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前回のブログ記事においてバイク(自転車)のケイデンス(ペダル回転数)について言及しましたので、バイクのケイデンスに着目しトライアスリートがウエイトトレーニングに取り組むべき理由について改めて考察してみたいと思います。


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●自転車競技における走行速度とケイデンス及びギア比の関係

トライアスロン競技に限らず自転車ロードレース競技は、ある一定の距離を速く走行することを競い合う競技ですので、自転車の走行速度を高めその速度を維持することが勝敗の鍵となります。

その勝敗の鍵となる自転車の走行速度は、簡単に考えればギア比(前のギアの歯の数と後ろのギアの歯の数の比率:簡単にいえばギア比が大きくなるほど、ペダルは重くなる。)とケイデンスによって決定されます。

従って、ギア比をより大きくして、より速く回転させれば走行速度は上がるということになる訳ですが、その走行速度を維持するということを考えれば闇雲にギア比を大きくしてケイデンスを高くすれば良いという訳ではないことが理解出来ると思います・・・というより、いわば無尽蔵にギア比を大きく且つケイデンスを高くすることは不可能であるといった方が良いかもしれませんが。。。

いずれにしても、ギア比が大きくなればなるほどケイデンスは低くなり、そのケイデンスを維持することも難しくなるといえ、ギア比が小さくなればなるほどケイデンスは高くなりますが走行速度は上がらなくなるといえることから、現在の自分の体力に見合うギア比とケイデンスを選択することが重要であるともいわれています。

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●サイクリストの平均的なケイデンス

前回のブログ記事でも紹介した通り、長距離サイクリストの平均的なケイデンスは90-110rpmであることが先行研究(1-4)等によって報告されています。

また、ツールドフランスのような長丁場のロードレースを除く、いわゆるワンデイレース等と呼ばれるロードレースでみられる走行速度は50㎞/h程度であるとされていますので、簡単にいえば多くのサイクリストは90-110rpmで40-50㎞/hを維持出来るギア比を用いて戦っているといえる訳です。

では、一体、何故多くのサイクリストが90-110rpm程度のケイデンスを選択しているのかということについて考察してみたいと思います。

上述した通り、自転車競技パフォーマンスの鍵ともいえる走行速度はギア比とケイデンスで決まるといえることから、特にケイデンスに関係する研究が古くから行われており、それら先行研究によってケイデンスの違いによって発揮される筋力が異なる可能性があること(5)、動員される筋線維が異なること(6)、が報告されています。

すなわち、一定の仕事率(例えば200W)での自転車運動を行った場合、ケイデンスが低いと発揮される筋力が大きくなると共に主として(速筋線維の筋グリコーゲン量が減っていることが明らかにされていることから)速筋線維が動員されやすいという訳です。

ぺダリング運動に必要とされる筋力が大きくなり速筋線維がより多く動員されるということは筋疲労が生じやすいといえることから、結果として、あるいは経験的に多くのサイクリストは筋疲労が生じにくいと考えられる高回転ぺダリングを選択し、そのペダル回転数においてより速度が大きくなり、その維持が可能なギア比を用いていると考えることが出来るでしょう。

実際に先行研究(5)のシミュレート結果では、105rpmが下肢筋群の負担が少ないことが明らかにされ、多くのサイクリストのケイデンスが90-110rpmである理由は下肢筋群の負担を軽減するためであることが示唆されています。

以上を踏まえて考えれば、自転車競技パフォーマンスを向上させる上では、ケイデンスを90-110rpmで維持出来るようにすることが前提条件であるといえるのではないでしょうか。

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●トライアスリートがウエイトトレーニングに取り組むべき理由

ところで、トライアスロン競技においてはバイクパートの後にランパートがあり、バイクパートでの下肢の筋疲労を極力抑える必要があると考えます。

自転車運動と走運動では、その動作が異なりますが、下肢運動が主であることには変わりありませんので「如何にバイクパートで下肢の筋疲労を抑えるか」ということは競技パフォーマンスに直結する課題であるといえるでしょう。

そして、バイクパートで下肢の筋疲労を極力抑えるのであれば、上述の通り高回転ペダルによって走行速度を維持する能力を向上させる必要があり、バイクトレーニングはまずは何より高いケイデンス(90-100rpm)のぺダリングを身に付けた上で、ケイデンスのコントロールを徹底し、例えば、当方が行っていたようにケイデンスを90-100rpmで維持しつつ、より重いギア(よりギア比の大きい)を使えるように能力を高めていく必要があると考えます。

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また、ウエイトトレーニングよって下肢の筋力そのものを向上させておく必要があるといえるでしょう。

なぜなら、ウエイトトレーニングによって下肢の筋力そのものを向上させることでぺダリング運動中に発揮される筋力に余裕が生じると考えられ、そのことは、バイクパートで下肢の筋疲労を抑えることに結び付くと共に同じペダル回転数で、より大きなギア比を選択出来るようになるので走行速度の向上に結び付くといえるからです。

これらのことから、トライアスリートにとってウエイトトレーニングは不可欠であるといえる訳です。

●まとめ

・自転車の走行速度はギア比とケイデンスによって決まる。

・サイクリストの平均的なケイデンスは90-110rpmであるが、これは筋(下肢筋群)への負担を軽減させるためである。

・トライアスロン競技はバイクパートの後にランパートがあり、バイクパートで下肢の筋疲労を極力抑えることが課題になることから90-110rpmのペダル回転数を維持し、より重いギア(よりギア比の大きい)を使えるように能力を高める必要がある。

・ウエイトトレーニングによって下肢の筋力そのものを向上させることで、下肢筋群の筋疲労を軽減させることに繋がり、走行速度の向上にも貢献する。


(1) Hagberg J M,Mullin J P, Bahrke M,Limburg J:Physiological profiles and selected psychological characteristic of national class American cyclists. J Sports Med 19;341-346,1979.

(2) Patterson R P,Moreno M I:Bicycle pedalling forces as a function of pedalling rate and power output Med Sci Sports Exerc 22;512-516,1990.

(3) Sargeant A J:Human power output and muscle fatigue. Int J Sports Med 15;116-121,1994.

(4) Marsh A P,Martin P E:Effect of cycling experience,aerobic power, and power output on preferred
and most economical cycling cadences. Med Sci Sports Exerc 29;1225-1232,1997.

(5)Redfield R,Hull M L:On the relation between joint moments and pedalling rates at constant power in bicycling. J Biomechanics 19;317-329,1986.

(6)Ahlquist L E,Bassett Jr D R,Sufit R,Nagle F J,Thomas D P:The effect of pedaling frequencyon glycogen depletion rates in type I and type II quadriceps muscle fibers during submaximal cycling exercise. Eur J Appl Physiol 65;360-364,1992.


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●S&C Professional  Katsuhiko Noguchi

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