米 原 伊 吹 の 今 夜 も 眠 れ な い !


『大図書館の羊飼い-Dreaming Sheep-』2014年3月28日発売予定、11月29日より全国のPCショップで予約受付開始です。 『大図書館の羊飼い-Dreaming Sheep-』2014年3月28日発売予定、11月29日より全国のPCショップで予約受付開始です。

世のは、アニメやゲームだらけ。

そんなものを全部やっていては、夜も眠れない

そんな中でも、果敢に自分の好きなモノを追い求める――

きっとそこに、何かがあるはずだから。


大図書館の羊飼い

大図書館の羊飼い Library Party 一之江 金魚 スペシャルSS 鐘の導き

こんにちは。米原です。

"羊飼いLPのCGを見て、そのシーンを当てちゃおう"のコーナー、ラストは新ヒロインの金魚ちゃんです。
金魚は……もはやネタバレの域に達しますが、羊飼いの可能性が高いです。
理由としては、羊飼いアニメのCMで羊飼いLPの宣伝しているのですが、金魚の紹介シーンでつぐみが「えっ? これが噂の羊飼い??」と発言するからです。
そんな理由で、私は金魚が羊飼いであるという前提でこの話を作りました。
合っているかどうか、そんなのわかりません。
でも、私はそのつぐみの発言を信じて、想像してみました。
よって、ネタバレになります。
(と言っても、内容が合っているとは限りませんが)
「ネタバレ上等!」という人だけ、この先のSSを読んでください。


大図書館の羊飼い Library Party 一之江 金魚 スペシャルSS 鐘の導き


鐘と言うものは、時を知らせるものである。
始まりの時、終わりの時。
両方に使われるのだが、それが必ずしも有効に働くとは限らない。
「えー、悪いがここだけ説明させてくれ。すなわち――」
このように、守られない場合と言うのは、往々にしてある。
きっかり五分、延着ののち、我々の昼休みは始まった。

「いらっしゃいませー、こちらへどうぞ」
「Aセットが3つですね、かしこまりましたー」
佳奈すけや嬉野さん、その他見慣れた女性陣が、アプリオを切り盛りしていく。
しかし、すべてにおいて限界と言うものは存在する。
彼女らの声が自分たちだけのものになるのは、随分先になりそうだ。
本来、朝シフトが担当の佳奈すけが、ここに駆り出されているのが、何よりの証拠だ。
「なぁ、筧」
「なんだ?」
「俺たち、完全に出遅れてるよな」
「うん」
「このままいて、何とかなると思う?」
「どういう意味だ?」
「次の授業に間に合うかってことだ」
「幸い、俺たちの授業は、次の時限にはないだろう」
「いや、そうじゃなくてだな……」
きゆ。
「……」
「……」
配慮が足りなかった俺は、高峰の空しい音を聞かされる羽目になった。
「……しかし、そうは言っても、他も混んでいるだろう」
「どうやら、最近ひそかに人気の場所があるそうだぜ」
「移動時間、そしてその人気の場所でのオーダー速度を加味した場合、どちらがはや……わかったよ」
高峰の熱意に折れ、俺たちはそこへ赴くことになった。

スマートフォンのガイドに従う事、約十分。
綺麗にメンテナンスされた植木の向こう側に、小さな建物が見えた。
少しイタリア風……あるいは、おしゃれなカフェだろうか。
壁の一部が樹木に覆われ、いかにも涼しそうな建物――それが、お目当ての食堂であるようだ。
「カミツレ、か……」
スマートフォンには、"第八食堂『カミツレ』"と表示されている。
「高峰、うちの学校に、食堂はいくつあるんだっけ?」
「確か十八……」
「そんだけあるにもかからず、俺たちはアプリオ専門だったな」
「そうだな。なんだかんだで、あそこが一番早いし安いし上手い」
「っても、アプリオと他の食堂の検証すらしてないだろう」
「なんか検討する気、なくしちゃうよな。あれだけのサービスがあると」
高峰が言うのもわからなくない。
"第一食堂"というネームバリューに頼らず、しっかりとしたサービスを提供している。
『他も試してみよう』という気は失せ、『またここに来たい』となる。
それだけ、アプリオには魅力があった。
「『そんな俺たちが、どういう風の吹き回しで?』って、神は思うかな?」
「そりゃ、早さだよ」
「早さ?」
「そ、提供までの早さ。どうやらそこで働く一年生のウェイトレスがカンの鋭い奴で、行くと料理がすぐ出てくるんだと」
「ほう……」
「しかも、それが俺たちが食べたいと思っている料理なんだって」
「イマイチ、信じられないな」
「百聞は一見にしかず。行こうぜ」
興味津々の高峰についていく。
もし、料理がすでに用意されているんなら、確かにあのアプリオの行列を待つより早いことになる。
俺が食べたいと思っている鮭のムニエルが出てくるかどうか、見ものである。

建物に近づくにつれ、周りの空気が冷えていくのを感じた。
地中海の、すがすがしい気候。
そんな感じの心地よさを感じる。
「オイ、筧。あの娘」
高峰の視線の先には、小さな女の子がいた。


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学校の制服とは異なる服を着ている。
察するに、カミツレ従業員だろう。
アプリオのように"いかにも"な制服ではないが、清潔感と可愛らしさを備えた制服である。
小さな体であるが、腕を大きく伸ばし、長いホースをうまく扱いながら、周りの植物に水を与えている。
胸を大きく張った格好で水を与えているせいだろうか。
出ているところが出ていて、スタイルが良いのが見て取れる。
放水した先からはかすかに虹が形成され、彼女のかわいらしさに、華やかさをも演出している。
「ふんふふーん」
我々の来店には気が付かず、鼻歌を歌いながら、楽しそうに放水を続けている。
「こんにちは、お嬢さん」
「……?」
女性は、高峰の声掛けに、一瞬驚きの表情を見せる。
しかし、すぐに営業スマイルを見せて、俺たちをもてなしてくれた。
「あら、お客様ですか。いらっしゃいませ」
「席、空いてるかな?」
「はい、今日はもう、お客様がいらっしゃらないと思っていましたが、問題ありません」
「……?」
俺は、高峰と彼女がやり取りをしている会話に、違和感を感じた。
彼女はなぜ、もう客が来ないと断言できるのだろうか。
「それでは、ご案内いたしますね」
笑顔の彼女は、水を止め、ホースをくるくるとしまうと、店内に案内してくれた。

店内は、ヨーロッパの小説にでも出て来そうなくらい、典型的なヨーロッパ風だった。
木のテーブルと椅子は、日本の物とは全く違う。
デザイン性に優れ、おしゃれな飾り付けが施されている。
機能性重視の無機質商品とは、正反対の代物だった。
「お水、お持ちしますね」
彼女は俺たちを席に案内すると、奥へと消えて行った。
「彼女、なかなかかわいいね」
「あぁ、整った顔をしていると思う。
「筧はどう? ああいう女性」
「もっと友好を深めないと、わからん」
「じゃぁさ、どうよ。佳奈ちゃんと比べて」
「高峰!」
「おっと、失礼」
高峰がへらへらと笑っているうちに、彼女は、水とおしぼりを持ってきた。
「それでは、料理が出来るまでもうしばらくお待ちください」
彼女は、深々と頭を下げる。
「あれ、この店って来店と同時に提供されるのがウリなんじゃないの?」
高峰がちょっと意地悪な質問をする。
しかし、彼女のスマイルは崩れなかった。
「はい。私のカンにより、いらっしゃるお客様を想像し、ジャスト・イン・タイムでご提供しています。ただ、今回はカンが外れてしまいました」
「あら、カンが外れることもあるんだ」
「実は、初めて外れました」
「なんと」
「私、お客様方に興味があります!」
彼女は、自分の胸の上につけているバッジを外し、俺たちに見せてきた。
「私、この第八食堂『カミツレ』のアルバイト、一之江 金魚と申します。よろしくお願いいたします!」
深々と頭を下げる一之江さん。
「俺は高峰 一景。よろしく」
「筧 京太郎。よろしく」
「高峰さんに、筧さんですね。よろしくお願いいたします」
彼女の営業スマイルは、料理が提供されるまで崩れることはなかった。

俺の眼の前には、想像通り、鮭のムニエル。
高峰の前には、カツレツが提供された。
「それでは、ごゆっくりとお召し上がりください」
一之江さんは頭を下げ、奥へと戻って行った。
「おぉ……すげぇな」
驚く高峰。
「高峰が食べたかったのは、カツレツ?」
「あぁ。お前も?」
「そうだよ。朝まで読んでいた小説に、鮭のムニエルが出ていたから、食べたいと思っていた」
「良く考えたらアレだな。俺たち、何を食べたいか言い合ってなかったな」
「あぁ」
「俺たちは一言も食べたいものを話していないから、盗み聞きすることは出来ない。よって、彼女はズバリ当てたというわけか」
「少なくとも、俺が食べたいものは出て来た」
「そんなこと言って、彼女の可愛さのあまり、出てきた料理ならなんでも良くなった……なんてことはないか」
「高峰は何でカツレツなんだ?」
「一時間空いた後がサッカーでね。勝てるようにまじないを」
「なるほど」
スジは通っている。
高峰は結構、迷信を信じる方だ。
「そうすると、彼女と夢中になって話している間に、まったくオーダーしないのに料理が出て来た。これが彼女の持つ"カン"ってやつだな」
「一之江さんは水を俺たちのところに持って来てから、料理を持って来るまでの間、ずっと俺たちの前にいた。オーダーをするタイミングは、俺たちと出会ってから水を持ってくる際に奥に下がった時しかない」
「いったいどこでどうやったのか、どうしても気になるな」
「あぁ。まったくだ」
高峰とアレコレ話しながら完食したが、結局"カン"の出所はつかめなかった。

それからというもの、この"カン"が気になった俺たちは、時より、カミツレに赴く事になった。
頻度としては、週二回から三回程。
アプリオと比べればメニューは豊富ではないものの、本格的な洋風料理を望む時は、カミツレに向かう事の方が増えて行った。
しかし、カミツレに行く度、俺は疑問を持って帰ることになった。
俺たちだけ、なぜか一之江さんのカンが外れることがまれにあったのである。
正確には、

・二人で行くと、カンが外れる時がある。
・高峰が単独で行くと、全く外れない。
・俺が単独で行くと、外れる時がある。

気になった俺は、法則を調べることにした。
すると、下記のような法則である可能性が高かった。

・アプリオに行こうとしていたが、カミツレに代えたときは、カンが外れている。
・初めからカミツレに行くと決めていた時は、カンが当たる。
・ただし、カミツレに行くと決めていたものの、特に食べたいものがない時は、カンが外れる。

より詳しく分析すると、

・カミツレに行くつもりがなかった時に突然行くと、確実にカンが外れる。
・カミツレに行っても、何を食べたいかを考えていない、あるいは何を食べるか悩んでいるときは、ノーオーダーでの提供がされない。
・すなわち、カミツレで食べたいものがあるときは、ノーオーダーで提供がされる。
・昼休みまでに、カミツレで何を食べるかを決めていると、来店と同時に料理が提供される。

……という事らしい。
「うーん、何ででしょうね。筧さんだけ、わからないんですよ」
しょぼーんとした顔をした一之江さん。
疲れた表情で、俺の向かいに座る。
「俺が放課後に来るってこと、わからなかったんだ」
「はい……他のお客様は分かるのですが」
「……その"カン"って言うやつ、詳しく聞かせてもらってもいい?」
「本当は秘密にしたいのですが……筧さんには詳しくお話しするとします。
一之江さんは俺の耳元に椅子を置き、そこに座ると、耳元でささやいた。
「目を閉じて、精神を集中すると、見えるんです。未来が。どのようなお客様がいらっしゃり、何をお召し上がりするのか。私は、それにしたがってシェフにオーダーをしているんです」
「……なるほどね。それで、俺以外の優柔不断な人間にも、きっちりと料理が出るのか」
「はい。食べたい物悩んでいても、その人は結局何かをここで食べるわけです。だから未来に食べている物写っているのですが、筧さんだけは、時より写らないんです」
「う~ん……」
未来が見える一之江さん。
それは、俺の虫の知らせと近いと感じる。
彼女は、誰が、何を食べているか。
それがわかるぐらい、鮮明に見えている事になる。
俺にも、時より見える近未来。
俺たちに共通する"シックス・センス"とも言えるこの能力に、何か関係はあるのだろうか。

『筧さん、一緒に買い出しに行きませんか?』
そんなメールをもらったのは、一之江さんの秘密を聞いてから一か月程経った放課後の事だった。
俺はあの日以降、"実験"の為に、毎日カミツレに通っていた。
当然、だんだん親しくもなっていった。
時より、電子メールでするたわいもない会話。
俺の一つの楽しみだったりする。
集合場所は、本日の午後四時、正門にて。
急な誘いではあるが、乗ってみることにした。

三時五十分。
正門にて、本を読みながら待つ。
今日の本は、料理人として生きた男の話としゃれこんだ。
しばらくして、
「筧さーん」
と俺を呼ぶ声。
誘い主の登場である。
「おまたせしましたー」
「時間ぴったりだよ。待ってない」
「はひー。それでは、行きましょうか」
いつものスマイルを見せた彼女と共に、街中へと足を進めていった。

今日の目的は、ホームセンターでの機材購入だった。
特に電球等の電化製品が多い。
「当店では雰囲気を大事にするために、味のある電球を使っています」
と一之江さん。
ただ、悩みは電気代らしい。
「背に腹は変えられないんですよね。どうしても蛍光灯はチカチカして嫌です。それに、あの電球の発熱は、料理にも影響しますので」
そんな事を言いながら、二人でお目当ての電球を探したりした。
他にも、鍋やフライパンなども見ながら、店内をうろついていく。
「あ」
一之江さんの先には、かわいらしい動物達がいた。
「ちょっとだけ、寄っていってもいいですか?」
彼女の顔を見て、断れる男はいなかった。
「ありがとうございますっ!」
彼女は両手を広げながら、まるで飛行機の離陸のようにすっ飛んでいった。
俺も、ついでに本物の猫でも見るとしよう。

ギザとは違い、痩せて、愛嬌のある子猫を見ていて、ふと思った。
『一之江さんは動物が好きなのだろうか』
と。
ペットコーナーに喜んでいくようであれば、相当の動物好きだろう。
話の種に、何の動物が好きなのか、聞いてみることにした。
しかし、犬や猫のコーナーに、一之江さんはいなかった。
鳥やハムスターなどの小動物コーナーにもおらず、更に探し回っていると、とある一角に彼女はいた。
「うわぁ……」


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そんな声が彼女から聞こえてきそうなほど、彼女は幸せそうなまなざしで水槽見つめていた。
その中にいたのは金魚――
彼女と同じ名前の魚だった。
「一之江さん」
「あ、筧さん」
「金魚、好きなの?」
「えぇ、だって私ですから」
「え?」
「筧さん、金魚の正体って知ってますか?」
「求めてる答えと合っているかは知らないけど、フナの突然変異の中から人工的な交配を重ねた魚」
「ぴんぽーん、せいかいでーす」
少し不満そうな一之江さん。
「筧さん、物知りですね」
「知識だけはある」
「そんな博識な筧さんなら、どういう意味かわかるのではないですか?」
「……」
もし彼女が金魚と同じであるならば、突然変異の中から人工的な交配を重ねて誕生した人間……ということになる。
突然変異を交配する……?
意味がわからない。
「その顔、わかっているけど言い出したくない顔ですね。説明します。私は、人間の姿をしているが、人間でない、と言う事です」
「ど、どういうことだ?」
「信じるか信じないかは別ですが、私は羊飼いS18号。生まれながらにして羊飼いなのです」
生まれながらにして羊飼い?
意味がわからない。
「あ、羊飼いは知っていますよね。学園で有名ですから」
「あぁ、なんでも願いを叶えてくれるっていう、噂の……」
「そうです。私はそのうちの一人です」
「……」
「信じられないなら信じなくて結構です。ただ、それが真実なのですから」
「じゃぁ君は、人の願いを叶えられる……って事か?」
「そこは少し違います」
一之江さんは、水槽の中の金魚を見ながら、話を続ける。
「羊飼いは、才能がある人が躓きそうになった時に手助けをします。例えば、才能がある人が事故に合いそうになった時、その事故にあわないように仕向けます」
「才能のある人……だからこの学園には羊飼いが多いのか。具体的には?」
「わざとぶつかり、乗り物に乗り遅れさせる。直接、忠告をする。羊飼いによってさまざまです」
「じゃぁ願いを叶えるってのは?」
「悩んでいる人に直接、アドバイスをする事もあります。それが印象強かったのでしょう。噂として広まったのだと思います」
「なるほど……」
「普通、羊飼いというのは存在を知られてはいけないもの。未来を知れるわけですから、バレれば人が殺到してしまいます」
「確かに、自分の未来を知りたがる人が多いからな」
「ただ、羊飼いというのは、そのうち人の記憶から抜け落ちるようになっているのです。一週間もすれば、羊飼いと話したことすら忘れます」
「なら何故羊飼いの噂が出回っているんだ?」
「人の記憶から抜け落ちる前に羊飼いの情報が他人に渡り、それが渡り続けているからでしょう。仮に羊飼いの記憶が一週間もつとするならば、六日目に羊飼いの話を聞けば、また一週間記憶が残り続けます」
「確かに、それなら"羊飼いの存在"だけは人の記憶から抜け落ちないな」
「はい。それに羊飼いは男性、女性、若い方、年配の方、さまざまです。人によって合う羊飼いは違うのですから、話をまとめればまとめるほど、羊飼いを定義づけできなくなります」
「なるほど。だから噂程度にとどまるのか」
「まぁそれは良いとして、羊飼いというのは元人間です。人間が希望し、羊飼いが認めれば、晴れて羊飼いになれます。だが、ここで一つの疑問が出来ます。なら、初めの羊飼いはどこから来たのかと」
「まるで、鶏が先か、卵が先かの話だな」
「まさにその通りです。さて、問題です。最初の羊飼いはどのようにして生まれたのでしょうか」
「……ハッ」
「気が付いたようですね」
「人間の突然変異……と言う事か」
「その通りです。なので私は、他の羊飼いが数値だけなのに対し、"S18"というアルファベットをが頭についているのです。
「……ちょっと待て。俺にそんなにぺらぺら話して良いのか?」
「はい。筧さんは、私と同じかもしれませんから」
「……はい?」
「ですからー、筧さんは私と同じ、突然変異かもしれないんです。だって私のカンが通じないの、羊飼いだけなんですもの。
……。
マジかよ……。
「だから筧さん、私と暮らす気、ありません?」
……え?
今なんと???
「ですからー、筧さんが突然変異かどうか確かめるため、私と一緒に暮らしてください!」
「え、そ、そんな急に言われても……」
「お願い……します」
「……わかった」
俺は改めて、『涙は女の武器』という言葉を始めていった奴を尊敬した。
彼女の、少し潤んだ瞳で、真剣に見つめられたら、男は首を縦に振ることしか出来ない。
「実は今日一緒に選んだ鍋やフライパンは、共同生活のために使われたりします」
一之江さんは、俺が持っている調理器具を笑顔のまま指差した。
俺は、どうやら彼女に躍らせていただけのようだった。


