attacking

ATTACKING PHASE

Strategy, Tactics, System and Schemes of Play

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ブラジルワールドカップの日本代表に期待する

1 2014W杯メンバーが発表された。ブンデスリーガで最もフィジカル面で通用しており,安定したパフォーマンスを続けている細貝萌が外れた以外は予想通りのメンバーであり(川崎Fから誰かが入るというのも,予想された事実であろう・),ザッケローニらしい予定調和のメンバーである。
2 ベルギー遠征では,ゾーン・ディフェンスの安定性と攻撃の流動性の「エクイリブリオ」(バランス)を巡るザッケローニの模索が手に取るように伝わり,興味深い2試合を見ることができた。
トップ下の本田の守備はあまり期待できず,4−4の2ラインによるゾーン・ディフェンスの実効性が守備の土台となるが,ポジショニングの妙で相手を攪乱する香川,ボランチとしては軽い遠藤が4−4に参加した場合,ゾーンディフェンスの効力は大きく低下する。
他方で,ショート・パス・スタイルの攻撃で絶妙なリズム,パス・フィーリングで味方を楽にできる遠藤,左サイドでスタートしながら効果的なポジション移動,創造性で攻撃の局面を動かせる香川の2人が入ると,攻撃の威力はドラスティックに変化する。固定的なポジションで質の高いプレーをするのではなく,ポジションチェンジを繰り返して,スペースメークとパスの連続で組織的に相手を崩すのが日本サッカーの最大の美点であり,現メンバーでは香川と遠藤がそのような攻撃の核となる。
ザッケローニは,かかる攻守のバランスを分析した結果,2人をスタメンから外して前半を守りきり,後半で勝負をかけるというゲームプランに逢着したのであろう。そして,1勝1分と,結果を出してみせた。 毎試合同じメンバーで酷い結果を続けていたことに辟易していた私も,「遂に動いた」ザッケローニの采配を評価したい。
 W杯本番でも,このような攻守のバランスが最大のポイントになると考えられる。親善試合とは異なり,守備面で要求されるレベルが高い。その意味で香川と遠藤の起用方法により攻守のバランスを欠けば,チーム倒壊の可能性も予想される。彼らはチームの長所でもあるから,ザッケローニ監督が彼らを生かすための戦術的保障を用意しなければならない。
3 細貝萌が外れたのはいまだに納得がいかない。彼のようなフィジカルコンタクトの強さを生かした守備ができるボランチがいることにより,「守り切りたい」局面で有効な方策を打てたはずだからだ。他にもこの4年でもっとチャンスを与えるべき選手がいたのではないかとも思うが,祭りが始まれば全力で日本を応援し,このブログでも日本代表に力を与えるべく,ポジティブな私見を発信していきたいと思う。
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低空飛行が続くザッケローニ・ジャパン。ショック療法が必要か。2

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 何試合にもわたって驚くほど安易にバタバタと失点を許し,その点につき監督が改善策を打った痕跡すら見られず,失点後DFを交代させるだけで,チグハグな試合を繰り返しているザッケローニ・ジャパン。東アジア選手権の内容の拙劣さも相まって,相当数のサポーターにとって,ザッケローニを続投させる意義を見出しがたい状況に至っているのではないだろうか。
 私の率直な印象でも,札幌で韓国に快勝した時期と比べて,ザッケローニが固執する主力選手のパフォーマンスは安定的に低下しており,チームとしても憑きや勢いを失った「低空飛行」の状態があまりに長く続いている。かつ,監督がそれを改善すべき方策やさらなる引出しを持っていない(少なくとも改善・進歩の跡はない)ように映るため,極論をいえば,監督交代等のショック療法が必要な段階に至っているのではないかとさえ感じる。
 
