ラーメン、うどんやそば、カレーなど、熱い食べ物や辛い食べ物で鼻水が出てしまうという味覚性鼻炎(gustatory rhinitis:ガスタトリーリニティス)ですが、ざっと検索した限りでは日本にはロクな情報がありません。基本的に治しようがない症状だからでしょうか、医師など専門家のサイトにも、たいしたことは出ていません。
なので、海外の情報(といっても英語しかわかりませんが)をふくめてまとめてみました。たぶん、現時点では日本イチくわしいです。(`・ω・´)
あなたのその症状、アレルギーじゃないです(長い記事なんで、読みたくない人は、下のほうにある「まとめ」の項だけ読んでください)。


●味覚性鼻炎の特徴

『鼻アレルギー基礎と臨床 改訂版』によると、以下のような特徴があるそうです。
(1)スパイスの効いた熱い食物の摂取で起こることが多く、摂食後すぐにはじまり、摂食中持続する
(2)症状は鼻漏過多のみで、鼻閉、くしゃみ、眼の痒み、鼻咽頭の痒みなどのARの症状はない。食物アレルギー検査は陰性である(注:ARとはアレルギー性鼻炎のこと)
(3)アトロピン前投与で鼻漏は制限され、鼻汁の性質からみても、鼻汁は分泌腺からの分泌物である(注:これはおそらく、吸い込んだ湯気が鼻内で結露したものではないとか、鼻内で汗をかいているようなものではないとか、血管からなにかが直接染み出してきたものではないとか、そーゆーことだと思います。鼻の中で汗をかくものかどうか知りませんが……というか、汗だったら、鼻水同様アトロピンで止まっちゃうかもしれないけど。そーゆー作用があるので)

なお、これは鼻炎という名まえになっているけど、とくに炎症を起こしているわけではなく、慣例として、そーゆーふーに名づけてしまっているだけです(他にも、同じ理由で○○鼻炎と呼ばれている症状があります。鼻炎=炎症ではありません)。


●味覚性鼻炎をおこしやすい食べ物・飲み物など

この『鼻アレルギー基礎と臨床 改訂版』の著者である奥田先生の調査によると、ラーメン、うどん、そば、カレーの摂食によるものが多いとされています。しかしながら、これは「日本人がよく食べるもの」とほとんど同じです。食べる人が多ければ、その症状が出る人も多いでしょう。

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そのほか、キムチ、鍋物、スープ、明太子などがあげられていますので、「熱いものや辛いもの」と考えて間違いはなさそうです(一覧表にはスキー、運動、バイクなどもあげられていますが、これらはどう考えても「味覚」とは思えません。もしかしたら、同じ治療法で鼻水が減ったということかもしれません。論文の原典を見られないので、そのあたりは不明です)。
この小規模な調査は1998年に行われた(発表された)ものであり、20年近くたった現在では、とくに外食などで食べるメニューはさらに多彩になっていると思われます。激辛ブームなどもあり、いま調査すれば、もっといろいろなものが出てくるでしょう(お菓子などにも辛いのがあるし)。


●どうして食べたもので鼻水が出るのか

たとえば粉の胡椒を吸い込んでしまえば、誰でもがくしゃみをするでしょう。これは鼻粘膜に化学的な刺激を感じるからで、異物を排出しようという自然な反応です(当たり前の反応であって、アレルギーではありません)。

しかし、奥田先生の調査では、鼻に栓をして食べてもらっても鼻漏過多が起こったそうです。これはつまり、刺激的な香りや熱い湯気などを、鼻から吸い込んだために起きたものではないということです(そちら方面に過敏なのは血管運動性鼻炎と呼ぶべきでしょう)。すなわち、口腔粘膜への刺激がもとになっておこると推定されるものであり、それゆえに味覚性鼻炎と呼ばれます(味覚性鼻漏ともいいます)。
これについての研究というか、報告すらめずらしいのではっきりしたことはわかっていないのですが、これには神経の経路が関係していると考えられるそうです。