いかがだったでしょうか。

今回は約七千字。
本来ですともっと細かく書かないといけない部分(出会いから買出しに行くまでなど)があるのですが、ダイジェスト版の意味も込めまして、省略して書きました。
恐らく、序盤はこういう形で話が進むのかな、と。

こっから先、幾らでも想像することが可能です。
恋愛シュミレーションゲームなのだから、筧と金魚が恋仲になるのは目に見えています。
生まれながら、羊飼いに近い能力を持つ筧と、生まれながらの羊飼い、金魚。
これを聞いただけで、仲良くやっていけそうな二人だと思いませんか?
しかしながら、羊飼いは恋愛が出来ない。(凪ルート参照)
自分を捨てないといけない。
でも、生まれながらの羊飼いは、能力を持ったままそれが出来てしまう。
それが故、羊飼いにも煙たがれ、肩身の狭い思いをする。
人間でもない、羊飼いでもない――
そんな世界で、筧と二人、一つ一つ困難を乗り越える。
そんな話になっていきそうな気がします。
そうでなくとも、似たような話になる可能性は高そうです。
当然、確証はありませんが。

さて、とりあえず公開されたCGによる妄想大会はここまで。
あとは、新規CGが出るか、あるいは、私が"書きたい"と思ったら。
羊飼いLPのお話の続きを、書いてみたいと思います。

ちなみに、言わなくてもわかるとは思いますが、"S18"は、都営新宿線、一之江駅の番号です。
"S18"だった関係で、無理やり設定で『生まれながらの羊飼い』としています。
さて、このこじつけは当たるのでしょうか。
(当たるわけねぇな)


米原

大図書館の羊飼い Library Party 嬉野 紗弓実 スペシャルSS パートナーに必要なもの

こんにちは。米原です。


もう12月ですね。
一年というものは早いものです。
最後のつきの一番最初を彩るのは、やっと公開、紗弓実ちゃんです。
待ち望んでいた方、多いのではないでしょうか。
今回は筧の部屋で、両手を伸ばしながらも顔は渋い。
笑顔の紗弓実もいいのですが、こういう顔が出来るのも紗弓実の特徴だと思います。

そんな印象的なCGから、世界を広げました。
ゆっくりとお楽しみください。


大図書館の羊飼い Library Party 嬉野 紗弓実 スペシャルSS パートナーに必要なもの


目の前がゆっくりと、白くフェードアウトしていく。
時間をかけて真っ白になった世界には、下から順に、製作者の名前が流れてきた。
「やりました……やりましたよ、京太郎!」
右隣の紗弓実が、とびかかってくる。
「もうダメかと思いましたが、最後の最後でやりました! やっと……やっと……」
少し涙ぐむ紗弓実。
それだけ、このゲームに想いをかけていたのだろう。

最新作のFSPゲーム、"AGL"。
多彩なグラフィックと、細かい動作がウリのこのゲームは、現在発売されている中で一番高性能なCPUやグラフィックボードが搭載されてるPCでしか、動かない。
市場では50万円近い価格のPCが、このゲームの推奨モデルとして売られている。
『そんなのは邪道です』
なんて言いながら、澄ました顔をしていた紗弓実は、ある日突然、俺の部屋にでっかい箱を持ってきた。
それと同時に届いた宅配便。
それらを時間をかけて組みあげ、帰って行った。
それがこのゲームとの出会いである。
俺にとっても、ゲームのスタート画面はおろか、ハードウェアの準備から見ている、思い出深いゲームだ。
「とりあえず、今日はお祝いですよぉっ!」
紗弓実は、俺の携帯を奪うと、ロック番号を入力して、電話を始めた。

紗弓実が頼んだデリバリーピザとコーラで乾杯をする。
ちなみに、なぜか代金は俺持ちだ。
「いや~、さすがの私でも、大分苦労したゲームでした。今度はやり込みを始めなくてはなりませんね」
「まだとったアイテムは全体の6割強だからね」
「それも重要ですが、すべてSランクでの攻略を目指さなくてはなりません。そこまでやって、初めて『攻略した』と言えるのですよ、京太郎」
……マジ?
でも、紗弓実の顔は本気そうだった。
「京太郎は称号が欲しくないのですか?」
「え? 称号は全部取ったはずじゃ……」
「ノンノンノン、甘いですよ、京太郎。このゲーム制作会社は、"100%"と表示させておきながら、実は100%じゃないのです」
「……隠しがあるのか」
「その通り!」
紗弓実が左の人差し指をびしっと立てる。
「いいですか、京太郎。このゲーム会社は、いつも我々に挑戦状をたたきつけているのです! 私たちはそれに答えなくてはならないのです!!」
……何たる迫力。
だが、俺も、紗弓実と一緒に、それを見てみたくなった。
「よし、付き合うよ」
「それこそ京太郎、もとい、私のパートナーです。でも、今日は疲れたでしょうから、やめにしましょう。食べ終わったら、かるーくフリープレイでもやりましょう」

フリープレイはもっぱら、俺たちの攻略シミュレーション兼、訓練場となっている。
どのように攻めていくのか、どのように守るのか、武器の威力はどれぐらいか、陣形は、相手の移動パターンは。
実際の戦闘訓練さながらの模擬訓練を重ね、俺はここで腕を磨いてきた。
だが、今回はそうではなく、走ったり、転がったり、弾を無駄打ちしてみたりと、好き勝手に行動する。
「喜びの乱れ打ちですっ!」
普段、俺に厳しく訓練してくれた紗弓実も、今回に限っては楽しんでいるようだ。
思えば、最初はまともに動かせなかったっけか。
それがだんだん思う動かせるようになり、紗弓実のサポート役としては十分な腕前になり……気が付いたら、スクリーンの周りの本が見えなくなった。
自分の視野が、完全にスクリーンと同等の大きさとなり、余計な情報が目に入らなくなった。
昔は紗弓実の付き合いとしてプレイしたFSPだが、今は俺も楽しんでやっている。

突然、銃声とともに、俺の視野が真っ赤に染まっていった。
「!?」
「おや京太郎、流れ弾に当たるとは情けない」
紗弓実はニコニコ顔で、ゲームを続けていた。
俺がいた場所を、通過していく。
明らかに後ろから狙ったショットであり、流れ弾では断じてない。
「狙ったな、紗弓実」
「それはありません。たまたま、たまたまです」
「よし、ならばそれを証明してみるとしよう」
すぐさま戦場復帰した俺は、愛用のマシンガンに切り替える。
「やる気ですね、京太郎」
「紗弓実が黒でない事を、証明するだけだよ」
「面白いですね……では、証明してもらいましょうか」

このゲームには、フィールドマップなんて野暮なものは存在しない。
ついでに言うと、スクリーンはデュアル。
俺専用の画面、紗弓実専用の画面があり、一つの画面が分割されて見えづらい、なんてこともない。
一応、俺と紗弓実の協定として、『相手方の画面は見ない』というルールがある。
今までもシミュレーションで紗弓実を倒したことがあるが、それはあくまで紗弓実を仮想敵とし、紗弓実の指導の下、言われた通りに動いただけだ。
お互い、本気の打ち合いは、これが初めてだ。
「行くぞ!」
基本通り、壁に背を向けながら、低く、そして"早く"移動する。
時間をかけず、無駄のない動きをしながら、ターゲットをおびき出す。
地雷を埋めるなど、罠を仕掛け、おびき出すのがセオリーだと教わっている。
「京太郎は本当に覚えが早いですね。お互いの動ける場所が、どんどんと減っています」
「先生の教えが良かったものでね。先生想いの生徒さんは、先生の黒を晴らすのに必死です」
「そこだけ聞けばほほえましいのですが……その生徒さんが反抗しているとあれば、先生は黙っちゃいませんよ!」
安全地帯がどんどんなくなっていく。
それにつれ、移動するには、相手にバレながらの移動を余儀なくされる。
「さぁ、そろそろ頃合ですかね、京太郎」
「ふっ、まだまだ」
「余裕をかましているフリをして油断させるつもりですか……京太郎の癖に生意気です」
紗弓実は最後まで残していた安全地帯に身をひそめ、スナイパーモードに切り替えたようだ。
大きな銃で、一撃で仕留める。
紗弓実の大好きな戦法だ。
「さぁ京太郎、観念して出て来なさい」
「それは出来ないね」
「ぐぬぬっ……京太郎の癖に……もう我慢できません!」
紗弓実はとあるボタンを押す。
しかし、何の反応もない。
「え……」
「悪いが先生、トラップは解除させてもらったよ」
「……!」
ゲーム内で、罠を解除するキャラクターは存在しない。
いや、正確にはいるのだが、所詮はプログラムで動くキャラクター。
それを見越して時限爆弾を仕掛けておけば、自ら罠にかかってくれる。
「じっ、時限爆弾も作動しない!?」
「"早い"のから順に、解除していったからね」
「ぐぬっ……ぐぬぬっ!」
紗弓実に焦りの顔が見える。
「しかし京太郎、私を仕留められなければ意味がないですよ」
「もちろん」
「いいでしょう。先生をどう調理するのか、見届けてあげます!」
紗弓実は頭の中でシミュレーションする。
俺が事前に、『紗弓実が好みそうなところに逃げ込んで行く』事を想定して行動していると。
だから、今いる場所に隠れ続けても、策を練って攻め込んでくる。
自ら仕掛けた罠が解除されているなら好都合。
安全に移動が出来る今のうちに、俺が苦手とする接近戦に持ち込む――
"俺は"そう戦略を立てていた。
「!」
高い銃撃音がスピーカーから響き、紗弓実の脚がとられる。
倒れた紗弓実のキャラに向かって、鈍く、静かな破裂音が一発。
そののち、紗弓実の画面は真っ赤に染まっていった。

「……」
不機嫌そうな紗弓実は、両の手を伸ばした。

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「……おめでとう、京太郎」
「……」
「ほら、京太郎、喜びを表現したらどうですか?」
紗弓実は再度、腕をぶるんと伸ばす。
「あ、あぁ」
俺は、紗弓実の胸に飛びこんだ。
「嬉しいですか、京太郎?」
「あぁ、とっても」
「……そりゃ、見事な作戦勝ちで勝ったわけですから、さぞかし嬉しいですよねぇ」
「違うよ」
「え?」
「こうして、世界で一番好きな人と抱き合えることが、何より嬉しい」
「……っ!」
紗弓実が顔を真っ赤にする。
「紗弓実」
「……なんですか?」
「俺は、認められる男になりたかった」
「……今まで、私は京太郎を認めなかったことなんかありません」
「違うよ」
「何か違うんですか!」
紗弓実の不機嫌さは頂点に達しようとしていた。
「本が好きな俺と、ゲームが好きな紗弓実。俺達は元々、似ても似つかない」
「……」
「でも、そんな俺達が気が付いたら惹かれあい、お互いを求め合っている。昔の俺達を知っている人は、驚くだろう。だから……」
「私達の中を、他の人に認められるように……」
「そう、紗弓実の好きな事を、同じように好きになって、それで誰よりも仲良しに見られたい」
「京太郎……」
いつの間にか、紗弓実の顔は、笑顔になっていた。

「さて、私の負けは負けです。京太郎の腕も確認できましたし、もう十分でしょう」
紗弓実はコントローラーを放り投げる。
「じゃ、セーブしてやめますか」
俺はコントローラーを操作し、画面をタイトルへと戻す。
「……あれ?」
「どうしました、京太郎」
「紗弓実、タイトル画面が変わってないか?」
「それはエンドロールまで見たのだから、タイトルが画面ぐらい変えてくれないと困ります」
「いや、そうじゃなくって、ほら」
ピザを踊り食いしている紗弓実に、無理やりスクリーンを見せる」
「あ……」
紗弓実はスクリーンを食い入るように見つめる。
「京太郎! 凄いです!!」
紗弓実は満面の笑みで抱きついてくる。
「今回の隠しモード、発見です!」
「???」
俺にはわけがわからない。
紗弓実は放り投げたコントローラをつかみ、スタートボタンを押す。
「見てください、京太郎!」
紗弓実が捜査した画面には、称号が一つ、追加されていた。
その称号は、『ベスト・パートナー』
「恐らくこれは、同じハードウェア内でパートナーモードで攻略をし、その上でフリー対戦でお互いにキルをつけると付く称号です」
「そんなの、大してレアじゃないじゃないか」
「京太郎はわかっていませんねぇ」
ため息顔の紗弓実。
「このゲームは元々、一人用です。オンラインを通じて他人と共同プレイする事はあっても、同じハードで共同プレイする人なんて、めったにいません」
「そうすると、誰もやりそうもないからこそ、称号を作ったのか」
「そうです、その通りです! 『ベスト・パートナー』がいるゲーマーにだけ見られる、特典ですよ!」
紗弓実は俺の手を握りながら、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。
こんなにかわいい紗弓実を見られるなんて、ゲームも捨てたものではないな。

後にわかった事だが、『ベスト・パートナー』の称号を得る条件は、なかなか難しいようだ。
まず初めに、全てのステージを、同じハードによる協力プレイでランクB以上で完全攻略。
続いて、フリーモードで、相手をキル。
この際、得点が重要で、千点以上を取らなくてはならない。
通常のキルでは五百点がせいぜい。
千点以上のキルは、仲間への裏切り、不意打ち、暗殺など、残虐なものである。
『ベスト・パートナー』言う割りに、条件にはそれに当てはまっていないのである。
「『敵を倒すには、まずは味方から』と言いますし、お互いを信じあうからこその称号だと思いますよ」
紗弓実はそう言いながら、今日もゲームをしていた。
「それでは、付き合いますか」
「おやおや、嫌々ですか?」
「早速味方をだましてみましたが、なにか?」
「むっかーっ!」
紗弓実の目つきが変わる。
「京太郎、勝負です!」
「望むところだ!」
本を読んでいた時代。
俺は知らぬ世界を求めていた。
いつか見えるであろう、真の世界。
それを、俺は求めていた。
しかし、俺が本当に欲しかったの世界は、好きな人と過ごす、大切な時間だったのかもしれない。
幾ら争ってもケンカにならず、笑いの絶えない、明るい世界を。


END


いかがだったでしょうか。

数えてみれば約4,600字。
千莉や葵より多いのですが、なぜ……。

今回は、FSPというゲームが登場します。
出来るだけその描写を増やし、実際に体感していただけるように書いたのですが……。
どうなんでしょうか。

よくソフ○ップ等に行くと、ゲームのデモ画面が流れています。
画面にちょこんと持っている銃があり、手榴弾を投げれば画面上部から飛んで行き、ヘリコプターや戦車なんかも運転できますね。
FSPなんかプレイした事ない私は、それを思い返しながら書いてみました。
『百聞は一見にしかず』という諺がありますが、やはり文字で表す世界なんかよりも、断然、絵で表す世界の方がわかりやすいです。
上手く書けているのかなぁ。
なんだかベタすぎな展開じゃないか? と今更ながら思います。
とにかく紗弓実とゲームをした! という体感が皆様に伝われば幸いです。


さて、とりあえずこれで羊飼い無印から登場するメンバーの挿絵を使用した妄想SSは終わりです。
あとはLP版の最新キャラ、金魚のみ。
一応大まかな考えはまとまっていますが、もっと細部をつめなくては、作品になりません。
完成次第、公開したいと思います。
それを早めるのは……皆様からのご感想ですよ!


