2007年10月

2007年10月30日

新興市場に妙味あり(2)

9/26の早朝の記事で、新興市場の売られ過ぎの状況を指摘し、ここからは大きなリターンが見込めるので、投資家としては割り切って買い下がりで臨むことが正しい選択であると書きました(結果として、9/26が最安値を付けた日だったので、タイミング的にピッタリとなりました)。

上にも下にも行き過ぎた相場には必ず修正があるものです。マザーズ指数の上昇率が際立って大きいことは、それまでの下落率がジャスダック指数やヘラクレス指数よりも大きかったためで、それだけ戻りの反動が大きくなることも相場の論理では常識となります。

では、新興市場は「どこまで戻るのか」、あるいは「いつまで戻るのか」、という疑問にもお答えしたいと思います。

まず、「どこまで戻るのか」についてですが、新興市場は2006年1月の高値からあまりにも一方向に下げ過ぎたために、どこまで戻すのかは想像ができないというのが本当のところです。よくいわれる「高値からの1/3戻し、1/2戻し」という見方は、今回のケースでは当てはまらないように思われます。

しかし、「いつまで戻るのか」については、トレンドの分析からヒントを与えることができます。新興市場の指数を週足チャートで見ると、2006年1月のライブドアショック以降、チャートは1年9ヵ月に渡って下降トレンドを続けてきました。しかし、先々週末(10/19)にチャートでのトレンド転換のサインが出現し、上昇トレンドに転換したことが確認されました。トレンドの習性から考えて、短くても来年の3月くらいまでは上昇が続く可能性が高まってきました。

上昇トレンドがいつまで続くのかを見極める資料としては、ジャスダックが毎週発表する投資部門別売買状況があります。既に9/26の記事では、個人投資家が8週連続で売り越しているのに対し、外国人投資家が買い越し基調に転じたこと、そして法人の買い越しが途切れることなく継続されていることを取り上げ、底値が近いことを示唆しました。

それから5週間経った先週末の時点で、その後の投資部門別売買状況を見ると、個人投資家が13週連続で売り越しているのに対し、外国人投資家は5週のうち1週だけ売り越したに過ぎず、買い越し基調が続いていること、そして法人も一貫して買い越しが続いていることが確認されています。

以上のことから、個人投資家が安値圏で売り、その売りを外国人投資家や法人が拾っている構図が読み取れます。

(トレンド転換の見方や投資部門別売買状況の考え方については、拙書「株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれる」で詳細に解説しているので、そちらを参考にしてください。)

さらに新興市場に追い風となるのは、年金積立金を運用する独立行政法人が来年から新たに中小型株を中心に運用する資金枠を設けると発表したことです。年金積立金が新興市場に新規流入してくるということは、外国人投資家や機関投資家にとってはまさに買い場はこれからだという意識が働いていることでしょう。

また、FRBが年内にあと2回利下げをすることが予想されるなか、円相場が大きく円安に振れる可能性は少なくなってきました。円相場が120円を超えて円安になることが難しくなってきた現状では、国際優良株が多い日経平均株価の上値は限定的と考えることができ、1部市場に逃げていた個人投資家の資金も新興市場に再度流入してくることは容易に想像できます。

明らかに新興市場の地合いやマインドは変わりました。昨日の4835インデックスの動きがそのことを象徴しています。悪材料が出ると徹底的に売られてきた今までの相場と反対に、悪材料を出尽くしと捉える前向きな相場になってきました。

トレンドが転換したことにより、売り方が圧倒的に不利な相場は始まったばかりです。マザーズ指数の上昇率からの出遅れ感から、ヘラクレス、ジャスダックの両指数がキャッチアップしてくる可能性が高まるでしょう。それと同時進行するかたちで、IT関連株を中心とした戻り相場の勢いは他の業種にも波及してくるでしょう。

もし今回の新興相場にやや乗り遅れた場合は、ヘラクレスかジャスダックの出遅れ株を狙ってみると面白いと思います。マザーズ株やIT関連株を利食った資金が、遅かれ早かれそういった出遅れ株に循環流入してくることが予想されます。好業績なうえに持続成長も見込まれるお宝銘柄はまだまだあります。

ただし、再び世界同時株安が起こるようなときは、新興市場に対する考え方も臨機応変に変える必要があるということを注意点として取り上げておきます。


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2007年10月19日

過去に一番反響があった記事

これまで書いてきた記事のなかで、圧倒的に反響があった記事は、今年の3/8の「格差問題の本質」というタイトルの記事でした。格差問題の本質は現行の年金制度にあり、かつ無駄が多い年金制度はなくすべきだという趣旨のことを書きました。

