19日土曜に中国銀行から発表された「元切り上げ」報道は、ワールドカップの最中でも各国が一斉にトップ扱いの報道となり、その期待に対して週明け21日には0.4%強の一日の変動幅の限界に迫る元高・ドル安に振れて、株価・商品市況のその期待値に上昇しました。ところが22日には人民銀行が早くも元売り・ドル買い介入を行い、前日よりもドル高に向かう動きとなり、予想されたこととはいえ元高の進行スピードが緩慢であえることが確認されました。ぬか喜びの前日とは打って変わって市況は反転し、ネガティブなムードが再び市場を覆うことになったようです。

26日からカナダで開かれるG20向けの対策であることは明白で、その効果狙いであれば今週末25日頃のほうがより効果的であったように思います。ところでワールドカップの鳴り物ブブゼラの騒音が物議を醸していますが、どうやらアフリカの民族楽器も中国の大量生産物が大半を占めているようで、元切り上げのポーズに対して中国に向けて市場関係者は一斉にブブゼラの騒音攻撃でもしたい心境では・・・!?

今日の日経平均は簡単に1万円の大台を割り込み、再び4桁の攻防に逆戻りしています。もっとも中国元を巡る悲観色だけでなく、仏大手金融BNPパリバの格付け引き下げ報道から、欧州の金融機関への資本に懸念が生まれたことや、米国でも住宅減税の終了から中古住宅の売れ行き不振が確認される事態となったこと等、欧米の景気回復ムードが後退したことも株価や商品価格反落の要因と見られるようです。08年の金融危機以降に各国政府がこぞって財政出動し、景気のてこ入れを行った効果もどうやら財政の見直し機運と共に終了に向かい、民間任せの期待も現実も民需の厳しさに遭遇という図式のようです。

さて、5月の連休明け以降株価も商品価格も調整色を強めるなかで、金価格だけが史上最高値を更新し、その後いく分調整が入っているものの1,200ドル台の高値もち合いとなっています。上述したように財政出動による各国の公的債務の拡大が、伝統的な資産である国債や通貨に対する不安につながり、無国籍通貨である金に一部の資金がシフトされて価格上昇の背景となっています。一般論では債券と株式の市場規模は兆円の上の単位「1京円」といわれています。

そのうち年金基金や富裕層の投資資金は3,000兆円といわれ、その一部が金のETFや現物投資に動いていると考えられています。因みに世界の金の地上在庫は16万トンとみられ、世界中の金を買い占めるには時価で600兆円、最大金ETF・SPDRは総額で5兆円規模なので、富裕層や年金が本気で買い出すと市場規模の狭さもあり、1,200ドル台の価格帯ではすまないものと思われ、中長期の見通しは1,300ドルから1,500ドルも視野に入るものと思われます。勿論公的債務の拡大傾向が終息して、ソブリンリスクが低下していく流れであれば金の存在感自体が否定されるものの、ここ数年間はリスクの低減の可能性は低いものと考えられます。