2010年05月

2010年05月27日

アメリカ経済は再び後退に向かう

今月中は多忙につき、オリジナルな記事が書けずに申し訳ございません。とはいっても、記事を期待している方も多いので、今回も5/8のメルマガの転載により、アメリカ経済が再び後退に向かうシナリオについて述べたいと思います。

(以下5/8のメルマガより一部転載)

今回のギリシャ危機はECBの金融政策の失敗に起因しています。その発端となったギリシャ国債が下落し始めたのは、ECBが昨年秋まで実施していた非常時対応の資金供給を縮小したからでした。欧州の金融機関はECBが過剰に供給するユーロでギリシャ国債を大量に買っていました。金融機関にとっては、企業に融資するよりもユーロとギリシャ国債の金利差で儲けたほうが確実だったので、そのような取引が横行していました。しかし、ECBに資金供給を止められ、金融機関は梯子を外されました。過剰流動性の蛇口を閉められれば、ギリシャ国債を売って資金を回収するのは当然の行為です。

これと同じ構図を持つ問題が、アメリカで早くも現れてきています。6日に、フレディマックが米財務相に106億ドルの融資を求めていることが明らかになりましたが、これはFRBが3月末に住宅ローン担保証券の買い取りを終了した影響が出てきたためです。エコノミストやアナリストの多くがこのフレディマックのニュースの重要性を見逃しているようですが、この問題はやがては同じ住宅公社であるファニーメイの財務問題、住宅ローン担保証券の下落、住宅販売数の減少、住宅価格の下落と、延焼するように広がりを見せて行く可能性があります。

FRBが住宅ローン担保証券の買い取りを3月末に終了すること、オバマ政権が住宅購入減税策を4月末に終了することによって、スケジュール的に「株高は4月中まで、5月は軟調になる」と数か月前から繰り返し述べてきましたが、いよいよその兆候が徐々に現れてきました。

(転載終わり)

実際に、以上の文章を買いて間もない10日に、ファニーメイが米財務省に84億ドルの追加支援を求めると発表しました。

フレディマックとファニーメイの新聞記事は、欧州の財政危機ばかりが大きく騒がれていて、非常に小さい扱いでした。しかし、これらの記事が今後のアメリカ経済にとってどういう結果をもたらすかは、容易に想像できると思います。

私が不思議でならないのは、ECBの金融政策の失敗をわかっていたにもかかわらず、FRBは何故ECBと同じ誤りを繰り返してしまったのかということです。ECBは間接的にギリシャ国債を、FRBは直接的に住宅ローン担保証券を買っていたという違いはあるものの、まったく同じ構図の上に成り立っていたのです。

普通に考えれば、ECBの失敗を見るまでもなく、FRBが住宅ローン担保証券の買取りを3月末に終了した時点で、同証券の唯一の買い主体がいなくなるわけですから、遅かれ早かれ住宅公社が行き詰まることはわかっていたはずです。

同じ金融政策を実行するにしても、FRBは住宅ローン担保証券の買取り額を段階的に縮小し、市場の推移を検証しながら、金融政策に修正を加えていくべきだったのではないでしょうか。

この問題は、
(1)住宅ローン担保証券の下落→金融機関の含み損拡大
(2)住宅販売数の減少→住宅価格の下落→金融機関の不良債権増加
という二つの大きな流れを形成するでしょう。

中古住宅や新築住宅の販売件数も5月分(6月下旬発表)からは著しく落ちる可能性が高く、金融市場では今後の住宅価格の下落が強く意識される展開が予想されます。

5月の連休明けからアメリカの株価が大きく下落し始めたのは、欧州の財政危機だけでなく、深層ではそういった読みから売りが止まらないからだと分析しています。

ブログランキング←応援クリックお願いします!

asset_station at 05:23|この記事のURL経済・相場分析 

2010年05月22日

今後の欧州の見通し(長期的な視点)

申し訳ございませんが、今月中は本当に時間がなく、オリジナルな記事が書けそうもありません。今回も4/24のメルマガの転載により、今後の欧州の見通し(長期的な視点)について述べたいと思います。

(以下4/24のメルマガより一部転載)

