青銅色の小動物医療ジャーナルクラブ

小動物医療の英語文献を自分の勉強のためUPしています。 週1回更新が目標です。 すでにジャーナルクラブを継続されている、 「黄金聖闘士」な先輩方にあやかるべく、小宇宙を燃やしてがんばります。

Allenspach K, Culverwell C, Chan D.
” Long-term outcome in dogs with chronic enteropathies: 203 cases."
Vet Rec.2016 Apr 9;178(15):368.

原文タイトル:慢性腸疾患の犬203例の長期予後

PMID:26811439
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26811439

本文無料公開なし

<アブストラクト>
犬に慢性的な消化器症状を起こす疾患群の分類として,
食事反応性下痢(FRD),抗生剤反応性下痢(ARD),ステロイド反応性疾患が一般的である.
これらの疾患は,主に治療反応によって回顧的に分類・診断される.

慢性腸疾患を有する犬の罹患率や,
各疾患群への分類に寄与する典型的な臨床徴候について,
現在のところ十分なデータは得られておらず,
異なる治療法に対する長期予後について,数件の報告があるにすぎない.

本研究は,以下の調査項目を確認し,
その重要度を比較し,予後との相関を調べることを目的とする.
調査項目
 FRD群・ARD群・SRD群の3群について,
 以下の項目を診断後から定期的に調査した.
 臨床徴候・診断時の年齢・血清アルブミン濃度・血清コバラミン濃度・葉酸塩濃度

訳者蛇足
 本文献情報は、ROYAL CANIN社が出版した動物病院用資料
「ワンちゃんの食事変更による経過観察アルバム」において
 ” 犬の原因不明で長引く下痢・おう吐のうち、食事が原因である確率は65% "
 とする裏付けとして参考利用されています.

 どのような犬が調査群で集められ調査されたのか,
 食事により改善したとする根拠が何だったのか,知りたかったのですが,
 web上では限られたアブストラクトしか読めませんでした.

 調査母集団の詳細・文献の利益相反は,本文を読まないとわからないようです.
 いつか全文を確認することができたら追記したいと思います.
 (2018.9/16)

Mellanby RJ, Herrtaga ME, Dobson JM.
" Owner's assesments of their dog's quality of life during palliative chemotherapy for lymphoma."
J Small Anim Pract.2003 Mar;44(3):100-3

原文タイトル
 犬のリンパ腫への緩和的化学療法中に、飼い主が感じる犬のQOLに関する評価

アブストラクト
 犬に化学療法を実施した所有者25件へインタビューを実施した.
 腫瘍は多中心性リンパ腫,プロトコールは多剤併用療法であり,
 リンパ腫発症前と治療中で,犬の生活の質(QOL)にどのような違いがあるか評価した.

 QOLは発症前と変わらないと答えた所有者(68%)がいる一方で,
 容認できるQOLではあるが,発症前よりも劣っていると答える所有者(32%)も見られた.
 治療の合併症があった,と答えた所有者は52%であった.
 92%の所有者は化学療法を選択したことに後悔を感じてはいなかった.

 この結果は,化学療法中も犬のQOLは良好に保たれ,
 緩和的化学療法の選択に後悔を感じづらいことを支持するものと考察された.

蛇足(本文より)
 原文には「緩和的(pallative) 化学療法」とありますが、
 具体的には,一般的な多剤併用プロトコールを意味しており
 いわゆる緩和療法とは異なるようです.

 選択された化学療法プロトコールの内訳
  COPプロトコール 17例
  Madison-Wisconsin プロトコール 7例
  ビンクリスチン・プレドニゾロン 1例
 予後
  21例が完全寛解,3例が部分寛解,1例は反応なし.
  再発したリンパ腫により18例が死亡した.
  Kaplan-Meier中央値生存期間は8ヶ月であった.
  (95%信頼区間は4.0-12ヶ月,range2-65ヶ月)

Zandviliet M.
” Canine lymphoma: a review."
Vet Q. 2016 Jun;36(2):76-104.

原文タイトル:犬のリンパ腫に関するレビュー

PMID:26953614
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26953614

<アブストラクト>
犬リンパ腫(cL)は、犬において一般的な増殖性疾患である.
推定発生率は100,000頭中20〜100例とされ,
人の非ホジキンリンパ腫に類似した特徴が複数認められる.

正確な発生要因は解明されていないが、
環境要因と遺伝的感受性が重要な役割を果たすと考えられている.
cLの臨床所見は多様であり、
解剖学的発生様式や組織学的分類から幅広く細分類される.

このように多様な変異が潜在的に存在するものの,
犬で発生するリンパ腫は全身性リンパ節腫脹(多中心型)が大半を占め,
細胞形態は中等度から高悪性度,B細胞由来を呈する.

一般的な腫瘍随伴症候群は高カルシウム血症であり,T細胞性リンパ腫に関連し発生する.

治療には化学療法が選択され,
ドキソルビシンを含める多剤併用プロトコールが使用されることが一般的である.
期待される完全寛解期間の中央値は7-10ヶ月,生存期間中央値は10-14ヶ月とされる.

多くの予後因子が報告されており,とりわけ重要な項目は,
ステージ,免疫表現型,腫瘍グレード,化学療法への反応である.

化学療法への耐性には,P-gp・BCRPを含むABC輸送体発現の関与が示唆される.
最終的に大半のリンパ腫は薬剤耐性を獲得することから,
今後,獲得された薬剤耐性を無効化させる治療法や,
代替療法(免疫療法や分子標的薬療法)の開発が重要となるだろう.

本レビューは,犬リンパ腫の関連データを要約し,
最新の知見を提供することを目的とするものである.

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