンが続いて一向に標高が下がらないが。

比良連峰がよく見えるところで、ミルクティーと行動食を摂って小休止、振り返ると背後から黒い雲が広がりつつあった。天気予報より早く崩れてくるようだ、そろそろ慌てなければならない。

ここに至って気づく、急いで歩くとワカンに雪があまり付かないことを、ちょうど小雨が降り始め意識せずとも足早になってきた。しかし尾根の最後、長瀬谷に向かって下っていくと雪質が最悪になる、多量の水分を含んだ春先の雪のようにザクザク、その重い雪に足が捕られて簡単には下れない。

すぐ下に見えていながらなかなかたどり着かない、雪との永い格闘の末ようやく長瀬谷の谷底に下り着く。ここまで来れば出発地はもうそこである、小雨も止んでいた、出来れば雨は降らないで欲しいせっかく積った雪が消えてしまうから。

久多最終除雪地(水道施設前)=3時間=府大演習林南縁尾根分岐=55分=天狗岳分岐=2時間05分=P927m=1時間50分=久多最終除雪地(水道施設前)
『今日の出会いと目撃』牡シカ(1尖)1頭、牝シカ1頭(岩屋谷出合から少し入ったところで一緒に)、人間0人

『シカの越冬状況』
林道上や久多川の河川敷にはたくさんの足跡がついていたが、尾根には全く足跡がなかった。林道上は積雪深95cmに対しシカの足跡は30cm程度沈んでいた。先日の大雪から4日ほど経過しているため、この程度しか沈まなくなったのだろう、これくらいの沈み方であれば、行動が大きく制限することはなさそうである。

1月22日 野田畑谷・上谷

地蔵峠地蔵峠





野田畑野田畑





野田畑谷野田畑谷





野田畑谷野田畑谷





野田畑谷野田畑谷





若丹国境稜線若丹国境稜線





若丹国境稜線から野田畑谷を見下ろす若丹国境稜線から野田畑谷を見下ろす





上谷上谷





上谷上谷





上谷上谷





上谷上谷





上谷 雪が降ってきた上谷 雪が降ってきた





野田畑 雪が激しく降ってきた野田畑 雪が激しく降ってきた





地蔵峠を少し下ったところから 天候が急速に回復地蔵峠を少し下ったところから 天候が急速に回復





雪の重みで落下したヤドリギ 二又分枝がきれい雪の重みで落下したヤドリギ 二又分枝がきれい





キハダの冬芽 円形の葉痕が特徴的
キハダの冬芽 円形の葉痕が特徴的




コナラにできているクマ棚 豪快の一語に尽きるコナラにできていたクマ棚 豪快の一語に尽きる





障害物を乗り越えて谷の中を移動したシカの足跡障害物を乗り越えて谷の中を移動したシカの足跡





若丹を越える2頭のシカの足跡若丹を越える2頭のシカの足跡





上谷のシカの足跡とシカの食痕(フジ)上谷のシカの足跡とシカの食痕(フジ)





倒木を渡るテンの足跡倒木を渡るテンの足跡





天候:小雪のち曇り(時々日が差すが小雪も舞う)のち雪のち曇り
積雪量:生杉60cm、地蔵峠80cm、野田畑・野田畑峠・上谷いずれも80cm、生杉は上部少しザラメ、それ以外はすべて新雪
古屋の積雪14時:60cm
田歌の水位13時:41cm
生杉(最終除雪地)~地蔵峠~野田畑谷~野田畑峠~上谷:枡上谷の上流~地蔵峠~生杉(最終除雪地)

最近降雪が少なかったらしく、道路上にはほとんど雪が残っていなかった。生杉集落を通り過ぎてなおも林道を進むと除雪が終了、例年よりも100mあまり手前で終わっている、少し戻って除雪された駐車スペースに車を停める。

身支度をして出発、小雪が降っているが積雪量を増やすほどの量ではない。除雪終了地点からワカンを着けようと思っていたが、ツボ足で歩いてもとわずかに沈む程度、そこで若走路谷を渡るまでツボ足のまま歩くことにした。

谷を渡ったところでワカンを着ける、これを着けるとほとんど沈まなくなって軽やかに歩くことができた、膝上のラッセルを続けた先週とは大違いである。休憩を摂る必要もなく歩き続ける、歩きながら樹木の観察、枝の出し方(分枝方法)や冬芽と葉痕、樹皮などを見ながら樹種を同定する。

分枝方法は落葉時でないとよくわからないので、今が観察の絶好機でありこれを見ているととても楽しい。自信のない樹木が現れると立ち止まって様々な部位を眺め、樹種を特定するのであるが、さすがにあまりゆっくりとしていると今日の予定が消化できなくなるため、適当なところで止めて深入りはしないことにした。

