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疲労とは長時間の継続的使用によって本来の機能が低下する現象を意味している。ヒトにおいては全身的な身体疲労や一部の筋肉の酷使による局所的筋疲労、運動の結果として生じる衝撃力に起因する骨の疲労、あるいはトレーニングのし過ぎによる身体的・先進的変調、異常な環境での身体作業によって生じる様々な機能低下、プレッシャーに起因する精神的疲労、等、疲労という現象には極めて幅広い問題が含まれている。そこで、今回は筋疲労に焦点を絞り、その要因等について以下に記述する。

1)中枢性の要因による筋疲労
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疲労した筋からの情報は大脳の働きを抑制したり他方では賦活する。疲労した筋からの情報が脳に伝えられると、脳は興奮水準を低下させ作業の中止を命ずる様になる。中枢性疲労は大脳の興奮状態が低下した時に起こるとされている。

中枢疲労説
脳が疲労して筋収縮の為の信号発信頻度を抑えてしまい、それが筋疲労に結びつくという説。運動することによって血液中のバリン、ロイシン、イソロイシンといったBCAAが減少し、逆に血液中のトリプトファン濃度が上昇したことにより脳内の神経伝達物質の含有量が変化し筋疲労がもたらされると考えられている。

2)筋におけるエネルギー供給機構が関係する筋疲労
.┘優襯ー供給速度のミスマッチングによって運動継続が不可能になる可能性
運動中にはクレアチンリン酸の分解(ATP-CP系)、解糖系、酸化系からエネルギーを得ている。この3つのエネルギー供給系の放出するエネルギーの和が一定の場合、一定の強度の運動を続けることが出来る。

酸化系からのエネルギー供給は運動時間の経過に伴い指数関数的に増加し、クレアチンリン酸の分解は指数関数的に減少するとされている。一方、解糖系に関して30秒から2分で疲労困憊に至る運動では、酸素借形成速度は運動強度に比例し、その生化学的裏付けである筋の乳酸産生速度とクレアチンリン酸分解速度は酸素借形成速度と比例するが、15秒で疲労困憊に至る運動では30秒で疲労困憊に至る運動時と比べて乳酸産生速度に差はないがクレアチンリン酸分解速度が頭打ちにはならないことが報告されている。

短時間高強度運動中に必要なエネルギー産生量の70%以上を供給しているとされる無酸素性エネルギー供給機構の主要な部分であるATP-CP系においてクレアチンリン酸の分解が進むことでエネルギー供給が急激に低下し、更に解糖系からのエネルギー供給が頭打ちになると、3つのエネルギー供給系のエネルギー供給速度を合計しても、その運動強度に見合うだけのエネルギー供給速度に満たなくなり運動継続が出来なくなる可能性がある。30秒より短いダイナミックな運動の場合がこの例に当てはまる可能性がある。

▲┘優襯ー供給が減少して筋疲労が起こる可能性
筋疲労と関連して注目されるのが、高強度運動中に筋の酵素活性が変化し、それが原因で必要とされるエネルギーが産生出来なくなり筋疲労が起こる例である。

筋のエネルギーは酸化系エネルギー供給機構と非酸化系エネルギー供給機構から得られているが、酸化系エネルギー供給機構からのエネルギー供給は無尽蔵な酸素と効率の良い基質(糖質、脂質、タンパク質)代謝によって筋運動中に減退することはなく筋疲労の原因にはなりにくいと考えられている。これに対して非酸化系エネルギー供給機構の1つである解糖系の能力は高強度運動中にいくつかの酵素活性が変化することで制限される可能性があり、それが筋疲労に結びつくかもしれないといわれているが、多くの研究結果においてその可能性は低いことが示唆されている。

a:Glycogen phosphorylase
高強度運動中にはグリコーゲンが乳酸まで分解され、その過程において多量のエネルギーが産生される。グリコーゲン分解過程には生化学的酵素論からみて、その速度を律速する可能性のある酵素いわゆる律速酵素が2つあるとされている。その第1はGlycogen phosphorylaseであり、この酵素はグリコーゲンからグルコース1リン酸を生成する酵素である。この酵素はグリコーゲン分解の最初のステップであり、いわゆるSubstrate-feeding enzymeであるが、この酵素が活発で充分な基質を供給しない限り、いくらその後の酵素の活性が高くてもこの系の反応速度は速くなり得ない。Hultmanらが報告しているようにグリコーゲン分解速度は常に解糖速度よりも遅いのでこのGlycogen phosphorylaseの活性が運動中に低下することで解糖系の速度が低下しエネルギー産生量が減少して筋疲労が起こる可能性は低い。

b:Phosphofructokinase(PFK)
現在では多くの研究結果において、高強度等尺性運動中やダイナミックな運動中にin vitro(生体外実験環境下)でみられるような筋で乳酸が産生されることによって筋のpHが低下しPFK活性が抑制されエネルギー産生が減少するという現象は起こらないことが示唆されている。

3)興奮-収縮連関系の機能低下による筋疲労
ゞ擇らのK+の流出によって筋の膜電位が上昇し筋が収縮しなくなる可能性
筋膜の脱分極は筋の内外の水分画におけるNa+とK+の移動によって起こるが最大運動中及び最大下運動中には活動筋組織から常にK+が流出しており、筋中と細胞液中のK+濃度の比[Ki]/[Kc]は疲労困憊時に20程度まで低下する。これは安静時の膜電位が-90mVであったのが疲労困憊時には-75mV程度まで変化することを示している。この変化は筋膜の興奮性を低下させ筋の収縮を不可能にさせる可能性がある。

最大下運動では血漿中のK+濃度は運動開始後、速やかに定常状態に達する。従って、この場合において筋のK+の流出により筋疲労が起こることは考えられない。一方、高強度運動〜最大運動中では血漿中のK+濃度は急激に増加し定常状態に至ることはないので、筋膜のNa-K ATPaseの機能限界に伴うK+の流出により筋膜の脱分極が阻害され筋の収縮が不可能となり筋疲労が起こると考えられる。

筋小胞体にCa+を放出させる刺激をT管から分泌する能力が限界に達し筋疲労が起こる可能性
Donaldsonらは筋膜の脱分極はT管系(T-tublar system)の膜の脱分極を引き起こし、それによってT管からIP3(Inositol triphosphate)が放出され筋小胞体の膜を透過し筋小胞体からCa+を放出させるという仮説を提唱している。このメカニズムではT管でIP3から分解され生成したInositolを再びIP3の前駆体であるPIP2に合成する為にエネルギー(ATP)を消費する。当然、ここにも筋全体のエネルギー消費を決定する可能性のあるATPaseが存在するが、このATPaseが活性を失うと、筋収縮が停止し疲労に至る。

