※長い記事ですが、我慢してぜひ読んでほしいです。
●どうやって花粉は室内に入ってくるか、それをどうやって防ぐか
まずは「部屋(室内)に入ってくる花粉」ということを調べてみたい。どうやって花粉は室内に侵入してくるだろうか、その量はどうなのか。
それについては実験結果がある。
これは花王による調査で、とくに花粉症対策はしてないふつーの3~4人家族を想定した場合だ(一定の条件を設定しての実験であって、実地調査ではない)。なので、ふつーじゃない家族(たとえば大邸宅に住んでるセレブとか隙間風びゅうびゅうの古い家に住んでる人とか)や単身者とかの場合は異なってくるはずだが、いちおう参考にしよう。
これによると、室内には1日におよそ2000万個の花粉が入ってくるということだが、これでも、屋外の花粉の1割にも満たない。0.1~8パーセントだそうだ。
室内に入ってくる花粉のうち、換気による侵入が60パーセントで、付着による持ち込みが40パーセント。
この結果だけで、花粉症シーズンに換気をするなんてのは自殺行為だということがわかるだろう。窓を閉めて空気清浄機をかけるのがいちばんいいのだ。
んで、付着による持ち込みのうち、ふとんを干して取り込むときに入ってくるのが22パーセント、洗濯物にくっついて入ってくるのが15パーセント。
「ただいまー」と帰ってきたとき、その衣服にくっついて入るのはたったの2パーセントだ。頭髪にいたっては0.4パーセントとなっている。
これらのことから、花粉を室内に入れないようにする対策の優先度あるいは重要度というのがわかるだろう。
まずいちばんだいじなのは「換気しない(窓を開けない)」ということだ。次に、布団を外に干さない、洗濯物を外に干さない、ということ。これだけ気をつければものすごく違う、もう全然違う、天国と地獄ほど違う、ということになる。
そのいっぽう、服をはたいて花粉を落としてから部屋に入るというのは、「念には念を入れてやる」という意味はあるけれども、「それをやると劇的に違う」「それだけ気をつければまったく違う」というほどではないということもわかるだろう。もともと影響は少ないのだし。
へーきで換気をしておきながら、「自分は服をはたいてから部屋に入るから安心」とか思っているとしたら、それは申し訳ないけれども大笑いということになる。ちょっとあなた、なにやってるのよ、ということだ。ヾ(^^;)
いや、ふとんや洗濯物を取り込むときにパタパタとはたけば……と思うだろうが、たしかにそれでも効果がある。素材によって違いはあるけれども、簡単にはたくだけでおおむね半分程度は落ちると思っていいようだ。
だけども、逆に言えば、半分しか落ちないのだ。できるだけ少なくしたいのであれば、けっこう念入りに叩き落とす必要があるだろう。
まあ、人によって症状のきつさや花粉に対する敏感さは異なるので、どれほど念入りに対策しないといけないかは違うだろう(住まいのつくりも違うだろうし)。それは当たり前の話であって、「こうしないといけない」とか、「これはNG」みたいな単純な問題ではない。
●ふつーに暮らしている人のふつーの花粉対策とは
・窓を開けての換気は最小限に
けっして窓を開けないというのは不可能だろう(換気以外の目的でも窓を開けたりするだろう)と思うので、せめて換気は最小限にする。1時間窓を開けたいかもしれないけれども、30分にしてみよう。10分だっていいじゃないか。
窓を開ける時間も要注意で、昼間はできるだけさけたほうがよい。早朝や夜のほうが、どちらかといえばよい(とはいえ、その時間帯なら花粉がゼロというわけではない。どーせゼロじゃないのならということで、日中にやってもかまわないとはいえるけれども)。
・窓開けの量は小さくしてカーテンを閉める
カーテンを閉めて換気をすると、入ってくる花粉は60パーセントになるという実験結果がある(換気の効率がわるくなったのと、カーテンに花粉が付着するためだと思われる。花粉キャッチ加工がされているカーテンなら、付着した花粉もなかなか落ちないだろうが、いずれにしろ、そのカーテンは掃除機で吸ったり、シーズン終了後にやさしく洗ったほうがよい)。