資金支援が実施されるまでにはまだ多少の紆余曲折はありそうですが、いずれにしてもギリシャは資金支援の条件にかなり厳しい緊縮財政を求められることになります。厳しい緊縮財政は消費を冷え込ませ、景気を一層悪くします。これは輸入減少につながります。たとえば、ギリシャ1カ国だけならEUにおける経済規模は2〜3%程度ですが、スペインやイタリアなどが加われば大雑把に言って30%の規模になります。この影響は大きいはずです。EU内で各国同士の貿易が縮小すれば、最終的にドイツの生命線である輸出の減少となって跳ね返り、EU全体の景気停滞につながるでしょう。こうした動きは、実際に財政再建に乗り出す国が増える今後2〜3年以内で徐々に現れると思います。

さらに、貿易縮小の連鎖は中国まで波及することも避けられません。中国最大の貿易相手国はアメリカですが、経済圏としてみればEUとの貿易規模が一番大きいのです。EU経済の停滞は中国の輸出減少を招く可能性が高く、中国もそれなりのダメージを受けるでしょう。そして、やがては中国が最大の輸出先である日本にもダメージを与えます。世界経済はそうやって悪い方向へ連鎖していくと思われます。

(転載終わり)

補足すると、私は気象学の「バタフライ効果」を引き合いに出して、世界経済や金融市場について語ることが多いのですが、サブプライム問題の時と同じく、今回のギリシャ問題も小さい危機が連鎖拡大し、重大な危機に発展すると見ていました。

当初のEU諸国の共通認識は、ギリシャ危機が現実になったとしても、経済規模からして問題なく処理できるというものでした。確かに、ギリシャのGDPは日本の神奈川県程度しかありません。世界中の投資家はもちろん、日本の投資家もそう考えて不思議ではありませんでした。

しかし、そのような認識は、2月9日2月15日の記事でも指摘しましたように、「市場の連鎖性や投機性を無視した非常に甘い考え」でしかありませんでした。私たちはもっと歴史の教訓や心理学・哲学の知識から学ぶべきです。そうすれば、世界経済や金融市場の本質・全体構造を見極められるようになるはずです。

なお、その具体的な方法については、拙書『経済予測脳で人生が変わる!』の中で、出し惜しみせずに書きました。みなさんにぜひ読んでいただきたいと思っております。

ブログランキング←応援クリックお願いします!

asset_station at 19:34|この記事のURL経済・相場分析 

2010年05月19日

今後の欧州の見通し(短期的な視点)

たいへん申し訳ございませんが、多忙につき、今回は5/15のメルマガの転載により、今後の欧州の見通し(短期的な視点)ついて述べたいと思います。

(以下5/15のメルマガより一部転載)

緊急融資制度の7500億ユーロの内訳は、EUが創設する緊急融資の基金が5000億ユーロ、IMFの融資が2500億ユーロです。そして、EUの緊急融資の基金は、「欧州委員会が債券を発行し融資する600億ユーロ」と「ユーロ圏各国の政府保証を付けた4400億ユーロの特別目的基金」の2種類で構成されます。

問題なのは、今回の対応策の規模の6割を占める、4400億ユーロの特別目的基金です。この特別目的基金は、主に、ユーロ圏各国の政府保証を得て債券を発行し、財政危機国に貸し出す仕組みになると見られています。

詳細は依然として不明ですが、政府保証は財政負担を伴う行為であり、各国の議会による承認が不可欠だと思われます。各国の保証額の比率は恐らくECBへの出資比率を参考に決められますので、必然的に独仏の保証額が巨額にならざるをえません。よって、ギリシャ支援への反対論が根強い独仏の議会で、本当に承認されるのかということが懸念されます。

そして、たとえ各国の議会承認が済み、基金が創設されたとしても、本質的に基金は各国の財政負担で賄われる性格のものであり、各国の財政赤字を膨らませる要因になります。借金が返せなくなったから、新たな借金で廻すという類の仕組みでしかないのです。つまり、EU全体で抱えるリスクは何も変わらないのです。

もっとも、7500億ユーロの緊急融資制度は、市場を安定させるための見せ金なのかもしれません。昨年の日本でも、政府で株式買取り枠50兆円を設定するという案が出ましたが、株式市場が回復するにつれ、立ち消えになって行きました。EU各国も見せ金だけで財政危機国の債券市場が安定に向かえばと考えているのかもしれません。

