こんにちは。


さて、私も毎週楽しみにしている「ドラゴンボール超」のTVアニメですが、
現在、「未来トランクス編」が絶賛OAされています。

あ、ご存じない方のために一応言っておくと、この「トランクス」というのは、
パンツの種類のことではなくて、登場人物のキャラクター名のことです。

ゴクウブラックなる謎の強者に苦戦しているトランクスでありますが、
実は商標登録でも苦戦していたようです(笑)。

というわけで、商標には全く関係ないネタと見せかけつつ、
今回はある審決例(不服2015-1686)をご紹介します。

審決の内容の前に。
事件の概要は、以下の通りです。

①「トランクス」という商標が、第25類の商品を指定して、平成26年4月4日に登録出願された。

②3条1項3号、4条1項16号を理由に、拒絶理由通知が出された。

③指定商品が、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,水泳着,水泳帽,
キャミソール,ティーシャツ,エプロン,靴下,手袋,ネクタイ,バンダナ,マフラー,耳覆い,
ナイトキャップ,帽子,バンド,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり,履物,靴類,仮装用衣服,
運動用特殊靴」に補正された。意見書も合わせて提出された。

④意見書の内容が認められず、拒絶査定となった。
拒絶査定の理由は、以下の通り。
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本願商標は,「トランクス」の片仮名を標準文字で表してなるところ,「トランクス」は,
「運動競技で用いるパンツ」及び「男子用の下着」の普通名称して広く認識され,
使用されているもの
である。

本願商標の補正後の指定商品は,いずれも,日常的に消費されるものであって,
その主たる需要者は一般的な消費者であり,これらの商品には比較的安価なものも存する
ことからすると、これらの商品の選択,購入の際に払われる需要者の注意力は,
必ずしも常に高いとはいい得ない取引の実情があるといえる。

そうすると,需要者は,商品の細部を検討した上で,商品を選択するとはいえず,
「運動競技で用いるパンツ」や「男子用の下着」の普通名称である「トランクス」の文字から,
本願商標を付した補正後の指定商品を「運動競技で用いるパンツ」や「男子用の下着」として
認識するおそれがあることは否定できない。

したがって,本願商標は,これをその補正後の指定商品に使用するときは,
商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきであるから,
商標法4第条第1項第16号該当する。
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・・・・・・・。

ドラゴンボールを知らない人がこの事件を見ると、「なんでこんな商標を出願したの???」
と思うのが普通だと思いますが、要はキャラクター名として保護すべく、出願されたものでしょう。

「未来トランクス編」が始まるので、人気が出て大規模なグッズ展開もあり得るから・・・、
というのが出願理由かはわかりません。ただ、出願日を考えると、この時点ではまだ
「未来トランクス編」の構想はなかったのではないかと個人的には思います。

で、この「トランクス」。

出願人としてはキャラクター名を意図してるのに、パンツの普通名称と同じだったために、
「パンツ以外の指定商品に使用すると、需要者がパンツだと品質を誤認する」という理由で、
4条1項16号を理由に登録を拒絶されてしまったわけです。
事情を知っているとちょっと笑えますが(スミマセン)、気の毒な拒絶査定だと思います。

そこで、出願人は、拒絶査定不服審判を請求しました。

審決では、「Tiara」事件(知財高裁平成27年(行ケ)第10162号同年12月25日判決)
を引用し、これを本事件に当てはめた結果、4条1項16号には該当しないとして、
「トランクス」の商標登録が認められました

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商標法第4条第1項第16号が「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」について
商標登録を受けることができないと規定しているのは,商標を構成する文字,図形等が
直接的に特定の商品の特性を表示したものであるため,当該商標が特定の商品以外の
商品に使用された場合に,取引者,需要者が商品の品質を誤認して,商品を購入することが
ないように取引者,需要者の保護を図ることにあるものと解される。

そうすると,本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するというためには,
取引者又は需要者において,本願商標の構成から将来を含め一般に認識される特性を有する
特定の商品と指定商品とが関連し,かつ,本願商標が表示している特定の商品の特性と
指定商品が有する特性が異なるため,本願商標を指定商品に使用した場合に,
本願商標が使用された「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があることを要する
ものと解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10162号同年12月25日判決)。

イ そこで,本願商標の構成から一般に認識される「男子用の短いパンツ(下着)」ないし
「(ボクシングや水泳等の)スポーツ用の短いパンツ」の商品である「トランクス」と
当審指定商品との関連性について,以下検討する。

(ア)本願商標の構成から一般に認識される「男子用の短いパンツ(下着)」ないし
「(ボクシングや水泳等の)スポーツ用の短いパンツ」の商品である「トランクス」は,
汗等をとり汚れを防ぐためのもの(下着)又はスポーツ用のものであり,下着類製造業者又は
スポーツ用衣服製造業者によって製造され,主として下着専門店若しくはその売場又は
スポーツ用品店若しくはその売場において販売されるものである。

(イ)他方,当審指定商品中の「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類」は,
日常生活において表着として用いられるものであり,衣服製造業者によって製造され,
主として紳士服・婦人服・子供服を取り扱う衣料品店若しくはその売場で販売されるものであるから,
「トランクス」とは,具体的用途,生産部門,販売部門において相違する。

(ウ)当審指定商品中の「エプロン,靴下,手袋,ネクタイ,バンダナ,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,
帽子」は,日常生活において,衣服の汚れを防ぎ(エプロン),身体の一部に着用することで
寒さ等を防ぎ(靴下,手袋,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子),衣服を装飾するためのもの
(ネクタイ,バンダナ)であり,各商品の製造業者によって製造され,主として衣料品店若しくは
その売場又は日用品店若しくはその売場で販売されるものであるから,「トランクス」とは,
具体的用途,生産部門,販売部門において相違する。

(エ)当審指定商品中の「バンド,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり」は,主として
身体を装うことによって,ズボンや靴下がずり落ちないように保持するためのものであり,
衣類製造業者や皮革製品製造業者によって製造され,主として衣料品店若しくはその売場又は
日用品店若しくはその売場で販売されるものであるから,「トランクス」とは,具体的用途,生産部門,
販売部門において相違する。

(オ)当審指定商品中の「仮装用衣服」は,仮装用のものであり,注文服製造業者によって製造され,
主としてイベント用品店若しくはその売場又はおもちゃ店若しくはその売場において
販売されるものであるから,「トランクス」とは,具体的用途,生産部門,販売部門において相違する。

(カ)当審指定商品中の「履物,靴類,運動用特殊靴」と「トランクス」とは,商品の具体的用途,
生産部門及び販売部門において,明らかに相違する。

そうすると,「トランクス」と当審指定商品とは,いずれも,用途,生産者,販売場所が異なる等,
両者が互いに関連する商品とはいえないことから
,本願商標を当審指定商品に使用しても,
商品の品質の誤認を生ずるおそれはないというべきである。
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ひとまず、登録になってヨカッタですね(笑)。

実は、代理人となる我々弁理士にとっても、本事件の論理展開の仕方は、
4条1項16号対策として非常に勉強になるものだと思います。

ありがとうトランクス、アニメ本編でも頑張って!!


おわり