 私はザッケローニ就任時に以下のような期待を記した。
「(1)イタリア人監督らしい網の目のような守備のオーガナイズ、(2)陣形を整えた敵の守備組織を遅攻から崩すスキーム、(3)オープンスペースを活かした3トップによるカウンターの仕掛け…といったものが徐々にピッチ上に顕現してくるとすれば、多くのサポ−ターの心をつかむのではないか。」

 しかし,現実はどうだろうか。
 (1)についていえば,3年経っても,メカニズムこそ見えるもののプレッシングに目を見張る連動性は見られず,前線からプレッシャーが効果的にかからない状況でラインを上げる(あるいはラインを下げるタイミングが遅い)ため,容易に裏を取られ,走り負けるなどして失点を重ねる試合が続いている。
 また,4−2−3−1システムで,ディフェンスラインの前の2人のボランチは,守備の局面では,3人の攻撃的MFが帰陣して適正なポジションを取れるまで、相手の攻撃の展開を遅らせなければならないところ,そのようなフィルターの役割をあまり果たせておらず,DFが相手FWにダイレクトに晒され,容易に攻略される場面が目立つ。
 遠藤はインテンシティを欠いたJ2の試合に馴化して軽率なプレーが多くなっており,国際レベルで4−2−3−1の2センターを任せられる水準にないのではないか。
 なお,酒井高徳は,シュツットガルトでも右SBでの起用が多く,左よりも右をやらせたほうが安定感があるので(元同僚である岡崎との連携も期待できる),内田と酒井宏樹が一長一短で決めかねているということであれば,右に酒井高,左に長友という選択肢も試すべきだと考える。
 (2)についていえば,長友が好調な時期には,ゴールに背を向けての起点作りが上手い前田,本田,遠藤との連携により左サイドを効果的に攻略できていたが,現在は,本田や香川ら個々がボールを持って仕掛けてはコースを切られる,といったブツ切りの攻撃が目立ち,相手の頭の裏をかくような創造性やパスコンビネーションによる連携が乏しくなっている。
 乾や宇佐美のような動的にチャンスメイクできるタイプの選手を併用する,あるいは中村憲剛のようにピッチを広く使って攻撃を動かせるパサーを起用する,各選手のポジション及び役割を再構築するなどして,ウルグアイ戦の3点目(本田のダイレクトパスから香川がフィニッシュ)のように,香川や本田が「線」ではなく「点」で攻撃に関与できるよう,監督が工夫すべきであろう。香川は,ユナイテッドでの試合を見ていても,ドルトムント時代のような最も危険なエリアにペネトレートし,シンプルにフィニッシュまで持って行く感覚が鈍っているように見え,本田は,足の怪我以降,やや鈍重なプレーが目立ち,モビリティが落ちている。今の状況で彼らの個の力に依存するのは危険である。
 (3)については言うまでもない。玉田や大久保のようなモビリティとスキルのある選手を起用していた岡田監督時代の方が見るべきものがあった。

 以上のとおり,私の期待はあまり現実化されておらず,「エクイリブリオ」(バランス)も保たれていない。また,主力のコンディションや組織的連動の部分で今後の上積みもあまり期待できない。
 とはいえ,JFAがザッケローニ解任に動く可能性は乏しく,今後も硬直したメンバーで進歩のない試合が続く蓋然性は高い。柿谷のように,世論の後押しでレギュラー争いに加わる新戦力が台頭し,チームに風穴をあけてくれることを期待するしかないのであろうか。

 
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アルベルト・ザッケローニ日本代表監督が掲げるテーマは「エクイリブリオ」