生杉ゲートまで来れば地蔵峠までの半分以上は来たことになる、無積雪期であればここまで来るまで入れるが、積雪期は除雪がされていないために2倍以上歩かなければならない。地蔵峠を越えるころにはほとんど雪は止み、時々小雪が舞う程度、ワカンのまま枕谷を下り野田畑まで歩いて野田畑谷出合からワカンを外して流れの中を歩く。

その後は原則流れの中を歩くが、倒木のために通れなくなっているところは巻いて越えた。流れの中には時々シカの足跡が残されており、おそらく越冬地である若狭側の低標高地へ移動する個体のものであるらしく、そこでこの足跡を最後まで追いかけることにした。

最初は野田畑峠から若狭側へ越えているだろうと思ったが、峠付近を通過してもさらに奥へと続いている、こうなったら意地でも追いかけようとどんどん奥へと入っていくことになった。結局野田畑峠から600mほど奥へ入ったコルを若狭側へ越えており、ようやくここで追跡調査が終了する。

やはり思った通り越冬地へ移動する個体のようだ、しかしなぜ今日移動するのだろう、天気予報では午後から雪になり明日明後日と降雪量が増えるとのこと、これをこのシカは予知したのかもしれない。私は冬季におけるシカの生態を見続けている過程で、シカは積雪に対する予知能力を絶対持っていると思うようになった。

年末の31日に若丹国境稜線を歩いた際、芦生から出ていくシカの足跡は多数見られたが、芦生に戻る足跡は全く見ることはなく、芦生に戻る足跡が多数見られた昨冬と大きく違っていた。その時から、この冬は昨冬のような貧雪にはならないだろうと予測したのであるが、それが間違いではないようになりそうだ。

若狭側へ越える足跡を見送ってから、ワカンを着けて若丹国境稜線を野田畑峠まで歩き、ここで昼食を摂ることにした。今日は「汁そば」と「ポテトサラダを挟んで作ったトーストサンド」、少し冷たいがなかなかおいしかった。食事を済ませてからワカンを着けたまま上谷まで引き返し、流れに下ってワカンを外す。

今度は上谷を遡るのであるが、倒木が多くて巻かなければ越えられない場所が続々と現れる。まだ雪が少なく超えるのにそれほど困難ではないが、今後積雪量が増えてくると、流れの中でも移動がかなり困難になって来るだろう、そうなればシカもここにはいられなくなる。

帰りのこともあり、午後2時になったら引き返すことにした、帰りは巻きルートができているため、倒木個所も楽に越えることができる。野田畑谷出合からさらに流れの中を下り、スギの植林に入ったところで朝方のトレースに戻った。

このころから激しく雪が降り始める、天気予報通りだ、きっと寒冷前線が通過しているのであろう。撤去された丸木橋があったところで上谷を渡り再びトレースに戻るが、そのままツボ足でトレースを歩いてもあまり沈まないため、地蔵峠下の枕谷渡渉点までワカンを着けずに歩いた。

ここでワカンを着け地蔵峠を越える、その後は足元のトレースをただただ追い続ける。地蔵峠を越えた辺りで雪は止み薄日さえ差してくる、こうなればあまり慌てて帰る必要もない、ちょうど林道歩きにも飽きてしまい、若走路谷手前の大曲はわざわざ急な斜面を登って尾根を乗り越えた。

5時少し前に到着まだ明るい、朝はなかなか明るくならないが夕方は日がずいぶん長くなった。

生杉(最終除雪地)=2時間=地蔵峠=2時間40分=野田畑峠=2時間05分=上谷:枡上谷の上流=1時間30分=地蔵峠=1時間45分=生杉(最終除雪地)
『今日の出会いと目撃』人間0人

『シカの越冬状況』
生杉からの林道には、朝方は下部に、夕方はゲートの500mほど下流側にそれぞれ1頭と思われる新しいシカの足跡があった。

地蔵峠を下った枕谷に、南側の林道から下ってきて谷を渡り中山神社の裏尾根に上がっていく1頭の足跡があった。このシカは最後若丹国境稜線まで尾根を通って移動したかもしれない。

中山神社付近(実際はもっと下流からだと思われる)から始まって、上谷~野田畑谷の流れの中を通って、最後は野田畑峠とシンコボ分岐の中間コルから若丹国境稜線を越えている2頭のシカの足跡があった。

この足跡は、途中野田畑峠の西側を若丹国境稜線まで上がっていたが、稜線伝いに進むのを止めて引き返していた。この理由はわからないが、谷の中を歩いたほうが楽だとの判断だろうか。

上谷ではウツロ谷出合付近に1頭と思われる新しい足跡があり、フジの枝先や樹皮を激しく食べた。このシカはまだこの辺りに留まっているようである。しかしそれより上流側、枡上谷の少し上流までは新しい足跡は見られなかった。