緊急融資制度創設の発表に合わせて、ECBが主導し、EU各国の中央銀行が財政危機で心配される国々の債券市場から国債の買い取りを始めました。少し冷静に考えれば、国債の買い取りも財政赤字の削減にはつながらないことがわかると思います。中央銀行が低評価の国債を買っても、リスクは民間部門から公的部門に移るだけで、買い取り策をもってしても、EU全体のリスクは何も変わりません。

恐らく、これもアナウンスメント効果を狙ったにすぎず、現在の市場でどの程度の効果を発揮するのかは未知数です。それよりも、各国の中央銀行が巨額の含み損を抱えるリスクのほうが心配になってしまいます。

さらに、日米欧英などの主要6中央銀行は欧州の金融機関の資金ショートに備えて、自国の短期金融市場でのドル資金供給を開始しましたが、この政策も問題の鎮静化を計れるかどうかは微妙で、金融政策の矛盾が噴き出す要因を孕んでいます。

その矛盾とは、大量の資金供給により、金融市場の過剰流動性が温存されることです。元々、今回の危機は、2008年以降に各国がとった財政刺激策や金融緩和策で勢いを取り戻したマネーが財政の悪化した国々を攻撃したという要素もあります。そういったマネーが温存される環境が残る限り、投機による財政が悪化した国々への攻撃は続くでしょう。

(転載終わり)

補足をすると、4月5日4月19日の記事でも書きましたように「世界的な株高は4月中まで、5月からは軟調になる」展開を想定していましたので、このブログ上でも「利益確定を優先し、その後は相場を休む」方針を唱えてきました。

現状では、リバウンド狙いというだけでは、迂闊に買いポジションを持つことができません。これから買いポジションを持つ場合は、「この銘柄でやられたら仕方がない」という銘柄しか買えないという意識で臨む必要があるでしょう。

次回は、今後の欧州の見通し(長期的な視点)について、今週中に更新する予定です。

欧州の財政危機に隠れて目立たなくなっていますが、米国経済が外部要因とは関係なく再び後退に向かう兆候が現れてきました。このことについても、来週中に述べたいと思います。

ブログランキング←応援クリックお願いします!

asset_station at 12:16|この記事のURL経済・相場分析 

2010年05月07日

利益確定後は「休むも相場」を実践する

利益確定において、考えてはいけないことがあります。高値で売ろうとすることです。市場では、欲張りは生き残れません。

「目標株価にならないと絶対に売らない」という投資家の言葉を耳にすることがあります。このような考えは、投資家にいちばん求められている柔軟な思考や臨機応変な対応力を奪ってしまいます。

私は「高値で売ろうと思うな」とよく話しています。ずっと以前には、売った後にも株価の上昇が続くと、非常に損をした気分になりましたが、投資スタイルが確立してからは、売った翌日に大幅高したとしても、まったく気にならなくなりました。

投資家には、せっかく利益確定したのに損をした気分になると、儲け損なった分を取り返そうと思い、その後に焦った売買をしてしまう傾向があります。冷静さを欠いた売買は良い結果にならないことが多いのです。

「頭と尻尾はくれてやれ」という相場の格言があります。この言葉の本当の意味が肌でわかっている投資家は強いと思います。

株価がどこまで上がるのか、そんなことは誰にもわからないのです。「売ってから上がるくらいがちょうど良い」と考えられるようになると、心理的にも余裕を持って売買できるようになります。

そして、利益を確定した後は、相場を少し休む気持ちが求められます。儲け続けようと欲張ってはいけません。

当然、日頃のアドバイスにおいても、そのことは実践しています。

連休明けの6日の早朝に、NYダウの終値から上昇トレンドが終わったと判断し、顧客の皆様に「一部のポジションを残し、利益確定をする」ことを勧めましたが、「その後は相場を休み、気軽に構える」よう伝えました。

最後に、4月〜5月は重要な局面と見て、ブログでも1日〜2日遅れて明確な相場予想や対処方法を述べてきましたが、しばらくはそれもできないことになりそうです。顧客の要望もございますので、事情を察していただければありがたいと思います。

ブログランキング←応援クリックお願いします!

asset_station at 12:00|この記事のURLレベルアップ投資法