米原

大図書館の羊飼い Library Party 芹沢 水結 スペシャルSS 自分だけの太陽

こんにちは。米原です。

さて、羊飼いVitaの公開CGによる予言SSシリーズ、お次は水結ちゃんです。

画像を見ていただくとわかるように、この絵柄は正直ちょっとおかしいです。
右端に何かメモ帳のような、なんだかよくわからないものが写っています。
これ、嬉野さんCGの右端に写っているカレンダー、他なんですよね。
なぜ写っているのか……まぁ、ミスとしか考えられないのですが、比率がおかしい(16:9ではない)ですし、なぜこうなったのかと。
ミスはオーガストのせいなのか、はたまた、この画像を公開しているとこが間違えたのか……。
良くは分かりませんが、気にせず行きましょう!

今回は、Hシーンの差し替えではなく、完全オリジナル(つまり今の季節)で行きたいと思います。
それでは、お楽しみください。


大図書館の羊飼い Library Party 芹沢 水結 スペシャルSS 自分だけの太陽


校舎が夕焼けに包まれ始める時間が、次第に早まる。
17時を過ぎれば、あたりはもう真っ暗。
今まで気にしたことのない、日々の外の変化。
その変化を、中央棟の放送室脇の窓から楽しむのが、今の俺の楽しみだったりする。
「筧さ~ん」
扉をちょこっと開き、顔を出した水結に呼ばれる。
昨日とは変わらなく見えても、長い目で見ると確実に変わっている。
明日の変化、明後日の変化、明々後日の変化……それを楽しみにしながら、水結の元へ向かった。

扉を閉じる。
その瞬間、水結が抱きついてくる。
「筧さん♪」
「お疲れ、水結」
左手を水結の腰を廻し、右腕で水結の長い髪をなでてやる。
水結は、こうすると、本当に幸せそうな顔をしてくれる。
「何見てたんですか?」
「夕日だよ、夕日」
「ふぅ、てっきり、下校中のべっぴんさんを見ているのかと思いました」
「ハハ、俺の眼には、水結しか写らないよ」
「またそんなこと言って……カッコ良くてモテる彼氏を持つ女の子は、結構不安なんですよ」
「オイオイ。俺の事、信じてくれよ」
「そりゃ信じてますけど……。同級生はあの白崎さんに、桜庭さん。千莉だって筧さんになついてるし……。やっぱり不安になりますよ」
水結は唇を尖らせる。
「悪いな、水結。水結が不安に感じるのは、俺のせいだ」
「ひゃっ、ちょっと筧さん?」
「もっと俺の愛の証、貰ってくれ……」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
水結にキスをする瞬間に、拒否される。
「……あ、ご、ごめんなさい。別に筧さんのキスがイヤなわけじゃないんです。ただ……」
「ただ?」
「筧さん、だんだんと、イケメンと言うか……カッコよくなっていってます。私が出会った時の筧さんよりも、今の方が断然カッコ良いです」
普段自分の事なんか気にしないから、まったくもってそんな自覚がない。
「前の筧さんは、私のハートをつかむような、そんなキザなセリフを言いませんでした。今は筧さんと話すたび、筧さんに愛されたくなって困ります。今だって……」
水結は股を閉じて、内股にする。
なるほど、ちょっと刺激が強すぎたか。
「ごめんな、水結」
水結をぎゅっと抱きしめる。
「あ……」
「好きだ……」
水結の唇を奪う。
「んっ……ちゅっ……」
下を交らわせられない分、上を交らわせた。
舌が奏でる音が、俺と水結だけが理解する無言の会話。
この音の強さが、相手にどれだけ飢えていたかを明白にさせた。

水結は、十分充電出来たのか、俺の横に座り、俺にもたれかかり、肩に頭を載せている。
その頭を、俺は左手でなでてやる。
「筧さん」
「なんだ?」
「ずるいです」
「どうして?」
「さっきので、私、筧さんにもっと依存しないと、生きていけなくなっちゃいました」
「ハハ、彼氏としては、うれしいかな」
「私が我慢しよう、我慢しようとしているのに、筧さんったらすぐにその殻を壊して私の中に入ってくるんですよ」
「オイオイ、なんだか俺が我慢できない人みたいじゃないか」
「そうですよ! 筧さんは、我慢が出来ない人なんです。少し我慢、覚えたらどうですか?」
「……考えておく」
正直、水結と常に一緒にいないと不安だという現象は出ていないが、水結といるときは、物理的に可能なところまで密着していたい。
それが、俺が今水結に持つ願望だ。
それを我慢しろと言われると……ちょっと困る。
「と言うわけで、ちょっとトレーニング、してみません?」
水結は俺の手を取ると、窓のそばに移動した。
「筧さんにお願いです。今から紳士になってください」
「今の俺は紳士じゃないのか……」
「あ、いえ、そういうわけではありません。お芝居として、の話です」
「芝居?」
「今度、恋する乙女の役をやりますので……あ、と言っても声優として、セリフを吹き込むだけなんで、実際に演じるわけではありません。でも、練習がてら、一度やってみたいのです」
既に水結とは、学校の演劇課題では、練習相手をしたことがある。
今度はそれの声優版か。
面白そうだ。
「それじゃ、図書部仕込の腕前、見せてやろう」
「どらかというと、"声前"ですかね」
「そうかもな」
「ふふっ。何がともあれ、いきますよ。あ、私は全て台詞を覚えていますので、筧さんはただ単に自分のパートを読むだけで結構です」
そんな会話をしながら、水結に台本を渡されれた。

「それでは始めます」
一瞬にして空気が変わる。
今までのおちゃらけた雰囲気は、水結により、すべて取り払われた。
水結の眼。
仕事モードの真剣な眼。
この眼は、凄く好きであるが、同時に、怖い。
「……日が落ちますね」
「あぁ、同時に、暖かさがなくなっていくな」
「あれだけ暑い暑いと言っていた太陽のありがたみを、今頃になって感じます」
「ハハ、確かに。人間はわがままなものだな」
「えぇ、本当」
そう言いながら、水結は俺の手を取った。

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「実は、私もわがままだったりします」
水結は俺の手を頬に当てる。
「こうして、貴方に温めていただく事が、私の楽しみでして」
水結の頬の温かさが、手を通じて、どんどんと俺の中に入ってくる。
「太陽と同様、私にとっては貴方は不可欠な存在……そして、私の心を温めてくれる人なのです」
水結の迫真の演技に、俺は息を呑む。
「どうか……私のわがままを聞いてください。貴方は太陽のような人。皆を照らし、温め、明るくさせる人。決して私が独占してはいけません」
「……そんな事はないよ」
「本当……ですか? 本当に、私だけの太陽でいてくれるのですか?」
この男役同様に、俺は困ってしまう。
「私だけの、独占できる太陽である貴方さえいれば、私は、もう何も要らない……」
水結はゆっくりと眼を閉じる。
「はい、カットです。お疲れ様でした」
水結はそう言うと、俺の手を離し、何事もなかったかのように荷物をまとめ始めた。

日は沈み、薄暗い中を、共に歩む。
先程の演技のおかげで、なんだか照れくさくなってしまった。
「なぁ、水結」
「何ですか?」
「水結はやっぱり、太陽のような人、欲しかったりするのか?」
「そうですね……」
水結は考え込む。
「私にとって、ファンの方が太陽のような人……ですかね。時に雨や雷に化けるかもしれませんけれども」
「そ、そうか……」
てっきり『筧さんですよ』とでも言ってくれるかと思ったが、そんな淡い想いは打ち砕かれた。
「……でも、ファンの方とは違い、筧さんはいつも私の見方をしてくれます。そういう意味では、太陽よりも大切かもしれません」
「水結……」
「とは言いつつ、ファンの方っていうのは、私にとってかけがえのない人です。筧さんも、ファンの方も、大事です。『どっちかを選べ!』なんて言われたら困ります」
「ハハ、それは理解しているよ」
「紳士で、何よりです」
水結はにっこり笑う。
「ちなみに言っておきますけど、私はあの台詞、実はあまり好きではありません」
「え?」
「太陽は夜が来れば隠れちゃいます。人生のパートナーに、隠れられちゃ困ります」
言われてみればそうだ。
誰だって、パートナーに真っ暗な裏があって欲しくはない。
「でも、いつまでも昼じゃなくて、朝焼けや夕焼けみたいに、ちょっぴり変化は欲しいですね。……これって、わがままですかね?」
水結の眼は、あの演技の時の眼だった。
俺の手を頬に当て、人のぬくもりを求めていた時の。
「わがままじゃないよ」
俺はすっと腕を出し、水結を俺の傍に寄せる。
「俺は、水結をいつまでも照らす、太陽だからさ」


END


いかがだったでしょうか。

今回は約3,000字と、短くまとめました。
このCGを見たときの印象が「夕日が綺麗だなー」だったので、そこから転じて太陽という題材を取り入れてみました。
皆様にとって、太陽といえるような存在はいますか?
ずっと自分を照らしてくれる、特別な太陽かぁ……。
書いていてだんだん寂しくなってます、ハイ。

出来上がって思ったことは、ちょっぴりCGを使ったシーンが短く、出来が悪いなぁって思いました。
前半の萌えシーンを書いたらなんだか満足してしまって……というのが言い訳です。
ちなみに、私の中で水結ちゃんは、演技と言いながら筧に近づき、本当の気持ちをさらけ出させる悪女です。(笑)
千莉ちゃん同様、テクシャンで、敵に回すと怖そうな印象。
こういう頭のいい女性は、好みだったりします。
誰か、私に仕掛けてくれる、ステキな女性はいないのでしょうか。

さて、お次は紗弓実ですね。
待ちかねの人が多そうなので、ちょっとじらそうとか思っていたりなんかしたりして。

感想、待ってます。


米原

大図書館の羊飼い Library Party 多岐川 葵 スペシャルSS 京太郎と葵の、仁義なき戦い

こんにちは。米原です。

いやー、疲れた。
何が疲れたって、本業が。
今月はずっと、修羅場でした。
元々葵を7日公開予定だったのですが、元気がなく……。
今になっての公開です。
(作ったのも今です)

さて、葵さんです。
これも、Dreaming Sheepの生徒会室でのHシーンの差し替えですかね。
条件はそろえつつ、極力18禁にならないように変えました。
頭のいい葵さんの戦略を、特とお楽しみください!


大図書館の羊飼い Library Party 多岐川 葵 スペシャルSS 京太郎と葵の、仁義なき戦い


夜10時。
広い生徒会室には、俺と葵しか残っていなかった。
「……」
相変わらず、葵は難しい顔をしている。
「コーヒー、どうだい?」
机の上に置いてやる。
「……」
気が付かないのか、はたまた、気が付いてはいるが集中したいのか。
葵は書類とのにらめっこを続けていた。
「……かわいいな、葵は」
「ひゃっ……」
葵がやっと反応をする。

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「か、筧さん?」
「ようやくお目覚めかな、姫」
「ねっ、寝てなんかいません!」
「ずいぶん難しい顔していたけど、書類不備かなにか?」
「えっ、あっ、え、えぇ、そうなの。また無茶な申請をするものだから……」
「どんな?」
「大会前の最終調整の為に、体育館を全面貸切にして欲しいという要望です。大会というのは、大抵他の運動部も似たような日程で行われるが故、良い返事が出来ないのが現状です」
「うーん、気持ちはわかるけど、ってところか」
「はい。市民体育館の貸し出しを初め、外部の練習場所を確保する事により、一応の対応はしているのですが、今度は移動時間がもったいないという意見が……わがままなものです」
確かに、酷いな。
「どうするつもり?」
「一応、これ以上の優遇は各部との亀裂を生みますので、却下致します。それでも何かを言うようでしたら、別途面談の上対応をするのが望ましいと思います。ただ……」
「ただ?」
「この部は、毎年全国大会常連です、活動実績としては文句のつけようのない部です。良い成績を収めようと伸びている芽をつぶして良いものなのか……」
葵はかつて『能力がある者はどんどん伸ばす』という政策を謳っていた。
だからこそ、優秀な部には更なる優遇をし、更に伸びていって貰いたいとのだろう。
「それでいいんじゃない?」
「え?」
「既に対策案は出しているし、優遇も受けている。更にそれ以上ってなると、虫が良すぎるよ」
「そ、それはわかっているのですが、やはり芽はつぶしたくないのです」
「じゃぁ、その部にはさ、より具体的な案を出してもらおう。どれぐらい練習が必要なのか、とか」
「え?」
「優秀なコーチをつけ、練習に練習を重ねれば、確かに全国優勝も可能かもしれない。でも、それじゃぁ予算は幾ら合っても足りない。有限の中でやりくりするしかないんだよ。だから、まずは向こうに希望を聞くんだよ」
「……なるほど。数値を使って、より明確なすり合わせをするんですね」
葵はにやりと笑うと、書類に書き込みを始めた。
「コーヒー、冷めるから早めに飲めよ」
「ありがとうございます。ちなみに、私は姫ではありませんので、あしからず」
……つれないな。
俺は、自分用のコーヒーをつくりなおしながら、そう思った。

『泣いたカラスがもう笑った』という言葉がある。
コーヒーをすすりながら、そう思った。
一仕事終えた葵は上機嫌。
色々語ってくれている。
「筧さんといると本当に仕事がはかどります」
「そりゃどーも」
「望月会長が惚れていたのがよくわかります。なんせ、これほど優秀なのですから」
「はは、そりゃかいかぶりだ」
「そんな事はありません。現に私の四角い頭を丸くしてくれた関係で、ほんの30分で全て片付きました。
「葵の背中を押しただけだ。たいしたことはしてないよ」
「いいえ、私には筧さんが必要です。一生、永遠に」
葵はふと顔色を変える。
「ご、ごめんなさい。言い過ぎました」
「そんな事ないよ。好きな人に頼られるのは嬉しい」
「で、では、私と一緒にいてくれますか? 一生、永遠に」
「もちろん」
「あ……」
葵は腰が抜けたように、椅子を滑り落ちる。
「す、すみません……なんだか力が……」
「ほら。立って」
「は……はい……」
葵の脇の下に腕をいれ、葵を抱きかかえるように持ち上げる。
「あ……あぁ……」
葵の顔を赤らめるのと平行して、より力がぬけていくようだった。
「ちょ、ちょっと葵!」
「ダメです、筧さん……幸せすぎて……力が……」
俺は何とか葵を椅子に座らせる。
「筧さんに『好き』って言って貰ったら……力が入らなくなってしまいました……」
葵は、両の手を伸ばす。
「か、筧さん。お願いがあります……私を……私を、貴方のモノにしてくださぃ……」
最後はかすれた声だったが、はっきりと聞こえた。
『私を、貴方のモノにしてください』と。
「葵……」
「私も、女ですから……す、好きな人には……抱かれてみたい……もの……です……」
「い、いいのか?」
「は、はい……きょ、京太郎さんがよろしいのであれば、ぜ……ひ……」

俺は葵を抱き、ソファーの上に寝かせる。
「ひゃっ……」
「ごめん、痛かった?」
「い、いえ……なんだか姫になったようで……」
そういえば、『お姫様だっこ』で運んだっけか。
「俺にとって、葵は姫だよ」
「じゃぁ、私にとって、京太郎さんは王子様ですね」
「白馬には乗ってないけどな」
「いえ、知的で、やさしくて、かっこよくて……私だけの王子です」
「ハハ、葵は、独占欲が強いな」
「待ってください! 筧さんは私のモノです!!」
葵がふくれる。
「意地言って、悪かったな」
「ひゃっ!」
侘びの気持ちを込めて、葵に口付けする。
「ん……くちゅっ……」
水の音が、静かな生徒会室に響く。
「ん……あ……ちゅっ……」
愛する人とのキス。
今まで人生の、どの心地よさよりも、心地よく、幸せだと感じる。
「京太郎さん……もっと……私を……」
葵の眼は、俺を求めていた。
「あぁ……」
俺はソファーと葵の間に寝そべり、葵の背中から、葵を抱きしめる。
「あぁ……京太郎さんの鼓動、感じます……」
「俺も、葵の鼓動、感じるよ」
「何故でしょう。京太郎さんの鼓動を聞くと、私、落ち着きます」
「俺も」
「今度の試験では、試験前にお互いの鼓動を聞かせあう事にしましょう」
「ハハ、俺はカンベンかな。テスト中に葵が恋しくなって、それどころじゃなくなるかも」
「私も、同じかもしれません……」
「ははは」
「ふふっ」
いつもは張り詰めた生徒会室に、明るい笑い声が響く。
こんな俺たちを見たら、他の生徒はなんと言うだろうか。
「京太郎さん」
「なんだ?」
「顔が、みたいです」
「そっか」
俺は葵を抱いている腕を、緩めてやる。
葵がくるんと180度回転する。
「スキありです」
ほっぺたにキスをしてきた。
「やったな」
おれは今度、鎖骨の辺りにキスをする。
「むっ、むむっ……」
葵より俺の方が、大胆なところにキスをしたものだから、葵は負けた気分を感じているようだ。
「お姫様、お怒りにならないでください」
今度は葵の手をとり、手の甲にキスをする。
「ちょっと京太郎さん!」
「何かな?」
あせる葵に対し、俺は余裕の表情を見せる。
「ひどいです。私は何もかも京太郎さんに負けっぱなしで」
「いじけるなよ」
「いじけてません!」
「それをいじけているという」
「スキありです」
葵は俺にぎゅっと抱きつく。
「……私の心臓。京太郎さんとシンクロしています」
「……ホントだ」
「京太郎さん、賭けをしませんか?」
「どんな?」
「私が、今から京太郎さんの心拍数を一分以内に上げます」
「ほう」
「京太郎さんは一分経っても心拍数が上がらなければ勝ちです」
「いいだろう。負けたほうは相手の言う事を何でも聞くという事で」
「乗りましょう」
葵は勝ち誇った顔をする。
「それでは、始めますよ」
葵は、大きく深呼吸すると、より俺に密着をしてきた。
「京太郎さん、温かいですか?」
「あぁ、葵のぬくもりを感じるよ」
「では、やわらかいですか」
「……」
「あ、焦ってますね?」
「……」
「ほらほら、京太郎さん、どうしました?」
葵が俺に胸を押し付けてくる。
「問題です。この、私のやわらかい部分の名前は何でしょうか。ヒントは、こちらです」
葵はケープを取り、胸の谷間が見えるようにする。
「……っ」
「ふふっ、京太郎さん、やわらかさを感じて、硬くしている部分、あるんじゃないですか?」
葵がその場所に触れる。
「京太郎さん。私で解放……しません?」

