2006年01月24日

堀江逮捕に思う。

ライブドアは「行儀が悪い会社」だと思う。
株を買う奴もアホだと思う。
でも彼らの叩かれている論調が不快なのは何故だろうね?

あらゆる紋切り型が気に障る。
ホリエモンはヒルズ族。勝ち組のシンボルだ。
彼らは軽薄。「何でもお金」という人々。
小泉政権の規制緩和で堀江は「勝ち組」となった。
虚業なのに小手先の錬金術で泡銭を…。

「虚業」とはなんだろう?
ライブドアは急成長したから胡散臭い?
IT企業の歴史は「雪だるま式成長」だ。
「核」になる会社が他社を吸収し、巻き込んで膨らんで巨大化する。
ヤフーもグーグルも「成長のスピード」で言えば同様だ。

ライブドアは確かに一種の「投資会社」だった。
彼らは革新的な技術を持った企業でない。
ウェブの製作から始まり、ITバブルに乗って資金を集めた会社だ。
「イメージ」で時価総額を膨らませ、それを利用し企業を買い進んだ。
一種の「わらしべ長者」である。
株式分割後の「需要と供給のアンバランス」を利用し、
微妙なタイミングでM&Aを実行する「奇策」も用いた。

彼らの「奇策」とその胡散臭さを、俺らはよく知っていた。
投資家は「騙されて」なんてないから!
ライブドアが「特殊な会社」だと知った上で、
値動きの激しさや「可能性」に賭け、リスク覚悟で買っていたはずだ。

ただライブドアはタイミングを上手くつかみ、正しいリスクも負っていた。
「真面目なビジネスをしていた」部分が皆無ということはない。
決して「楽に稼いだ」わけでもない。
偽装や粉飾「だけ」が彼らを支えたわけでもない。

そもそも「本当の価値」とはなんだろう?不動産?機械?
「知的な価値」「身体的な価値」を、どうやって計れるというのだろう?

企業買収は恐ろしく過酷な「肉体労働」だ。
法律や計数の知識が必要で、企業の調査や交渉に神経を消耗する。
彼らは日付が変わるまで働く。だから堀江はストレスで太った(笑)
俺の知る限り「勝ち組」と呼ばれる人は、過剰なくらい働いている。
友人にヒルズの外資系投資銀行員がいたけど、「20時間」働いていたな(笑)

知的、体力的に、彼らこそは社会の「エリート」だ。
少なくとも、俺が持っていないものを持っている。
彼らは「知的な部分」で差別化を図らねばならない。
時に「無駄な価値」を産む。「ギリギリ」を追求して踏み外すこともあるだろう。
「優秀な人が非生産的な仕事」ということなのか?俺は必ずしもそうも思わない。
そういう「知的な試行錯誤」が、ちょっとずつ社会を前に進めるんだ。

「金融」「商業」という仕事は、目に見える価値を産まない。
中世のヨーロッパではキリスト教徒に許されぬ「賎業」だったそうな。
日本でも「士農工商」の底辺に位置づけられている。
評価が難しいのは確かなんだろうけど。
でもこの社会が豊かになったのは「ものつくり」だけの所為なのかな?
少なくともマスコミよりは価値を産んでいるに違いない!(笑)
そもそも「お金」という価値の表象があるから、
俺らは自分の労働を売り、欲しいものを手に入れられる。

「生産」は人手を掛ければアウトプットが増えるというものでない。
100年前と「現代」は違う。
「情報」とか「移動」とか、もっと別の部分に労力が割かれる時代なんだ!
「虚業」がこの社会を悪くしている、という見解を俺は取らない。

俺は現代の「IT企業」に、戦前の鉄道王・不動産王を見る。
ライブドアや楽天、ソフトバンクは、ネット上で「陣取り合戦」を繰り広げた。
ブロードバンドという「線路」や、eビジネスという「物件」を買い集めた。
五島慶太、堤康次郎といった人たちと同じだ。
五島は逮捕され、堤はピストルで命を狙われた。
いつの世もビジネスの「フロンティア」には、生臭い話が付きまとう。
そういう人には必ず「罪」がある。しかし「功」もある。

そういうビジネスはある種の「イデオロギー」と相容れない。
「世の中はどんどん悪くなっている」という価値観がある。
この社会は何かを喪っている、道徳的に堕落している…という想いだ。
人々は金とか性といった「煩悩」に支配され、
精神的なものが疎かになっている。そういう問題意識だ。
左右関係なく「政治的にハイテンションな人」に共有されがちな価値観だ。

それはそれで俗物的な「虚善」だと思うのだが、警察やメディアはこれが好きだ。
「社会が悪くなっている」からこそ、警察権力の積極的な発揮は有用だ。
メディアはそれを批判し、自分達の存在感を主張できる。
彼らは「社会が良くなったら」失業してしまうんだ!

「堕落論」は、使い勝手のいい価値観でもある。
エロ本やビデオ、風俗がこの社会を汚している!
それを「いやそうでない!」と否定するのは難しいから。
発言者の社会的評価が下がってしまうだろう。
「下劣な文化が社会を悪くしている」「犯罪を誘発している」…。
そういう議論は統計的に誤りでも、政治的には正しいんだ!

