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変形性膝関節症を予防・改善するための運動(療法)のポイント

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先日のブログ記事に引き続き、変形性膝関節症を予防・改善するための運動(療法)のポイントについて個人的見解を含め以下に列挙してみたいと思います。

●ポイント1:膝関節伸展制限(屈曲拘縮)の改善
変形性膝関節症に限らず、膝関節に何らかのトラブルが生じている場合、膝関節の伸展制限(屈曲拘縮)が認められることが多いとされていますが、膝関節の伸展制限は膝関節のアライメント不良による痛みを引き起こすとともに下肢の動きを制限し著しくQOLを低下させることから、膝関節に伸展制限が生じている場合においては、まずは何よりそれを改善することが重要になると考えられます。

変形性膝関節症の治療として保存的治療が適応される場合においては、大腿四頭筋の筋力強化が標準的治療法として用いられ、その効果が認められていますが、大腿四頭筋の筋力を強化しても膝関節の伸展制限が解消されることはなく、膝関節の伸展制限を改善する方法に関して明確な効果が得られる方法は明らかにされていません。

膝関節の伸展制限が生じる原因は関節構成組織の拘縮よりも、膝関節に関与する筋の柔軟性が関与していることが多いとされていることから、膝関節の伸展制限を改善するためには筋の柔軟性を高めるストレッチングが有効な手段になるのではないかと考えられており、膝関節の伸展制限をきたすメカニズムとして二関節筋の伸展性の低下が大きく影響していることが示唆されていますが、膝関節に関与するハムストリングスと腓腹筋は二関節筋であり、二関節筋は本来、充分な伸展性を有していないことが報告されていることからハムストリングスと腓腹筋の伸展性の低下によって膝関節において伸展制限が生じやすいのではないかと考えられます。

一般的にハムストリングスや腓腹筋の伸展性を改善する方法としては、長座位でのストレッチングが広く知られていますが、長座位でのストレッチングでは伸展性が乏しい二関節筋であるハムストリングスと腓腹筋を充分に伸張することができないことから、丹羽らは二関節筋を効果的に伸張する方法として「メディカルストレッチング」を提唱し、その効果を報告しています。

また、ハムストリングスの伸展性を改善する上でハムストリングスに対して徹底的にフォーカスしたRDL(ルーマニアンデッドリフト)も有効であるといえるでしょう。

いずれにしても、変形性膝関節症に限らず、膝関節に何らかのトラブルが生じている場合においては、膝関節の伸展性を評価した上で、その伸展性に制限が生じている場合については、伸展制限を改善することが重要なポイントになるといえます。

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●ポイント2:内側広筋の筋出力向上
変形性膝関節症に限らず膝関節に何らかのトラブルが生じている場合においては、膝関節の伸展制限とともに内側広筋の著しい萎縮によって筋力低下がみられるケースも少なくありません。

なぜなら、内側広筋は膝関節の完全伸展動作に関与することから、膝関節の屈曲拘縮(伸展制限)が生じている場合に、その機能が低下しやすいといえるからです。

内側広筋は膝関節を安定させる役割を担う一関節筋の一つであり、内側広筋の機能低下は膝関節の不安定性をきたし更に膝関節のトラブルを悪化させる可能性があると推察されます。

これらのことから、変形性膝関節症に限らず膝関節に何らかのトラブルが生じている場合には内側広筋の筋出力を向上させることが重要なポイントになるといえます。

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●ポイント3:CKCエクササイズの早期導入
従来からの膝関節の障害に対するリハビリテーション(メディカルリハビリテーション)では、膝関節にかかる圧縮力と剪断力を避けることを理由にOKCエクササイズが採用されることが多かったいえます。

膝関節の障害に対するリハビリテーションで採用されるOKCエクササイズの代表例は、シーテッドレッグエクステンション(マシンエクササイズ)であるといっても過言ではありませんが、シーテッドレッグエクステンションエクササイズ実施時においては大腿四頭筋による脛骨の前方引き出し力(作用)によって膝関節に負担をかける可能性が示唆されていることから、最近では膝関節の障害に対するリハビリテーションにおいても早期からスクワット等のCKCエクササイズが導入されるケースが増えています。

また、スクワット等のCKCエクササイズを実施する上で膝関節に剪断力が生じないように”関節に対して健康的な”動作を徹底すればCKCエクササイズが関節に剪断力を生じさせることはなく、更には共収縮によって膝関節を安定させる作用が働き膝関節にかかる負担を軽減することが可能になるといえます。

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●ポイント4:中殿筋を中心とする殿筋群の強化
中殿筋は片脚立位時における骨盤安定性を担う重要な筋であることがしられています。