更に、筋が何度も興奮収縮を繰り返し、T管のPIP2が枯渇すると筋が収縮しなくなる可能性もある。また、筋奬内ATPが減少するとIP3とPIP2の代謝回転に支障が生じ、筋の収縮能が低下する可能性がある。

6旆からのCa2+取り込み速度の限界から筋疲労が起こる可能性
筋が収縮した後に筋奬内のCa2+を筋小胞体に取り込み筋を弛緩させるのが筋小胞体のCa運搬ATPaseである。このATPaseはCa2+を能動輸送するATPaseである。収縮-弛緩を高い頻度で繰り返すようなダイナミックな運動の場合、このATPaseの機能が低下すると筋の弛緩時間が延長し収縮時の筋出力に影響を与え、疲労の原因になる可能性がある。

ぅ潺肇灰鵐疋螢△砲茲Ca2+取り込みにより筋の弛緩速度が遅くなり筋疲労が起こる可能性
Vollestadらは、筋運動が長時間続くことによってミトコンドリアにおけるCa2+の取り込みが増加し、筋奬中のCa2+濃度が減少することで収縮に必要なCa2+濃度を維持出来なくなり収縮力の低下が生じ疲労の原因になる可能性を提唱している。しかし、筋収縮時に筋奬中で増加するCa2+濃度は弛緩時の数十倍に達するので、ミトコンドリアが筋奬中のCa2+の一部を取り込んだとしても、その量に比べて筋小胞体内にあるCa2+量は充分であることが推察され、ミトコンドリアのCa2+取り込みに伴う筋奬内のCa2+の減少によって筋疲労が起こることは考えられない。

ザ旆のpHが低下してトロポニンへのCa2+の結合量が減ることで張力が減少し疲労が起こる可能性
高強度運動中の様に筋に乳酸が蓄積し筋奬のpHが低下するとskinned fiberの張力が低下する。これはpHの低下によって収縮タンパクの一部であるトロポニンにCa2+が結合する割合が減少するからであると考えられている。このことにより、ヒトの運動中でも筋のpHが減少すると張力が減少し疲労が起こる可能性がある。

ATPから放出されるエネルギーが減少してミオシンヘッドが動かなくなる可能性
筋中のクレアチンリン酸濃度が低くPi(無機リン酸)濃度が高い程、ATP分解により放出される自由エネルギーは少なくなる。つまり、同じ量のATPが産生されてもクレアチンリン酸が少なくなるとそこから得られるエネルギーが減少するということになる。疲労困憊に至るような運動では、クレアチンリン酸が20mmol/kg wwも減少するので筋奬中のPi濃度もかなり増加すると推定される。Pi濃度が15mmol/kg ww増加したとするとΔG=-11.0kcal/molとなり、自由エネルギーが約1割減少する。この他に様々な条件の変化により自由エネルギーが減少しミオシンヘッドの構造的変化が起こらなくなると筋が収縮しなくなる可能性がある。

4)体内のエネルギー源の枯渇による筋疲労
…齋貪により疲労が起こる場合
随意運動によって、臨床的に低血糖と定義される2mmol/l以下にまで低下させるのは困難であり、それより前に疲労困憊に至る場合が多い。血糖値が低下すると脳組織におけるエネルギー消費量が低下し、脳が正常に機能しなくなり疲労困憊に至る可能性がある。または、それほどまでに血糖値が低下する前に生体の防御機構が働いて運動を停止させるのかもしれない。先行研究によると血糖値の変化とRPE(主観的運動強度)の動向はかなり同期する。つまり、血糖値が低下するに従ってRPEが増加し、疲労困憊に達すると報告されている。筋グリコーゲンが枯渇しないような低い強度の長時間運動において血糖値の低下が疲労の要因であるという結論はある程度認められている。

筋グリコーゲンが枯渇して疲労が起きる場合
比較的低強度の運動ではグリコーゲンが徐々に減少し、その枯渇が疲労困憊の大きな要因になると考えられている。また、Vollestadらは最大下での自転車エルゴメータでの運動時において筋グリコーゲンがType-帰A→Bの順に疲労と共に枯渇することを認めた。

参考文献:
1) 疲労を科学する,コーチングクリニック:1997 Oct,p20-21
2) 川野 因:運動による脳の疲労とスポーツ栄養,コーチングクリニック:1997 Nov,p12-14
3) 田畑 泉,山本 正嘉 著:身体運動のエナジェティクス,高文堂出版社:1989
4) Vollestad.N.K. Vaage.O. Hermansen.L. : Muscle glycogen depletion patterns in Type and subgroups of Type fibers during prolonged severe exercise in man : Acta Physiol.Scand.122 433-441 1984


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カテゴリ:
J Strength Cond Res. 2011 Dec;25(12):3269-73.
KINETIC COMPARISONS DURING VARIATIONS OF THE POWER CLEAN
PAUL COMFORT, MARK ALLEN, AND PHILLIP GRAHAM-SMITH

Abstract
The aim of this investigation was to determine the differences in peak power, peak vertical ground reaction forces, and rate of force development (RFD) during variations of the power clean. Elite rugby league players (n = 16; age 22 ± 1.58 years; height 182.25 ± 2.81 cm; body mass 98.65 ± 7.52 kg) performed 1 set of 3 repetitions of the power clean, hang power clean, midthigh power clean, or midthigh clean pull, using 60% of 1 repetition maximum power clean, in a randomized order, while standing on a force platform. One-way analysis of variance with Bonferroni post hoc analysis revealed a significantly (p < 0.001) greater peak power output during the midthigh power clean (3,565.7 ± 410.6 W) and the midthigh clean pull (3,686.8 ± 386.5 W) compared with both the power clean (2,591.2 ± 645.5 W) and the hang power clean (3,183.6 ± 309.1 W), along with a significantly (p < 0.001) greater peak Fz during the midthigh power clean (2,813.8 ± 200.5 N) and the midthigh clean pull (2,901.3 ± 226.1 N) compared with both the power clean (2,264.1 ± 199.6 N) and the hang power clean (2,479.3 ± 267.6 N). The midthigh power clean (15,049.8 ± 4,415.7 N・s) and the midthigh clean pull (15,623.6 ± 3,114.4 N・s) also demonstrated significantly (p < 0.001) greater instantaneous RFD when compared with both the power clean (8,657.9 ± 2,746.6 N・s) and the hang power clean (10,314.4 ± 4,238.2 N・s). From the findings of this study, when training to maximize power, Fz, and RFD, the midthigh power clean and midthigh clean pull appear to be the most advantageous variations of the power clean to perform.


