11:30に阿里山森林鉄路の列車は奮起湖に到着しました。
標高は1403m。
奮起湖という駅名ですが、ここに湖があるわけではありません。
この辺りは窪地になっていて、霧や雲が集まってその様子を上から見ると湖のようになるからです。
嘉義から阿里山へと続く嘉義線(本線)の線路は、度重なる災害のために奮起湖から先、阿里山の一つ手前の神木駅まで23.8kmがもう10年以上運休中です。
奮起湖からはバスに乗り換えて阿里山に向かいます。
で、そのバスの時刻なのですが、次のバスは13:00です。
少し時間があります。
奮起湖駅の隅の方に車庫の跡があって、そこに車両が展示してあります。
これはDL-28。
1969年三菱製。
これは退役車両ではなく現役みたいです。
阿里山鉄路には20両のシェイ式と呼ばれる蒸気機関車がありました。
今でも3両が稼働できる状態になっていて、この18号は修復中です。
18号は1912年製で18トンの機関車です。
シェイって、中国語では「謝伊」と書くんだって。
こちらは29号。
1913年製で一回り大きい28トン機関車です。
でね、阿里山鉄路で活躍したシェイ式の蒸気機関車は他のSLと違うところがあります。
まずは、ボイラーが偏っているでしょう?
小型なので付属するものを片側に集めたらこういう格好になったのです。
あとは、子どもたちが汽車を表現するときに両腕をグルグル回すでしょう?
グルグル回すあの棒をロッドと言うのですが、阿里山森林鉄路のSLはそのロッドの動きが違うのです。
ね。
これはシェイ式SLの模型ですが、阿里山森林鉄路のSLはロッドには、ギアが付いているのです。
中心付近にある3つのピストンが縦に動いて下の棒を回転させて車輪に付いているギアを回すんです。
(You Tubeからお借りします)
だからね、ここのSLはこのように動輪が動くのです。
シュッシュッポッポッと動くのではなく、ガラガラガラガラ・・・、と動くのです。
もう一つ、こんなのが奮起湖の車庫に展示してありました。
保守車両にも見えますが、私はこれを阿里山からもっと奥地に行く林務局の人を乗せる車両とみた。
駅の外に出ましょう。
駅の外には食堂が沢山あります。
かつて、SLが走っていたころの阿里山森林鉄路はここを要衝として、機関車の給水や給炭をするために長い停車時間があったそうです。
そこで乗客は駅の外にでて食事をしたり、弁当を購入するためにこの周辺に食堂が沢山できたのだそうな。
この時もお昼時ですからね、ここで食事をしますが、炒飯と野菜炒めはいいとして、このビーフンみたいなものは美味しくなかったな。
「2016年8月12日 嘉義県公共汽車 奮起湖→阿里山」
食事を終えたら阿里山までのバス乗り場に行きましょうね。
狭くて階段だらけの奮起湖駅前にどうやってバスが入るのだろうと思いましたが、店の人に訊いてみると集落を出て踏切を渡って坂道を上がったところに「涼亭」があって、そこからバスが出るのだそうです。
「涼亭」とは東屋のこと。
東屋のそばにはこんな小型のバスが2台停まっていました。
13:00発の阿里山行のバスはこちらの1台らしい。
もう1台は途中の石棹どまりのバスです。
だけどね、バスはこんなに小さいのに乗ろうとする人が東屋にいっぱいいるのです。
絶対に乗りきれないだろ。
奮起湖から阿里山に行くバスは13:00と14:40のバスしかありません。
しばらくすると、12:40発、石棹行きの時刻になります。