窓開けの量を10センチにすると、全開のときの10パーセントになるというデータもある。網戸をしめると、それだけでも1割ぐらい減るらしい。可能なら、目の細かい網戸や、花粉対策用に売られている花粉を通さないあるいはほとんど通さない網戸にするのもよい。
最近では、網戸につける花粉対策用の不織布のフィルターも売っている。外が見えなくなるが、花粉の時期だけそういったものを使うのもいいだろう(ただ、これも入ってくる花粉がゼロになるわけじゃない)。
・通気口にフィルターをつける
料理をするときに換気扇をつけることがあるだろうが、こればっかりはしないわけにはいかない。しかし、そうすると室内が負圧になって、外から空気を吸い込むことになる。
そういったときに窓をあけなくてもすむように、通気口が設けられている部屋もあるはずだ(昔のつくりの家にはないかもしれないが、少なくとも新しめの集合住宅などにはあると思う。というのも、この通気口がないと、換気扇をつけているときに、ドアが開かなくなったりするのだ)。
そこにフィルターをつけるというのもいい。市販されているものもあるし、換気扇フィルターなどを流用して自作してもいいだろう。ないよりはマシになるはずなので、換気をするのなら、窓を開けるよりも、こうした対策をした上で換気扇を使って行うほうがよいと思われる。
ただ、ものすごく凝ったものを作って取り付けてしまい、かえって通気性がわるくなると、その分だけほかのところから外気を吸い込むことになりかねない(窓の隙間とか)。
24時間換気のお宅も増えていると思うが、これはその換気のシステムにもよると思う。ほこりや花粉が入ってこないようになっているものもあるようだが、そういったしくみのないもの(たとえばトイレなどの換気扇を動かしっぱなしにしてるだけとか)は、どこかにフィルターをつけたほうがよいかもしれない。
・洗濯物はできるだけ水分を減らしてから干す
花王ではなくライオンの研究によると、乾いたシーツを外に干したときに比べて、洗濯機で脱水した直後のシーツを干した場合、付着する花粉の量は倍になったそうだ。これは湿っているほうがたくさんの花粉がくっつくということなので、脱水時間をいちばん長くセットするとか、もういちど脱水だけするとかの工夫をしてみよう(あまり変わらないかもしれないが、早く乾いて早く取り込めるなら、付着する花粉は減るだろう)。
最近の洗濯機は、加熱しての乾燥ではないが、風を送って少し乾かす機能なども入っている。薄い下着などはそれだけでも乾くだろうし、乾かないまでも、そういった機能で、できるだけ水分を減らしてから干したほうがよいといえる(ただし、洗濯機を室外においている場合は、外気を取り込んでることになるので、洗濯槽の中で花粉が付着するおそれがある)。
外干ししないほうがいいのはいうまでもないが、それができないということもあるだろう(でも、下着やタオルぐらいは室内干しにしたい。なにせ直接肌に触れるものだ)。そのときは、取り込むときに念入りにはたこう。
干す時間は、可能ならば夜に干して朝(少なくとも午前中)に取り込むのがよい(しかし、花粉の飛散数が少ないといわれている夜に干しても、花粉がつくことはつくので、過信しないほうがよい。これは夜間でも再飛散するということだ)。
・部屋干しする場合は扇風機を活用したい
除湿乾燥機を使ったり、浴室乾燥、あるいは洗濯物用の乾燥機などを使えるのならそれでもいいが、一般に「熱」を発生させる家電製品は電力を使うので、電気代を考えて躊躇してしまいがちだ。いっぽう、モーターを動かすだけなら、それほど電気代を気にするようなものではない。室内干しした洗濯物に扇風機で風をあてるだけでも、乾燥時間はかなり違うので、夏だけではなく、この季節にも扇風機を活用したい。
