September 27, 2019

志津屋のジャンボハム

*久しぶりに研究に関係のない記事。

みなさん、京都の志津屋というパン屋をご存知でしょうか。京都ならいろんな場所に店があり、ちょっとというかだいぶ高い菓子パンや、そこそこ安くボリュームがあるサンドイッチを売っている、老舗パン屋です。

志津屋といえばカルネが有名で、これも美味しいわけですが、私か推したいのは、ジャンボハムです。バゲット・ハム・チーズ・レタス・玉ねぎ(あと、パンに塗ってあるマーガリンのような何か)、という完成された組み合わせと、一つ一つの具材の美味しさ。価格的にもコンビニのサンドイッチと十分張り合える、良い商品だと思います。

今日も、京都駅八条口の志津屋で買ったジャンボハムを、東京出張の新幹線の中で頂いています。

assam_uva at 11:20|PermalinkComments(0)││雑感その他 

September 12, 2019

近況報告

御無沙汰しております。前回の記事を上げてからまた間隔が空きましたので、近況報告だけでも。

(1)7月〜9月初旬にかけて、大学の仕事以外の仕事としては、商事法務の会社法コンメンタール848条〜853条を書いていました。「夏休みを使えば書けるだろう」とタカをくくっていたのですが、訴訟参加に関する849条でかなり時間をとられ、その後も、それぞれの条文について、「コンメンタールである以上は、こういうことを考えなければならない」と私が思う問題についていろいろと調べて考えつつ書いていると、かなり時間をとられてしまいました。結局、9月初旬に、853条まで無理やりひととおり終わらせましたが、そのまま入稿できるわけもなく、全体を見直して調整をやってから入稿の予定です。それにしても、852条や853条という、あまり時間がかからないだろうと考えていた条文についても、既存のコンメンタール等に詰めた記述があまりないこともあって、時間がかかってしまったのは誤算でした(たとえば、853条には「共謀して」という文言がありますが、「その意味はこうだ」とはっきり書いてある記述がなく、いろいろ別の法律の別の条文の解説等まで含めて調べていたら、けっこうな時間がかかった)。

(2)そして今は、9月第3土曜の京都大学商法研究会での報告(東京高判平成28年12月7日金判1510号46頁)の準備をやっています。これも、考えるといろいろ難しく、予想以上にギリギリになりそうです。

assam_uva at 10:24|PermalinkComments(0)││雑感その他 

July 16, 2019

会社法849条の日本語表現は、おかしいのではないか

現在、少し前に依頼されたコンメンタールの執筆中で、まだ会社法849条が終わらない。849条は、平成26年改正によって劇的に複雑な条文になったものの一つで、規定内容が複雑になっただけでなく、日本語表現もなんだかおかしかったりする。

(1) たとえば、849条2項1号は、「株式交換等完全親会社(第847条の2第1項各号に定める場合…における株式交換等完全子会社の完全親会社…) 適格旧株主」と定めている。しかし、下線を引いた部分、847条の2第1項各号に定める場合というのが何かを見ようと思ってその条文を見ると、たとえば1号として、「当該株式会社の株式交換又は株式移転 当該株式交換又は株式移転により当該株式会社の完全親会社の株式を取得し、引き続き当該株式を有するとき。」とされている。いったい、この1号に「定める場合」とは何のことを指すのだろうか。

847条の2第1項は、「次の各号に掲げる行為の効力が生じた日の6箇月…前から当該日まで引き続き株式会社の株主であった者…は、当該株式会社の株主でなくなった場合であっても、当該各号に定めるときは、当該株式会社…に対し、…責任追及等の訴え…の提起を請求することができる。」と定める。同項1号についていえば、「当該株式会社の株式交換又は株式移転」が、1号に掲げる行為、「当該株式交換又は株式移転により当該株式会社の完全親会社の株式を取得し、引き続き当該株式を有するとき。」が、1号に定めるときにあたる。

このような造りになっている847条の2第1項1号に、849条1項1号の「847条の2第1項各号に定める場合」という表現は、うまくマッチしないのではないか。規定の趣旨というか、ここで定めようとしているルールの内容からすれば、「847条の2第1項各号に定める場合」というのは、「847条の2第1項各号に定める行為が行われる場合で、かつ、当該各号に定めるとき」という意味で、結局、旧株主による責任追及等の訴えの提起が問題となるような場合という意味になることは分かるので、それでも困らないといえば困らないのだが、表現として分かりづらいのはたしかなように思う。

