優しい音楽と陽だまり 『幸せへのキセキ』無能な善人か有能な悪人か 『外事警察 その男に騙されるな』

June 15, 2012

女はつらいよ 『ガール』

パッケージ
監督:深川栄洋
出演:香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏、壇れい
日本映画 2012年 ・・・・・・ 5点




女はつらいよ

 

まるで園子温『恋の罪』の写し鏡のような作品、といえば怪訝な顔をされるかもしれませんが()

あちらは、生き物的な本能や欲望などおどろおどろしい女性の「性」を、実在事件をネタに男性監督が自身の脚本で撮っていました。

こちらは、社会的な結婚や年齢などをめぐる女性の「女の子」の部分を、男性原作者に女性脚本家、そして男性監督が撮っています。

パン教室

まるでオモテとウラ、今作がオモテ版『恋の罪』なのか、あちらがウラ版『ガール』なのか()描かれている世界観は正反対で、それこそホラーとラブコメくらいの落差があり、高低差に耳がキーンとなります()

ただ共通点もあって、ともに主演女優陣が素晴らしい演技を見せてくれていて、それが「男性から見た女性」という歪みを補正する役割を果たして「女性から見た女性」に近づけていることですね。
完璧には無理なのですが、逆に女性監督が全てを仕上げても「女性映画」がちゃんと成立するかと問われればまた別問題だろうし、難しいですね。
 

「女の子はピンクとブルーのレースとリボンでできている」のまま30目前の由紀子(香里奈)

香里奈
 

「女の人生の半分はピンクで半分はブルーだ」と男性部下に悩む女性管理職の聖子(麻生久美子)
麻生久美子

「ひと回りも下の男なんて食品サンプルと同じで手が出せない」お局様的な容子(吉瀬美智子)

吉瀬美智子
 

「私は社会的弱者ってこと?頑張らせてよ」シングルマザーで父親役に苦闘する孝子(板谷由夏) 

板谷由夏

この4人の女性のストーリーを交互に繋ぎ合せることで、彼女たちの中の「女の子」の部分を浮き彫りにさせるような演出です。

香里奈は相も変わらずという感じですが、麻生久美子は新境地ですね。今まで気弱ないじめられっ子のような役ばかりでしたが、今作では意欲的な女上司を演じています。まぁ、見方によっては年上の男性部下にいじめられているわけですが。

男性部下

板谷由夏はあまり知らないのですが、観ていて安心感はありますね。ベビーシッターに割増料金が発生する時間に間に合うように走る
シーンが繰り返し出てきますが、この一連のシーンは良かったです。

注目は吉瀬美智子。CMなどで印象的な表情を見せている彼女ですが、今作ではコメディ部分を一手に引き受けているようでもあり、しかもどん詰まりの深刻度もピカイチという難しい役を見事に演じていました。
文具屋で妄想するシーンやエレベーターでの場面、タクシーから脱走してヒールを履いたまま疾走するくだりは素晴らしかったです。

あと、忘れてはいけないのが壇れいの怪演!宝塚出身らしく手振り身振りが演劇的で大げさなのですが、うまい具合にはまっていました。ちょっと格が違いましたね。

そびえたつ巨人

説明くさいナレーションも愛嬌の範囲内かなと感じましたが、いただけなかったのは加藤ローサが演じた百貨店の従業員。

自分に自信がなくてオシャレを楽しめない、という役柄なのに、整った顔立ちやスタイルの良さが逆効果で、まったく説得力がなかったです。あの役は寺島しのぶだろう!
(
) 

壇れいの独壇場

どこか、動いてしゃべる女性ファッション誌というか、ヴィジュアルに的を絞り過ぎて、女性という人間のドラマとして薄いのもこのあたりかなと感じました。
あの役が寺島しのぶなら作品に一気に深みが出てくると感じますが、おそらくそんなことは求められていないのでしょう。

