June 22, 2012

無能な善人か有能な悪人か 『外事警察 その男に騙されるな』

パッケージ
監督:堀切園健太郎
出演:渡部篤郎、キム・ガンウ、真木よう子、田中泯
日本映画 2012年 ・・・・・・ 6点




無能な善人か有能な悪人か

 

NHKのもはや伝説的なテレビドラマの映画版です。テレビシリーズは断片的にしか観たことがないのですが、えらい硬派なもの作っているなぁという印象がありました。確かに面白かったですね。

北朝鮮、東北大震災、核などの時宜を得た題材に真正面から取り組んだのは、日本映画にしては珍しく早い対応だなと感心しました。
社会派サスペンスである限り時宜性は必要不可欠ですので、この早さは素晴らしいですね。

住本2

テレビドラマの映画化ではスケールアップを図るために海外ロケ(イタリアとかイタリアとか
())をすることが非常に多いですが、今作で韓国を舞台のひとつにしたのは物語的に必然性があって、すんなりと物語世界に入り込めますね。

守

さて、この映画の面白いところは、正義は必ず勝つわけではない、とか、目的のためには手段は正当化されうる、といった冷静で現実的な視線を持っていることですよね。

そのマキャベリズム的判断基準がリアリティーを追求した物語設定とぶつかることで面白さを生んでいるのかなと思います。能力がない善人より、能力に溢れた悪人の方が有益だという事ですね。

もっと突き詰めると、そもそも能力のある善人というのは矛盾しているではないか、ということかもしれません。そういった考察が背景にあることで、物語に深みを与えていると思います。
その是非は問われていなくて、あくまで投げかけなんですね。映画として正しい姿勢だと思います。結論なんて必要ないんですよね。

真木 

ただ、問題もあってそれは、住本(渡部篤郎)が果織(真木よう子)を利用したけど結局は徐(田中泯)の企みを阻止できなかった、という脚本の致命的欠陥ではないでしょうか。
それでは果織を利用した意味がないし、最後は運任せのような数当てゲームになってしまって、今までの事は全く無意味になっているということですね。
 

このせいで、最後のタネ明かしのインパクトも活きないし、どっちにしろ果織は役に立っていないだろうと思ってしまいます。
徐が娘に対して大きな反応を示していたのは何度も出てきていましたし、わざわざ果織を利用しなくても解除コードは予想できただろうというツッコミが出来てしまうわけですね。

利用

脚本に致命的な欠陥を抱えてはいますが、緊張感ある演出や、銀残しを模した暗めの画面づくりなどは素晴らしいです。特に印象に残ったのは、銃撃戦の迫力ですね。

日本映画での銃撃戦はもうどうしようもないものばかりだと思いますが、今作の銃撃戦は良かったです。

 利用2

軟派な『踊る大捜査線』に挑戦するかのように硬派な『外事警察』。ぜひシリーズものになって欲しいですね。

まぁ、毎回毎回、住本が公安を辞めなくてもいいとは思いますが。 

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監督: 堀切園健太郎 出演: 渡部篤郎 、キム・ガンウ 、真木よう子 、尾野真千子 、石橋凌 、田中泯 試写会場: 有楽町朝日ホール 公式サイトはこちら。 完成披露試写会に行って来ました。  上映前に舞台挨拶。 渡部さん、真木さん、尾野さん、石橋さん、...
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2012/06/02公開 日本 128分監督:堀切園健太郎出演:渡部篤郎、キム・ガンウ、真木よう子、尾野真千子、田中泯、イム・ヒョンジュン、遠藤憲一、余貴美子、石橋凌 誰も手をつけられなかった“裏の世界”遂に映画化 東日本大震災の混乱が続く、2011...
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2009年のNHKドラマ「外事警察」を映画化したかなりハードなサスペンスです。 テレビ放映時も観ていて凄いなあと思っていたので、 映画化したらどんなことになるのだろうかと気になっていました。 相変わらず画面もストーリーも暗くて、スケールアップした迫力と共に 怖さがじ
25. 外事警察 その男に騙されるな(試写会)  [ まてぃの徒然映画+雑記 ]   June 28, 2012 23:55
NHKで好評を博したドラマの映画化。日本の諜報活動を担当する“日本のCIA”警視庁公安部外事課が、韓国の諜報部NIS、そして北朝鮮に関係していると思しき犯罪組織と対決します。 朝鮮半島で濃縮ウランが盗難された。外事課の住本(渡部篤郎)は、元在日で北朝鮮に渡った後.
26. 「外事警察 その男に騙されるな」感想  [ 流浪の狂人ブログ ~旅路より~ ]   July 10, 2012 21:19
 2009年にNHKでドラマ化された、麻生幾原作のサスペンス小説。その第2作を「ハゲタカ」の堀切園健太郎監督、渡部篤郎主演で映画化。
27. 外事警察 その男に騙されるな  [ Diarydiary! ]   July 13, 2012 21:35
《外事警察 その男に騙されるな》 2012年 日本映画 大震災の混乱の中、大学か