国政や官庁、企業に対して、警察は「抑止」になる。
しかし警察に「抑止」が無い。
俺は彼らに「純粋な想い」の宿ることが、果てしなく怖い。
日本赤軍やオウムと戦っているうちは、まだ良かったのかもしれない。
角栄みたいな「巨悪」と対峙している分には、バランスが保てたのかもしれない。
でも今、彼らは「敵」を失い「孤独な権力」になってしまったのではないか?
自ら敵を作り出し、存在意義を主張する必要が出ているのではないか?

メディアも緊張感を失ってしまった。政治的経済的に「守られた」存在だ。
スクープは「癒着」だ。権力との距離が近いほどネタが取れる。
彼らは特捜部の「リーク」に飛びつき、無批判に追随する。
警察に対して「真に迫る」記事を読んだことあります?
捜査費用の「流用」こそ、権力を背にした悪質な「粉飾」「隠蔽」ですよ?
しかも北海道や宮城に止まらない全国的、構造的な「巨悪」ですよ?
でもおざなりな報道でお茶を濁し、踏み込んだ取材は何も無いんだ!

敢えて言うなら警察や報道こそ「虚業」である。
彼らは生産や分配にコミットしない。
「人の不幸」を漁って食べる、ハイエナみたい存在だ。
価値観的に妙な親和性がある。
お互いの職業に「相互依存関係」もある。
警察もメディアも「浮世離れした」人たちなんだ。
「体で感じた現実」でなく「脳内で想像した仮想現実」に動かされやすい。
「見るべきもの」じゃなくて「見たいもの」を見ちゃう。

メディアは「偽計」「風説の流布」「粉飾」といったレッテルを煽り立てる。
「推定無罪」どころの話ではない。率先して「社会的処刑」を実行する。
でもそれがどういう内容で、どういう罪に値するのか、という分析がない。
「懲役10年」の罪なのか、「罰金50万円」の罪なのか?
そういう区別が付かぬまま、「ホリエモン的なもの」を漠然と罰していないか?

「金銭的な豊かさより精神的な豊かさ」と主張する奴が苦手だ。
「虚業でなく実業」と語る奴が嫌いだ。
そういう主張自体は正しいのかもしれない。
しかしそういう主張がどういう結果をもたらすかを、不吉に思うのだ。
右翼や左翼でなく、「幻想派」を俺は遠ざけたい。

「精神的な豊かさ」を生み出すのは、例えば「本」だ。
製紙や印刷や取次の機能があるから「知」がある。
「本当の価値」を追求して、「純粋な生産」だけに注力する。
それの行き着くところは、クメール・ルージュじゃないか?
「文明」の実体を所与のものとして見過ごし、
その上で「物質でなく…」などと言う奴は、間抜けに違いない。

堀江はどんな「罪」を犯したというのだろう?
法律上、条文上の「罪」は理解できる。
でも俺ら、あいつのせいで不幸になったのか?
空気を恐れずに言うなら、俺は「彼の悪さ」が理解できない。
そりゃ、多少は人々の嫉妬を買ったかもしれない。
しかし特捜部が乗り出して「浄化」に乗り出すような巨悪か?
虚像が拡がって、勝手にこの社会の矛盾の象徴にされていないか?

俺個人としては、質素で欲張らないライフスタイルが好きだ。
そんな俺の何倍も貰っている人が「ヒルズ族」を頑張って批判している。
あれは一種の「同族嫌悪」なのかしらん?

augustoparty at 00:20│Comments(4)TrackBack(2)メディア問題 | 社会

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この記事へのコメント

1. Posted by 沈思黙考   2006年01月26日 04:45
党首さん、上記の「法律なんて」共々、とても愉快に読ませていただきました。
(本当は、あまりの文字の小ささに驚いております)
検察の行き過ぎを諌める報道が、ほんの少しでも地上波に流れることを期待しているのですが・・・
また、時々拝見させていただきます。
追記、先般の口上、御容赦ください・・・
2. Posted by 党首   2006年01月26日 08:25
> 党首さん、上記の「法律なんて」共々、とても愉快に読ませていただきました。
> (本当は、あまりの文字の小ささに驚いております)

ありがとうございます。
文字のサイズについては、ライブドアの責任です!

> 検察の行き過ぎを諌める報道が、ほんの少しでも地上波に流れることを期待しているのですが・・・

一時の興奮が収まれば「バランスを取ろう」という心理も出るでしょう。
新聞やテレビで「インターネット世論」が取り上げられることも増えました。
周囲と話をしても、完全に「反堀江一色」ということはありません。
むしろ「メディアは暴走してないか?」という疑問を多くが持っています。
そういう声に彼らが答えるタイミングは来るでしょう。

お待ちしてます。「手厳しい」コメント歓迎です!
3. Posted by 亀戸ママチャリ日記   2006年01月26日 10:30
はじめて読ませていただきました。おかげさまで、報道をみていて感じていた違和感、私の頭の中で整理されずに漂っていた霧のようなものが、少しはっきりしたような気がします。更新たのしみにまってます。
4. Posted by 党首   2006年01月28日 18:21
> 亀戸ママチャリ日記様

コメントありがとうございました。
些少でもお役に立てて光栄です。

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