2008年01月14日

高校サッカー決勝 流経大柏×藤枝東

国立競技場に着いたのはキックオフ1時間半前だった。
千駄ヶ谷門は当日券の行列と人波で息苦しいほどだ。
係員が「今から並んでも売切れてしまう可能性があります」と叫んでいる。
当日券はキックオフ1時間前で完売だったらしい。
確かに注目度の高い両校が決勝に残った。
でも国見や市船がやった時のような「スター」はいない。
満員近くになるとは思ったけれどここまで出足が早いとは…。
高校サッカーのブランドを過小評価していましたね。

流通経済大学付属柏高校
GK  1 須藤亮太  3年 182/67
DF  2 中冨翔太  3年 161/60
    3 天野健太  3年 177/67
    5 秋山心   3年 178/70
   16 比嘉祐介  3年 168/67
MF  6 海老原慎吾 3年 173/70 
   13 名雪遼平  3年 175/65
    7 中里崇宏  3年 172/67   
FW 10 大前元紀  3年 166/56
    8 村瀬勇太  3年 173/60
   18 上條宏晃  3年 175/65

−−-村瀬-−−上條−−-大前-−−
−−−−-中里−−−名雪-−−−−
−−−−−−-海老原-−−−−−−
−比嘉−−秋山−−天野−−中冨−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−須藤−−−−−−−

藤枝東高校
GK 17 木村誠志  1年 177/75
DF  2 村松大輔  3年 176/73
    3 小関教平  3年 179/69
    4 鳥羽亮佑  3年 178/69
MF  7 藤田息吹  2年 168/65
    5 石神幸征  3年 172/62
    6 小林勇輝  2年 173/68
    8 平井大樹  3年 163/60
   10 河井陽介  3年 163/54
FW 11 松田純也  3年 175/68 
    9 岡崎太一  2年 176/70
   
−−−−岡崎−−−−松田−−−−
−−−−−−−河井−−−−−−−
−平井−−小林−−石神−−藤田−
−−−鳥羽−−小関−−村松−−−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−木村−−−−−−−


両チームともベストメンバーが揃った。
出場停止選手はゼロ。流経大柏の上條宏晃も戦線復帰だ。

流経大柏は選手の組み合わせが自由自在なチームである。
今日は3トップを組んできた。
藤枝東の3バックを守りにくくする布陣である。
中盤の底には海老原慎吾が入った。
カバーリングはもちろん、河井陽介をケアする狙いだろう。

4分、藤枝東は鳥羽亮佑に警告。

6分、流経は村瀬勇太が右サイドのスペースに入れる。
名雪遼平が縦に抜けて折り返し。
大前元紀がエリア内で囲まれながら鮮やかなステップを踏んでキープ。
村瀬勇太がリターンに合わせて走りこみ見事な右足ボレーを沈めた。
<流経大柏 1−0 藤枝東>

7分、流経はDFからのフィードを上條宏晃が競る。
中里崇宏が抜け出してシュート。枠のわずか右。

12分、流経は中里崇宏が左サイドからクロス。
DFの跳ね返しを村瀬勇太がDFの左足で裏に通す。
上條宏晃が飛び込んでプッシュ。
GK木村誠志が何とかストップ。DFがクリアして逃れた。

16分、藤枝東は前後に揺さぶって平井大樹が左クロス。
流経DFに引っ掛かってCK。

20分、流経は村瀬勇太の右スローイン。
DFの跳ね返りを名雪遼平がボレー。枠の上。

25分、流経の速攻。
上條宏晃のポストから村瀬勇太が左サイドを突く。
村瀬の折り返しから名雪遼平がシュート。弱い。

30分、流経は右サイドからのFKを中里崇宏が入れる。
秋山心がファーサイドでヘッド。枠のわずか上。

33分、流経は上條宏晃が楔パスを受けてDFに身体を当てる。
力強く抜け出して左足シュート。枠の上。

40分、流経は上條宏晃のポストから名雪遼平が左に鋭い展開。
村瀬勇太がエリア左から折り返し。DFがブロック。

41分、藤枝東は松田純也が前線で粘って戻す。
藤田息吹が中に繋いで河井陽介が左へサイドチェンジ。DFが戻ってクリア。

43分、流経は名雪遼平がヘッドで前線に落とす。
大前元紀が左に流して村瀬勇太が右足ループシュート。
GK木村誠志がナイスパンチ。
上條宏晃がこぼれ球を拾って右から折り返し。
大前元紀のシュートは弱い。