味を感じる味蕾がある舌は、下顎神経の分枝である舌神経の支配下にある。いっぽう、鼻腺分泌を支配する神経は、浅岩様神経→翼口蓋神経節→後鼻神経を通じて鼻粘膜に入るので、上顎神経の支配下である。
上顎神経の分枝の口蓋神経は、大口蓋孔から出て硬口蓋に分布するので、口蓋の刺激は翼口蓋神経節を経て鼻粘膜に入り、鼻汁分泌を促進する可能性がある、と出ています。
なんのことやらわからないかもしれませんが、「舌で感じる味」が原因ではなさそうだ、そうじゃなくて口蓋、わかりやすくいうと「上あごへの刺激」が原因ではなかろうか、というものです。上あごに分布している神経も、鼻にある神経も、どちらも翼口蓋神経節というところを通過するので、そこで刺激の信号が混ざってしまう可能性がある、ということだと思います、たぶん(ここ、あとで重要になってきますので覚えておいてください)。(^_^;)

ここに出ている翼口蓋神経節というのがけっこうなクセモノで、鹿児島大学の口岩先生の研究によると、明るいものを見るとくしゃみが出るという「光くしゃみ反射」も、これが関係しているそうです。目からの「まぶしい」という信号が神経を伝わるわけですが、それが翼口蓋神経節で「混線」している鼻のほうの神経にも伝わってしまうのではないだろうか、と考えられています(味覚性鼻炎と同様、そういった推測をしているのであって、確認はされていません)。
ものすごく簡単にいえば、神経がこんがらがっている(あるいは、「配線」が接近しすぎているので、隣の神経に信号が漏れてしまうとか)ので、「鼻になにか異物が入った」と間違えて(鼻汁が出て、その刺激でくしゃみをして)しまう、ということです、たぶん(こうした光くしゃみ反射や味覚性鼻炎は遺伝するようです。なので、病気ではなく、そーゆー体質なのだと思ったほうがいいでしょう。そーいった「ちょっと問題のある神経の配線図」が受け継がれるわけです。なお、この翼口蓋神経節のせいで上あごが痛くなるという口蓋神経痛がおきたり、偏頭痛の原因になったりもするようです)。

さて、そうなると、硬口蓋の知覚刺激が原因ということになるけれども、この神経をブロックすること(麻酔しちゃうとか)で鼻漏が抑えられるはずです。しかし、それは確かめられてはいないとか(上あごの奥のほう、すなわちのどちんこのあたりを、口にふくんだ氷で充分に冷やしておくと症状が出ないということを説明しているサイトがあります。冷やすだけなので、すぐにもとに戻っちゃうようですが、これは奥田先生の説を証明しているも同然かもしれません。ただ、のどちんこのあたりってのは硬口蓋ではなく軟口蓋ですけどね)。
さらに、こうした症状をおこす成分の検討もされてない、味覚刺激なのか知覚刺激なのかも疑わしく、味覚性鼻炎の名称がふさわしいとは思えない、というようなことを奥田先生は述べています。
辛いものや熱いものを食べると、異様に汗をかく(とくに顔面に)という味覚性発汗または味覚性多汗みたいな症状もある(私もそうなんですけどね)のですが、そちらとの関連も調べられていないそうです(耳介側頭神経症候群というのでも、汗をかいたりするようです。これはかなり特殊だと思いますが)。
なお、この味覚性鼻炎のある鼻アレルギーの患者は治りにくい(薬が効きにくい?)ので、ようするに鼻水が出やすい体質(鼻汁分泌過敏性)なのだろうと思われるとか。


●味覚性鼻炎の対処方法・治療方法

いちばん手っ取り早いのは、そういった症状をひきおこす食べ物や飲み物を摂取しないということですが、もしもそれが好物であるのならかなり困難でしょうし、実行したところで、オオゲサにいえば人生がさびしくなります(ただまあ、「人前では食べない」みたいなことは可能でしょう。ティッシュを用意して自分の家で思い切り食べるとか……自分チで作れるものであるのならば。あと、熱いものは、ちょっとさましてから食べるということもできますよね)。