(2) それから、849条6項は、「…当該株式会社等は、前項の規定による公告又は通知のほか、当該株式交換等完全親会社に対し、遅滞なく、当該責任追及等の訴えを提起し、又は当該訴訟告知を受けた旨を通知しなければならない。」とする。(7項もこのあたりの表現は同様)

しかし、ここが日本語としてはおかしくて、「…当該株式会社等は、前項の規定による公告又は通知をするほか、当該株式交換等完全親会社に対し、遅滞なく、当該責任追及等の訴えを提起し、又は当該訴訟告知を受けた旨を通知しなければならない。」、あるいは、「…当該株式会社等は、前項の規定による公告又は通知のほか、当該株式交換等完全親会社に対し、遅滞なく、当該責任追及等の訴えを提起し、又は当該訴訟告知を受けた旨の通知をしなければならない。」というのが、文法的に正しい日本語ではないだろうか。

assam_uva at 12:47|PermalinkComments(0)││研究 

July 08, 2019

責任追及等の訴えへの補助参加と補助参加の利益

*前回・前々回の記事ですでに十分に怪しい記述をしているのだが、恥かきついでにもっと怪しい話

代表訴訟の被告取締役側への会社の補助参加について、補助参加の利益不要説を支持すべきではないかという話は、すでに書いたとおりだ。この議論は、あくまで、「代表訴訟の被告取締役側への会社の補助参加」に限定されて行われてきたものだ。実は、会社法849条1項が認める補助参加は、そのような補助参加には限られない。同項の文言上は、次のような補助参加が認められそうだ。

(a)会社が提起した責任追及等の訴えの原告側への株主等の補助参加
(b)会社が提起した責任追及等の訴えの被告側への株主等の補助参加
(c)代表訴訟の原告側への株式会社等の補助参加
(d)代表訴訟の原告側への株主等の補助参加
(e)代表訴訟の被告側への株式会社等の補助参加
(f)代表訴訟の被告側への株主等の補助参加

前回・前々回の記事に書いた補助参加の利益についての議論は、このうち、(e)の一部の事例を念頭に置いたものだったわけだ。

そもそも、(a)〜(f)の補助参加すべてが認められるかどうかについて議論があり、(b)(c)(f)について、これが認められないとする見解もある(新基本法コンメンタール(3)〔第2版〕441頁[山田泰弘])。しかし、会社法849条1項の文言上、そのような制限は定められていないのであり、そのように解釈をすることはできないと思われる。たとえば、非完全子会社Aの取締役Yの任務懈怠責任を追及する代表訴訟がAの株主によって提起されている場合に、Aの親会社Bが、たとえば、問題となったYの業務執行上の意思決定が会社グループの方針として行われたものであることから、Aの株主として、Yの側に補助参加することを望むということは、考えられないではないだろう。

ただ、(a)〜(f)のすべての補助参加について、一切、補助参加の利益を要しないと考えるのも、おかしいように思える。こう考えてくると、むしろ、会社法849条1項の文言上可能な補助参加について、原則として補助参加の利益を要するが、代表訴訟の被告側への会社の補助参加について、裁判所は、補助参加の利益を問題としない(常に補助参加の利益を認める)訴訟運営をすべきであると考えることになるだろうか。

assam_uva at 17:17|PermalinkComments(0)││研究 

July 07, 2019

代表訴訟の被告取締役側への会社の補助参加(2)

前の記事では、会社法849条1項について、代表訴訟の被告取締役側への会社の補助参加に、補助参加の利益を要しないとするのが立案担当者の見解であり、これを支持する学説もあるというところまで書いた。

