August 15, 2017

ジュピターテレコム事件

*御無沙汰しております。生きていることを示すために、簡単な記事を。

ジュピターテレコム事件許可抗告審決定(最決平成28年7月1日民集70巻6号1445頁)の判例評釈を書かなければならないのだが、苦労している。なぜ苦労するのかといえば:

(1)本決定は、いろいろと不明確で、決定文に依拠してものを考えることが難しい。たとえば、同決定が根拠として述べること(民集1450〜1451頁)は、意味がよく分からない。本決定のいう「利益相反関係」の意味内容も詳しく説明されておらず、本決定の射程を考えることも難しい。本決定が定立した要件についてどのような当てはめがされているのかも、実はよく分からない(第三者委員会がどのような意味で実質的に機能したといえるのかといった点が、原決定・原々決定に示された事実認定からはあまり詳細ではない)。

(2)このように不明確なところが多々ある本決定について、先行評釈の多くは、藤田友敬評釈(資料版商事法務、他2編)にかなり影響を受けて議論を展開している。しかし、藤田評釈は、「本決定にはよく分からないところや間違っているところもあるが、本決定の結論は自分の学説からも正当化できるよ」という議論を展開するもので、私から見れば、判例評釈ではなく、藤田説を展開する論文だ。だから、そういった先行評釈に影響されすぎないように注意しなければならない。

(3)他方で、本決定を「内在的」に読むことに徹しようとする舩津評釈(民商法雑誌)については、共感するところ大なのだが、本決定をあまりにも「内在的」に読もうとしているように思える。本決定はもともと不明確なところが多いのだから、本決定の文章構造や表現だけを手掛かりに本決定を読み解くことが良い結果を生むのかも、よく分からない。

(4)以上のように考えたことを反映させる形で判例評釈を書いていくと、分量が長くなりすぎる。頑張って削らなければならない。

assam_uva at 12:09|PermalinkComments(0)││研究 

June 25, 2017

エフオーアイ事件:監査役の責任

先週金曜日のJPX金商法研究会では、エフオーアイ事件判決(東京地判平成28年12月20日資料版商事法務396号171頁)が取り上げられた。主に議論されたのは、同事件で注目を浴びた主幹事証券会社の責任であり、エフオーアイの監査役の責任については、時間があまりなく、十分には議論がされなかった。

