2008年01月

2008年01月23日

レポート

1/4の記事で「今後の相場のポイントを希望者のみにレポートでお教えしたい」と書きましたところ、レポート希望者のメールを1000件近くいただきました。未だにレポート希望者からのメールをいただきますので、希望者受付を本日をもって停止させていただき、その代わりにレポートの内容をブログ上で公開いたします。

レポートは「現状分析」「今後の分析材料」「日本株の現状」「正念場の日本株」「今後の焦点」「今後の投資方法」の6つの構成からなり、一部分を除いてはほぼ予測どおりになってきていると思われます。(ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、このレポートは11月末にラジオ日経に出演したときの内容がベースとなっています。)

なお、既に希望していただいているみなさんには、お約束どおり、あと数回(時期は未定)の特別レポートをお送りいたします。更新の少ない私のブログに、頻繁に訪れて支援してくださるみなさんへのせめてものお礼です。(特別レポートをブログ上で公開する予定はありません。)

以下、レポートになります。


【現状分析】

株式投資の王道は、上昇相場のときにリスクを取ってできるだけ利益を膨らませ、ボックス相場や下降相場のときはリスクを抑え、損失を抑えるように心がけることです。

では、今年の相場ではどうしたら良いのでしょうか?

昨年の損失を取り戻したいと考えている方も多いとは思いますが、ここは我慢し、リスクを抑え、損失を抑えるように心がけ売買することです。

具体的な方法としては、
(1)ポジションを控えめにする
(2)積極的に売買しない
(3)明らかに割安という局面で、少しずつ買い下がる

昨年2月の世界同時株安のときと違い、昨年8月からのアメリカ発のサブプライムローン問題は根が深く、アメリカ経済の減速だけでなく、信用収縮により世界のマーケットの過剰流動性そのものが失われてしまいました。アラブやアジアの政府系ファンドの度重なる欧米金融機関への出資により、金融危機だけは避けられそうですが、実体経済への影響はこれから出てくると予想されます。

いちばん重要なことは、アメリカの住宅価格の下落に歯止めがかかるのか、あるいはかからないのか、この一点です。住宅価格がこのまま下落し続けると、アメリカ経済の失速が予想され、欧米系の資金は株式から債券や商品へ逃避したままの状態が続きます。そのため、日本株を押し上げてきた外国人投資家の買いが期待できなくなってしまいます。

欧米の金融機関はいくら資本増強したとはいえ、リストラを進めると同時にリスク資産の圧縮を進めざるを得ない状況にあります。多くのヘッジファンドも相当の痛手を被っており、日本株のポジション整理にいまだに追われています。

売買代金シェアが高い日本株、特に優良株は損失の穴埋めに売られやすい状況です。最近の日経平均採用の225銘柄を見るとそのことがよくわかります。225銘柄は昨年10月の高値までは他の銘柄と比較すれば相場の急落時に下落率が少なかった銘柄です。つまり、外国人投資家がこれまで大量買いをしてきた銘柄でありますが、これまでの買いの反動で、サブプライムに絡む損失処理を迫られた外国人投資家が売却し株価急落を招いています。まして好決算を無視して売られている銘柄も数多くあります。

日経平均が他のアジア株に比べて下げがきついことも、以上のような背景があります。

今の外国人投資家には、日本株が安いとわかっていても買いに行く余力もさほどありませんし、何よりも魅力がありません。それは、福田政権の政治姿勢が構造改革から後退しているからに他なりません。

だから、日本の国内経済指標は相場にはほとんど影響しません。元々、完全失業率や鉱工業生産指数、全国消費者物価指数には反応しなかったのですが、ここ数ヶ月は、これまで相場に比較的影響を与えていた機械受注、GDPにも反応しなくなりました。アメリカの株価や景気を睨んだ相場が当面続くと考えて間違いないでしょう。日本株は6割超の売買代金シェアを占める外国人投資家の動きで株価が決定しているので仕方がありません。