これ以外には新しい足跡はなかった。シカの足跡は30cmほど沈んで雪上の行動を阻害しているようであり、移動の多くは川の中を使っている、従って尾根上にはシカはいないものと推測される。

この冬は昨冬と比較して積雪量が多く、中山から上流で越冬するシカはほとんどいなくなったと考えられる。

1月15日  保谷南尾根・保谷

風雪の稜線風雪の稜線





膝上のラッセル跡膝上のラッセル跡





倉ケ谷出合(水道施設付近)への下りで 百里ケ岳も見える倉ケ谷出合(水道施設付近)への下りで 百里ケ岳も見える




倉ケ谷出合倉ケ谷出合





保谷の流れ保谷の流れ





保谷の流れ保谷の流れ





保谷の流れ保谷の流れ





キブシの花芽がいっぱい垂れているキブシの花芽がいっぱい垂れている





天候:雪が降ったり止んだり
古屋の積雪13時:64cm
田歌の水位13時:47cm
古屋~保谷南尾根~P683m付近~倉ケ谷出合(水道施設付近)~古屋

昨日からの雪で京都市内(山科)でも10cmほどの積雪となった、この様子であれば芦生方面は60cm程度の積雪だろうか。家を出るときからずっと雪道、昨年11月末にスタッドレスタイヤに履き替えて以来、ようやく役にたつ時が来たようだ。

久しぶりの雪道で恐々走って行く、国道367号線の途中側は全く除雪されておらず、轍の掘れたガタガタ道となっている、しかし花折トンネルを越え木戸口辺りになってようやく除雪されてきれいな道になっていた。その後は目的地古屋まですべて除雪されており、このような状態になっていることを期待して少しゆっくり目に家を出発したことがいい結果になったようだ。

古屋ではスコップで駐車スペース作り停車する、車中で身づくろいをしている間に今まで降り続いていた雪が止んだ、これからは降っても長続きしないのかもしれない。この冬初めてのワカンを着けて保谷林道に入っていく、と「深い、かなり深い雪だ」、林道で既に膝上までのラッセル、この調子だと江丹国境稜線まで行くのが精一杯ではないだろうか。

林道から尾根に取り付く、登りになると一層深くなり、膝を使って一度雪を抑え、そのうえで足を載せるという2段歩行をしなければならない。いったん平坦になるがそれもすぐに終わり、その後は一層傾斜が強くなって雪も深くなってくる、すると膝上ではなく股下までのラッセルとなり、ストックを持ちながら四つん這いになって歩かねばならない。

こうなるとチベット仏教の「五体投地」をしているかのようだ。標高620m辺りまで登ってくると尾根の傾斜が緩くなり、風当たりも強くなっていつもであれば雪が締まって歩きやすくなる。今日もそれを期待していたのであるが全く期待外れ、平坦になっても膝上から股下までのラッセルが続く。

そのうえ風に翻弄された雪は細かくなって密度が高くなり、とても重く感じるようになる、おそらく時速500mにも満たないだろう。平坦地でも膝を使わなければラッセルできないというのは滅多にないことだ、この調子であれば江丹国境までも着けないかもしれない。

そこで少し休憩を摂ることにし、風下側に雪を踏み固めて平坦地を作った、ミルクティーを作って軽く行動食を食べる。(ここでポットの蓋が雪の斜面を10mほど転がり落ち、これを回収するのに大きなエネルギーを費やしてしまったというアクシデントもあった。)

その後も保谷南尾根を登り続けたが、一向に雪が締まった状態にならず、P683m付近まで行ってそれから先は断念し、少し引き返して倉ケ谷出合に下ることにした。同じルートを戻るのも面白くなく、保谷に下ればシカの生息状況もわかるかもしれないとの期待もあった。

下りも雪が深いと楽ではない、一歩一歩足を蹴り上げるように前に投げ出して下っていく。保谷に下り着けば後は流れの中を歩いて下るだけ、しばらく強い雨が降っていないのか、ヌルヌルと岩に張り付いたバイオフィルムで足がよく滑る、このようなところを長靴で歩き慣れているとは言うもののやはり気を遣う。

途中オミナシ谷に懸る橋の下で雪を避けながら遅い昼食を摂る、定番のラーメン、卵焼き、お握らず、早々に食事を済ませて再び川歩きを始める。針畑川に合流し、今度は針畑川を遡って出発地の直下まで歩いた、水量が少し多く深いところもあったが何とか濡れずに戻りつけた、ただ最後道路までの登りのラッセルが厳しかったが。

帰る途中のことであるが、日中に降った雪がコロコロと小さな玉のような形をしていたため、道路の法面から玉のような雪が雪崩のように転げ落ち、道路を塞いでいる場所が何か所もあった。うち2か所で通れなくなっていたためスコップを出して除雪しなければならなかった、やはり雪道ではスコップが必需品である。

