トラム(LRT)その他の鉄道

2012年12月13日

広報担当のページ(31) 路面電車サミットに寄せて(ストラスブール他)

「ストラスブールへようこそ!」はここをクリックしてください。

2012年11月16日より開催された 「第11回全国路面電車サミット2012大阪・堺 」は大盛況のうちに終了しましたが興味深い講演が多かったように思いました。
個人的にはやはりヴァンソン藤井由美氏の講演が光っていたように思います。資料の羅列だけでなく実体験に基づく話は説得力があります。そこにはいくつかのキーワードが示されていました。
1、行政トップの熱意、
2、住民との対話、
3、専門家によるまちづくりを配慮した交通システムの構築、
4、パークアンドライドに代表される車やその他の交通機関との整合性、
5、交通権といわれる弱者も含めた国民誰もが利用できる交通システム
6、上下分離方式等々。
にわか仕込みの知識ですから至らない点は、どなたか補完していただきたいと思います。(コメント欄にてご連絡ください。直接ネットには公開されません)
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◎ストラスブールの場合
ストラスブール最新情報 ・今日の天気・
「ストラスブールへようこそ」

フランスのトラムでは信用乗車方式と呼ばれるチケットの販売方法をとっています。この券売機でチケットを購入します。クレジットカードは使えますがお札は使えないので注意が必要です。1時間有効のバス共通チケットは1,4€です。
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買っただけでは乗車できません。乗る前にこのチケットキャンセラーと呼ばれる機械に通して時間を刻印します。
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下のセンサー部分は定期用です。時々検札があり無賃乗車がばれると26€の罰金が取られます。チケットだけ買って刻印を忘れて乗車したときにもばれると小額の罰金が取られます。(聞いた話によると日本円で1000円くらい)
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トラムの出入り口はとても広く取ってあります。切符のチェックがありませんから乗り降りが早くスムーズに出来るのです。ここで信用乗車方式が威力を発揮します。停車時分を最小に抑えることができるのです。これは表定速度(停車を含む駅間の平均速度)を上げるのに大いに役立ちます。また段差がありませんから車椅子でも手助けなして乗り込めます。
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トラムの表定速度は20数キロです。ちなみにどんどん廃止に追いやられた日本の路面電車の表定速度は15キロを下回っていたそうです。
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運転台ユニットだけが独立した初期型の1000系Eurotram
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市内を走るトラム、それにしても窓が大きい電車です。


ストラスブールで推進されているもうひとつの交通手段は自転車です。自転車専用道路はストラスブールエリアだけで535Kmもあります。(日本の場合全国でわずか300Km)
お気に入りの自転車専用道路走行中。緑がとても多い印象です。

※ストラスブールの自転車専用道路が2012年で570Kmです。数字は刻々と変わるので、大変です。
(ヴァンソン藤井由美氏よりの最新情報です)


◎モンペリエの場合(南フランス)
北のストラスブールに対して地中海沿岸のモンペリエは世界で最初に医学部が創設された市です。日本ではあまりなじみがない市ですが大学都市として若い人がとても多い街で活気がありました。ここのトラムはブルーとレッドの2色があって路線別の塗り訳らしい。静か過ぎるのでけがをするほどではないが時々とトラムと人が接触するらしい。


私が行った2010年8月は駅前はトラムの新設工事の真っ最中でした。それにしても派手な工事風景です。右端が既存路線。中央と左に新線が延びています。「トラム推進派の女性市長が当選したらいきなり工事が始まって車で駅に入るには2キロも遠回りしなくちゃならないので大変だ」と地元の人が語ってくれました。この工事も今年2012年4月に完了したはずでモンペリエのトラムは63Kmとフランス1の路線距離となりました。
追伸
現地情報によると実際には9月ごろから走り始めたらしいのですが「どんな工事も遅れて当たり前、いつものことだ」と気にしていない様子。まだ市民の足にはなりきっていないようです。
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◎リヨンの場合
白い塗装のトラムはまるで鳥の顔のようなデザインでリヨンを印象付けています。この街の交通網はすばらしくバラエティに富んでいます。トラムだけでなくゴムタイヤ地下鉄、急勾配線のラックレール地下鉄、ケーブルカー、そしてトロリーバスです。市民の動線と地形に合わせて適材適所、工夫されている様子が見られます。