また、こういう相場になるとテクニカル的な手法は通用しないので注意してください。


【今後の分析材料】

今後の株式市場を予想するにあたって重要なことを以下の三つに絞りました。

(1)住宅価格の動向
住宅価格も需要と供給で価格が決まるので、毎月下旬に発表される中古住宅販売件数と新築住宅販売件数が重要です。住宅着工完工件数も重要ではありますが、完工件数が伸びても在庫が増えているという現状があるので注意する必要があります。

(2)FRBの金融政策 
とりわけ次回のFOMCでの利下げ幅は0.25%になるのか、あるいは0.50%になるのか、非常に世界の株価に大きな影響を与えます。利下げは住宅価格の下げ止まりの特効薬にはなりませんが、市場はこれに期待するしかありません。直近のアメリカの株価を見ると、利下げに対する期待はと効果は徐々に弱まってきているように思われます。厳しい現状です。

大雑把ではありますが、以下のようにシミュレーションをしてみました。

1.追加利下げが0.50%の場合
… 株価が少しだけ戻す ⇒ 戻せばそこが売り場になる
  
2.追加利下げが0.25%の場合
… 株式市場は引き続き大きく下げる
  
3.追加利下げがない場合
… 株式市場はクラッシュする可能性が高い

⇒1月末のFOMCは(1)のケースの可能性が高くなりそうです。
  
その前に、このまま株式市場が下がり続けた場合は、緊急利下げがあるかもしれないことも想定しておくことも必要があります。市場の動揺が治まるきっかけになるとすれば、利下げしかありません。しかし、アメリカの景気失速懸念が強まりつつあり、利下げの効果も剥げ落ちてきています。

(3)雇用統計
市場がいちばん期待していることは利下げの継続による住宅市場の回復であります。その意味で、雇用統計は良すぎてもいけませんし、悪すぎてもいけません。雇用統計が強いと、インフレが進み次回の利下げがなくなるという思惑が働き、株価にとっては必ずしも良い受け止め方をされません。逆に弱いと、今の地合いではストレートに景気が悪くなると受け止められてしまいます。前月比10万人〜15万人の増加幅であれば問題はありませんが、15万人を超えてくるようであると、FRBも利下げに動きにくくなります。先月に続き5万人を割り込むようであると、株価は大きく下がることが予想されます。

その他にも、消費者物価指数や原油価格なども気にすべき指標ではありますが、FRBが軌道修正したことで今までほど注視する必要はなさそうです。

  
【日本株の現状】

日本株が割安な理由は、株式予想配当利回りが長期金利を上回っていることです。長期金利は1.4%台、予想配当利回りは1.5%台であります。

欧米の投資家はサブプライム問題の損失拡大を見越して大型優良株を中心に売ってきたことで、11/16の終値の時点で、株式の平 均配当利回りが長期金利をとうとう上回りました。これは、2003 年4月末〜5月初めに日経平均株価が8000円を割り込んだとき以来のことです。

日本株を下支えする要因は、以前ブログでも取り上げたように以下のようなものがあります。

(1)年金積立金を運用する独立行政法人が来年から新たに中小型株 を中心に運用する資金枠を設ける。

(2)中国政府系ファンドが日本株投資を始める。他の政府系ファンドも安いところでは買ってくることも予想される。

(3)国際優良企業の自社株買いによる買い支えも期待できる。

しかし、外部環境が悪すぎるため、ポジションは控えめにするべきでしょう。大きく儲けることを狙うのはやめて、リスク覚悟でこまめに1割〜2割の利益を取っていく方法しかありません。すなわち、大きく下へ突っ込んだところで買い、自律反発局面で売ることです。

もちろん、相場が落ち着くまでキャッシュポジションを多めにして様子を見るという方法もあります。こちらの方法のほうが、儲ける機会は放棄することになってもずっと安全です。


【正念場の日本株】

日経平均をトレンドから判断すると、今週は正念場を迎えることになります。というのも2006年5月から続いたボックストレンドの下限である14000円に接近しているからです。14000円を底値として反発しこのままボックストレンドを継続できるのか、あるいは14000円を割り込んで下降トレンドに転換してしまうのか、非常に重要なポイントとなります。