需要に忠実な映画で、期待を裏切られることはないのではないでしょうか。 

友人たち
 
公式サイト 



にほんブログ村 映画ブログへ
↑そのクリックが更新の励みになっています!


atribecalled at 22:00│Comments(6)TrackBack(16) 日本映画 | 5点評価

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 『ガール』  [ 京の昼寝〜♪ ]   June 22, 2012 12:44
□作品オフィシャルサイト 「ガール」 □監督 深川栄洋 □脚本 篠崎絵里子□原作 奥田英朗 □キャスト 香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏、上地雄輔、要 潤、林 遣都、      波瑠、加藤ローサ、向井 理、檀 れい■鑑賞日 5月26日(土)■劇場 T
2. ガール  [ 佐藤秀の徒然幻視録 ]   June 24, 2012 19:56
公式サイト。深川栄洋監督、香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏、上地雄輔、要潤、林遣都、波瑠、加藤ローサ、向井理、壇れい。ビミョー年齢女子会のオムニバス風コメディ ...
3. ガール  [ あーうぃ だにぇっと ]   June 24, 2012 21:02
ガール@東宝試写室
4. ガール  [ 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜 ]   June 24, 2012 21:03
評価:★★★【3点】(10) 美女4人!これは観ないわけにはいかないぞ(笑)
5. ガール  [ 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評 ]   June 24, 2012 21:52
ガールクチコミを見る今をときめく女優4人が、働くアラサー女子の悩みと本音に迫る「ガール」。見終わった後にあれこれと会話がはずみそうだ。広告代理店勤務・独身・恋人ありの ...
6. GIRL ガール  [ LOVE Cinemas 調布 ]   June 24, 2012 22:04
奥田英朗原作の人気小説を『神様のカルテ』、『60歳のラブレター』の深川栄洋監督が映画化。アラサー、アラフォー女性が恋愛、仕事、結婚、子育てなどの悩みを抱えながらも失敗を重ねながら成長して行く姿を描いたガールズドラマだ。出演は香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子
7. GIRL ガール  [ うろうろ日記 ]   June 24, 2012 22:26
試写会で見ました。 【予告orチラシの印象】色んなパターンの女子の紆余曲折を短編
8. ガール/香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏  [ カノンな日々 ]   June 24, 2012 22:43
予告編がポップなガーリームービーという印象だったので後で『半分の月がのぼる空』『60歳のラブレター』の深川栄洋さんが監督していると知ったときは「え?そうなの?」と意外に ...
9. GIRL-ガール  [ tom's garden ]   June 24, 2012 23:04
監督:深川栄洋 出演:香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏、上地雄輔、要潤、林遣都、波瑠、加藤ローサ、向井理、壇れい 前売り券を買ってnatsuと鑑賞。 女性キャストがみんなきれいで可愛くて、ファッションも十分楽しめる。 自分と重なるキャラクターは、
10. ◇『GIRL ガール』◇ ※ネタバレ有  [ 〜青いそよ風が吹く街角〜 ]   June 25, 2012 00:31
2012年:日本映画、深川栄洋監督、篠崎絵里子脚本、奥田英朗原作、香里奈、麻生久美子、 吉瀬美智子、板谷由夏、上地雄輔、要潤、林遣都、波瑠、加藤ローサ、向井理、檀れい出演。
11. ガール  [ とらちゃんのゴロゴロ日記-Blog.ver ]   June 25, 2012 06:09
原作では別々の短編だったのものを親友として一つの物語にまとめたアイディアは、秀逸だ。仕事で出世した女性、保守的な女性仕事相手に悩む、年下の男性に恋する、シングルマザーで仕事と育児を両立する、この四つの人物像をそれぞれの女優が演じ分けている。共感できる物語
12. GIRL ガール  [ 迷宮映画館 ]   June 25, 2012 15:59
普通のお母さんはいないのかい?
13. ブルーもしくはブルー。『ガール』  [ 水曜日のシネマ日記 ]   June 26, 2012 12:48
恋愛、仕事、結婚、子育てなどに悩み模索する大人の女性の生き方を描いた群像劇です。
14. ガール  [ ダイターンクラッシュ!! ]   June 26, 2012 21:40
2012年6月20日(水) 19:30~ TOHOシネマズ有楽座 料金:1300円(大黒屋で前売りを購入) 『ガール』公式サイト 大コケしたものだと思って、水曜日とは言えガラガラだろうと、高をくくっていたら、女性の複数組みで超満員。 単独の男は、5名に満たないので、結構なプレッ
15. GIRL/ガール       評価★★★65点  [ パピとママ映画のblog ]   June 28, 2012 01:39
30歳を目前に控え焦りを募らせたり、扱いづらい年下の男性部下を最近持ったり、突然新入社員に恋をしたり、あるいはシングルマザーになり仕事に復帰したりと、それぞれに境遇は違うものの自分らしく生きようと懸命にがんばっている30代前後の女性4人の姿を描く。2006年に...
16. GIRL ガール  [ とりあえず、コメントです ]   September 10, 2012 23:55
奥田英朗著の同名小説を深川栄洋監督が映画化した群像劇です。 原作は未読だったのですけど、最近やけにあちらこちらで宣伝を見るので、 好きな監督さんだしチャレンジしてみようかなと思いました(^^ゞ 単純な恋愛ドラマではなくて、現代社会に生きる女性たちの普遍的な想い