同判決は、エフオーアイの監査役が金商法21条2項1号にいう「相当な注意」を用いたとはいえない理由として、次のように述べている。

「イ …被告監査役らは,エフオーアイの会計監査の信頼性については,一応の監査を行っていたものと認めることができる。
ウ しかしながら,エフオーアイにおいては,単に財務諸表において架空の売上げを計上していたにとどまらず,取締役ら及び多数の幹部社員らが共謀し,売上取引に関する多数の書類を偽造したり,ペーパーカンパニーを設立して売掛金の回収を偽装したり,販売見込みのない製品を製造し続けるなどの大がかりな偽装工作を5年以上にわたり継続し,平成21年3月期の決算においては,実に総売上げの97%以上に上る115億円余りもの架空売上げを計上していたというのであり,取締役らのかかる違法行為は,本来監査役の業務監査によって是正されるべきものである。
 この点,被告Y6は,前記認定のとおり,平成16年3月期の売上げのうちに架空のものがあることを認識していたというのであり、その後,エフオーアイの売上げが急増したにもかかわらず売掛金の回収が進まない状況において,架空の売上げが計上されている可能性について疑問を抱き,売上げの実在性について独自の調査を行うなどの対応を執ることは十分に可能であったというべきであるが,被告Y6が,会計監査人の報告を受ける以外にかかる観点から何らかの調査を行ったことをうかがわせる証拠はない。また,被告Y6は,常勤監査役であったにもかかわらず週に2日程度しか出勤しておらず,エフオーアイにおいてほぼ毎週開催されていた戦略会議にも出席していなかったのみならず,対外的には戦略会議に毎回出席していたかのように装い,議事録にかかる虚偽の記載がされていることを認識しながら放置していたというのであるから(なお,被告Y6は,被告みずほ証券の引受審査における質問に対し,毎日出勤し,戦略会議にも出席している旨虚偽の回答をしている。),取締役の業務執行に対する日常の業務監査が十分であったとはいい難い。
 そして,非常勤の社外監査役である被告Y5及び被告Y7は,上記のような被告Y6の職務執行状況を認識していたか,容易に認識し得たと考えられるのに,これを是正するための何らかの対応を執った形跡がないところ,非常勤監査役においても,常勤監査役の職務執行の適正さに疑念を生ずべき事情があるときは,これを是正するための措置を執る義務があるというべきであるから,被告Y5及び被告Y7の監査役としての職務の遂行が十分なものであったとはいい難い。 
エ さらに,証拠…によれば,平成20年3月28日に被告監査役らも出席して開催された取締役会において,内部監査室長であるLを異動させる人事が審議されたこと,同年4月15日に被告監査役らも出席して開催された取締役会において,上場申請をいったん取り下げる旨の決議がされたことが認められ,被告監査役らにおいて,Lの異動や上場申請の取下げを認識していたことは明らかであるが,その経緯等について被告監査役らが調査を行った形跡はない。かえって,証拠…によれば,平成20年4月以降の監査役会において,上場申請の取下げに関する事項が協議された形跡はなく,エフオーアイが上場申請を取り下げた後も,同年6月20日に被告Y2から上場の見通しについて聴取した以外に,監査役会において,上場申請取下げの理由の調査や今後の内部統制のあり方等の協議が行われたことはなかったものと認められる。
 そうすると,被告監査役らにおいて第1投書の存在を認識していたことを認めるに足りる証拠はないものの,監査役会において,上場申請取下げの理由について他の役員ら又は被告みずほ証券に問い合わせをするなどして調査すれば,第1投書の存在を認識することは十分に可能であったというべきであり,その上で監査役の権限を行使して調査を行えば,エフオーアイにおいて粉飾決算が行われていた事実が判明していた可能性がないとはいえない。
オ 以上を総合すると,被告監査役らについては,いまだ相当な注意を用いて監査を行っていたとは認められず,他に相当な注意を用いたにもかかわらず本件粉飾の事実を知ることができなかったことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,被告監査役らは,いずれも,金商法21条1項1号,22条1項の責任を免れることはできないというべきである。」

このように、裁判所は、

(1)Y6については業務監査を十分に行っていなかったこと

(2)Y5とY7については、Y6の職務執行状況を認識していたか容易に認識しえたと考えられるのにこれを是正するための何らかの対応を執った形跡がないため、監査役としての職務の遂行が十分ではなかったといえること

(3)以上の(1)(2)に加えて、(内部監査室長の異動人事からあまり間を置かず)上場申請の取下げが行われることになったのに、その理由について調査したり内部統制のあり方について協議したりしていないこと

以上の(1)〜(3)を総合して、常勤監査役である(にもかかわらず常勤監査役と呼べないような勤務状況であった)Y6のみならず、社外監査役であるY5・Y7のいずれについても、「相当の注意」を用いていなかったとした。

研究会では、このうち、(2)に関連して、Y5・Y7について、「社外監査役は(あるいは、監査役は一般的に)他の監査役の職務執行の適正さを確保する義務を負うのか」という質問が上がった。また、その質問の際には、そのような義務を監査役に負わせることは、監査役の独任制と矛盾するところがあるのではないかとも言われた。さらに、その後の議論では金商法が定める「相当の注意」というものは、虚偽記載についての相当の注意なのであって、監査役の職務についての相当の注意と必ずしも同じではないのではないかといった話も出てきた。