●本研究の目的:
同一強度(60%1RMPCL)によるパワークリーン、ハングパワークリーン、ミッドサイパワークリーン、ミッドサイクリーンプルのピークパワー、ピークGRF、ピークRFDを比較すること。

●本研究の背景:
1.先行研究によってオリンピックリフティングエクササイズのセカンドプルフェーズにおけるピークGRF、ピークパワーが有意に大きい値を示すことが明らかにされていることから、セカンドプルフェーズにフォーカスした運動であるといえるミッドサイパワークリーンならびにミッドサイクリーンプルが爆発的パワーの向上に最適であるといえるのではないか?

2.Kawamoriらの研究によってミッドサイクリーンプルのTime to peak RFDはカウンタームーブメントジャンプ及びバーティカルジャンプのTime to peak RFDより短いことが報告されていることからRFDの向上を目的にトレーニングを行う場合、各種垂直跳びよりミッドサイクリーンプルあるいはミッドサイパワークリーンを優先させるべきではないか?

3.しかしながら、ミッドサイパワークリーン及びミッドサイクリーンプルの運動力学的特性に関する研究は十分であるといえない。

●被検者:
・男子ラグビー選手16名 (年齢22±1.58才; 身長182.25±2.81cm; 体重98.65±7.52 kg)
・全ての被験者は2年以上クリーン及びそのバリエーションエクササイズを含むS&Cプログラムに参加していた。

●Testing:
・被検者はランダムにパワークリーン、ハングパワークリーン、ミッドサイパワークリーン、ミッドサイクリーンプルを60%1RM(別途、1RM測定を実施)の負荷を用いて、それぞれ3レップ(レップ間に30秒のレストを挟み疲労の影響を最小限にした。)実施した。
・全ての試技はフォースプレート上で実施され、GRFとRFDが計測された。
・ピークパワーはフォースプレートから得られたGRFから加速度を求め(力/質量;被検者の体重+バーベルの質量)、初期速度(0)からの加速度を速度として、GRFと速度から算出した。
・測定はプレシーズントレーニング中、パワー期のテーパーフェーズに実施された。

●主要な結果:
・ミッドサイパワークリーン及びミッドサイクリーンプルのピークパワーは、パワークリーン及びハングパワークリーンより有意に大きい値を示した。

・ミッドサイパワークリーン及びミッドサイクリーンプルのピークGRFは、パワークリーン及びハングパワークリーンより有意に大きい値を示した。

・ミッドサイパワークリーン及びミッドサイクリーンプルのピークRFD(瞬時RFD)は、パワークリーン及びハングパワークリーンより有意に大きい値を示した。

●主要な考察:
・本研究の結果はクリーンのセカンドプルフェーズにおいて、より大きなパワーアウトプットが発揮されることを示した先行研究、より大きなGRFが得られることを示した先行研究を支持するものである。

・本研究の結果は、ミッドサイクリーンプル及びミットサイパワークリーンがRFDの向上に有効であることを示唆するものであり、30%1RM,60%1RM,90%1RM,120%1RMの負荷を用いたミッドサイクリーンプルのTime to peak RFDはカウンタームーブメントジャンプ及びバーティカルジャンプのTime to peak RFDより短いことを報告したKawamoriらの先行研究と合わせて考えれば、RFDの向上を目的にトレーニングを実施する場合において、ミッドサイクリーンプル及びミッドサイパワークリーンを優先すべきであることを示唆するものである。
*ミッドサイパワークリーン及びミッドサイクリーンプルは、コンセントリックフェーズで構成される運動であり、他のクリーンエクササイズと比べ、よりバーを加速させることが必要になることから、RFDの向上に有効である。

・スプリントスピードにピークGRFが関係していることから考えれば、より大きなGRFを得ることを目的にミッドサイクリーンプル及びミッドサイパワークリーンを用いてトレーニングすることでスプリント能力の向上に結びつくといえるかもしれない。

・以上を踏まえ、セカンドプルフェーズにフォーカスした運動であるといえるミッドサイクリーンプル及びミッドサイパワークリーンが爆発的パワーの向上に有効であると考えられる。

・本研究で用いた負荷(60%1RM)と異なる負荷でも同様の結果が得られるのか?例えば、先行研究によって報告されているパワークリーンのPmax load(80%1RM)、ハングパワークリーンのPmax load(70%1RM・・・Kawamoriらの研究)でも同様の結果が得られるのか?更なる研究が必要である。

●現場への応用:
ミッドサイクリーンプル及びミッドサイパワークリーンは爆発的パワーの向上に有効である上にオリンピックリフティング経験の少ない選手にとって簡単に習得することが出来るという実用的な利点がある。

具体的なプログラム導入例
・筋力期:ミッドサイクリーンプル・・・キャッチの必要がないため100%1RM以上の負荷を用いることが出来るため。

・パワー期:ミッドサイパワークリーン・・・パワークリーン及びハングパワークリーンより、大きなパワーアウトプット、ピークGRF、ピークRFDがもたらされるため。

●Note:
・本論文によってミッドサイクリーンプルの有効性が明らかにされたが、スタートポジション(床から、ハングから)に関わらずクリーンプルをトレーニングプログラムに導入するに際しては注意が必要であると考えられる。その理由は、クリーン(キャッチを含む)の動作が身体に十分に入っていない状態でクリーンプルを実施しても、単に腕で引く運動になってしまったり、十分なフルエクステンションが出来ず、本論文で得られた通りの効果が得られない可能性があるからである。従って、ミッドサイパワークリーン、ハングパワークリーン、パワークリーンを中心にオリンピックリフティングエクササイズをトレーニングプログラムに導入して十分にクリーンの動作を身体に入れてからクリーンプルを導入することで、クリーンプルが持つ特性を活かすことが出来るものと考える。

・例えば、1RMバックスクワットのスコアに対して1RMパワークリーンのスコアが相対的に低い場合、その要因(原因)としてはRFDが悪い事が考えられ、このような場合においてはミッドサイクリーンプル及びミッドサイパワークリーンをトレーニングプログラムに導入することで1RMパワークリーンの向上に結びつくのではないかと考えられることから、状況に応じてミッドサイクリーンプル及びミッドサイパワークリーンを活用することが有効であると考えられる。


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2015年10月11日にスポーツ庁より「平成26年度体力・運動能力調査」の結果が報道機関に発表された。

詳細:
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/27/10/__icsFiles/afieldfile/2015/10/13/1362692_01_1.pdf