前半は流経が1点リードで折り返し。
完全に流経大柏のペースである。
藤枝東の3バックは「後ろに戻りながら」の対応が多かった。
流経は両ストッパーの外へパスを入れてそうなるように仕向けていた。
これが続くと奪ってからの切り替えが遅くなる。
DFラインはどうしても押し下げられる。
流経の中盤は余裕を持ってボールが持てるようになる。
藤枝東は完全な悪循環に嵌まっていた。
ただし流経の最終ラインも中に絞る守り方である。
藤枝東にとっても相手の両サイドは狙い目だった。
なぜ流経にそれができて、藤枝東はそれができなかったか?
プレーの「質」に差があったということだろう。

さて試合を後半。
47分、藤枝東は河井陽介が右サイドに開く。
藤田息吹が縦に抜けてクロス。岡崎太一が飛び込むもわずかに届かない。

48分、流経は村瀬勇太が左サイドから折り返し。
上條宏晃がDFを背負ってキープ。
上條のヒールから大前元紀が抜け出す。
大前は左斜めから右アウトでシュート。
GK木村誠志は指先で何とかコースを変える。
名雪遼平が右サイドでこぼれ球を拾って折り返し。
大前元紀が左足ダイレクトボレー。角度のない位置から完璧に叩き込んだ!
<流経大柏 2−0 藤枝東>
スーパーゴール。まさにオーマエ・ゴッド!

52分、流経は中冨翔太に警告。

52分、藤枝東は平井大樹→中村龍一郎。
藤枝東の布陣はこうなる↓
−−−−中村−−−−松田−−−−
−−−−−−−河井−−−−−−−
−藤田−−小林−−石神−−増田−
−−−鳥羽−−小関−−村松−−−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−木村−−−−−−−


52分、藤枝東は右サイドからのFKを河井陽介が入れる。
跳ね返りを石神幸征のボレー。流経DFがブロック。

54分、流経は中里崇宏が大前元紀のヒールを受けて左サイドを抜ける。
藤枝東のCBが中里のクロスに被って流してしまう。
上條宏晃が遠いサイドでキープ。反転してシュート。
決定的な場面だが上條のシュートは枠の外。

55分、流経は村瀬勇太がドリブルで持ち上がって左に開く。
大前元紀が抜け出して右足のサイドキックで流し込む。
このシーンはわずかにオフサイドだった。

61分、藤枝東は河井陽介が左からのパスを受けてミドル。枠の上。

62分、流経は村瀬勇太が前線にフィード。
上條宏晃がワンタッチで角度を変える。
比嘉祐介がこれに反応して縦へ切れ込む。
比嘉は鋭いドリブルでエリア左をえぐって折り返し。
上條宏晃が潰れてDFを引き付ける。大前元紀が左足で押し込んだ!
<流経大柏 3−0 藤枝東>
素晴らしい!アイディアと技術とコンビネーションの詰まったゴールでした。

66分、藤枝東は岡崎太一→稲葉英昭。
藤枝東の布陣はこう↓
−−−−松田−−−−稲葉−−−−
−−−−−−−河井−−−−−−−
−藤田−−小林−−石神−−中村−
−−−鳥羽−−小関−−村松−−−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−木村−−−−−−−


67分、流経は上條宏晃が傷んで運び出される。
でも上條はここまでよく頑張った。
靭帯を痛めていたそうだが、それを感じさせぬ鋭い動きを見せていました。

69分、流経は2人同時交代。
上條宏晃→田口泰士。海老原慎吾→保戸田春彦。
流経の布陣はこう↓
−−−−大前−−−−田口−−−−
−−村瀬−−−−−−−-保戸田-−
−−−−−中里−−名雪−−−−−
−比嘉−−秋山−−天野−−中冨−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−須藤−−−−−−−


61分、流経は村瀬勇太が左からラボーナで折り返し。
大前元紀がDFの隙間を抜けて左斜めからシュート。
GK木村誠志が掻き出した。

71分、流経は左CKを大前元紀が入れる。
村瀬勇太がニアサイドでヘッドを摺らす。
田口泰士がファーサイドでフリー。体勢を崩しながらボレーを流し込んだ。
<流経大柏 4−0 藤枝東>

藤枝東も最後まで抵抗を止めない。

81分、藤枝東は河井陽介が前線にスルーパス。
稲葉英昭が飛び込むもGK須藤亮太がキープ。

83分、藤枝東は右CKを河井陽介が入れる。
石神幸征が跳ね返りをボレーで狙う。枠の外。

84分、藤枝東は稲葉英昭に警告。

86分、流経は中冨翔太→野村隼人。

ロスタイムの発表は3分。

90分、藤枝東は左CKを河井陽介が入れる。
河井陽介がDFのクリアを拾って左足クロス。
GK須藤亮太が難なくキープ。

そのままタイムアップ。
流経大柏が4−0と完勝。初の選手権優勝を決めた。

流経は凄いチームでした。
高円宮杯を見ているから今日の結果に驚きはありませんね。
藤枝東が悪かったとは思わない。
お互いが「いつものサッカー」をやったらこういう結果になった。
「藤枝東がもっと大きく蹴っていれば」という意見があるようだ。
でも彼らは本大会の一回戦でそういうサッカーをやって失敗している。
もう「つなぐ」しか選択肢が無かったと思います。

