◆文化昆虫学について(概説論文の執筆)

 昨日から夏休みに入った。

 昨日の夜中は、文化昆虫学の論文を書き書きをして楽しんでいた。ひとつは、共同研究の論文なので教えられないが、もうひとつは英語で文化昆虫学の概説論文を書いていた。「はじめての文化昆虫学」のリメイク英語版であるが、これが想像以上に難しい。何故かというと、文化昆虫学の定義付けになるような論文であるため、論文で使うキーになる言葉が示す概念について、個人レベル、あるいは日本語と英語との間でのズレをひとつひとつ検討する必要があるからだ。

 例えば、論文では気軽に「culture」などという言葉を使えない。実は、これまでの自身の文化昆虫学の概説論文を書くにあたっても、重要なキーワードである「文化」という言葉については、迂闊に使わないように、その概念の捉え方に相当な検討を重ねている(これは、ある人文科学者からのアドバイスを受けてのことである)。実は、日本の「文化」という言葉も、文化昆虫学者あるいは個人、文中や会話中のコンテクストによっ て、実質上捉えている概説は違うのである。
 
 文化という言葉の問題だけではない。同じく人文科学の昆虫学である「民族昆虫学」や、自然科学だけど人と昆虫とのかかわりについて研究する「応用昆 虫学」との位置づけも難しい問題だと思う(「はじめての文化昆虫学」では、その問題について、やんわりと書いている。話がややこしくなるという理由から)。ちなみ に、経験上の話であるが、同じ人文科学の昆虫学を研究している文化昆虫学者と民族昆虫学者とでは、驚くほど話が噛み合わない。これは、文化昆虫学者の論文と民族昆虫学者の論文を比較しても見て取れることである。