薬での治療は、食事30分前の抗コリン薬の点鼻(点鼻スプレー)が有効だそうですが、現在のところ、日本にはこの薬は存在しません(昔はあったのですが、フロンガス規制のためになくなってしまい、そのままになっています。なので、医者にかかっても手も足も出ないのが現状です。なお、この抗コリン薬が効くしくみについては「鼻炎にトウガラシ!」の記事を読んでください)。→追記:こちらの記事で説明しているように、もしかしたら二酸化炭素が効くかもしれません。炭酸飲料でも買って、なにか工夫してみてください。
そのため、この抗コリン作用を副作用として持っていることが多い、第一世代抗ヒスタミン薬の内服が効くかもしれないとありますが、それはたしかめられていないそうです(効果があったとしても、点鼻薬ほどの即効性はないですし、眠気などの副作用の問題もあります。これを飲むなら、抗コリン薬そのものである市販のブスコパンA錠などを服用したほうがいいような気がします。ただ、どこにどう効くかという向き不向きの問題と量の問題があるので、実用になるかどうかは不明です。実用になったらなったで、鼻以外に口も渇いてしまうなどの副作用が出そうです。抗コリン薬というのは、いろいろな分泌を減らすという作用があるので、減るのは鼻水に限らないですから。点鼻なら鼻だけに効くのでいいのですが)。→追記:第一世代ではないですが、抗ヒスタミン薬のケトチフェンの点鼻薬がよいかもしれないです。そこそこの値段で市販されてますし。

また、エフェドリンのスプレーも効果はあるだろうと記されていますが、そういった医薬品は存在しません(ただ、作用機序はちょっと違いますが、エフェドリンは血管収縮剤だと考えてみれば、似たような血管収縮剤入りの点鼻薬は掃いて捨てるほどあります。ナシビンMみたいな、血管収縮剤だけの点鼻薬も市販されています。なので、もしかしたらそれでも効くかもしれません。しかしながら、この点鼻薬には、連用すると依存になって薬剤性鼻炎に移行するという最大最悪の欠点があるので、毎日の食事前にそれを使うというのは非現実的です。週に1回程度ならだいじょうぶでしょうが)。

ここで説明している抗コリン薬というのは、アセチルコリンという神経伝達物質の受容体をブロックするということで、副交感神経の働きを抑制する作用があります。副交感神経遮断薬ともいいます。いっぽうの血管収縮薬はアルファ交感神経刺激薬といいまして、副交感神経の反対の働きがある交感神経を興奮させます。相対的にみれば、どっちの薬を使っても交感神経のほうが優位になるという点は同じなので、鼻水がピタッと止まるかどうかはわかりませんが、いずれも効くかもしれないですね。

なお、かなり重症の場合、後鼻神経切断という手術が有効であるという論文も検索でヒットしたので、マジでどうにもならなくて悩んでいる人は耳鼻科で相談するとよいでしょう(ただし、数年で元に戻る可能性があります。海外の医学系サイトでは、長続きしないし副作用もでがちなので、手術はあまり勧められないとなっています。とはいっても、日本には薬がないですからね)。


●海外の情報にみる味覚性鼻炎はどう説明されているか

さて、以上は文中にも記したとおり、主として『鼻アレルギー基礎と臨床 改訂版』という専門書にある内容(500ページもある重い本なのに2ページしか出ていません。もっとも、アレルギーの本ですからね)ですが、海外ではどのように説明されているのでしょうか。それをみていきます。

