March 20, 2008

魔球  東野 圭吾

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「9回裏2死満塁、春の選抜高校野球大会、開陽高校のエース須田武志は、最後に揺れ

て落ちる“魔球”を投げた!すべてはこの1球に込められていた……捕手北岡明は大会

後まもなく、愛犬と共に刺殺体で発見された。野球部の部員たちは疑心暗鬼に駆られ

た。高校生活最後の暗転と永遠の純情を描いた青春推理」


――これはただのミステリーじゃない・・。読み終えた後そう感じました。もちろん

殺人事件があって、それを解き明かす推理小説ではあるけど、それ以上の意外性があ

ると思う。 そして切ないんだ。人間が誰かを守ろうとする姿勢が・・切ない。かなり

の困難ではあるけど、それをやり遂げた兄は凄い。決意が凄い。私はそれに比べてち

っぽけな人間です。今階下から勉強しなさいという声が聞こえてきました。嫌です。

動きたくないです。もう少しだけ・・。もう少し現実逃避させて・・泣――

asunaro3460 at 15:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!東野 圭吾 

March 19, 2008

スイッチを押すとき  山田 悠介

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「君たちはなぜ生きているんだ? 増加する青少年の自殺に終止符を打つため、政府が

立ち上げた恐るべきプロジェクトとは…。生きる意味を問う衝撃のストーリー」


――なんだか山田悠介さんは文章が稚拙で間違った表現が多々あり(「爆走して走っ

た」など)、竜頭蛇尾なストーリーだとか言われているので試しに読んでみました。


たしかに奇抜なストーリーです。面白そうな雰囲気です。そして特に間違った表現と

か見当たるところもありません。ちょっと拍子抜けです(私の国語力の無さ故に見落と

しているだけなのかも)。


ホラー作家という事でしたが、全然怖くはありませんでした。ちょっと期待してたん

ですけど。逆にこの小説は暗い憂鬱な感じが前に出てた気がします。


んんんー。正直この小説が面白いのかどうか未だに分かりません。これを読んで1年

以上経ちますが、なぜか作者のほかの小説は1冊も読んでません・・。ただラストは意

外だったのは憶えてます。狙いすぎ感がちょっとでてたけど。


もし自分がこんなスイッチ渡されて監禁されたら2日くらいが限界でしょうね。まず、

押してはいけないっていうものを本当に押さずにいられるか自信がありません笑。人

間の好奇心をなめたらいけませんよ・・。その点でこの小説は不自然だといえるかも

知れません――

asunaro3460 at 17:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!山田 悠介 

February 10, 2008

流星ワゴン  重松 清

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「死んじゃってもいいかなあ、もう…。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死