古屋=3時間30分=P683m付近=20分=倉ケ谷出合(水道施設付近)=1時間55分=古屋

『今日の出会いと目撃』牡シカ1頭(保谷)、人間0人

『シカの越冬状況』
保谷の針畑川出合近くに、今朝と思われる足跡。

P683m付近から保谷南尾根を北東へ300mほど、今朝のものと思われる足跡が続き、その後保谷へ向かって尾根を下っていた。これは1頭のようである。

倉ケ谷出合へ下る尾根の途中へ、P683mの西側を回り込んで上がっている今朝のものと思われる足跡、これはその後尾根の東側へ下っていた。これも1頭と思われる。

これら二つの足跡は、三国岳方面から下ってきたものと思われ、山上部が雪におおわれて餌である常緑性のシダやササが得られなくなったことと、雪が深くなって行動が思うようにできなくなったことにより、移動してきた個体ではないかと考えられる。

保谷で牡シカ1頭を見たほか、別の場所で新しい足跡を見たが、これは別個体であると考えられるところから、保谷では3頭程度がいる模様であり、三国岳山上部には10頭程度がいたものと考えられるところから、それらの多くは古屋以外の場所、桑原または久多へ下ったのではないだろうか。

1月7日 天狗岳 城丹国境稜線

京都府立大学久多演習林に新しい看板が立っていた京都府立大学久多演習林に新しい看板が立っていた





城丹国境稜線から天狗岳・ブナノ木峠・傘峠城丹国境稜線から天狗岳・ブナノ木峠・傘峠





稜線上は地表がほとんど現れていない稜線上は地表がほとんど現れていない





一ボケ・二ボケ中尾根の頭からP936m方面一ボケ・二ボケ中尾根の頭からP936m方面





天狗岳分岐付近から一ボケ源頭とP941m天狗岳分岐付近から一ボケ源頭とP941m





天狗岳から傘峠方面天狗岳から傘峠方面





天狗岳から小野村割岳方面天狗岳から小野村割岳方面





白山が鮮明に見えた白山が鮮明に見えた





P927m北東尾根から比良武奈ヶ岳方面P927m北東尾根から比良武奈ヶ岳方面





タムシバの花芽 逆光に映えるタムシバの花芽 逆光に映える





アオダモの冬芽アオダモの冬芽





ヤマボウシ 左混芽 右葉芽ヤマボウシ 左混芽 右葉芽 今年は混芽が少ない(花が少ないのではないか




ナナカマドの冬芽ナナカマドの冬芽 バラ科の植物は普通維管束痕が3個だが本種は5個で特別




アズキンシの冬芽アズキンシの冬芽





ウワミズザクラの冬芽 コブコブの落枝痕が目立つウワミズザクラの冬芽 コブコブの落枝痕が目立ち、少し離れていても本種だとわかる




リョウブの冬芽 取れかけた芽鱗が特徴リョウブの冬芽 取れかけた芽鱗が特徴





コシアブラの冬芽 維管束痕が10個を超えるコシアブラの冬芽 維管束痕が10個を超える





タカノツメの冬芽 維管束痕が10個未満タカノツメの冬芽 維管束痕が10個未満





ホウノキの冬芽 芽からすでに大きいホウノキの冬芽 芽からすでに大きい





クサギの冬芽 色と形が独特で見間違うことはないクサギの冬芽 色と形が独特で見間違うことはない





ネジキの冬芽 陽当りがいいと一年枝が赤くなるネジキの冬芽 陽当りがいいと一年枝が赤くなる





ナツツバキの冬芽 内側の芽鱗の毛が見えるナツツバキの冬芽 内側の芽鱗の毛が見える





アオハダの冬芽 発達した短枝が特徴アオハダの冬芽 発達した短枝が特徴





ツノハシバミの冬芽 左が雄花ツノハシバミの冬芽 左が雄花





ブナの冬芽がもう膨れてきたブナの冬芽がもう膨れてきた





ヤドリギ 雪が積もると折れやすくなるので下のように垂れるヤドリギ 雪が積もると折れやすくなるので下の個体のように垂れる




アセビの枝 陽の当たる側が赤くなってるアセビの枝 陽の当たる側が赤くなってる 紫外線に対する防衛対策ではないだろうか




キヒラタケキヒラタケ





コナラの多い尾根コナラの多い尾根 ほとんどの個体がカシナガの被害を受けたが枯れなかった。これは、周辺にミズナラがあるため、嗜好性の強いミズナラのほうにカシナガの多くがアタックして、コナラにアタックした個体が少なかったためではないだろうか。