まだ「消えた年金」と後にいわれる大問題が世間に知られていない段階で、タイトルは「資産運用塾」にもかかわらず、多くの賞賛や感想のメールをいただき、非常に驚きました。読者のみなさんが資産運用以上に年金に興味があることだけでなく、他の社会問題についても積極的に触れて欲しいという要望があることも理解できました。

そこで、3/8の記事を再掲し、そのあとに補足を加えたいと思います。


(以下、3/8の記事「格差問題の本質」から)

国会で格差社会問題が議論の焦点になり、マスコミもそれを煽るような報道をしています。個人の金融資産が年々増加しているのに対して、貯蓄のない世帯が急増しているというデータをみても、格差は徐々に広がってきてはいることは証明されています。しかし、果たしてそれを政府や役人だけに責任をなすりつけることができるでしょうか。格差問題の本質は、世代間の格差に象徴されるのであって、高齢者に手厚い国のシステムとそれを支持する高齢者が選挙を左右する力を持ってきたことが最大の原因です。

確かに二十年以上ものあいだ高齢化といびつな人口比率の問題に何ら有効な対策を打てなかった国や政治家にもある程度の責任はあるとは思われます。しかし、不均衡の源はピラミッド型の人口構造を前提とした年金制度と年金受給者を優遇しすぎてきた税制にあり、それらの制度を後押ししてきた高齢者の意思にあります。格差社会は長年かけて不均衡が徐々に累積してきた過程で注目されはじめた問題であり、その兆候は既に十年以上前から予見されていました。そして細川政権による国民福祉税構想がその不均衡を止める有効な政策だったのですが、目先のことにしか関心がないマスコミや国民の猛反対に遭い、この有効策はすぐに頓挫しました。

格差拡大の原因を放置したのは、マスコミや国民の側にあり、世論を誘導できるマスコミに最大の責任があったように思われます。これから団塊の世代が多くの退職金を得て年金世代になるにあたり、格差はさらに拡大するでしょう。

最近の日経新聞の退職者に対するアンケート調査(おそらく大企業の退職者に対する調査であると推測されます)では、退職時に5000万円以上の金融資産を持っている人の割合は30%以上もありました。そのうちの10%以上が1億円以上を保有しています。また、個人の金融資産は1500兆円を超え、そのうち60歳以上の高齢者が持つ金融資産は800兆円とも900兆円ともいわれています。

これらは不動産を含んでいないという点にも注意する必要があります。リバースモーゲージ制度が浸透しつつあるいま、現役世代から高齢世代への所得移転制度(お小遣い制度)である年金制度を存続させることはナンセンスであり、豊かな高齢世代と働く現役世代のあいだにある不均衡を是正できなければ、現役世代は生活を優先させるために、結婚をためらい、子づくりをためらい、その結果、活力のある社会は失われ、将来的な経済の規模は縮小の一途を辿ることは誰でも推測できます。

社会保険庁の解体を視野に入れて、規模をできる限り縮小し、年金制度から税方式に段階的に移行するようにするべきです。また、それに合わせて、国税庁と地方自治体の税務課・収納課をひとまとめにして歳入庁へと組織改変し、国や地方自治体などに入るお金は税金に限定せずに一括して管理するしくみをつくることが求められます。所得税も地方税も固定資産税も国民健康保険料も、そして自動車税などもすべて一元管理することで、縦割りの弊害や人件費の無駄もなくなり、最近騒がれている給食費の未納の問題も解決されるでしょう。国民納税者番号制度が実現する方向であるので、システム上は何の問題もないと思われます。あるとすれば、国と自治体の利害の調整だけでしょう。

最後に、「日本は本当に格差社会といわれるほど格差があるのでしょうか」とみなさんに問いたいです。

アメリカ従業員福利厚生研究所2006年の調査データによると、リタイヤが近い55歳以上でも、金融資産が2万5000ドル(1ドル116円換算で290万円)未満というアメリカ人が42%もいることがわかります。日本の一世帯当たりの金融資産の平均が1000万円を超えていることと比較すると、アメリカと比較するのが正しいかという議論もありますが、それでも大きな隔たりがあります。

マスコミには、格差格差と騒ぐ前に、格差の本質が国の疲弊したシステムそのものにあることを認識したうえで報道してもらいたいですし、国会議員の先生方には、この格差問題を国のしくみを活力の生み出せるものに変えるきっかけと考えて、真剣に議論してほしいと思っています。

疲弊したシステムをこのまま放置すれば、アメリカ型の格差社会になるまでにはあと20年はかからないと思うのは私だけでしょうか。

(以上「格差問題の本質」より)