した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして―自分と同い歳の父親に出逢っ

た。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶

えられるのか―?「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作」


――家族の崩壊というテーマからして、この小説は重松清の十八番だという気がしま

す。死のうとしている男が、過去を見ることによって自分の過ちに気付いていくお

話。


すごく憂鬱で、可哀そうだと思うけど、それが誰にでも訪れるものであると気付いた

とき、恐くなった。今自分にとって家の中はとても安心できる場所で、信頼できる家

族もいる。でもそんな平和な家庭も、些細な事が原因で壊れて主人公と同じ道を辿る

事もある。この小説を読んで、家族というのは最も多くの秘密を持つ共同体であるの

が分かった。なんだかちょっと虚しい・・・。でもそうじゃなきゃ成立しないのか

も。


こんなシチュエーションは有り得ません。でもなんでこんなに暖かいんだろう。幽霊

の親子を通じて家族の本質が見えてくる。その傍らで幽霊親子の親子愛も描いてい

る。二つの家族のかたちでこの小説は成り立っている。


面白かったです。主人公の戸惑う気持ちもよくわかるし、健太くんの子どもっぽさも

なかなか可愛いし。チュウさんの男らしさにも憧れるし(ヤな部分も多いけど笑)、橋

本さんの優しさも実感できるし。いろんな個性を持った登場人物たちが物語を構成し

ていて、それがそのまま小説の魅力になってる。主人公の頼りなさには時々呆れたけ

ど、いくら絶望しても立ち上がって欲しいと思えたのは、自分の過ちをちゃんど気付

いてそれをなおそうと必死になってたから。自分は家族のためにここまで必死になれ

るだろうか・・・鬱


ラストに近付くと、ハッピーエンドなのかどうなのか心配になったけど(こんなことに

こだわる自分がイヤ)、なるほど納得。上手い。ってか一番好きな終わり方だったか

も。


自分は夫婦っていうものがなんなのかってまだ知り得ないけど、すごく脆いもんだっ

てことは感じる。その真偽はあと数年まてば解るはず(ほんとか?)


全部知ってるようで、なんにも知らない家族の事。自分の知らないところで傷付いて

たり、過ちを犯してたりするんだなぁ。それをどれだけ気付いてあげて、一緒になっ

て考えてる。そんなことができればと思いました。


もし、死にそうなくらい落ち込んで、ほんとに死んじゃいそうになったら、そんとき

は橋本さんよろしく!うちの前に一応ちっちゃい駐車場あるんで。そこに停めてもら

って構いませんので〜笑――

asunaro3460 at 15:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!重松 清 

February 07, 2008

やさしい夜の殺意  小池 真理子

「久美は親友の麗子に伴われて十三年ぶりに兄に再会した。美しくもの静かな妻、郊

外の小さいながらも瀟洒な家―。落ちついて幸福そうな兄の家庭に、久美も自然に溶

けこんでいった。しかしある晩麗子が謎の死を遂げた時から、この家にかすかに疑惑

と死の気配が漂うことに気づいた―。日常生活にひそむ殺意の意外な結末を描く、サ

スペンス・ミステリー五篇」


――またおばあちゃんの本棚の中から拝借して参りました。 やさしい夜の殺

意・・・?小池真理子さんの小説が読みたくなって漁ってたらこのタイトルが目にと

まりまして。


短編集はやっぱり読みやすいですね。一つ一つ違うから飽きる事なく読めるし。


・やさしい夜の殺意・・・表題作。ちょっと長めでミステリー色がとても濃い作品で

す。曲がりくねった愛情は全くあらぬ方向へ・・・。 こええ。昼ドラにできそう。

小池真理子さんのイメージにぴったり当てはまる作品です。


・それぞれの顚末・・・これ好きです。ラストが痛快で、ちょっと虚しくて。エゴの

報復ですね。自己中はいけません。気をつけよう( ̄〜 ̄;)


・チルチルの丘・・・大人の恋愛色強いお話だけど、ミステリーです。車中の二人の

対話の中で、様々な事が明らかになる。幻想的な雰囲気が一変して張り詰めた空気に

変わる。人間の心情とリンクして周りの環境って変わって見えるものなんですね

〜。


・青いドレス・・・うわあ。悲惨だ。まさかそうなるとは。予測できない危ないこと

は実行しちゃだめですね。


・未亡人は二度生まれる・・・本作最長の作品。タイトルからして小池ワールドを予

感させます。ちょっと表題作と似てるかな。それにしても頼れるお母さんですね。い

たらいたで嫌だけど。親子で仕組んだ芝居で事を安全に着地させる事が出来るの

か・・・。


なんだか全部皮肉なラストです。そこがまた魅力であり、最大の見せ場なんでしょう

けど。 ラストまで全く予想不可能の展開です。だって伏線が何も無いんですもん。

予想しようがない。けれどその物語の構成以上に、やっぱり心情描写が素晴らしいと

思う。て言っても普通な、正常な人間の心ではありません。異常者の心です笑。完全

に心が屈折しちゃってます。だからこそ引き込まれたりして。


全編楽しめました。満足です――

asunaro3460 at 16:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!小池 真理子 

February 06, 2008

片想い  東野 圭吾

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「十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。彼女から、殺人を告白された哲朗

