早乙女勝元さんが亡くなった。
90歳だったそうだ。
12歳の時に東京大空襲を体験し、それを絵本にして後世へと伝え続けて来られた方だ。

我が家にも何冊か絵本がある。
『東京大空襲』
『猫は生きている』
『パパママバイバイ』
どれも幼い頃、親に買い与えられたものだ。

厳密に言えば『パパママバイバイ』は・・・我が家に持ってくるのをやめたのだ。

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小学校3年生の頃だっただろうか? 
絵本を読んだ時から、恐ろしさがトラウマになってしまったのだ。 
1977年 横浜市緑区(現青葉区)の民家に厚木基地を飛び立った米軍機が墜落した事件を描いた絵本である。
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一般市民9名が負傷。3歳と1歳の男の子が全身に大火傷を負い、翌日死亡。
覚えたての童謡「ハトポッポ」を歌いながら死んでいったのだ。

母親も全身に大火傷を負い皮膚移植を繰り返す。
耐えがたいほどの苦痛を伴う闘病生活の支えを失っては・・・と、我が子の死は1年3ヶ月の間知らされることが無かった。
一時は回復するも精神的なダメージは計り知れず4年後に亡くなっている。

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この絵本を読んだとき、子供心にどうしても腑に落ちなかったのだ。

「戦争じゃないのにどうして戦闘機が落ちてくるの?」

しかも当時住んでいた家は、米軍機の訓練飛行コースの真下。
毎日のように見ていた戦闘機が、轟音が、とてつもなく恐ろしいモノに見えてしまった。
今日・・・まさにこの時、この家にも戦闘機が落ちてくるかも?という恐怖は夜驚症を引き起こした。

夜驚症:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E9%A9%9A%E7%97%87

絵本の表紙はおろか、背表紙を見ただけでも怖くて怖くて震えだし、眠れなくなるのだ。
両親に頼んで絵本を隠して貰った。
俺の目の届かないところにしまって貰ったのだ・・・。

それから数年後・・・小学校6年生の時だった。
すっかり夜驚症も消え、精神的にも図太くなっとった俺は、親の財布から金をパクろうと(!)
机の引き出しを開けて物色しているときにこの絵本と思いがけない再会を果たしてしまい、大袈裟では無く尻餅をついて失神しそうになったんだわ(笑)。
3年経っても恐怖心は薄れることなく胸の奥底にあったんだなぁ・・・。




恥ずかしい話ではあるが、オッサンになった今でもこの本だけは怖くて手に取れないのだ。
今思えば本当に親には感謝したい。
俺にここまでの恐怖を植え付けてくれたこと。
戦争が戦争中だけでなく、戦後と呼ばれる時代に入っても恐怖を撒き散らすものなのだと強く強く刻み込んでくれた。
そんな想いが今の俺を作り上げた。
激しい恐怖とともに戦争を嫌悪する気持ちを植え付けてくれた。

そしてそれは鼓動へと確実に引き継がれているのだ。





早乙女勝元さん・・・あなたのおかげで大事な想いを受け継ぐことができました。
小さく弱いものではありますが、確かに強く俺の中に根付いています。
どうぞゆっくりとお休みください。