補足を加えますと、アメリカの商務省の統計によると、所得の上位20%が全所得に占める割合は50.4%にも達し、所得の上位と中位・下位の所得の伸び率は年々開いているため、格差はさらに拡大傾向が続く見通しです。所得の上位1%の世帯がアメリカの個人資産全体の34.3%、上位10%の世帯が同71.2%を保有しているという現実(2004年のデータ)を私たちは深く受け止めるべきでしょう。

そもそも資本主義と民主主義は相容れない制度であり、一方で弱肉強食の経済システムを正当化し、一方で平等主義のイデオロギーを唱えることは、矛盾することであります。しかし、その矛盾を解消してきたのが、福祉の役割を担う国家であり行政でありました。

資本主義の論理が推し進められれば推し進められるほど、二つの主義のあいだには大きな亀裂が生じ、その矛盾がごまかしきれなくなってきます。国家、行政の役割がますます大きくなるなかで、無駄な制度や組織は無くして、そのコストが浮いた分を経済的な弱者や福祉行政に廻していかなければなりません。


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2007年10月14日

SQの経験則

まず初めに、10/13(土)の日経新聞マーケット総合2面の市況解説の文章を紹介します。

(以下、日経新聞より紹介)

SQはその後の株式相場の上限や下限になりやすいという経験則がある。この日の個別銘柄の始値をもとに算出された10月限オプションのSQは17450円。しかし、実際の日経平均は終日この水準を下回り、市場では「幻のSQ」と話題になった。経験則通りならば、この水準は当分、日経平均の上値のメドと意識されそうだ。

(以上、紹介終わり)

私は2005年当時からこの経験則をいろいろな機会で説明してきましたが、今年に入って日経新聞でも何回か取り上げるようになりました。拙書「株式投資再入門」の190〜191ページでも書いていることですが、再度、補足も加えて簡潔に説明したいと思います。

SQ算出日は売買高や売買代金が膨らむため、株価がひとたびSQ値より上に行けば、SQ値が下値として強く機能し、逆に株価がSQ値より下に行けば、SQ値がシコリ玉となり上値が重くなります。

ゆえに、SQ算出日は相場の転換点として意識されています。SQ算出日の終値がSQ値を上回ると、その後の日経平均株価は上昇し、SQ算出日の終値がSQ値を下回ると、日経平均株価は下落する傾向があります。

SQ値 < 終値  ⇒  上昇する可能性が高い
SQ値 > 終値  ⇒  下落する可能性が高い

4週間後の株価で検証してみると、7割近い確率で傾向どおりになります。さらに、2週間後の株価で検証してみると、確率は7割を超えてきます。しかし、「SQらしからぬSQ」を除外すれば、経験則は9割近い確率に高まります。

「SQらしからぬSQ」とは、SQ算出日にもかかわらず、売買高や売買代金が通常の営業日と大して変わらないSQのことを言います。

それでは、10月に入ってからのそれぞれの営業日の売買高と売買代金を見てみましょう。

10/1  18億株 2兆3千億円
10/2  20億株 2兆5千億円
10/3  22億株 2兆8千億円
10/4  20億株 2兆7千億円
10/5  16億株 2兆3千億円
10/9  17億株 2兆4千億円
10/10 17億株 2兆2千億円
10/11 20億株 3兆円
10/12 19億株 3兆円

SQ当日の10/12(金)は、SQ特有の売買代金・売買高の急増が見られませんでした。これは「SQらしからぬSQ」で、SQの経験則が当てにならないケースになります。経験則に当てはめるとすれば、売買高で最低でも25億株、売買代金で3兆5千億円くらいは欲しいところです。

10/12(金)のSQ精算値は17450円、終値は17331円なので、経験則どおりに行けば目先の株価は弱含むという予想が成り立ちますが、以上の理由で経験則からは除外しても良いと判断できます。

SQの経験則を採用する場合には、売買高や売買代金も組み合わせて見る必要があります。それによって、経験則の精度は高まり、結果、売買判断の成功率も高まることになると思います。


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2007年10月09日

新興市場で買える銘柄(2)

前回の続きです。

(2)については、成長性が鈍化したと投資家に認識されることで、必要以上に売り込まれる銘柄が散見されてきます。例えば、これまで年率100%程度で成長していた企業が、今期予想で10%程度の成長しかしないと投資家に知れ渡ったときに、その株価の崩れ方は我々投資家の予想を大きく超えてくることがあります。

このようなケースでは投資判断としてのPERは役に立たなくなります。過去にPERで40倍〜50倍まで買われていたことがあったとしても、PER10倍割れまで売られることもありえます。前回の記事で述べたF社のような業績予想になると、このパターンに嵌まり込んでしまう可能性が高くなります。

