2010年08月01日

世界大学野球選手権 日本×キューバ

一昨日「世界大学野球選手権」が開幕した。
この大会に正直それほど興味がなかった。
日本は神宮で馴染みな顔ぶればかりだ。
代表メンバーが計22名。
そのうち六大学が9名。東都が6名。
この両連盟で7割近くを締める。
他に近畿大3名、東海大3名。
両校は監督、コーチを出している。
選手選考がどうも有力校、有力連盟に偏っている。
日本の大学野球は27の連盟がある。
このチームは5連盟からしか選手を呼んでない。

ただ昨日のキューバ×韓国戦を見て強く興味が沸いた。
まずキューバの実力が凄すぎる。
韓国を18−0(5回コールド)で粉砕した。
一塁コーチはかのオマール・リナーレスである!
経歴、実力と「大学生の選抜チーム」じゃない。
北京五輪代表、WBC代表は7名もいた。
年齢だって24才、25才と学生離れしている(笑)
何でもキューバの野球選手は全員が大学に通うそうである。
今代表の全員が「マヌエルファハルド高等体育大学」の学生か卒業生だ。
学費無料で「ゆっくり卒業していいシステム」らしい。
世界大学野球選手権の出場資格はユニバーシアードに準じている。
そもそもユニバから野球が消えた代替として始まった大会だ。
年齢制限が28才以下。既卒でも昨年以降の卒業ならOKである。
キューバ代表の実態は「U-25代表」に近い。

今大会の出場は8チーム。
ヨーロッパ勢が全て大会出場を止めてしまった。
アジア勢が5チーム。
日本、韓国、中国、台湾、スリランカが参加している。
他はアメリカ、カナダ、キューバという顔ぶれだ。
まぁ「環太平洋選手権」という感じですね。
韓国のレベルが酷いと思ったら二軍の参加らしい。
一軍は韓米大学野球大会に参加するのだとか。
かくして出場チームの温度差が大きい。
そんな中でキューバの「本気」は際立っている。

神宮球場の内野席は六大学の好ゲーム並みに埋まっていた。
外国人スカウトはいつも以上に多い。
私のすぐ脇もMLBのスカウトだったと思う。
メモを取りながら熱心に観戦していた。
ただ英語にスペイン語の訛りがかなり入っていた。
日本でなくキューバを見に来たんじゃないでしょうか?
キューバの「代表」を見る機会は何しろ貴重である。

キューバ
1番 中 L・マルティン 22才 右左 183/83 ISCF3年
2番 二 Y・セルセ   23才 右右 173/79 ISCF4年
3番 指 H・オリベラ  25才 右右 186/89 サンティアゴ
4番 左 A・デスパイネ 24才 右右 177/95 ISCF4年
5番 右 Y・セスペデス 24才 右右 178/99 グランマ
6番 一 J・アブレウ  23才 右右 190/114 ISCF3年
7番 三 A・ディアス  20才 右右 183/87 ISCF2年
8番 捕 F・モレホン  24才 右右 176/90 ISCF5年
9番 遊 Y・ボロト   25才 右右 178/84 シエゴ・デ・アビラ
   投 I・ヒメネス  23才 右右 179/89 ISCF4年

日本
1番 三 鈴木大地   20才 右左 175/75 東洋大3年
2番 二 渡邉貴美男  21才 右左 164/66 國學院大4年
3番 中 伊志嶺翔大  22才 右右 178/78 東海大4年
4番 右 伊藤隼太   21才 右左 176/82 慶應義塾大3年
5番 一 多木裕史   20才 右左 178/74 法政大2年
6番 左 長谷川雄一  22才 右右 177/80 近畿大4年
7番 指 松本幸一郎  20才 右左 178/78 立教大2年
8番 捕 小池翔太   22才 右右 183/83 青山学院大4年
9番 遊 阿部俊人   21才 右左 180/73 東北福祉大4年
   投 藤岡貴裕   21才 左左 181/80 東洋大3年


1回裏。先攻はキューバ。
1番・マルティンが死球。
2番・セルセはエンドランで三ゴロ。
マルティンは送球の隙を突いて一挙に三進!
ただの内野ゴロで一塁から三塁まで進んだ。
あんな走塁は初めて見ました。
3番・オリベラは2球目の146キロを強振。
打球はレフトスタンドに消える2ラン本塁打。
<キューバ 2−0 日本>
4番・デスパイネは一邪飛。
5番・セスペデスも直球を強振。レフト上段にソロ本塁打。
<キューバ 3−0 日本>