この記事へのコメント

1. Posted by KLY   June 24, 2012 22:40
女性陣が良いのはもちろんなのですが、影の薄い俳優陣の中にあって要旬くんの上手さ!いやなやつですよねぇ、なんだこいつ最悪だなって普通に思えるし(笑)イケメンなのに三枚目やこういう嫌われる役も難なくこなすところに彼の上手さを感じます^^
2. Posted by Quest   June 25, 2012 02:17
KLYさん、コメントありがとうございます。

要潤は良いですよね。NHKで放映している『タイムハンタースクープ』というドラマで、あまり呂律の回っていないナレーションを披露していますが、存在感と言うか、二枚目と三枚目をフワフワと漂っている感じが素晴らしいです(笑)
3. Posted by かのん   June 25, 2012 09:38
これは映画で華やかな見た目重視の夢物語みたいなものですから仕方ないことなんですけど登場人物たちを演じる女優さんたちはみな綺麗で美しくそして恋のお相手たちもイケメン揃い。なんかそれだけであなたたち十分人生得してるでしょって思ってしまうんですよね(笑)。

なのでリアリティには欠けましたけど役者さんとしてはみな素敵ですい単純にお話も面白かったです。
4. Posted by sakurai   June 25, 2012 15:59
>あの役は寺島しのぶだろう!
ここうけました!加藤ローサはミスキャストだとは強く思ってたんですが、寺島さんがくりゃ最強ですね。
でもやっぱぜんぜん違った映画になりそう。
私は、さらっとうわっつらなぜた、そつない映画に感じちゃいました。
安心安全な映画って感じ。
5. Posted by Quest   June 25, 2012 22:28
かのんさん、コメントありがとうございます。

イケメンと美人だらけの映画でしたね。リアルな女性の人間ドラマというよりも、もっとビジュアルに的を絞った印象ですね。劇中に描かれている悩みがいまいち薄く感じてしまったのも、そりゃ、あれだけキレイならば悩みも少ないだろうと思ってしまうからなんでしょうね(笑)

6. Posted by Quest   June 25, 2012 22:32
sakuraiさん、コメントありがとうございます。

あの役が寺島しのぶなら最強だったと思うし、かえすがえす残念ですね(笑)
確かに安心安全な映画ですね。期待を裏切らないけど、期待以上のものも一切ないという。
女性ファッション誌の悩み相談を映画化したような薄さを感じてしまいます。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
優しい音楽と陽だまり 『幸せへのキセキ』無能な善人か有能な悪人か 『外事警察 その男に騙されるな』