この記事へのコメント

1. Posted by かのん   June 26, 2012 17:44
重厚なリアリティあふれるドラマでしたね。観応えたっぷりで面白かったです。TVドラマ版も観ましたが民放のドラマではなかなか観られないような厚みと深みのあるドラマで堪能しちゃいました。

そうですね、キャラも十分際立ってますしシリーズ化もいけそうですね。
2. Posted by Quest   June 26, 2012 18:42
かのんさん、コメントありがとうございます。

結構、緻密なリサーチを経て脚本化されているみたいですので、あまり量産はできないかもしれませんが、シリーズ化してほしいですね。

テレビシリーズは、断片的にしか観ていないのですが、民放では見かけないような硬派なつくりが印象に残っています。
3. Posted by sakurai   June 26, 2012 19:48
カオリを利用しなくても・・・とは思えなかったような。
娘の実体の象徴として、カオリという存在があって、それが彼の精神状態に与えた影響。
カオリが本当に娘かそうでないかはとりあえずそっちにおいて、無意味とは思いませんでした。
思わせぶりはありましたがね。
きちんとした脚本ならば、こういったきちんとした映画できるという、とってもいい手本になってると思います。
古沢さんは、今晩最終回の「リーガル・ハイ」の脚本も書いてるようで、あれも映画化・・されそうな気がします。
4. Posted by Quest   June 26, 2012 20:53
sakuraiさん、コメントありがとうございます。

何というか目的のために手段を選ばないのであれば、最低限、最も効果的な手段を用いてしかも成功してほしいんですよね。今回は、果織を利用したのに失敗しているのは何かチグハグな気がするんですよ。手段を選ばないなら全てを思いのまま操るような策略を描いてほしかったなぁと(笑)
ただ、脚本全体に関してはもう本当に素晴らしかったですね。今時珍しい、物語の力でグイグイと引っ張ってみせてくれましたね!!
5. Posted by KLY   June 26, 2012 23:36
カオリの存在はカオリそのものもそうですが、彼女を通じて住本を、そして日本の公安のやり方を映し出していたのだと思ってます。最初に徐さんが「その目、それは公安が人を騙す時の目だ」ってセリフがありましたよね。要するに途中までは彼は騙されていたけれど、最後の住本のセリフのところで気付いたんだと思うのです。だから彼は計画を実行したのだと。結果的にというか表面上は阻止できなかったのは事実ですが、伏線を回収した上での展開だったと私は受け止めました。
6. Posted by Quest   June 27, 2012 01:25
kLYさん、コメントありがとうございます。

果織というスケープゴートを通して住本のやり方を活写してみせたのはその通りですよね。汚い手をどうように奮っているのかがわかるようになっていますよね。
伏線もちゃんと回収しているし、物語的なツジツマも合っているのは流石なのですが、それでは住本という強烈なキャラクターがそんなに有能ではないという人物になってしまうので、作品世界の構築が半ば瓦解してしまうのではないかぁと思ったんですね。非人道的なあらゆることを策謀するけど、それがすべて正解になっていく不気味さと痛快さが持ち味だと思うので、企みが失敗した時点で住本のキャラは崩壊しているような気がしてならなかったんですよね。除がそれだけ上手だったという印象が残るだけで。
これでも、テレビシリーズをちゃんと見ていたらまた違った印象になるのかも・・・。住本初の敗北みたいな感じで。
7. Posted by クマネズミ   July 05, 2012 06:41
お早うございます。
本作は、sakuraiさんに対する回答でおっしゃっているように、「脚本全体に関してはもう本当に素晴らしかった」と思いました。
ただ、「住本が果織を利用したけど結局は除の企みを阻止できなかった、という脚本の致命的欠陥」とおっしゃっているところ、確かに「住本という強烈なキャラクターがそんなに有能ではないという人物」(KLYさんへの回答)になってはしまいますが、たとえば、核爆弾は、すこぶる「有能」な住本をもってしても「今までの事は全く無意味」にしてしまうほどの強烈なシロモノなのだ、というように受け止めたらどうなのかな、と思ったりしました。
とはいえ、その核爆弾ですが、濃縮ウランと点火装置と世界的な権威という3点セットがありさえすればできてしまえるような簡単な物でもなさそう、というのがむしろ本作の「致命的欠陥」といえないでしょうか?
それに、そんな爆弾製造だけに長年従事している専門的な科学者がいるというのもどうかなと思いました。
(誠につまらないことで恐縮ですが、その科学者の名前は「除」ではなく「徐」ではないでしょうか)
8. Posted by Quest   July 06, 2012 19:06
クマネズミさん、コメントありがとうございます。