は、美月の親友である妻とともに、彼女をかくまうが…。十年という歳月は、かつて

の仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。過ぎ去った青春の日々を

裏切るまいとする仲間たちを描いた、傑作長篇ミステリー」


――東野圭吾さんです。すっかり虜になってしまったようです。なんと言っても文章

が簡潔で分かりやすくてすいすい読めるので、なかなか手を休められません。本作も

なかなかの大作のようで。こっちとしても勢い込んで買ってみました。


めっちゃ重い(~ヘ~;)美月の苦しみは自分には一生分からないでしょう。


美月は性同一性障害。体は女だけど、心は男。その時点でちょっとしたどんでん返

し。片想いってタイトルなんだから、恋愛ものなのかな、と勝手に先入観を抱いてい

た私が馬鹿でした。 この小説に出会って初めてタイトルの重みってものが分かっ

た。・・・片想い。すげえ。全部繋がるよ。考えてみればいい加減にタイトルつける

作家さんなんていないですよね。それにしてもここまで内容とぴったりのタイトルっ

てあるんだろうか。


心は男なのに、男とセックスする美月。どんな気持ちなんだ?分からない。想像して

みるとすごく辛いという漠然としたイメージは湧くけど、それは現実のものとは遠く

離れたものだろう。体男で心女の場合、苦しみのあまり性器を自分でちょん切っちゃ

うって言うんだから・・。とんでもないですよ|||(~□~;)|||生き地獄ですね。まさ

に。


個人的にミステリー的要素よりも、現実にこれほどの苦しみを抱えている人が存在し

ている事に衝撃を受けました。つくづく自分は幸せだなと実感します。そう思うと、

なんだかものすごく自分が未熟な人間に思えてしまうのは何故だろう。実際そうだけ

ど。


それにしても凄い題材を見つけましたね、東野さん。それをまさにそのままのかたち

で切なく表現するのは、東野さんにしかできないんだろうなあ。


またまた東野さんを好きになりました。とりあえず今後ともよろしくお願いします、

と本人に向かって言いたいです――

asunaro3460 at 21:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!東野 圭吾 

January 28, 2008

柩の中の猫  小池 真理子

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「東京郊外に暮らす美術大学の講師、川久保悟郎。その娘でララという名の猫にだけ

心を開く孤独な少女、桃子。そして、家庭教師として川久保家にやってきた画家志望

の雅代。微妙な緊張を抱きながらもバランスのとれた三人の生活はそれなりに平穏だ

った。そう、あの日、あの女が現れるまでは…丹念に描かれた心の襞と悲劇的なツイ

スト、直木賞作家の隠れた名作」


――どうでもいいですが、うちのおばあちゃんは凄い読書家で、押入れに入りきらな

いほど膨大な数の本があります。というのも、うちのおばあちゃんは軽い不眠症で、

それを紛らわす為に夜いつも本を読んでたんです。それが積み重なって、渡辺淳一、

平岩弓枝、曽野綾子、小池真理子、三浦綾子、夏樹静子、山村美紗、松本清張などの

作家の小説が山のように並んでいます。 私はいつも小説を買って読みますが、最近お

金が追いつかなくなってきたのと、うちの宝の山が気になってきたのとで、初めてお

ばあちゃんの蔵書を手に取ることになりました。


この小説を選んだのは、単にタイトルに惹かれたからです。軽い気持ちで読み始めま

したが、最初から傑作の匂いはプンプンしてました。 心理の描き出し方が凄く上手

い。小池真理子さんが人間心理描写の名手だということは後で知りました。納得で

す。


全体的に奇妙です。特に際立ってるのが、っていうかもうそのものなのが、桃子とい

う名の少女。この子はなんだか江國香織さんの小説に出てきそうな雰囲気がありま

す。 ひとつ気付いたんですが、今まで読んできた、といっても数少ない女流作家さ

んの小説には、不思議で、つかみ所の無い重要な脇役が常に出てくるように思えま

す。この桃子はその最たるもので、愛猫にしか心を開かない、それでいて華やかな雰

囲気を併せ持つ少女です。この少女を巡って物語は進みますが、読み終わって思った

のが、恐い、という事。ホラー小説だと、映像的に人を恐がらせるけど、これは人の

深層心理に語りかけてくる。少女であるからこその純粋さ。それが逆の方向に向かう

と、大人でもなしえないような恐ろしいことが、何のためらいもなくできてしまう。

そして、それがとんでもない結末を導く。


衝撃です。小池真理子さんの作風に惚れました。こういうのが読みたかった。この人

が抉り出す様々な心の表情を、もっとみてみたいです――

asunaro3460 at 23:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!小池 真理子 

January 27, 2008

変身  東野 圭吾

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「世界初の脳移植手術を受けた平凡な男を待ちうけていた過酷な運命の悪戯!脳移植を