私のイメージでは、今回は14000円で一回反発し、次回の下げで14000円を割り込むような感覚で見ております。

欧米でよほどの好材料が出ない限りは、この流れは止まらないような気がしております。


【今後の焦点】

今年はサブプライム問題がプライム問題まで発展するのか否かに注意する必要があります。アメリカの9月末時点での住宅ローンの延滞率の内訳で、サブプライムローンの延滞率は16.31%で、前回発表の6月末の14.82%から上昇しました。

しかし、それよりも気にかかることは、プライムローンの延滞率も2%台から3%台に上昇していることでした。プライムローンまで焦げ付きが拡大すれば、被害がサブプライムローンの数倍 に拡大することになります。
12月末の結果次第で大きく相場がゆれることも想定しておいたほうが良いでしょう。

昨年初めから春にかけて住宅関連指標の落ち込みが急激に始まった段階でFRBが利下げをしていれば、ここまで深刻な事態にならなかったでしょう。FRBはインフレにおびえすぎていました。それが裏目に出て、株式市場から原油相場に資金が流入して、原油の高騰に拍車がかかりました。利下げを急がなかったために、かえってインフレ懸念を高める結果になりました。


【今後の投資方法】

景気動向を見極める目を養いながら、トレンドをしっかりと捉えること、そして次回の上昇トレンドまでは大きく相場を張らないことです。キャッシュポジションを高めにして、チャンスが来るまではどれだけ時間が経とうと我慢です。

トレンドの捉え方は、「株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれる」の1章〜3章に詳しく書いてありますし、「株式投資再入門」でも初心者向けに簡単に説明してあります。

「株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれる」の1章〜3章と「株式市場 強者の論理」の6章を組み合わせて好機を待つ投資が実践できれば、全体として苦労しない投資人生が送れることになると思います。(この手法は株式だけでなく為替や他の金融商品にも実践できます。)
 
底打ち感が出るとすれば、住宅価格が下げ止まり金融機関のサブプライムの損失がほぼ確定し終わること、プライム問題まで波及する心配がなくなること、この二つのことが市場で意識し始めるのがきっかけとなると予想しています。

それまでは、慎重に慎重を重ねて投資行動を取ったほうが好ましいです。

昨年から株式受難の年が始まりましたが、今年はFXが同じ道程を辿りそうです。レバレッジを効かせ過ぎていると、かなり厳しいことになるでしょう。FXをやっている方はご注意ください。

※レポートの注意点について
このレポートは予想の正確さを保証するものではございません。また、このレポートについてのご質問は一切受け付けることができませんのでご了承ください。


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2008年01月15日

日銀の金融政策の失敗(2)

日銀の金融政策の失敗について、もう一度だけ以前の記事の中から「日銀はまた過ちを繰り返す(2006年12月6日)」を再掲し、日銀とFRBとの比較を述べたいと思います。このブログを契機に、みなさんに少しでも日銀の金融政策に関心を持ってもらえたら幸いなことです。

(以下、「日銀はまた過ちを繰り返す」より再掲)

マスコミは日銀出身の政治家をよく「政策通」と評します。相次ぐ金融政策の失敗で多くの国民を経済的苦境に立たせた日銀出身の政治家のどこが政策通なのでしょうか。民間企業のレベルでたとえれば、あれだけ失敗を続けてきた日銀は会社更生法を適用して出直すのが筋でしょうし、日銀マンは潰れた会社のダメ社員というレッテルを貼られても当然でしょう。

その日銀の福井総裁が相も変わらず愚行を繰り返そうとしています。ここ数ヶ月の消費関連の指標がいずれも弱くなっているにもかかわらず、福井総裁は「景気は息の長い拡大が続く」という認識を崩すことなく、政策金利の引き上げに執念を燃やしています。

以前にも書きましたが、中央銀行にはインフレとの戦いが使命であるというDNAがあり、そこに誇りを見出している幹部が多いことも事実です。「中央銀行の一番の仕事はインフレ抑制である」という一昔前の発想に縛られるあまり、タイミングの悪い時期に利上げをすることで景気を失速させる可能性が高まることは容易に推測できます。

