「日野市立小島善太郎記念館」において、善太郎画伯のお嬢様の敦子さんから、
八王子市夢美術館でも小島の展示会があったとかおっしゃっていました。
その詳しい内容については、八王子市夢美術館学芸員の方が「小島善太郎、絵
に磨かれた魂」という主題で小冊子に掲載されていますので、紹介させていただき
ます。
転記することによって、自身がより画伯について深く理解できると思っています。

 小島善太郎画伯生誕120年という記念の年に、晩年を過ごした日野のアトリエ
が、市制50周年を迎える日野市によって、記念館として公開されることは極めて
喜ばしく、まずはお祝い申し上げます。
日野、青梅、八王子にゆかりの深い、多摩を代表する洋画家・小島善太郎の名が、
また一つ大きく刻まれることで、この地の文化の発展に寄与されることを望みます。
小島画伯が40年の歳月を過ごした八王子市では、油彩画30点をはじめ、多くの
デッサンや資料を所蔵しており、それらは、現在、平成15年に開館した八王子市
夢美術館に収蔵されています。
夢美術館では収蔵品展示として折に触れ紹介しているほか、平成17年にご遺族
をはじめ青梅市立美術館、清春白樺美術館などにご協力をいただき回顧展を開催
させていただいています。
夢美術館も今年ちょうど開館10周年を迎えることから、現在、再び小島画伯の展覧
会を準備しているところです。

 小島画伯がパリに向かったのは、大正11年、画伯は30歳を迎える年でした。
当時であれば、あるいは今でも、洋画家にとってパリ行は憧れの極みであり、若くして
それをなし得た小島画伯は、そこだけを見れば順風な画家人生をスタートさせたと思
われるかもしれません。
しかし、そこに至る道のりは筆舌に尽くし難いものでした。
その自伝を読んだ者には知られているところであり、ここで詳しくは延べませんが、小島
善太郎は稀にみる困難を乗り越え画家となります。それは、絵を志す、その、ひたむき
な姿勢を援助する周囲の厚意の賜物でした。
厳しい真冬の風雪に耐えた、その魂をもって、決してくじけることなく、画家としての人生
を歩んだ小島画伯の作品は、晩年には、明るい喜びに満ちたものとして結実しています。
画伯の芸術は、他社と競い合うものではなく、自己を見つめ、対象を見つめることから生み
出されるものでした。
したがって、そこには流行や風潮とは一切無縁の、絵に真っ直ぐに向き合った、真摯な気持
ちで描かれた世界が広がっています。

 完成された絶筆「ラ・リューシュと老画家」が、八王子市夢美術館に所蔵されています。
そこには、穏やかな春の日差しの中、桜の大樹の下で人々に取り囲まれ、イーゼルを前
に静かに腰かけ、画布に向かう画家本人の姿が描かれています。
逆境の中で、涙に磨かれた魂は、人の恩義を知り、絵に磨かれ、実り豊かな生を全うしま
した。
画伯の作品と生涯は、芸術が切実なものとして、人生の支えとなることを私たちに教えて
くれるのです。
 
 絵がないと殺風景かと思いますので、小生が描いた水彩画をここで紹介させていただき
ます。

             薔薇の花が咲く館

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