まず味覚性鼻炎の特徴というか症状ですが、鼻漏(鼻水)のほかに後鼻漏も多く、鼻づまりやくしゃみが発生することもあるという情報があります(医学系のサイトでは、鼻水だけで、通常はそれ以外の症状は出ないとなっていますが)。
大人でも子どもでも症状が出るけれども、どちらかといえば大人のほうが多いようだ、ということも出ていますが、これは加齢にしたがって鼻水が出やすくなるということでしょう(老人性鼻漏なんてのもありますしね。トシをとると血管の壁が薄くなるので水分が染み出しやすくなるのだとか)。花粉症のようなアレルギー性鼻炎を持ってる人や、喫煙者に多いようだ、と出ているサイトもあります。
医学系のサイトでは、三叉神経終末への刺激によっておこるのだろうと考えられると出ていたりします(三叉神経というのは、太い神経の束が3本に分かれているのでそう呼ばれるのですが、そのうちの1本が、奥田先生が触れている上顎神経です)。

味覚性鼻炎を起こす可能性のある飲食物も、辛いものや熱いものばかりではないようです。たとえばチョコレート、コーヒー、アルコール(お酒)、トマト、かんきつ類(レモン、オレンジ、ライムなど)、お酢(というか、酸っぱいもの?)、お茶(これは海外だから紅茶が主なんでしょうかね)、ミルク、そのほか冷たすぎるものも味覚性鼻炎の原因になり得る(それで症状が出る人がいる)ということが出ていたりもします。また、「食べすぎ」によっても症状が出ることがあるとか。
しかし、それらがどうして鼻漏を引き起こすのか、そのしくみは同じではないかもしれない、となっています(個人的にもそう思いますので、これは後述します)。

600人を対象に調べた調査というのがあったようで、それによると、参加者の69パーセントは、少なくともひとつのなんらかの食品で症状が出るそうです(かなり多いね、これは)。もっとも一般的なのはトウガラシ(を使った料理なんだろうなぁ)で、49パーセントを占めたそうです。パンで症状が出る人も6パーセントいたそうです。もっとくわしく知りたいところですが、詳細不明です。


治療法については、やはり抗コリン薬の点鼻スプレーがいいとありまして、Atrovent nasal spray(アトロベント点鼻薬)というのがあるので、それを処方してもらえという方法が出ています(こうした抗コリン薬の点鼻薬は個人輸入すれば入手が可能です。興味のある人は「点鼻 個人輸入 イプラトロピウム」で検索してください。もちろんアレルギーによる鼻水にも有効です。なぜこういったものが日本にはないのか、まったく解せません。ふざけてるとしか言いようがないです。なお、この抗コリン薬は鼻水を抑える効果はありますが、くしゃみが出る人に効くかどうかはわかりません。ただ、鼻水が出るという刺激でくしゃみが出るのであれば、効果はあるかも。ちなみに点鼻の抗コリン薬というのは効いても3時間ぐらいらしいので、花粉症などのアレルギーにはナンですが、食事のときだけ鼻水を止めたいという目的にはかえってうってつけだと思います)。

薬を使わない対策として、辛いものや熱いものは避けるということのほか、アルコールやカフェイン入りの飲み物を避けるのも、味覚性鼻炎の鼻水を減らすのに有効なことが判明している、と出ているサイトがあります。アルコールは血管を拡張して鼻水を出やすくするということで、花粉症の人も飲まないほうがいいということがいわれますので納得できますが、カフェインについては、なぜなのかわかりません(理由までは出ていません。カフェインは血管収縮作用があるので、どちらかといえば鼻水を止める働きがあると思われるのですが……ただし、その効果が切れると、リバウンドとして血管が拡張することがあります。偏頭痛の原因になったりもします)。

食事1時間前に抗ヒスタミン薬を服用すると効くことがある(効かないこともある)、という話もあるんですが、その抗ヒスタミン薬が持っている抗コリン作用という副作用が効果を発揮しているのであれば、それは当然でしょう。その副作用が強い薬、そうじゃない薬がありますので、抗ヒスタミン薬ならなんでもいいというわけにはいかないはずです。この味覚性鼻炎はヒスタミンによる症状ではないですから。
ステロイドの点鼻薬も有効とあったりもしますが、これは血管運動性鼻炎の一種だと思ってみれば、効くこともあると思われます(直前の点鼻ではなく、花粉症に使うように連用したほうがいいのだろうと思いますが、使い方などについては出ていません)。