当該報道発表によると、高齢者(65歳〜79歳)において、殆どの項目及び合計点で向上傾向を示し、合計点は65〜69 歳の男子,70〜74 歳の女子,75〜79 歳の男女で過去最高を示したとされているが、文科省のwebサイトで発表されている高齢者(65歳〜79歳)の「体力・運動能力の年次推移」から詳細を確認すると、筋力の指標として捉えることの出来る「握力」のスコアと通常歩行に比べより下肢の筋力が必要となる「10m障害歩行」のスコアについては向上傾向というより横ばい傾向にある点、また、筋力と柔軟性の関係性から考えた時に柔軟性の指標である「長座体前屈」のスコアも横ばい傾向にある点に着目すべきだといえるかもしれない。

いい換えれば、運動指導者としては筋力ならびに筋力に関係する測定項目のスコアがそれ程向上していない点について着目すべきであるといえるだろう。

高齢者の体力、特に、筋力の評価基準の一つとして広く知られているのはロコモティブシンドロームの判断基準として臨床現場で取り組まれている「立ち上がりテスト」と「2ステップテスト」であるといえるが、これらのテストによって評価される筋力は必要最低限度の筋力レベルであると考えられ、これらのテストを基準に高齢者の筋力を捉え運動プログラムを考えると筋力の向上という点では十分な効果が得られないかもしれない。

「立ち上がりテスト」&「2ステップテスト」

高齢者として、いい換えれば人間として必要最低限度の筋力レベルについては上述の通り明確な基準があるといえるが、超高齢化社会を迎えるにあたり、そのレベルで十分であるといえるのか、もし不十分であるならば、どの程度の筋力レベルを目標とするのかについて明確にする必要があると考えられる。


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J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2010 May;65(5):510-6.
Extracellular water may mask actual muscle atrophy during aging.
Yamada Y, Schoeller DA, Nakamura E, Morimoto T, Kimura M, Oda S.

Abstract
BACKGROUND:
Skeletal muscle tissue holds a large volume of water partitioned into extracellular water (ECW) and intracellular water (ICW) fractions. As the ECW may not be related to muscle strength directly, we hypothesized that excluding ECW from muscle volume would strengthen the correlation with muscle strength.

METHODS:
A total of 119 healthy men aged 20-88 years old participated in this study.
Knee isometric extension strength, vertical jump, and standing from a chair were measured as indices of muscle strength and power in the lower extremities. The regional lean volume (LV), total water (TW), ICW, and ECW in the lower leg were estimated by anthropometry (skinfold and circumference measurements) and segmental multifrequency bioelectrical impedance spectroscopy (S-BIS). Then, we calculated the ECW/TW and ICW/TW ratios.

RESULTS:
Although ICW and the LV index decreased significantly with age (p < .001), no significant changes in ECW were observed (p = .134). Consequently, the ECW/TW ratio increased significantly (p < .001) with age (young adult, 27.0 +/- 2.9%; elderly, 34.3 +/- 4.9%; advanced elderly, 37.2 +/- 7.0%). Adjusting for this by including the ICW/TW ratio in our models significantly improved the correlation between the LV index and strength-related measurements and correlated with strength-related measurements independently of the LV index (p < .001).

CONCLUSIONS:

The ECW/TW ratio increases in the lower leg with age. The results suggest that the expansion of ECW relative to ICW and the LV masked actual muscle cell atrophy with aging.

●目的:
骨格筋の筋細胞内水分量と筋力の関係について検討

●被検者・主な測定項目:
・被検者:20歳から88歳までの119名の男性
・測定項目:等尺性膝伸展筋力/垂直跳び/椅子からの立上り能力/部位別多周波
生体電気インピーダンス分光法(S-BIS)による下肢筋群水分量等

●主な結果:
・筋細胞内水分量は加齢に伴い減少した。
・筋細胞外水分量は加齢に伴う有意な減少はみられなかった。
・筋総水分量における細胞外水分量が占める割合は加齢に伴い増加する。
・筋細胞内水分量と等尺性膝伸展筋力、垂直跳び、椅子からの立上り能力との間にはいずれも相関関係がみられた。

●Note:
多くの先行研究によって加齢に伴い骨格筋量ならびに筋力が低下することが明らかにされており、また、筋力は筋横断面積に比例することが明らかにされていることから、加齢に伴う筋力の低下は骨格筋量の減少が要因であるとされているが、筋力の低下が骨格筋量の減少よりも2倍〜5倍大きいことも報告されており、近年では加齢に伴う筋力の低下は「骨格筋量の減少以外の要因」によるところが大きいとされ様々な研究が行われている。

ところで、骨格筋は単一の要素から成り立っている訳ではなく、骨格筋細胞、細胞外区画、筋内脂肪の3要素で構成されていると考えられているが、これらの要素のうち力を発揮する要素は骨格筋細胞であることから考えれば、加齢によって筋力が低下する要因は単に骨格筋量の減少によるものではなく骨格筋細胞量の減少によるものであると考えられ、このことが加齢に伴う骨格筋量の減少よりも筋力の低下が著しい理由であるといえるかもしれない。

いい換えれば、加齢に伴う骨格筋量の減少を「見かけの減少」、骨格筋細胞量の減少を「真の減少」と捉えれば、加齢に伴う「見かけの減少」よりも「真の減少」が著しく、高齢者の骨格筋量を評価する上では骨格筋細胞量の減少、すなわち「真の減少」を推定することが重要であると考えられる。

骨格筋細胞は水分を多く含むため骨格筋細胞内水分量を測定することで骨格筋細胞量を推定することが可能であると考えられるが、本研究において加齢に伴い骨格筋細胞内水分量が減少し、骨格筋細胞内水分量と筋力(等尺性膝伸展筋力)、パワー(垂直跳び)、機能的筋力(椅子からの立上り能力)との間に有意な相関関係がみられたことから、インピーダンス法によって骨格筋細胞内水分量を測定することで骨格筋細胞量を推定することが可能であり、加齢に伴い骨格筋細胞量が減少し筋力等の低下が生じることが示唆された。

また、本研究によってインピーダンス法によって四肢の骨格筋量を評価する際に細胞外水分量が骨格筋量の評価に影響を及ぼすこと、いい換えれば、高齢者の四肢の骨格筋量をインピーダンス法によって評価する際には細胞外水分量の影響によって過大評価してしまう可能性が示唆された。

これらのことから、高齢者においては骨格筋の「見かけの減少」より「真の減少」が著しく、「真の減少」の結果として筋力が低下することが明らかにされ、高齢者の骨格筋量を評価する上では何より骨格筋細胞量を評価すべきであることが明らかにされたといえる。