臨界
臨界点
臨界点突破!
「きゃぁあああっ!」
限界を超えた俺に、葵が小さな悲鳴を上げる。
だが、その顔には計算どおりだと書いてあった。
「さて、負けた京太郎さんには、私の言う事を聞いてもらいます」
「む……」
「これは一旦おあづけにしてもらい、筧さんの部屋で、私の中にたまりにたまった愛、注いでくださいね」


END


いかがだったでしょうか。

今回は約3,300字と、すっきりまとまったのではないかと思います。
所要時間も、45分だったりします。
元々、葵はCGが出たときに書きたくてしょうがないキャラだったせいもあるかと思います。
はやく、すっきりと、余り悩むことなく書けました。
葵好きに気に入ってもらえればいいのですが、あっさり過ぎて味がないかもしれません。

さて、当然、今回の続きはあります。
ただ、Vitaにそういうシーンは載る訳ないので、当然省いています。
あとはご想像にお任せしますね。

そういえば、今日、羊飼いVitaの公式HPに、店舗特典出ましたね。
どれもかわいい!
イオさん、描き方変えたのか、すこしのぞみと朔夜が放課後しっぽデイズとは違う気がします。
ただ、かわいさは相変わらずです。

さて、この羊飼いVita、本当にどうなるのでしょうか。
着エロにより、特典が脱いでいるよりもエロいのもんで……。
今回の話も、じらしを入れることにより、よりエロさを狙っていたりします。
果たして、その効果は出ているのかどうか……。

感想、待ってます。


米原

大図書館の羊飼い Library Party 御園 千莉 スペシャルSS 羊と狼のフェアリィ・ダンス

こんにちは。米原です。

昨晩緊急公開した玉藻SS、いかがだったでしょうか。
お酒が入った状態で書いたので、正直、上手く書けたという実感がありません。
また、すでに付き合っている状態でしかありえないシーンである事、さらには、明らかにHシーンの差し替えである事。
以上二点の理由から、なんだか盛り上がらなかったのは事実です。
こっちは妄想したいわけですから、一から作りたいわけですよ、お話を。
出来合い設定ってのはどうかなー(自由度が減るから)って考えながら書いてしまったので、余計に残念な仕上がりに。
玉藻ファンには申し訳ないのですが、もし満足していただいていたら幸いです。

さて、今回は我らが千莉ちゃんです!
玉藻もそうなんですが、好きなキャラであればあるほど、SS書くのって難しいんですよ。
ああしたい、こうしたいっていう希望ばかり入り、話が崩壊しやすくなります。
今回もそれを抑えながら……頑張りました。
なお、こちらも明らかにHシーンの差分ですが、出来るだけオリジナルを入れて書きました。
お楽しみください。



大図書館の羊飼い Library Party
御園 千莉 スペシャルSS 羊と狼のフェアリィ・ダンス


『羊の皮をかぶった狼』という、言葉がある。
概観は非常におとなしいが、本性はその逆である。
そういう意味だ。
この言葉は、良い意味で使う事は少ない。
本性を隠し、人をだます、悪い意味で使われる事が多い。
だが、御園は、まさしく『羊の皮をかぶった狼』だった。
普段、決して見せない顔をし、信じられないほどすばらしい声を出していた。
もう、結果を聞くまでもなくわかる。
それほど、圧倒的だった。
そんな人と一緒にいていいものなのか――
そんな事を思いながら、夏の終わりの街を、俺は歩いていた。

「セーンパイ」
「……」
「無視されると寂しいです」
「悪いな御園。俺、どうしたらいいかわからなくて」
「だからこういうのには出たくないんですよ。今まで普通に接してくれていた周りの人が、突然特別扱いをはじめるので」
御園は頬を膨らまし、つまらなさそうな顔をする。
「いや、でもさ。もう凄く感動して……自分の語彙のなさを恥じてしまうほど」
「へぇ、先輩でも表現できないほど、私は凄かったんですか?」
「あぁ、驚いた。俺の知っている御園じゃなかった。ギャップが凄かった」
「へぇ……」
御園は何か、良いアイディアが浮かんだようだ。
イタズラを試したくって、うずうずしている顔だ。
「時に先輩、約束、覚えてますよね」
「あぁ。コンクール前に約束したやつだろ?」
「はい。『もし私がコンクールで金賞を取ったら、なんでも一つ、言う事を聞く』ってやつです」
「覚えてるさ」
「さて、それを実行してもらいます」
「おう。どーんと来い。あれだけすばらしいものを見せてもらったんだ。何だってするさ」
「ではまず、私の家に来てもらいます」
え?
今、なんと?
「ですから、先輩には、私の家に来てらいます。これが私のして欲しい事です!」

御園の誘いに従い、俺は久しぶりに御園の部屋に入った。
「さて、先輩。そこで少し、待っててください」
「お、おう……」
御園はリビングの戸を閉め、廊下へと出て行った。
一体、何が始まるのだろう。
「お待たせしました。先輩、扉を開けてください」
指示通り開ける。
「よい……しょっと」
御園はダンボールの箱を持ってきた。
「これは?」
「電球です」
「何のために?」
「今から、先輩にはこれを交換してもらいます」

御園によると、コンサートでは必ず、フィラメント式の電球が使われるそうだ。
光の周波数の関係により、LEDや蛍光灯では表現できない違いがあるのだという。
しかし、熱を発生させるし、電気も食う。
それがフィラメント式電球の弱点だ。
コンサート前の練習の時のみフィラメント式電球に取替え、あとはLED電球にしている。
それが御園の部屋のルールであるそうだ。
「さ、先輩。さっさと取り替えてくださいね」
何をさせられるかと思いきや、リビングにある四つの電球を変えるだけ。
お安い御用だ。
「この椅子借りるよ」
「どうぞ」
俺は椅子をつかむと、一つ目の電球の真下に持っていく。
「私が、下からLED電球を渡しますので、取り替えてください」
「あいよ」
俺が椅子に登ると、御園はLED電球を手渡してくれた。
右手で、少し熱さの残るフィラメント式電球を交換する。
「よし、次」
こうして、難なく作業をこなしていく。
「ここで最後だ」
御園からLED電球を受け取り、フィラメント式電球を手渡した。
「はい、ご苦労様でした」
「これぐらいなら、お安い御用だよ」
「普段は、私が一人でやっているのですが、誰かに覗かれたりしたらいやなもので」
御園は自身のスカートを抑えた。
「一人暮らしだろ? そんな奴いるのか?」
「はい、私の目の前に」
「ハハハ、俺はそんなことしないよ」
「へぇ……ならば本当か、確かめてみるとします」

御園は自らのスカートのすそを、少し上げる。
「ほら、どうですか? 見てみたいんじゃないですか?」
「見てみたいも何も、俺は上からだから見られないよ」
「あ、今、話をはぐらかしましたね。私は、スカートの中を見てみたいかどうか、聞いたんです」
……そう言われると、『見たくない』と答える男が、いるわけない。
「あ、やっぱり見たいんですね。先輩は変態さんです」
「……見たくても、俺はそんなケダモノみたいなマネはしないよ」
「……あ、認めるんですね」
「目の前ににんじんぶら下げて、興奮しない馬はいないよ」
御園は、少し顔を赤めて、スカートのすそを更に上げた。
「ほーら、ほーら、先輩の大好きな、スカートの中ですよー」
御園は、スカートのすそを振り、挑発してくる。
「上からでも、影がシルエットになって、先輩の妄想がはかどるかもしれませんね。あ、あとは床に反射して見えるかも? 先輩、もし私がフローリング側に行ったら、映っちゃうかもしれませんね」
そんな事を言いながら、俺を挑発してくる。
「……ケダモノにそんな挑発をしたら、どうなるかわかってるのか?」
「大丈夫です。先輩はケダモノじゃないんですものね」
……確かに、俺は『ケダモノみたいなマネはしない』と宣言した。
しかし、理性には限界というものがある。
「あ、もしかすると、先輩はこっちを狙っているのかもしれません」

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御園はそう言うと、左手で胸を隠した。
「先輩に、私のふくらみを狙われたらどうしましょうか」
そんな事を言いながら、こちらを見つめていた。
「御園……」
俺は、理性を保ちながら、椅子から降りる。
「きゃぁ、先輩が降りてきてしまいました。私はもう終わりですね。先輩のモノにされてしまいます」
御園はそう言うと、俺にもたれかかる。
「どうせ食べられるのなら、潔く食べられる事にします。嫌々ではなく、喜んで」
「千莉……」
俺は今、完全に御園に遊ばれている。
だが同時に、御園に求められているのだ。
俺は優しく御園を抱きしめる
「……」
御園は、何も言わない。
「そういえば、御園の金賞祝い、してなかったな」
「……名前」
「え?」
「……さっきはそう、呼びませんでした」
……そういうことか。
「千莉」
「はい」
「金賞、おめでとう」
「……ありがとうございます」
「お祝い、何がいい?」
「……それ、ここで聞きますか?」
千莉の不機嫌な声が俺の耳に届く。
それは、俺の引き金を動かした。
「んっ……」
散々じらされ、待ち焦がれ、したかった行為。
それをやっと実行できた。
「先輩……」
唇を重ねながら、千莉は更に俺を求めてきた。
「好き……です」
「……俺もだ」
「……ずっと、こうしていたいです」
「あぁ……御園の気が済むまで」
そういった瞬間、舌に激痛が走る。
「失礼、千莉の気が済むまで」
千莉は満足してくれたのか、笑顔で唇を合わせてくれた。
さて、俺も千莉に答えるとしよう。

俺達は成り行きに任せ、制服姿のまま、千莉のベッドにもぐりこんでいた。
「ねぇ、先輩?」
「何だ?」
「今から、私は、先輩のことを『京太郎さん』って、呼びますね」
「わかった」
「ねぇ、京太郎さん?」
「何だ、千莉?」
「白崎先輩をはじめ、皆さんは、私達の為に気をつかってくれたんだと思いますか」
コンクール終了後、図書部全員で千莉を祝ったが、それが終わると、皆、そさくさといなくなってしまった。
「あぁ、はからってくれたんだと思うよ」
俺はそう答えた。
「あれ、実は、結構背中、押してもらえたんですよ」
「ハハ、なら、皆に感謝しないとな」
「笑い事じゃありません。私は、先輩のほうから誘ってくれると思っていたのに、がっかりです」
「ほら、俺はケダモノじゃないから」
「私はもう少し、野生的な男性が好きですね」
「例えば?」
「たとえ……例えですか?」
千莉が戸惑う。
「犬……は飼われているイメージが強くって、猫……は野生だけど筧さんとは似合わないし、ゴリラ……はワイルドすぎるし、うーん……」
千莉の困っている顔は、初めて見た。
これだけで満足出来てしまいそうだ。
「さて、答えに時間がかかりそうなので、明日の朝、答えを聞かせてくれ。お休み」
俺は布団を顔までかける。
「ちょ、ちょっと先輩?」
「千莉の理想的な野生になりたいんだ。だから考えておいてくれ」
「……もう。はいはい、ごめんなさい。私の負けです。私は今の筧さんが好きです」
俺は布団から顔を出す。
「野生的じゃないのに?」
「もう、イジワルしないでください!」
「わかった。いつものようにやさしくするよ」
千莉を抱きしめる。
「……あ」
今日分かったことだが、千莉は頭を優しく撫でられるのが、結構好きだったりする。
ただし、子ども扱いしてはいけない。
千莉を尊重しつつ、愛情を込めて。
「おやすみ、千莉」
「おやすみなさい、京太郎さん」
こうして俺達は、心地よい疲れと共に、夢の中へと旅立った。


END


いかがだったでしょうか。

今回は、約3,500字と、少し短くなりました。
やはり、好きなキャラであればあるほど、まとめるのが難しいです。
あと、Hシーンがかけないので、どうしても京太郎と千莉がくっついたところがクライマックスになります。
18禁でしたら、ここからがスタートラインなのですが。
コンシューマー版のムズカシさを、改めて実感しました。

さて、今回はイタズラ娘な千莉なので、本編とは異なり、千莉が誘う形でお話を作りました。
積極的だとケダモノといわれ、消極的だと野生的でないといわれる。
この矛盾点や、千莉が思わせぶりなところ、ラストでは京太郎がやり返す、この部分は絶対入れなければならないと思って入れました。
シナリオの構築的には悪くないと思いますが、書き方があまり良くないと思います。
誰か上手い人、指導してください。

初めは千莉にスポットライトの下で踊らせようとか、色々考えたのですが、今回のような設定で落ち着きました。
千莉ファンの方からコメントいただけたら幸いです。
どういう千莉がみたいだとか、要望言って下さい!
次回の参考にします。

さて、これでつぐみ、玉藻、千莉、佳奈、凪と、メインの5人のお話は書きました。
次はお待ちかねの葵です。
金曜夜に公開出来たらします!
お楽しみに!!

米原

大図書館の羊飼い Library Party 桜庭 玉藻 スペシャルSS 秋がくれた温かさ?

こんにちは。米原です。

今日は早朝勤務の日だったし、まだ聞いていない羊飼いラジオを聴いて寝ようかと思ったら、トレーダーHPにて、羊飼いvitaの新規CG……。
この米原伊吹が黙っているわけには行きません!
早速、妄想はじめました。
まずは玉藻から!
お楽しみください。

※今回のCGは明らかに二回目のHCGの差し替えです。
しかしながら、そのまま引用ではつまらないので、アレンジを加えてのSSとしました。
ですが、既に書いたつぐみ、佳奈、凪とは違い、付き合い始めてからのお話です。
秋と言う事もあり、本編終盤の絵画展のネタも入っています。
季節感と合わせて、お楽しみください。


大図書館の羊飼い Library Party
桜庭 玉藻 スペシャルSS 秋がくれた温かさ?