ヤマガラ カラ類の混群が通って行ったがヤマガラ カラ類の混群が通って行ったが、ヤマガラが一番近くまで寄ってきた




リスの足跡 こんなにきれいな足跡はなかなか見られないリスの足跡 こんなにきれいな足跡はなかなか見られない




きれいに矢印が続く、でも進行方向は逆 ヤマドリの足跡きれいに矢印が続く、でも進行方向は逆 ヤマドリの足跡




シカの食痕 ネムノキ かなり酷いことになっているシカの食痕 ネムノキ かなり酷いことになっている





天狗岳山頂付近にあったシカの寝床天狗岳山頂付近にあったシカの寝床 新旧多数の糞があるため、この寝床をよく使っているのだろう




倒れて放置されたままのシカ除けネット倒れて放置されたままのシカ除けネット 何の役にも立たずゴミ化している、多雪地では冬季には柵を下さなければならないにも関わらず、何のメンテナンスもされないためにこのようになってしまったのだ。設置だけしか補助金が出ないのが原因であるが、そもそも場当たり的な対応ではなく根本的な対策を講じる必要があるのだ、つまりシカの頭数を植生が回復する程度にまで減らすことにあるのだが…。


天候:晴れ午後から薄雲が広がる
積雪量:P936m20cm、天狗岳20cm、P927m20cm
古屋の積雪9時:1cm
田歌の水位13時:52cm
久多(岩屋谷出合)~城丹国境稜線~P936m~天狗岳~P927m~久多(岩屋谷出合)

先週の雨で積雪がかなり減ってしまったと予想される、そこで、城丹国境稜線を無積雪期と同程度の長さのルートで歩くことにした。久多の集落付近には全く雪が見当たらず、林道を奥へ入ってようやくわずかの積雪、岩屋谷出合のゲートまで難なく車で入ることができた。

岩屋谷の林道を終点まで歩き三国岳登山道を登る、だが尾根の取り付から尾根に上がり着くまでの傾斜は普通ではなく、何度来ても「なんと急なところだ」と再認識させられる。国境稜線までの半ば過ぎまで上がると、歩道上に途切れることなく積雪が現れてくる、しかし雪が固く凍っておりしかもシカの足跡がステップのように刻まれているため、かえって無積雪期よりも歩きやすいほどだ。

ところが、タイツとズボンその上に防寒用ズボンを重ねて履いているため、脚が思うように上がらず、城丹国境稜線に上り着くころにはかなりの疲労を感じるようになる。そこで稜線上の風の当たらない日溜りで小休止、ミルクティーを作って少しの行動食とともにいただく。

少し休むと元気を取り戻す、ほぼ快晴の素晴らしい天候で風もほとんどなく、気温は低いものの体感温度は高く暖かい。稜線上にはずっと雪が張り付き地表が見えないが、固く凍った雪のおかげで快適に歩くことができる、今日の予定ルートであればゆっくり歩いても時間的に大丈夫そうだ。

そこで、冬芽観察をしながら歩くことにした、残念なことに冬芽の書籍は持参しなかったが、今までの学習でかなり分かるようになっており、そのうえ野外だと樹皮や冬芽の位置、分枝方法、残った果実など、ヒントがたくさんあり(雪に覆われているため、落葉から推測することはできないが、これは雪の森では当然のことだ)、それを観察すればほとんどの樹木は同定できる。

しかし冬芽の写真はなかなか難しい、高い位置にあるものが多く、維管束痕と一緒に写そうとすると方向も考えなければならなくなる。老眼になると小さいものを見るのが煩わしくなり、小さな冬芽であると最適なものを探すのが一層大変で、余計に撮影するのに時間がかかってしまう。

そんなわけでなかなか前に進まず、P936mまで通常の2倍くらいの時間を費やしてしまった。しかしその後は新たに対象とする樹木が少なくなってくるため、ほぼ普通の速度で歩くことができるようになった。

天狗岳分岐から天狗岳山頂を往復、復路の日溜りで昼食を摂る、いつものようにラーメンと卵焼きとお握らず、しかしあまりにも心地よい天候であったことと時間的に余裕があったため、食事を済ませてもそのまましばらく休み続けていた(アセビの枝が、陽の当たる側だけ赤くなっている現象も、この間に発見する)。

いつになく長い休憩ののち気持ちを新たにして出発する、その後も冬芽観察を続け、まだ撮影していなかった樹木が新たに加わった。いつしか上空には薄雲が広がり、雪面に反射する強い日差しに力がなくなっていた。今まで突き抜けるほど透明で青い空を背景に枝や冬芽を見ていたため、少し霞んだ空は対象物と輪郭が不鮮明になり残念だ。

帰路はP927mから北東に伸びる尾根を歩く、下るに従い雪が解けてザクザクの状態に変わってきたが、反面積雪量も減って地肌の見えた部分を歩くことのほうが多くなってきた。途中比良山地がよく見えるところがありここで小休止、ミルクティーを作る、遠く白山がはっきりと見え、御嶽山らしき白い山の一部も認められる、今日は視界がとてもよく効く。