利上げによって恩恵を受けるのは企業(とりわけ大企業)です。長く続いた平成不況で企業は借金を返すことに腐心してきたので、上場企業全体でみると空前の金余りとなっていますし、キャッシュリッチ企業の場合は預金金利だけでも企業の増収効果に少ないながらも寄与しています。

これに対して、打撃を受けるのは国民と中小企業になります。預金金利の上昇のメリットを受けるのはごく一部の富裕層だけで、4分の1の世帯が正味の貯蓄が(ほとんど)ない現状を考えると、借金の金利が高くなるというデメリットのほうが大きいでしょう。まだ病み上がりで好景気の恩恵を受けていない大多数の中小企業も資金繰りに不安を抱えることになるでしょうし、恩恵を受けている一部の中小企業にしても設備投資等に慎重にならざるを得ないでしょう。

現状の消費を支えているのは、借金をして消費をしている平均的な家計部門であります。決して一部の富裕層だけが消費を支えているわけではありません。金利の引き上げはこういった家計部門の消費を弱め、景気を縮小のスパイラルへと導くリスクを多分に孕んでいます。

消費は消費者の心理に大きく左右されます。負債のリスクが徐々に国民のなかに浸透し、国民全体に消費を控えようとする流れが起きることが、景気にとっては一番心配されます。

月並みな言い方ですが、賃金の上昇により消費の拡大が確認されるまでは、日銀は利上げを急ぐべきではありません。

日銀は自らの金融政策の失敗により多くの国民が不況に苦しんできたという事実をしっかりと認識し、これを反省することから始めなければならないと思います。そのうえで、経済指標ばかりを眺めているのではなく、現実の国民の生活がどのようになっているのかを把握するよう努めるべきです。「独立性」=「無責任」では決して許されません。

私は日銀総裁と副総裁だけでも国民審査の対象にする必要があると感じています。

(再掲終わり)

FRBは昨年初めからの住宅市場の落ち込みよりもインフレの進行を重く見て、利下げの判断が遅れ、金融政策に失敗しました。それにより、サブプライム問題はより深刻な問題となり、ドルや株式から逃避した資金は商品に流れ込み、かえってインフレ率が上がるという結果を招いてしまいました。

しかしながら、バーナンキ議長は10日の講演で、前回の声明文にあるようなインフレ警戒の姿勢を修正し、今月末のFOMCでの大幅な利下げを示唆しました。自分たちの失敗を素直に認め軌道修正をしたことは、その後の結果はどうあれ評価に値します。

これに対して、日銀は未だに軌道修正をしていません。利上げにこだわるあまりに利下げという選択肢がまったく存在しないと考えているのであれば、日本の景気は急失速する可能性が高いと思います。すぐにでも利下げを決定するべきでしょう。

私の意見が、日銀の失敗を修正する世論形成の蟻の一穴になればと願っています。


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2008年01月12日

日銀の金融政策の失敗(1)

日銀の金融政策は我々の生活に大きな影響を与えています。日銀が判断を誤ることにより、景気が大きく後退し、みなさんの賃金やボーナスが激減したり、勤める会社が倒産したりすることもありえます。

日銀の金融政策の失敗についてはこのブログでも時々取り上げてきましたが、今回は「資産運用塾〜New〜」として再開する前の記事の中から「日銀の金融政策の失敗(2006年7月17日〜18日)」を再掲し、補足を加えたいと思います。

(以下、「日銀の金融政策の失敗」を再掲)

アメリカ経済の減速または失速の懸念があるばかりでなく、中東情勢が悪化し原油高に拍車がかかりそうな局面にあるのに、どうして「いま」ゼロ金利解除を急ぐ必要があるのでしょうか。原油高を背景にした世界的なインフレ傾向があるとはいっても、日本にとってインフレはもはや死火山のようなものです。アメリカの数倍もお金を刷り散らかしておいて、インフレになる兆候すらもありません。国家破産でもしない限り、金融当局が心配するようなインフレは来ないように思われます。