その部屋にエアコンがあるのなら、その送風機能を使うのもいい(除湿機能を使うのもいいが、安価なエアコンの除湿は事実上の冷房の弱であったりするので、気温の低いときには働かないおそれがある。もちろん送風より電気を食うし)。
・布団を干すときにはシーツを1枚かぶせる
布団干し用の不織布のカバーというのが市販されているが、買えるのならそういったものを使うのもよい。だが、干すときに、シーツをかぶせて干すだけでも、付着する花粉の量は違ってくる(もちろんゼロにはならない)。取り込むときにはがしたシーツは、そのまま洗濯機に放り込めばよい。
それでも布団に付着する花粉は、叩き落とそう。手ではたいてもよいが、ブラシではらったほうがよいようだ。
それよりもよいのは、掃除機で吸い取ること。念入りにやれば、布団綿の内部にひそんでいるダニの死骸や糞(の破片)などもある程度は吸い取れる。
布団叩きでバンバン叩くというのは、綿の繊維をくだいて布団をだめにしているだけだという話もあるので、あまり意味はないかもしれない。
ちなみに、そのダニは、ふつうに干したぐらいでは死なない(表面が暑くなれば裏側に移動するだけ)。布団乾燥機で、ある程度の時間、全体が熱くなるぐらいに加熱しないといけない。
毛布みたいなケバだったものは、干さないほうが無難だと思う(毛布程度なら洗えるコインランドリーもあるし、そういったところで洗ってしまったほうがよいだろう。ウールならクリーニングだ)。
●「玄関に空気清浄機」の意味とは
まあ、そういう工夫をして、できるだけ室内に花粉が入らないようにしたほうがよいのだが、それでも花粉は入ってくる(とくに古い家では、そこかしこに隙間というのがあるし)。自分がいる部屋の空中に舞っている花粉については、強力な空気清浄機で吸い込んでしまいたいものだ。
落下してしまったものは、これは掃除をするしかない(拭き掃除がのぞましいが、絨毯敷きでは不可能だ)。早く落下させて、それが再飛散しにくいようにするのには、乾燥している時期なら加湿がある程度は有効だろう(ただし、あまり大きな期待はしないほうがいいと思う)。
そうやって、室内の花粉を少なくして快適に過ごしたいものだが、たとえ部屋の窓やドアを開けないようにしたところで、どうしても開けざるを得ないという場合がある。
それが、外出時や帰宅時だ。このときは、さすがに玄関のドアを開けざるを得ない。幽霊でもない限り、素通りできる人はいないだろう。
開けるということは、そこで窓を開けて換気をしているも同然ということなので、外から花粉が入ってくる。
もちろん、5分も10分もドアを開けるということはない(まあ、玄関で立ち話している奥さんとかも多いが)ので、入ってくる量はとても少ない。ドアが開いている時間は、長くともせいぜい10秒というところだろうから、それを気にする必要があるかといえば、私はほとんどないと考える。1日に20回ドアの開け閉めをしたところで、合計の時間は微々たるものだ(1回10秒なら、20回の合計時間は3分ちょっとだ。洗濯物や布団を干すために物干し台やベランダ側のガラス戸を開けてる時間のほうが長いのではないだろうか)。
それでどれだけの花粉が入ってくるかを考えれば、上に説明したような対策のほうが何十倍も重要で、かつ効果的だ。
ただ、換気とか洗濯方面の対策をできる限りやった場合(&それでも部屋に漂う花粉に対して清浄機を使った場合)は、残された手付かずの部分というのはこのあたりしかない。玄関から入る花粉と、服に付着して持ち込まれる花粉だ(この、服についた花粉は、主にそれを脱ぎ着する部屋に撒き散らされる。同じ理由で、トイレや風呂の脱衣室も花粉が多くなる。私はトイレにも清浄機を置いていた)。
ここを理解してほしい。
あれよりもこれよりも、まずは玄関に清浄機を設置したほうがいい、それがいちばん有効だ、部屋の清浄機を玄関に持っていけみたいなイイカゲンな話がまかりとおっているようだが、そんなデタラメな話があるわけがない(あんまり腹が立ったので、この記事を作ろうと思ったのだ)。玄関に空気清浄機というのは、ほかの対策をすべてやった人が、さらに念入りにやるという程度の対策なのである。初めて清浄機を買った人が置く場所ではなく、2台目3台目の設置場所だ。
