2008年12月

2008年12月25日

2008年総括(2)投資環境のパラダイム転換

我々が今、直面しつつあるのは、これまで安定したパフォーマンスをあげてきたはずの資産運用の常識が、もはや通用しないという投資環境です。これまで投資の世界では絶対的常識と言われてきた「国際分散投資」や「長期資産運用」ですら、昨年からの景気後退期
では全く通用しないことが証明されました。

「国際分散投資」とは、違う値動きをする国内外の株式と債券などに分散投資をすることで、この投資方法を実践していれば、たとえば国内株式が値下がりしても、外国株式や国内外の債券によって損失分を補うことができました。

しかし、「世界同時株高」や「世界同時株安」という言葉が数年前から頻繁に聞かれるようになりましたように、2000年代以降、国内外の株式のみならず、コモディティ含め、各々の金融商品が同じ値動きを見せるようになってきました。

各国の経済の連動性が高まり、たとえばアメリカ株が下がれば他のすべての国の株式が下がるように、NYの原油先物が下がれば他の商品相場が下がるように、分散投資のメリットは明らかに低下してしまいました。

もう一つの常識である「長期資産運用」についても、全く当てにならないということを認識しなければなりません。もちろん、その複利効果は計算上大きな期待をできるものですが、それも景気拡大期なればこその話です。景気後退局面においてもそのまま運用を続け
ていれば、資産を大きく目減りさせてしまうだけです。

これまで個人投資家の理想のスタンスとされてきた「国際分散投資による長期資産運用」の最大の弱点は、世界経済の拡大を前提としている点にあります。しかし、その前提が既に昨年秋口から崩壊してしまったのです。

世界経済を引っ張るアメリカ経済の底が見えるまでは、株式のポジションは極力持たないことです。その景気がどこで底を打つのか、ポイントはずばり、「住宅価格がどこで下げ止まるか」の一点です。本来であれば雇用統計を見れば景気動向が比較的早く先読みできるのですが、今回は住宅バブル崩壊という特殊な状況ですから、住宅価格に着目するのが良いでしょう。

資産運用をこれから始める人、あるいは余裕を持って待ちに徹している人にとっては、チャンスがいつ来ても良いように、準備を整えておくとをおススメします。

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2008年12月20日

2008年総括(1)経済のパラダイム転換

サブプライムローン問題以後、世界経済のパラダイムは大きく変化しています。こうした経済環境の変化は、これまでセオリーとされてきた資産運用の常識が通用しなくなることを意味しています。

まず認識しなければならないのは、世界経済の景気後退期は昨年の秋口には始まっていたということです。この景気後退、あるいは停滞期は短くても3年、長ければさらに数年も続く可能性があると見ています。

これまで世界経済を牽引してきたのは、間違いなく消費大国アメリカです。しかしその頼みのアメリカも、景気や株価が低迷した1970年代前半の時よりも明らかに景気は悪い状態にあります。70年代前半には株価は高値から半分になり、70年代を通しても株価はほとんど値上がりしなかったことを考えると、アメリカの株価が昨年の高値を奪回してくるのには相当な期間を要すると考えるのが妥当でしょう。

70年代の不況期に、アメリカに代わって世界経済を支えていたのが、高度成長期にあった日本です。今で言うところの新興国の役割を果たしていて、今の中国やインド並みの経済成長率を達成していました。

そして2000年代に入ってから、アメリカがITバブル崩壊で景気後退に入った時に、世界経済を下支えする役割を担ったのが、中国とインドでした。しかし、両国ともサブプライム問題の世界的波及によりその成長率を鈍化させていくことは間違いありません。

今年初めから中国の沿海部を中心に下がり続けている不動産価格の影響も気になります。タイミングはわかりませんが、近い将来、中国もアメリカと似たような深刻な経済危機に陥る可能性すらあります。

GDPとは人口と生産性(教育水準に比例することが多い)を積算した数字です。中国とインドは、ともに圧倒的な人口を誇り、教育水準も高い。そうした条件を備える国家は、中国とインド以外にはもう存在しません。タイやベトナムはもちろん、ヨーロッパも世界経済を下支えできるほどの存在とはなり得ません。

つまり、世界経済を牽引してきたアメリカ経済が停滞し、それを下支えする国々はもはや存在しないのです。それらの事実は、世界全体の景気後退期が長引くことを意味しています。

多くのエコノミストたちが、昨年のうちは「アメリカ経済が停滞しても、新興国が世界経済を引っ張ってくれる」「景気は来年回復する」というようなことを言っていましたが、世界経済やサブプライム問題の本質的な構造が理解できていれば、そのような発言は出てこなかったと思われます。

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2008年12月08日

急がば回れの精神

私たち個人投資家は、上昇トレンドでも、ボックストレンドでも、下降トレンドでも、どのトレンドでも冷静に対応できる売買手法を学ぶ必要があります。

上昇トレンドでは、知識や売買技術があるなしに関係なく、ただ何となく買っているだけでも利益を得ることができます。ある程度勉強して自信がついてきたところでこの上昇トレンドを経験してしまうと、多くの個人投資家は「自分の売買手法は優れているから、株式投資で儲けることは簡単である」と勘違いしてしまいます。上昇トレンドでは誰でも儲かって当たり前だという現実に気づきません。

そして、ボックストレンドや下降トレンドを経験することで初めて、自身の売買手法が通用しないことを知って苦しむことになります。数年前からさまざまな著書のなかでも同じようなことを書いてきましたが、まさしく2007年以降からはそのような相場となってしまっています。

厳しい相場のときほど、自分自身の売買手法の真価が問われます。自分の投資スタイル(デイトレード・短期売買・中長期投資など)に合わせて研究実証を重ねてみて、本当に有効だと思える手法を臨機応変に取り入れたり、組み合わせたりしていくべきです。

資産を大きく増やすのに最もリスクが小さい方法としては、「上昇トレンドでできる限り大きく利益をあげ、ボックストレンドや下降トレンドではなるべく損失を出さないような売買を心がける」ことです。そのためには、しっかりとトレンドを把握して、トレンドごとに柔軟に投資期間やポジションの調整する能力が重要となります。

ボックストレンドや下降トレンドで無理な勝負をして、マーケットから撤退するケースが後を絶ちませんが、安易に短期間で儲けたいという気持ちをいったんどこかに置いておいて、「急がば回れ」の精神で売買に臨んではどうでしょうか。「勝てる地合い(トレンド)」を待って勝負するだけでも、大きく結果が変わってくるものと思われます。

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