以上を踏まえて考えれば「加齢に伴う骨格筋細胞量の減少を如何に防ぐか」ということが高齢者の運動器における健康課題であるといっても過言ではなく、加齢に伴う骨格筋細胞量の減少が著しいという点から壮年期(厚労省の一部資料によると31〜44歳)より骨格筋細胞量を維持するための運動を継続することが重要であるといえるだろう。(ちなみに、ランニング等の有酸素運動・持久系運動はサルコペニアおよびダイナペニアを十分に予防することは出来ないことが明らかにされている(1)ことから、壮年期から継続的なウエイトトレーニングに取り組む必要性があるといえよう。)

●参考文献:
Marcell TJ, Hawkins SA, Wiswell RA.J:Leg strength declines with advancing age despite habitual endurance exercise in active older adults., Strength Cond Res. 2014 Feb;28(2):504-13


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The Showa University Journal of Medical Sciences Vol. 11 (1999) No. 4 P 247-254
Dynamic Flamingo Therapy for Prevention of Femoral Neck Osteoporosis and Fractures -Part 1:Theoretical Background -
Keizo SAKAMOTO, Futoshi SUGIMOTO, Yoshisada SATO, Etsuo FUJIMAKI, Yoshihisa TASHIRO

Abstract
This paper describes the theoretical background of Dynamic Flamingo Therapy (DF therapy) . DF therapy is a method based on Wolff's laws and Pauwels' lever arm theory for increasing the bone mineral density at the femoral neck. According to Pauwels' theory, during one-leg standing the femoral head receives 2.75 times the load applied during two-leg standing. Our photoelasticity results show that the maximum concentration of stress in the inner side of the femoral neck was 0.706kg/mm2 for the one-leg standing posture and 0.212kg/mm2 for the two-leg standing posture. When the patient stands on one leg the femur is subjected to a mechanical stress approximately 3-fold that of a normal standing posture without any increase in body weight. According to Peizer's walking cycle, 95% of the maximum stress applied to the femoral head of one leg (the supporting leg) equals 1.5/80 of the walking cycle. The time necessary to complete this number of cycles is 2987× (60/56) =3200 seconds (53.3minutes) .

●主な知見:
片脚立位時に支持脚大腿骨骨頭に加わる力積量は53.3分間の両脚歩行時の片側骨頭に加わる力積量に匹敵する。

●Note:
ロコモティブシンドロームを予防するための運動の一つとして推奨される1分間の片脚立位運動は、支持脚大腿骨骨頭に加わる力積量が53.3分間の両脚歩行時の片側骨頭に加わる力積量に匹敵することから移動能力を維持するという点でロコモティブシンドロームの予防に対する有効性が推察され、また別の報告(1)では大腿骨頸部骨密度を改善することが認められ運動療法として重要であることが示唆されていることから高齢者の運動として重要度の高い運動であると考えられている。

しかしながら、健常高齢者に対する1分間の片脚立位運動は十分な負荷とならず大腿骨頸部骨密度の改善には有効ではないことも報告されており(2)、また「漸進性過負荷」というトレーニングの原理・原則に基づけば高齢者が片脚立位運動を継続的に実施しても、いずれ効果の頭打ちがみられるといえよう。

これらのことから、ロコモティブシンドロームの予防(さらに筋量の維持および筋力の維持を含む)、骨密度の維持・改善という側面から高齢者が取り組むべき運動を考える場合、片脚立位運動(を含む自体重エクササイズ)から如何に運動を漸進、発展させるか(最終的には如何にウエイトトレーニングへと漸進、発展させるか:以下【参考】参照)が重要であるといえるだろう。

●参考文献:
(1)田代善久,阪本桂造:大腿骨頸部骨折予防に向けての片脚立ちの効果.日骨形態誌13,21〜26(2003)
(2)厚労科研費補助金長寿科学総合研究事業「開眼片脚起立運動訓練による大腿骨頸部骨密度の改善と維持の証明並びに筋力・バランス能の改善による転倒・骨折予防への介入調査」平成18年度総括・分担研究報告書(主任研究者阪本桂造),2007


【参考】高齢者に対するウエイトトレーニング指導における運動プログラムのプログレッション

高齢者に対して適切にウエイトトレーニング指導を行う上で重要となるポイントは、高齢者は体力レベルの個人差が著しいため個々の体力レベルを考慮し段階的に運動プログラムを発展させることである。

従って、まずはロコモティブシンドロームの状態に至っていないかを評価、すなわち移動能力を十分有しているか、自身の体重を十分に支持できる筋力を有しているか、という視点から個々の体力レベルを評価した上で段階的に運動プログラムを発展させウエイトトレーニング(フリーウエイトトレーニング)へ移行していくことが望ましいと考えられる。

以下に高齢者に対するウエイトトレーニング指導における運動プログラムのプログレッション(発展)例を示す。


●高齢者に対するウエイトトレーニング指導における運動プログラムのプログレッション(発展)例

Step1:60秒間の片脚立位運動が可能か?

1分間の開眼片脚起立で得られる大腿骨骨頭に加わる力積量は53.3分の両脚歩行で得られる片側骨頭に加わる力積量に匹敵する(Sakamoto, Sugimoto, et al.)ことから、移動能力を十分に有しているか否かを(移動能力必要とされる最低限の筋力を有しているか否か)を評価する。

Yes→Step2へ
No→座位運動および片脚立位運動を中心とした運動プログラムを2週間〜4週間展開し再チェック(以降、同様)



運動プログラム例:
・シーテッドペルヴィックティルト
・シーテッドグッドモーニングエクササイズ
・シーテッドニーアップ
・スタンディングニーアップ
・スタンディングヒップアブダクション
・スタンディングレッグスイング
・1Lデッドリフト(自体重)


Step2:40cmの高さの台等から片脚で立ち上がることが可能か?

40cmの高さの台等から片脚で立ち上がるときに必要とされる大腿四頭筋の筋力は体重の60%を支持するために必要な筋力(体重支持指数:WBI=0.6)に相当し、基本的な社会生活を送るためにはWBI0.6以上が必要(黄川と山本ら,1988#1,1991#2)であるとされることから、基本的な社会生活を送るために必要とされる筋力を有しているか否かを評価する。

#1)黄川昭雄,山本利春ら(1988):アスレティック・リハビリテーションにおける下肢の機能および筋力評価.臨スポーツ医会誌,5:213−215.
#2)黄川昭雄,山本利春ら(1991):機能的筋力測定.評価法−体重支持指数(WBI)の有効性と評価の実際.日整外スポーツ医会誌,10:463.468.