しかしながら、このパターンでは下に行き過ぎた相場になることが必然のような動きをしますので、売り込まれたところは大きなリターンを得られるチャンスとなります。以前にも書きましたように、「上にも下にも行き過ぎた相場には必ず修正がある」からです。そして、それは相場の歴史によって証明されています。

(3)については、いちばん大きなリターンが得られることは、過去のデータからも周知の事実であります。特に、業績が赤字続きで倒産が心配されるような企業が黒字化の見通しになると、株価は予想を超えて上昇し、株価が数倍にもなるというケースも珍しくはありません。流動性がある程度確保されていれば、外国人投資家も再生銘柄として好んで買いを入れてくる傾向があります。

以上、三つの条件について書きましたが、(1)(2)(3)すべての条件に言える注意点は、現在の株価が業績推移予想をどの程度織り込んでいるのかを見極めることです。(1)(3)の条件において、株価が過去数ヶ月で大きな上昇を経験している場合は、将来の好業績を一度織り込みに行った可能性が高く、すぐに飛び付くようなことはしてはいけません。じっくり押し目を待ってから買いに行く時間的な余裕が求められます。また(2)の条件においても、下落途中の株価がどこで底打つのかの判断は極めて難しいものです。ファンダメンタルで説明がつかない株価まで下落したところをナンピン覚悟で買う資金的な余裕が必要です。

最後に、大きな損失を負わないための教訓を書いて終わります。

優良株にしても新興市場株にしても「絶対買ってはいけないとき」があります。それは、日経平均株価が下降トレンドにあるときです。日経平均株価が中長期的に下降トレンドにあるときは、相場全体が下向きであるということであり、新興市場株もほぼ一本調子で下げる傾向が強いからです。日経平均株価の下降トレンドが次のトレンドに転換するまでは、じっと様子見をすることも大事なことです。


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2007年10月03日

新興市場で買える銘柄(1)

前回の記事で新興市場は割安であると書きましたが、だからといって何でもかんでも買って良いというわけではありません。新興市場でも業績における勝ち組と負け組の企業の二極化が進みつつあり、株価が大きく反転する銘柄とこのまま低迷を続ける銘柄に分かれてくるのは自明の理であるからです。

買える銘柄の条件は、絞り込むと主に次の三つになります。

(1)好業績であり、かつ成長性が衰えていない銘柄
(2)好業績であるが、成長性が衰えたことで大きく売り込まれた銘柄
(3)前期赤字で今期黒字転換の見通しである銘柄

(1)については、成長率(業績変化率)とリターンの関係を意識しなければなりません。例えば、会社四季報で調べたA社からJ社までの成長率(業績の変化率)が次のようであったとします。なお、A社〜E社、F社〜J社はそれぞれ同業種とします。

A社 前期20% 今期予想30% 来期予想10%
B社 前期20% 今期予想30% 来期予想30%
C社 前期20% 今期予想30% 来期予想60%
D社 前期20% 今期予想30% 来期予想90%
E社 前期20% 今期予想30% 来期予想150%
F社 前期50% 今期予想100% 来期予想0%
G社 前期50% 今期予想100% 来期予想30%
H社 前期50% 今期予想100% 来期予想50% 
I 社 前期50% 今期予想100% 来期予想100%
J社 前期50% 今期予想100% 来期予想300%

このなかで、あなたがいちばん買いたいと思う銘柄はどれでしょうか?

当然、みなさんはE社とJ社を選ぶでしょう。それで正解です。

しかし、A社〜J社がそれぞれ異業種であったら、あなたはどれを選ぶでしょうか?

それでも、E社かJ社を選ぶ人が多いのではないかと思います。しかし、正解はひとつではありません。A社、F社、G社、H社の4社を除外することができれば、正解の範疇であると言えるでしょう。E社やJ社よりもB社、C社、D社、I 社のほうが、後に株価が大きく上昇することも十分にありえます。業種が違うと、業績変化率だけでは単純には比較できません。

A社、F社、G社、H社の4社を除外しなければならないのは、成長性が衰えたと投資家に認識されることが株価低迷の主な要因になりうると考えられるからです。特にF社のような業績推移予想になると、売り込まれる傾向があるので要注意です。

会社四季報の調査力がいかに優れているとはいえ、今期予想よりも来期予想のほうがブレは大きく、外してしまうこともままあります。それでも、投資家が投資判断として頼りにしているのが会社四季報であり、まずはこれを信用することから投資はスタートしなければなりません。

投資判断の修正は、企業が四半期の業績開示をするたびに、四季報と照らし合わせてズレが生じてきてからでも遅くはありません。

続きは次回書きます。


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