水彩画を始めてから4年目に入りました。
今月から、また一人会員が増え、新しい空気が吹き込まれるようで、小生
も少々刺激を受けています。
絵をたしなむ一人としてか、なぜかしらいつも百草園に所在する『百草画壮』
日野市立小島善太郎記念館を思い浮かべます。
以前、その百草壮にお邪魔をしたときに、アトリエの隣に増築された茶室風
の部屋について、見学者を案内したり、周りの世話をしてくださる方から、敦
子さんは茶道を教えていらしたと聞いたことがあります。

 例の小冊子に茶道教室「桃季会」の方が、「はじめは善太郎先生、そして
敦子さんとは」というタイトルで寄稿されていますので、小生も一緒に読ませ
ていただきます。

 今から三十数年前、日野市百草に越してきました。
有吉佐和子さんの、「恍惚の人」に触発されて、信州に一人暮らしの義父を、
何としても呼び寄せなければ思ったからでした。
新宿までの直通の駅から徒歩で行けるところというだけで、それまで乗った
こともない京王線沿線に来てしまいました。
家ができて住み始めると、新しい土地で馴染むことの大変さを感じました。

 右も左もわからず、近所付き合いもないまま忙しさに取り紛れながら、少
しづつ落ち着きました。
 家の斜め上の斜面には立派な樹がたくさんあって、時々何人もの植木
屋さんが手入れをしていました。
門柱に小島善太郎とあってもどんな方かなと思ったままでした。
そのうち傾斜のところに洒落たルパシカ姿でベレー帽をかぶった老紳士を
見かけ、画家の方なんだと思いました。

 いつも一人静かに杖の上に両手を載せ、枝の先か草花か空の方か、下
の道を通る人を見る様子はなかったように思います。
数年後にお亡くなりになり、近所の方とお別れに行きました。
その後も奥さまや敦子さんを知らないままでしたが、お隣の惇さんや和子
さんとは自治会などでお話くらいはしていました。

 たまたま夫が平成3年から闘病生活をしていたので、翌年に元同僚の人
たちが見舞い旁ら、百草園にいらっしゃることになりました。

このきつい坂道にある当家まで来られるのに、百草園の案内だけではと考
えて、小島画伯宅のアトリエを拝見出来たらと思い、勇気を出して石段をあ
がって頼みましたところ、心よく「どうぞどうぞ」とアトリエに招き入れて下さっ
て、お菓子とお茶のおもてなしを受けました。

 初対面です。
緊張し、恐縮しながら来客は話しました。敦子さんは、「私がお茶をたてます
から、あなたはまずお菓子をこのようにお出しなさいませ。お抹茶は小帛紗
に載せてこのようにお出しなさいませ」と丁寧に教えてくださいました。
感激でした。

 当日は皆ゆったりと椅子に座りながら恒子奥様も入られて、絵画や周囲の
品々に目をやりながら話がはみ、帰りには、『桃季不言』や『若き日の自画像』
などをいただいて大満足してもらいました。
急に敦子さんと近しくなれたように思いました。
その後しばらくはお礼に伺っただけで、またお見かけすることはありません
でした。

 翌年、玄関先にいた私に通りがかった義妹の和子さんが「お茶室ができた
の、矢崎さんも看病が大変ね。
少しは気分転換にお茶の稽古にいかが」と話してくれたのです。
前からNHKの五代利矢子さんが「50、60歳を過ぎても10年続ければそれ
なりに身に付きます」といわれた言葉が忘れられず、こんなに近くなんだから
せめてお茶の戴き方なりを身につけたいと早速お願いに行きました。
それから満20年間楽しみながら飽きずに続けてきました。

 初めの10年間はお茶一筋。種々様々折に触れ、多岐にわたって惜しみなく
教えてくださいました。
アトリエと茶室、季節ごと様々のお道具で稽古しながら、歴史・文化・芸術につい
てたくさん学びました。

 後半の10年はきめ細かにすべて伝えてあげたいといわれて、誠心誠意ご指
導いただきました。
 敦子さんはその頃から、一生涯画の道一筋を貫かれた画家・人間・父親小島
善太郎の娘として真っ向から真摯に熟慮され、模索を重ねていらっしゃって、到
頭この百草画壮小島善太郎記念館へと到達されました。

正門から見える真鶴産の石段、種々の樹や草花、「画は私の自伝です」の碑と「
桃季不言」の碑、空に近く、居宅アトリエ茶室、絵画他収蔵品に数々…。

すべて大きな風呂敷に包みこんで、このたび日野市に寄贈される歩みを教室に
通いながら心に深く感じ、尊敬の念でいっぱいでした。

 庭の中ほどに敦子さん手植えの枝垂れの糸桜、桃季会10周年記念の桃の木
がこの春も美しく咲きました。
記念館がいつまでも変わらず皆様に愛されることを期待します。


 この門をくぐって石段を登ったところに、母屋とアトリエが現れます。

    小生が描いた水彩画(小島善太郎記念館入口)です。
CIMG0001





















 2014年9月9日(火)、もう一人男性の方ですが、水彩画サークルに入会
されました。
さっぱりとした性格で、なかなかの紳士です。
これからも会員の皆様との絆を強め、和やかに水彩画を楽しもうと思います。
今日は、本当に良い一日でした。