Yes→Step3へ
No→片脚立位運動を中心とした運動プログラムを2週間〜4週間実施し再チェック(以降、同様)



運動プログラム例:
・グッドモーニングエクササイズ(自体重)
・スタンディングニーアップ
・スタンディングヒップアブダクション
・スタンディングレッグスイング
・1Lデッドリフト(自体重)
・1Aダンベルロウ
・ディップス(自体重)


Step3:自体重エクササイズを中心とした運動プログラム

運動プログラム例:
・スタンディングレッグスイング
・グッドモーニングエクササイズ(自体重)
・リバースランジ(自体重)
・ルーマニアンデッドリフト(自体重)
・1Lデッドリフト(自体重 or ダンベル)
・1Aダンベルロウ
・ディップス

*リバースランジおよびルーマニアンデッドリフトの適切なフォームが獲得出来た段階でStep4へ


Step4:フリーウエイトトレーニング導入プログラム1

運動プログラム例:
・スタンディングレッグスイング
・リバースランジ(自体重)
・ルーマニアンデッドリフト(バーベル)
・椅子を使ったスクワット(自体重)
・1Lデッドリフト(ダンベル)
・1Aダンベルロウ or ベントオーバーロウ(バーベル)
・ディップス

*椅子を使ったスクワットの適切なフォームが獲得出来た段階でStep5へ


Step5:フリーウエイトトレーニング導入プログラム2

運動プログラム例:
・スタンディングレッグスイング
・オーバーヘッドリバースランジ(プレート)
・フロントスクワット(バーベル)
・ルーマニアンデッドリフト(バーベル)
・オーバーヘッドプレス(バーベル)
・ベントオーバーロウ(バーベル)
・ディップス or プッシュアップ(自体重)

*フロントスクワットの適切なフォームが獲得出来た段階でバックスクワットを導入した通常プログラムへ(必要に応じて1RMテストを実施)


以上


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カテゴリ:
J Hypertens. 2006 Sep;24(9):1753-9.
Resistance training and arterial compliance: keeping the benefits while minimizing the stiffening.
Kawano H, Tanaka H, Miyachi M.

Abstract
Objectives This study aimed to determine the effects of moderate resistance training as well as the combined resistance and aerobic training intervention on carotid arterial compliance.
Background Resistance training has become a popular mode of exercise, but intense weight training is shown to stiffen carotid arteries.
Methods Thirty-nine young healthy men were assigned either to the moderate-intensity resistance training (MODE), the combined resistance training and endurance training (COMBO) or the sedentary control (CONTROL) groups.Participants in the training groups underwent three training sessions per week for 4 months followed by four additional months of detraining.
Results All training groups increased maximal strength in all the muscle groups tested (P < 0.05). Carotid arterial compliance (via simultaneous carotid ultrasound and applanation tonometry) decreased approximately 20% after MODE training (from 0.20 W 0.01 to 0.16 W 0.01 mm2 / mmHg, P < 0.01). No significant changes in carotid arterial compliance were observed in the COMBO (0.20 W 0.01 to 0.23 W 0.01 mm2 / mmHg) and CONTROL (0.20 W 0.01 to 0.20 W 0.01 mm2 / mmHg) groups. Following the detraining period, carotid arterial compliance returned to the baseline level. Peripheral (femoral) artery compliance did not change in any groups.
Conclusions We concluded that simultaneously performed aerobic exercise training could prevent the stiffening of carotid arteries caused by resistance training in young healthy men.

●目的:
中強度のレジスタンストレーニングならびに複合トレーニング(レジスタンストレーニング+有酸素トレーニング)が動脈コンプライアンスに及ぼす影響について検討

●被検者/トレーニング等:
・被検者:39名の若年者を無作為にMODE群(中強度レジスタンストレーニング群:12名/20 ± 1歳)、COMBO群(複合トレーニング群:11名/21 ± 1歳)、CONTROL群(コントロール群:16名/22 ± 1歳)に分けて実験を行った。

・トレーニング:週3回×12Weeks/ハーフスクワット、レッグエクステンション、レッグカール、ベンチプレス、ラットプルダウンおよびアブドミナルを実施。
MODE群・・・3×14-16:50%1RM
COMBO群・・・3×8-12:80%1RM+30min自転車運動:60%MaxHR
*トレーニング介入後12Weeksの脱トレーニング期間を設定

●主な結果:
・両トレーニング介入群において全トレーニング種目の1RMが有意に向上した。
・COMBO群における1RMの向上率はMODE群における1RM向上率よりも有意に高かった。
・MODE群における頸動脈コンプライアンスはトレーニング介入後に有意に低下した。
・COMBO群における頸動脈コンプライアンスはトレーニング介入後に増加傾向を示した。
・両トレーニング介入群における頸動脈コンプライアンスは脱トレーニング期間でトレーニング介入前とほぼ同じ状態に戻った。

●結論:
・中強度(50%1RM)のレジスタンストレーニングによっても頸動脈コンプライアンスが低下する。
・レジスタンストレーニングと有酸素トレーニングを組み合わせた複合トレーニングでは頸動脈コンプライアンスの低下が起こらず、レジスタンストレーニングよって生じる頸動脈コンプライアンスの低下を有酸素トレーニングが抑制している可能性がある。

●Note:
これまでの先行研究でレジスタンストレーニングよって頸動脈コンプライアンスが低下することが示されているが、中強度のレジスタンストレーニングが頸動脈コンプライアンスに及ぼす影響については明らかにされていないことも多く、本研究の結果から中強度のレジスタンストレーニングよって頸動脈コンプライアンスが低下することが明らかにされたことは非常に興味深い。

加齢に伴う筋量の減少および筋力の低下を予防することと動脈コンプライアンスの低下を防ぐことは、高齢者にとってどちらも重要な健康課題であるという点で考えれば、高齢者に対するレジスタンストレーニングにはパラドックスが存在するといっても過言ではないが、本研究の結果からレジスタンストレーニング後に有酸素エクササイズを実施することでレジスタンストレーニングによって生じる動脈コンプライアンスの低下を抑制できることが示唆されたことから高齢者に対してレジスタンストレーニング指導を提供する上では有酸素エクササイズを組み合わせた方が良いといえるかもしれない。

しかしながら、本研究の被検者は若年者であり加齢に伴う動脈コンプライアンスの低下がみられる中高年者において同様の結果が得られるとは限らないといえるだろう。

また、レジスタンストレーニングの効果と有酸素トレーニングの効果は両立せず有酸素トレーニングはレジスタンストレーニングの効果に悪影響を及ぼすことが報告されている点を踏まえて考えれば、レジスタンストレーニングと有酸素トレーニングを組み合わせた複合トレーニングはレジスタンストレーニングによって得られる本来の効果を減弱させる可能性があることは否定出来ない。


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カテゴリ:
Hypertension. 2003 Jan;41(1):130-5.
Greater Age-Related Reductions in Central Arterial Compliance in Resistance-Trained Men
Motohiko Miyachi, Anthony J. Donato, Kenta Yamamoto, Kouki Takahashi, Phillip E. Gates, Kerrie L. Moreau, Hirofumi Tanaka