半ば休部状態だった図書部に玉藻が復帰して一週間――
ついに生徒会から依頼されていたレポートの完成を終わらせた。
そして。
もう一つの懸案だった、絵画展。
こちらも完成のメドが立った。
あと4日――
この休みが終われば、玉藻はカンバスに思いをぶつけるだろう。
その間、お互い、寂しくも忘れられない日々になるだろう。
その前夜祭――と言っても、徹夜明けの朝だが、俺達はひと時の休息をとることにした。
「ふぅ……疲れた」
「本当にお疲れ、玉藻」
「あぁ。ありがとう」
玉藻は、俺の用意した紅茶を優雅に飲む。
「良い香りがする」
「本で読んだんだ」
「あはは。京太郎は、こんな時でも本か!」
ちょっとムッとしたが、桜庭が調べるとしたら、きっとネットなのだろう。
「悪い悪い。なんだか私の父みたいで笑ってしまった」
「お父さん?」
「あぁ。これがどうしようもない保守派でな。最新鋭のモノは、バッサリだ」
玉藻が手でクビを着るようなジェスチャーをする。
よっぽど、現代の機器を受け付けないんだろう。
「俺だってネットを使うぞ」
「だが、それはコミュニケーションをとる為に過ぎないだろ?」
「まぁ……確かに」
メールや、学校の電子掲示板でのやり取りが、俺の主なネットの使い方だ。
「父はそういうものですら原始的な方法だ。ましてや、知識は新聞や本から得る。ネットでなんかありえない」
玉藻は紅茶を飲み干した。
「これですら、父だったら緑茶だろう。本当に頑固なんだから、父は……」
玉藻は、空のカップを手首で回し、わずかに残った紅茶を、カップの中で躍らせる。
「玉藻……」
「悪い悪い。心気臭くなったな。父の話はやめよう」
玉藻は立ち上がると、大きく伸びをする。
「さて、徹夜だったから本当に疲れた。今日は一休みしよう」
「そうだな」
「京太郎。悪いが、マッサージをしてくれないか?」
「いいが、ヘンなスイッチが入っても知らないぞ」
「……相手が京太郎なら、かまわん」
玉藻はそう言うと、床に寝そべった。
俺は、背中を重点的に押してやる。
「ふぁーっ、気持ちが良い」
「本当にお疲れ様、玉藻」
「一週間が、一ヶ月に感じたよ」
「確かに」
二人でこの一週間を思い出す。
生徒会のレポートに取り組みながら、空いた時間で取り掛かった絵画。
本人は『自らの技量不足により、納得がいかない』と話しているが、正直、出来上がりはなかなかのモノになっている。
審査員がどう評価するか、そして、お父さんがどういう評価を下すのか――
非常に楽しみである。

「あぁ……コリがほぐれて気持ちがいい」
「本当に大活躍だったからな、玉藻は」
「いっ、いたたたた」
「悪い、強すぎたか?」
「いや、痛き気持ちよいだけだ。続けてくれ」
「了解」
玉藻の体は、身長のわりに、細めである。
背中を押して、それが更に良くわかった。
この小さな肩に乗っている重みは、誰よりも重いのだろう。
父親からの重圧、図書部員としての重圧。
図書部の中で、最も活躍している玉藻だからこそ、かかるモノ。
大きな期待を跳ね返し、少しでも肩の荷が降りて欲しい。
俺がマッサージをする事でそうなるのであれば、幾らでもしよう。
俺はそう思った。
「なぁ……京太郎……」
「ん?」
「なんだか、だんだん体が温かくなってきたよ」
「代謝がよくなったんじゃないか?」
「そうかもしれない」
良く見ると、玉藻の額にはうっすらと汗が。
「そういえば徹夜で、汗を流してなかったな」
「なぁ……京太郎」
「ん?」
「お風呂……一緒に入らないか?」
蚊の泣くような声で、紅葉と見間違うような頬を見せながら、とんでもない事発言した玉藻。
恥ずかしさをこらえた、大きな発言に違いない。
「おっ、おう!」
「どっ、どうしてもか?」
「もっ、もちろん!」
「そっ、そうかそうか。京太郎がどうしてもというのか。ならば、私も恥ずかしさをこらえて一緒に入るとしよう。先に入っていてくれ」
そう言うと、玉藻は奥へと消えていった。

どうしても、自らの願望であるという事を隠したかったのだろう。
強引に、今回の混浴は、俺の願望になってしまった。
だが、それもいい思い出になりそうだ。
十分もあれば沸いてしまう風呂の湯につかる。
そういえば以前、玉藻はこの風呂を「父親」と呼んでいたっけか。
玉藻の父親は、それだけ怒りっぽい父親なのだろうか。
そんなことを考えていると、戸がノックされる。
「は、入るぞ……」
「お、おう!」
俺の情けない返事に反応して、桜庭が入ってくる。
「……」
玉藻は、水着だった。
「なんでまた」
「は、恥ずかしいからだ、馬鹿!」
風呂と言う事で、期待してしまっていた俺が恥ずかしい。
「きょ、京太郎! まさか期待していたわけじゃ――」
「そ、そりゃぁ――」
思わず本音が出てしまう。
「そ、そうか……京太郎も男だったな……」
玉藻はそう言うと、バスチェアーに腰掛けた。
「さ、流石に全ては見せられないが……綺麗になっていく私を、見ていて欲しい」

玉藻はスポンジに石鹸をつけてあわ立てると、右足から順に洗い始めた。
「いつも、右足からなのか?」
「し、心臓から遠いほうがいいらしい」
そう言いながら洗っていく。
右足、右スネ、右膝、右太もも……
次は左側。
下半身を洗い終わる。
上半身は――
そう聞きたいのを、ぐっとこらえる。
「……」
少し難しい顔をする桜庭。
「恥ずかしがっても、しょうがないな」
玉藻は開き直ったかのように、左肩の水着をずらした。
「んっ……」

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玉藻の口から甘い言葉が漏れ、左肩が泡で包まれていく。
わきの下、そして、胸も同様だ。
石鹸とはまた一味違う玉藻の白い肌が、紺色の水着とのアンマッチさを引き出し、映えさせる。
既に玉藻の顔からは恥ずかしさが消え、何事もないかのように、洗っている。
「きょ、京太郎……どうかな?」
「あぁ、凄く綺麗になっていく玉藻が見える」
「い、一週間分の汚れとか、苦労とか……落ちていっているかな?」
「もちろん落ちているとも」
「良かった」
ほっとする玉藻。
「でも、思い出だけは落ちて欲しくないな」
「そうだな」
「この一週間。いや、今日この一日は、私の中でとてつもなく大きなモノになると思う。京太郎。そうなる様に、協力してほしい」
「もちろんだ」
「……ありがとう」
玉藻の顔に、笑顔が宿る。
「……あ」
「どうした、京太郎?」
「い、いや、なんでもない」
俺は思わず、反対を向いてしまった。
「どうしてそんなにはずか……あああっ!」
どうやら、玉藻は気が付いてしまったようだ。
気を抜いてしまった玉藻は、水着の肩の部分を手放していた。
それにより、左胸が露出――
つまり丸見えだった。
「ヒッ!」
とっさに腕で胸を隠したのだろう。
さっきまで体を洗うのに使っていたスポンジが、俺の頭を直撃したのを感じた。
だが、振り向くわけにはいかない。
「か、かけ……きょ……み……見たのか?」
「……」
「こっ、答えてくれ!」
「み、見えた、ほんの少し!」
正直に答える。
「そっ、そうか……見えたのか……見てしまったのか……」
玉藻の息が粗い。
恥ずかしさの余り、抑えられないのだろう。
「いっ、いいぞ、京太郎。こっちを向いてくれ」
ゆっくりと振り向くと、玉藻はこちらに背を向けていた。
ただ、水着の肩の部分は垂れ、床についている。
「せ、背中を洗ってくれないか?」
「え?」
「京太郎は恋人だし……もう見られてしまったし……京太郎なら嫌じゃないし……背中は手が届かないから洗って欲しいし……だから……」
説明になっていない。
だが、俺は玉藻の気持ちを汲みとることにした。
「さっきのマッサージみたく、気持ちよくしてやるよ」
「た……頼んだ……」
先程のマッサージでは見ることの出来なかった玉藻の背中と肩。
白く、美しいこの場所には、どれだけの重みがあるのだろうか。
少し……いや、全ての重みを!
彼女から降ろしてあげたい。

体を洗い終えた玉藻は、俺と同じ湯船の中にいた。
既に、着ていた水着は脱ぎ捨てている。
「ふぅ、本当にリラックスできる」
締め付けもない、気楽な状態だからだろうか。
玉藻の顔は、先程までと違った。
「なぁ、京太郎」
「どうした?」
「さっき私は、京太郎のことを『父に似ている』と言ったな」
「そうだったな」
「あれは撤回する」
「え?」
「優しい京太郎と父では、似ても似つかないからさ」
玉藻は豪快に笑う。
「でも、俺は嬉しかったんだけどな」
「え?」
「なんだか、俺が桜庭家の一員になれた気がして」
「……やめてくれ。京太郎は、京太郎のままでいて欲しい」
「大丈夫さ。いつまでも俺は俺だよ。だが……」
「……」
「……だが、『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』って言ってさ。玉藻のお父さんの事、もっと知りたいんだよ」
「……そっか」
「決して彼になるんじゃなくてさ、もっと知りたいんだ、お父さんの事。俺達を認めてもらうために」
「……京太郎」
「そうだ、父の日のプレゼントあげたら、なんていうだろうか」
「父の日は6月の第3日曜日だろう?」
「それはアメリカ合衆国から日本に文化が入ったからだろ? 例えば台湾じゃ8月8日と決まっている」
「だがそれでは時期が過ぎている」
「北欧の国では、11月の第2日曜日が父の日なんだ」
「おぉ……でも、理由がないな」
「何か無理やり作れないかな?」
「ちょっと探してみようか」
「そうやって、お父さんと話す機会を設けて、俺たちの関係を認めてもらおうぜ」
「……ぷっ、ハハハ」
「どうして笑う」
「いや、京太郎の頭の中にある図書館は、ネットなんかよりもずっと早くて正確だなって」
「玉藻もどうだ? 知識は幾らあっても邪魔にならない」
「考えておこう。知識も必要だが、私にはテストがあるからな」
「無駄知識では意味がないか」
「そちらのほうで手伝ってくれ」
「わかった」
「期待してるぞ、ミスター・ブック・ワーム」

風呂から上がると、玉藻はバスロープ姿で布団にいた。
なんでも、暑くて服が着られないそうである。
「なぁ、京太郎」
「ん?」
「私は今日。生まれてきて一番幸せだ」
玉藻が寝転ぶ。
「好きな人と一緒にいられて……共に疲れた体を癒しあって……私の人生でそんな事ができるとは思ってもいなかった」
俺も隣に寝転ぶ。
「正直言うと、俺も」
玉藻の綺麗な髪をなでながら、続ける。
「俺はずっと本を読んで、見えもしない真実を、ずっと探し続けている……そう思っていた。でも、玉藻と出会って、俺は変わったよ」
「私も京太郎と出会って変わったよ。何かに追われているようで……偽りの自分であるようで……正直、何かに迷っていた。でも、もうそんな私は、いない」
玉藻は横向けになり、俺のと顔を合わせる。
「全ては京太郎のおかげだ。本当に感謝してる」
「俺も、玉藻には感謝している」
「京太郎……チュッ」
一週間分の思いを込めて、口づけする。
「明日からはまた戦いだ。あと四日分、充電させてくれ」
「あぁ、玉藻が頑張るならば、何だってするさ」
「なら、京太郎。今日は泊まっていってくれ」
「お安い御用だ」
「あと、今日を、人生で忘れられない、最高の一日にしてくれ」
「わかった」
再び口付けを交わす。
十年経っても二十年経っても。
決して忘れられない日になるように。
そんな思いを込めながら、玉藻との一日を過ごした。


END


いかがだったでしょうか。

既に話しているように、今晩はゆっくりしようと思い、お酒を煽りながら羊飼いラジオの準備をしていたところ、このトレーダーのCGの情報をキャッチしました。
酒が残った中での作品ですので、誤字や名前違い(×筧→○京太郎、等)が多そうです。
また、内容がちょっとめちゃくちゃかもしれません。
ご勘弁を。

今回は、既に話したように、玉藻2回目のHシーンの移植が今回のCGになると思われます。
本来このシーンは8月の終わりです。
しかし、ゲーム内の"Replay"をクリックすれば、そのシーンは再現でき、お風呂でのHシーンが体を洗うだけの違いなってしまい、非常につまらなくなります。
(要するに完全なパクリ)
もう少し話の流れを今の季節に当てはめつつ、かつ、ゲームの流れを無視しない形で、今回の内容を考えました。
書き終わって自ら、『ズイブンビミョー』と言ってしまうので、正直公開するのは恥ずかしいのですが、温かく見守ってやってください。


米原

大図書館の羊飼い Library Party 白崎つぐみ スペシャルSS 秋風が運ぶ笑顔と幸せ

こんにちは。米原です。

今日はサンクリ65に行ってきました!
13時から行われたべっかんこう先生のスケッチブックのじゃんけん大会ですが……。
当然、初戦で負けました。

さて、そんな事は気にせず、お待ちねのSSに移りたいと思います。
今日は大図書館の羊飼い Library Party SSの三部作のラスト、つぐみです。
それでは、お楽しみください。


大図書館の羊飼い Library Party
白崎つぐみ スペシャルSS 秋風が運ぶ笑顔と幸せ


授業中に桜庭から届いたメールにより、図書部のメンバーが部室へと集合した。
「急な集まりにもかかわらず、良く来てくれた」
早速、首謀者の桜庭が仕切る。
「筧、どうやら、図書館に何冊か本を貸し出す事になったようだな」
「あぁ、二十五冊、十五種類程」
「凄い筧君。図書館に無い本がそんなにあったんだ」
「大昔の絶版品が幾つかあったに過ぎないよ。売れない本っていうのは、本当に山ほどあるんだ」
「ふぅーん。頭のいい人が、『これは売れそうだ!』って思って出版するのだから、売れない本なんてないと思ってた」
「万人にウケるものが欲しければ、芸能人や有名人に、自らの半生でも書かせればいい。でも、それでは実用的な本が世に出ない。専門書ってのは、そういうもの」
「そっか、事典とか、百科事典、それに自費出版に近い形での生物の観察記録とか」
「そういうものは、万人には役に立たないだろうけど、その筋の人には不可欠なんだ。それに――」
「そういう本は、欲しい人の間にしか出回らない、でしょ?」
「そういうこと。図書館に置いても、誰も借りない。欲しい人は既に持っているからね」
「あ~、二人とも、いいかな?」
玉藻に、俺と白崎の会話を止められる。
「わ、悪い」
「ごめん、玉藻ちゃん。長くなっちゃった」
「まぁ、いいだろう。コホン。実は、集まってもらったのには理由がある。また図書委員からのご依頼だ」
「今朝本を小太刀に届けたときは何も言ってなかったぞ。今度は一体何だ?」
「実は筧、またお前にだ」
「マジ? 筧ばかりずるい!」
「喜べ、高峰。お前にも来てる」
「本当か!?」
「秋の読書シーズンの為に、内部を改装したいらしい。その為に男手を求められている」
「おぉ~。腕が鳴るな。な、筧?」
「あまり乗り気になれない依頼だな。それに、力仕事なら依頼が幾つかあったはずじゃ……」
「その通りだ!」
桜庭は扇子を広げる。
「本来なら、筧と高峰二人に返事を聞けば、それで済む話だ。だが、この手の依頼は幾つか来ている」
「……ってことは、私達全員で、受けるかどうか決めなくちゃならないんだね」
「そういうことだ、白崎。図書委員への恩を更に返すか。それとも、他の依頼と比較し、審議するか。どちらが良いか」
「う~ん。難しいねぇ」
悩む白崎。
「ちなみに、その依頼は俺達二人にだけ?」
「そうだ、高峰。お前と筧にだけ来てる」
「他の依頼は、全員だったか?」
「いや、全員の依頼もあれば、女性だけの依頼もある。演劇部の依頼は、女子更衣室の修繕だから、男子禁止だ」
「うほっ、そういうと所こそ、俺たちへの依頼になるんじゃないのぉ? 別に着替えている時に修繕するわけじゃないんだから」
「高峰……お前、いい度胸をしているな」
「おぉ……ごめんなさい」
高峰の魂が、桜庭の威圧によって抜ける。
「そうすると、私としては出来るだけ多くの依頼に答えたいと思っているから、演劇部と図書委員、セットで依頼を受けられないかな?」
「なるほど。白崎の考えならば、私達女子が演劇部、筧たち男子が図書委員。一日で二つの依頼をこなせることになる」
「そうすれば、断る依頼を減らす事が出来るから、良いんじゃないかな?」
満面の白崎の笑顔。
やはり、白崎の思いやりと、その実現に対する頭の働きは、凄いと思う。
「よし、この意見に反対の者、いるか?」
誰も手を上げない。
「よし、この方向で返事をして、日程調整をしよう。各自、解散!」
「ねぇ、せっかくだから、みんなでお昼食べよう?」
白崎の提案により、早速、昼食会が始まった。

「筧君。食べながら本を読むのは、お行儀悪いよ」
「筧君。おにぎりばかりじゃ、体に悪いよ」
「筧君。食事は良く噛まないと、消化に悪いよ」
白崎に言われるたび、俺は改善を余儀なくされる。
本を置き、白崎のお弁当のおかずを分けてもらい、三十回噛んでから飲み込む。
ついでに水だけでは食事がつまらないだろうと、紅茶を入れてもらった。
……。
いたせりつくせり過ぎる。
正直、玉藻に睨まれるからやめて欲しいのだが……そうは問屋がおろしそうに無い。
「なんだか筧君が心配。今度、私の家に食べに来ない?」
「あ、う……、うん。遠慮しとく」
桜庭から氷……いや、液体窒素並みの視線が、俺の眼に突き刺さった。
もう、断るしか、生きる道が無かった。
「なぁ、つぐみちゃん、俺は? 俺は?」
「高峰君は健康そうだから、大丈夫。心配要らずだよ♪」
「おい、筧。どうしたら不健康になれる? 俺は心配されたいんだ!」
「知るか」
「どいひっ! じゃぁ、こちらの姫に……」
「殺すぞ」
「うひゃぁっ!」
高峰が氷付けになった。
「ふふっ。やっぱり、みんなで食べると楽しいね」
白崎の一言で、場がなごむ。
こうして、恥ずかしいながらも、少し楽しく、充実した時間が、過ぎていった。

数日後、依頼の日。
俺と高峰は、図書委員と共に、図書部の改装を手伝おうことになった。
「筧。来てくれてありがと」
「依頼だからね。当然」
「では早速、高峰と二人で、アレ、お願い」
小太刀の指差す方向を見る。
本棚にぎっしりと本が入った、高さ二メートルはあろう、大きな本棚だった。
「これを、移動させて欲しいの」
「オイオイ、小太っちゃん、中身入ったままだぞ?」
「抜かないで頑張りましょー!」
「いや、無理だろ」