今年の流経は10年前の東福岡や4年前の国見と異質の強さだった。
中学時代からナショトレに絡んだ「エリート」は田口泰士だけだろう。
前所属で知っているのはヴェルディ、町田JFC、ディプロマッツ、小録中くらい。
もちろん選手たちは高校に入って伸びたのだろう。
しかし「足し算」では決して全国のトップにならぬチームだ。
戦術が浸透していたのは間違いない。
彼らのプレス、DFラインの操作は緻密だった。
中盤がコースを制約して、最終ラインが鋭い出足で早めに潰す。
相手FWに前を向かせぬ守備が卓抜だった。
でも「決めごとを徹底して勝った」という説明も違う。

彼らには「臨機応変」という表現が似合う。
その時々の状況に応じて、自然と体が動く、役割分担ができるチームだった。
攻守ともに「戦術以上」をやっていた。
今日の4ゴールを見れば分かりますよね?
個の即興に周囲が反応して4人、5人と連動してしまう。
予めデザインされたアタックではない。
一昨年の野洲と同じような「有機的反応」が発生したチームだった。
流経と同じレベルの素材、戦術を備えたチームは今後いくらも出てくるだろう。
でも同等のコンビネーションを持ったチームは当分見られないんじゃないかな?

大前元紀は総体、高円宮杯に続く3大会得点王。
今大会、いや今年度のユース年代のベストプレーヤーだ。
彼も今まで見なかったタイプに思える。
この世代に技術が高い選手はいくらでもいる。
でも大前元紀のように技術を「生かせる」タレントはいない。
大前は周囲を使う、周囲に使われるのが本当に上手い。
簡単にやる場面、チャレンジする場面の区別が完璧。
無駄なタッチがないし、プレーの成功率も高い。
ストライカーは強引でなければいけないと思われがちだ。
でも彼は控え目にプレーしてなぜか点を取ってしまう。
そんなメンタリティと知性に惹かれました。

augustoparty at 21:00│Comments(4)TrackBack(0)サッカー(U18) 

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この記事へのコメント

1. Posted by sillywalk   2008年01月15日 10:17
お久しぶりです。そして、明けましておめでとうございます。

>大前は周囲を使う、周囲に使われるのが本当に上手い。

大会前はここまでやれるとは思っていなかったのですが、怪我が治って以降は「役に立つ」プレーを連発していましたね。本人も期するところがあったようですし。
まさに、オーマエ・ゴッド!(笑)
(メディアではもう、スター扱いになってましたね。)

流経は、チーム全体で足元や対人スキルが素晴らしいとか、状況判断から予測、動き出しが早くかつ的確であるとかいろいろすごいな、と思っていたのですが、古沼さんが週に3日ほどみてる、というのもあったんですね。そういうのも今年はプラスに働いたのでしょうかね。
2. Posted by 党首   2008年01月15日 18:09
> sillywalkさん

あけましておめでとうございます。

> 大会前はここまでやれるとは思っていなかったのですが、
> 怪我が治って以降は「役に立つ」プレーを連発していましたね。

0−0に終わった東福岡戦でも彼は決して悪くなかったですよ。
よく触って、持ち過ぎないで、好印象でした。

> 古沼さんが週に3日ほどみてる、というのもあったんですね。

古沼先生は何というか…怪物ですね(笑)
流経といえば勝負弱いという先入観がありましたけど、
古沼先生は「トーナメントでのマネジメント」の名手ですから。
3. Posted by 徒然   2008年01月15日 23:49
国立三連チャン、観戦&メモ、お疲れ様でした。

>スーパーゴール。まさにオーマエ・ゴッド!
たしかに、あそこはマイナスにはたくかと思いきや…。
Jでもあまり見ないゴールでした。

今思うと、(過密日程になった)千葉県予選決勝は地味ながらも、すごい試合だったのだなと、つくづく実感。


4. Posted by 党首   2008年01月17日 22:00
> 徒然さん
> 国立三連チャン、観戦&メモ、お疲れ様でした。

ようやくゆっくりできてます。
スポーツの無い日々はいいもんですね!(笑)

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