倒れたシカ除けネットが続く横を通り抜け、秋には黄金色に染まるコナラ林を下り続け、最後急斜面をシカのけもの道を伝って下れば滝谷の流れに出る。川を渡って対岸の林道に上がれば、ほんのわずかで出発地岩屋谷出合だ。

久多(岩屋谷出合)=1時間20分=城丹国境稜線=3時間15分=天狗岳(昼食40分)=1時間40分=P927m=2時間=久多(岩屋谷出合)
『今日の出会いと目撃』人間0人

『シカの越冬状況』
城丹国境稜線上では、久多三国岳登山道の下り口からP927mまで、シカの足跡はあったが、天狗岳分岐からP927mの北側300m付近までの間は、時々現れる程度で、足跡のない区間のほうがはるかに多かった。

1週間ほど前の積雪であるため、足跡は古いものから新しいものまで様々のものがあり、何頭程度がこの辺りで採餌行動しているか推定しにくいが、新しいものがそれほどないことから、10頭程度ではないかと思われる。

積雪量が20cm程度であるが、地表がほとんど現れていないため、餌にしているものは限定されていると思われる。また、この程度の積雪であれば、越冬地へ移動しない個体はかなりいる模様である。




1月3日 三国岳周辺

P941mの北側P941mの北側





P941mの西側P941mの西側





三国岳の北側三国岳の北側





エノキタケエノキタケ





シカの食痕 シャクナゲ かなりひどく採食されていたシカの食痕 シャクナゲ かなりひどく採食されていた





シカの食痕 エゾユズリハシカの食痕 エゾユズリハ





ブナの倒木とその巻き添えで折れたクリの枝ブナの倒木とその巻き添えで折れたクリの枝





シカの食痕 倒れたブナに着生していたツルアジサイシカの食痕 倒れたブナに着生していたツルアジサイ





シカの食痕 折れたクリの枝に着生していたヤドリギシカの食痕 折れたクリの枝に着生していたヤドリギ





ササの葉が食べられて稈ばかりが目立つササの葉が食べられて稈ばかりが目立つ





新鮮なシカの糞の断面 常緑の葉を食べ緑色をしている新鮮なシカの糞の断面 常緑の葉を食べ緑色をしている





天候:雨のち雨またはみぞれが降ったり止んだり
積雪量:岩谷峠15cm、P941m30cm
古屋の積雪12時:6cm
田歌の水位13時:55cm
古屋~岩谷峠~P892m~P941m~三国岳~保谷南尾根~古屋

Yahoo!天気予報の天気ガイド中に、「雨雪判別」というものがあり、雨の地区と雪の地区が地図上に区分して表示されている。冬季にはこの情報を見て、芦生方面の天候や降雪の状況を予想して出かけることにしているのであるが、この情報によると現在芦生方面は雪が降っているようであり、里はいざ知らず山上は必ず雪だと信じて出発した。

湖西道路を北へ進むと小雨が降ってきた、しかし見上げる比良の山並みは黒く、雪雲がかかっているとは思えない。北へ行けば雪に変わるのかもしれないと、この時点でも「雨雪判別」を疑わずにいたが、花折峠を越えて北へ向かうものの一向に四囲の山々は黒々としたまま、ようやく疑念を抱くようになった。

針畑川を遡り今日予定の三国岳方面が見えてきて確信、「山の上まで雨だ!」と、一気にモチベーションが低下する、この季節に雨はつらいなあ。古屋のいつもの駐車場所に車を停め、車中で完全装備の身支度をする、上下の雨合羽にゴム手袋、長靴用スパッツも着けていざ車外へ、ザックカバーも掛けて出発する、

保谷林道には5cm程度の積雪があるが、新しい車の轍が残っているのでこの上を歩けば脚への負担は全くない。水道施設からは雪の上を歩く、先日に比べれば積雪量は少なくあまり影響はなさそうだ。岩谷峠への尾根道を登っていくと、次第に積雪量が増え少し疲れが出始める、先日の疲労と昨日の比叡山歩きが尾を引いているようだ。

峠まで上がってくると、降り続いていた雨も時々止むようになり、たとえ降ったとしても小雨程度になってきた。いつもはここで休まず登っていくのであるが、きょうはミルクティーを作って一休みする、休んでいる間に熱くなっていた体も冷え、ちょうど山歩きに快適な状態になってきた。

稜線上は雨が止んでもガスが懸かり、展望は全く得られず、ただただ登り続けるだけ。P941m西尾根分岐に登りつき次いで西尾根に入る、そしてそのままP892mまでシカの足跡などを見ながら歩いた。30cmほどの積雪でミヤマカンスゲはほぼすべて隠されているにも拘らず、シカの多くがこんな状態になっても越冬地へは移動しないようだ。