除ではなく徐でした。ご指摘ありがとうございます。お恥ずかしい限りです。

今作でのサスペンスのキモとなるのは、住本が各々に仕掛ける心理戦にあったと思います。
例えば、徐が目の前の果織に心動かされて核爆弾を解除した後に自殺する。徐も薄々は見抜いていたとされるが確証はなかった。あるとすれば住本の目が騙す時の公安のそれだというくらい。そして、最後に明かされる住本の策略。
すべてが住本の手の内にあればこそ、最後のシーンに大きなインパクトが生まれてくるはずだと感じた次第です。文字通り「その男に騙されるな」ですよね。
それまで積み上げたディティールを崩してしまうのは、個人的にはやはり欠陥だと思います。まぁ人それぞれですが、脚本のデキが素晴らしかっただけに、最後に肩透かしをくらってしまったような気になって、愚痴のひとつも言いたくなったわけです(笑)

3点セットのことですが、確かに専門家の目からしたら笑止千万な話かもしれませんね。
ただ、今となっては核兵器はそんなに難しい技術ではないこと=あらゆる拡散の恐れがかなり高まっている、という国際社会の現状をデフォルメして描写したのではないかなと思いました。専門家にしか分からないことはある程度は自由に省略してもおかしくないのかなと。

爆弾製造だけに長年従事している専門的な科学者が果たしているのかどうか、ということですがこれも上記の理由である程度は納得できました。

クマネズミさんのご指摘はいつも鋭いので、色々と勉強させていただいています。これからもよろしくお願いします。

9. Posted by クマネズミ   July 08, 2012 07:18
お早うございます。
単なるケアレスミスにすぎないことで貴重なコメント欄を汚してしまい、申し訳ありませんでした。
さて、「すべてが住本の手の内にあればこそ、最後のシーンに大きなインパクトが生まれてくるはず」とおっしゃる点は、まさにご指摘の通りだと思います。
クマネズミとしては、本作のように空しい感じを出しながら立ち去っていく男の後ろ姿も、日本発のスパイ物として幾ばくかの独自性があって、これはこれでもかまわないのかもと思ったにすぎません。
なお、「今となっては核兵器はそんなに難しい技術ではないこと=あらゆる拡散の恐れがかなり高まっている、という国際社会の現状」についても、あるいはおっしゃる通りかもしれません。
とはいえ、現在のところ、核兵器保有国の数はかなり限定的であり〔9カ国(潜在的にはさらに数カ国)〕、その数の増加に対しては国際社会の監視の目がかなり厳しいものがあるように思われます(イランにしても、核兵器を保有するまでにはかなり時間がかかるのではないでしょうか)。
それは、もしかしたら、核爆弾の製造には相当の困難が伴うからかもしれません。
にもかかわらず、今こうした映画が作られて「核兵器はそんなに難しい技術ではないこと」が強調されると、昨今の反原発運動でいわれる原発=原爆といったテーゼ(注)を「デフォルメして描写した」ものではないかとひねくれ者は思いたくもなってくるのですが。

(注)例えば、小出裕章著『騙されたあなたにも責任がある』(幻冬舎)のP.92には、「原爆というのは、むき出しの原子炉だと思ってください」とあります。他方で、例えば、藤沢数希著『「反原発」の不都合な真実』(新潮社)のP.144には、「原子力発電所がどれだけひどい事故になっても、原理的に原子爆弾には絶対にならない」とあります。
10. Posted by Quest   July 09, 2012 21:53
クマネズミさん」、重ねてのコメントありがとうございます。

現在の国際社会では、国家が新しく核兵器を持つこのメリットはあまりないのではないかなと感じています。
あるとすれば、北朝鮮のように孤立した国が交渉カードとして例外的に用いる場合か(北朝鮮の場合は中国とロシアの顔色を窺った上だと思いますが)、明確で決定的な敵対国が存在している国であるインド、パキスタン、イスラエルのような場合でしょうか。
核兵器をなぜ日本が現状持っていないのか、という問いと同じで、技術はあるが実際に保持するにはメリットよりデメリットが大きいと判断されているわけですよね。
その是非にまで話が及ぶとかなり政治的な話になりますので割愛しますが、簡単に言えば技術的な問題と言うよりも政治力学や国際秩序の問題なんだと思うわけです。

国家の場合はそういったブレーキが働きますが、今作でのテロリストのような存在だとそうはいきません。現状では、核武装したテロリストなんて映画の世界以外では聞いたこともありませんが、それは核兵器に転用できる技術や材料がかなり厳重に管理されているからでしょう。今作で説得力のあるところは、東北大震災という空白期間を利用されたというところだと思います。

原発=原爆の構図は個人的にはあまり賛同できない考え方ですね。旧日本軍=虐殺のような乱暴で無茶な図式かなと。そんな単純で表面的な話だとは思いません。

この時期に日本映画が核兵器を題材にした勇気は積極的に買いたいかなと思います。

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