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思い出の玉手箱

玉手箱去年の今頃は、学校に来られなくなって3ヶ月休んだ後、やっと、やっと学校には来る気持ちになったけど、教室にはまだ戻れないという5年生の男の子と一緒にいた。
学校の中の一部屋で、ひっそりと工作などをして過ごし、時たまブラインドから教室の様子や友達の姿を覗き見る。
日に日に心が元気になって、友達と会話をしたり、ひとりで図書室に出向いたりできるようになったのに、私の任期が2月いっぱいで切れてしまったために、お別れとなった。
「友達と遊びたいよ。だけど遊べるくらいなら苦労はしない」と言っていたね。。。
退職してからも数回会いに行ったけれど、相変わらず教室には入れないでいた。私の後任の先生と過ごすのは楽しそうだったけれど、本人の心の中はきっと「これが最良」とは思っていないんだろう。できることなら友達とわいわい言って遊びたいだろう。。。

そんな彼が私の勤務の最後に日に「はいこれ♪」と差し出したのが、この玉手箱。
黒い箱に赤いひものリボンは、前日におかあさんと探しにいってみつけたこだわりの品だったそう。
「まだあけないでね。帰る時まではあけないでね」と何度も念を押した。
「あけたら白髪のおばあさんになるんじゃないでしょうね?それは困るよ〜」と冗談を言いながら笑っていたけど、とうとう彼の帰る時間になり、おかあさんが迎えに来られ、私はそ〜っとひもをとき、ふたを開けることになった。

ありがとう

見たとたん号泣。。。
おかあさんも一緒に。
彼だけがにこにこしながら「おかあさんの言ったとおりじゃねぇ。絶対、先生泣くよって。でもおかあさんまで泣かんでもいいじゃん〜」って。

こんな心のこもった、手のかかったプレゼントをもらって、平常心でいられる人がいるだろうか。
伊東家の裏ワザで、針金を花の形に曲げてつくったものにマニキュアを塗る工作が出ていて、工作用にマニキュアを買ってもらい、たくさんお花を作ったりしたけれど、それを応用して文字をつくることを思いついたそうだ。
私のことだけを思って、「せんせい ありがとう」と針金を曲げて…。ずいぶん時間がかかっただろうね。ほんとうに嬉しかった。

今でも思い出すと胸が熱くなる。
そんな彼の卒業もまぢか。
卒業式に皆と一緒に証書をもらいに行くことができるといいのだけれど。。。
でも同じ会場に入ることができれば、それだけでも良しとしないといけないかもしれない。
もしそれもだめなら、卒業式の日に、別の会場ででもいいから式ができればいい。
でも、どうするかは彼自身が決めることなのだ。
自分で決めて実行することが大切なのだ。。。

あと2ヶ月は彼を思って胸がざわざわする日が続きそうだ。

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