中殿筋の骨盤支持機能が低下していると、立位での活動において骨盤を充分に安定させることができず、代償動作によって身体の様々な部位にトラブルを引き起こすことが明らかにされており、中殿筋の骨盤支持機能の低下によって以下に示す膝関節の障害が生じる可能性があると報告されています。

腸脛靱帯炎:
Fredericsonらは、中殿筋の機能低下によってランニング動作時における大腿部の外転および外旋を充分にコントロールできないと腸脛靱帯炎を引き起こす可能性があることを報告している。

膝蓋大腿部痛症候群(PFPS:Patellofemoral pain syndrome):
Earlらは、中殿筋の機能低下によって股関節を充分にコントロールできないと大腿部の内転および(または)内旋がより大きくなるため膝関節に大きな外反ベクトルが生じ、膝蓋骨に対して側方に増大した力が加わり膝蓋骨が側方にずれることを報告している。

前十字靱帯(ACL)の傷害:
中殿筋には股関節に大きな外旋力が働くときに、股関節を水平に保持することが明らかにされているが、ジャンプ動作等における着地時の過度な膝の外反、あるいは大腿骨の回旋はACL損傷の潜在的発症機序であることから、中殿筋の機能低下によってACLの傷害リスクが増加することが示唆されている。

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中殿筋の機能低下が直接的に変形性膝関節症を引き起こすとはいい切れませんが、膝関節に対する様々なストレスを軽減することは変形性膝関節痛の予防、悪化防止に有効であると考えられます。

参考文献:
・Laura Presswoodら:中殿筋-応用解剖学、機能障害、評価および漸進的な筋力の向上.日本ストレングス&コンディショニング協会機関誌,Vol.2,No.2,2009
・星川吉光:専門医が治す!ひざの痛み.高橋書店,2008
・丹羽滋郎ら:メディカルストレッチング-筋学からみた関節疾患の運動療法.金原出版,2008
・山下謙智 編著:多関節運動学入門.ナップ,2007
 

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変形性膝関節症について

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先日、クライアントから変形性膝関節症に関する質問を受けたのですが、変形性膝関節症について十分に理解されていないことも多いのではないかと感じました。

そこで、変形性膝関節症について以下に整理してみたいと思います。

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変形性膝関節症とは大腿骨と脛骨が接する断端を覆う関節軟骨がすり減り膝関節が変形してしまう整形外科的疾病であるとされています。

変形性膝関節症は加齢に伴う筋の萎縮によって関節軟骨に過度な負担がかかり、関節軟骨の表面に傷がつくところから進行していくと考えられていますが、変形性膝関節症の発症メカニズムは明確に解明されている訳ではないといわれています。

これまでに報告されている仮説として、何らかの理由によって軟骨下骨に微小な骨折が生じ、その結果として関節軟骨に傷がつくのではないかとされるものがありますが、いずれにしても、下肢の筋力低下、萎縮が関節軟骨に大きな負担をかけることは疑いようのない事実であり、下肢筋群の状態と変形性膝関節症の間には密接な関係があることが明らかにされています。

また、変形性膝関節症は膝関節のアライメント不良(内反、外反、等)のために早期から発症することもあるとされていますが、加齢に伴う筋の萎縮、機能低下による伸展制限と筋出力低下によって60歳を過ぎてから顕著に認めることが多いとされています。

ところで、変形性膝関節症は症状が進行することが明らかにされていますが、その進行度は一般的に「初期、進行期、末期」の3段階に分類されています。(また、初期の前段階として「前期」を入れた4段階で分類する場合もある。)

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●前期:関節軟骨の変性がみられ衝撃吸収力が低下する。
この時点では、レントゲン画像においても特徴的な変化がみられず、「膝に違和感を感じる」といった程度で放置されやすいといわれています。また、膝関節可動域の減少や膝関節伸筋群の筋出力低下に気付かないことが多いとされています。

この時期に適切な運動(療法)が開始できれば、その後の進行を確実に抑えることが可能とされています。

●初期:関節軟骨の変性が進行し関節軟骨が磨り減り始めると共に骨棘や骨堤などの変化がみられる。
変形性膝関節症が初期まで進行すると階段の上り下り時、等で痛みを感じることが多くなり医師の診断を受ける人が増えるといわれています。また、初期段階では関節水症を引き起こし膝関節に腫れが生じたり、いわゆる「水が溜まる」といった症状が頻繁にみられるようになるのが特徴です。

この時期においては積極的に運動(療法)に取り組み、その後の進行を抑えることが重要になります。

●進行期:関節軟骨の磨り減りや骨棘、骨堤等の骨の変形が更に進行しO脚といった変形がみられる。
多くのケースでは膝関節の内側に荷重負荷が加わることで内側の関節軟骨だけが磨り減りO脚変形がみられるようになるとされています。進行期にまで症状が進行すると膝関節の可動性が著しく損なわれるとともに動作時の痛み(可動時痛)が強くなり日常生活に支障をきたすことが多くなります。