これに対して、会社法の施行からほどなく、会社法の下でも、代表訴訟の被告取締役側に会社が補助参加するためには、補助参加の利益を要するという見解が唱えられた(たとえば、笠井正俊「責任追及等の訴えの提訴前手続と審理手続」神作裕之ほか編『会社裁判にかかる理論の到達点』(商事法務、2014年)414頁、八田卓也「会社の被告取締役への補助参加−手続法からの分析」川嶋四郎=中東正文編『会社事件手続法の現代的展開』(日本評論社、2013年)107頁、新基本法コンメンタール会社法(3)〔第2版〕(日本評論社、2015年)441頁[山田泰弘]。以下では「必要説」という)。必要説からすれば、平成13年最決は先例としての価値を失っておらず、本条1項の下でも、どのような場合に補助参加の利益が認められるべきなのかということが、同最決を出発点として検討されるべきことになる。

前の記事に書いた不要説と、この必要説との議論について、私は今まで態度を決めかねており、リーガルクエスト会社法でも、こういう議論があるとしか書かなかった。先日依頼された会社法のコンメンタールの849条の注釈を書くために、改めてこれについて考えてみたのだが、今のところ、私の態度は、不要説に傾いてきている。これは、必要説の述べる根拠が、私にとって、どうしても魅力的には見えないということによる。

必要説の根拠は、次のようにまとめられる(八田前掲論文)。[1]本条1項の文言には、補助参加の利益を要しないと明確に記されているわけではない。[2]本条1項の定めによって、民事訴訟法の一般原則に反し、補助参加をするために補助参加の利益を要しないことになるのであれば、共同訴訟参加についても、民事訴訟法の一般原則に反して、参加のために当事者適格を要しないことになり、不合理である。[3]代表訴訟の基礎となる事実が会社の営業や運営に関わるとは限らない。たとえば、取締役による会社財産の私的な横領は会社の営業や運営に関わりなく、そのような横領を理由とする代表訴訟について、監査役等の同意があれば会社は被告取締役側に補助参加することができるとすることは実質的に妥当ではない。

以上の根拠のうち、[1][2]の文言上の根拠は、決定的なものとはいえない(これは八田前掲論文も認めるところだ)。[2]についていえば、共同訴訟参加と補助参加について、民事訴訟法の一般原則として異なるものが問題となっているのであるから、前者については参加のために当事者適格を要すると解釈しつつ、後者については補助参加の利益を要しないと解釈することは、解釈論として不可能ではないだろう。

そこで重要なのは、根拠[3]なのだが、この根拠が、やはり私にとっては説得的なものとは思えないのだ。会社の営業や運営に関わる行為が問題となる事案と取締役による私的な横領の事案とは、常に明確に区別できるわけではない。たとえば、東京高判平成30・5・5金判1554号20頁で問題となったような、取締役が買収防衛策を講じることを模索して弁護士事務所への委任を行う場合については、どう考えるべきだろうか。同高判は被告取締役に善管注意義務違反はなかったとしたが、第一審では、取締役が自己の保身のために会社資産を浪費したとして、善管注意義務違反があるとされた。第一審は、取締役が会社の資産を横領したのと同様の事案だという捉え方をしていることになる。また、東京高判平成30・9・26金判1556号59頁で問題となったような、取締役会から個人別の報酬額の決定を再一任された代表取締役が自己の報酬額を決定する場合については、どう考えるべきだろうか。同事件では代表取締役には善管注意義務違反がなかったとされたが、同事件の示した基準に照らしてもなお善管注意義務違反が認められるほど不合理な報酬決定が行われたような場合は、取締役が会社の資産を横領したのと同様の事案ともいえる。そして、これらの事件のような事案で、会社が補助参加の申立てを行うとして、その時点で、その事案が取締役による私的な横領が行われたのに類するものかどうかを判断することは、容易ではないように思われる。

このように、私からすれば、必要説の挙げる根拠[1]〜[3]は、解釈論として必要説を否定するために十分なものとはいいがたい。他方で、不要説のいうように、代表訴訟の被告側に会社が補助参加をする場合に、補助参加の利益を要すると考える限り、平成13年最決の判示には必ずしも明確でないところもあることも相まって、訴訟遅延が生じる可能性を否定できない(八田前掲論文106頁参照)。そうだとすれば、代表訴訟の被告側への会社の補助参加については、補助参加の利益を要しない(たとえそのような補助参加の申立てに対して異議が述べられたとしても、裁判所は、特段の審理を行わずに補助参加を認めるべきである)と解するべきであるように思われるのだ。

assam_uva at 00:01|PermalinkComments(0)││研究