Abstract
Reductions in the compliance of central arteries exert a number of adverse effects on systemic cardiovascular function and disease risk. Using the cross-sectional study design, we determined the relation between chronic resistance training and carotid arterial compliance. A total of 62 healthy normotensive men, 20 to 39 years of age (young) and 40 to 60 years of age (middle-aged), who were either sedentary or resistance-trained, were studied. In both activity groups, carotid arterial compliance (simultaneous ultrasound and applanation tonometry) was lower (P0.05) in the middle-aged compared with the young men. There was no significant difference between young sedentary and resistance-trained men. In the middle-aged group, carotid arterial compliance in the resistance-trained men was 30% lower (P0.01) than their sedentary peers. Femoral artery compliance and arm pulse wave velocity (measures of peripheral artery stiffness) were not different among any groups. Left ventricular hypertrophy index (echocardiography) was greater (P0.05) in resistance-trained compared with sedentary men and was associated with carotid arterial compliance (r0.35; P0.01). We concluded that (1) resistance training is associated with the smaller central arterial compliance in healthy middle-aged men; (2) age-related reductions in arterial compliance was greater in resistance-trained men than in sedentary men; and (3) the lower arterial compliance in the resistance-trained men is associated with left ventricular hypertrophy. In marked contrast to the beneficial effect of regular aerobic exercise, the present findings are not consistent with the idea that resistance training exerts beneficial influences on arterial wall buffering functions.

●目的:
レジスタンストレーニングが中高年者の動脈コンプライアンス(動脈伸展性)に及ぼす影響について検討

●被検者:
・20歳から39歳の男性(若年者)および40歳から60歳の男性(中高年者)
・Sedentary群(若年者:17名、中高年者:16名)/Resistance-Trained群(若年者:15名、中高年者:14名):計62名

●主な結果:
・若年者についてはSedentary群に比べResistance-Trained群において頸動脈コンプライアンスの低下(傾向)が見受けられたが有意な低下ではなかった。
・若年者のSedentary群に比べ中高年者のSedentary群は頸動脈コンプライアンスの有意な低下がみられた。
・中高年者についてはSedentary群に比べResistance-Trained群において頸動脈コンプライアンスの有意な低下がみられた。
・若年者ならびに中高年者のResistance-Trained群において頸動脈コンプライアンスと左心室肥大指数との間に有意な相関関係がみられた。

●結論:
・加齢に伴い頸動脈コンプライアンスの低下がみられる。
・継続的なレジスタンストレーニングは中高年者の頸動脈コンプライアンスを低下させる。
・年齢に関わらず継続的なレジスタンストレーニングによって生じる頸動脈コンプライアンスの低下は左心室肥大に関係している。

●Note:
動脈コンプライアンスの低下、いい換えれば動脈スティフネスの増加は心血管疾患の危険因子であることが明らかにされており、加齢に伴い動脈スティフネスが増加することが明らかにされていることから、高齢者の健康維持・増進を図る上で動脈スティフネスの増加を抑制することが重要であるとされている。

これまでの先行研究の結果から有酸素エクササイズは動脈コンプライアンスを改善することが明らかにされている一方で、レジスタンストレーニングは動脈コンプライアンスを低下させる可能性があることが示唆されており、本研究においても継続的なレジスタンストレーニングを実施している中高年者において動脈コンプライアンスの低下が認められた。

加齢に伴う筋量ならびに筋力の低下は移動能力を低下させ転倒のリスクを高めることが明らかにされていることから加齢に伴う筋量ならびに筋力の低下を抑制することは超高齢化社会の到来が懸念される我が国においては重要課題の一つであると考えられるが、レジスタンストレーニングは加齢に伴う筋量ならびに筋力の低下を抑制することが明らかにされており、有酸素トレーニングには加齢に伴う筋量ならびに筋力の低下を抑制することが出来ないことが明らかにされていることから中高年者にとってレジスタンストレーニングは必要不可欠な運動であるといっても過言ではない。

しかしながら、本研究の結果から中高年者にとってレジスタンストレーニングは動脈スティフネスを増加させ心血管疾患のリスクを高める可能性がある運動であることを認識しなければならないといえるだろう。

但し、レジスタンストレーニングが動脈スティフネスを増加させることは疑いようのない事象であるといえるが、この事象が心血管疾患の危険を増加させるNegativeな非可逆的適応なのか血管破裂の危険に対して動脈壁を強くするPositiveな適応なのかは不明な点も多く更なる研究が必要であり、必ずしも中高年者が取り組むべき運動としてレジスタンストレーニングが否定される訳ではない。

また、レジスタンスエクササイズ後に有酸素エクササイズを実施することで動脈スティフネスの増加を抑制する可能性があること、タウリンの摂取によってレジスタンストレーニングよる動脈スティフネスの増加を抑制する可能性があることが報告されている点を参考にした上でトレーニング指導者は中高年者に対して適切なレジスタンストレーニングを提供すべきであるといえよう。


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J Physiol 576.2 (2006) pp 613–624
Resistance exercise increases AMPK activity and reduces 4E-BP1 phosphorylation and protein synthesis in human skeletal muscle
Hans C. Dreyer, Satoshi Fujita, Jerson G. Cadenas, David L. Chinkes, Elena Volpi and Blake B. Rasmussen

Abstract
Resistance exercise is a potent stimulator of muscle protein synthesis and muscle cell growth, with the increase in protein synthesis being detected within 2-3 h post-exercise and remaining elevated for up to 48 h. However, during exercise, muscle protein synthesis is inhibited. An increase in AMP-activated protein kinase (AMPK) activity has recently been shown to decrease mammalian target of rapamycin(mTOR) signalling to key regulators of translation initiation.We hypothesized that the cellular mechanism for the inhibition of muscle protein synthesis during an acute bout of resistance exercise in humans would be associated with an activation of AMPK and an inhibition of downstream components of the mTOR pathway (4E-BP1 and S6K1).We studied 11 subjects (seven men, four women) before, during, and for 2 h following a bout of resistance exercise. Muscle biopsy specimens were collected at each time point from the vastus lateralis. We utilized immunoprecipitation and immunoblotting methods to measure muscle AMPKα2 activity, and mTOR-associated upstream and downstream signalling proteins, and stable isotope techniques to measure muscle fractional protein synthetic rate (FSR). AMPKα2 activity (pmol min−1 (mg protein)−1) at baseline was 1.7±0.3, increased immediately post-exercise (3.0±0.6), and remained elevated at 1 h post-exercise (P <0.05). Muscle FSR decreased during exercise and was significantly increased at 1 and 2 h post-exercise (P <0.05). Phosphorylation of 4E-BP1 at Thr37/46 was significantly reduced immediately post-exercise (P <0.05). We conclude that AMPK activation and a reduced phosphorylation of 4E-BP1 may contribute to the inhibition of muscle protein synthesis during resistance exercise. However, by 1-2 h post-exercise, muscle protein synthesis increased in association with an activation of protein kinase B, mTOR, S6K1 and eEF2.