往路を引き返してP941mに上がり、風の当たらないところで昼食を摂る、今日はそばと卵焼きとお握らず、ラーメンは少し飽きてしまった。食事を摂っていると雨が降ってきた、これは嬉しくないことだ、早々に食べ終えて出発する。

三ボケ左俣源頭に下ると、谷の中で吹き溜まりになるのだろう、30~40cmの積雪になっており、これを歩くと脚にかなりの負荷がかかる、ワカンが欲しいくらいだ。ツボ足のラッセルを続けて三国岳山頂に登る、ここも全く展望なし。

ほとんど休むことなく下山開始、登山道は稜線上に付けられているため、ラッセルは軽くて楽だ、復路は保谷林道には下らず南尾根を通ることにする。ここまで下って来ると積雪量も少なくなり、しかも下りがほとんどであるため無積雪期とあまり変わらぬスピードで歩くことができた。

尾根の最後は雪が薄くなりすぎ、スリップしやすくなって危険なため、かえって気疲れする始末である。林道まで下って来ると雪はほとんど解けてしまっている、轍も消えてどこでも楽に歩けるようになっていた、これ以上雪が解けると昨冬のようなシカの食害が発生してしまう、困ったことだ。

古屋=3時間20分=P892m=30分=P941m=1時間=三国岳=1時間50分=古屋
『今日の出会いと目撃』シカの警戒音(ロロノ谷)、人間0人

『シカの越冬状況』
保谷林道上や岩谷峠まではずっと足跡が続いている、岩谷峠の下ではシャクナゲに対する食圧が強く食痕が多数見られた。岩谷峠からP941m西尾根分岐までも、途切れることなく足跡が続いている。

P941m西尾根からP892mまでの中間付近までは、たくさんの足跡や糞があって生息密度が高いようだ。しかしそれ以西はあまり見られなくなる、これはミヤマカンスゲやチシマザサがほとんど見られなくなり、冬季の餌資源が少ないことによるものと思われる。

P941mから三国岳の間は、三ボケ源頭や登山道付近ともに足跡がほとんど見られない。これはこの付近の積雪が30cm~40cmで餌資源が隠されているからではないだろうか。

保谷南尾根はずっと尾根上に数頭の足跡が続いていた、これは山上部から越冬のために移動してきた一群であるかもしれない。

12月31日 三国峠、若丹国境稜線・上谷

三国峠の南東側三国峠の南東側





三国峠の北側 長池三国峠の北側 長池





三国峠山頂からの東望三国峠山頂からの東望





三国峠の西側三国峠の西側





中山神社裏尾根最上部から百里ケ岳方面中山神社裏尾根最上部から百里ケ岳方面





中山神社裏尾根最上部からの三国岳~傘峠中山神社裏尾根最上部からの三国岳~傘峠





中山神社裏尾根最上部からの西望中山神社裏尾根最上部からの西望





中山神社裏尾根最上部から若狭湾・青葉山中山神社裏尾根最上部から若狭湾・青葉山





杉尾峠から若狭湾 毛島・冠島杉尾峠から若狭湾 毛島・冠島





上谷上谷





上谷上谷





雪崩の跡 枕谷雪崩の跡 枕谷





越冬地へ移動するとみられるシカの群れの足跡越冬地へ移動するとみられるシカの群れの足跡





棘だらけの木のように見える三国峠山頂のズミ棘だらけの木のように見える三国峠山頂のズミ





主芽の下に並ぶ副芽 ハクウンボク
主芽の下に並ぶ副芽 ハクウンボク




雪上の生物 トビムシの一種? 雪上の生物 トビムシの一種?





上の写真の生物は近づくと死んだふりをする上の写真の生物は近づくと死んだふりをする





雪上の生物 イッスンムカデ?雪上の生物 イッスンムカデ?





天候:晴れのち曇り
積雪量:三国峠40cm、シンコボ分岐30cm、杉尾峠25cm、野田畑30cm、地蔵峠30cm
古屋の積雪12時:13cm
田歌の水位13時:56cm

生杉若走路谷付近~クチクボ峠~三国峠~野田畑峠~杉尾峠~地蔵峠~生杉若走路谷付近

国土交通省のサイトを見ると古屋の積雪量が15cm程度であり、前輪駆動の私の車でも生杉ゲートまでは入れるかと思っていたが、若走路谷を少し過ぎたところで雪が深くて動けなくなってしまった。そこでスコップ(この季節はスコップとノコギリは必携だ)で除雪して路肩に車を停め出発する。

車道を少し戻って若走路谷の三国峠登山口から入っていく、20cmほどの積雪だがそれでも脚に負担がかかり、クチクボ峠(ナベクロ峠)まで上がってくるだけでも疲れた。それから若狭との国境稜線を登っていく、登るにしたがって積雪量が増えていくのが、脚に感じる負担の強さだけでも分かった。