そもそも私は、以下のような三つの理由から、福井総裁は日銀総裁としては不適格だと考えています。

(1)過去に金融政策の失敗を繰り返している
(2)日本国民より外資の利益に貢献している
(3)古い中央銀行の体質に引き戻そうと画策している

(1)については、福井総裁は1980年代に日銀の営業局長として、銀行に投機的な不動産融資を拡大するよう指導してきた経緯があります。その指導のもとで、日銀は金融市場のマネーの量を段階的に増やし、ほとんどの銀行が日銀から振り分けられる貸し出し枠を消化するために、過剰な不動産融資にのめり込んでいきました。バブルを加熱させる原因をつくりだしたのは、当時の責任者である福井総裁(当時営業局長)であります。

その後バブルが崩壊し、銀行が不良債権をたくさん抱えると、日銀は金融市場からマネーを引き上げて、銀行が資金を調達しづらい状況をつくりだしました。このことが銀行の貸し渋りの原因となり、多くの企業や個人事業主が一番苦しいときに資金を都合できずに、倒産や廃業に追い込まれました。このときも金融政策を実際に指揮していたのは福井総裁(当時副総裁)であります。

要するに、福井総裁はバブルを加熱させた張本人であり、平成不況を長引かせた張本人でもあります。どうしてマスコミはこのことを調べて報道しないのでしょうか?不思議でなりません。

私はかつて税務の仕事をしているときに、会社が倒産して失業したり、自宅を競売にかけられたり、自己破産をしたり、夜逃げをしたりした人々を数多く見てきました。日銀がもう少しまともな金融政策を打ち出していれば、このうちのどれだけの人々が救われたかと思うと、今でも怒りを感じます。福井総裁にはこういった人たちの苦しみはわからないでしょう。

(2)については、福井総裁がこれまで責任ある立場で指揮してきた金融政策を結果だけから判断すると、福井総裁はアメリカ資本の手先ではないかとどうしても思えてしまうことです。バブル崩壊後にアメリカ資本が日本の土地を買い漁り、破綻企業を二束三文で買い取ったことは周知の事実です。

ドイツ人の経済学者であるリチャード・A・ヴェルナー氏の著作「なぜ日本経済は殺されたか」のなかから、このことを端的にあらわした文章があるので引用します。

(以下引用)

バブルも不況も福井さんの計画通りになってきた。計画の目的は、日本の構造改革をすること。それから、ウォール街金融財閥の日本でのマーケットシェアの拡大。さらに最終的には、もう少し大手銀行や大手企業を倒産させて、安くウォール街財閥に売りに出して、それで終わり。実際、銀行だって三井住友みたいに、ゴールドマン・サックスの出資を仰いだりしている。福井さんはゴールドマン・サックスの顧問だったのだから、まさに計画通りです。その計画はまさに最終段階に達しています。

(引用終わり)

ヴェルナー氏は「福井総裁は日本経済を殺した確信犯である」と断定していますが、私は福井総裁が単に無能だったからアメリカ資本の手先として利用されたのではないかという疑念のレベルで見ています。

(3)については、中央銀行にはインフレとの戦いが使命であるというDNAが古くからあります。インフレとの戦いに誇りを見出そうとしている日銀幹部も多いはずです。福井総裁は「中央銀行のプライドを取り戻すためにゼロ金利を解除しようとしている」とひそかに思っている日銀職員もいたことでしょう。各国の中央銀行が金融引き締めを続けるなかで、福井総裁にも早くその仲間に加わりたいという思いと焦りがあったことは、私にも容易に想像できました。

(1)は事実ですが、(2)と(3)はひょっとしたら私の穿った見方かもしれません。しかし、福井総裁のこれまでの金融政策とその結果を総合すると、どうしても三つの点が複雑に絡み合っているように思えてなりません。そこには「自分の利益と目的のためなら国民を犠牲にできる」というスタンスが見え隠れしています。

前回のゼロ金利解除においては、日銀は時期を見誤り(あるいはわざと誤ったのか?)、立ち直りかけた景気を奈落の底へ突き落としました。当時は年間3万人を超える自殺者のうち7割以上が経済的理由での自殺者でした。昨年も3万人を超える自殺者が出ており、経済的理由からの自殺者が第2位でありました。それにもかかわらず、日銀で責任を取った関係者は誰一人いません。おかしいと思いませんか?