関節軟骨等は一度変形してしまうと如何なる方法においても元に戻すことは難しいとされていますので、この時期における運動(療法)は、症状(特に痛み)を緩和させるとともに生じている機能障害を取り除き、さらに「今ある機能を高める」ことを目的に実施することが望ましいとされています。

●末期:関節軟骨が完全に磨り減り軟骨下骨が象牙質化してしまう。
変形性関節症が末期まで進行するとO脚、等の変形や可動制限が目立つようになり、移動時には杖が必要になる等、日常生活に支障が生じるようになります。

この時期における運動(療法)は進行期と同様に、症状(特に痛み)を緩和させるとともに生じている機能障害を取り除き、さらに「今ある機能を高める」ことを目的に実施することになります。

具体的な運動(療法)については改めて整理してみたいと思います。。。

参考文献:
・星川吉光:専門医が治す!ひざの痛み.高橋書店,2008


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現代社会における運動指導者の役割を考える。。。

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近年の科学や技術の発展は、我々人間に便利で豊かな生活をもたらす一方で運動不足という悪しき習慣をももたらしたといっても過言ではありません。

その悪しき習慣は年々ますます劣悪、深刻になる一方であり、生活習慣病を引き起こす原因の一つとして問題視されるています。

更に、近年では「ロコモティブシンドローム」という(整形外科的)疾病概念が提唱されていまずが、ロコモティブシンドロームは、運動器(骨、関節組織、筋組織)に関わる疾病概念であり、その原因は運動器に対するメカニカルストレスの不足、いい換えれば運動不足以外の何ものでもないといえます。

また、ロコモティブシンドロームという疾病概念が生まれるよりも前から肩関節痛、腰痛、膝関節痛といった関節痛で悩む人が多数存在していますが、こうした関節痛は運動不足に起因するものが大半であるといっても過言ではありません。

こうした運動不足に起因する運動器に関する疾病は、直接的に死に至らしめる重篤な疾病である訳ではありませんが、人間の快適な生活を阻害し健康寿命の短縮をもたらすことになりかねません。

医学も年々発展、進歩し人間の平均寿命が著しく延びているといっても過言ではありませんが、平均寿命が延びている一方で運動不足に起因し健康寿命が短縮、あるいは停滞している状態は、寿命と健康寿命との格差を生み出すことになります。

寿命と健康寿命の差は、人間が幸せに生きることを放棄する期間であるといっても過言ではありません。

従って、人間はより長く幸せに生きるために運動不足を防がなければならないといえるのではないでしょう。

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ところが、運動器に関する疾病は一つの老化現象として誰もが経験するものであると認識され、運動器に関する疾病の多くが運動不足に起因するものであるという認識が稀薄になっているのではないかと推察されます。

また、関節痛とはいえないまでも関節に軽い痛みや関節の動きに制限が生じたり、筋肉にいわゆる「こわばり」のようなものが生じたりするのは、人間に共通する加齢に伴う生理現象であり致し方ないことであると考えていることが推察されます。

そして、こうした運動器の不定愁訴ともいえる状態は「医者に行くほど悪くはない」といった状況で放置されることが多く、それが高じた結果、重度の変形性関節症を引き起こしたり、運動器不安定症を引き起こし要介護状態に陥る可能性があるといえのではないでしょうか。

超高齢化社会の到来が叫ばれる今日、ますます寿命が延びることが予想される中で、寿命と健康寿命の格差を生み出さないようにするために、運動器に関する疾病の予防医療としての「運動」の重要性を訴え健康寿命を引き上げるべく対処していかなければなりません。

そして、その役割を担うのが運動指導者であるといえるでしょう。。。


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高齢者の歩行速度に影響を及ぼす要因について考える・・・

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5月(2016年5月)に高齢者を中心とする一般の方々に対して運動の講習をすることになり、主催者側より「速歩」に関する内容を含めて欲しいとのリクエストを頂きましたので、現在、改めて歩行運動について整理しています。

これまで多くの先行研究によって加齢に伴い歩行能力が低下すること、とりわけ歩行速度が低下することが報告されており、歩行速度は寿命にも関連する要因の一つであることが報告(1)されていることから、高齢者にとって歩行速度の低下を防ぐことは重要な健康課題の一つであるといえます。

従って、高齢者を含む一般の方々が歩行運動に取り組む上では、「通常歩行(運動)」よりも歩行速度を意識した「速歩(運動)」が望ましいと考えられる訳ですが、加齢に伴う体力の低下がみられる高齢者においては、ただ単に速く歩くことを意識したところで、必ずしも歩行速度が改善するとはいい切れませんので、歩行速度に関連する体力要素を明確にした上で、それらの体力要素を維持、向上させる取り組みが不可欠であると考えられます。