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新代表チームのテーマ「エクイリブリオ」とは何か
 アルベルト・ザッケローニ監督の就任会見において、彼は、新日本代表チームのテーマを一言でいえば「エクイリブリオ(equilibrio)」であると答えていた。
 それでは「エクイリブリオ」とは何か。まずは今回は、私が尊敬するイタリア人監督であるアンチェロッティの説明をお読みいただきたい。
カルロ・アンチェロッティ(チェルシーFC監督)
 イタリアには「エクイリブリオ」という言葉がある。「均衡、平衡、釣り合い」を意味する語句だが、カルチョの文脈では攻守のバランスを云々する際に使われる用語となっている。「エクイリブリオが高いレベルで保たれている」と論評されれば、攻撃の局面でも守備の局面でも質の高いプレーができているということだ。そういうチームは、攻撃の局面では、効果的なオフェンスを続けながら、ボールを失ってもディフェンスがおろそかにならない状態を、守備の局面では、堅固なディフェンスを保ちながら、ボールを奪ったあとの攻撃力を犠牲にしない状態を、それぞれ保っているものだ。
 通常、質の高い攻撃を実現するには、ボールのラインよりも前に多くの選手を送り込む必要がある。ところが往々にして、そういうチームは「前がかり」になりがちで、カウンターのためのスペースを相手に与えてしまうケースが少なくない。逆に、堅固な守備組織を築こうとすれば、ボールのラインよりも後ろに多くの選手を戻して、スペースを埋めるのが一番だ。しかしこの場合は、チーム全体が「引いた」状態になりがちで、攻撃に転じても敵陣までボールを運ぶのが難しくなる。どちらもエクイリブリオを保てておらず、攻撃か、守備か、いずれかの局面にバランスが偏った状態なのだ。
 攻撃に偏っていれば、得点も失点も多いチームになるだろう。守備なら、失点も得点も少ないチームにならざるをえない。逆に言えば、攻撃と守備という相矛盾するふたつの局面を両立させうるバランス(エクイリブリオ)を見出せば、論理的には得点が多く、失点が少ないチームができあがる。すなわちあらゆるチームが、エクイリブリオを高い次元で保つことを、最大の戦術的課題としているはずなのだ。
 イタリアのチームに少なくないのが、非常にコンパクトでよく組織された守備網を敷いている反面、攻撃に人数をかけられず、もっぱらカウンターに依存しているパターンだ。まずは失点を避けたいという守備的なメンタリティーを反映した傾向だが、いずれにしてもエクイリブリオは保たれていない。
 エクイリブリオを高いレベルで保つための具体的な方法論は、もちろんシステムや選手のキャラクターに応じて変化する。ただ、一般論として言うならば、フィールドプレーヤー10人のうち最大で5人(ボールホルダーを含む)までが攻撃に参加し、後方の5人が次のプレーに備えたポジションを取っていれば、エクイリブリオは十分保てるはずである。
 最も重要なのは、コンパクトな陣形と戦術的な秩序を維持することだ。攻撃に転じたら、チーム全体を押し上げる。ライン間の距離を短く保っていれば、たとえボールを取られても、即座にプレッシャーをかけることで、相手の攻撃からスペースと時間を奪えるだろう。そこまでいかなくとも、ボールホルダーを自由にさせず、攻撃の展開を遅らせて、守備陣形を整えるための時間を稼ぎ出せるに違いない。(以上、ワールドサッカーダイジェスト234号から)
ボールのライン このように攻撃・守備の高次元の権衡・両立こそ、アンチェロッティやザッケローニが意味するところの「エクイリブリオ」であろう。システムや選手の個性が違えば、どこにバランス・ポイントを見出すかも違ってくる。ザッケローニが日本の選手の個性とその個性に適したシステムを見出しながら、いかに高度の「エクイリブリオ」を確立し、攻撃の局面でも守備の局面でも、オン・ザ・ボールでもオフ・ザ・ボールでも質の高いプレーを実現できるか。期待して待つことにしよう。
 そして、2007年のアジアカップ(サウジ相手に3失点し、4位敗退)、2010年ワールドカップの日本は、エクイリブリオが保たれていたか。仮に保たれていなかったとすれば、どのような点に問題があったのか。余裕があれば、そういった点を次回は考えてみたい。
 ちなみに「ボールのライン」とは、ボールを通る、ゴールラインと平行に引いた線をいう。図を参照されたい。
 
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