こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。


前回・前々回に引き続き、特許事務所に入所して、はじめて実務に携わる方に、知っておくと良いと思われる点について、自分の経験に基づきご紹介いたします。
ちなみに、前回の記事はこちら


今回は、入所したての頃の語学(実務英語)の勉強について。


はじめて特許事務所に入所したとき、私は正直「英語がさっぱり」でした。

当時ほぼ無職だったにもかかわらず、弁理士試験合格から就職活動まで少し時間が空いてしまったので、入所面接では「その間、英語を勉強しておりました!」とかほざいたのですが、そこでまさかの所長による特許用語の英単語クイズが始まってしまい、結果がさんざんで失笑されたのを今でもよく覚えています(笑)。ていうか、今にして思えば、よくあれで採用してくれたものだと不思議でなりません(苦笑)。


で、無事に商標弁理士として入所はできたのですが、当時やらせてもらえた仕事は、内外案件がほとんどだったわけです。「これは英語ができないと話にならないゾ・・・」ということで、あせって勉強をし始めました。でも、あせって勉強しても、語学がそんなにすぐに上達するはずはありません。


とりあえず、仕事中に辞典や英〇郎は使えるので、一般的な読み書きはなんとかなります。
それと、私は基本的に「実務英語はさっぱり」でしたが、中学英語までなら完璧でした。
そこで、当時の私は、次の勉強を優先的にやりました。


1.専門用語を覚える。
2.専門的な言い回しを覚える。
3.ビジネスレター(Eメール)の書き方や言い回しを覚える。


1.専門用語を覚える。
まずはこれです。実務で使われる英単語がわからなくては、お話になりません。
辞書を引けば何とかはなりますが、いちいち調べていては時間がかかって非効率です。


幸い、当時は「特許英語辞典」とか「知的財産用語英語辞典」のような書籍が何種類か出ていましたので、私はこれらを購入して、商標実務に関係するものを最初に覚えました。


ただ、こういった書籍に載っている単語と、実際に実務で使う単語が、実は違うというケースも少なくありません。


なので、もっとも効率的なのは、内外案件で現地代理人から送られてくる英文レターをまずは読み漁って、そこで頻出する英単語をピックアップして覚える、というやりかたではないかと思います。内外案件のある特許事務所では、過去案件の大量のファイル&大量のレターがあるかと思いますので教材には困らないかと(笑)。ただ、就業中にやるといろいろアレなので、業務終了後に自主勉強としてやりましょう


ポイントとしては、英語のうまい現地代理人のレターを教材に選ぶことだと思います
ただ、アメリカやイギリスのように、英語がうますぎる現地代理人よりも、商標実務にどっぷり浸かっているような東南アジアや欧州の「ふつうに英語がうまい」現地代理人のレターのほうが、とっかかりとしては良いように思います。


2.専門的な言い回しを覚える。
動詞とか、熟語のような、実務で使われる言い回しもおさえておく必要があります。
これらもわからなければ、本当に伝えたい文章(レター)が作れないからです。


前述の辞典に載っているものもありますが、多くは実務から学んでいく必要があります。
というわけで、これについても、ファイル庫にある内外案件の「英語のうまい現地代理人のレターを読み漁る」のが、もっとも効果的な勉強方法ではないかと思います


商標実務で言えば、定型的な言い回しはそこまで多くないのではないかと思います。数年間やっていると、実はある程度のパターンしかないことに気付きます。最初からすべてをおさえることは無理というものですので、まずは頻出している言い回しを一つずつ、着実に覚えていくのが良いのではないかと思います。


3.ビジネスレター(Eメール)の書き方や言い回しを覚える。
現地代理人との意思疎通のために必須となります。
長く社会人を経験していても、英文レター&Eメールを頻繁に書いていたという人はそれほどいないのではないかと思うので、わりと多くの人が最初に学ぶ点ではないでしょうか。


ここで学ぶ必要があるのは、大きく分けると、

①書式的なルール
②あいさつのしかた
③お願い(依頼)のしかた
④質問のしかた


になるのではないかと思います。


私は当時、「英文ビジネスレター・Eメールの書き方」のような書籍を最初に読みましたが、内容的に「ちょっと違うんだよな~」という印象でした。書いてある例文が、すぐに実務に応用できなそうだったのです。同じように感じた方、少なくないと思います。


というわけで、結局はこれについても、事務所のファイル庫にある過去の案件で、実際に先輩弁理士と現地代理人がやりとりしている文章を読み漁るのが、もっとも効率的だと思います



こうして見てくると、結局、実務で使う英語の勉強は、


過去の内外案件の実例(レター)を読み漁るのがベスト


な気がします。

はじめて実務で英文指示レターを書いて、現地代理人に送り、そのとおりに対応をしてもらった時はなかなか感動するものです。それがモチベーションアップにつながって、勉強することと内外案件が楽しくなってくると思います。そして、それを繰り返すことで、「気が付いたら、ふつうに内外実務ができるようになっていた」という感じになるものではないでしょうか。


今、入所したてで大きな不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれませんが、私もそのような感じで、なんとか10年以上やれています(笑)。焦らず慌てず、必要なところ・優先度の高いところから一歩ずつ勉強していくことが大事だと思います。


以上、私個人のケースの紹介ですので、優秀な皆様にはもっと良いやり方もあるでしょうし、環境によってはまったく役に立たないかもしれませんが、少しでもご参考になれば幸いです。


おわり