なお、この味覚性鼻炎の原因のひとつとして、鼻にある傷跡(瘢痕組織)をあげているサイトもあります。たとえば、鼻の手術を受けたあとが残っているのがその原因のひとつだといっているのですが、これが本当だとしても、特殊な例だと思ったほうがいいでしょう(医学系のサイトだと、外傷や脳神経障害と関連があったりするなど、さまざまな要因が考えられるみたいに出ているところもありますが、やはり特殊例だと思うので、そのあたりは割愛します。というか、これ以上わからない)。


●じつはこれは味覚性鼻炎とはいいがたい例もある

以上のようなわけなのですが、正直いって、ここに出した海外の情報はいろんなものが混同されていると思われます(必ずしも医学関係のサイトばかりから引用してるとも限らないですので。医学系のサイトは、シロウトならではの「素朴な疑問」には答えてくれてないのです)。
そもそも、血管運動性鼻炎(海外では本態性鼻炎)の説明で、スパイシーな食べ物などが刺激になって症状が出るなどという、味覚性鼻炎そのものとしか思われないことが出ていたりもしますし、ここでは紹介はしませんでしたが、こういった食べ物のほかに香水の香りや煙などで悪化するみたいなことが説明されているところもあります。これは逆に、味覚性鼻炎じゃなくて血管運動性鼻炎についての説明としか思われません。まあ、どちらともつかない例もあるのでしょうけれども(というか、定義そのものがあいまいですからね)。

こういうこともあります。
おなじみの大久保先生がよく言うところによると、ラーメンみたいな熱いものを食べると鼻水が出るが、それは胃があたたまるからだそうです(だから、ラーメン屋にはティッシュが置いてあるでしょ、みたいなことを数回聞いたことがあります。私は何回も大久保先生の講演を聞いているので。持ちネタのひとつなのかも。大久保先生、ラーメン好きなんだろうな、たぶん)。(^_^;)
しかしながら、これは最初に記した「摂食後すぐにはじまり」という特徴とは異なっています(海外の医学系サイトでは「数分以内」となってますが)。胃に入ってから症状が出るのであれば、それは原因が異なると考えざるを得ません。

おそらく、これはいわゆる副交感神経が優位になるせいで鼻がぐずつく、ということだと思われます。眠くなると鼻がぐずつくというのと同じ理由です(これの正反対の現象が「緊張すると鼻水がひっこむ」というものです。交感神経が優位になるからです)。
食べすぎると鼻水が出るというのもこれでしょう(食べすぎというのは「食べたあと」なのだから、「摂食後すぐにはじまり」という特徴には当てはまりません)。私も食べすぎると鼻水ぐずぐずになったりするのですが、食べものが関係しているとはいえ、これは味覚性鼻炎とは違うでしょう。これなら鼻づまりがおきても不思議ではありません(眠くなると鼻がつまる人もいるし)。→追記:食べすぎでくしゃみがとまらなくなるみたいな症状があって、これはsnatiationとして知られているようです(これも遺伝するらしいです)。
実際、日本医科大学付属病院(大久保先生がいるところ)の耳鼻科のページに「熱いものや辛いものを食べたり、おふろに入った後に出る鼻みずは胃や皮膚が刺激されて、その反射として副交感神経が興奮し出てくるものです」という説明が出ています。


いっぽう、チョコレートが原因食物になるということで紹介されていますが、じつは私はこの症状があります。ただし「ゲロ甘いチョコレート」に限ります。駄菓子とかによくある準チョコには反応しません。子どものころからそうでして、ずっと「違和感」としてしか感じていなかったのですが、それは、ふつーなら鼻水が出ないような鼻の奥のほうでジワッと鼻水がにじむからだったんですね(「あ、これだ!」と気づいたのは、つい最近です。気にしてないものというのはそーゆーものです。正直、それに気づいたので、再び味覚性鼻炎を調べようと思いました。結果がこの記事です)。
はっきりいって、口の中で溶けたチョコが鼻のほうに入っているとばかり思っていました、子どものころは。しかし、チョコレートでだけそんなことがおこるなんていうのはあり得ません。
おそらく、これは口蓋への刺激が鼻に伝わってしまう(ホントは上あごで感じた刺激なのだけども、それを「鼻になにか入った」と脳が勘違いして鼻水を分泌させる)という、正真正銘の味覚性鼻炎だろうと思います。
ただ、チョコなんてのは「食事」にするほど大量には食べませんから、ジワッとくるだけでおしまいです(少し鼻水が出ることもありますし、ノドのほうに流れる後鼻漏も感じますが。つか、鼻水が出る部位が部位ですし、後鼻漏のほうが多いです)。