受けた男の自己崩壊の悲劇。平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲っ

た。そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。それまで画家を夢見て、優しい

恋人を愛していた純一は、手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょ

うもない。自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の持主(ドナー)の正

体を突き止める」


――東野圭吾さん2作目です。やはり満遍なくいろいろなものを読むことができませ

ん。


ということで変身です。 変身・・・。変身という言葉から連想するのは仮面ライダー

くらいしかなく、そんな想像力の乏しい私は、脳の移植を扱った小説だということを

知り肩すかしをくらいました。


なんだかとても不憫です。人格が変わるってどんな感じ?その人がその人じゃなくな

るってことですよね。ってことは肉体は同じでも中身は違うんだから、もとの人格は

死んだって考えてもいいのかな。 恐ろしい。もの凄く恐ろしいですが、それ以上に

切ない。自分が好きだった物が、なんの興味も持てなくなる。好きだった記憶はある

のに、どうしてももとの気持ちに戻れない。それは人に対しても言えることで、そう

なったらどちらも不憫です。捨てられた方は納得行くわけ無いし。それが心から好き

な人だったら、恵みのように、もとに戻す為にはどんなことでもするかも知れません

ね。そういう意味で救いようの無い小説だと言えそうです。 私はいつも、小説を読

むときは、なるべく感情移入して読むようにしてますが、この小説は全然想像つきま

せんでした。ただ心が痛んでいる傍観者でした。


だけども。そうだけど、気の毒と思いながらもなかなか手を休めることができません

でした。現在進行形で変化する純一が臨場感を醸し出して、緊迫した雰囲気を作り出

しています。最高でした。愛情の奥深さを垣間見たような気がしします。恵が幸せに

なってほしいです。


この小説もまた当たりでした。文章がいいです。簡潔でスラスラ読めます。いつも読

むのに時間がかかって仕方無い私ですが、気が付くと何十ページも読んでいたりし

て、その度にビックリしました。それだけ夢中になれたことに感激です――

asunaro3460 at 23:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!東野 圭吾 

January 26, 2008

きのう、火星に行った。  笹生 陽子

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「6年3組、山口拓馬。友だちはいらない、ヤル気もない。クールにきめていた。とこ

ろが突然、病気がちの弟、健児が7年ぶりに療養先から戻ってきて、生活が一変する。

家ではハチャメチャな弟のペースに巻き込まれ、学校では体育大会のハードル選手

に、でくちゃんと選ばれる…。少年たちの成長に感動必至」


――笹生さん3作目です。妙に好みのツボです。


文字が大きくて、薄いのでサラッと読めてしまいます。でも、その中にこれだけのも

のを詰め込むとは。 まず、タイトルに惚れました。きのう、火星に行った??は??

