G20首脳会議は「2013年度までに少なくとも、財政赤字を半減させる」との数値目標を明記し、「成長に配慮した財政健全化」を進めると首脳宣言を採択しています。景気浮揚のために極端な財政再建は控えるべきと主張した日米に配慮し背景もあり、日本には目標を強制しない「例外扱い」としたようです。G8でも意見が分かれる中、新興国を含めた20カ国もの首脳が集まり意見を集約するのは大変な難事業で、二つの相反する目標が首脳宣言となったようです。

さて、「ユーロ売り一辺倒」から少しずつ軸足が「ドルの行方」のほうに動き出しているようです。ギリシャ危機に対応するためにECBによる債券の買取、また、欧州の主要銀行に対するストレステストを7月中旬に発表するとしており、その努力の成果もありユーロ売りに投機筋も少し飽きがきつつある段階で、米国の景気指標である住宅や雇用・個人消費といった指標にやや後退色が出だしているようで、米国経済に陰りが見え始めたところにドル売りに動きているようです。

依然に書いたようにソブリンリスクが欧州のみに止まらず、米国や日本に飛び火する可能性の一面のようにも考えられます。財政政策より経済成長を重視するオバマ政権は、G20加盟国が財政再建のために緊縮財政に走られると、政権の「輸出倍増計画」が停滞する可能性があり、しかも、中国の元切り上げに消極的では米経済の成長が阻害される可能性があり、危機感を持ち出しているようです。その上に財政補助が途絶えた自動車や住宅購入に影響が出始めており、市場は米国の景気先行きにネガティブな見方を始めたようです。

欧州や今回のサミット開催国のカナダが財政再建の緊縮財政に舵を切るなか、米国のほうでは追加経済対策も視野に入れており危機からの脱出方法の違いが鮮明となりつつあります。米国の方向では財政の支出に見合った経済の建て直し期待、欧州では緊縮財政から景気にはある程度目をつぶって公的負債減らしを期待するというものです。日本はその中間に位置するもので、どちらの方法が公的債務を減らし健全財政への道をたどれるのか歴史のなかには答えはないようで、今後の成り行きを見ることになります。

08年からの危機対応モードから各国の財政赤字が膨らみ、それが現在のソブリンリスクの高まりにつながっていて、リスクを排除する方法論が違うということになります。最も欧州に関しては市場に財政再建を課されたことから、待ったなしの対応をせざるを得ないことが実際問題で、多少なりとも市場の待ち時間の余裕がある日米とは背景から違いがあるようです。どちらにしろ日米欧共に公的債券の拡大にはこれ以上の余裕がないことも事実、通貨や国債の信任を維持させることは並大抵の努力ではすまないようです。