係員なのかオッサンが何やら列を作っている人たちに説明すると、半分くらいの台湾人は石棹行のバスの方に乗りこみ、出発していきました。
奮起湖から阿里山までの道の途中に石棹というところがあって、そこまで行くと嘉義から阿里山に向かうバスに乗り換えられるのです。
「そちらの方が早く着くよ」とでも説明されたのでしょう。
東屋に残った人数からして阿里山への直行のバスに私たちは乗れるでしょう。
奮起湖から阿里山までのバスの運賃は96元(340円)。
係員らしきオッサンは、こちらが日本人とみると、
「100元」
といっていましたが、実は96元。
台湾のバスの車内精算ではお釣りが出ないので初めからキリのいい「100元」と言っておいたのでしょう。
しかし、私たち5人は全員がお釣りの無い96元をそれぞれが用意できたのです。
僅かな金額だけど、こんなところで4元多く出したくないですものね。
バスに乗り込むと、ちょうど私の座席の窓の上に、バス会社への意見箱がありました。
まあ、こういうのはよくあるのですが、その箱に直接マジックで、
「這個公車 太快了!!」
という文字が書いてありました。
「このバス速い!!」
って書いてあるのですが、そこに「太」という文字が入っています。
これが入ると、
「速過ぎ!!」
と、いうことになります。
切符を買うと、予定より5分ほど遅れてバスは奮起湖を出発しました。
阿里山までの道は、道幅は広いけれど九十九折の道です。
予想通り、そこをバスはチョロQのように走っていきます。
最後尾の座席には日本人が座っていたのですが、そこ付近が少し広くなっています。
その日本人の好意で、みんなの荷物置き場にさせてもらっていたのですが、遠心力が連続してかかるので荷物はバスの中で踊りだしました。
最後尾の日本人は預かった以上、みんなの荷物を必死に支えています。
ね、ね。
だからバスより列車の方がお奨めなのよ。
これを奮起湖から阿里山までの1時間だからガマンするけどね、嘉義から2時間以上となると大変でしょ。
でね、バスの事故も多いし、たまに崖から落ちたりして阿里山より高いお空の向こうに行くことになったり・・・。
もう帰りは嘉義までバスって決めちゃったしなあ・・・。
あさと番長、大丈夫っすか?
って後ろを振り返ると、もう限界を超えている顏をしています。
顏に、
「もう降ろして」
と書いてあります。
まもなく、前方席に座っている女の子がリバース!
その直後にこちらの方でもリバース!
飛行機のエト袋を持って来ればよかったな。
商店に入るときに使ったビニールの傘袋しかないや。
前のおばちゃんが、
「大丈夫なの?」
と日本語で言ってきますが、ならばどうにかしてくれよ。
言葉だけなら放っておいてくれ。
返事するのが面倒くさい。
石棹を過ぎて、しばらくすると、前方に嘉義公車の大型バスが走っていました。
たぶん、奮起湖を20分前に出発した石棹行に乗車して行った人たちが石棹で乗り換えた、嘉義からきたバスだと思われます。
そのバスを追い抜こうとしています。
だけどこの場所はカーブの途中。
対向車は見えません。
でも、こちらのバスは追い抜きにかかりました。
こういう時って、むこうから車が来るんだよね〜、
って、思ったその瞬間、
本当に向こうからバスキタ━━━ヽ(゚∀゚)ノ━( ゚∀)ノ━( ゚)ノ━ヽ( )ノ━ヽ(゚ )━ヽ(∀゚ )ノ━ヽ(゚∀゚)ノ━━━!!!!!