また、「くしゃみ、その驚くべき11の事実」という記事ではミントガムでくしゃみが出るということを書いているのですが、このことについて検索でやってくる人がけっこういます(最近は花粉症向けにミントのきつい飴がありますが、それでも出るんじゃないでしょうか。どうでしょうね)。
これも、口に入れた直後にそれがおこるのであれば、私のチョコレートと同じ現象なのだろうと思われます(チョコでくしゃみが出る人もいますね)。鼻での刺激の感じ方がちょっと違うので、鼻水ではなくくしゃみが出るのでしょう(ミントの香りが鼻にまわって出るのであれば違うでしょう。それはミントの冷感刺激によって出るのだと思います)。
私はミントガムは平気ですので、なにが刺激になるかというのは、個人によって違うのだと思います(なお、私は眉毛をぽりぽりかくと、鼻にちくちくとした刺激を感じてくしゃみが出ます。しかし、チョコの場合は、このちくちくは感じません。ちくちくを感じる部位と、鼻水がにじむ部位も違います)。

もっとも多いのが、熱いものや辛いもので鼻水が出る人、ということなのかもしれません(私もそのケはあるのですが、これに関しては、「胃に入ってから」だと思います。辛いのを口に入れたときに出るのは、顔面や頭部からの汗のほうです)。
辛いものでくしゃみが出るという人もいますので、やはり鼻水だけというわけでもなさそうです。単に、くしゃみ派は少ないだけでしょう。
鼻水が出るのかくしゃみが出るのか、その違いがどうしておこるのかはわかりませんが、そのあたりは個人差としかいえないのだろうと思います(そのくしゃみも、私のようにちくちくした刺激でくしゃみが出るのか、いきなりくしゃみなのか、それとも鼻水がじわっとにじむ刺激で出るのか、そのあたりも人によって違うのでしょう、おそらく)。


ともあれ、「食べたもので鼻水やくしゃみが出る」ということには、神経の具合のせいで口に入れてすぐに(反射的に)症状が出る味覚性鼻炎と、お腹(胃)に食べ物が入って副交感神経が興奮することによるものとの2種類があって、これらは異なるものだと理解したほうがよさそうです(香りや熱い湯気が鼻に入っておこるものは正常な反射、あるいはひどい場合は血管運動性鼻炎といっていいのだろうと思いますが、それをふくめれば3種類あるということになるでしょうか。もちろん、それらが複合している場合もあるでしょう。あえてもう1つ入れるのであれば、アルコールで血管が拡張するので鼻水が出やすくなる、ということでしょうか。辛いものでも拡張しますしね)。
いうまでもなく、本物のアレルギーで出るものは除外して、です(その疑いがある場合は、きちんと検査したほうがよいです。たいがいは、口内のかゆみとか、もっといろいろな症状が出ると思います。ひどければ全身に出るでしょうし、もっとひどければショックをおこして死にます。勘違いしやすいものに、パインやキウイにふくまれているたんぱく質分解酵素のせいで、ノドがイガイガシカシカするというのがあります。また、アレルギーと似て非なるものに不耐症というのがあります。よく知られているのに乳糖不耐症というのがあって、これは牛乳で下痢などをおこします。このような感じで、一般的には消化器系統の症状が出ます。しかしながら、ヒスタミンを多くふくむ食品を摂ると、ヒスタミン不耐症の人はアレルギーと同様な症状が出たり、アレルギー症状を悪化させる可能性があります。あまりにヒスタミン量が多いと、とくに不耐症ではなくとも、ヒスタミン食中毒を起こす可能性があります。ただ、不耐症の症状は消化吸収されてからなので、アレルギーほど早くは出ないことがほとんどです。ヒスタミンが多い食品は仮性アレルゲンで検索してください)。


