2008年04月

2008年04月25日

原油相場高騰の背景

NY原油相場は2月に100ドルを超えてから、4月に二回目の100ドル割れを試しましたが、終値は100ドルを割れずに反発ました。そのときに、「株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれる」の読者のみなさんは、原油相場が新しい上昇トレンドの入ったことを認識されたと思います。

どこまで上昇するかはトレンドの理論に従うしかありませんので、高値の予想は難しいです。それでも敢えて予想すると、上昇トレンド入りしてから30%前後上昇したところ、つまり130ドルくらいがひとつの目安となるのではと考えています。

昨年後半からの原油相場は、世界の投資マネーの流れが変化したことで、実需とはかけ離れた価格形成がされています。ここのところアメリカの原油在庫が増加傾向にあるにもかかわらず、上昇トレンドに入ったこともあり、高値追いに勢いが付いてきています。

しかし、株価とは違い、原油相場は暴落することはないと考えています。それは、NYの原油先物市場の市場規模があまりにも小さすぎるからです。

世界の各種市場の規模を推計して比較してみると、世界の株式市場の時価総額が6500兆円、債券市場が5700兆円、商品市場が1000兆円になります。商品市場の規模は、原油や金属、農作物の年間生産量を合わせても1000兆円程度と推定され、世界の株式市場・債券市場の1/5にも達していません。さらに、現物価格に大きな影響を与えるNYの原油先物市場は15兆円、金の先物市場はわずかに5兆円の規模しかありません。

それぞれの市場の規模が大きく違うことによって、価格形成のメカニズムに大きな歪みが生じてきています。金や原油などの商品市場は、時価総額が株式市場や債券市場に比べてあまりに小さく、株式市場や債券市場から資金が一部だけでもシフトしただけで、商品相場は大きく押し上げられてしまいます。現物市場の価格形成に大きな影響を与えているNYの原油や金の先物市場がはるかに小さい市場であることが、ここ数年の原油や金の高騰の主な原因になっています。

本題とは異なりますが、今年に入って逃げ遅れた個人投資家にとっては好機が訪れています。日経平均株価が14000円を超えてくる場面では、ポジションを縮小して様子見をするのが安全だと思われます。


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2008年04月13日

理解できない株価には近づかない

アメリカで大企業のリストラが進んでいるなか、月初の雇用統計の大幅な悪化は予想していましたが、株価が思いのほか下がらなかったのは予想外でした。

前回の記事でも書きましたが、NYダウは昨年の高値から1割も下げていない水準を保っています。こういうときが、実はいちばん恐いのです。株価が実体経済とあまりに乖離した高値圏で推移しているからです。

このブログ上では、アメリカ経済が後退局面に入る可能性が極めて高いことを、既に昨年の11月から述べていました。よって、11月の短期リバウンド相場では、大胆にポジションを解消したほうがよいと強いメッセージを発信しました。(その前に、世界の株価暴落の可能性が高いことは、2007年7月29日の記事で述べていました。)

4月に入って、バーナンキFRB議長が議会証言において、景気後退の可能性を初めて認めました。それでも、大手金融機関が次々と増資に成功したり、ベアー・スターンズの救済計画が公的救済に近いことが明らかになったりして、株価は底堅い動きを見せていました。しかし、これらの好材料により目先の金融危機は回避できたものの、景気後退への大きな流れは全く変わっていません。

私には今のアメリカの高い株価は理解できません。理解できない株価では投資はできません。だから、景気後退の底打ちを確認するまでは、ゆっくりと次のチャンスを待ちたいと思います。

私がこういった心境になるのは、1999年のITバブルのとき以来です。当時、株式投資を始めようと思っていましたが、理解できないほど株価が高水準であったために、「あと2、3年先のほうが安全だ」と見送ったことをよく覚えています。

後で知ったことですが、バフェットもITバブルの時に、理解できないものには投資しないという姿勢を貫き、ITバブル崩壊の被害を最小限に抑えることができたと言われています。