●空気清浄機は「吸い込むもの」ではなく「きれいな空気を吹き出すもの」
空気清浄機を有効に利用するために、そのリクツをぜひとも知っておいてほしい。
重要なのは、空気清浄機というのは「きれいな空気を吹き出すもの」と考えることだ。けして「吸い込むもの」ではない。そう考えてはいけない。考えたところで空気清浄機の仕組みが変わるわけではないが、見方は変わるだろう。
意味がわからないかもしれないが、それはこういうことだ。
上は99年の松下電器(現パナソニック)のカタログに出ている吸煙器の吸煙性能を示したモデル図だ。風量は毎分8立方メートルで、清浄機でいえば、適用床面積36畳程度のものに相当する。
この図がどういった意味なのかというと、「その場所にあるものを吸い込めるのはこの範囲」ということだ。花粉よりさらに粒子の細かい煙でも、この範囲から外れると、吸い込まれずに外に広がってしまう。
もう、いまは吸煙器なんてものは見なくなったが、タバコの煙専用の空気清浄機と思っていい。これは吸い込み口が上に向いているが、これを90度倒してみると、ふつーの清浄機と同じになる。
もっとも、いまのほとんどの清浄機は、吸い込み口がスリットになっていたりするので、これと同じには考えられないが、まあ、おおよそのところを見当付けてほしい。
この説明図を清浄機に当てはめて考えると、清浄機の前面50センチのところにある花粉は吸い込めない、ということになる。毎分8立方メートルという大きな風量でもそうなのだ。
あなたのうちにある15畳向けの清浄機では、20センチ前の花粉すら吸い込めないかもしれない。ショックだった?
でも、掃除機で掃除をする人なら納得するだろう。
掃除機の吸い込み口を、30センチ前に置いたティッシュに向けてみるといい。まず、吸い込めないはずだ。
え? 吸い込んじゃった?
じゃあ、50センチにして(笑)。
あんな軽いものでも、ちょっと離れると吸い込めない。
空気を吸い込むときというのは、その吸い込み口の周辺の空気全体を等しく吸い込むのだ(水でも同じだが)。吸い込み口の正面だけじゃなく、斜めや横からも空気を吸い込むので、吸い込み口がどちらに向いているかみたいなことはほぼ関係ない。
このあたりについては、長くなるので説明しきれない。こちらの記事を読んでほしい(鼻から空気を吸い込むときのことも説明している)。
しかし、だからといって、清浄機は役立たずということにはならない。こうして吸い込んだ空気をフィルターで濾過し、きれいになった空気が吹き出ているはずだ。
たとえば、部屋のすみに汚れた空気があるとしよう。そこの空気をきれいにするにはどうしたらよいかというと、清浄機の吸い込み口をそこに向けるのではない。
その場所に向けてきれいな空気を吹き出してやることだ。そして、その場所の空気を押し出して入れ換える。つまり、そのものずばり、文字通りの「換気」(空気を入れ換える)をすることになる(それをやっていなかったので、煙に対する性能が劣っていた清浄機の実例)。
部屋の反対側にまである程度いきおいよく空気が流れて届くようにするには、けっこうな風量が必要だ。だから、部屋の面積の3倍程度(最低でも2倍はほしい)の適用床面積のものがいいのだ(6畳間に置くのなら3倍の18畳程度の性能の清浄機、ということ。もちろん、もっと大きくてもよい。なお、これには確たる根拠はない。経験上、それぐらいがいいのではないかというものだ。なにせ花粉除去に対する空気清浄機の規格みたいなものは、日本には存在しない)。
そして、センサーなどはあまり信用せず、窓を開けてしまったり帰宅後に服を脱いだり布団を上げ下げしたり子どもが暴れたりで花粉(やホコリ)がありそうなときは、全開運転をしばらく続ける。部屋の大きさにもよるが、せめて10分から15分は全開運転をしたい(どんなに高性能でも、センサーはそこに花粉が入らないとわからないのだ)。