途中、シカの小集団が若狭方面に稜線を横断している足跡があり、どこからやってきているかを調べるために足跡を遡っていくことにする。積雪量が30cmほどあって、斜面をトラバースしてもほとんどスリップすることがなく、足跡を追いかけているうちにブナ原生林から上がってくる登山道までやってきた。

その先も地蔵峠方面に足跡が続いていたが、さすがに傾斜が強すぎて危険なため追いかけるのは諦めた。おそらく枕谷方面から若狭へ越冬のために移動してきたのだろう。ここまで来れば戻る必要はない、そのまま夏道に従って登っていく、しかし増々積雪量が増えて脚がとても重くなってくる、これだけ深いとワカンを着けたほうが楽そうだ。

三国峠を越えてさらに国境稜線を西へ向かう、この辺りは芦生で最も積雪量が多くなる地域であり、しかもスギが択伐されたのだろう広葉樹ばかりになっている。さらに地形が複雑でどこが主稜線かわからないほど、また芦生だけでなく若狭側も同じような林相をしているために、冬季はこの辺りを彷徨っているだけでも十分楽しめる。

激しいアップダウンを繰り返しながら主稜線を忠実に越えていく、そして長い登りを続けるとようやく中山神社裏尾根との合流点にたどり着く。ここでも中山神社裏尾根方面から越えてくるシカの足跡があり、これを追いかけて南側のピークまで往復した。

国境に戻ってさらに西へ、大きなコブを二つ越えると野田畑峠、その後も忠実に国境稜線をたどって一旦並行する野田畑谷と同じ高さのコルまで下る。ここで昼食を摂ることにした、湯を入れたポットを家に忘れてしまったが、温かい食べ物が欲しく非常用のメタクッカーで湯を沸かしてラーメンを作った。

このメタクッカーはザックに入れてはいるが使ったことがなく、ちょうど試用を兼ねることができた。いつものように卵焼きとお握らずと一緒にラーメンを食べ出発、そろそろ疲れが出始めてきた、シンコボ分岐までの登りも、野田畑谷の源頭コルからの登りも一気には登れなくなってくる。

それからも続く大きなアップダウンを気力で越え、ようやく杉尾峠に到着した、天候はあまりよくないが、若狭湾に浮かぶ毛島や冠島まではっきり見えた。峠から上谷に向かって下っていく、このころになると下るだけでも脚が重く辛い、モンドリ谷近くまで下ってくるとようやく谷が平坦で緩やかになり、それからはほとんど川の中を歩いた。

雪の上ばかり歩いていたため川の中はとても歩きやすい、脚に掛る負担がまるで違う、もしも上谷の中も雪の上を歩き続けたとしたら、1時間は余計にかかり、体力も大きく費やすことになっただろう。中山神社付近からは雪の上を歩く、しかしスギ林の下は積雪量が少なく助かる、ただ解けた樹上の雪が雨だれのように降り注ぐのには閉口するが。

地蔵峠に登りつきこの先は下りばかりだとホッとするものの、トレースのない林道は疲れ切った脚には登り以上の負担を強いる。大晦日にはあまり山に来る人がいない、そうなると生杉ゲートから先もトレースのない林道を歩かなければならなくなるだろう、それはつらい。

そこで途中から生杉川に下って川の中を歩いた、下流に進むほど倒木が多くなって川の中ばかりを進むことができなくなってくるが、そのころには積雪量も少なくあまり脚に負担を感じなくなっていた。旧道から林道に上がってしばらく行くと朝方停めた車が見えてくる、「ようやく終わった!」こんな辛い山歩きは一昨冬以来だ。

生杉若走路谷付近=1時間40分三国峠=1時間40分=野田畑峠=2時間40分=杉尾峠=2時間=地蔵峠=55分=生杉若走路谷付近
『今日の出会いと目撃』シカの警戒音(若走路谷)、人間0名

『シカの越冬状況』
クチクボ峠と三国峠の間、中山神社裏尾根の最高点、野田畑峠、野田畑峠とシンコボ分岐の間の最低鞍部、シンコボ分岐のすぐ東側の各所に、数頭のシカが若狭側へ越えた足跡が見られた。この付近の積雪量は30cm~40cmあり、また若狭側から芦生側へ戻っている足跡はないところから、この程度の積雪量になると越冬地へ移動する群れが出てくるのであろう。

上谷では、桝上谷付近に、南から北へ谷底を渡って北側の尾根へ登っていく一群の足跡があり、これがシンコボ分岐のすぐ東側を若狭側へ下っている足跡に続いている可能性がある。

キエ谷付近まで下って来ると、この付近で越冬していると思われるシカの足跡が見られた。これは足跡の方向性が定まっておらず、かつ複数の足跡がバラバラに乱れて残っているところから、越冬しているシカのものではないかと思われた。


今年1年お付き合いくださってありがとうございました。これからも続けるつもりでおりますので、よろしくお願いします。
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