2010年09月

2010年09月28日

日銀と政府に望むこと

FRBは9月のFOMC後の声明で「必要なら追加緩和する用意がある」と踏み込んだ表現を使いました。前回8月の声明では「必要に応じて政策措置を使う」という表現に留めていましたが、今回は「政策措置」から「追加緩和」に言い回しを変えていることがアメリカ株式市場の安心感を誘っています。

9月の声明文を読んだ市場関係者の間では、次回の11月2日〜3日のFOMCで追加緩和が行われるとの見方が出ています。FRBが追加緩和の姿勢をはっきりさせたことで、ドルに対して円が買われやすい地合いになることは避けられず、政府の為替介入だけではなく、日銀も来週の金融政策決定会合で何らかの手を打たなければならない状況になってきています。

それでも現状では、日銀ができることは、政策金利のゼロへの引き下げや量的緩和の再導入など、対抗策としては限られています。しかも、内規とはいえ「日銀券ルール」の見直しをしなければ、国債の買い取り枠もあと20兆円弱しか残されておらず、短くても来年いっぱいまでは続くであろうFRBの金融緩和に対抗できずに、円相場が史上最高値を更新してくるのは時間の問題となってしまいます。

このままでは、戦略性が求められる国際金融の世界で、日本は一方的に通貨高を押し付けられてしまいます。今こそ、日本の金融政策が机上の空論ではなく、真に国益を考えた政策に転換していかねばなりません。

もちろん、金融政策だけでは実体経済を回復させることはできません。ましてや、金融緩和を続けることは、長い目で見ると実体経済を悪化させ、景気対策と金融政策の両輪を持ってしても、回復不能な経済を生み出してしまいます。つまり、日銀の金融政策にはもはや経済が立ち直るための有効な手立ては何もないのです。

しかし、それでも日銀には、日本企業が国際競争に負けないように金融緩和を続け、円高を抑止するための努力が求められています。企業と国民は二律背反ではありません。企業が国際競争に敗れれば、国民も生活水準を下げなければなりません。日銀は「物価の安定が使命」などと、いつまでも時代錯誤なことを言っていてはダメだと思います。

景気の回復を実現できるのは、やはり政府の実行力のみです。政府が大計を持って「10年計画」で、外貨を稼ぐための成長産業をつくりだし、少子高齢化を解決するための移民政策に取り組めば、日本にも少しは明るい未来が見えてくるはずです。


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asset_station at 19:14|この記事のURL経済・相場分析 

2010年09月16日

15日の為替介入について

私は為替介入のタイミングを80円前後と予想していました。なぜなら、「史上最高値に迫っているので了解してほしい」あるいは「史上最高値を更新したので勘弁してほしい」とアメリカへ理解を求めれば、とりあえずは渋々納得してくれるだろうと読んでいたからです。

現実には82円台の為替介入となりましたが、早くも、アメリカ下院は今回の介入に対して「非常に憂慮すべき事態である」と表明しています。問題はアメリカの議会よりも当局がどういう反応を見せるかです。まだ詳しいコメントは出ていないようです。

財務省は今後も必要に応じて介入を続けるとしていますが、介入資金には限りがある上に、アメリカ当局が不快感を表明したとしたら、円安基調に反転したとは考えづらい状況です。

しかし、予想外のタイミングであったので、安心して円買いを進めていた海外投資家に対して、ある程度の警戒感を与えることができたと思います。簡単には82円を突破できなくなったと見るべきでしょう。

少し長いスパンで見ると、アメリカの中間選挙では共和党が勝利し、オバマ政権の追加景気刺激策は棚上げになる可能性が高まっています。もともと1期目の大統領は就任2年後の中間選挙に敗北する傾向があります。歴史的に見ても、高い期待に短期間では応えられず、支持離れが起きるからです。

そうなると、アメリカは金融政策に過度に頼るしかなく、FOMCはあと数年に渡って金融緩和を続けざるをえないかもしれません。21日のFOMCでは追加の金融緩和は示されないかもしれませんが、今年中に追加の緩和が行われると見て良いと思います。

それは、円高圧力が働くことを意味しています。これを迎え撃つ日銀は、新たに国債を買い入れる資金枠が20兆円を割り込んで来ています。買い余力の減少は今後の追加緩和にも影響しますし、そこに目を付けた海外投資家の円買い材料になりかねません。

日本政府の考えが「82円が防衛ライン」となると、各国の通貨安戦略の中で、政府が今後も82円を死守できるのかが、ドル円相場や日経平均の流れを左右することになりそうです。

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asset_station at 17:53|この記事のURL経済・相場分析 

2010年09月06日

中国の不動産バブルは崩壊しない

中国銀行業監督管理委員会が実施した銀行の資産査定によると、北京や上海など大都市の不動産価格が仮に30%下がったとしても、銀行経営への影響は小さいとのことです。

これは、中国政府が「沿海地域の不動産価格が3割程度まで下落しても容認する」という意味を持っています。国家統制経済とはそういうものです。

最近になって、中国の不動産バブルは崩壊するのか、あるいは崩壊しないのか、といった記事が多く見られますが、私は「中国の不動産バブルは崩壊しない」と考えています。

まずは、前提となる「不動産価格が30%下がっても」という部分を検証するために、アメリカの例を見ておきましょう。

アメリカの住宅売買動向を示す「S&Pケース・シラー住宅価格指数」(2000年1月を100として指数化)を見ると、10都市ベースでは2005〜2007年にかけて200を超える水準でしたが、2009年にはピーク時から約25%下落しました。より全体の基調を反映する20都市ベースの指数も2007年半ばから急速に下落し、最終的にピーク時から約30%落ち込みました。

実際には、10%〜20%ほど下落したところで本格的に金融機関への影響が出始め、住宅バブルは崩壊、その後の金融危機につながったわけです。つまり、アメリカの最悪期に当たる30%の下落でも影響が少ないということは、かなりの健全性だと言えるでしょう。

しかも、ポイントとなるのは「北京や上海などの沿海地域」という点です。実は、中国で住宅を中心に不動産が高騰しているのは沿海地域の大都市だけであり、沿海地域のGDPは中国全体の1割前後に過ぎません。

つまり、中国全体で不動産価格が3割の下落となれば、さすがにバブル崩壊は避けられませんが、経済規模の1割に過ぎない沿海地域で価格が下落しても、銀行への影響は限定的と言えるのです。

また、中国は沿海地域だけでなく、重慶や成都など内陸部の開発を進めていますが、今後、内陸部の不動産価格が上昇していくことで、自然と都市部の影響を相殺することができそうです。

過去の上昇局面でもそうでしたが、今回も投機によって価格が上昇し始めると、中国政府は先手を打って引き締め策を講じています。政府は日本やアメリカの例をよく研究し、教訓としているようです。

さらに、国家主導で即決即断できる点も非常に大きいと思います。中国はGDPにおける個人消費の割合が3割半ばと低く(アメリカは約7割、日本は6割)、国策によって比較的早期に経済が潤う特徴があります。引き締めが行き過ぎれば即座に中断し、即効性を持った施策を打ち出すこともできます。

以上の理由から、私は、中国が仮に景気後退局面に入ったとしても、不動産バブルの崩壊にはならないと考えています。

ただし、企業の鋼材在庫の増加や自動車販売の減少など、国内の旺盛な需要が沈静化する影響から、経済成長の減速は避けられない状況です。それでも8%前後の経済成長は達成できると見ていますし、この減速は経済にとって前向きな調整と言えるでしょう。

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asset_station at 20:04|この記事のURL経済・相場分析