これが空気清浄機の使い方の基本であって原則である(臭いや煙はかなりすばやく拡散するので、これはセンサーを信じてもいいような気がする)。
そう考えると、自分が花粉やホコリを吸い込みたくないとなったら、自分にきれいな空気がかかるようにすればよいということになる。別に部屋全体をきれいにする必要はない。マスクをして、自分だけきれいな空気を呼吸するということとまったく同じリクツだ。
このリクツを応用したのが、ベッド上に設置する特殊な構造の空気清浄機だ。それはこの記事の最後に紹介してあるので、ぜひ本文記事ともども読んでいただいて、空気清浄機のリクツを知ってほしい(ただし、その空気清浄機そのものは、いまは生産されていない。そもそも日本のものじゃないが。ちなみに、清浄機のしくみをわかってないと、こういった勘違いがおこる)。
その記事でも説明してしまっているが、「部屋の花粉を取りたい」となったら、部屋に行き渡るようにして気流を作り、空気を循環させるのがだいじだ。その空気の流れによって、結果的に、遠くにある花粉が清浄機に押し込まれるわけだ。
清浄機が吸い込んでいるのではなく、吹き出した空気が部屋に行き渡り、その空気の流れによって押し込まれているのだと考えたほうがよい。そして、部屋全体がきれいになる(風量が小さいと充分な循環気流ができないので、粒子が大きな花粉は落下してしまい、吸い込めないと思っていい。臭いや煙なら、長時間空中を漂うので、時間をかければ有効だろうが)。
ここまではいいだろうか。
話についてきてくれてる人は5人ぐらいしかいないかもしれないが、それでもいい。その5人は、この動画も納得してくれると思う。
これはシャープの空気清浄機の動作デモだが、スイッチを入れたとたんにドライアイスの煙が吸い込まれているかというと、そんなことはない。
吹き出したきれいな空気が部屋の反対側にまで達し、空気の循環ができる。その循環気流によって煙が清浄機に近づいて行ってるということがわかると思う。花粉は落下しやすいので、すばやくきれいにしたいものだが、それには、けっこう大きな風量がないとだめなのだ(ある程度きれいになったあとは、風量を弱めたり自動にしてもよい)。
●「玄関清浄機」を効果的に使うにはどうしたらよいか
上で説明した空気清浄機の原理のようなものを理解したのなら、おおよその想像はできるだろうと思う。おそらく、あなたの考えで合っているが、確認しておこう。
仮に、こういったつくりの部屋があったとしよう(この間取り図はどこから借りたかわからなくなりました、ごめんなさい)。
この場合、玄関というスペースはあるけれども、そこから壁もドアもなく洋室につながっている。つまり、ものすごく広い「玄関という部屋」と考えてよい。
ここで玄関ドアを開けると、花粉はこのように侵入してくる(この間取り図では、玄関の外は内廊下となっているけれども、ふつーに屋外だと思ってほしい)。
その量はわからないが、洋室の窓を開けていたりすれば風が通るので、その風にのって、ものすごい量が入り込むことが予想される(上で説明した「窓を開けての換気」をしているも同然だから)。これを清浄機できれいにするのは不可能だ。
おおむねの総床面積は12畳程度だと考え、36畳の適用床面積の清浄機を玄関に設置したところで、このものすごく広い「玄関という部屋」は屈曲している。なので、清浄機から出た清浄な空気が行き渡ることもない。
まったく意味はないとはいわないが、「玄関清浄機」を設置するのにはあまり適してはいない(この場合は、6.2畳の洋室にも強力な清浄機を設置するとよい)。
いっぽう、この部屋はどうだろうか(間取り図はこちらから借りた)。
このつくりだと、各部屋のドアを閉めてしまえば、ホールと記されているところをふくめて、けっこう狭い「玄関という部屋」ができる。
こういったつくりだと、「玄関清浄機」の効率はよい。
