2008年06月07日

読者からの質問

数人の方から同じような質問をいただきました。原則として個別のご質問にはお答えしないのですが、今回は最大公約数の質問と捉えてお答えしたいと思います。

質問内容を集約すると、以下のようになります。

『株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれる』と『株式市場 強者の論理』に書いてある内容を実践すると、4月に買いのシグナルが出て、かつ上昇トレンドになっている。著書でも、上昇トレンドでは積極的な運用をする時期と書いている。しかし、ブログでは慎重な見方をされている。この違いについて、ブログで見解を書いてもらえるとありがたい。

まさにこのブログの存在理由は、このような質問の核心を突いています。拙書では、市場のすべての出来事を想定して、すべての対応策が完璧に書かれているわけではありません。そこで、その時その時で拙書に足りないと思う部分を補おうというのが、このブログの趣旨となっています。

確かに、拙書に書いてある方法に従うならば、4月は買いの条件をすべて満たし、積極的な運用を目指す時期であったでしょう。しかし、現在は「アメリカの住宅バブル崩壊」という特殊要因があるので、このブログでは、株式のポジションを積極的に持つことに対しては控えめな姿勢を取ってきました。

住宅バブル崩壊の影響により、これから起こりうることが大体は想像できるので、アメリカの住宅価格が底打つまでは安全策で行きたいという考えに変わりはありません。現在の状況で株式に積極的な投資をすることは、投資ではなく博打になってしまいます。

アメリカの経済情勢や住宅市場動向が、ブログで昨年から書いてきたとおりになってきています。予想と少しだけ違ったのは、日経平均は14000円あたりが上値になるだろうとしたことです。日経平均が14500円まで上昇した背景には、FRBの大胆な金融緩和策が市場に予想以上の歪みを与えたことがあります。

現在のアメリカの株価が、昨年6月のG7で「世界経済はこの数十年でいちばん力強い成長を続けている」と声明を出したときの株価から7%しか下がっていないことに、強い違和感を持っています。FRBの金融緩和によって、FRB自体が意図したところにマネーが流れずに、ジャブジャブになったマネーが商品市場や株式市場に流れ、一種のバブル的な動きをしています。

私のすべての著書では、上昇トレンドで株式を積極的に保有するという考えが貫かれています。しかし、4月からの上昇トレンドは、これまでの上昇トレンドとは景気拡大を伴っていない点で、質が違います。

景気後退期の上昇トレンドでは、短期投資と割り切れば積極姿勢でも良いのですが、中長期の投資を考えた場合はそれなりのリスクを覚悟しなければなりませんし、失敗したときに取り返しがつかないことも頭に入れておかねばなりません。景気後退に逆らって上昇した株価が、その勢いを失いひとたび弱くなると、その反動は大きいものとなります。

今回のように、景気拡大期ではないときに、上昇トレンドに入り、株式相場が上昇するときがあります。各国の中央銀行が景気悪化を懸念して、金融緩和策を打ち出すときに起こりうる相場で、これは一種の金融相場であると呼ばれています。

金融緩和により世界で金余りの状態になり、余った資金が株式市場に流れて世界的な株高になりますが、決して他の金融商品より株式に投資妙味があるという判断から株式が積極的に買われているわけではありません。一時は気分の良い上昇相場を演じますが、長続きはせずに終わる傾向があります。金融相場ではたとえトレンドが上向きであっても、株式の保有比率は通常より控えめにする必要があります。

拙書の内容に忠実に従って、4月(第2週)に買っている読者のみなさんは、14000円を超えている局面では、利益確定を優先して良いと判断しています。

ブログでこう断言することはかなり勇気がいることですが、私の経験からはここは欲を抑えないと危ないところだと考えています。これから出てくるアメリカの経済指標がリアルに予想できるなかで、市場の楽観が悲観に変わるのは一瞬であると思います。


ブログランキング←応援クリックお願いします!

asset_station at 11:01 │拙書への質問