●まとめ

・口に入れてすぐに症状が出るのは、上あごの神経と鼻の神経が「混線」しているため。なので、口への刺激を「鼻になにか異物が入った」と脳が勘違いをして、鼻水やくしゃみが出る。これが味覚性鼻炎。なににどう反応するかは人によって異なる(なに食べても出るという人もいるかも)。この「混線」のせいで、明るい光を見てくしゃみをしたり、眉毛を抜くとくしゃみが出る人などもよくいる
・辛いものや熱いものが胃に入ると、副交感神経が興奮するので、それで鼻水が出るという現象もある(くしゃみや鼻づまりがおこることもあると思われる)。これは「眠くなると鼻がぐずぐずになる」という現象と同じ。食べすぎで症状が出るのもこれ。ついでにいうと、食後に眠くなるのもこれ
・鼻で吸い込んだ空気の香りや温度差に人一倍過敏に反応してしまうこともないではないけれども、これは味覚は関係ないし、どちらかというと血管運動性鼻炎といったほうがいい。刺激物を吸い込んでくしゃみなどが出るのは当たり前の反応だし、湯気を吸い込んで鼻の中がうるおうのも当たり前。その湯気などがあまりに熱い場合は、鼻水を多く出して冷却しようという反応がおこることもあるという(とはいうものの「ふだんによく食べる熱い食べ物」ごときの湯気を吸ってその反応が出るとも思われない。やけどしそうなぐらいに熱い湯気ならともかく)
・それらとは別に、アルコールや辛いもので血管が拡張して、鼻水が出やすくなるという現象もある(血流がよくなるだけでなく、血管の壁が薄くなるので水分が染み出しやすくなる)。辛いものによる味覚性鼻炎または胃に入って副交感神経が刺激されて鼻水が出る人は、この「出やすくなる」ということも後押しすると思うので、いきおい症状がひどくなるかも。熱いものというのも、けっきょく体を温めて血管を拡張させるし。なお、花粉症患者は(シーズン中は)こういったものを避けたほうがいいとよくいわれる

(注:辛いものや熱いもの、というよりむちゃくちゃ味の濃いものはなんでもそうですが、それらはそもそも誰にとっても刺激的であるということがあるので、それによる症状は私のチョコの場合のような「特異的な反応」とは違うかもしれないです。食事というのは交感神経と副交感神経のどちらにも影響があるようなのですが、その影響がどちらかに偏って強く出る人がいるのであれば、副交感神経のほうが興奮して鼻漏を起こすこともあるかもしれません。味なのか香りなのか、口で感じる刺激なのかどうかもわかりませんが。そのほかにも、上にあげたようなこととは違う、未知のメカニズムが働いている可能性もあります。なお、食事中は花粉症などの鼻水が止まるという人もいるようですが、それは私の発汗と同様、交感神経のほうが興奮する結果だと思われます。私もめっぽう辛いカレーを食べると、「これは目の覚める辛さ!!」と感じることがあるのですが、明らかに交感神経のほうが刺激されています、これは。ふつーの人には影響ないような食べ物でもそうなるのであれば、その人に特有な現象でしょう。ガムを噛む、すなわちあごを動かすことで目が覚めるということもあるので、そうした咀嚼という動作も関係しているかもしれません。ちなみに、ガムをかむと花粉症の症状が減ることもあるといわれます)