高峰と二人で本の中を全て抜き、移動させる。
そして、新しい場所で、本を入れなおす。
「はい、次は"S"を手前に出して、そこに"E"を入れます」
小太刀は、先程から現場を仕切っている。
動かす本棚には英語がふられている。
小太刀が指定した棚ををどかし、空いたスペースに別の棚を入れる。
「はい、次は"N"のところに"R"だよ~」
小太刀は指示を出しているだけだが、その指示が非常に的確だ。
スペースの広さ、一時避難場所の広さと距離。
そういうもの全てが計算され、効率よく作業が進む。
「じゃ、ラストは"I"を空いたスペースに入れて終わりで~す。筧君、高峰君、よろしくぅ!」
「筧、ラストだ。頑張ろうぜ」
「あぁ」
既に空にしておいた"I"の棚を残ったスペースに入れる。
「……!」
本棚を退けた際に出た埃を、掃除担当が掃除をするのだが、その埃が残っている。
そして、それを高峰が踏み――
そういうビジョンが見えた。
「高峰、ストップ!」
「オイ、バカ筧!」
「へ?」

……。
俺は今、保健室にいる。
傍には図書部員全員+小太刀。
全員、心配そうに俺を見ている。
「筧君、大丈夫?」
「あぁ。大丈夫だよ白崎。ちょっと気を抜いちゃっただけさ」
「まったく、本棚を運ぶときに、気を抜く奴がいるか」
「心配かけてすまない、桜庭。一晩経てば大丈夫だよ」
あの時――
高峰が埃を踏んで滑って転び、本棚の下敷きになるビジョンが見えた俺は、それを高峰に伝えようと必死だった。
その為、本棚を持っているのも忘れ、右手を大きく広げ、前に突き出した。
俗に言う『ストップサイン』を高峰に見せようとした。
だが、急な重心移動により、俺の左手には大きな負荷がかかった。
それに気が付いた俺は、あわてて両手で本棚を持とうとした。
しかし、急な重みに耐えられず、腕に力が入らなくなってしまった。
高峰の計らいにより、手を床とのサンドイッチにする事だけは免れた。
だが、上手く腕に入らない。
一時的に筋肉が伸びきってしまったようだ。
「ま、痺れみたいなものだ。時期に治るだろ」
「ありがとうな、おかげで手にもシップが必要だったところだ」
「なぁに、礼には及ばない」
「さて、帰るとしようか」

高峰にカバンを持ってもらい、家へと向かう。
途中、白崎達と別れた。
「しっかし、お前がヘマするとは、珍しいな」
「なんか幻覚が見えてさ。疲れてるのかも」
「オイオイ、アレだけ癒されて、疲れてるったぁ、バチが当たるぜ」
「白崎の事か?」
「そうそう。どれだけ気を遣ってもらえているか。本当にうらやましい限りだぜ」
確かに、アレだけやさしくしてくれるのは、嬉しい。
だが同時に、かなり申し訳なく思ってしまう。
「ま、彼女が好きでやっている事だ。ありがたく受け取っとけ」
「そんなもんでいいのかなぁ」
「いいんだよ。実際、俺はやってもらえてないだろ?」
「あぁ……」
白崎は、おせっかいを焼く相手を選んでいる。
つまり、俺の世話を焼きたいから、やっている。
「なぁに、感謝を忘れなければ、バチは当たらんよ」
「大丈夫。高峰には感謝してる」
「俺じゃなくってよ。あっち」
「え?」
振り向くと、物陰がヒュッと動く。
「出てきな、つぐみちゃん」
「え、えへへへへ……」
「白崎!?」
別れたはずの白崎がここにいる。
「お前が心配なんだって」
「え?」
「筧君、その腕じゃご飯食べられないでしょ? だから、私の家に来て、食べない?」
「え?」
「さっき言ったろ。好きでやってるんだ。親切は受け取っとけ」
「お、オイ高峰。俺のカバン」
「一晩預かっといてやるよ。明日は手ぶらで来な」
高峰は振り返りもせず、自宅の方へと消えていった。
「……行こっか」
「……あぁ」
俺は白崎に言われるがまま、ついていくことにした。

秋風が二人を包む。
それは、自分の上がりに上がった体温を調節するのには、ぴったりだった。
「風が気持ちいいね、筧君」
「あぁ。今だけ……もう一月変われば、うっとうしくなるだろうこの風。今うちに満喫しておくか」
「そうだね。秋の終わりの風って、本当に寒いもんね。でも、今はそうでもない」
「人間が本当に心地良いと感じる時って、一瞬なのかもね」
「そうだな」
「でも……」
白崎が口ごもる。
「でも……筧君には……筧君には、図書部がずっと心地よい場所だって、感じていて欲しい」
「……なんでまた、俺にそんなに気を遣うんだ?」
……聞いてはいけない事かも知れないが、どうしても聞きたかった。
「それはね。筧君の場所を、私が取っちゃったから」
白崎はすんなり答えた。
「元々、筧君だけの場所だったあの部室。私が取っちゃった。だから、筧君には居心地の良い場所であって欲しいの」
「あぁ……」
元々、ゴールデンウィークまでの限定だったはずの、俺のかつての独擅場。
今は白崎をはじめ、図書部員全員のものになっている。
「大丈夫だよ、白崎。俺は今のあの場所が、以前よりもずっと好きだ」
「本当?」
「あぁ、だからさ。みんな平等に、仲良く使おうぜ」
「うん!」
白崎がわかってくれたのかどうか、定かではない。
だが、その笑顔を見ているだけで、俺は癒された。

「ただいま~」
誰もいない部屋に白崎は声をかけると、玄関の電気をつけた。
「筧君、どうぞ」
「お邪魔します」
「はい、いらっしゃいませ」
白崎はしゃがみこむと、俺の靴を抑えてくれた。
流石白崎。
手際がいい。
俺はそのまま、部屋の中に入る。
今の俺の腕では、靴を脱ぐ事すら出来ないのだ。
「筧君。右側が洗面所だから、まずはそこで手を洗おう」
「わかった」
白崎は自らの手で石鹸を泡立て、その石鹸で俺の手を洗ってくれる。
「ふんふふんふん♪ゴシゴシ♪」
それも、実に楽しそうに。
こっちは、頭の中がショート寸前なのだが」
その後、水で流してくれ、タオルで拭いてくれ、まるで王様にでもなったかのような待遇だ。

白崎が扉を開けてくれたリビングに入る。
「実はね、筧君。今日の夕飯、昨日の残り物で申し訳ないんだけど、筧君に食べて欲しかったの」
「白崎の作ってくれたものなら、何でも食べるよ」
「本当? うれしい!」
白崎は早速、台所から大きな鍋を持ってくる。
「実は寒くなってきたから、煮物を作ったの。昨日作ったから、味がしみていて、おいしいはずだよ」
「おぉ!」
まだふたを開けていないにもかかわらず、おいしそうな匂いがプンプンする。
「残念ながら温めないとおいしくないから、少し待っててね、筧君」
「大丈夫だよ。何から何までありがとうな。白崎」

鍋をはさみ、二人で向かい合って座る。
図書部のこと、授業の事……。
案外、話が盛り上がった。
数十分もすると、にっこりとした白崎の笑顔が水蒸気で染まるようになってきた。
「あ、そろそろかな?」
白崎は火を弱める。
そして、ゆっくりとふたを開けた。
「じゃじゃーん!」
「おぉ……」
そこには、高級料理店でしか食べられなさそうな煮物が、光り輝いていた。
「それでは、いただきましょう♪」
「いただきます」
「いただきます」
白崎は俺の隣へと席を移動した。
そして、箸で芋をつかむ。
「はい、あーん」

今までの俺なら、照れくさがっただろうが、もうなんだか吹っ切れた。
「あーん」

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白崎に口の中に入れてもらう。
「おいしい?」
「うん、すごいや、これ」
「本当? じゃぁ、今度はお肉!」
「おぉ……味がしみていて、すごくうまい」
「あぁ、やっぱり褒められるってうれしいな♪」
ノリノリの白崎は、俺にどんどんと食べさせてくれる。
「白崎も食べたら?」
「私は、筧君が食べ終わったら出いいよ」
「それじゃぁ、あまり食べられないぞ?」
「大丈夫。こんなにあるし、それに、私はそんなに食べられないし」
確かに、先日、図書部で昼飯を一緒に食べたとき、白崎のお弁当はかわいらしく、小ぶりなお弁当箱だった。
「だから、心配しないで、ね」
「わかった。今日はたらふく満喫させてもらうよ」
「うふふっ、よろしくお願い致します。さて、次は……筧君。選んでくれる?」
「じゃぁ、白菜を」
「はい、あーん」
「次は、しいたけ」
……こうして、俺は白崎に、満腹になるまで、白崎の料理を食べさせてもらう事になった。

鍋の量が大分少なくなってきた上に、俺の腹も満たされた。
その事を告げると、白崎は自らの分を食べ始めた。
「白崎」
「何、筧君?」
「どうしてこんなに鍋を作ったんだ?」
「実はね、結構寒くなってきたら、お鍋にしようと思って。それで、調子に乗って、いっぱい作っちゃって……」
「へぇ……」
「本当は数日に分けて食べるつもりだったんだけど、実は私、こう見えて食いしん坊なの。他の料理を食べたくなっちゃって」
「どんな料理?」
「チーズフォンデュとか、西洋の鍋料理。だから急に、誰かに食べてもらいたくなっちゃったの」
そう言いながら、白崎は鍋を食べきった。
「ご馳走様でした」
「お粗末さまでした」
「そういえば白崎、さっきは自分は小食だって言ってなかった?」
「うん、私、たくさんは食べられないんだけど、色々な料理を食べてみたくなるの。だから料理を覚えたんだよ。好きな時に、好きな量の、好きな料理を食べたくって」
「そっか」
「うん!」
実は筧君の為に……なんて事を言われてみたかったが、それは調子に乗り過ぎた考えだ。
俺も、ずいぶんヤキが回ったようだ。
「……あ、もうこんな時間」
「おっと、まずいな。白崎、食べ終わってすぐで申し訳ないが、帰るとするよ」
「うん。今日は力仕事をして疲れただろうから、早く帰って寝たほうがいいよ」
「あぁ、何から何まで、ありがとうな」
玄関に向かう。
そして、白崎に靴を履くのを手伝ってもらう。
扉を開けてもらい、エレベーターへ。
「今日は何から何まで、ありがとう。それと、ご馳走様。料理、本当においしかったよ」
「うん。私も、おいしく食べてもあえて、嬉しい」
「もし、さ。機会があったら、また呼んで」
「うん、うん! また呼ばせてもらうね。
エレベータの扉が空く。
「それじゃ、お疲れ様」
「じゃあね、筧君」
白崎が一階のボタンを押してくれる。
廊下へ戻ると、扉が閉まった。
『バイバーイ』
聞こえなかったが、白崎は笑顔で手を振り、俺を送り出してくれた。

夜風に当たりながら、家へと帰る。
本当に心地よい風が吹いている。
『幸せって、いいな』
そんな事を思った。
白崎と、もっともっと図書部を続けていきたい――
そんな感情を、四月の俺は思っただろうか。
もし、俺が過去の俺に会えるのなら、是非言ってやりたい。
『事実は小説よりも奇なり』
『最も無駄な一日とは、一度も笑わなかった日のことである』
そして、
『愛されたいなら、愛し、愛らしくあれ』
と。


END


いかがだったでしょうか。

計算してみたら、6,300字とちょっとのようです。
いやー、長くなった(笑)

白崎との萌え萌えシーンをいっぱい書いていたら、ずいぶんと長くなりました。
ですが、肝心のCGのシーンが結構短く……。
そこが残念ですが、筧と白崎の関係が急速に接近する描写を、事細かにかけたので、満足です。
しかし筧君、うらやましいですなぁ。

今回のお話は、筧とつぐみのラブラブストーリーではありますが、白崎の行動に、重きを置いています。
お節介とも取れるつぐみですが、つぐみには
『愛されることは幸福ではない。愛することこそ幸福だ』(ヘルマン・ヘッセ)
の精神の元、常に行動しています。
筧をはじめ、自分の周りにいる人を愛するからこそ、そのリターンがつぐみにもたらされ、つぐみが成長していくのです。
だから、人を愛する事は、自らを成長させる事とイコールなのです。
今の世の中は『ストレス社会』と呼ばれたりもします。
私も、働いていて嫌な思いをする事なんかしょっちゅうですし、ただただ道を歩いているだけでも、マナーがなっていない!と腹を立てることがあったりします。
ですが、つぐみから言わせれば、それは、愛されていないからなのでしょう。
『愛されなかったということは、生きなかったことと同義である』(ルー・アンドレアス・ザロメ)
という格言がありますが、そんな人生を歩む人を少しでも減らそうと、つぐみはしているのではないでしょうか。
特につぐみ好きな人は、つぐみのように、いつもニコニコ、愛を振る舞ってみてください。
きっと、幸せな毎日を遅れるのではないでしょうか。
つぐみとは正反対な、不平不満を言い、常に不満そうな顔をしていると、そればかりの人生になってしまいますよ。

そんなことを思いながら、今回は書いてみました。
ただ単に萌えるだけでなく、そういう哲学的な部分を、ぜひとも、オーガストから学んでください。

さて、三日間連続でお届けしました大図書館の羊飼い Library Party スペシャルSS、いかがだったでしょうか。
佳奈、凪、つぐみの新規CGから想像したゲーム内容を、今の季節に重ねてお届けさせていただきました。
秋口にまだ筧がヒロインとくっついていないなんてことはないわけですから、このCGのシーンがこのようになる事は絶対にありえません。
でも、二月までのつなぎとして、お楽しみ戴ければ幸いです。
今回の三人のお話は、佳奈→凪→つぐみとつながっているので、
(単独でも十分楽しめるとは思いますが)
ぜひとも全てお読みいただけると、ありがたいです。

また、感想をいただけると、今後の励みになります。
良かったシーン、悪かったシーン、読んでみたい内容、改善して欲しい内容。
多々あると思いますので、ぜひともコメント欄よりお知らせください。

それでは、Happy Halloween !


米原 伊吹

大図書館の羊飼い Library Party 小太刀 凪 スペシャルSS 同家の導き

こんにちは。米原です。

昨晩の佳奈すけのお話、いかがだったでしょうか。
佳奈すけに結局本の虫である筧君がつきそう、というのが話の流れ。
結構良くかけたと思っています。

さて、今回は、大図書館の羊飼いで、佳奈すけと人気を二分する、凪です。
今回の話は、このまま読み始めるのでも十分楽しめますが、前作の佳奈すけの話を読んでから読むと、より楽しめると思います。

それでは、お楽しみください。


大図書館の羊飼い Library Party
小太刀 凪 スペシャルSS 同家の導き


放課後。
図書部では、秋のイベントでの出し物について、選別を行っていた。
と言っても、図書部が出し物をするわけではない。
各部から、それらの手助けの依頼が舞い込んでくる。
その選別だ。
「料理研究部から出ている、試食の依頼についてはどうだ?」
「うーん……確かに魅力的だけど、私達じゃないとダメってことは無いんじゃない?」
「白崎に同感だ。私も、あの料理部の手料理がタダで食べられるのは魅力的だが、私達が助けなければ成り立たない事ではない」
「それでは、申し訳ないけど、お断りしよう」
議長の玉藻、最終決定者の白崎、以下、俺達ヒラの図書部員で審議をしていく。
イベントシーズンであると同時に、図書部の活動が広く学園に知れ渡った事により、実に多種多様な依頼が舞い込んでいる。
全てを手伝うことなんて、到底無理である。
心を鬼にして、本当に図書部の助けが必要な部だけ、図書部にしか出来ない助けがある部に選別をしていった。
「コンコン」
ん?
扉がノックされる。
「高峰、開けてくれ」
「アイアイサー」
高峰が扉を開ける。
そこにいたのは小太刀だった。
「こんにちは」
「こ、こんにちは、小太刀さん」
突然の訪問に、驚く白崎。
「ちょーっと依頼をしたいんだけど、いいかな?」
「依頼って、図書部に?」
「そうなのよ、か・け・い・くん」
白崎の問いかけに対し、小太刀は俺に話を振った。
「一体何のようだ?」
ちょっと不機嫌に答える俺。
何か、嫌な予感がする。
「きょっ、京子さんはいませんからね!」
あたふたする鈴木。
って、その名前を出すな!
「私の興味があるのはか・け・い。勘違いしないで、もう」
「それで小太刀、筧に何のようだ」
「筧、お願いなの! 本を貸して、本!」
小太刀は手を合わせると、大きく頭を下げた。