見た目では2畳程度だと思われるが、ここに、仮に適用床面積が20畳程度の清浄機を置いたところを想像してほしい(もっと大きいほうがいいが、置き場所の問題もあるだろう。もちろん、ここに置くのは加湿機能などは必要ない。安い15畳程度のを2台置いてもいいと思う)。20畳というのは、簡単にいえば20畳の部屋の煙を30分できれいにできるというものだ。あくまでも計算上ではあるが、半分の10畳なら15分だし、5畳なら7.5分、2.5畳なら3.75分。
花粉と煙は違うということはあるが、これぐらいなら、清浄機が吹き出したきれいな空気もすみずみまで行き渡り、「ただいまー」と同時に侵入した花粉も、数分のうちにきれいになりそうだ。
もちろん、そこで数分間も待つのはやってられない。だが、30秒や40秒でいいから、その清浄機を全開運転した「玄関」で、念入りに全身をぱたぱたやって(&髪の毛もぱさぱさやって)、花粉を落としてみてほしい(ブラシやハタキを使うとよい。羽根ハタキで顔などもふぁさふぁさしたい)。服から落ちた花粉は、すでにできている強力な循環気流に乗って、かなりの率で清浄機に吸い込まれるとは思われないだろうか。
そうやってから、部屋に入るのだ(そして、マスクを外す)。そうすれば、部屋に持ち込まれる花粉(服について持ち込まれる花粉)は、ずいぶんと減るはずである。「玄関」の花粉数も減っているはずだから、LDKのドアを開けても、そこに侵入する花粉は少ない(ゼロにはならないと思うが。なお、この間取りでは、トイレに行くのにホールを通過しなくてはいけないが、そこに花粉がたまっていると、室内二次飛散がおこる。それもある程度防ぐことができることになる)。
これが、いちばん効率のよい「玄関清浄機」の使い方だ。「玄関という部屋」を、強力な清浄機(風量が大きければ大きいほどよい)を設置することで簡易なエアシャワー室とかエアロック代わりにするのである。気流ができないような、風量の小さな清浄機では、おまじない程度の効果しかないと思われる(なお、これについての実験や研究などはない。あくまでも私の持論にすぎないので、信用しない人は信用しなくともよい)。
ぱたぱたやったあとは、清浄機のタイマーをセットして、30分とか1時間とか、まわしっぱなしにすればよい。部屋に入って、10分ぐらいしたら止めにいってもいいし。
この、小さな「玄関という部屋」がない、上に示した間取りの場合は、どこかをアコーディオンカーテンのようなもので締め切ってしまえば、効率のよい「エアシャワー室」あるいは「エアロック」になる(ふつうのカーテンでもいいと思う。なお、そのものずばりの、一般家庭用のエアシャワーというのも、なくはない。家を新築するとかリフォームするなんていうときに、セレブの人は考えてもいいのではないだろうか)。
しかし、最初に説明したように、これをやったとしても、違うのは2パーセントだ(それでも40万個ではあるが)。やはり清浄機を置くのなら、自分が長時間すごす部屋(リビングや寝室など)に置いたほうがいいし、その前にやることがあるんじゃないだろうか、ということをよく考えるべきだと思う(実際、私もこの玄関清浄機をやっていたが、それほど大きな差は感じなかった。各部屋に2台ずつ清浄機を置いていれば、あんま違いが出るとも思われないが……まあ、トイレには1台しか置いてないし、さすがに風呂には置いてなかったが。ただ、清浄機の吹き出し口の上で髪の毛をパサパサやると、自分にふりかかる花粉による影響は減る。正直、帰宅したらそのまま風呂に直行というのがいちばんいいのだが)。→追記:思い出してみたらトイレにも2台置いてたわ。ファン式と小型ファン付きイオン式の2台を。このイオン式はオゾンの臭いがひどいんで、それを消臭に利用してた。そんなに広いトイレなのかと思うかもしれないが、昔の小型(薄型)のものだ。イオン式は突っ張り式の棚の上に置いていた。
おしまい。
(フォレスト)
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