成田山新勝寺の東側公園へと三人で歩いていても特別な会話はあ
りませんでした。
 こうして新年を祝って三人が再会し、散策をするだけで言葉には表
せない気脈が通じているのだと思います。

 船橋在住の友は、自転車で運動を兼ね、かなり遠距離をゆっくりと
走りながら、時折自転車を止めて景色などを撮影することが趣味の
人です。
 以前、写真集を見せてもらったことがあり、その時はフィルムを使っ
た写真でしたがアングルもいいし、素晴らしい景色もたくさんありまし
た。
 何枚かいただいたこともありました。

 船橋からここ新勝寺までの片道約50㎞を日帰りで、自転車をかって
来るといいます。
 森林が多く茂る公園を歩きながら彼がサイクリングのことを盛んに
喋っていました。
 私たちはその体力と気力に驚きの声を上げるだけでした。

 今回その彼が愛用のカメラを持ってきていたのですが、充電が不足
していて、撮影ができないことが分かり残念そうでした。
 彼の心中を察し気の毒で堪りませんでした。


 公園の入口あたりになると思いますが、配された石碑に埋め込まれ
た三池照鳳大和上御尊像再建銘記板には、真鍮の材料に以下のよ
うな文字が鋳込こまれていました。

 それには、昭和19年第二次世界大戦の強制供出により台座のみ
残されて以来四十余年、大和上を開祖第一卋に戴く成田山八街分院
不動院一同報恩謝徳の為、開基百年を記念し、ここに大和上の御尊
像を再建す。


 平成二年七月吉日 

 銅像の製作者は高岡市の田畑 功となっていました。

 ここでも銅像は戦車や銃などの材料として使うため強制的に供出し
た物と思われます。

 日本で自給できるものは何があるのかということを改めて考えさせら
れます。
 原点に返り、次世代へのあるべき形を創造しなければいけないと思い
ます。


                大和上の御尊像

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 台座の説明板にも真鍮の材料に文字が鋳込まれ、埋め込まれていまし
た。

  僧正姓は三池氏嘉永元年成田に生る 安政四年照嶽上人に従って得
 度後京都智積院に入りて顯密二教を修し 明治十六年當山貫首となり在
 職十二年 明治二十九年六月三日示寂す 世壽四十九法獵三十九僧正
 立志健剛常に曰く「予が一世の望みは事業の完成にあり」と常に力を宗
 風の振作伽藍營興致せしのみならず成田鉄道の敷設英漢義塾の創立
 感化院経営等公共の事業枚擧に遑あらず昭和十三年當山開基一千年
 祭奉修に際し篤信牧野元次郎氏發願齎藤芳也氏に嘱し巨資を投じて僧
 正の銅像を建立し以て僧正の道風をと偉業とを千載に傳ふ誠に希世の
 美擧を謂ふべし

 公園の森林地帯に入り、開けたところに出ると大きな池の中に瀟洒な社
が設けられ、陸地とを橋で結んでいる風景が現れ、素晴らしい眺めでした。
 春から秋はたぶん絶景になるでしょう。

 池のそばには習字美術館という初めて耳にする名の建物が見えます。  

              池のある風景

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                                        池のある風景

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                                                池のある風景

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                                少し上流側(滝の方に)にある池

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              習字美術館

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 この滝に向かう途中に御滝不動尊・洗心堂と書かれた標識がありまし
た。
 読んでみますと、この浄域には洗心堂(修行道場)を中心に雄飛の滝
と雌(め)滝が配され、滝の上部は御滝不動尊が奉安されています。
 
 二つの滝は深山幽谷より里への流れを表す公園の源流にあたり、自
然の木々に包まれ、静寂の中、不動明王の大威信神力とともに滝の音
に心が洗われる霊地です。

 
                                            雄飛(ゆうか)の滝                                          

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                                                 洗心堂

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 確かに滝の廻りは森林に蔽われ、霊域を感じるような身の引き締まる
静寂さがあります。
 般若心経を心の中で唱えたい心境です。

 新勝寺の表はたくさんの人で喧騒ですが反対の東側はほっとする環境
です。

 このような素晴らしい公園があるということを知らない人が多いのではと
思います。