●目的:
一過性のレジスタンスエクササイズが骨格筋AMPK活性、mTOR経路、筋タンパク合成に及ぼす影響について検討

●被験者・トレーニング等:
・成人男女11名(男性7名,女性4名;27 ± 2歳)
・レッグエクステンション;10×10(70%1RM)
・運動1h前、運動直前、運動直後、運動1h後、運動2h後に外側広筋よりバイオプシーによって筋組織を採取

●主な結果:
・運動直後において筋タンパク合成の低下がみられたが運動1h後および2h後には増加した。
・AMPKα2活性は運動直後に上昇し運動1h後まで上昇したままであった。
・mTORのリン酸化は運動1h後、運動2h後に有意な増加を示した。
・運動直後に4E-BP1のリン酸化が有意に減少した。

●結論:
・レジスタンスエクササイズによるAMPK(AMPKα2)の活性化および4E-BP1のリン酸化の減少がレジスタンスエクササイズ中の筋タンパク合成を抑制していることが示唆された。
・レジスタンスエクササイズ1h後および2h後の筋タンパク合成の増加はプロテインキナーゼB(Akt)、mTOR、p70S6K、eEF2の活性化によるものであることが示唆された。

●Note:
特記事項なし(2015/10/2時点)


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Mech Ageing Dev. 2012 ; 133(0): 655–664.
Reduced AMPK-ACC and mTOR signaling in muscle from older men, and effect of resistance exercise.
Mengyao Li, Lex B. Verdijkd, Kei Sakamotoe, Brian Elya, Luc J.C. van Loond, and Nicolas Musia

Abstract
AMP-activated protein kinase (AMPK) is a key energy-sensitive enzyme that controls numerous metabolic and cellular processes.Mammalian target of rapamycin (mTOR) is another energy/nutrient-sensitive kinase that controls protein synthesis and cell growth.In this study we determined whether older versus younger men have alterations in the AMPK and mTOR pathways in skeletal muscle, and examined the effect of a long term resistance type exercise training program on these signaling intermediaries.Older men had decreased AMPKα2 activity and lower phosphorylation of AMPK and its downstream signaling substrate acetyl-CoA carboxylase (ACC).mTOR phosphylation also was reduced in muscle from older men.Exercise training increased AMPKα1 activity in older men, however,AMPKα2 activity, and the phosphorylation of AMPK,ACC and mTOR, were not affected.In conclusion, older men have alterations in the AMPK-ACC and mTOR pathways in muscle. In addition, prolonged resistance type exercise training induces an isoform-selective up regulation of AMPK activity.


●目的:
高齢男性の骨格筋におけるAMPK-ACC経路およびmTOR経路の変化(加齢的変化)と長期的なレジスタンストレーニングがAMPK-ACC経路およびmTOR経路に及ぼす影響について検討。

●レジスタンストレーニング:
・3回/週
・レッグプレス&レッグエクステンション
・4×10-15@60%1RM;Week1-Week3
・4×8-10@75%1RM;Week4-Week12

●主な結果:
・高齢男性においてはAMPKα2活性の低下、AMPKおよびACCのリン酸化の低下がみられ、またmTORのリン酸化も低下していることが示された。
・長期的なレジスタンストレーニングは、高齢男性におけるAMPKα1活性を増加させたがAMPKα2活性およびAMPK、ACC、mTORのリン酸化には影響を及ぼさないことが示された。

●結論:
・高齢男性の骨格筋におけるAMPK-ACC及びmTOR経路には加齢的変化がみられる。
・長期的なレジスタンストレーニングは高齢者におけるAMPKα1活性を選択的に増加させる。

●Note:
複数の先行研究によってAMPK活性を高めるには有酸素トレーニングが有効であることが示唆されているが、本研究によって高齢者に対するレジスタンストレーニング(負荷によって異なる可能性があるものの)でAMPKα1活性が高まる可能性があることが示されたことは非常に興味深い。

先行研究によってAMPKα1の活性化はmTOR経路を阻害し筋肥大に負の影響を及ぼすことが示されている通り本研究においてもAMPKα1の活性化によってmTORのリン酸化に影響を及ぼすことが示されているが、筋肥大に直接的に影響を及ぼすといえるp70S6Kのリン酸化は有意差はないもののレジスタンストレーニング後に増加を示していることは非常に興味深い。実際にレジスタンストレーニング後に大腿四頭筋の筋横断面積は有意な増加を示しており、高齢者に対するレジスタンストレーニングは負荷によって異なる可能性があるもののAMPKα1の活性化ならびにmTOR経路の阻害による筋肥大に対する負の影響を受けずに筋肥大を促進させる可能性が推察される。

近年、AMPK活性を高めることが生活習慣病の予防、がん予防、長寿に良い影響を及ぼす可能性があることが示唆され注目されていることから高齢者にとってはAMPK活性を高めることが抗加齢の視点で重要であると考えられる。しかしながら、AMPK活性が高まることでmTOR経路が阻害され筋肥大に負の影響を及ぼす可能性があることも示唆されており、加齢に伴う筋量の減少を防ぐという点で考えれば高齢者においてはAMPK活性を高めることばかりが重要であるとはいい切れないかもしれない。そのような側面から本研究によって示唆された知見は、高齢者に対するレジスタンストレーニングが負荷によって異なる可能性があるもののAMPKα1を活性化させつつ、筋量を維持させることが可能となり抗加齢に有効な手段である可能性が推察されるという点で非常に興味深いといえる。

【参考:mTOR(mTORC1)の活性要因および抑制要因】

・活性要因(活性化機構)
1.インスリンによるRheb(Ras Homolog enriched in Brain)へのシグナル経路
2.アミノ酸(特にロイシン)感知システム

・抑制要因
1.エネルギー枯渇(AMP/ATP比の増加に伴うAMPKの活性化)
2.低酸素状態
3.DNA損傷

*興味深い点は、酸化ストレスによって、特に活性酸素種(ROS)の上昇によってもmTORC1が活性化することが明らかにされ、加齢によるROSの上昇に伴うmTORC1の活性化が老化の進行に関係している可能性が示唆されている点であるが、酸化ストレスによるmTORC1の活性化の生理学的意義については明らかにされていない点も多く更なる研究が必要であるといえよう。


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