日本の先発は藤岡貴裕。
大学野球選手権に優勝した有望左腕である。
来年のドラフト1位は間違いないだろう。
日本の大学生なら速球一本で抑えてしまう投手だ。
でもキューバの打者には「打ち頃」だったらしい。
特に外角、高めは禁物である。
彼の普段を知るからこそ私は絶句してしまった…。
藤岡は2本塁打を浴びて組み立てを変えた。
内角の厳しいコースを徹底して突くようになる。
更に普段はあまり投げぬカーブを多投。
内角球、緩急を活用して少しずつ持ち直す。

キューバは6番・アブレウが四球。
7番・ディアスが二塁内野安打。二死1、2塁。
8番・モレホンは内角速球で空振り三振。

今日の藤岡は速球が141〜46キロ。
序盤から飛ばして球速はいつもより高かった。
変化球はスライダーが122〜27キロ。
カーブは114〜17キロ。
シンカー、シュート系が130キロ台中盤。
いつになく「変化球率」の高い組み立てである。

1回裏。後攻は日本。
1番・鈴木が中前安打。
2番・渡邉はバント。捕前内野安打となって無死1,2塁。
3番・伊志嶺がバント成功。一死1、2塁。
4番・伊藤は「ハードカーブ」で空振り三振。二死1、2塁。
5番・多木の0−1から捕手が二塁に牽制。
渡邉はタッチアウトで3アウト。

キューバの先発はイスメル・ヒメネス。
右上手の技巧派である。
速球が139〜44キロ。
同じ球速帯でシュートもあった。
ハードカーブが125〜31キロ。
この2球種が組み立ての9割5分くらいだった。
他にチェンジアップが110キロ台中盤。
スローカーブは100キロそこそこ。

ハードカーブは縦に鋭く落ちる彼の決め球である。
球種が分からなくて思わず傍らのMLBスカウトに確認(笑)
チェンジアップ?と聞いたら“Hard curve”という答えが返ってきた。
強いて言うと石井一久と同系統かな?
でも日本にあんなカーブを投げる人はいません。
カーブとスライダーの違いは「手首を捻るか捻らないか」である。
手首を捻れば変化は大きくなる。でも球速は当然に落ちます。
手首の機能が違うんだと思った。

ただヒメネスはそれほど凄い投手ではない。
日本との再戦を考えてエース級は隠していると思う。
昨日投げたヤディエル・ペドロソは圧倒的だった。
179cm・108kgの巨漢!
速球が150近く出て変化球も凄い。
AAA大会でダルビッシュ有と投げあったことがあるらしい。
日本は彼に1安打完封されている。

2回表。
キューバは9番・ボロトが三ゴロ。
鈴木大地の一塁送球が逸れて無死1塁。
1番・マルティンはバント。二塁アウトで一死1塁。
2番・セルセは高い当たりの三ゴロ。
一塁はぎりぎりアウト。マルティンが今度も三塁を狙ってアウト。

キューバは内野ゴロさえ素晴らしい。
まずスイングスピードが速い。
だから打球の速さ、強さが日本と違う。
打ち損ねも「強く叩きつけられた」当たりである。
バウンドの滞空時間が長い。打者の足も速い。
だから日本は「ぎりぎり」の処理を強いられる。
日本は内野手のレベルが低い。
若手に身体能力の高い、身のこなしが光る人材はいない。
今日は危ない守備を連発していた。

2回裏。
5番・多木はハードカーブで空振り三振。
6番・長谷川が中前安打。
7番・松本は左飛。
8番・小池がエンドラン成功。
ライト線を抜けると思ったらセスペデスが弾んだ打球を素手で捕球!
そのまま送球して単打に抑える。二死1、3塁。

ヨエニス・セスペデスは走攻守揃ったキューバの注目株。
WBCは.485、2本塁打の活躍で大会ベスト9に選ばれた。
今大会も昨日、今日と本塁打を連発している。
パワーがべらぼうに凄い。
スピード、強肩、身のこなしも圧倒的だった。
背番号51は尊敬する某日本人選手に因んだものとか。
本当に「イチロー級」の選手である。

日本は9番・阿部が中前タイムリー安打。なお二死1、2塁。
<キューバ 3−1 日本>
1番・鈴木はライトに3ラン本塁打!
<日本 4−3 キューバ>

日本が集中打で逆転。
キューバはここでヒメネスが降板。
二番手投手にアルレイ・サンチェスを起用する。
サンチェスは182cm・83kgの左腕。
年齢は27才である。
上というよりはスリークォーターかな?
一塁側にサイドステップするフォームが特徴的である。
「クロスファイアー」の使い手だ。
速球は135〜42キロだけどあまり投げない。
カット、ツーシームが126〜30キロくらい。
スクリュー123〜26キロ。
スライダーが117〜21キロ。
球種の判別は正直いって自信が無い。
右、左に小さく曲げて芯を外す技巧派だ。
似たような変化、速度帯のコンビネーションで討ち取る。
制球は凄くいいわけじゃないけど四死球を出さない。
なお日本は2番・渡邉がセーフティー狙いの投ゴロで3アウト。