先行研究によれば、加齢に伴う歩行速度の低下は歩幅の低下と歩行率の低下によるものであることが報告(2)されていますが、この2つ要因のうち歩幅の低下は筋力の低下に起因し、歩行率の低下はバランス感覚の低下に起因するものであることが示唆されています(2)。

加齢に伴う歩幅の低下に影響を及ぼす筋力の低下については、主として膝伸展筋力(大腿四頭筋の筋力)の低下が着目されていますが、歩行動作を下肢動作として大きく捉えば、スプリント動作やジャンプ動作において股関節の筋群が重要な動力源の役割を担っている(3)ことと同様に、膝伸展筋力よりも股関節伸展筋力、下肢伸展筋力を低下させないことが重要であると個人的には考えています。

いずれにしても、歩行速度に関係する歩幅を低下させないようにするためには、主要な下肢筋群の筋力を維持、向上させることが極めて重要であるといえる訳ですが、歩行率の低下に筋力の低下が関与する度合いは少なく(2)、すなわち、主要な下肢筋群の筋力を維持、向上させても歩行率の低下を防ぐことが出来ない可能性があるといえ、結果として歩行速度の低下を予防するためには不十分であるといえるかもしれません。

歩行率の低下を防ぐためには、上述の通りバランス感覚の低下を防ぐことが重要であるとされていますが、バランス感覚を定義付ける重心動揺距離は歩行率に影響を及ぼすことが報告(4)されており、片脚立位時の重心動揺距離は足趾筋力の影響を受けることが示唆されている(5)ことから考えれば、足趾筋力を維持、向上させることで歩行率の低下を防ぐことが出来るといえるかもしれません。

これらのことから、足趾筋力を含む下肢筋力を維持、向上させることが歩行速度を維持、向上させるために重要であるといえ、これらの筋力運動を速歩運動に合わせて実施することが望ましいといえるでしょう。

(1)Sun Q, et al.:Physical activity at midlife in relation to successful survival in women at age 70 years or older. Arch Intern Med.170(2):194-201,2010

(2)伊東 元,長崎 浩,丸山仁司,橋詰 謙 他:健常男子の最大速度歩行時における歩行周期の加齢変化,日本老年医学会雑誌,26(4)347−352,1989

(3)図子浩二,西薗秀嗣,平田文夫:筋収縮の違いからみた下肢三関節のトルク発揮特性,体力科学,47,593-600,1998

(4)伊東 元,長崎 浩,丸山仁司,橋詰 謙,中村隆一:健常老年者における最大歩行速度低下の決定因-重心動揺と歩行率の関連-,理学療法学,17(2),123-125,1990

(5) 村田 伸:開眼片足立ち位での重心動揺と足部機能との関連-健常女性を対象とした検討-,理学療法科学,19(3),245-249,2004


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ロコモティブシンドロームを予防するための運動として推奨される「片脚立ち」について

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ロコモティブシンドロームを予防するための運動の一つとして推奨される1分間の「片脚立ち」運動は、支持脚大腿骨骨頭に加わる力積量が53.3分間の両脚歩行時の片側骨頭に加わる力積量に匹敵することから移動能力を維持するという点でロコモティブシンドロームの予防に対する有効性が推察され、また別の報告(1)では大腿骨頸部骨密度を改善することが認められ運動療法として重要であることが示唆されていることから高齢者の運動として重要度の高い運動であると考えられています。

しかしながら、健常高齢者に対する1分間の片脚立位運動は十分な負荷とならず大腿骨頸部骨密度の改善には有効ではないことも報告されており(2)、また「漸進性過負荷」というトレーニングの原理・原則に基づけば高齢者が「片脚立ち」運動を継続的に実施しても、いずれ効果の頭打ちがみられるといえます。

これらのことから、ロコモティブシンドロームの予防(さらに筋量の維持および筋力の維持を含む)、骨密度の維持・改善という側面から高齢者が取り組むべき運動を考える場合、「片脚立ち」運動(を含む自体重エクササイズ)から如何に運動を漸進、発展させるか(最終的には如何にウエイトトレーニングへと漸進、発展させるか)が重要であるといえるでしょう。

 
●参考文献:
(1)田代善久,阪本桂造:大腿骨頸部骨折予防に向けての片脚立ちの効果.日骨形態誌13,21~26(2003)
(2)厚労科研費補助金長寿科学総合研究事業「開眼片脚起立運動訓練による大腿骨頸部骨密度の改善と維持の証明並びに筋力・バランス能の改善による転倒・骨折予防への介入調査」平成18年度総括・分担研究報告書(主任研究者阪本桂造),2007


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