そして、今回のゼロ金利解除の決定も、やっていることが逆説的で理解できません。経済学者のなかにはゼロ金利解除は当然という意見もありますが、本当にそうなのでしょうか?経済をさまざまな角度から総合的に判断する能力が欠けているような気がしてなりません。金融政策をそのときの経済指標だけで判断するのであれば、誰にやらせても結果は同じでしょう。それならば金融政策の判断はコンピューターにやらせておけば事足ります。無能な日銀政策決定会合などは開く必要もありません。

景気の拡大基調は首都圏に集中していて、地方にはまだ拡大といえるほどの力強さはありません。地方はやっと回復してきたという程度であり、何よりも勤労者層の所得が首都圏に比べて伸びていません。全国的に見ても、実際の経済指標と国民生活の実感では大きな開きがあります。加えて、貯蓄よりも借金が多い若い世代の負担増は避けられませんし、そのことで生活のゆとりがさらに削られ、少子化に拍車がかかる一因にもなるでしょう。

バブル崩壊後に借金を返すのに必死で努力してきた企業や国民の生活を再び脅かすことがないように、日銀には先見性のある金融政策を実行していってほしいと切に願っています。

今回は長年思っていたことが積もり積もって、かなり辛口なコメントになってしまいました。お許しください。

(以上、再掲終わり)

以上は約1年半前の記事ですが、日銀はその後、「日本経済は緩やかな景気拡大を続けている」という見解を崩さずに、利上げへの執念を見せてきました。このブログでは、「緩やかな景気拡大により賃金が上昇し、物価が上昇する」という先見性のない見通しに固執する日銀の愚かさを、何回も指摘してきました。

企業の4分の3が中小企業であること、被雇用者の90%以上が中小企業に勤めていることを考えると、賃金の上昇を確認するには中小企業の動向を注視しなければなりません。それにもかかわらず、日銀は大企業の業績動向や賃金上昇にばかり注目し、中小企業の厳しい現実を直視してはきませんでした。現在、既に多くの中小企業が疲弊していて、それは倒産件数の上昇傾向にもあらわれてきています。

漸く昨年末になってから、福井総裁はこれまでの見通しの下方修正を迫られました。しかし、遅きに失したという感もあり、見通しを下方修正するのであれば、金融政策決定会合で利下げを提案するくらいの潔さが必要であったと思います。

昨日、日銀の武藤副総裁が「現在の利上げは困難」との認識を示しましたが、景気が失速することが予想(個人的には確実視)されるなかで、なぜそこまで利上げにこだわるのか、日銀の考えは私には到底理解できません。


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2008年01月04日

勝負の2年は終わった

昨年夏に欧米でサブプライムローンの問題が起こってから、「仕手株でしっかり儲ける投資術」の読者からよくお褒めのメールをいただきます。

というのも、2年4ヶ月前の2005年9月に発刊された『仕手株でしっかり儲ける投資術』の「はじめに」の文章のなかで、私は次のように書いているからです。

(『仕手株でしっかり儲ける投資術』(2〜3ページ)から引用)

日経平均が2003年5月初旬にバブル崩壊後の安値7609円を付けてから、これまでの相場は堅調に推移しており、個人投資家でも多少の投資技術を持っていれば、この2、3年で資産を数倍にすることは十分に可能でした。

しかし、世界的な株高が続くのは長くてもあと2年と見ています。世界経済はアメリカの住宅バブルによる過剰消費によって支えられています。バブルはそう遠くない将来に弾けます。また、原油高も一段と進み、早晩80ドルは超えてくると予測しています。その結果、世界経済は減速し、世界的な金余りで株式市場に流れていた投資資金は、別の金融商品に怒涛のごとく逃避するでしょう。★

あと2年のあいだにそれなりの資産(5000万円〜1億円程度)を築くことができれば、外国債券や外貨預金の金利だけで生活していける時代がやってきます。あと2年が勝負です。そのあいだに高いリターンが期待できる株式投資で資産を築きましょう。