3回表。
3番・オリベラは高い当たりの二ゴロ。
一塁はぎりぎりのタイミングだったけど渡邉貴美男が悪送球。
オリベラは一挙に三塁まで進む。無死3塁。
4番・デスパイネは遊ゴロ。一死3塁。
5番・セスペデスが左中間を破る二塁打。
<キューバ 4−4 日本>
6番・アブレウは遊ゴロ。
セスペデスが三遊間に挟まれて挟殺。二死2塁。
7番・ディアスは左前安打。
長谷川雄一が本塁に好返球&タッチアウト。

3回裏。
日本は3番・伊志嶺が右飛。
4番・伊藤は二ゴロ。
5番・多木が一ゴロで三者凡退。

4回表。
キューバは8番・モレホンがカーブで空振り三振。
9番・ボロトは右前安打。一死1塁。
1番・マルティンが空振り三振。
ボロトは二盗失敗で三振ゲッツー。

4回裏。
日本は6番・長谷川が空振り三振。
7番・松本は左中間を破る二塁打。一死2塁。
8番・小池が遊ゴロ。二死3塁。
9番・阿部は空振り三振で無得点。

5回表。
日本はこの回から二番手投手に加賀美希昇を起用する。
加賀美は186cm・88kgの右上手投げ。
法政大学の4年生である。
今日は速球が132〜35キロ。
カーブ系が95〜112キロ。
速球以上に「遅い球」を多投していた。
ただストライクが取れないと苦しい。

キューバは2番・セルセが中前安打。
3番・オリベラは左前安打。無死1、2塁。
4番・デスパイネが四球で無死満塁。

加賀美は一死も取れず3走者を残して降板。
日本は三番手投手に乾真大を起用する。
乾は175cm・74kgの東洋大4年生。
左腕から繰り出すスライダーは絶品である。
速球が136,7キロ。
スライダーが124〜30キロ。
チェンジアップが120台前半。
カーブは110キロ台前半。

キューバは5番・セスペデスが130キロのスライダーで空売り三振。
乾は大当たり中の強打者を見事に討ち取った。
しかし6番・アブレウが足元に死球を受けて押し出し。
<キューバ 5−4 日本>
7番・ディアスは右前タイムリー安打。
二者が生還。一塁ランナーは三塁タッチアウトで二死1塁。
<キューバ 7−4 日本>
8番・モレホンが投ゴロで攻撃終了。

5回裏。
日本は1番・鈴木が三邪飛。
2番・渡邉は二ゴロ。
3番・伊志嶺が投ゴロで三者凡退。

6回表。
キューバは9番・ボロトが左前安打。
1番・マルティンはバスター成功。
上手く流して左前安打。無死1、2塁。

日本はここで乾真大が降板。
四番手投手に中後悠平が登板する。
182cm・72kgの近畿大学3年生。
横、スリークォーターと投げ分ける変則派左腕だ。
今日は速球が139〜43キロ。
シュートが130キロ台前半。
スライダーは120キロ台中盤。
カーブが100キロ前後。

キューバは2番・セルセがバント成功。一死2、3塁。
3番・オリベラは死球で一死満塁。
4番・デスパイネが左前タイムリー。なお一死満塁。
<キューバ 8−4 日本>
5番・セスペデスは左犠飛。
本塁送球の間に走者三塁。二死1、3塁。
<キューバ 9−4 日本>
6番・アブレウは空振り三振で3アウト

6回裏。
4番・伊藤は左飛。
5番・多木が見逃し三振。
6番・長谷川は一塁線を破る二塁打。
7番・松本が見逃し三振で無得点。

ここで試合が少し中断。
「審判治療中」な旨の場内アナウンスが入る。
台湾人の球審が熱中症でリタイア!
球審は猛暑の中でマスクを外せない。
ベンチで休むこともできない。
実は過酷なお仕事なのです。
審判が一人減って3人制となる。

7回表。
日本は五番手投手に菅野智之を起用する。
来年のドラフト1位が確実な原辰徳の甥っ子さん。
185cm・86kgの長身で手足も長い。
大学球界最高の本格派である。
今日は速球が146〜57キロ。
157キロは大学球界史上最速記録だった。
変化球はカットが142〜46キロ。
スライダーが135〜39キロ。
フォークは134〜36キロ。
チェンジアップが124〜28キロ。
カーブは116〜22キロ。
以上自信はないけど俺の見立てです。