小太刀から詳しく話を聞く。
なんでも、図書委員では、読書の秋にちなんで、新しく本を導入したいという。
だが、そもそも図書館には、日本でトップクラスの品揃えがある。
新しく出版される本は、当たり前のように導入される。
さすれば、目玉の商品は、普段なかなかお目にかかれない、過去に出版された、隠れた名作である。
「それで、俺に手助けを?」
「そう、そうなの! 筧なら、何か面白くてみんなが『読んでみた~い』ってなるような本、何か知らない?」
「そうだな……」
何か良いネタがあるだろうか。
「あ、そうだ筧さん。私がこの前筧さんの家で読ませてもらった、『銀座ハイカラ物語』なんてどうですか?」
「え、何それ? めっちゃ面白そうじゃん!」
鈴木のアドバイスに対し、乗り気の小太刀。
確かに、余り世には出回らない本だ。
あとは家で探せば、幾つか出てくるだろう。
「しかし筧さん、その本は一冊しかお持ちで無いんですよね? 仮に、そういう本が十冊あったとしても、図書館に訪れる人全員が借りられて満足するとは限りませんよ」
確かに、御園の言うとおりだ。
「そのあたり、どうなんだ?」
小太刀に聞いてみる。
「甘い甘い、そんなの、ちゃんと対策済みですよ、歌姫さん」
小太刀は人差し指を左右に振り、余裕の表情を見せる。
「ちゃ~んと対策はしてありますよ」
「それ、どんな対策なんですか?」
御園が不機嫌そうに言う。
「電子媒体ですよ、電子媒体。電子化して、タブレットやスマートフォンで読んでもらうの」
確かに、それなら、借りたいと思った人全員が読めるだろう。
しかし、著作権の事が心配だ。
「ちなみに、著作権に関しての心配も要りません。ちゃんと出版社に許可を取ってからやりますので。なんでも、この学園の力からすれば、そんな問題楽勝だそうで」
確かに、汐美学園のバックの力を借りれば、問題なく許可が下りそうだ。
「筧さん、ちなみにその本、出版社はどこなんですか」
「え~っと、確か十数年前に倒産した、弱小の……なんだったっけ?」
「へぇ~」
俺の答えを聞き、御園の声が変わる。
「図書委員さん、この場合、どうなるんですか? どうも、出版社が世には存在していないようですけど」
確かに、その場合、どこに許可を取っていいのか、わかりづらい。
「だっ、大丈夫よ。調べて何とかするわよ。ってか、私がするわけじゃにの、私が。だから、それは問題じゃないの!」

結局、図書部は小太刀の依頼を受けることにした。
普段、図書部が図書館に迷惑をかけている部分を考慮しての判断だ。
それに、俺がいなくても会議は進むし、一日ぐらい俺がいなくても問題がない。
さっさと本を貸して、図書部が貸している借りを、少しでも返しておこうという考えだ。
「うーっ、あの小娘め……」
御園に一本取られた小太刀は、不機嫌そうに俺の後についてくる。
「今度何か弱点でも見つけて、嫌がらせの一つでもしないと、気がすまないわ!」
「オイオイ、御園だって心配してくれて言ってくれたんだ。そう言うな」
「いーや! あれは絶対、『一泡ふかせてやる!』と思っての発言に違いないわ。あー、ムカつく」
まんまとふかされてしまったのだから、小太刀の怒りは相当のものだった。
ここは話題を変えておこう。
「それでだ、小太刀。どんな本が良いんだ?」
「ん? とりあえず責任者からは、『図書館に無い本』って言われてる」
「図書館に無い本ねぇ」
幾つか頭の中でめぐらせてみるが、いかんせん、量が多く、まとまらない。
「小太刀。実際に、そういう本が無かったらどうする?」
「無いならないで、仕方ないもの。本部にはそうやって報告するわ」
「あっそう。あと、あるかどうかな。図書部にあるかどうか、不明確な場合」
「それは大丈夫。こう見えて私、結構あの図書館のラインナップ、覚えてるのよ」
にんまりする小太刀。
確かに、図書委員である以上、本の管理はしているはずだ。
だからこそ、ある程度は頭の中にあるのだろう。
「そっか、それじゃ。まずは見てみるとするか」
「よろしくね、筧くん」

俺達は家に戻ると、早速本棚へ向かった。
「しっかし、本当に凄い量があるのねぇ。しかも結構乱雑」
「読み終わった本には興味が薄れるからな。棚があふれてからは、結構扱いが乱雑になってしまった」
「てか、これで場所がわかるの?」
「覚えてる」
「じゃぁ、『羅生門』は?」
「有名すぎて、置いてない」
「じゃ、『伊豆の踊り子』」
「それならここ」
迷い無く手を伸ばす。
「おぉ、ちゃんと覚えているようね……」
小太刀は信じてくれたようだ。
「それで、まな板が言ってた本は?」
「これ。上、中、下、それぞれ一冊ずつ」
「へぇ、これが『銀座ハイカラ物語』なんだ」
「実は出版社がつぶれてる上に、発行部数が少なく、結構なレアモノなんだ」
「おぉ……目玉にはぴったりかも! で、どんな話なの?」
「大正時代に銀座のカフェで働いていた女性の話。後半は惚れた男のノロケ話の部分がある」
「うわなにそれ」
一気に興味がなさそうにする小太刀。
「まぁ、そう言うな。結構面白いぞ。『上』と『中』の大部分は、主人公の女性が、いかにして、このカフェの売り上げを上げるか悩む奮闘記になってる。読んでみるか?」
小太刀に『銀座ハイカラ物語』の『上』を渡す。
「へぇ……じゃぁ、ちょっと読んでみますか」
小太刀はぱらぱらと本をめくっていくと、ぴたっと手を止める。
しばらく読みふけっていたかと思うと、突然、大声を上げた。
「なんじゃこりゃー! 早速男を引っ掛けてるじゃないの!!」
運悪く、主人公の女性が、初めてお客さんに惚れたときのページを読んでしまったようだ」
「当時の恋愛なんてそんなもんだ。金持ちそうな客が来れば、どうしても気になってしまう」
「そりゃぁさ、時代的にはそうなんだろうけどさ。幾らなんでも露骨過ぎない?」
「本人の日記を元に、晩年、本人が書いたノンフィクションだ。仕方ないだろう」
「え、そうなの?」
鈴木とは違い、内容をまったく知らなかったらしい。
「ま、とにかく、それはレアだし、客寄せには十分だ。小太刀はちょっと読んでてくれ。俺はちょっと他に良い本がないか、探してみる」

本棚を端から眺め、数十分。
俺の手には、幾つかの珍しい本がたまっていた。
「ねぇ、筧……」
「ん?」
振り向くと、小太刀がこちらに手を伸ばそうとしていた。
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「どうした?」
「髪の毛、埃ついてる」
「え、マジ?」
「取ってあげるから、座って」
言われるがままにする。
小太刀は、俺の頭を、右手でなでおろす。
「はい、もういいよ」
「サンキューな、小太刀」
俺は、また、本棚へと眼を向ける。
「……」
はて、どこかでこんな体験をしたような……。
「あ!」
答えがわかり、小太刀のほうを向く。
顔を赤めた小太刀は、俺の頭をなでおろした右手を、まだおろせずにいた。
「ど、どう……だった?」
……。
その質問は、少し困る。
「ど、ドキドキ……した?」
「今、してるよ。すんごく」
俺は、小太刀の右手をとる。
そして、その手にキスをする。
「Thank you very much, sweet girl.」
キザにそう言う。
「う、うわっ! ちょっとなんて事してくるのよ!」
「え? だってその本にそういうシーンあったろ?」
「し、知らないわよ、そんなの」
「知らずにやったのかよ!?」
「何わけのわからないこと言っているのよ。私はただ、筧の頭に埃がついていたから取っただけで……で、撫でたらちょっと恥ずかしくなっちゃって……」
「……」
どうやら、俺の盛大な勘違いだったようだ。

小太刀に、種明かしをする。
「実はその本に、外国人のお客さんの髪の毛に埃がついていたので、取ってあげるシーンがあるんだ」
「そ、それで?」
「英語か何か、外国の言語しか通じないと思ったら、日本語で受け答えが可能な外国人だった。でも、お客さんは生まれながらの外国人。当たり前のように『お礼』の意味で手にキスをする」
「それで主人公の女性は、舞い上がる……と」
「その通り。ついでに言うと、背の高い外国人のブロンド髪をなでて、なんだか照れくさくなったその主人公の女性は、顔を赤らめるんだ」
「さ、さっきのシチュエーションまんまじゃない!」
「だからてっきり、小太刀がそのシーンを再現したいんだと思ったんだよ。昨日、鈴木がやったみたいに」
「え? 昨日、まな板とそんな事したの?」
「別のシーンだけどね」
「キモッ!」
「オイオイ、俺にそんな事言われても」
「私の部屋の隣で、そんな事やってたの? うわー、サイアク」
「鈴木のお気に入りのシーンを、ちょっとやってみる事に。成り行きで」
「そんなドラマごっこなんかするなんて、第三者から見れば気色悪いに決まってるでしょ! しかもどうせ、恋愛の部分でしょ?」
「……」
確かに、恥ずかしいかもしれない。
「なんとか言ってよ!」
「悪かった悪かった、小太刀。誤るよ、ごめん」
「ま、まぁ。悪気は無いわけだし、別に何か損害が出たわけでもないし、ちょっと私が恥ずかしいけれど、この件は、不問に処す!」
小太刀は、自分の部屋に戻るまで、終始顔を赤らめたままだった。

翌日。
部屋を出ると、小太刀が立っていた。
「おはようございます、筧さん」
「お、おはよう」
突然の出会いに、ただただ、驚くしかない。
「本日も、いかがですか?」
小太刀は俺の、右手を取る。
「え?」
戸惑う俺。
「どうぞ本日も、おいしいお茶を入れてお待ちしております」
小太刀は鈴木のような笑顔を込めてそう言った。
……これは、『銀座ハイカラ物語』のワンシーン。
たまたま、よく来るお客さんが自分の下宿先の近所である事を知った主人公の女性は、その男性が毎日店に来るように促した。
そのシーンと、まったく同じである。
「わかりました、必ずお伺いさせていただきます」
「それでは、本日、図書委員会本部でお待ちしています」
小太刀は笑顔のまま、スカートのすそを両手で持ち上げて挨拶をする。
その後、軽やかに登校をしていった。
作中では、気を良くしたお客さんが、後程手土産を持って来店する。
俺も何か用意するとしよう。
そう思って鍵をかけようとした瞬間だった。
「……ッ!」
俺は頭を抱えた。
『手土産ではなく、昨日選んだ本をさっさと持って来い』
小太刀は、それを伝えるが為に、ああいう行動をとったのだというのを、やっと理解した。
御園に取られた一本を、どうやら俺で取り返したようだった。
仕方なく、俺は本を取りに戻り、登校した。
「うわたぁっ!」
前を良く見ていなかった俺は、何かにつまずいた。
一冊だけ、本が落ちる。
『ジョーカー』という、推理小説だった。
「やっぱり、俺はババを引いているのか」
なんだか、してやられた感があるものの、少しすっきりしながら、俺は学校へと向かった。


END


いかがだったでしょうか。
5000字と、今回も比較的長めでした。

『同家』というのは、筧と小太刀が同じ建物に住んでいるため、『同家』と表現しています。
更に、最後のジョーカーの部分、つまり『道化師』の『道化』ともかけています。
千莉ちゃんから凪が引いたババを、筧が引く。
そういう流れの話なので、こういうタイトルとしました。
ま、同じ家だからこそ出来るお話なので、まさに『導き』なんですけどね。

さて、次回はもちろんつぐみです。
もうある程度頭の中では出来ています。
明日はサンクリなので、早めに寝たいなぁ。
もしお会いしたら、声をかけてくださいね。
そして、このSSの感想がいただけると、嬉しいです。

米原

大図書館の羊飼い Library Party 鈴木 佳奈 スペシャルSS 二人だけのライブラリー


こんにちは。米原です。

今日は某声優さんの愛娘、瀬名愛理ちゃんの誕生日ですが……。
オーガストファンにとっても、大きな一日となっています。

まず、ChaosTCG エクストラブースター 大図書館の羊飼い-Dreaming Sheep-の発売日です!
なんとか10BOX(3000円*10個+税+出なかった千莉&真帆キラカード=4万円ぐらい)をゲットし、とりあえず一通りは出たのではないかという試算。
ここから足りないものは、追加していきます。

さらに、大図書館の羊飼い Library Party のSAMPLE CGが登場しました!
つぐみ、佳奈、凪の新規CG+つぐみ、玉藻、千莉の既存CG、合計6枚が公開されました。
そこの佳奈すけが余りにもかわいくって……。
ChaosTCGの整理の前に、無性に書きたいSSを完成させます!


大図書館の羊飼い Library Party
鈴木 佳奈 スペシャルSS 二人だけのライブラリー


冷たい風が頬に当たる。
だが不思議と、寒いという感覚が無い。
集中できぬままに、本を閉じる。
これは決して、この冷たい風のせいではない。
「筧さーん」
噂をすれば、登場だ。
「はひー。はひー。お、おまたせしました!」
急いで来てくれたのだろう。
額に汗が滲み、肩も胸も、大きく揺れている。
「お疲れ様」
「いやー、もう今日は集中出来なくって」
いつぞやのLサイズの笑顔を見せてくれる鈴木。
なんだか、お金を払わないといけないような気分になった。
「鈴木、服装がアプリオのままだぞ」
「もう一秒でも早く読みたかったので、このまま来ちゃいました!」
「……い、良いのか?」
「んー、ま、大丈夫でしょう!」
まるで、ここだけ昼間のようだ。
「嬉野さんに怒られても、知らないぞ」
「とりあえず、この制服のクリーニングは各個人で行うので、持ち帰り自体は、問題になりませんね」
「あとはこの格好で歩く事か」
「まぁ生徒も少ないですし、問題ないでしょう! って筧さん。そんな事より、早く早く!!」
「わ、わかったわかった!」
鈴木に背中を押され、俺達は校門の外へと出て行った。
これから向かう先は……俺の家である。

鈴木は、額の汗をぬぐいながら、俺の隣を歩く。
「いやーしかし、持つべきものは友ですよねぇ。私、もう楽しみで仕方なくって!」
「さっき、『仕事に集中できなかった』って言ってたけど、嬉野さんには怒られなかった?」
「幸い、お客様が少なかったので、目をつけられませんでした。お客様も、私の為に、今日はアプリオを遠慮してくれたのでしょう!」
凄く傲慢な解釈。
だが、そう考えたくなるぐらい、今鈴木は嬉しく、かつ、上手く行っているのだろう。
「しかし筧さん。『銀座ハイカラ物語』なんて、どうやって手に入れたのですか?」
「古本屋をくまなく探した。専門の店はべらぼうに高いから、もう色々な店を、足しげく」
「ふむふむ、やっぱりフットワークが重要なんですね」
「こういうのは、地道に探すんだよ。一生という長い間に読めれば良いんだ。あせる事はない」
「いやー、でも私は楽しみで仕方ありません。彼女の奇想天外な日常が、早く見たくてたまりません!」
よだれが出そうなくらい口が開き、眼をキラキラと光らせる鈴木。
理由は、鈴木がぜひ読んでみたいと言っていた本、『銀座ハイカラ物語』が、俺の家にある事を知ったからだ。
時は大正時代。
明治の分明開化とは一味違う、更に新しい洋風文化が日本へ流入した頃。
一人の女性が、銀座のカフェで、ウェイトレスとして働く事になった。
彼女は売り上げに応じた給料を貰うため、少しでも売り上げを上げようと必死だった。
その為に書いたのが、日記。
その日記をベースに、晩年、彼女が書いたのが、『銀座ハイカラ物語』である。

「特に後半部分ですよ。主人公の女性が、『この人なら!』と思う男性と出会い、少しずつ惹かれあうシーン。あの部分が見たくて見たくてたまりません!」
興奮気味に話す鈴木。
しかし、何故そんなに詳しく知っているのだろうか。
「鈴木、『銀座ハイカラ物語』昔読んだ事があるのか?」
「いやー、実はまったく無いんですよ。ネットで知った知識、ってやつですね」
「そんなに内容を知っていると、面白みが無いだろう」
「そんな事ないですよ。とある大学の実験によると、人はある程度ストーリーを知っているほうが、きちっと内容を理解できるそうですよ」
「確かに、ある程度内容が頭に入っている方が、細かい所に気を配れて、全体をじっくり見られそうだな」
「そうなんですよ。ネタバレ嫌いの人っていますけど、私は、ある程度調べてからその作品を見たほうがいいと思うんですよね。文字から浮かび上がるその風景は、そのほうが絶対、明確に映ります!」
興奮気味に話す鈴木。
俺が知らない鈴木の一面を知り、ちょっと驚きだが、これだけ本について熱心に語れる相手がいるというのは、俺としても嬉しい。
俺は、ずっと一人で本を読んできた。
もしかしたら、探していたのかもしれない。
俺の本棚を、一緒に共有してくれる人を。
「それより筧さぁん! お家はまだなんですか!?」
「もう少しだ、ホラ、歩け」
「わっかりましたぁ!」
鈴木は俺の手を取ると、駆け出した。
「筧さん、次の角、どっちですか?」
「おっ、オイ鈴木、引っ張るな! あ、左! 左……って、そっちじゃない。俺が言ったのは次の角!」
結局、飼い犬を振り回すご主人様のように元気いっぱいの佳奈を連れ、俺はようやく部屋へとたどり着いた。