追記:上にリンクした「鼻炎にトウガラシ!」の記事でも書いたんですが、鼻水が出るという反射にはサブスタンスPという神経伝達物質がかかわっていて、これがトウガラシの辛味成分であるカプサイシンで大量に放出されます。なので鼻水たらー……になってもおかしくないのですが、これはいたって正常な反応ではないかと思います。もちろん正常といっても、人によって反応が弱い強いというのがあるでしょうが。ともあれ、辛いもので鼻水が出るという人が多いというのは、こーゆーことも関わっているのではないかと思います。チョコに反応する私としては、そんな正常な反応を味覚性鼻炎といってほしくないような。(^_^;)エバリタイ


●上あごがかゆくなるというのは味覚性鼻炎の逆なのではないかという新説

この項は「おまけ」と思ってください。どこにも出てないし、根拠もなにもないですので。

「あつ花」の生みの親であるぽてこママさんには、花粉症で上あごがかゆくなるという症状がありまして、以前はめずらしいと思っていました。ところが、気合入れて調べてみるとぜんぜんめずらしくないし、それについて述べた記事「季節性アレルギー(花粉症)によって上あごがかゆくなる人は23.4パーセントもいる!」にも、たくさんのアクセスがあります。びっくりです。

ところで、上のほうで、重要だから覚えておいてほしいと書いた部分があります。口蓋(上あご)への刺激が鼻に伝わるのだ、ということです。
このことを考えると、こういうことがいえないでしょうか。すなわち、上あごへの刺激が鼻に伝わるのであれば、その逆に、鼻(の特定の部位)への刺激(ここでいう刺激とは、なんらかの原因で神経が刺激されるということであって、本人はなにも感じてないかもしれないです)が上あごに伝わってもおかしくはないんじゃないだろうか、ということです。それが、上あごのかゆみとして感じるということも、あるんじゃないでしょうか。だって、そんなところに花粉がひっついて症状を起こすなんてあり得ないでしょう。

私は、花粉症で上あごがかゆいというのは、これだと信じるに至りました。あってもおかしくない現象だからです。
だから、花粉を吸わないようにしたり、薬で鼻症状をおさえると上あごの症状もなくなるんです。そうに違いありません。

さあ、耳鼻科の先生、ぜひ調べてください。鼻内の抗原誘発テストをするだけで、論文1本書けますよ(笑)。
ってか、もしかしたらアレルギー関係ないかもしれないなコレ。


まあ、逆というわけではないにしろ、口とか鼻のあたりの神経というのはけっこうごちゃごちゃしてるようなんです(というか、目鼻口耳とかの感覚器あたりの神経は全部そうみたいですが)。そのあたりを勉強したことない一般人にはわかりません(私にもわかりません)。
たとえば、上あごのやわらかいところ=軟口蓋とかのどちんこのあたりがかゆくなるという人が多いようですが、このあたりに分布しているのは小口蓋神経というもので、この枝分かれしたものが鼻のほうにも伸びているそうです。これとは別の大口蓋神経というのがあって、それの枝分かれしたものが軟口蓋に分布するとともに、違う枝分かれしたものは、やはり下鼻甲介とかの鼻のほうに行ってるそうです。なんだかわからないけど、つながっていそうだと思いませんか? というか、つながっているんですけど、本来は別々です。でも、 「混線」してても不思議じゃないですよねぇ? 
なにか食べたり飲んだりで耳(の奥のほう)がかゆくなったりすることもあると思いますが、これも神経の「混線」のせいだと思われます、たぶん(花粉症で耳がかゆくなるというのも、実際に花粉が入り込んでかゆくなることもあるでしょうが、やはり「混線」のせいもあると思います)。→追記:上で「私は眉毛をかくとくしゃみが出る」と書きましたが、これも神経の具合です。三叉神経の一部は顔の表情を作ることなどにも関係しているのですが、眉毛などは表情にともなって上がったり下がったりで、とても動きが豊かです。そういったところに刺激が加わると、それが脳に伝わる途中で、やはり「鼻になにか入った」という信号にすりかわってしまうからです。


あなたはなにを食べると鼻水やくしゃみが出ますか? 思い当たる人がいたら、ぜひコメント欄で教えてください。「辛いものや熱いものだけじゃないぞ」といいたい人、けっこういるんじゃないでしょうか。


(フォレスト)