めちゃくちゃ気になります。


・・・なるほど。そこをあえて。粋ですねぇ。実に爽快です。


個人的にデクちゃんが一番好きです(デクちゃんって呼んだら悪いかな)。こういうひ

た向きさ、今の私にはありません。そんな努力があったら、最高のラストを迎えられ

たんですね。えらいです。自分の欠点を原動力にするなんてなかなかできません。多

分。ちょっとした仕掛けもありつつ、デクちゃんはやってくれました。彼の咆哮が、

文字を飛び越えて私の耳に伝わりました。素晴らしいです。


主人公の山口拓馬。強気でいつも突っ張ってるけど、やっぱりまだまだ小学生。どん

なに馬鹿にしてても、夢中になったら止まらない。見守るような感じで、彼の成長っ

ぷりが気持ちよかったです。


とにかくこの小説は、すべてが気持ち良い!相変わらず主人公が良いです。3作全員違

いますが、それぞれ魅力があります。好きになれます。そして自分が小学生だった頃

の気持ちを思い出して、山口拓馬と一緒にハードルを飛び越えましょう。


・・・とは言うものの、やっぱり「楽園・・・」のほうが好きです。3作目にしてまた

もやそれをこえられず。もしかして最初で最高点だったのかも――

asunaro3460 at 22:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!笹生 陽子 

January 22, 2008

いちご同盟  三田 誠広

「中学三年生の良一は、同級生の野球部のエース・徹也を通じて、重症の腫瘍で入院

中の少女・直美を知る。徹也は対抗試合に全力を尽くして直美を力づけ、良一もよい

話し相手になって彼女を慰める。ある日、直美が突然良一に言った。「あたしと、心

中しない?」ガラス細工のように繊細な少年の日の恋愛と友情、生と死をリリカルに描

いた長篇」


――青春小説を読みたいと思って、これを読みました。今だからこそ、読んでおかな

きゃならないものって絶対あると思う。


文章がかなり硬質。そのために、少し読みづらさを感じました。


この小説は全体的に憂鬱・・。言葉では言い表せないほどの脆さがあって、これが青

春小説なのか、と全然違う印象に驚きました。


死ぬ間際に人を好きになってしまった直美はどんなきもちだったんだろう。考えただ

けでも耐えられない・・。 胸を切断されてもなお、気丈に振舞う直美に尊敬の念を

覚え、ラストの徹也の呼びかけに、生きる勇気をもらいました。


すごく切ない。この年代の死ってこんなに綺麗なものなのかな。


純・純文学のこの小説。大事な事を教えられた気がする――

asunaro3460 at 23:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!三田 誠広 

January 20, 2008

手紙  東野 圭吾

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「強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙

が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強

盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は

償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名

作」


――ずっと気になっていた東野圭吾さんの小説を読みました。ちょっと、衝撃です。

一番好きになれそうな感じがします。まだ分かりませんが。


この小説そんなに重いですか?いろいろ感想を拝見すると、テーマが重いとか憂鬱に

なるとかそういうのが多かった気がします。私の場合は全然そんなことなくて、逆に

さわやかに、さらさらと読みました。確かに主人公の境遇は私が想像してるのより遥

かに辛いものなんだろうけど、だからこそ分からない部分ってあって。無理に答えを

出そうとしなくていいんじゃないかな、と思いながら読みました。そういう人たちに

もし出会った時に、自分はどう接するかとかじゃなくて、もし自分が犯罪を犯しそう

になった時、そこで立ち止まって、自分の罪の重さを想像できるようにする、ぐらい

でいいんじゃないでしょうか。


この小説の中で、印象的だった場面が二つあります。


一つ目は、平野社長が直樹に、犯罪について語りかける場面。なるほど、と頷きなが

ら読みました。


――犯罪を犯した人間は、ただ自分が刑務所に入って罪が償われると思っちゃいけな

い。肉親が、世間の冷ややかな視線を浴びて生活しなきゃならいこと、それも含めて

犯罪だってこと。差別は当然なんだ――


特に、差別は当然ってところは衝撃だった。差別はいけない事っていう先入観がずっ

とあったから。確かに自分も気付かないうちに、差別をしているのかもしれないと思

った。


二つ目はラストのシーン。こんなに泣いたのは初めてです。兄弟ものだからかな。自

分でもビックリした。自然に顔が歪んできて、文字が読めなくなった。何も考えてい

ないのに、涙がどんどん出てくる。読後、暫く放心状態。心から泣くってたぶんこう

いうことだ。これから生きていく上で、こんな小説にどれだけ出会えるか。どれだけ

も出会えないだろうな、と思います。 


主人公は何かしら成功への糸口を見つけた途端、兄の事がばれて、道を閉ざされてし

まう。その度応援して、自分はどうするかとか考えたりして、とにかく夢中で読み進

めた。


これはエンターテイメントとして最高品質の小説だと思うし、これからずっと読み継

がれていく小説であると信じます――

asunaro3460 at 22:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)clip!東野 圭吾