年が明けまして1月1日、午前7時。
中国西部にある成都はお寝坊さんで、最寄駅の地下鉄は7時頃から走り始めます。
初発の頃は、運転間隔も開くと思いますので、アジトの前からタクシーを使って成都東駅へ向かいます。
今まで成都で列車を使うときは成都北駅を使っていましたし、そこが中央駅でした。
今回乗りますのは中国高速鉄道でして、高速鉄道のターミナルは成都東駅となります。
7:20に成都東駅に到着しました。
空港みたいな建物ですな。
建物の中に入るにはX線による荷物検査とIDカード又はパスポートのチェックがあります。
現在の中国鉄道では身分証明書の番号と苗字が乗車券に印字されます。
ダフ屋対策でもあり、本人以外が切符を使うことは出来なくなっています。
駅舎内部。(左写真)
うへ〜、こりゃ何番線まであるんでしょう。
青い電気が点いているところが各ホームへの改札口で、そこを入って階段を下りるとホームになっています。
この駅のホームは26番線まであるそうで。
発車は8:20。
改札が始まるまで30分くらい時間がありますので上島珈琲でジュース飲む。(右写真)
8:20発、上海虹橋行、D2208/2205次に乗ります。
上海と成都を結ぶ列車は以前から数本ありましたが、高速鉄道が走るようになるまでは在来線で2泊3日、または3泊4日の所要時間がかかりました。
今では高速列車がこの区間をその日のうちに結びます。
今日中に上海に到着するわけです。
上海虹橋まで1等座で726元。(11712円)
2等座で606元。(9776円)
民間調べでは成都の平均月収は3000元弱、上海でも4000元くらいなので、中国の鉄道運賃はべらぼうに高いですよ。
(国家調べではこの数字より遥かに高くなります)
このD2208/2205次が辿るルートは総称で「滬漢蓉旅客専用線」と呼ばれるものです。
遂成線 (成都東〜遂寧)
遂渝線 (遂寧〜重慶北)
渝利線 (重慶北〜利川)
宜万線 (利川〜宜昌東)
漢宜線 (宜昌東〜漢口)
合武線 (漢口〜合肥南)
合寧線 (合肥南〜南京南)
滬寧城際鐵路 (南京南〜上海虹橋)
7路線で構成される「滬漢蓉旅客専用線」となっています。
直線的に線を引いちゃったけど、だいたいこんな感じで進んでいきます。
重慶から宜昌の間は三峡に沿って行くんです。
中国高速鉄道の車両の愛称は「和諧号」。
「和諧」とは、「調和、ハーモニー」という意味です。
車両の形式は今のところ9型式。
今回乗車するのはそのうちCRH1型で16両編成です。
ドイツのボンバルディア・トランスポーテーション社と提携して導入した車両で、スウェーデンのRegina C2008型が原型となっています。
中国では2007年から走り始めたCRHの初期の形式です。
なんか他の型式と比べると随分と先頭部分がずんぐりとしていますけどね、営業最高速度は200km/hなんです。
で、気になる車内。
こちらは2等車。
座席は回転しますが、リクライニングはせず、肘掛もありません。
こちらが1等車。
ピンボケしちゃいました。
座席の向きは回転式ですが、車端部は4人向かい合わせで固定席になっています。
網棚の下部にはコンセントが付いています。
座席を工夫すれば、もう少し居住性が良くて、2等車との差別化ができると思うんだけどなあ。
1月1日の朝の列車なので、人口が多い中国の列車といえどもこの日ばかりは空いていますよ。
特に2等車の方が空いていて、2等車の方が居心地よさそう。
2等車の人は3列席に横になりC寝台をしていますが、1等車は肘掛が邪魔をしてそれができません。
1等車の座席はリクライニングをするだけで座席幅もそんなに広くはないです。
1等車の乗客のうち、一部の人は2等車の方に移動して座っている人もいます。
8:20、定刻に成都東を発車しました。
向こうに電気機関車が見えました。
中国国鉄では随分と「和諧号」という名称がお気に入りのようで、高速列車だけでなく、最近の電気機関車にも「和諧型」という名称を付けています。
晴れない成都よ、さよなら。
この頃、中国の鉄道時刻表にはその路線の営業キロが出ていないのですが、上海までだいたい1850kmくらいです。
14時間55分(定刻なら)の旅が始まりました。
向こうにも高速列車が走っていますね。
西成旅客専用線と思われます。
西安北まで683kmを計画している高速新線で、いまのところ江油までの部分開業になっています。
さて、こちらの列車は最初は遂成線を走ります。
成都東から遂寧までの146kmの路線で最高速度は200km/h。
この路線は高速新線ではなく、在来線である達成線の改良線です。
達成線と遂成線は別線で建設されたので、旧線の達成線がほぼ並走して車窓に見えます。
達成線は単線電化路線です。
9:18に遂寧に着きました。(左写真)
時刻表通り、定刻です。
改良線の場合、在来線と高速線は駅のホームを共用します。
遂寧駅も達成線とホームは共用です。
高速列車が停車しているホームの向こうに貨物列車が停まっているとなんか変な感じですね。
右写真は遂寧市街。
遂寧を9:20に発車しました。
貨物列車としばらく並走します。(右写真)
この電気機関車も「和諧型」。
遂寧を出ると、線路は分岐。
分岐していくのは達成線。
達成線はこの先、達州までの鉄道です。
この列車は遂渝線を走ります。
遂渝線は、重慶北までの路線で2006年開業の新線です。
列車のスピードが落ちました。
遂渝線内は、160km/hで走ります。
遂寧をでて少し行くと、列車は四川省から直轄市の重慶市に入ります。
この路線は高速列車の他、南寧や貴陽方面からの在来線列車も走りますから途中駅がいくつかありますよ。
車窓に見えた中国の無計画その1。
なかなか住宅が立ち退いてくれなかったのでしょうな。
道路に民家の敷地が食い込んでいます。
しかも道路の方はその分狭くなるわけですが、車線はそのままで塀から遠ざけようと誘導していません。
さらにその道路がその先で交差する別の道とは段差が・・・。
よく見ると1車線ほどの狭い坂道で2つの道路は繋がっています。
作るならちゃんとしっかり作れ。
重慶は鉄道線路があちこちの方角へ伸びています。
重慶に近付くと、多くの線路と交差したりします。
交差した線路は襄渝線。
重慶から襄陽までの899kmの路線です。
見づらいですが、貨物列車が向こうへ走り去っているのが写っています。
隣に併走する線路は蘭渝線。
重慶から蘭州までの820kmの路線です。
途中、蘭州の方で僅かな区間が未完成ですが、中国のこと、あと1年以内には全通するでしょう。
重慶北に10:39に到着しました。
隣に停まっているのはCRH2型電車です。
川崎重工製で東北新幹線のE2系がベースになっています。
はい。
こちらがE2系。
そっくりですねえ。
でも、これはこの国得意の「パクリ」ではないですからね。
ちゃんと日本からE2系の技術の知的財産権を中国に譲渡されたものなのです。
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