相場がバブルにあるときや景気後退が予想されるときは、相場を大いに休みながら、相場を見る目を磨くことが大事あると思われます。


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2008年04月03日

今後の焦点

レポートを受け取っている方々には申し訳ありませんが、このブログの読者のみなさんが今後の展開を予想するうえで重要ですので、3/24のレポートからほんの一部だけ引用してブログ上で紹介したいと思います。

(以下、レポートから一部引用)

今後の焦点として、ポイントは4つに絞られる。

(1)プライム問題への拡大を見せるのか
米抵当銀行協会が今月6日に発表した昨年10-12月期の住宅ローンの延滞に関する調査によると、住宅が差し押さえになったローンの割合は2%を超え、過去最悪の水準になった。昨年から予想してきたように、サブプライムローンだけでなく、信用力の高いプライムローンでも変動金利型を中心に差し押さえが増えていることも調査結果には表れてきている。サブプライムローンからプライムローンへの波及が現実味を帯び始めてきた。
 
(2)欧州へ金融危機が拡大するのか
欧州では減損会計を適用しているところが多く、損失の表面化がアメリカよりも遅れている。イギリス、スイスなどの金融機関から第二のベアー・スターンズが出てきてもおかしくはない。 

(3)政府が抜本的な解決策を打ち出せるのか
サブプライムローンが住宅ローン全体に占める割合は13%にすぎず、プライムローンの割合が80%であることを考えると、ブッシュ政権があと数ヶ月のうちに公的資金注入などの解決策を打ち出せなければ、波及の程度によっては深刻な金融危機が起きることも想定しておかなくてはならない。FRBが大規模な資金供給に動いても、住宅価格の下落を抑えることはできない。また、金融機関の債務超過のリスクを回避するためには、流動性を供給するだけでは解決できない。資本を増強し、健全性を高めることが求められる。FRBにはもはや有効的な手段を講ずることはできない。
 
(4)政府系ファンドが再度、欧米の金融機関への増資に応じるのか
アラブや中国、シンガポールなどの政府系投資ファンドが欧米の金融機関の大規模な増資に再度応じるかどうかも、今後の重要なポイント。金融機関の増資による資本増強は避けられないためだ。しかし、欧米の金融機関の増資に応じた政府系ファンドは含み損を抱えている。例えば、中国投資有限公司は既に大きな含み損を抱えている。アメリカのファンド、ブラックストーンへ出資したが、株価は取得価格の半値に急落した。為替差損が追い討ちをかけ、多額の含み損となっている。新規投資には慎重になっている。他の政府系ファンドも同じような状況であり、ドル安が進む段階では簡単には応じないだろう。

(以上、一部引用終わり)

(3)について、その後の経過も含めて大きな動きがありました。FRBのベアー・スターンズへの特別融資で、将来損失が出た場合はJPモルガン・チェースやニューヨーク連銀が負うことになっていますが、ポールソン財務長官がNY連銀ガイトナー総裁に対して「財務省がニューヨーク連銀の損失を肩代わりする」と確約していたことが明らかになりました。これは、直接の公的資金の投入ではないにしても、間接的に国民負担が生じ、公的な救済策と捉えることができます。

この救済策に世論がどう反応するかで、政府がサブプライム問題を決着させるための次の大きな一手を打てるのか否かが決まってくるように思われます。おそらくは、世論の反応は良くはないでしょう。

4/1には、リーマンブラザーズの増資が大成功をしたことやUBSが増資計画を発表したことを好感して、アメリカの株価は大幅に上昇しました。それでもまだ、金融危機の可能性が残っていますし、景気後退への大きな流れは変わらないと予測しています。流れを変えるとしたら、本格的な公的資金の投入しかありません。

市場に大量に供給された資金が債券や商品から再度株式に流入しているとはいえ、アメリカの株価が異様に底堅いのが気にかかります。NYダウは昨年の高値から1割しか下げていない水準を保っています。

こういうときが、実はいちばん恐いです。


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