連接車体のトロリーバスです。頻繁に走っています。しかも抜群の加速力! バスレーンも多くこれがけっこう狭い道へも入っていきます。普通のディーゼルエンジンバスもたまには走っています。それほどうるさくはないのですが他が静か過ぎるため騒音を撒き散らして肩身が狭そうに見えます。


◎モントリオール(カナダ)の場合
モントリオールはカナダですがケベック州地域だけはフランス語圏となっています。9月5日の知事選ではケベックの独立国を標榜する候補が当選したりしてまさしくフランス色の濃い州です。ですから公用語はフランス語と言ってもよく地下鉄の出口案内もごらんの通り「EXIT」ではなく「SORTIE」だったりします。。
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モントリオール市内から約60キロのローカル線ドリオン・リゴー線が出ています。1887年(明治20年)開業の1日3往復しかない廃線寸前の路線でCP(カナディアンパシフィック鉄道)のお荷物路線でした。
それをAMT(大都市圏交通局)と呼ばれるモントリオールとその周辺都市をカバーする鉄道、バスの公共交通機関に経営を移管してから劇的な変化を見ました。それはフランスのトラム、越前鉄道、富山のライトレールに通ずる経営形態が見られます。現在では乗客を運びきれないのでごらんのように2階建ての列車を使用しています。駅舎の横に少し見える茂みの裏には70台収容のパークアンドライド用駐車場があります。
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路線図に見られる「P」が各駅に設けられた無料駐車場です。
モントリオール周辺はどこの都市にも見られるように朝夕の渋滞が深刻でこの鉄道再生が図られました。
現在は周辺の5路線で同様の運用(ローカル線再生)がされています。
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2012年12月2日のモントリオール朝7時半の渋滞状況です。セントローレンス川に沿ったモントリオールは橋が多くどうしても道路交通のネックとなっています。画面右上の青四角がこの路線の始発駅ルシアン・ラリエール駅です。地下鉄との接続駅にもなっています。
※この画面はスマホのグーグルマップです。なんとカナダの渋滞状況まで我が家(日本)で見られるのです。しかもカタカナ表記で分かりやすい!
もっとも日本時間は午前3時30分ですのでその時間に撮影しました。
赤が渋滞、黄色が混雑、そして緑がスムーズに走行できる道路です。s-DSCF2336


午後5時半ごろのルシアン・ラリエール駅の様子です。結構利用客がいます。もっともこの運用は平日のみで日曜日は今でも1日3往復しかありません。まさしく渋滞対策の交通機関として機能しているわけです。
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そして切符の購入はフランスと同じ信用乗車方式です。クレジットカードと現金が使用できます。これで行き先までの金額を入れて切符を受け取りますが改札はありません。左の小さな装置は定期券用です。
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最後に駅に設置されているレンタサイクルをご紹介します。これも地下鉄各駅にありますが自転車の形が特殊で盗んでもすぐに発見されるようになっています。
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チケットはクレジットカードオンリーのようでした。自転車を借りるとまず250ドルの保証金を取られます。その後使用料に応じて翌月残金が返却されます。なんだかいろいろ説明がされていますが拡大してしっかり読んでみると1日7ドルなのですが30分以内に返せは何度借りても追加料金なし。ただし長時間になるといっきに使用料金が増える仕組みになっています。短時間の利用で利用効率を高める狙いのようです。私は1日中借りて市内を走り周りましたので7000円ほど取られてしまいました。しかもそれがわかったのは日本へ帰って明細書を見てからでした。今説明を見ると高くつく理由がよく理解できるのですが・・・。
次回には賢くレンタルしようと思います。
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こうして振り返ると北勢線の再生もパークアンドライドこそ実現しているもののCTC、自動改札など既存の鉄道の合理化対策に終始しているようにも見受けられます。存続から10年経って地域鉄道を支援する体制も整いつつある今、単なる存続の補助金を要請するだけではなく、上下分離など更なる抜本的対策も考える時代が来ているように思います。
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このページの記事は以下の各氏からの情報を得て制作しました。


南聡一郎氏(青空財団
「 Le Tram」日欧双方向型のトラム(LRT/路面電車)サイト

ヴァンソン藤井由実氏
「ヴァンソン藤井由実のブログ」

フランス、ストラスブールの紹介だけではなく路面電車再生を志す方にはぜひお読みいただきたい内容です。読み物としても面白いのであっという間に読めます。
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asita381 at 23:04コメント(1)トラックバック(0) 
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