労務問題(残業代請求、サービス残業など)に注力する顧問弁護士(法律顧問)によるブログ

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顧問弁護士(法律顧問)が日々接するテーマ:総会屋に対する贈収賄罪

顧問弁護士(法律顧問)が日々接するテーマをまとめています。

今回は、総会屋に対する贈収賄罪についてです。

これは、「不正の請託」とはどういう意味か、という問題です。この点について、最高裁は、会社から積極的に総会屋に依頼して謝礼を払い議事進行への協力を得て株主総会を無事に終了させるという株主総会実務の旧来的な慣行が「不正の請託」にあたるかが争われた事案において、以下のように判断しました。

株主は個人的利益のため株式を有しているにしても、株式会社自体は株主とは異なる別個の存在として独自の利益を有するものであるから、株式会社の利益を擁護し、それが侵害されないためには、株主総会において株主による討議が公正に行なわれ、決議が公正に成立すべきことが要請されるのである。したがつて、会社役員等が経営上の不正や失策の追及を免れるため、株主総会における公正な発言または公正な議決権の行使を妨げることを株主に依頼してこれに財産上の利益を供与することは、商法四九四条にいう「不正の請託」に該当するものと解すべきである。本件において、原判決認定のごとく、株式会社の役員に会社の新製品開発に関する経営上の失策があり、来るべき株主総会において株主からその責任追及が行なわれることが予想されているときに、右会社の役員が、いわゆる総会屋たる株主またはその代理人に報酬を与え、総会の席上他の一般株主の発言を押えて、議案を会社原案のとおり成立させるよう議事進行をはかることを依頼することは、右法条の「不正の請託」にあたるとした原判断は相当である。




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なお、法律というのは絶えず改正が繰り返され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを押さえても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります(特にこのブログで紹介することの多い労務問題(残業代請求、サービス残業など)は、これらの傾向が顕著です)。そして、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際にご自身で解決することが難しい法律問題に直面した場合には、一般的に得られる知識のみに基づいてご自身で判断してしまうのではなく、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。

残業代請求

今回は、サービス残業の残業代請求に関する判例を紹介します(つづき)。 

五 争点6及び7について
1 前記のとおり、原告らは、被告に入社する以前にも、寮の管理人や寮母をしたことがあり、また、被告への入社に際しても、その勤務の内容の説明を受けていたのであるから、寮の管理人や寮母としての業務の内容を熟知していたことは明らかである。すなわち、原告らは、本件寮における業務の実態が断続的労働であり、かつ、その労働時間の管理が原告ら、ことに責任者の管理人である原告孝に委ねられていたことを知悉していたことが推測できるのである。
2 そして、原告らは、賃金の額を含めて、被告の提示する条件を了承し、被告と雇用契約を締結したのではあるが、時間外労働(残業)等に対する手当については、労基法が厳格な規定を設けていること、入社に当たって、原告らと被告との間で、労働時間、深夜労働(残業)及び休日労働の有無やこれに対する対価等につき、具体的な話合いを行った形跡はなく、原告らがすべての事情を了承し、本来支給を受けるべき手当等の放棄を含む趣旨で、契約締結に至ったとは断定できないことなどの事情に照らせば、原告らが本件寮における勤務の実態が断続的労働であり、また、労働時間の管理が原告らに委ねられていることを知りながら、被告との契約を締結したとの一事をもって、被告が、原告らに対する時間外手当(残業代)等の支払いを免れることはできないというべきである。
3 さらに、右の事情をもって、原告らの本件請求が権利の濫用に該るとすることもできない。
4 なお、被告は、原告ら夫婦が一体として被告と雇用契約を締結したかのような主張をしている。
 確かに、前記のとおり、本件寮における業務の多くは原告らが相互に代替することが可能であるし、また、原告らが補完、協力し合えば負担を軽減できるのであり、実際には、原告らもそのようにして勤務していたと推測できる。そして、被告が寮の管理人と寮母が夫婦であることを条件に、採用しているのも、このような点に着目したものと解されるが、原告らは法律上は別個の人格であり、それぞれの体系に基づいて給与額が決定されるなどの経緯に照らせば、雇用契約自体は、各別に締結されたことは明らかである。
5 よって、被告の前記各主張は、いずれも失当である。
六1 以上述べてきたところをまとめると、原告孝の平日一日の労働時間は、一四時間三〇分であり、そのうちの一時間は深夜労働(残業)である。そして、一週間につき、四四時間を超えた部分である三七時間(深夜労働(残業)を除いた時間)については、時間外労働(残業)となり、それぞれ所定の手当の支給を受ける権利を有する。
 また、原告孝の休日の労働時間は、六時間三〇分であり(ただし、深夜労働(残業)に該当する部分はない。)、この労働の対価は支払われていないのであるから、原告孝は、被告に対し、休日に在寮した日につき、一日当たり六時間三〇分の休日労働手当の支給を受ける権利を有するというべきである。
2 原告美代子の平日一日の労働時間は、九時間であり(ただし、深夜労働(残業)に該当する部分はない。)、一週間につき、四四時間を超えた部分である一〇時間については、時間外労働(残業)となり、所定の時間外手当(残業代)の支給を受ける権利を有する。
 また、原告美代子が休日に在寮した分は、休日労働に該当するが、その対価は、留守番手当として支払いずみであるから、原告美代子が被告に対して請求できるのは、右時間外手当(残業代)だけである。

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