今回は、不当解雇(リストラ)について判断している裁判例を紹介します(つづき)。 

(ウ)さらに,被告は,メディカルパパスからの売掛金の一部を回収しただけで,破産会社に原資料の破棄を認めているが(前記1(4)ウ),不適切な指示というべきである。
(エ)他方,破産会社代表者は,リース債権者への対応全般,現地での債権者等への対応,破産会社資産の売却,破産会社事務所の明渡し,原状回復工事の業者の選定,従業員の給与・解雇予告手当の計算,社会保険組合,健康保険組合に対するレセプトの作成,保険料の請求等を行ったが,被告は,現地に1度も赴かず,破産会社代表者とは,必要な範囲で弁護士の指示を受けた担当の司法書士が,メール等による連絡をとるに留まり,弁護士が直接面接をしたのは,依頼当初の1回だけであった(前記1(3)エ,(4)ア(カ),イ,(5)ウ)。
(オ)そして,被告は,破産会社代表者に対して,破産申立ての時期について,平成21年3月10日には同月末か4月初頭と,同年3月30日には同年4月となど連絡していながら,破産会社の破産原因,資産について本格的な検討を開始したのは,同年3月下旬からであって,そのころには,換価回収行為を終えている上,本件新合意に先立つ同年5月上旬ころ,被告所属の弁護士は,破産会社代表者に対して,「回収が思ったより進んだので,費用の増額をお願いしたい。」などと要請しているのであるから(別表,前記1(5)),被告の事務処理は,迅速な申立てというよりも,換価回収行為を優先させる内容となっているといわざるを得ないものである。
エ これらによれば,本件申立てに係る経済的利益は,必ずしも大きなものではなく,事案も平均的な法人破産の内容となっており,本件申立てに係る時間及び労力その他の事情については,法人の破産申立てに必要とされる事務は一応行われているものの,弁護士が直接面接をしたのは,依頼当初の1回だけで,その他は,必要な範囲で弁護士の指示を受けた担当の司法書士が破産会社代表者とメール等による連絡をとるに留まって,現地には1度も赴かず,申立代理人弁護士に求められる迅速な申立てというよりも,無用な換価回収行為を優先させ,適正な換価回収行為に努めたともいい難い内容となっており,適切でない指示も出している。
 そうだとすると,その他の事情として,被告の事務所維持費を最大限考慮するとしても,本件申立てに係る破産申立適正報酬額は,126万円(消費税込み)を上回ることはないとするのが相当である。
(4)よって,本件新合意の内,126万円(消費税込み)を超える部分は,役務の提供と合理的均衡を失するものであり,債権者を害するものとして,破産法160条1項1号の否認の対象となり,被告は,受領した報酬294万円のうち126万円を超える部分である168万円について,原告に対して,不当利得に基づき,返還すべき義務を負う。
3 なお,原告は,被告に対して,破産申立てに係る事務を委任したもので,破産申立て自体とそれに当然付随する事務は,当該委任の対象として報酬が支払われるべきであるが,それに含まれない事務は,仮に被告が行ったとしても,有償性を認めることはできず,無償行為と同視すべきであるとして,破産法160条3項による否認を主張しているが,対価性を有する行為のうちの相当額を超える部分だけを取上げて同項によって否認することはできないというべきであり,また,前記認定1によれば,破産会社は,被告に対して,破産申立て自体に限定して事務を委任したものでなく,破産申立て自体とそれに付随する事務全般について包括的に委任をしたと解するのが相当であるから,採用できない。
4 以上によれば,原告の請求は,主文掲記の限度で理由がある。
なお、不当解雇(リストラ)について専門家に相談したい方は、不当解雇(リストラ)に強い弁護士に相談してください。また、企業の担当者で、従業員の解雇についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、保険会社との交通事故の示談交渉刑事弁護を要する刑事事件多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題オフィスや店舗の敷金返却(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。