せかす鈴木を落ち着かせ、鍵で戸を開ける。
「おじゃましま~す」
流石に、小太刀が隣に住んでいる事を伝えると、鈴木は落ち着いてくれた。
靴を脱ぎ、奥の部屋へ。
「うわ、凄い」
俺の部屋を見た鈴木の一言は、これだった。
「筧さん……ちょっと乱雑すぎません」
「よく言われる」
「第二の図書館だと思って、ちょっと期待していたんですが」
「あいにく、俺のプライベートライブラリーだから、誰も文句を言わない。そして、言わせない」
「む~、この中だと、どれがどれだかわからないじゃないですかぁ!」
むくっと膨れる鈴木。
だが、持ち主を甘く見ちゃいけないんだな、これが。
俺は迷い無く3冊の本を取り出す。
『銀座ハイカラ物語』の上、中、下巻だ。
「うっはーっ! それが幻の!」
その手の古本屋に持っていけば、表に女性が描かれたお札、3枚と交換してくれるであろう代物。
その本を、鈴木に渡す。
「うはは~っ、ありがとうございます。筧さん」
鈴木は早速"中"を取ると、左からページをめくり始めた。
「あ、このあたりですね」
数十ページ送ったところ、そこは作者が男性に一目ぼれしたシーンだ。
「今日、私は始めて、運命というものを肌で感じだ。この世の中にいる、大勢の人間の中で、一人の男性を選ぶ可能性、それは――」
鈴木が朗読を始める。
「鈴木、本は逃げないから、ゆっくりと読め。あと、やっぱり頭から読んだ方が面白いぞ」
「ですよねー」
「ほら、ここ、座って」
俺はベッドを薦める。
「え? いいんですか?」
「見ての通り、他に場所が無いからな」
「あ~」
周りを見渡した鈴木は納得したのか、ベッドのふちに腰かけた。
「俺はコーヒーでも用意するよ」
今日ばかりは、刺激物が欲しくなった。

電気ポットに水を注ぎ、スイッチを入れる。
ふと鈴木を見ると、上巻ではなく、下巻を読んでいた。
「……まったく」
気持ちは、わかる。
『銀座ハイカラ物語』は、大正時代の生活がよく書かれている。
当時を知る為の歴史的資料ともいえる本だ。
どんなものが流行ったか。
どういうものを求められたか。
事細かに書いてある。
だが、後半は、出会った男性に一目惚れし、その内容ばかりになる。
ある日、魅力的な男性が、作者である女性が働く店に来店した。
彼女は、積極的に男性に声をかけ、また、男性はそれに応じてくれた。
何度も何度も来店するうちに、二人の中は親密になっていった。
彼は、小さいながらも会社を経営しているらしい。
どんな会社なのか気になった女性は、こっそりと男性をつけた。
すると、そこはとある政治結社だった。
しかも、過激で有名な。
……彼女の恋の炎は、一瞬で消えたらしい。
この恋愛描写の部分は、女性の心の動きが本当に良く書かれている。
店内での女性のアピール合戦。
デートをすれば、ねたまれたり、ありもしない陰口を叩かれたり。
そうしてやっと手に入れられると思った地位を、一瞬で失った瞬間。
どれも非常に良く書かれている。
鈴木は、その部分に、ものすごく興味があるようだ。

「どうだい、鈴木。そんな恋愛は?」
一瞬、ビクッとする鈴木。
俺が勧めた上巻ではなく、こっそりと下巻を読んでいたつもりのようだが、バレバレだった。
「彼女が燃えるような恋をしたくなる理由が、時より日々の日常に出ている。だからこそ、上巻から読む事を勧めたのに」
「あはは~……。すみません。どうしても気になっちゃって」
「ま、気持ちはわかるさ。作者の体験した燃えるような恋、俺もしてみたいなぁって思うよ」
「本当ですか!?」
突拍子も無い声を上げる鈴木。
俺は思わず驚いてしまう。
「じゃぁ……」
一瞬黙る鈴木。
「じゃぁ……、筧さん。その恋愛、ここで体験してみませんか?」

samplecg_05

鈴木はベッドの上に登ると、ひざ立ちをした。
作者が惚れた男性は、洋室よりも和室を好んでいたため、女性は接客時、よくひざ立ちをしていたのである。
「……」
顔を赤めながら、鈴木は自分の右側のスカートのすそを、腰の高さまで持ち上げる。
鈴木の、健康的な太ももが、はっきりと見える。
ストッキングによって引き上げられている右脚は、俺をドキッとさせた。
「……」
鈴木は変わらずに俺を見つめている。
あの作品の舞台を演じろという事か。
「結構」
俺がそう言うと、鈴木は首を右に傾け、にっこりと笑う。
もちろん、スカートはもう少し上げ、よりラインを、際どく見せた。
「よしなさい、お嬢さん。これ以上やると、悪い虫がつくよ」
「どのような虫ですか?」
普段の鈴木とは違う声が、俺の中に響く。
「そうさなぁ」
そう言って俺は、鈴木の太ももに触れる。
ひざ側から、太ももの裏を撫でていく。
そして、お知りに触れる瞬間、手を離す。
「ここから先を求めるような虫の事だよ」
「まぁ」
鈴木は、スカートを離すと、ひだ立ちのまま、俺の隣に座る。
そして、手を胸の前に組んだ。
「それでは、そんな虫に食べられてしまう前に、お一ついかがですか?」
「そうさなぁ」
俺はわざと、大げさに考えるふりをする。
その後、キザに言う。
「私は、紳士だからねぇ。それは出来ないなぁ」
「ふふっ」
鈴木は笑うと、俺の耳元で、そっとささやく。
「信じてましたよ、未来の旦那様」
そう言うと、俺のコーヒーカップを持って、台所へと消えていった。

「どーでした、どうでした? 筧さんでも、ドキッとしました!?」
台所から聞こえる鈴木の声は、色っぽいかったさっきの声から、いつもの鈴木の声に戻る。
「あぁ。結構ドキッとさせられたよ」
「そりゃそうでしょう! アプリオの人気ナンバーワンウェイトレス、鈴木佳奈に触れられたのですから!!」
「……んっ?」
「『んっ?』とは何ですか、失礼な! 私だって結構恥ずかしかったんですからね!!」
「いや、悪い鈴木。そういえば、俺、鈴木の太ももに触ったな」
「そうですよ。そういうシーンなんですから。それで、それで? ドキッとしてくれました?」
「わり、役に入り込んでて……今頃、恥ずかしくなってきた」
「な、な、なんですってーーーーー!!」
怒り爆発の鈴木。
「い、い、一体何のために、私が体を張ったと思っているのですかっ! 筧さん!!」
「わ、悪い。鈴木が役者だったから、それに答えなきゃと必死で!」
「むー!」
不機嫌そうな鈴木。
「わ、悪かった悪かった。なんでも一つ言う事聞くから、許してくれ」
「……本当ですか?」
「あぁ、男に二言は無い」
「でしたら……」

鈴木は後ろを向き、大きく深呼吸をする。
そして、俺のほうを向くと、再び、あのポーズをした。
スカートの右側のすそを、腰の高さまで持ち上げる。
西洋では、女性が踊る前にするこのポーズ。
この店では『今からお相手させていただきますので、よろしくお願い致します』の意味で使っていた。
そして、女性は、意中の男性には、そのままのポーズでい続けた。
それが、内緒の求愛のサインだった。
そのポーズを、鈴木が、今俺の目の前で取っている。
これはつまり……。
「結構」
俺は、あの作中と同様の発言をした。
俺がそう言うと、鈴木は首を右に傾け、にっこりと笑う。
もちろん、スカートはもう少し上げ、よりラインを、際どく見せた。
「よ、よしなさい、お嬢さん。こ、これ以上やると、悪い虫がつくよ」
どもりながら、台詞を言う。
今は、あの時とは違う。
これは、劇ではない……のである。
「どのような虫ですか?」
先程聞いたばかりの、普段の鈴木とは違う、女性らしく、高くて澄んだ声が、俺の耳に届く。
「そ、そうさなぁ」
俺は腕を震わせながら、鈴木に手を伸ばしていく。
心臓をバクバクさせながら、鈴木の右手を取る。
そして、持っていたスカートを下ろさせた。
「こ、こんなはしたない鈴木、見たくない」
「筧……さん?」
「そ、その、鈴木にはもっとピュアで……そんな体をアピールするような事は、し、して欲しくない」
「筧さん……」
「お、俺は、普段の純粋な鈴木、結構好き」
「……!」
顔を赤める鈴木。
「だ、だから、焦って求愛を求める、結婚適齢期末期の女性の真似事はして欲しくない」
「筧……さん」
目の前にある鈴木の顔が近づいてくる。
「私の事、結構まじめに思ってくれてるんですね。ありがとうございます」
鈴木は、耳元でそうささやいた。
「鈴木……」
「筧……さん」
自分の体を支えていただけの二人の腕が広がり、絡まりはじめた、その瞬間だった。
「ぴーーーーーっ!」
……。
お湯が沸いた。
「あーーーーー」
鈴木は、ベッドから降りてパタパタとキッチンへと向かった。
「筧さん。私もインスタントコーヒー、いただきますね」
こうして、俺達のロマンチックタイムは終了した。

運悪く、気分がブチ壊しになったせいか、鈴木はいつもの鈴木だった。
作者の感情のごとく、一喜一憂しながら、物語を読み進めていく。
三十分ほどが経ち、『上』をそろそろ読み終えるであろうところで、鈴木は本を閉じた。
「筧さん、この本、借りて行っていいですか?」
「え? あぁ、別にかまわんぞ」
「そうですか、ありがとうございます」
鈴木は笑顔でそう言うと、パタパタと荷物をまとめ始めた。
「結構経っちゃいましたね」
気が付けば、11時近かった。
「筧さん、今日は本当にありがとうございました」
玄関前で、深々と頭を下げる鈴木。
「いえ、こちらこそ。また読みたい本があったら、遠慮なく来てくれ」
「はい。ここは私の第三図書館ですから、もう毎日でも来たいぐらいです」
「第三? 第二じゃなくて?」
「第一は大図書館、第二は図書部部室、第三がこの部屋です」
「なるほど。確かに、本の分量的にはそれが合ってるな」
「それでは筧さん、おやすみなさい」
鈴木は、スカートの右側のすそを持ち、腰の高さまで上げ、軽く礼をした。
そのスカートをひらりとさせながら、回れ右をして、玄関から消えていった。
玄関より冷たい風が部屋に入り込み、俺の頭をクールダウンさせる。
その涼を求め、俺は外へ出た。
あの鈴木の一瞬の行動は、当分俺の頭から離れないだろう。
「はじめての人、か」
あの行動は、作者の女性が、初めてお客さんに恋したときに取った行動だった。
なお、このアピールが、女性従業員による、お客さん争奪戦の勃発原因だという事は、いうまでもない。
ふと下を見ると、そんなかわいらしいポーズをとった鈴木が、マンションから駆け出していく。
俺の視線に気が付いた鈴木は、今一度あのポーズを取った。
今度は、回れ右の後に、一回転を追加して。
俺は当分、外で涼まざるを得なかった。


END


大図書館の羊飼い Library Party
鈴木 佳奈 スペシャルSS 二人だけのライブラリー
いかがだったでしょうか。

ライブラリーというのは「図書館」という意味ですが、コンピュータプログラムでは「汎用性の高い複数のプログラムを、再利用可能な形でひとまとまりにしたもの」とい意味です。
ライブラリは他のプログラムに何らかの昨日を提供するコードの集まりと言えます。
そのプログラムというのは筧であり、佳奈すけです。
コードは、筧や佳奈の起こした行動(求愛活動)の事です。
それらと図書館を意味する『ライブラリー』をかけ合わせ、今回のタイトル、『二人だけのライブラリー』というタイトルで話を進めました。

しかしかわいい。
佳奈すけかわいい。
驚くほどかわいい。
すごくかわいい。

そんな佳奈すけのワンシーン。
お楽しみいただけたら幸いです。

米原 伊吹


PUSH 10月号、TECH GIAN 10月号、それぞれ発売!

こんにちは。米原です。

ついに発売しました、PUSH 10月号とTECH GIAN 10月号。
私は金銭的な関係上、PUSHのみ購入したのですが、TECH GIANもやはり買うべきだったと思っています。
……月明けには買おう。

というのは、TECH GIANの方が、「千の刃濤、桃花染の皇姫」ならびに、「大図書館の羊飼いアニメ情報」共に多いみたいです。
まず、千の刃濤、桃花染の皇姫のほうですが、共にインタビュー形式になっています。
TECH GIANには、タイトルの理由や、べっかんこう先生&夏野イオ先生へのインタビューが掲載されています。
例えば、

・タイトルの”刃濤”は造語。
 濤瀾(とうらん)という刃紋の一種で怒涛のような模様があって、その単語から発想を得て、怒濤、波濤、白刃といったイメージを掛け合わせて作った言葉。

という紹介があるようです。
(ちなみに、当てました!あと、髪の色は奏海が薄い茶色だった以外、ドンピシャです)
ですが、PUSHにはそのような事は掲載されていません。
(タイトルの意味は、「大まかには主人公とヒロインのことをさしているが、いろいろな意味も込められている。本編をプレイして確かめて欲しい」と、なんとも情けないお言葉)

ただし、神殿と宮殿のCGが載っていたり、ラフ絵が多かったりというメリットもあります。
(それらももしかしたらTECH GIANに載っているかもしれませんが、買っていないので知りません)
また、こちらにはデザインイメージを「オーガストスタッフ」が語っています。
さらに、応募者全員テレカと、かわいらしい表紙が好きな人は、PUSHしかないでしょう!
情報狙いではTECH GIAN、グッズ狙いではPUSH狙いがベストです。
しかし、やはり両方買うしかないのです!

ちなみに、各キャラに対するコメントが、TECH GIANには絵師ごとにインタビューがあるようです。
そのため、

朱璃、古杜音、エルザ→べっかんこう先生
奏海、滸→夏野イオ先生

というのが確定しました。

私は奏海はべっかんこう先生、エルザはイオ先生だと思っていましたが、外しました。
まだまだですね。
なお、見分け方は、

・眉間に近いほうのまつげを、イオ先生の方が荒く描く。
・頬の赤みが、イオ先生の方が長く、粗い。
・イオ先生は、ラフ絵のとき、眼の下半分に白い部分を残さない事が多い。
・べっかんこう先生に比べて比較的眼が縦長で、それにより白目の面積が細くなる。(真似する場合)
・べっかんこう先生と同じキャラを描いた場合、細身になりやすい。

この五点が特徴だと私は思っています。
ただし、私が間違えたとおり、絶対ではありませんのでご注意ください。

今回の言い訳をしますと,

・カラーではなかった。
・奏海は正面絵ではないため、頬の長く粗い部分は、遠近法の関係だと思った。
・奏海のまつげが、今回はまとまっていた。
・エルザのまつげは、比較的粗かった。
・奏海、滸と比べるとそうでもないが、エルザの頬が少し粗かった。

という感じでした。

また、TECH GIANには大図書館の羊飼いアニメ情報のインタビューも載っています。
……あぁ、早く買いたい!

ちなみに声優さんの情報は入っていません。
ですが、私は下記であると予想します。

・宮国 朱璃 (みやぐに あかり)→小鳥居 夕花さん
やさしさと品格を残しつつも、ちょっと甘えん坊でいたずら娘だと思われる朱璃ちゃん。
それには、この方がぴったりな声だと思います。

・"翡翠帝"鴇田 奏海("ひすいてい" ときた かなみ)→桐谷 華さん
ラヴィリア、凪に続いて三連投。
彼女にはぜひ聖女イレーヌの真似をしていただいて、この役をやってもらいたい!
それが、奏海ちゃんにはベストだと思うんです。

・椎葉 古杜音(しいのは ことね)→金田 まひるさん
久々登場金田さん。
茉理のイメージが強いですが、茉理っぽさを残しつつも、もう少し落ち着いたキャラが出来ると思うんですよね。
元気だけど、ちょっと甘えん坊。
でも、茉理ほど強気でないキャラを、ぜひお願い致します。
ただ、ぶっちゃけ、次の方でもいいんですよねー。

・稲生 滸(いのう ほとり)→橘 桜さん
もう武人と言えばこの方しか居ないでしょう!
先ほども描いたとおり、古杜音役でもいいのですが、滸もやってもらいたい。
……うーん、もう両方やってください!
お願いします、橘さん!

・エルザ・ヴァレンタイン→五行 なずなさん
これは決定事項です!(?)
この方しか居ません!!
都合が悪ければ、北見 六花さんでもかまいません!!!!
とにかくこの人意外考えられませんので、今からスケジュールを抑えて!!!!!!!!

ちなみに、羊飼いの予想は、こうでした。
(大ハズレ)
さて、今回はどうなるか!

なお、TECH GIANによると、何事も無ければ発売は来年だそうです。
私は常々秋口だと予測しております。
場合によっては2016年初頭かもしれませんが、早く発売して欲しいものです。
また、

・「魔法のような特別な力」は存在するが、一部の人のみその力を使うことができる。

そうですので、そのあたり期待したいところ。
あと、主人公鴇田 宗仁(ときた むねひと)は、こんな人です。

戦争で家族と自らの記憶を失った主人公。
戦後は稲生家で世話になり、現在は糀谷生花店(こうじやせいかてん?)で働きながら一人暮らしをしている。
剣の腕前は師範代クラス。
使える主を失った今でも、鍛錬を怠らない。
武人そのものの素直な性格だったが、花屋で仕事をするうちに丸くなった。

そうです。(記事抜粋)
朱璃が持っているスズランらしき花も、宗仁のプレゼントなのでしょうか。

ちなみに、PUSHにも大図書館の羊飼いの重大ニュースが来月にありと記載。
一体、何だ!

米原

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