こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。


さて、手元に届いた資料によれば、中国における2016年の商標登録出願件数は369万1000件に達したとのことです(15年連続で1位)。


369万件というのは、ものすごい数ですね。日本の商標登録出願件数は毎年だいたい13万件~14万件と言われていますので、約30倍近くあります。自分が審査官だと思うと、現実逃避の旅に出たくなるほどの数ですよね


ただ、日本で言うところのU氏やB社のように、大量に出願をしている人たちもおそらくいるのだと思います。同じく手元の資料によれば、中国で第三者に先取り出願(登録)をされてしまい、困っている韓国企業は1000社程度あるとか。


日本の企業名とか商品名・地名・キャラクターイラストなども先取り出願されてよくニュースになっていますが、これらは氷山の一角で、実際にはかなりの量があると予想されます。日本で少しでも有名になってくるとすぐに剽窃されてしまうので、中国の商標対策は企業にとって非常に優先度が高いといえます。


ちなみに、そのまんま商標をパクってくれれば異議とか無効を主張しやすいのですが、ちょっとだけスペルを変えてみたり、アルファベットを似ている数字に置き換えていたりする場合(たとえば、「I」を「1」にする)もあり、こういう剽窃出願は非常にやっかいとなります(「非類似」とか言われるため)。


まぁ、先取りとか剽窃の話は置いておくにしても、この出願件数はすごいですよね。商標登録の重要性とかメリットを考えると、日本でも倍くらいの数になってもいいのに、と個人的には思います。


最近、商標弁理士をやっていてよく思うのが、「日本の企業(個人事業主含む)は商標登録のことをあまり知らない」ということと、「知っていても甘く考えている」ということです。「問題があってから対応するよ」といったような、近年の日本のよろしくない風習に近いものを感じます。「問題が起こってからでは遅いんですけど!」と、モヤモヤすることが多いですね。とりあえず、事務所ホームページの記事では、このあたりを理解してもらえるようチクチクと頻繁にアピールしているのですが、あまり効果があるようには思えません


商標登録をしない理由として、「予算がない!」ということもよく耳にします。どこも不況なので気持ちはわかります。でも、これもよく言っているのですが、商標登録って10年分の費用だということを忘れていませんか?最初に10万円かかったとしても、1年分で1万円。1日分にしたら30円にもなりません。1日30円で安心が買えるのに、もったいないなぁと思います。心配性な私なら、毎日他社からクレームを付けられないかビクビクしながらビジネスをするよりは、1日数十円分負担して心理的な安心を得ることを選びますね


というわけで、個人的に今年は特に商標登録の必要性やメリットについて啓蒙しています。
われわれ弁理士は、ムダに価格を下げて依頼人を引き寄せるのではなくて、「費用以上にメリットがあるんですよ」ということを理解・納得してもらった上で、依頼を受けるというのが正しい姿勢だと思いますし、継続的に日本の商標登録出願件数を増やしていくためにも大事なのではないかと強く思います。決して簡単なことではありませんが、不毛で品のない業界内の価格競争を終わらせるためにも、賛同者が多くいらっしゃることを願います。


あ、今日は珍しく終始真面目な記事となりましたね・・・。笑


おわり