ギリギリで大型バスを追い抜いてその前に入り込みましたが、もうちょっとで「たまに崖から落ちる」の「たまに」に大当たりするところでした。
阿里山までの所要時間は1時間なのに、40分ほどで阿里山の入口まで来ました。
料金所のようなゲートがあります。
阿里山は「国家森林遊楽区」となっていて、入園料が必要です。
この日は金曜日だったので入園料は150元(540円)。
土休日だと入園料は200元(720円)になります。
で、1回入ったら、ずっと帰るまで有効なわけで、1日でもそれ以上何日いてもいいのです。
だから平日に阿里山に入った方がお得ですよ。
あさと番長が虫の息なので、私がみなさんの分を立て替えておきますね。
こちらからバスを下車してお金を払いに行きます。
以前はこの入園料を払うと記念券式の領収書が貰えたのですが、ずいぶんと今はあっけない領収書をよこすものですな。
しかも5人分まとめての領収書です。
最後に係員がバスに乗り込んできて、全員が入園料を払っているか人数をチェックしたらバスは出発です。
なお、鉄道が阿里山まで繋がっていた時代、列車で来たら阿里山駅のホームで入園料を支払い、集札口で鉄道の乗車券を渡して入園料の領収書に入鋏をしてもらう仕組みになっていました。
阿里山国家森林遊楽区のゲートを過ぎると3分ほどで阿里山駅前にあるバスターミナルに到着しました。
13:55に到着です。
雨がすごいです。
あさと番長はヘロヘロになってバスから下りてきました。
なお、バスでの奮起湖〜阿里山までの所要時間は1時間。
嘉義から阿里山は2時間半。
すっとばしてこの所要時間です。
それなのに、週末に運転される台北から阿里山の夜行バスの所要時間は6時間となっています。
21時前に出発して翌日午前3時に阿里山に着きます。
いったい夜通しでどんなすっ飛ばし方をするのでしょう。
休憩ありで高速道路を時速140km/hで走るか、休憩なしで時速120km/hで走りつづけないと6時間での到着は無理だと思います。
阿里山のバス駅は広い駐車場にあって、その隅の方に本日のアジトの送迎バスが停まっていました。
それに乗って5分ほど行きますとアジトに到着です。
本日のアジトは阿里山賓館。
かつては林務局による国営のホテルでしたが、2009年に民営になりました。
台湾最高所にある5つ星のホテルだそうです。
103年の歴史があるらしい。
阿里山賓館のチェックイン時刻は16時なんだそうです。
天気が良ければその辺を散策できるのですが、雨ですからね、アジト内で待つしかありません。
ロビーでビールを飲んで待つ。
阿里山駅前でスナック菓子を買ったら、気圧の影響で今にも中蓋が破れそう・・・。
そういえば袋菓子もパンパンに膨れ上がっていたなあ。
ビールも気を付けて蓋を開けないと中身が飛び出しますよ。
16時までビールを飲み続けてやろうと思っていたのですが、15時前には部屋に通してくれました。
部屋は旧館の方です。
元国営の5つ星だけあって、かつての台湾の総統もここに宿泊していますね。
この部屋は「蒋公套房」というそうです。
お偉いさんが宿泊した部屋の前には、そのお偉いさんの名前が記載されています。
中華民国の第1代から第11代までの5人、蒋介石、厳家淦、蒋経国、李登輝、陳水扁がこの部屋に泊まっていますぞ。
陳水扁の次であり、今の1つ前の馬英九だけは泊まったことがないみたい。
現職の蔡英文はこれからかな。
雨で外に出られないのでアジト内をウロウロ。
お土産売り場に茶器が置いてありました。
お茶を買いたいが、味を確かめたいので試しに飲ませてほしいというと、
「この茶葉1回分で、8杯のお茶が入れられます。
あなたのために開封するので、全部飲んでくださいね。」
はいはい。
意地っ張りな私ですから、頑張って飲みますよ。
ちなみにね、8杯って、茶碗8杯じゃなくて、急須8杯のことですからね。
3杯目を飲み終わったところでだんだん苦しくなってきましたよ。
ガボガボ。(;´Д`)
そこに南房総の若大将とたけさと大佐殿が通りかかりました。
いや〜、助け舟です。
そのうち他の台湾人もやって来て、そちらにもお茶を振舞うようになってきたので、みなさんが茶葉を買ったところで私は退散しました。
阿里山賓館は2食付です。
素泊まりだったら、アジトの周辺に食事ができるお店は見当たらず、それはまた困ります。
夕食は17時半からです。
日本の温泉ホテルでも多くなってきた夕食バイキング。
みなさん、最初からずいぶんと大量に持ってきましたねえ。
明日の朝は早いのです。
夕食が終わったら早めに寝ましょうね。
2016年8月 阿里山森林鉄路 5