(原文では★印のところに「株式の次は債券や商品の投資妙味が増してくるはずです。商品では、まずはじめに原油が上がり、次に貴金属や穀物へと投資資金が流れていくでしょう。」という文章が続くのですが、「はじめに」のページ数の都合で削除されてしまいました。)

( 引用終わり )

実は、私がこの本でいちばん言いたかったことは「はじめに」の文章のなかに集約されています。特に後半部分がそうなのですが、興味のある方はもう一回読み返してみてください。

また、2006年5月に発刊された『株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれる』でも、「外国人はいつ売ってくるのか〜上昇トレンドの終わりを大胆に予測する」という項目のなかで、次のような警鐘を鳴らしておりました。

(『株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれる』(215〜216ページ)から引用)

現在の世界的な株高を支えるもうひとつの重要な要素は、住宅バブルによって景気拡大を続けるアメリカ経済です。アメリカ人は住宅価格が値上がりすることを前提に、住宅を担保に借金をして過剰に消費をしています。住宅価格の高騰によって、資産的に十分余裕があるという感覚で安心して消費をしているのです。さらに、利子だけを払えばいいという融資が、住宅価格の高騰を後押ししています。家賃のように利子を払い、元本は住宅売却代金で返済し、値上がり益を次の住宅購入の資金に充てるというものです。競争激化のため金融機関の融資の審査も甘くなり、融資額は増加の一途を辿っています。

日本のバブル期の土地投機に似ていて危険性を感じますし、少し冷静になって考えれば、こんな異常な経済拡大がいつまでも続くはずがありません。住宅価格がひとたび大きな下落をすれば、個人消費は急失速すると同時に、銀行は巨額の不良債権を抱え、金融危機すら起きかねない状況になるでしょう。

FRBは住宅バブルを崩壊させずに軟着陸させることに重点を置いて、ここ数年の金融政策を決定してきました。FRB前議長グリーンスパン氏は住宅バブルに一番の懸念を表明していました。住宅バブルの原因が低金利にあると考えて、利上げを繰り返してきたのはそのためです。FRBの金融政策が成功するかどうかはまだわかりませんが、歴史上バブルが弾けなかったことはありません。住宅バブルが減速すれば、アメリカの株価暴落が始まり、世界的な株価暴落に波及していく可能性が高いと考えられます。

( 引用終わり )

私は『株の勝ち方は…』の発刊以降、さまざまなメディア関係者に、アメリカの住宅バブル減速による世界経済の混乱の可能性が高まっていることを繰り返し申し上げてきました。

日本経済新聞社主催の懇話会で、かの有名な藤巻健史氏は「サブプライム問題はまったく予想できなかった」と述べていました。これもおかしな話です。

相場の歴史が証明しているように、金利を上げていくと、借金で大きい買い物をする需要は減少し、やがては需要が供給を上回るようになります。住宅を担保に借金をして消費をするアメリカ的な経済に、住宅価格が一回天井を打てば何が起こりうるかは容易に想像が付くはずです。

ですから私は、グリーンスパン氏自身が「住宅価格の高騰を抑えるために利上げを継続したとしても、住宅バブルは防げずに崩壊するだろう」と予感しているのではないかと、当時から感じ取っていました。

ましてや金融機関の低所得者向けの融資基準が甘かったことに対して、当時のFRBはほとんど有効な策を講じることができないでいました。そこへ、金融工学という相場の実戦では通用しない理論をもとに、債券が証券化されて世界にばら撒かれ、今回の欧米の金融機関の多額損失計上という問題に発展することとなりました。金融工学によるリスク分散理論が、アメリカ国内だけで完結するリスクを世界中に分散したことで、かえって金融危機の可能性を高めてしまいました。

最近になって、グリーンスパン氏が講演やインタビュー等で、中央銀行の政策ではバブルは抑えられないといった趣旨の発言をしていますが、やはりそう考えながらのやるせない利上げ継続だったのかということが再認識できました。

既に高いリターンが期待できる勝負の2年は終わりました。しかし、決して悲観することはありません。拙書のなかにもそのヒントは随所に書かれております。

当ブログの読者のみにそのポイントをレポートにしてお教えしたいと思います。希望する方は「レポート希望」と書いてお問い合わせください。


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