私自身は、研究会でのやり取りを聞きながら、次のようなことを考えた(が、時間切れで発言ができなかった)。

(ア)まず、「相当の注意」が虚偽記載についての相当の注意だという点だが、もともと監査役が金商法21条1項1号で責任主体に含められているのは、監査役が取締役の職務執行を監査することを職務権限としている(会社381条1項)からであり(黒沼悦郎『金融商品取引法』(有斐閣、2016年)213頁)、有価証券届出書に虚偽記載がないよう相当の注意を払う義務を監査役が果たしていたかどうかを評価することは、結局は、監査役が会社法上の監査職務を適切に遂行していたかどうかということを評価することと、変わらない。しかも、判決は、100億円を超えるとされていた売上高の90%超が架空のものだったというような違法行為は、そもそも、監査役が適切に業務監査をして発見・是正すべきものだったと述べている。このような事案の性質からして、監査役が金商法21条2項1号にいう「相当の注意」を用いていたかどうかを考える際には、特定の有価証券届出書について虚偽記載がないよう監査役が相当の注意を払っていたかどうかを考えるというよりは、虚偽記載に至る長年にわたる大規模な粉飾が行われないよう監査役がきちんと職務を遂行していたかどうかを考える方が適切だろう。

(イ)それから、社外監査役が他の監査役の職務遂行の適正さを確保する義務を負うのか、また、そのような義務を考えることが独任制と矛盾しないのかという点だが、報告者の小出さんも応答していたように、このようなところで独任制を持ち出すのはおかしい。監査役の独任制というのは、複数の監査役がいる場合にも各自が単独でその権限を行使できる(江頭憲治郎『株式会社法〔第6版〕』(有斐閣、2015年)524頁)ことであり、監査役の権限行使は複数監査役の多数決には服さない、また、ある監査役が他の監査役による権限行使を妨げてはいけないというルールだ。だから、社外監査役が他の監査役の職務遂行の適正さを確保する義務を負うと考えることは、以上のような意味での独任制とは、矛盾しない。

(ウ)また、エフオーアイは監査役会設置会社であり、だから常勤監査役が選定されていた。監査役会設置会社で常勤監査役の選定が義務付けられるのは、「公開会社…である大会社…の監査役の仕事量は常勤者を必要とするとの認識に基づ[く]」ものであり(江頭・前掲531頁)、また、「大会社における監査役監査の実効性を確保するため」である(落合誠一編『会社法コンメンタール8』(商事法務、2009年)472頁[森本滋])。このような常勤監査役選定義務付けの趣旨からすれば、監査役会設置会社の監査役は、常勤監査役のみならずその他の監査役も、常勤監査役の勤務状況が常勤監査役の選定が義務付けられている趣旨に適う程度のものであること、そのような常勤監査役を含めた監査役間の役割分担によって実効的な監査のために必要な体制が整えられていることを確保する義務(そのような勤務状況・体制の整備がなされていないことを疑う事情があれば是正措置を執る義務)を負うと考えるべきであろう。

(エ)以上のように考えると、判決が、「非常勤監査役においても,常勤監査役の職務執行の適正さに疑念を生ずべき事情があるときは,これを是正するための措置を執る義務がある」と述べたこと自体には、あまり問題はなさそうだ。この判決の問題点は、むしろ、そこではなく、Y5とY7について、十分な認定をせずに「被告Y6の職務執行状況を認識していたか,容易に認識し得た」と決めつけてしまったところにあるように思う。

assam_uva at 17:00|PermalinkComments(0)││研究 

June 11, 2017

丹後半島再訪

1年ぶりに丹後半島西岸に行ってみました。昨年も行った袖志の棚田を見た後で、海岸沿いの良い景色を探しました。

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assam_uva at 13:47|PermalinkComments(0)││雑感その他 

April 17, 2017

海津大崎

高島市の海津大崎の桜。最寄りのマキノ駅からかなり離れているのが難点ですが、普段から走っているコミュニティバスや、臨時のシャトルバスが出ていました。

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assam_uva at 13:08|PermalinkComments(0)││雑感その他 

April 16, 2017

仰木

久しぶりに、仰木の馬蹄形の棚田の桜を見に行きました。以前よりも県道の建設が進み、若干アクセスが容易になりました。

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assam_uva at 15:19|PermalinkComments(0)││雑感その他