キューバは7番・ディアスがカーブを強振。
センターバックスクリーンに届くソロ本塁打。
<キューバ 9−4 日本>

ショッキングだった。
菅野は速い球でぐいぐい押していた。
いきなり緩いカーブを投げた。
ある意味で鉄板の組み立てである。
速球と30キロ以上の「緩急」がある。
外国人ほどタイミングを崩しやすいという先入観があった。
しかしアレドミス・ディアスは全く軸がぶれない。
腰を入れて手首を鋭く返して容易く打ち返してしまった。
「手元まで引きつけて強く振る」という基本ではある。
しかし7番打者がこのレベルの投手をあんな簡単に打つかね?

8番・モレホンは死球。無死1塁。
9番・ボロトは148キロの速球で空振り三振。一死1塁。
1番・マルティンが空振り三振。
モレホンが二盗を決めて二死2塁。
2番・セルセは中飛で3アウト。

7回裏。
日本は8番・小池が四球を選ぶ。無死1塁。

キューバはここでサンチェスが降板。
三番手投手にダニエル・イノホサを起用する。
イノホサは183cm・90kgの右上手投げ。
24才の大学1年生である(笑)
速球が143〜46キロ。球は速いけど制球が…。

日本は9番・阿部が四球。無死1、2塁。
1番・鈴木の0−2でキューバベンチは堪らず投手交代…。
イオホサは7球で降板となる。
四番手投手はミゲル・ゴンザレス。
こちらは23才の大学2年生。
189cm・88kgの右上手投げである。
長身細身でバネがありそうだ。
速球が144〜55キロ。
変化球はスライダーが128〜32キロ。
カーブが120〜26キロ。
キューバがやっと本物、本格派を出してきた(笑)

鈴木はストレートの四球で無死1、2塁。
2番・岡崎啓介は中飛。一死1、2塁。
3番・伊志嶺が153キロの速球で見逃し三振。二死1、2塁。
4番・伊藤は151キロの速球で空振り三振。

8回表。
キューバは3番・オリベラが空振り三振。
4番・デスパイネが146キロのカットで空振り三振。
なお菅野智之はこの打席で157キロを記録した。
5番・セスペデスは中前安打。
速球を待っていたと思うんだけど遅いボールを平然と打ち返した。
6番・アブレウがライトポール際に2ラン本塁打。
<キューバ 12−4 日本>
右打者を詰まらせたんだけどスタンドまで入ってしまった…。
ホセダリエル・アブレウは114キロの巨漢。パワーが違います。
なお7番・ディアスは左飛で攻撃終了。

8回裏。
日本は5番・多木が四球で無死1塁。
6番・長谷川の初球に多木が二盗成功。無死2塁。
長谷川は155キロの速球で見逃し三振。
7番・松本が投ゴロ。二死2塁。
8番・伏見寅威は三ゴロで3アウト。

9回表。
キューバは8番・モレホンが三ゴロ。
9番・ボロトは134キロのフォークで空振り三振。
1番・マルティンは二ゴロで三者凡退。

9回表。
日本は9番・阿部が150キロの速球で見逃し三振。
1番・鈴木はライト線を破る二塁打。
代打・若松政宏が二ゴロ。二死3塁。
3番・伊志嶺は三ゴロ失策で生きる。鈴木が生還して二死1塁。
<キューバ 12−5 日本>
4番・伊藤が右前安打。二死1、2塁。
5番・多木は中前タイムリー安打。なお1、2塁。
<キューバ 12−6 日本>
6番・長谷川が右前安打。
セスペデスから凄い返球が来たけどセーフ。なお1、2塁。
<キューバ 12−7 日本>
7番・松本は左飛で攻撃終了。

日本が最終回に粘りを見せた。
しかし「格の違い」を見せ付けられた試合でしたね。
お蔭さまで本物のキューバ野球を堪能した。
私は25年の野球観戦経験で自然と規準が出来ている。
打球の飛び、送球、走塁に「これくらい」という感覚がある。
でもキューバは私の想定値を超すプレーを連発。
心底にぶったまげてしまった。
俺は日米野球やWBCも見たことあるんだけどな。
キューバのダイナミックさはMLBよりワンランク上ですね。
目の保養になりました。また彼らを見に行きたい。

安打   303 133 120 16 四 失
キューバ┃301|032|120┃12 6 1
日本  ┃040|000|003┃ 7 4 2
安打   240 101 004 12

日本:藤岡、●加賀美、乾、中後、菅野
キューバ:ヒメネス、○サンチェス、イノホサ、ゴンザレス


augustoparty at 23:58│Comments(0)TrackBack(0) 大学野球 

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